説明

モジュール型自動遮光溶接フィルタ

【課題】本発明は、自動遮光視界モジュールとは別個にパッケージされた視界モジュールと制御モジュールとを含む自動遮光フィルタを有する溶接ヘルメットを提供する。
【解決手段】
自動遮光溶接フィルタを備えた溶接ヘルメットであって、視界モジュールと、この視界モジュールとは別に溶接ヘルメットに設けられた制御モジュールとを含む。第1実施形態では、制御モジュールは、ユーザが溶接ヘルメットを着用したままで自動遮光視界モジュールを調整できるように、溶接ヘルメットの側部に設けられた一対の可変レジスタシャフトを備えている。この可変レジスタシャフトは、溶接ヘルメットの側部ハウジングを通して外側へ延びている。第2実施形態では、制御モジュールは、ヘルメット内の自動遮光視界モジュール下方に設けられ、その表面には、ユーザが操作できるスイッチが一体的に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、溶接工のヘルメットの自動遮光溶接フィルタにおけるモジュール型設計に関する。特に、制御モジュールの機械的パッケージング及びシグナリングに関し、スライドガラス、偏光子、液晶ディスプレイ(LCD)及びUV/IRフィルタを備えた自動遮光フィルタの視界モジュールを制御するとともに、前記制御モジュールに対して電力を与え、該視界モジュールとは別個にパッケージされたものである。
【背景技術】
【0002】
ヘルメットの自動遮光溶接フィルタは、作業者の目を保護するために、溶接及び切断トーチテクノロジーにおいて広く使用されている。溶接フィルタは、典型的には、フィルタ内に制御電子機器と電源回路とを備えた液晶ディスプレイ(LCD)を含み、その結果、ヘルメットを着用している作業者の視界が狭くなってしまっている。さらに、かなり多数のパーツ数が必要となり、その結果、パーツの調達及び在庫管理のためにコストが増してしまう。
【0003】
1994年4月12日にアンドレ・M・エッゲンシュヴィラー(Andre M.Eggenschwiler)に付与されスイスのオプトレルAG社(Optrel AG)に譲渡された米国特許第5,302,815号は、作業者のヘルメット用の光保護装置を開示し、この光保護装置は、電気的に制御可能な光保護フィルタ素子、光電トランスデューサ素子、ブリッジ部材、2つのセンサ素子、リアルライト保護フィルタ素子、光保護カセット及び制御手段を含み、この制御手段は、光保護フィルタ素子の光の透過を制御するために光保護フィルタ素子に接続された光検出センサを含む。しかしながら、その視界内には、電気的に制御可能なフィルタだけでなく、光電トランスデューサ素子、ブリッジ及び2つのセンサも含まれ、これらすべてが同じパッケージ内に配される。
【0004】
1996年7月9日にマイケル・J・ペトリー(Michael J.Petrie)らに付与されてミシガン州ベルモント地区のジャクソンプロダクツ社(Jackson Products)に譲渡された米国特許第5,533,206号は、LCDレンズ、太陽電池、光センサ電池及び回路基盤を含む着脱式電子急速変化カートリッジ(EQCカートリッジ:electronic quick change cartridge)が設けられた溶接ヘルメットを開示している。この光センサ電池は、カートリッジ内において回路基板の両側に配置されているため、EQCカートリッジ内におけるLCDレンズ用スペースが減少してしまう。
【0005】
1999年9月28日にジョン・D・ファーガスン(John D.Fergason)に付与されてOSDエンビジョン社(OSD Envizion)に譲渡された米国特許第5,959,705号は、一体型ディスプレイ及びスイッチングシステムを備えた溶接レンズを有した溶接ヘルメットを開示している。このスイッチングシステムは、偏向可能なカバープレートとスイッチ電極及びサポート部を備えるとともに、自動光シャッタが関連付けられている。シャッタは、電気回路により作動する液晶を備えている。サポート部は、硬質プリント回路基板又はフレキシブルプリント回路基板のような回路基板としてもよい。前記回路基板はハウジング内に保持され、回路は、シャッタとディスプレイに設けられており、これら全ては溶接レンズカートリッジアセンブリのハウジング内に組み込まれている。従って、制御部、電源、一体型ディスプレイ及びスイッチを備えた溶接レンズのすべてのコンポーネントが同じパッケージ内に配されている。
【0006】
