説明

モノフィラメント巻状体

【課題】モノフィラメントの品質安定性と良好な解舒性を両立したモノフィラメント巻状体の提供。
【解決手段】鍔TつきボビンにモノフィラメントMを巻きつけた巻状体であって、(a)ボビン内層部ではモノフィラメントを整列巻きとし、(b)ボビン表層の第1層から10層の外層部ではモノフィラメントの巻き取りピッチを内層部より大きいピッチの綾角巻きとしたことを特徴とするモノフィラメント巻状体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、両端に鍔を有するボビンにモノフィラメントを巻きつけたモノフィラメント巻状体に関するものであり、さらに詳しくは、ボビン内層部から表層部まで安定した品質を維持してモノフィラメントを巻きつけてなり、かつモノフィラメントの良好な解舒性をも併せ持つモノフィラメント巻状体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ボビン巻状体製品は魚網などの水産分野や製紙、フィルターなどの工業用織物、さらには通信ケーブル基材などの工業用用途に広く使用されている。
【0003】
特に近年ではボビンを回転させながらモノフィラメントを引き出し、加工する使用法が増加してきている。例えば、製紙用途の工業用織物では300本程度のボビンを同時に回転させながらモノフィラメントを引き出し、引き揃えて巻き取る整経工程があるが、1本でも引き出しが安定化せず解舒不良が発生した場合には、全ボビンの加工に悪影響を及ぼすため、操業停止、不良製品の発生など深刻な状況を引き起こしていた。
【0004】
また、モノフィラメントを通信ケーブルの基材、遮蔽目的の介在などに使用する場合は、モノフィラメント断面の丸型、四角形等の形状に関係なく、モノフィラメント直線方向の寸法安定性が求められる。つまり、ボビンに巻かれたモノフィラメントに変形などによる著しい寸法変化が発生すると、ケーブル寸法異常やケーブル内の光ファイバーに干渉することにより引き起こされる光伝送損失など、ケーブル加工トラブルの原因となるからである。
【0005】
光ファイバー分野においては、ボビンに巻きつけるモノフィラメントの1層目を整列巻きとして、3層目以降より高い巻き取り張力で巻くことにより、巻き取り位置を強固に固定し、3層目以降の締め付けにより発生する位置ズレによる変形を防止する方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。しかし、この方法は1層目モノフィラメントの形態安定化にのみ注目したものであり、2層目以降のモノフィラメントの形態安定化については特に考慮されていない。
【0006】
また、ボビンに関しては、加工連続性を目的にボビンサイズの大型化が進んでいるが、大きいボビンでは、巻き取り重量が20kgに近くなることから、ボビンの大型化によって1本あたりの巻長が長くなり、直線方向の品質安定性の実現をより困難なものにしている。
【0007】
このように、モノフィラメント巻状体に求められている性能は解舒安定性と品質安定性の2点が挙げられる。
【0008】
解舒安定性を得るには、ボビンからモノフィラメントを引き出す際の引き取り張力が一定であることが重要である。不安定になる要因としては、ボビンの表層部分の巻き取り面の高さが不均一なために発生する引取り張力の変動、また、次層とのモノフィラメント同士のからみつきにより解舒がスムーズに出来ないことなどが挙げられる。
【0009】
かかる問題に対処するための手段としては、表層部分のトラバース幅を狭くして、両端鍔より手前の位置でモノフィラメントを反転動作させる方法(例えば、特許文献2参照)が提案されているが、この方法は、鍔部付近で発生する巻き乱れ防止効果を狙った提案であり、解舒安定性については完全には解決できていない。
【0010】
また、モノフィラメント巻状体は輸送中の崩れを防止するためにモノフィラメント同士を交差させて巻き取る綾角巻取りがほとんどの製品に採用されている。しかしながら、ナイロン6のように吸湿寸法変化の大きい樹脂からなるモノフィラメントの場合には、巻き締まりにより内層のモノフィラメントを変形させる場合があり、特に四角形や星型などの異型断面モノフィラメントでは、鋭角な部分が接触するためより変形度が大きく、直線方向の品質安定性を損ねる原因となっている。
【0011】
そして、先に述べたボビンの大型化により巻厚さが厚くなったことも、モノフィラメントの変形現象を助長する要因である。
【0012】
かかる変形現象の改善手段としては、ボビンに巻きつけられた同層のモノフィラメント同士の間隔を狭くして整列に巻き取る方法があるが、この場合には上下層のモノフィラメント同士の拘束力が低いため輸送中の巻き崩れが発生しやすく、この巻き崩れを抑えるためにボビン表層をフィルムなどで固定する方法が考えられるが、解舒作業開始時にループ状にゆるむなどのトラブル事例があり、完全に改善できてはいない。
【0013】
かかる状況から、モノフィラメントの品質安定性と良好な解舒性を両立したモノフィラメント巻状体の実現が大きな課題となっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2004−323272号公報
【特許文献2】特開2008−169077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、ボビン内層部から表層部まで安定した品質を維持してモノフィラメントを巻きつけてなり、かつモノフィラメントの良好な解舒性をも併せ持つモノフィラメント巻状体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明によれば、鍔つきボビンにモノフィラメントを巻きつけた巻状体であって、ボビン内層部ではモノフィラメントを整列巻きとし、ボビン表層の第1層から10層の外層部ではモノフィラメントの巻き取りピッチを内層部より大きいピッチの綾角巻きとしたことを特徴とするモノフィラメント巻状体が提供される。
