説明

モニタリング方法、その装置及びプログラム

【課題】船体構造材及び/又は装備品の各部の内、物理量を計測していない箇所の損傷の度合いをモニタすることができるモニタリング方法、その装置及びプログラムを得る。
【解決手段】衝撃応答データを取得するステップと、船体構造材及び/又は装備品の各部の内、任意の箇所に生じたひずみ量を計測するステップと、計測したひずみ量の情報に基づき、爆発位置を推定するステップと、推定した爆発位置と、計測したひずみ量の情報と、衝撃応答データとに基づき、船体構造材及び/又は装備品の各部に生じるひずみ量を推定し、当該ひずみ量の情報に基づいて船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定するステップと、判定結果の情報を出力するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の船体構造材及び/又は装備品の損傷の度合いをモニタするモニタリング方法、その装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の船体状態の監視制御装置として、「船舶の運航中、船首部に取り付けられた加速度センサー,上甲板部に取り付けられた縦曲げ応力計によりそれぞれ得られる加速度,縦曲げ応力データの変動を常時解析監視する船体状態の監視制御装置において、データ監視装置により警報基準値を越える過大データが計測されたとき、音声データを内蔵する音声警報出力装置により音声警報を出力すると同時に、自動的に同過大データをそれぞれ正常値に復帰させるように推進機器,舵をそれぞれ制御する推進制御装置,舵角制御装置を具えた」ものが提案されてている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、船体強度モニタリングの一般要素、目的に応じてモニタされるべき要素として、「船の安全運航は航海中の船の運動、荷重などが危険領域に入り込まないように航行するとともに、運航データに基づき常時船体構造部材に損傷発生の可能性がないかチェックするシステムにより達成される」ことが開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−175487号公報
【非特許文献1】日本造船学会,「経年船の安全を考える」,船体構造委員会DA−WG報告書(平成7年),第6章−第7章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
船舶が機雷や魚雷等の水中爆発に曝された場合、その衝撃によって船体構造材や船体に備え付けられた機器などの装備品に非常に大きな振動が発生し、損傷を受けることがある。近年、外部衝撃に対する船体構造材や装備品の耐損傷性の要求が強くなっており、乗組員の安全性確保の観点からも、水中爆発により生じた船体構造材や装備品の被害状況を少しでも早く把握し、対策を行うことが必要となっている。
【0006】
一般的には水中爆発などに曝された場合、乗組員が船体構造材や装備品に損傷、不具合が生じていないかを目視(装備品は動作確認など)により点検するが、全ての船体構造材、装備品を点検するには時間がかかるため、重要な(危険な)損傷、不具合の発見が遅れる可能性がある。
そのため、あらかじめ船体構造材や装備品に何らかの物理量(例えば加速度など)を計測するセンサーを取り付けて状態を監視しておき、閾値を超える衝撃を受けたり、損傷や不具合が生じたりしたときに警報を発するようなモニタリング装置を備えることもある(例えば、特許文献1参照)。これらのモニタリング装置を使用することで、船舶が衝撃を受けた際の損傷の度合いや、損傷場所をあらかじめ把握することができるため、優先度をつけて点検を行って損傷の大きい箇所を優先的に点検、補修することができ、その結果安全性の向上につながる。
【0007】
しかしながら、従来のモニタリング装置では、物理量を計測するセンサーを直接取り付けた船体構造材や装備品の衝撃応答しか計測できない。したがって、状態監視の精度を高くするためには多くの船体構造材や装備品にセンサーを取り付ける必要があり、その結果コストが高くなる。逆にコストを抑制するためにセンサーの取り付け箇所を減らすと、状態を監視できる船体構造材や装備品が限定されてしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、船体構造材及び/又は装備品の各部の内、物理量を計測していない箇所の損傷の度合いをモニタすることができるモニタリング方法、その装置及びプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るモニタリング方法は、船舶の船体構造材及び/又は装備品の損傷の度合いをモニタするモニタリング方法であって、爆発の衝撃によって船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量が、複数の爆発位置及び各爆発位置における1若しくは複数の爆発威力に応じて求められた衝撃応答情報を取得するステップと、前記船体構造材及び/又は装備品の各部の内、任意の箇所に生じた物理量を計測するステップと、計測した前記物理量の情報に基づき、爆発位置を推定するステップと、推定した前記爆発位置と、計測した前記物理量の情報と、前記衝撃応答情報とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定するステップと、前記判定結果の情報を出力するステップとを有するものである。