2000年6月6日にトーマス・J・ハミルトン(Thomas J.Hamilton)に付与され、ミズーリ州チェスターフィールドのジャクソンプロダクツ社(Jackson Products, Inc)に譲渡された米国特許第6,020,264号は、自動遮光及び手動調節可能なレンズシェード制御部を備えたシャッタアセンブリを有する溶接ヘルメットを開示している。電子制御部品は、シャッタアセンブリ内に設けられ、ハウジング内では、2つのPC基板を、これらを相互に接続するフレキシブルケーブルとともに、使用者の視界への干渉あるいは妨害をしないよう、光学シャッタの上方及び下方に設けることができるようになっている。しかしながら、これら電子部品はすべてシャッタアセンブリ内に配置されており、光学シャッタを通じて得られる視界は狭められている。
【0007】
2003年4月22日にヤング・ドウン・バエ(Young Dawn Bae)に付与され、オータス社(Otus Co., Ltd)に譲渡された米国特許第6,552,316号は、保護マスク又はヘルメットの外面上に強度制御スイッチを備えたグレア保護デバイスを有するヘルメットを開示している。このグレア保護デバイスは、作業者の目を高強度光線から保護するためのグレア保護プレートを調整するためのコントローラを有している。このコントローラはマイクロコンピュータであり、グレア保護デバイス内のグレア保護プレートのON/OFFを制御する。しかしながら、太陽電池及び制御回路は、すべてグレア保護デバイス上又はその周辺に設けられている。
【0008】
2003年5月6日にエデワード・L・マーティン(Edward L Martin)らに付与され、マサチューセッツ州トーントンのオプティカル・エンジニアリング・カンパニー(Optical Engineering Company, LLC)に譲渡された米国特許第6,557,174号は、溶接ヘルメット用の交換可能な組み込み式拡張視界光線シールドカートリッジを開示している。この溶接ヘルメットは、光マスク、LCDアセンブリ、不透明ベース、第2光学マスク、LCDドライバ及びプリント回路基板41を有する。しかしながら、制御用電子機器は、光線シールドカートリッジ内に配置されている。
【0009】
2004年9月28日にリコ・ソンダレッガ(Rico Sonderegger)に付与され、スイスのオプトラル社(Optrel AG)に譲渡された米国特許第6,796,652号は、遮蔽された評価回路(図3)を備えたグレア保護デバイスを示す。電子回路は評価回路及び駆動回路を含み、プリント回路基板の内側表面に取り付けられている。しかしながら、これら電子回路は、グレア保護デバイス内に配置されている。
【0010】
【特許文献1】米国特許第5,302,815号明細書
【特許文献2】米国特許第5,533,206号明細書
【特許文献3】米国特許第5,959,705号明細書
【特許文献4】米国特許第6,552,316号明細書
【特許文献5】米国特許第6,557,174号明細書
【特許文献6】米国特許第6,796,652号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、自動遮光視界モジュールとは別個にパッケージされた視界モジュールと制御モジュールとを含む自動遮光フィルタを有する溶接ヘルメットを提供することを目的とする。
【0012】
また、本発明は、電子制御モジュールを備えた自動遮光視界モジュールを有する溶接ヘルメットであって、この電子制御モジュールが自動遮光視界モジュールとは別にパッケージされており、かつ、ユーザによるフィルタ調整を容易とするために溶接ヘルメットを通じて突出する制御ノブシャフトを備えた溶接ヘルメットを提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
これらの目的を達成するために本発明は、ハウジング、上記ハウジングの前面に設けた自動遮光視界モジュール及び上記視界モジュールを制御するリモート制御モジュールを上記視界モジュールとは別に設けた溶接ヘルメットによって達成される。制御モジュールは、上記ハウジングを通じて延びる可変制御シャフト又は他の制御手段であって、ユーザが自動遮光視界モジュールを調整するための手段を少なくとも一つを含む。制御モジュールは、モジュール内に機能を制御する手段を有し、この機能制御手段は、制御モジュールの表面上に設けられている。ヘルメットは、制御モジュールと自動遮光視界モジュールの間の信号供給手段を有する。制御モジュールと自動遮光視界モジュールの間に電気信号を与える手段としては、ワイヤケーブルを含む。制御モジュールと自動遮光視界モジュールの間の信号を提供するための手段は、無線装置を含む。
【0014】
前記目的はまた、以下に述べる溶接装置を提供することで達成される。すなわち、溶接機と視界モジュール及び制御モジュールを含む溶接装置であって、前記溶接機は,該溶接機の動作パラメータをリモート制御する第1レシーバを有し、また前記視界モジュールは、該視界モジュールの動作パラメータをリモート制御する第2レシーバを有するものであり、かつ、前記制御モジュールは、前記溶接機及び前記視界モジュールの動作パラメータを制御するものである。