【0017】
また、本発明のモノフィラメント巻状体においては、
前記ボビン内層部での整列巻きは、同層の隣接するモノフィラメント同士の間隔をモノフィラメント最大直径の30%以内で、かつ互いに接触しない巻き取りピッチであること、および
前記ボビン外層部での綾角巻きは、同層の隣接するモノフィラメント同士の間隔をモノフィラメント最大直径の150%から600%の範囲を満足する巻き取りピッチであることが、いずれも好ましい条件である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下に説明するとおり、ボビン内層部から表層部まで安定した品質を維持してモノフィラメントを巻きつけてなり、かつモノフィラメントの良好な解舒性をも併せ持つモノフィラメント巻状体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は本発明の鍔つきボビンの一例を示す説明図であり、(b)はモノフィラメントの巻き始めた状態での最内層部の位置、(c)は巻き取り完了時での最外層部の位置を示した模式図である。
【図2】モノフィラメントの巻形状を示す説明図である。(a)は整列巻き、(b)は綾角巻きである。本図では2層分を表している。
【図3】(a)は丸断面形状、(b)は四角断面形状のモノフィラメント同士の巻取り間隔を示した模式図である。図中の1がモノフィラメント、2がモノフィラメントの最大直径、3が同層の隣接するモノフィラメント同士の間隔を示している。
【図4】綾角巻き方法を全層に実施した場合の最内層部のモノフィラメント変形状態を示す説明図である。上下層のモノフィラメントによる押し付け応力により部分的に変形している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を図に従って具体的に説明する。
【0021】
図1の(a)は本発明の鍔つきボビンBの一例を示したものであり、(b)はモノフィラメントの巻き始めた状態ので最内層部M1の位置、同じく(c)はモノフィラメントの巻き取り完了時での最外層部M2の位置を示した模式図である。
【0022】
もし、モノフィラメントが吸湿、温度変化などにより収縮した場合は、ボビンBが鍔Tを有しているために、収縮応力はモノフィラメントの繊維軸方向に直行する方向、つまりモノフィラメントを圧縮する応力が働くことになる。
【0023】
モノフィラメントの巻き取り方法は整列巻きと綾角巻きに大別される。
【0024】
整列巻きとは、図2(a)に示す通り、ボビンの鍔に平行に巻き取ることを特徴とし、巻層間のモノフィラメントMの重なり方は繊維軸方向が平行になる。
【0025】
一方、綾角巻きは図2(b)に示す通り、上下層のモノフィラメントMが交差するように巻き取ることを特徴とする。
【0026】
巻き取り方法の整列巻きから綾角巻きへの変更方法は、ボビン両端鍔を反転位置とする、モノフィラメントを給糸するトラバース設備の速度可変により行なう。速度の制御はボビン巻取り厚みの変化に応じて適切なトラバース速度に可変させることを基本とし、制御の指標は同層の隣接するモノフィラメント間の間隔とする。
【0027】
なお、本発明で使用するモノフィラメントの断面形状は、図示した丸断面および四角断面の2形状に限定されるものではなく、楕円形、星型、ドックボーン、複数の形状を組み合わせた異型断面糸、中空糸などモノフィラメントに該当するものは全て含まれる。
【0028】
さらに述べるならば、ボビンに巻き取られるモノフィラメントの素材はポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン系樹脂など代表的な素材を含むモノフィラメント加工が可能な素材全般が対象となる。また、機能性向上を目的に後加工、例えばワックス類、シリコーンオイル、界面活性剤、繊維強化剤など付与したものも含まれる。
【0029】
図3(a)の丸断面形状のモノフィラメント、(b)の四角断面形状のモノフィラメントの巻取り間隔を示す模式図において、同層のモノフィラメント間の間隔とは図中の3の距離に相当する。また、以下に示す公式に採用されている、モノフィラメント最大直径とは2の距離である。
【0030】
モノフィラメント巻状体は巻き取り量の増加に伴い巻き取り直径が変化する。同層の隣接するモノフィラメントの間隔を維持するためには巻き取り直径の変化に合わせたトラバース制御が必要となる。
【0031】
本発明のモノフィラメント巻状体について、以下に整列巻き、綾角巻きの巻き取り方法を記載するが、トラバース動作は、基本式に基づきモノフィラメント種類別に個別のプログラム制御を採用する。
【0032】
本発明でいう整列巻きの範囲とは、同層の隣接するモノフィラメント同士が接触しないことを前提とし、その間隔が最大直径の30%以内とすることを特徴とし、さらに20%以内であることが望ましい。
【0033】
この場合の具体的なトラバース速度Tr(mm/sec)の範囲は、式100VY/6πD≦Tr≦130VY/6πD(但し、V:巻き取り速度(m/分)、Y:モノフィラメントの最大直径(mm)、π:円周率、D:巻き取り直径(mm))、さらに望ましくは式100VY/6πD≦Tr≦120VY/6πDとなる。
【0034】