【0010】
また、本発明に係るプログラムは、上記モニタリング方法をコンピュータに実行させるものである。
【0011】
また、本発明に係るモニタリング装置は、船舶の船体構造材及び/又は装備品の損傷の度合いをモニタするモニタリング装置であって、爆発の衝撃によって船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量が、複数の爆発位置及び各爆発位置における1若しくは複数の爆発威力に応じて求められた衝撃応答情報を予め記憶する記憶部と、前記船体構造材及び/又は装備品の各部の内、任意の箇所に生じた物理量を計測する計測部と、前記計測部が計測した物理量に基づき、爆発位置を推定する爆発位置算出部と、前記爆発位置算出部が推定した推定爆発位置と、前記計測部が計測した任意の箇所の物理量と、前記衝撃応答情報とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定する損傷レベル判定部とを備えたものである。
【0012】
また、本発明に係るモニタリング装置においては、前記損傷レベル判定部は、前記推定爆発位置と、前記計測部が計測した任意の箇所の物理量とに基づき、爆発威力を推定し、前記複数の爆発位置及び複数の爆発威力に応じた衝撃応答情報の内、推定した爆発威力と、前記推定爆発位置とに対応する前記衝撃応答情報に基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定するものである。
【0013】
また、本発明に係るモニタリング装置においては、前記損傷レベル判定部は、前記複数の爆発位置及び所定の爆発威力に応じた衝撃応答情報の内、前記推定爆発位置に対応する、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量の情報を取得し、取得した前記物理量の情報と、前記計測部が計測した任意の箇所の物理量とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定するものである。
【0014】
また、本発明に係るモニタリング装置においては、前記記憶部は、前記船体構造材及び/又は装備品の各部ごとに、前記物理量に応じた損傷の度合いを示す損傷判定情報が予め記憶され、前記損傷レベル判定部は、前記損傷判定情報と、推定した前記物理量の情報とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定するものである。
【0015】
また、本発明に係るモニタリング装置においては、前記計測部は、前記船体構造材及び/又は装備品の各部の内、少なくとも3箇所以上を計測し、前記爆発位置算出部は、各計測部が衝撃による物理量を計測した時間差と、当該衝撃の伝播速度とを用いて、爆発位置を推定するものである。
【0016】
また、本発明に係るモニタリング装置は、前記計測部が計測した物理量に基づき、衝撃発生の有無を判定する衝撃レベル判定部を更に備え、前記損傷レベル判定部は、前記衝撃レベル判定部が衝撃の発生を判定したとき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定するものである。
【0017】
また、本発明に係るモニタリング装置においては、前記計測部は、前記船体構造材及び/又は装備品が爆発の衝撃により生じるひずみを計測するひずみゲージである。
【0018】
また、本発明に係るモニタリング装置においては、前記計測部は、前記船体構造材及び/又は装備品が爆発の衝撃により生じる振動の加速度を計測する加速度センサーである。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、船体構造材及び/又は装備品の各部の内、任意の箇所に生じた物理量を計測し、取得した物理量の情報に基づき爆発位置を推定し、推定した爆発位置と、計測した物理量の情報と、取得した衝撃応答情報とに基づき、船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、当該物理量の情報に基づいて船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定することにより、船体構造材及び/又は装備品の各部の内、物理量を計測していない箇所の損傷の度合いをモニタすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
実施の形態1.