【0015】
前記目的は、また複数の溶接ヘルメットの制御システムを提供することで達成され、このシステムは、複数の制御モジュールをリモート制御するための主制御モジュールと、複数の制御モジュールの少なくとも一つによってそれぞれが制御される複数の視界モジュールとを有する。
【0016】
更に、前記目的は、視界モジュールに所定の電圧を供給する手段と、この視界モジュールに設けられ視界モジュールの前方の溶接光を検出する手段と、光検出手段に連結されて、視界モジュールのダークモード及びライトモードを制御する手段と、制御手段に連結されて視界モジュールのダークモードを迅速に始動させる手段と、を有する制御モジュールにより達成される。制御モジュールは、VCC電圧が予め設定された最小値を下回るときを検出する手段を含む。視界モジュールは、液晶ディスプレイを有する。制御モジュールは、視界モジュールがダークモードから離脱するのを遅延させるための手段を有する。制御モジュールは、ユーザが制御する可変信号に接続されて、前記視界モジュールを前記ライトモードと前記ダークモードとの間で調整するシェード信号を生成するための手段を有する。
【0017】
前記目的はまた、溶接ヘルメットを提供する方法であって、ヘルメットハウジングを用意するステップと、自動遮光視界モジュールをハウジングの前面に設けるステップ及び制御モジュールを視界モジュールとは別に溶接ヘルメットに設けるステップを含む方法により達成される。
【0018】
本発明の更なる目的、特徴および利点は、本発明を実施するための現時点において認められる最良の実施形態を例示する以下の好適実施形態の詳細な説明を斟酌することにより、当業者にとって明白なものとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
添付した各請求項は、本発明の特徴を特定的に示し、明確に記載したものである。本発明の種々の目的、利点及び新規な特徴は、添付の図面と共に以下の詳細な説明により明らかである。また添付の図面において、同様の部位には同様の参照数字を付している。
【0020】
図1を参照すると、図1は、溶接ヘルメット10の正面斜視図であって、制御ノブ24、26を備えた自動遮光溶接フィルタを有する。これら制御ノブ24,26は、制御モジュール18からハウジング12を通して延びる可変レジスタシャフト25、27に設けられている。また、制御モジュール18は、ユーザが自動遮光フルビュー溶接フィルタの調整できるように溶接ヘルメット10の内部に配置されている。
【0021】
図2を参照すると、図2は、溶接ヘルメット10用のモジュール型自動遮光溶接フィルタシステム14を示す機能ブロック図である。この溶接ヘルメット10は、視界モジュール20を有し、該視界モジュール20は、ユーザが制御モジュール18に与える制御入力16と、視界モジュール20から物理的に分離された制御モジュール18とによって制御される。該制御モジュール18によって制御される前記視界モジュール20のパラメータには、シェード、感度及び遅延が含まれる。制御モジュール18と視界モジュール20の間の通信は、機械的なケーブル及びコネクター、磁気信号、電磁信号あるいはこれらの組み合わせにより行うことができる。溶接ヘルメット10は、視界モジュール20及び制御モジュール18を含む自動遮光溶接フィルタを有するコブラ−911(Cobra−911)モデルを用いることができる。これら視界モジュール20及び制御モジュール18は、マサチューセッツ州トーントンのA. C. Eインターナショナルカンパニー(A. C. E. International Company, Inc.)の1部門であるアークワン社(ArcOne)により製造されたモデル6000VI4(Model 6000VI4)を用いることができる。
【0022】
図3を参照すると、図3は、溶接ヘルメット10の内部背面図であり、視界モジュール20と該視界モジュール20とは別に溶接ヘルメット10のハウジング12の側面に設けられた制御モジュール18を有する自動遮光溶接フィルタを示す。可変レジスタシャフト25、27上の制御ノブ24、26を回すことにより、ユーザ制御入力16が制御モジュール18に与えられる。この可変レジスタシャフト25、27は、溶接ヘルメット10のハウジング12の側面を通して制御モジュール18から伸延し、かつ、ユーザによる調節用のシャフトの端部に設けられたノブ24、26(図1)を有する。他のユーザ制御調整部17は制御モジュール18のケース上に配置される。バッテリーホルダー29が、制御モジュール18の側面に設けられている。電気ケーブル22は、フィルタ20と制御モジュール18とを接続する。
