説明

メンテナンス情報共有システム

【課題】設備ユーザーとベンダーユーザーとがインターネットを介して保全情報を共有することができ、特に機械設備毎に個別に作成されていた不具合情報と保全情報とを異分野で横断的に共有することができるシステムを構築する。
【解決手段】設備データ及び述語データからなる不具合データベース101と、対象データ及び述語データからなる原因データベース102と、要素データ及び述語データからなる保全データベース103とが、オントロジーデータ構造で関連付けられており、各データベースから抽出された設備データ及び述語データ、対象データ及び述語データ、要素データ及び述語データをHTML言語で一括して送信する手段とを有するメンテナンス情報共有システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備機械の不具合情報と不具合に対する保全情報とを共有のプラットフォームに表示することができるメンテナンス情報共有システムであり、特に設備ユーザーとベンダーユーザーとがインターネットを介して不具合事象を共有することができるシステムである。
【背景技術】
【0002】
多種多様な設備機械が稼動する製造業分野等では、高度成長期に導入された設備機械も多く経年劣化が進んでいる。そのため設備のメンテナンス技術に対する需要が高まっている。かかるメンテナンス技術は、設備故障や品質不良の解消、生産性の向上等にとって重要な役割を担っている。例えば、設備故障が生じた場合には、迅速かつ適格に故障現場にて故障した設備を修理することによって生産性を向上させることができる。
【0003】
企業経営の多角化の結果、一工場内でも装置工業型と加工・組立型とが共存している場合も少なくない。さらに製造工程は、粉砕、溶解、反応濾過、吸着、濃縮、晶析、分離、成型、乾燥、冷却、などの単位操作と、各種物品のコンベア輸送などの組み合わせから成立している。その中で設備機械は、塔槽、タンク、熱交換器、釜、加熱炉などの静止設備と、ポンプ、コンプレッサー、モーター、タービンなどの回転機械と、これを連結するパイプライン、制御系の電気、計装などによって構成されている。
【0004】
これらの多種多様な設備機械を扱う製造現場では、各装置毎に現場技術者を置き、縦割りの設備保全を行っているのが現状である。例えばロボット溶接において加工品に油漏れが発生した場合には、ロボット溶接機の現場技術者が不具合部位を特定し、適切な修理を施す必要がある。これらの作業は、現実には現場技術者の経験と技量に委ねられるのが現実であった。このような設備保全を円滑に行うために品質保全管理が導入されることも多い。今日では設備保全などに関するマネジメントシステムについては、大企業における多くの事業所では品質保全管理を展開しながら、設備を保全し、保全のノウハウを保全シートなどを使用して蓄積することが行われている(非特許文献1参照)。
【0005】
このような品質保全管理は、保全シートなどに手書き若しくはタイプ打ちされた資料を蓄積し、同じような不具合が起きた場合には、人手を駆使して過去の資料を検索し、その資料に従って保全を行っているのが現状であり、資料の蓄積やその有効活用についての取り組みについては、企業や部門ごとに資料内容等に差が生じている。
【0006】
また、このような人手を駆使した保全管理では、技能を持った現場技術者の確保が重要であるが、近年ベテラン従業員の高齢化や減少などが問題となっている。また保全管理は現場ごとの縦割りで行われており、保全シートなどの資料の標準化が十分ではなく、同一の企業内でも現場が異なると蓄積されたメンテナンス情報を共有することが困難であった。特に異なった企業間では、資料の標準化が行われていないというのが現状である。
【0007】
このような人手を駆使して故障箇所や状況に応じた対処方法を探し出す困難性に鑑みて、対象オントロジーデータベース等に基づく故障診断装置が創作されている(特許文献1参照)。
しかし、メンテナンス情報を設備ユーザーとベンダーユーザーで共有するといった観点や、異分野での横断的な共有といった問題は解決されていない。
【非特許文献1】生産革新のための新TPM展開プログラム装置工業編(日本プラントメンテナンス協会発行)
【特許文献1】2000−322125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、迅速かつ適格な設備保全を行うため、不具合情報と保全情報とを共有のプラットフォームに表示することを目的とする。
また設備ユーザーとベンダーユーザーとがインターネットを介して保全情報を共有することができるシステムを構築することを目的とする。
さらに従来、機械設備分野毎に作成されていた不具合情報と保全情報とを異分野で横断的に共有することができるシステムの構築を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために以下の構成を採用した。