本発明に係るモニタリング装置は、船舶の船体構造材及び/又は装備品の損傷の度合いをモニタするものである。以下、本実施の形態1においては、海面を移動する船舶をモニタリング対象物とし、水中爆発による衝撃によって船舶の船体構造材が受ける損傷の度合いを、ひずみゲージ(後述)を用いてモニタする場合を説明する。
【0021】
図1は本発明の実施の形態1に係るモニタリング装置の構成ブロック図である。図1において、本実施の形態1におけるモニタリング装置1は、船体構造材が爆発の衝撃により生じるひずみを計測する計測部であるひずみゲージ10と、データ処理部11と、衝撃発生の有無を判定する衝撃レベル判定部12と、水中爆発が起きた地点(以下「爆発位置」という)を推定する爆発位置算出部13と、後述する衝撃応答情報(データ)及び損傷判定情報(データ)を記憶する記憶部14と、船体構造材の各部の損傷の度合いを判定する損傷レベル判定部15と、判定結果の情報を出力する出力部16とにより構成されている。
【0022】
ひずみゲージ10は、船体構造材のひずみ計側点(後述)に少なくとも3つ以上設置され、船体構造材の材料に外力が加わったときの当該材料の変形(ひずみ)を検知して、ひずみ応答としてデータ処理部11に出力する。例えば、電気抵抗式のひずみゲージは材料の変形に応じて電気抵抗が変化するものである。このひずみゲージ10を設置する計測点は、例えば、後述する衝撃応答計算の結果を比較して、種々の位置における水中爆発に対して衝撃応答(ひずみ応答)が大きく、また水中爆発の発生点による応答の違いが大きい位置を数点〜数十点選択し、船体構造材のひずみ計測点として設定する。設定した計測点にひずみゲージ10を貼付し、後述する動作により、運行中常時ひずみ値を監視する。計測点が多いほど計測精度は向上するが、コストも上昇するので、費用対効果の最も高い計測点数を設定する。
【0023】
データ処理部11は、各ひずみゲージ10からのひずみ応答(例えば電気抵抗値)をそれぞれ取得して、例えばサンプリング等の処理を施して、それぞれのひずみ応答をデジタルデータの信号に変換する(以下、ひずみ応答に基づくデータを「ひずみ応答データ」という)。衝撃レベル判定部12は、データ処理部11からのひずみ応答データが入力され、後述する動作により、データ処理部11から入力されたひずみ応答データに基づき、当該船舶2の付近での水中爆発の発生を判断する。爆発位置算出部13は、後述する動作により、少なくとも3つ以上のひずみゲージ10の計測時間の時間差と、衝撃の伝播速度とを用いて、爆発位置を推定する。記憶部14は、例えばHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成されるデータベース(DB)であり、後述する衝撃応答データ及び損傷判定データが予め記憶されている。損傷レベル判定部15は、爆発位置算出部13により推定された爆発位置の情報と、データ処理部11からのひずみ応答データとが入力され、記憶部14に記憶された情報に基づき、後述する動作により、船体構造材の各部の損傷の度合いを判定し、判定結果の情報を出力部16に出力する。出力部16は、例えば液晶ディスプレイ、スピーカなどにより構成され、損傷レベル判定部15から入力された判断結果の情報を出力する。
【0024】
ここで、衝撃レベル判定部12、爆発位置算出部13、及び損傷レベル判定部15は、例えば、回路デバイスのようなハードウェアで構成することもできるし、CPU(Central processing Unit)やマイコンのような演算装置により実行されるソフトウェアとして構成することもできる。ソフトウェアとして実現する場合は、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等にこれら各部の機能を実現するプログラムを格納しておき、CPUやマイコンなどの演算装置がそのプログラムを読み込んで、プログラムの指示に従って各部の機能に相当する処理を実行することにより、構成することができる。また、ここではそれぞれ別の構成部として構成しているが、例えば、各構成部が行うプログラムに基づく処理を1つの演算装置により行うようにしてもよい。
【0025】
このような構成により、本実施の形態におけるモニタリング装置1は、船体構造材の各部の内、計測点に生じるひずみを計測し、ひずみゲージ10が計測したひずみ応答に基づき爆発位置を推定し、推定した爆発位置と、計測したひずみ応答データと、予め記憶された衝撃応答データとに基づき、船体構造材の各部に生じるひずみ値を推定し、当該船体構造材の各部の損傷の度合いを判定する。そして、この判定結果の情報を出力部16へ出力する。このような動作の詳細を図3〜図8を用いて、(1)衝撃応答計算、(2)損傷判定レベルの設定、(3)損傷度判定とに分けて以下に説明する。
【0026】
(1)衝撃応答計算
まず、水中爆発現象について説明する。水中において例えば魚雷や機雷などの炸薬が爆発すると以下のような順番で爆発現象が生じる。