【0023】
図4を参照すると、図4は、溶接ヘルメット10の他の実施形態における内部背面図であり、視界モジュール20を含む自動遮光フィルタを示す。視界モジュール20は、この視界モジュール20とは別にかつその下方に設けられた制御モジュール19を有する。電気ケーブル23により、視界モジュール20と制御モジュール19とを接続する。制御モジュール19のこの実施形態では、スイッチ制御部21は、モジュール19の外側表面上に設けられており、ユーザが視界モジュール20を調節するために制御入力16ができるようになっている。
【0024】
図5を参照すると、図5は、溶接機42、制御モジュール46及び視界モジュール50を含む溶接システム40のブロック図である。溶接機は、制御モジュール46からの制御信号を受信するための受信器43を含む。この制御モジュール46は、無線でアンテナ47を有するか、又は、ケーブル48、49を通じて溶接機42あるいは視界モジュール50に接続するようにしてもよい。制御モジュール46は、溶接機42の作業特性を制御し、かつ、受信機53を通じて視界モジュール50の制御も行う。通常、これらはいずれも溶接ヘルメットに設けられオペレータにより操作される。
【0025】
図6を参照すると、図6は、主制御モジュール64を含む制御システム60の機能ブロック図である。主制御モジュール64は、視界モジュール72、74、76の動きを決定する複数の制御モジュール66、68、70それぞれのパラメータを設定するユーザ62からの入力を受信する。通常、各視界モジュール72、74、76は、それぞれ溶接ヘルメットに設けられ、ユーザが視界モジュール72、74、76を通じて溶接作業を観察する視界が得られるようになっている。主制御モジュール64は、視界モジュール72、74、76の動きを調整するために複合制御モジュール66、68、70を監視する。主制御モジュール64と制御モジュール66、68、70との間の通信は無線であり、また、制御モジュール66と68、70と視界モジュール72、74、76との間の通信は、無線及び/又は有線である。
【0026】
図7A、7B及び7Cは、視界モジュール20の制御及び溶接機42のような溶接装置あるいは溶接ヘルメット内の視界モジュール50を制御する制御モジュール18内の回路の概略説明図である。
【0027】
制御モジュール18は自動電源オフ回路82、視界モジュール制御回路84、低電力検出回路86、センサ回路88、遅延回路90、フィードバックフラッシュ回路92、シェード電圧ジェネレータ126及び直流‐直流変換器110を有する。
【0028】
図7Aを参照すると、自動電源オフ回路82は制御モジュール18(又は19、46、66、68、70)内の回路への電源のターンオフに用いられ、同様に、対応する視界モジュール20(又は50、72、74、76)への電源のターンオフに用いられる。カウンタ102は、15分毎にタイムアウトするよう設計されている。センサ回路88(図7B)からのST信号157は、カウンタ102にリセット信号を供給する。カウンタ102からの出力はMOSFET104及びMOSFET108に接続される。MOSFET 104は、MOSFET 106に接続され、図7Bの中の遅延回路90に接続される電源シャットオフ(Shut−Off Power Source:SOPS)信号を生成する。MOSFET 108の出力109は、視界モジュール制御回路84中のスイッチ112及び114に接続される。図7Aの回路では、VCCはDC3Vに等しい。
【0029】
視界モジュール制御回路84は、3個の集積回路スイッチ112、114、116、両極トランジスタ120及びMOSFET 118、122を含む。スイッチ116は、図7Bのセンサ回路88から単一のターンオン(single turn−on:ST)信号157を受信し、これによりトランジスタ120及びMOSFET122が−60Vの入力を出力LCD2に送るようになっている。DC‐DCコンバータ110は、VCC(+3V)を受取って−60Vの出力に変換する。そのようなコンバータ110は、当業者には公知である。LCD1とLCD2の出力は、視界モジュール20に接続され、視界モジュール20をライトモードからダークモードに迅速に切り換えるように最初に−60Vパルスを与える。その後、視界モジュール20をダークモードに維持するために+3ボルトから−3ボルトのスイッチング信号を供給するスイッチ112、114によって視界モジュール20はダークモードに維持される。スイッチ112及び114は、自動電源オフ回路82からの信号109によって可動状態とされ、これらスイッチは、シェード電圧発生装置126(図7C)からのシェード信号136を、視界モジュール20を駆動するためのAC信号LCD1、LCD2に変換する。カウンタ102は、パーツ番号5IST4047を用いてもよい。