(1)本発明は、設備データ及び述語データからなる不具合データベースと、対象データ及び述語データからなる原因データベースと、要素データ及び述語データからなる保全データベースとが、オントロジーデータ構造で関連付けられており、各データベースから抽出された設備データ及び述語データ、対象データ及び述語データ、要素データ及び述語データをHTML言語で一括して送信する手段とを有することを特徴とするメンテナンス情報共有システムである。
【0010】
ここで、不具合データベースは任意の設備データと述語データとを管理する。設備データとは、機械設備又は機械設備の部位を示す項目のことである。例えば、「切削機」、「脱型機」、「プレス機」、「ポンプ」、「ファン」等という固有名詞のことである。また述語データとは、設備データの不具合に関連する述語を示す項目のことである。例えば、「焼損する」、「腐蝕する」、「液漏れする」、「破損する」、「振動する」等の述語のことである。これらの項目は過去に作製されたメンテンスに関する資料(例えば、保全シートなど)から任意に選択された項目で構成され、それぞれに個別のID番号が付され第1階層を構成する。
【0011】
また原因データベースは任意の対象データ及び述語データとを管理する。対象データとは機械設備の故障原因の主体となる事象を示す項目のことである。例えば、「異物」、「過負荷」、「過電流」等が挙げられる。また述語データとは、故障原因に関連する述語を示す項目のことである。例えば、「巻き込む」、「発生する」、「低下する」等である。これらの項目は過去に作製された保全シートなどから任意に選択された項目で構成され、それぞれに個別のID番号が付され第2階層を構成する。これらは上記不具合データベースにおいて管理されている不具合に関する不具合原因を細分化し、細分化された主体を示す項目から対象データが構成され、細分化された述語から述語データが構成される。
【0012】
さらに保全データベースは任意の要素データ及び述語データとを管理する。要素データとは、不具合に対する保全対策の主体となる事象を示す項目のことである。例えば、「サーマルリレー」、「ギヤ比」、「油圧」等が挙げられる。また述語データとは、保全対策に関する述語を示す項目のことである。例えば、「設定変更する」、「変更する」、「適正値にする」等である。これらの項目は過去に作製された保全シートなどから任意に選択された項目で構成され、それぞれに個別のID番号が付され第3階層を構成する。これらの項目は上記原因データベースの対象データ及び述語データとの組み合わせ毎に対応する保全データであり、例えば原因データベースの「過負荷」(対象データ)+「発生する」(述語データ)の組み合わせによって生じる故障原因に対する保全対策となるノードによって構成される。当該組み合わせの場合には、その保全対策となる「ギア比を変更する」という解決手段のうち、「ギア比」を要素データとして、「変更する」するを述語データとして、それぞれ保全データベースに格納しておく。
【0013】
上記の不具合データベース(第1階層)と、原因データベース(第2階層)とは、
不具合データベース(第1階層)にID番号が付されて記憶されているデータと、該データに関連する原因データベース(第2階層)に記憶されているデータとはツリー状にID番号が付され関連付けられている。同様に原因データベース(第2階層)に記憶されているデータと、保全データベース(第3階層)に記憶されているデータとはツリー状にID番号が付されて関連付けられている。このような関連付けによって、各データベースはオントロジーデータ構造を構成する。
【0014】
このように不具合情報を上位概念(不具合データベース)と中位概念(原因データベース)に分け夫々主語と述語に分類し、さらに保全情報を主語と述語の二種類に分類することにより、従来各装置毎に別々に作成されていた保全シートなどの資料を標準化することができる。
(2)本発明は、不具合情報に基づいて不具合データベースから一の設備データ及び述語データを抽出する手段と、該データに関連付けられた一以上の対象データ及び述語データを原因データベースより抽出する手段と、不具合データベース及び原因データベースから抽出された前記データに関連付けられた一の要素データ及び述語データを保全データベースから抽出する手段と、各データベースから抽出された全データをHTML言語で一括して送信する手段とを有することを特徴とする上記(1)に記載されたメンテナンス情報共有システムである。
(3)本発明は、前記原因データベースから抽出された前記データに関連付けられた一の要素データ及び述語データを保全データベースから抽出する手段を有する上記(1)又は(2)に記載されたメンテナンス情報共有システムである。
【0015】