(i)衝撃波が発生する。
(ii)ガスバブル(高温・高圧の気泡)が発生する。
(iii)衝撃波が水中を伝播する(この衝撃波を「Shock Wave」という)。
(iv)高圧のガスバブルと水圧とが作用してガスバブルは膨張、収縮を繰り返す。このときに衝撃波が発生する(この衝撃波を「Bubble Pulse」という)。
(v)ガスバブルが水面上に浮上したときに水柱が立つ(バブルジェット(登録商標)現象)。
上記爆発が生じた爆発位置が船体から遠距離(遠距離水中爆発)にある場合、(i),(iii)の現象のみ考慮すればよい。このような水中(流体)を伝播する衝撃波(Shock Wave)と船体(構造)との連成(構造−流体連成問題という。)を解くには陽解法FEM解析を用いることが一般的である。
【0027】
次に、遠距離水中爆発に曝されたときの船体の挙動について説明する。まず、上述のように、水中爆発がおきると衝撃波(Shock Wave)が船体に到達する。この衝撃波によって船体は上下方向に持ち上げられる。また、流体と接している部分の船体構造材には衝撃波によって振動が発生する。そして、船体構造材に発生した振動が構造各部を伝播し、装備品や電子機器などに振動が伝わる。その振動によって装備品や電子機器に搭載されている配線がショートすることや、部品が欠落することがある。FEM解析では、衝撃波(Shock Wave)を考慮した計算を行い、船体構造材のひずみや加速度、及び装備品の加速度を求める。
【0028】
図2はDytranを用いた水中爆発解析方法を説明する図である。図2により、上述したFEM解析法の一例として、汎用ソフトのMSC.Dytranを用いた水中爆発解析手法の手順について説明する。
(i)まず、FEM解析を行う船体の構造詳細モデル(FEMモデル)を作成する。
(ii)起爆条件として、炸薬量(爆発威力)、起爆位置(爆発位置)を設定する。
(iii)水中爆発解析プログラムを起動し、船体外板に作用する衝撃圧力を求める。
(iv)求めた衝撃圧力を入力として、FEM非線形解析を行い、船体構造材のひずみや加速度、または装備品の加速度を計算する。
【0029】
本実施の形態1においては、爆発位置とショックファクター(爆発威力)とをパラメタとして、船舶2の船体構造材について任意の複数箇所(各部)に生じるひずみ値を、上述のような水中爆発解析によって計算された結果(衝撃応答データ)が記憶部14に予め記憶される。この衝撃応答データについて図3及び図4を用いて次に説明する。
【0030】
図3は本発明の実施の形態1に係る爆発相対位置の定義を説明する図、図4は本発明の実施の形態1に係る衝撃応答データのデータ構造の概念図である。図3に示すように、爆発位置を船舶2からの相対位置、即ち方向(0°〜360°)、水平距離H、深さDを用いて定義する。そして、図4に示すように、各爆発位置における複数のショックファクターに応じて求められた、船体構造材の各部に対応するひずみ値(衝撃応答)の情報がデータベース化される。
尚、上記説明では、汎用ソフトによりFEM解析を行う場合を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、他の解析方法や実験データ等に基づき求めても良い。
【0031】
(2)損傷判定レベルの設定
図5は本発明の実施の形態1に係る損傷判定データのデータ構造の概念図である。
記憶部14には、船体構造材の各部ごとに、ひずみ応答に応じた損傷の度合いを示す損傷判定データ(損傷判定情報)が予め記憶されている。この損傷判定データは、上述した衝撃応答計算を行った船体構造材の各部に対し、ひずみ応答のレベル(大きさ)と船体構造材の損傷度との関係を求め、損傷度判定のレベル判定の範囲が設定されている。例えば、図5に示すように、当該箇所に生じるひずみ応答に対し、それぞれ安全レベル1〜4、危険の5段階で設定し、各部ごとに異なるレベル判定の範囲が設定される。これにより、船体構造材の各部の安全率や重要度などを加味して判定基準を作成することが可能となる。
【0032】
(3)損傷度判定
図6は本発明の実施の形態1に係る損傷度判定の動作を示すフローチャート、図7は本発明の実施の形態1に係る爆発相対位置の推定方法を説明する図、図8は本発明の実施の形態1に係る衝撃波の到達時間差を示す図である。以下、図6のフローチャートに基づき図7及び図8を参照しながら損傷判定動作について説明する。
【0033】
(S101)
各計測点のひずみゲージ10は、常時、船体構造材の計測点におけるひずみを検出し、それぞれひずみ応答をデータ処理部11に入力する。データ処理部11は、入力されたひずみ応答をデジタルデータに変換し、ひずみ応答データとして衝撃レベル判定部12及び損傷レベル判定部15へ出力する。
【0034】
(S102)