一方、綾角巻きは同層の隣接するモノフィラメント同士の間隔がモノフィラメント最大直径の150%から600%の範囲を満足することを特徴とし、さらに150%から300%の範囲が望ましい。
【0035】
この場合の具体的なトラバース速度Tr(mm/sec)の範囲は、式150VY/6πD≦Tr≦600VY/6πD(但し、V:巻き取り速度(m/分)、Y:モノフィラメントの最大直径(mm)、π:円周率、D:巻き取り直径(mm))、さらに望ましくは式150VY/6πD≦Tr≦300VY/6πDとなる。
【0036】
綾角巻きを巻き始めから、巻き終わりまで実施すると図2(b)に示すとおり、上下層のモノフィラメントが繊維軸方向に交差するため、特に図1(b)に示すボビン最内層部はモノフィラメントの巻圧力により強い力が加わり、図4に示したような変形部4が発生するため好ましくない。また、綾角巻き条件が600%を越えるトラバース速度で巻き取った場合は、1層あたりの巻き周回数が少なくなり、巻き重量が目標値を達成できなくなる。さらには、巻き拘束力(巻硬度)低下や鍔部のトラバース反転位置付近の巻き形状が不安定になるなど、安定した巻状体を実現することが困難になる。
【0037】
これに対し、ボビンの内層部においてのみ整列巻きを採用することにより、内層部では上下層のモノフィラメント同士が交差して巻かれないため、巻圧力による変形を防止することができる。
【0038】
解舒性に関しても、ボビンを回転させながらモノフィラメントを引き出す使用法の場合に、引き出し方向と繊維軸方向が平行になる整列巻きが有効である。ただし、整列巻きは特に鍔部を起点に崩れやすく輸送中の振動や、引き出し張力が高めになる解舒開始時に巻形態が崩れる可能性が高いが、本発明では、表層部が綾角巻きとなっているため、巻き崩れの問題を起こすことがない。
【0039】
すなわち、本発明の特徴は、表層面1層から10層を綾角巻きとすることで、巻き崩れの発生が無く解舒性が良好になり、さらには10層以降の内層部を整列巻きとすることでモノフィラメントの形態安定性をも実現したモノフィラメント巻状体を得ることができるのである。
【実施例】
【0040】
以下、本発明のモノフィラメント巻状体について、実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0041】
なお、巻き崩れ、解舒性、モノフィラメント変形度評価に使用したボビン、およびモノフィラメントの仕様は次の通り。
ボビン材質:ABS
鍔直径 :450mm
胴径 :280mm
鍔間の距離:280mm
モノフィラメントの素材:ポリエチレンテレフタレート製
断面形状 :四角断面
モノフィラメントの寸法:短辺0.300mm、長辺1.00mm
【0042】
[巻き崩れ評価]
ボビン巻状体の巻き取り方法と巻形状安定度の関係を調査すべく、振動試験機を用いて振動試験 JIS Z 0232 A−1に準じて輸送中の振動を想定した評価を実施した。試験条件は振動数50Hz、ピーク加速度±0.75G、振動時間をタテ、ヨコ、上下それぞれ20分処理した後のボビン巻状体について、巻取表層の巻き崩れの有無、巻き硬度の変化を評価した。巻き崩れは巻き取りピッチが正しい位置に存在しない周回数、巻き硬度測定はASKER製巻硬度計、CS型を使用し、測定値60以上を合格とした。
【0043】
[解舒性]
ボビン巻状体を50m/minの初速度で引き出した際の解舒安定性を評価した。解舒安定性は次の2項目で評価した。
1:引き取り速度に追従した給糸安定性を表層部、中層部、内層部で評価。
○:全層に渡って安定した給糸性が認められた。
△:表層、中層、内層のいずれかで給糸性が不安定となった。
×:全層に渡り給糸性が不安定。
2:鍔部の隙間への食い込みやループ状に巻き崩れが発生したことに起因する断線トラブルの発生回数。
【0044】
[モノフィラメントの変形度評価]
キーエンス(株)製デジタルマイクロスコープ VHX−500Fを用いて、ボビン巻き面に対して垂直方向の寸法(厚み)を100%として、上下層のモノフィラメントが接触する部分の変形度(%)を綾角部分の最内層部分を10箇所測定し、平均値を求めた。
【0045】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート製、四角断面モノフィラメント(短辺0.300mm、長辺1.00mm)を用いて、ボビンに18kg巻き取った。
【0046】
なお、本実施例の場合、モノフィラメント最大直径は1.00mmとなる。
【0047】
巻き取り条件を巻き始めから表層残り10層までの間を同層の隣接するモノフィラメントの間隔を最大直径の30%とし(以下30%以下の場合、整列巻きと表現する)、表層1〜10層の間を同層の隣接するモノフィラメントの間隔を最大直径の150%(以下150%〜600%の場合は綾角巻きと表現する)でボビン巻き面をトラバースさせて、モノフィラメント巻状体を得た。
【0048】
[実施例2]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り10層までの間を最大直径の10%の整列巻きとし、表層1〜10層の間を最大直径の150%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0049】
[実施例3]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り10層までの間を最大直径の30%の整列巻きとし、表層1〜10層の間を最大直径の600%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0050】