【0030】
図7Aにおいて、MOSFET 104はパーツ番号5QRK2N7002を用いてもよく、また、MOSFET 122、124はパーツ番号5QBSBST82を用いてもよい。MOSFET 106、108及び118は、パーツ番号5QBSBSS84を、また、ICスイッチ112と114は、パーツ番号5QRK2N7002を、さらに、トランジスタ120は、パーツ番号5QBC857Cを用いてもよい。これらの部品は、すべて台湾のフィリップス電子(Phillips Elextronics)により製造されている。
【0031】
図7Cを参照すると、シェード電圧発生装置126は、可変レジスタ132、133及び25を含む。ユーザは、図1に示される可変レジスタ25の制御ノブ24を用いて自動遮光視界モジュール20を調節する。可変レジスタ25からの信号は、アンプ/コンパレータ130に供給され、その出力は、SHADE信号136を供給するトランジスタ128に接続される。可変レジスタ132は、高レベルリミッターとして作用し、また、可変レジスタ133は、低レベルリミッターとして作用する。LED 134は、アンプ/コンパレーター回路130の入力への1.4Vの参照電圧を提供する。
【0032】
図7Cにおいて、トランジスタ128はパーツ番号5QBC857Cを用いてもよく、アンプ/コンパレーター130は、台湾のフィリップス電子によって製造されたパーツ番号5IS0TLC271を用いてもよい。また、LEDダイオード134は、ライトオンテクノロジー社(Lite−On Technology Corp.)によって製造されたパーツ番号LTST−C190KRKTを用いても良い。
【0033】
図7Bにおいて、低パワー検出回路86は、MOSFET 140と142を含み、VDD(+3V)及びVCC(+3V)を監視する。2.7V未満のような低電圧が検出されると、MOSFET 140は、発光ダイオード(LED)144をターンオンさせ、カウンタ102(図7A)からのLED信号に応じて「低電圧」状態を示すLED 144が点滅する。MOSFETS 140、142は、パーツ番号5QBSNSS84及びパーツ番号5QRK2N7002によって実装することができ、これらはすべて台湾のフィリプス電子によって製造されている。
【0034】
センサ回路88は、MOSFET 146を含み、該MOSFET 146は、溶接光の周波数を検出するためのバンドパスフィルタ150の回路に結合された光電ダイオード145に接続されている。光電ダイオード145は、視界モジュール20(図1)の外側エッジに実際に設けられている。演算増幅器/コンパレーター148は、バンドパスフィルタ150の出力を受取り、また、両極トランジスタ152は、検出された溶接光信号周波数を増幅する。可変レジスタ27は、ユーザがノブ26を移動させることにより調整され、アンプ/コンパレーター148の感度が制御される。感度の制御は、アンプ/コンパレーター148が視界モジュール20を暗くさせるように作動することになる閾値を調整することでなされる。トランジスタ増幅器152の出力は、MOSFET 156に接続されるが、このMOSFET 156は、単一のターンオン(ST)信号157を生成して視界モジュール制御回路84(図7A)に送信する。単一のターンオンST信号157は、視界モジュール20の暗化を約0.1ミリセカンドで迅速に始動させる。
【0035】
遅延回路90は、スイッチ165及びフィードバック点滅回路92と共に作動する。スイッチ165が瞬間的に閉じた場合、制御モジュール18に電力が供給開始され、またスイッチ165が数秒間にわたって閉じた場合には、遅延信号167が生成される。遅延回路90は、通常およそ100ミリセカンドの遅延信号167を生成するフリップフロップIC回路166を含み、この遅延信号は、センサ回路88中のMOSFET 154に結合される。遅延により、視界モジュール20がダークモードから離脱するのを遅らすことができる。ユーザがスイッチ165を閉じた場合の遅延はおよそ2.0秒になる。
【0036】
フィードバック点滅回路92は、フリップフロップ回路168を有し、該フリップフロップ回路は、スイッチ165が閉状態でフリップフロップ回路168を設定しているときに電圧信号を受け取る。また前記フィードバック点滅回路は、MOSFET170を駆動して、MOSFET156へ結合されるフラッシュ信号171を生成し、ST信号を生成することにより視界モジュール18を“ダーク”状態にさせる。フィードバックフラッシュ回路92は、フリップフロップIC回路168の出力によって制御され、視界モジュール20がライトモードのままとなるように視界モジュール20の電源を制御するMOSFET172、174を含む。