次に、衝撃レベル判定部12は、取得した各計測点でのひずみ応答データのうち、例えばいずれかの計測点のひずみ応答が所定の閾値を超えた場合に、付近で水中爆発が起こったと判定する(衝撃発生の判定)。尚、爆発の発生の判断は、これに限らず、例えば複数箇所のひずみ応答が閾値を越えた場合、又は各計測点の平均値が所定の閾値を越えた場合に水中爆発の発生を判断しても良い。
【0035】
(S103)
爆発位置算出部13は、衝撃レベル判定部12により水中爆発の発生が判定されたとき、当該爆発の爆発位置の推定を行う。この爆発位置の推定は、例えば、少なくとも3箇所の計測点において計測されたひずみ応答を利用し、各計測点が衝撃によるひずみを計測した時間差と、当該衝撃の伝播速度とを用いて、爆発位置を推定するものである。つまり、図7に示すように、ひずみゲージ10の設置位置は既知であるので、各ひずみゲージ10と爆発位置との相対距離(L1〜L3)を求めることにより、爆発位置を船舶2からの相対位置(方向、水平距離H、深さD)を算出することができる。この相対距離(L1〜L3)は、図8に示すように、ひずみ応答が所定の閾値超えたとき、又は最大値の発生時間を基準として、各ひずみゲージ10での衝撃応答の到達時間差を求め、衝撃波が水中を伝播する速度は約1500m/sであるから、この速度に時間差を乗ずることにより、各ひずみゲージ10と爆発位置との距離差を求めて相対距離を算出する。
【0036】
(S104)
次に、損傷レベル判定部15は、爆発位置算出部13が推定した爆発位置(以下、「推定爆発位置」という)を基に、記憶部14に記憶された衝撃応答データのうち、当該推定爆発位置に最も近い爆発位置での計算結果を選択する。
【0037】
(S105)
そして、ひずみゲージ10が計測したひずみ応答データと衝撃応答データとを照合し(パターン照合)、選択した爆発位置における複数のショックファクターのうち、ひずみ値の計算結果と、各ひずみゲージ10が計測したひずみ応答とが最も近いショックファクターを推定する。これにより推定したショックファクターと推定爆発位置とにおける衝撃応答データから、船体構造材の各部の衝撃応答(ひずみ値)を求めることができる。
【0038】
(S106)
次に、損傷レベル判定部15は、得られた船体構造材の各部のひずみ値と、図5に示した損傷判定データとを比較し、損傷度判定(安全レベル1〜4,危険)を行い、当該損傷判定結果の情報を出力部16へ出力する。
【0039】
(S107)
出力部16は、入力された判定結果の情報を、ディスプレイ、音声等により出力する。このとき、例えば危険度の判定レベルに応じて色を変えて船体図上に表示することにより、被害の推定状況を視覚的に判断することが可能となる。
【0040】
以上のように本実施の形態1においては、計測点に生じたひずみを計測し、ひずみ応答データに基づき爆発位置を推定し、推定した爆発位置と、計測したひずみ応答データと、衝撃応答データとに基づき、船体構造材の各部に生じるひずみ値を推定し、このひずみ値に基づいて船体構造材の各部の損傷の度合いを判定することにより、直接計測している計測点は無論、計測していない箇所の衝撃によるひずみ値を求め、損傷の度合いを判定して、判断結果の情報を乗員に示すことができる。
【0041】
また、水中爆発に対する損傷の度合いを判定してその結果を乗員に視覚的又は音声により提示することにより、被害の推定状況を視覚的に判断することが可能となる。したがって、乗員は、被害の推定状況をより早く的確に把握することができ、その結果としてより危険な箇所の点検調査を優先的に行うことができ、危険な箇所を早期に発見して補修等を行うことが可能となるので、安全性の向上に大きく寄与する。
【0042】
さらに、損傷度の判定基準(損傷判定データ)を作成する際に、船体構造材の各部のうち、重要度を加味して判定基準を作成することにより、より安全性を向上することができる。
【0043】
また、直接計測していない箇所のひずみ値を求めることができるので、配置するひずみゲージ10(計測センサー)の数を減らすことができ、設置コスト、及びランニングコストの削減が可能となる。また、ひずみゲージ10の点数が減ることにより計測システムを簡素化することができるので、計測システムの維持が容易となるので信頼性の向上につながる。
【0044】
尚、本実施の形態1においては、出力部16を設け、損傷レベル判定部15の判定結果の情報を出力部16により出力する場合を説明したが、本発明はこれに限らず、出力部16を設けずに、例えば、他の情報処理装置などに当該判定結果の情報を出力するようにしても良いし、外部記憶装置などに逐次記憶させても良い。
【0045】
また、損傷レベル判定部15が求めた衝撃応答(ひずみ値)を、例えば記憶部14又は外部記憶装置などに逐次記憶させ、船舶2の損傷の履歴として管理し、設備維持・経年劣化診断などに利用しても良い。
【0046】