上述のように不具合データベース(第1階層)と原因データベース(第2階層)とはツリー状に関連付けられており、原因データベース(第2階層)と保全データベース(第3階層)とが関連付けられている。従って、不具合データベースと保全データベースとは必ずしも関連付けられておらず、不具合データベース(第1階層)と保全データベース(第3階層)とが過去に作成されたメンテナンス資料では関連付けられていなかったデータが抽出され、HTML言語で一括して送信される可能性がある。
【0016】
このような機能によって、機械設備分野毎に作成されていた不具合データとその対策である保全データとを横断的に共有することができる。
(4)本発明は、設備ユーザークライアント端末と、ベンダークライアント端末と、サーバがインターネットを介して接続されており、抽出された不具合事象を該クライアント端末のモニタに表示することを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか一に記載されたメンテナンス情報共有システムである。
(5)本発明は、設備ユーザークライアント端末及び\又はベンダークライアント端末から入力された信号によって、原因データベース内の対象データ及び\又は述語データ、又は保全データベース内の要素データ及び\又は述語データを削除・変更・追加することができる手段を有する請求項4に記載されたメンテナンス情報共有システムである。
かかるシステムによって、複数の設備ユーザー同士、ベンダーユーザー同士はもちろんのこと、複数の設備ユーザーとベンダーユーザーとがインターネットを介して保全情報を共有することができる。
(6)予めデータベースに格納された保全データに関連する効果、容易性、信頼性、即効性、コスト、導入、紹介ランク、深刻性から構成されたレーダチャートを同一のモニタ上に表示することを特徴とする上記(4)に記載されたメンテナンス情報共有システム
【発明の効果】
【0017】
請求項1乃至3に係る発明は、不具合情報と保全情報とをHTML言語によって共有の
プラットフォームに表示することができるという効果を奏する。また、機械設備分野毎に作成されていた不具合情報と保全情報とを異分野で横断的に共有することができるという効果を奏する。
さらに、請求項4乃至6に係る発明によって、設備ユーザーとベンダーユーザーとがインターネットを介して不具合事象を共有することができるシステムを構築するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るメンテナンス情報共有システムの一実施形態を説明する。なお下記のデータ構造等は一例であって、他のデータ構造やプログラムを用いても良い。すわなち下記の実施形態は、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を限定するものではない。
図1はメンテナンス情報共有システムのサーバ1内の機能構成を示すブロック図である。図1において、10はデータベース部を示し、20はデータ処理部を示す。
図示しないキーボード等の操作部より入力された不具合情報に関する信号はWWWサーバ36を介してサーバ1内に入力される。入力される不具合情報は、不具合の発生している機械設備又は機械設備の部位を示す項目及び不具合の状態を示す述語の項目から構成される。入力された信号はインターフェイス部30を介してデータ処理部20に入力される。データ処理部20では、まずパラメータ解析部201によって、設備データと述語データが特定される。次にパラメータ検索部202によって特定された設備データと述語データの検索が不具合データベースより行われる(S1)。検索の結果、不具合データ抽出部203に不具合データベースより適合する設備データと述語データが抽出される(S2)。かかる抽出された不具合データは表示データ作成部34に送信される(S3)。また抽出された不具合データは不具合データ検索部204へ送信され、原因データベース102より不具合データに関連する対象データ及び述語データの検索が行われる(S4)。検索の結果、原因データ抽出部205に適合する対象データ及び述語データが抽出される(S5)。かかる抽出された原因データは表示データ作成部34へ送信される(S6)。また抽出された原因データは原因データ検索部206へ送信され、保全データベース103より原因データに関連する要素データ及び述語データの検索が行われる(S7)。検索の結果、保全データ抽出部207に適合する要素データ及び述語データが抽出される(S8)。かかる抽出された保全データは表示データ作成部34へ送信される(S9)。
【0019】
表示データ作成部34は、各データベース101,102,103から抽出された設備データ及び述語データ、対象データ及び述語データ、要素データ及び述語データをHTML言語を使用して一括してWWWサーバ36へ送信する。
【0020】
次にデータベース10内の各データベースにおけるデータ構造を図2に基づいて説明する。