【0037】
図7Bにおいて、MOSFET 146、154、162及び170は、パーツ番号5Q5K2N7002を用いることができ、またMOSFET 156、164、172及び174は、パーツ番号5QBSBSS84を用いてもよい。さらにアンプ/コンパレーターは、パーツ番号5QBC847Cを、トランジスタ152は、パーツ番号5IS0TLC271を、IC 166及びIC 168は、パーツ番号5ISF4027を用いてもよい。これらのパーツはすべて台湾のフィリップス電子によって製造されている。
【0038】
以上、本発明を特定の実施形態により説明した。開示した装置に対して、本発明から逸脱することなく多くの変更が可能であることは明らかである。従って、添付した請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内におけるすべての変更及び修正を包含することを意図したものである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】溶接ヘルメットの正面斜視図であり、ハウジングを通して延びる可変レジスタシャフトに設けられた自動遮光溶接フィルタの制御ノブを示している。
【図2】本発明に係る溶接ヘルメット用モジュールの自動遮光溶接フィルタの機能ブロック図である。
【図3】図1に示す溶接ヘルメットの内部の背面図であり、溶接ヘルメットの側面を通して突出する制御シャフトを備えた分離型制御モジュールを有する自動遮光フィルタを、制御モジュール上のその他のユーザ用制御部とともに示している。なお制御モジュールは視界モジュールに隣接してヘルメットに設けられている。
【図4】溶接ヘルメットの内部の背面図であり、視界モジュールに隣接しかつその下方となるよう溶接ヘルメットに設けられた分離型制御モジュールを備えた自動遮光フィルタの他の実施形態を示す。
【図5】溶接機、溶接ヘルメットの視界モジュール及び制御モジュールを含む溶接システムのブロック図である。
【図6】複数の制御モジュールそれぞれが視界モジュールの動きを決定するパラメータ設定のための主制御モジュールを備えた制御システムのブロック図である。
【図7A】制御モジュールを組み合わせた概略ダイヤグラムを示す。
【図7B】制御モジュールを組み合わせた概略ダイヤグラムを示す。
【図7C】制御モジュールを組み合わせた概略ダイヤグラムを示す。
【符号の説明】
【0040】
10・・溶接ヘルメット、12・・ハウジング、16・・ユーザ制御入力、17・・ユーザ制御調整部、18・・制御モジュール、20・・視界モジュール、22・・電気ケーブル、23・・電気ケーブル、24・・ノブ、26・・ノブ、29・・バッテリーホルダー、42・・溶接機、43・・受信機、46・・制御モジュール、50・・視界モジュール、53・・受信機、64・・主制御モジュール、66・・制御モジュール、68・・制御モジュール、70・・制御モジュール、72・・視界モジュール、74・・視界モジュール、76・・視界モジュール、82・・自動電源オフ回路、84・・視界モジュール制御回路、86・・低電力検出回路、88・・センサ回路、90・・遅延回路、92・・フィードバックフラッシュ回路、126・・シェード電圧ジェネレータ、110・・直流−直流変換器、165・・スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接ヘルメットであって、
ハウジングと、
前記ハウジングの前面に設けた自動遮光視界モジュールと、
前記視界モジュールとは別に前記溶接ヘルメット内に設けられ、前記視界モジュールを制御するリモート制御モジュールを備えた溶接ヘルメット。
【請求項2】
前記制御モジュールが、ユーザによる前記自動遮光視界モジュール調整用に、前記ハウジングを通して伸延した少なくとも一つの可変制御シャフトを含む、請求項1に記載の溶接ヘルメット。
【請求項3】
前記制御モジュール内に機能制御用手段を含み、該機能制御手段は前記制御モジュールの表面上に設けられている、請求項1に記載の溶接ヘルメット。
【請求項4】
前記ヘルメットは、前記制御モジュールと前記自動遮光視界モジュール間の信号転送手段を含む、請求項1に記載の溶接ヘルメット。
【請求項5】
前記制御モジュールと前記自動遮光視界モジュール間の前記信号転送手段がワイヤケーブルを含む、請求項4に記載の溶接ヘルメット。
【請求項6】
前記制御モジュールと前記自動遮光視界モジュール間の前記信号転送手段が無線装置を含む、請求項4に記載の溶接ヘルメット。
【請求項7】