尚、本実施の形態1においては、船舶2の船体構造材の各部をひずみゲージ10を用いて、損傷の度合いをモニタする場合を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、船舶2に艤装される装備品にひずみゲージ10を貼付し、同様の動作により損傷の度合いをモニタするようにしても良い。
【0047】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、水中爆発による衝撃によって船舶2の船体構造材が受ける損傷の度合いをモニタする場合を説明したが、本実施の形態2では、船舶2に艤装される装備品が水中爆発による衝撃によって受ける損傷の度合いを、加速度センサーを用いてモニタする場合を説明する。
【0048】
図9は本発明の実施の形態2に係るモニタリング装置の構成ブロック図である。図9において、本実施の形態2におけるモニタリング装置1は、上述した実施の形態1のひずみゲージ10に換えて、船舶の装備品が爆発の衝撃により生じる振動の加速度を計測する加速度センサー20を設ける構成とする。その他の構成は上述した実施の形態1と同様である。
【0049】
加速度センサー20は、装備品の加速度センサー計測点(後述)に少なくとも3つ以上設置され、装備品の振動の加速度を検知して、加速度応答としてデータ処理部11に出力する。この加速度センサー20を設置する計測点は、上述したひずみ計測点と同様に、例えば、衝撃応答計算の結果を比較して、種々の位置における水中爆発に対して衝撃応答(加速度応答)が大きく、また水中爆発の発生点による応答の違いが大きい位置を数点〜数十点選択し、装備品の加速度センサー計測点として設定し、この計測点に加速度センサー20を貼付する。
【0050】
データ処理部11は、各加速度センサー20からの加速度応答をそれぞれ取得して、例えばサンプリング等の処理を施して、それぞれの加速度応答をデジタルデータの信号に変換する(以下、加速度応答に基づくデータを「加速度応答データ」という)。衝撃レベル判定部12は、データ処理部11からの加速度応答データが入力され、データ処理部11から入力された加速度応答データに基づき、当該船舶2の付近での水中爆発の発生を判断する。爆発位置算出部13は、少なくとも3つ以上の加速度センサー20の計測時間の時間差と、衝撃の伝播速度とを用いて、爆発位置を推定する。
【0051】
本実施の形態2の記憶部14には、実施の形態1で説明した船体構造材の各部におけるひずみ値の衝撃応答データに換えて、爆発位置とショックファクターとをパラメタとして、船舶2の装備品の各部に生じる加速度の値を、水中爆発解析によって計算された衝撃応答データが記憶される。更に、記憶部14には、実施の形態1で説明したひずみ応答に応じた損傷の度合いを示す損傷判定データに換えて、装備品の各部ごとに、加速度応答に応じた損傷の度合いを示す損傷判定データが記憶される。
【0052】
損傷レベル判定部15は、爆発位置算出部13により推定された爆発位置の情報と、データ処理部11からの加速度応答データとが入力され、記憶部14に記憶された情報に基づき、装備品の各部の損傷の度合いを判定し、判定結果の情報を出力部16に出力する。出力部16は、例えば液晶ディスプレイ、スピーカなどにより構成され、損傷レベル判定部15から入力された判断結果の情報を出力する。
【0053】
このような構成により、本実施の形態2におけるモニタリング装置1は、装備品の各部の内、計測点に生じる加速度を計測し、加速度センサー20が計測した加速度応答に基づき、上述した実施の形態1と同様の動作により、爆発位置を推定し、推定した爆発位置と、計測した加速度応答データと、予め記憶された衝撃応答データとに基づき、船体構造材の各部に生じる加速度の値を推定し、当該装備品の各部の損傷の度合いを判定する。そして、この判定結果の情報を出力部16へ出力する。
【0054】
以上のように本実施の形態2においては、船舶2に艤装される装備品が水中爆発による衝撃によって受ける損傷の度合いを、加速度センサー20を用いてモニタすることにより、上述した実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0055】
尚、本実施の形態2においては、装備品の各部を加速度センサー20を用いて、損傷の度合いをモニタする場合を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、船舶2の船体構造材に加速度センサー20を貼付し、同様の動作により損傷の度合いをモニタするようにしても良い。
【0056】
尚、上記実施の形態1では船体構造材の各部をモニタする場合、本実施の形態2では装備品の各部をモニタする場合をそれぞれ説明したが、本発明はこれに限るものでなく、船体構造材及び装備品を同時にモニタする構成としても良い。このとき、爆発の衝撃によって船体構造材及び装備品の各部に生じる物理量を計測するセンサーとして、ひずみゲージ10又は加速度センサー20を任意に選択しても良い。
【0057】
実施の形態3.