図2に示すように、不具合データベース101内には、設備データと述語データの2種類のデータによって構成されるノード111,121,131,・・・が記憶されている。各ノードには個別のID番号が付されている。例えば「AABB00000000」である。「AA」の部分には設備データに対する個別のID番号が付される。例えば「01」,「02」・・・である。「BB」の部分は述語データに対する個別のID番号が付される。不具合データベース101は上記の方法によって付されたID番号を蓄積することによってツリー状のデータ構造の第1階層を構成することになる。
【0021】
次に原因データベース102内には、対象データと述語データの2種類のデータによって構成されるノード112,122,132,142,152,162,・・・が記憶されている。各ノードには個別のID番号「0000CCDD0000」が付されている。「CC」の部分は対象データに対するID番号が付される。ここで「DD」の部分には述語データに対するID番号が付される。これらのID番号は、不具合データと関連付けら
れている。例えば不具合データのノード111のID番号が「0101CCDDEEFF」であれば、原因データベース102内のノード112のID番号は、例えば「01010101EEFF」を付す。そして、原因データベース102は上記の方法によって付されたID番号を蓄積することによってツリー状のデータ構造の第2階層を構成することになる。なお、図2では、原因データベース102内の各ノードは不具合データベース101内の各のノードから3本に枝分かれしているが、関連付けられるデータ数によっては、1本であったり、4本以上に枝分かれすることもある。
【0022】
次に保全データベース103内には、要素データと述語データの2種類から構成されるノード113,123,133,143,153,163,173,183,193,104,114,124,・・・が記憶されている。各ノードには個別のID番号「00000000EEFF」が付される。ここで「EE」の部分は要素データに対するID番号が付される。また「FF」の部分は述語データに対するID番号が付される。これらのID番号は、原因データと関連付けられている。例えば原因データのノード112のID番号が「01010101EEFF」であれば、保全データベース103内のノード113は、例えば「AABB01010101」となる。保全データベース103は上記の方法によって付されたID番号を蓄積することによってツリー状のデータ構造の第3階層を構成することになる。なお、図2では、保全データは原因データから2本に枝分かれしているが、関連付けられるデータ数によっては、1本であったり、データがない場合もある。
【0023】
さらに原因データベース102内(第2階層)のID番号は重複しても良い。特に対象データ及び述語データの項目が同じであれば、共通するID番号を付すのが好ましい。一つのツリーの中では共通するID番号は存在しないが、他のツリー(第1階層が異なるもの)との間では共通するID番号が存在する可能性がある。かかる場合は第2階層において共通するID番号を使用して異なるツリーの第3階層同士を関連付けることができる。例えば、ノード132のID番号を「AABB0103EEFF」と付し、ノード142のID番号を「AABB0103EEFF」とすることにより、第2階層を関連付けることができる。
上記のように共通する属性値を関連付けることによりオントロジーデータ構造を構成することになる。なお、上記のID番号の付し方は一例であって、3桁であってもよいし、他の方法で関連つけても良く本発明を限定するものではない。
【0024】
図3は、請求項4に係る発明の一実施態様を説明するための概念図である。
本実施態様に係るメンテナンス情報共有システムは、上記で説明したデータ構造を有するサーバ1と、WWWブラウザを有する設備ユーザークライアント41,41’,41''・・・と、ベンダーユーザークライアント42,42’,42''・・・とが、インターネットを介して接続されることにより形成される。インターネットを介することによりWWWサーバ36をプラットフォームにして設備ユーザーとベンダーユーザーとが保全情報を共有することができる。特にサーバ1内のデータベースにおけるデータ構造が上述のように第2階層において関連付けられていることから、従来、機械設備分野毎に個別に作成されていた不具合情報と保全情報とを異分野で横断的に共有することが可能となる。
【0025】
次にWWWブラウザに表示される情報について具体的に説明する。
図4(a)は、品質保全管理によって作成されたデータの簡略化された資料である。図4(b)は、データベースに記憶されるデータシートの一例である。ここではモータが焼損した場合を例にとって説明する。従来よりモータの焼損については多数の保全シートが作成されている。しかしこれらの保全シートは現場毎に固有の言語・形式で作成されているのが現状である。そこで現実に問題となる不具合を、保全シートより抽出した設備データと述語データに分けて不具合データベースに記憶する。ここでは設備データとして「モータ」を、述語データとして「焼損」とそれぞれ個別のID番号を付して記憶する。