溶接機動作パラメータをリモート制御する第1レシーバを含む溶接機と、
視界モジュール動作パラメータをリモート制御する第2レシーバを有する視界モジュールと、
前記溶接機及び前記視界モジュールの動作パラメータを制御する制御モジュールと、の組み合わせ。

【請求項8】
複数の制御モジュールをリモート制御する主制御モジュールと、
複数の視界モジュールであって、前記視界モジュールのそれぞれが前記複数の制御モジュールの少なくとも一つによって制御される視界モジュールと、の組み合わせ。

【請求項9】
制御モジュールであって、
視界モジュールに所定の電圧を供給する手段と、
前記視界モジュールに設け前記視界モジュール前方の溶接光を検出する手段と、
前記光検出手段に連結され、前記視界モジュールのダークモード及びライトモードを制御する手段と、
前記制御手段に連結されて前記視界モジュールの前記ダークモードを迅速に始動させる手段と、を有する制御モジュール。
【請求項10】
前記制御モジュールは、ユーザによる前記ダークモード及び前記ライトモードの調整及び感度制御用に前記制御モジュールから延びる制御シャフトを備えた一対の可変レジスタを含む請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項11】
前記視界モジュールに接続される前記制御モジュールは、ユーザが作動させるための手動制御部を備える、前記視界モジュールの制御手段を含む請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項12】
前記制御モジュールは、VCC電圧が所定の最小値より小さくなるときを検出する手段を含む、請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項13】
前記視界モジュールは液晶ディスプレイを含む、請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項14】
前記制御モジュールは、前記視界モジュールの前記ダークモードからの離脱を遅延させる手段を含む、請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項15】
前記制御モジュールは、ユーザにより制御される可変信号に接続され、前記視界モジュールを前記ライトモードと前記ダークモードとの間で調整するシェード信号を生成する手段を含む、請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項16】
前記制御手段は、溶接光信号周波数を検出するバンドパスフィルタを含む、請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項17】
前記制御モジュールは、所定時間経過後に前記視界モジュールから電源を自動的に切断する手段を含む、請求項9に記載の制御モジュール。
【請求項18】
前記自動電源切断手段は、タイムアウトカウンタを構成する、請求項17に記載の制御モジュール。
【請求項19】
溶接ヘルメットの提供方法であって、
ヘルメットハウジングを用意するステップと、
自動遮光視界モジュールを前記ハウジングの前面に設けるステップと、
制御モジュールを前記視界モジュールとは別に前記溶接ヘルメットに設けるステップと、を有する方法。
【請求項20】
前記制御モジュールを前記視界モジュールとは別に前記溶接ヘルメットに設けるステップは、前記ヘルメットを通り前記制御モジュールの側部から突出する可変レジスタシャフトを伸延してユーザが前記視界モジュールの動作を調整することを可能とするステップを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
制御モジュールを前記溶接ヘルメットに設ける前記ステップは、制御ボタンを前記制御モジュールの側部に設け、ユーザが前記視界モジュールの動作を調整することを可能とするステップを有する、請求項19に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【公表番号】特表2009−507580(P2009−507580A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530250(P2008−530250)
【出願日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/035186
【国際公開番号】WO2007/033036
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(508071216)エーシーイー インターナショナル カンパニー インク. (1)