上記実施の形態1及び2では、複数の爆発位置と、各爆発位置における複数のショックファクターとをパラメータとして計算された衝撃応答データを用いたが、本実施の形態3では、複数のショックファクターに換えて、各爆発位置における1つのショックファクター(基準値)を用いて、衝撃の度合いをモニタする。尚、本実施の形態3における構成は上述した実施の形態1と同様である。
【0058】
図10は本発明の実施の形態3に係る衝撃応答データのデータ構造の概念図である。図10に示すように、本実施の形態3における記憶部14には、水中爆発解析による計算において、ショックファクターを基準値(例えば1.0)として計算された結果が衝撃応答データとして予め記憶される。
【0059】
ここで、爆発の衝撃によって船体構造材及び/又は装備品に生じる物理量(ひずみ)と、当該爆発のショックファクターとは比例の関係にある。そこで、本実施の形態3では、基準値での衝撃解析計算結果のみを衝撃応答データとして記憶し、この基準値での衝撃応答データと、計測したひずみ応答とを比較して、各部のひずみ応答を推定する。以下、上記実施の形態1との相違点を中心に動作を説明する。
【0060】
上記実施の形態1と同様の動作により(S101〜S105)、損傷レベル判定部15は、推定爆発位置に最も近い爆発位置での計算結果を選択する。そして、ひずみゲージ10が計測したひずみ応答データ(実測値)と、選択した爆発位置における基準値のショックファクターでの計算結果とを照合し、実測値と計算値との関係(比率)を算出し、当該関係に基づいて、計測していない箇所における船体構造材の各部の衝撃応答(ひずみ値)を求めることができる。
【0061】
以上のように本実施の形態3においては、上述した実施の形態1の効果に加え、基準値のショックファクターでの衝撃応答データを用いることにより、ショックファクターをパラメタとした衝撃応答計算をする必要がなくなり、記憶部14に記憶される衝撃応答データを簡素化することができる。
【0062】
尚、本実施の形態3では、実施の形態1と同様の構成によりひずみ応答を用いて船体構造材をモニタする場合を説明したが、本発明はこれに限るものではなく、上記実施の形態2の構成により、加速度センサー20を用いて装備品をモニタする場合に、ショックファクターが基準値として計算された衝撃応答データを用いて、同様の動作によりモニタを行っても良い。
【0063】
尚、上記実施の形態1〜3では、船体構造材及び/又は装備品が爆発の衝撃により生じる物理量を計測するセンサーとして、ひずみゲージ10又は加速度センサー20を用いる場合を説明したが、本発明はこれに限るものでなく、例えば、速度センサーなどの他のセンサーを用いても良い。この場合、当該センサーが計測する物理量に応じた衝撃解析を行い、計算結果を衝撃応答データとして記憶部14に記憶させる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態1に係るモニタリング装置の構成ブロック図である。
【図2】Dytranを用いた水中爆発解析方法を説明する図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る爆発相対位置の定義を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る衝撃応答データのデータ構造の概念図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る損傷判定データのデータ構造の概念図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る損傷度判定の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施の形態1に係る爆発相対位置の推定方法を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る衝撃波の到達時間差を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係るモニタリング装置の構成ブロック図である。
【図10】本発明の実施の形態3に係る衝撃応答データのデータ構造の概念図である。
【符号の説明】
【0065】
1 モニタリング装置、2 船舶、10 ひずみゲージ、11 データ処理部、12 衝撃レベル判定部、13 爆発位置算出部、14 記憶部、15 損傷レベル判定部、16 出力部、20 加速度センサー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の船体構造材及び/又は装備品の損傷の度合いをモニタするモニタリング方法であって、
爆発の衝撃によって船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量が、複数の爆発位置及び各爆発位置における1若しくは複数の爆発威力に応じて求められた衝撃応答情報を取得するステップと、