【0026】
次に保全シートの記載より不具合の発生原因を抽出する。原因が階層をもって説明される場合は、階層別に対象データと述語データに分けて原因データベースに記憶する。図4(a)に示す保全シートより、不具合原因は、i)ゴムの巻き込みにより」、ii)「過負荷が発生し」、iii)「過電流が流れ」という階層に分けられる。次に前記i)を図4(
b)に示すように、対象データとして「異物」を、述語データとして「巻き込む」としてID番号を付して記憶する。同様にii)を対象データ「過負荷」と、述語データ「発生する」に分け、iii)を対象データ「過電流」と、述語データ「発生する」に分けてIDを付して記憶する。これらのデータの第1階層のID番号は全て共通し、3本に枝分かれしたツリー状のデータ構造を形成する。
【0027】
次に保全データベースを構築するために、保全情報にID番号を付す手順を説明する。図4(a)の保全シートにおける保全情報は「サーマルリレーの設定を変更」である。サーマルリレーは過電流を抑止するものであるので、第2階層としては、前記iii)のID番号と共通し、さらに第3階層に個別のID番号を付して保全データベースに記憶される。
【0028】
このようにして過去に集められた保全シートを解析記憶することによって、不具合データベース、原因データベース及び保全データベースをツリー状に関連付けて構築する。ここで重要なのは多種多様な機械設備(例えば、切削機、脱型機、プレス機、ポンプ、ファン、コンベア等)や企業の保全シートに関するデータも設備等と述語データに分けられて記憶される点である。これらのデータはツリー状にデータベースに記憶されているが、第2階層において体系的に関連付けられており、オントロジーデータ構造を有する点である。
【0029】
図5は、設備ユーザクライアント及びベンダーユーザークライアントのモニターに表示される画像イメージを示す初期画面図である。
まず、図5に示すような初期画面に従って不具合情報がデータ入力されることになる。この際、対象データ欄(画面左側の空欄「対象(なに)」)と述語データ欄(画面右側の空欄「述語(どうする・どうした)」)及びそれらの関係を示す「が」と「を」から選択される助詞を夫々入力することになる。
【0030】
かかる不具合情報を入力した後、画面中央下側に表示されている検索アイコンをクリックすることにより図1のインターフェイス部30を介して不具合データベースにアクセスし、適合する設備データと述語データが抽出される。その後上述したステップにより、原因データ抽出部205に適合する対象データ及び述語データが抽出され、保全データ抽出部207に適合する要素データ及び述語データが抽出される。表示データ作成部34は、各データベース101,102,103から抽出された設備データ及び述語データ、対象データ及び述語データ、要素データ及び述語データをHTML言語で一括してWWWサーバ36へ送信する。
【0031】
図6は、WWWサーバ36へ送信された全データが、設備ユーザクライアント及びベンダーユーザークライアントのブラウザに表示された画像イメージを示す図である。
図6に示すように第1階層として不具合データベースより抽出された設備データ及び述語データが左下の欄に表示され、原因データベースより抽出された対象データ及び述語データが左上の欄に表示され、保全データベースより抽出された要素データ及び述語データが右上の欄に表示される。
【0032】
ここで右上の欄に表示された3種類のデータに対応する保全データが右上に対応して表示されることになるが、右上の欄には空欄の箇所がある。これは原因データに関連する保全データが記憶されていないことを示している。これは現状では不具合原因を保全する手
段がないことになるが、ブラウザを閲覧しているベンダーユーザーが自己の技術によって保全する手段が存在する場合には、随時書き込めるようになっている。また空欄を閲覧したベンダーユーザーが自社で新しい保全手段を開発することも期待される。
さらに、図6に示すように右側には、予めデータベースに格納された保全データに関連する効果、容易性、信頼性、即効性、コスト、導入、紹介ランク、深刻性から構成されたレーダチャートを表示しても良い。ここでレーダチャートは周知の技術によって作成される。
【0033】
図6に表示されているデータは、「モータが焼損する」という不具合に関連する原因データと保全データである。ここでモータ以外の機械設備に関するツリーの第2階層と共通する原因データが含まれている場合は、その原因データを表示し関連する保全データを表示することができる。
【0034】