[実施例4]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り10層までの間を最大直径の10%の整列巻きとし、表層1〜10層の間を最大直径の600%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0051】
[実施例5]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り1層までの間を最大直径の30%の整列巻きとし、表層1〜10層の間を最大直径の150%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0052】
[実施例6]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り1層までの間を最大直径の10%の整列巻きとし、表層1〜10層の間を最大直径の150%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0053】
[実施例7]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り1層までの間を最大直径の30%の整列巻きとし、表層1〜10層の間を最大直径の600%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0054】
[実施例8]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り1層までの間を最大直径の10%の整列巻きとし、表層1〜10層の間を最大直径の600%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0055】
[比較例1]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り150層までの間を最大直径の20%の整列巻きとし、表層1〜100層の間を最大直径の150%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0056】
[比較例2]
巻き取り条件を巻き始めから表層残り30層までの間を最大直径の20%の整列巻きとし、表層1〜30層の間を最大直径の150%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0057】
[比較例3]
巻き取り条件を全層に渡り、最大直径の20%の整列巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0058】
[比較例4]
巻き取り条件を全層に渡り、最大直径の200%の綾角巻きで実施した以外は、実施例1と同様の方法でモノフィラメント巻状体を得た。
【0059】
【表1】

【0060】
表1に示す結果から明らかのように、本発明のモノフィラメント巻状体(実施例1〜8)は、想定される他の巻き取り方法(比較例1〜4)に比べていずれも巻形態保持性、解舒安定性、品質安定性に優れている。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明のボビン巻状体製品は、魚網などの水産分野や製紙、フィルターなどの工業用
織物、さらには通信ケーブル基材などの工業用用途に広くできる。特にボビンを回転させながらモノフィラメントを解舒して使用する工業用織物、通信ケーブル基材などにおいては、解舒安定性効果もさることながら、本発明品の特徴であるボビン内層まで安定した形態を保持している効果により、加工品の寸法安定性が極めて高くなる。
【0062】
よって、モノフィラメント繊維軸方向に高品質を要求される分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
B ボビン
M モノフィラメント
M1 モノフィラメントの巻き始めの状態で最内層部
M2 モノフィラメントの巻き取り完了時での最外層部
T 鍔
1 モノフィラメント
2 モノフィラメントの最大直径
3 同層の隣接するモノフィラメント間の距離
4 変形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍔つきボビンにモノフィラメントを巻きつけた巻状体であって、ボビン内層部ではモノフィラメントを整列巻きとし、ボビン表層の第1層から10層の外層部ではモノフィラメントの巻き取りピッチを内層部より大きいピッチの綾角巻きとしたことを特徴とするモノフィラメント巻状体。
【請求項2】
前記ボビン内層部での整列巻きは、同層の隣接するモノフィラメント同士の間隔をモノフィラメント最大直径の30%以内で、かつ互いに接触しない巻き取りピッチであることを特徴とする請求項1に記載のモノフィラメント巻状体。
【請求項3】
前記ボビン外層部での綾角巻きは、同層の隣接するモノフィラメント同士の間隔をモノフィラメント最大直径の150%から600%の範囲を満足する巻き取りピッチであることを特徴とする請求項1または2に記載のモノフィラメント巻状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−219263(P2011−219263A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93187(P2010−93187)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000219288)東レ・モノフィラメント株式会社 (239)
【Fターム(参考)】