前記船体構造材及び/又は装備品の各部の内、任意の箇所に生じた物理量を計測するステップと、
計測した前記物理量の情報に基づき、爆発位置を推定するステップと、
推定した前記爆発位置と、計測した前記物理量の情報と、前記衝撃応答情報とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定するステップと、
前記判定結果の情報を出力するステップと
を有することを特徴とするモニタリング方法。
【請求項2】
請求項1記載のモニタリング方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項3】
船舶の船体構造材及び/又は装備品の損傷の度合いをモニタするモニタリング装置であって、
爆発の衝撃によって船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量が、複数の爆発位置及び各爆発位置における1若しくは複数の爆発威力に応じて求められた衝撃応答情報を予め記憶する記憶部と、
前記船体構造材及び/又は装備品の各部の内、任意の箇所に生じた物理量を計測する計測部と、
前記計測部が計測した物理量に基づき、爆発位置を推定する爆発位置算出部と、
前記爆発位置算出部が推定した推定爆発位置と、前記計測部が計測した任意の箇所の物理量と、前記衝撃応答情報とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定する損傷レベル判定部と
を備えたことを特徴とするモニタリング装置。
【請求項4】
前記損傷レベル判定部は、
前記推定爆発位置と、前記計測部が計測した任意の箇所の物理量とに基づき、爆発威力を推定し、
前記複数の爆発位置及び複数の爆発威力に応じた衝撃応答情報の内、推定した爆発威力と、前記推定爆発位置とに対応する前記衝撃応答情報に基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、
当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定することを特徴とする請求項3記載のモニタリング装置。
【請求項5】
前記損傷レベル判定部は、
前記複数の爆発位置及び所定の爆発威力に応じた衝撃応答情報の内、前記推定爆発位置に対応する、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量の情報を取得し、
取得した前記物理量の情報と、前記計測部が計測した任意の箇所の物理量とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部に生じる物理量を推定し、
当該物理量の情報に基づいて前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定することを特徴とする請求項3記載のモニタリング装置。
【請求項6】
前記記憶部は、
前記船体構造材及び/又は装備品の各部ごとに、前記物理量に応じた損傷の度合いを示す損傷判定情報が予め記憶され、
前記損傷レベル判定部は、
前記損傷判定情報と、推定した前記物理量の情報とに基づき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定することを特徴とする請求項3〜5記載のモニタリング装置。
【請求項7】
前記計測部は、
前記船体構造材及び/又は装備品の各部の内、少なくとも3箇所以上を計測し、
前記爆発位置算出部は、
各計測部が衝撃による物理量を計測した時間差と、当該衝撃の伝播速度とを用いて、爆発位置を推定することを特徴とする請求項3〜6の何れかに記載のモニタリング装置。
【請求項8】
前記計測部が計測した物理量に基づき、衝撃発生の有無を判定する衝撃レベル判定部を更に備え、
前記損傷レベル判定部は、
前記衝撃レベル判定部が衝撃の発生を判定したとき、前記船体構造材及び/又は装備品の各部の損傷の度合いを判定することを特徴とする請求項3〜7の何れかに記載のモニタリング装置。
【請求項9】
前記計測部は、
前記船体構造材及び/又は装備品が爆発の衝撃により生じるひずみを計測するひずみゲージであることを特徴とする請求項3〜8の何れかに記載のモニタリング装置。
【請求項10】
前記計測部は、
前記船体構造材及び/又は装備品が爆発の衝撃により生じる振動の加速度を計測する加速度計であることを特徴とする請求項3〜8の何れかに記載のモニタリング装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2009−61901(P2009−61901A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−231199(P2007−231199)
【出願日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【出願人】(502116922)ユニバーサル造船株式会社 (172)