例えば図6の左上の欄に「過負荷が発生する」という箇所があるが、かかる箇所には対応する保全データの欄は空欄である。この「過負荷が発生する」欄をクリックし、第2階層と共通するデータが他の機械設備のツリーに存在している場合は、図7のような画面がモニター上に表示される。図7は、例えば不具合データとして「コンベアの破損」に関するツリーに関するデータである。かかるツリーの第2階層と上記の「モータの焼損」に関するツリーに関するデータの第2階層とが共通している場合は、コンベアの破損に関する保全データが図7の画面のように表示される。このようなデータは機械設備が異なっているため、従来は横断的に保全データを共有することができなかった。しかし、本実施形態に係るメンテナンス情報共有システムを使用すればモータの焼損という不具合に対してコンベアの破損に対する保全データを参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】メンテナンス情報共有システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図2】データベース内のデータ構造を示す概念図である。
【図3】請求項4に係る発明の一実施態様を説明するための概念図である。
【図4】(a)は品質保全管理によって作成されたデータの簡略化された資料例である。(b)はデータベースに記憶されるデータシートの一例である。
【図5】設備ユーザクライアント及びベンダーユーザークライアントのモニターに表示される画像イメージを示すモニター図である。
【図6】設備ユーザクライアント及びベンダーユーザークライアントのブラウザに表
【図7】第2階層が共通するデータが表示された画面イメージを示すモニター図である。
【符号の説明】
【0036】
1 サーバ
10 データベース部
20 データ処理部
30 インターフェイス部
34 表示データ作成部
36 WWWサーバ
101 不具合データベース
102 原因データベース
103 保全データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備データ及び述語データからなる不具合データベースと、対象データ及び述語データからなる原因データベースと、要素データ及び述語データからなる保全データベースとが、オントロジーデータ構造で関連付けられており、各データベースから抽出された設備データ及び述語データ、対象データ及び述語データ、要素データ及び述語データをHTML言語で一括して送信する手段とを有することを特徴とするメンテナンス情報共有システム。
【請求項2】
不具合情報に基づいて不具合データベースから一の設備データ及び述語データを抽出する手段と、該データに関連付けられた一以上の対象データ及び述語データを原因データベースより抽出する手段と、不具合データベース及び原因データベースから抽出された前記データに関連付けられた一の要素データ及び述語データを保全データベースから抽出する手段と、各データベースから抽出された全データをHTML言語で一括して送信する手段とを有することを特徴とする請求項1に記載されたメンテナンス情報共有システム。
【請求項3】
前記原因データベースから抽出された前記データに関連付けられた一の要素データ及び述語データを保全データベースから抽出する手段を有する請求項1又は2に記載されたメンテナンス情報共有システム。
【請求項4】
設備ユーザークライアント端末と、ベンダークライアント端末と、サーバがインターネットを介して接続されており、抽出された不具合事象を該クライアント端末のモニタに表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一に記載されたメンテナンス情報共有システム。
【請求項5】
設備ユーザークライアント端末及び\又はベンダークライアント端末から入力された信号によって、原因データベース内の対象データ及び\又は述語データ、又は保全データベース内の要素データ及び\又は述語データを削除・変更・追加することができる手段を有する請求項4に記載されたメンテナンス情報共有システム。
【請求項6】
予めデータベースに格納された保全データに関連する効果、容易性、信頼性、即効性、コスト、導入、紹介ランク、深刻性から構成されたレーダチャートを同一のモニタ上に表示することを特徴とする請求項4に記載されたメンテナンス情報共有システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−226532(P2007−226532A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−46777(P2006−46777)
【出願日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【出願人】(594046271)社団法人日本プラントメンテナンス協会 (1)
【出願人】(305027401)公立大学法人首都大学東京 (385)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【出願人】(504202472)大学共同利用機関法人情報・システム研究機構 (119)