説明

モバイル・クライアントに対する広告配信の制御

【課題】個人のプライバシーに対する要望を維持しながら、ターゲット広告に対する広告主の要望を調和させる広告システムを提供する。
【解決手段】広告配信サービスにおいてモバイル・クライアントから1回限りの使用となり得る位置使用トークンを受信する。また、位置ブローカー・サービスにおける照合のため、位置使用トークンを広告配信サービスから位置ブローカー・サービスへ送信する。照合に基づいて広告配信サービスにおいて位置ブローカー・サービスからモバイル・クライアント位置を受信する。広告配信サービスからモバイル・クライアント位置におけるモバイル・クライアントに対して、位置をターゲットとする広告を配信する。当該配信は複数のモバイル・クライアントの地理的な密度に基づいてもよい。位置使用トークンの履歴に基づいて、広告配信サービスを使用する広告主は請求を受けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モバイル・クライアントに対する広告配信の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
[0001]広告主は、広告活動によって最も影響を受ける可能性のあるユーザーを広告活動の対象とすることを望んでいる。同時に、通常、広告の受け手は個人のプライバシーを望んでいる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
その結果、個人のプライバシーに対するユーザーの要望を維持しながら、ターゲット広告(targeted advertising)に対する広告主の要望を調和させる広告システムを開発することが課題となっていた。これらの競合する要望は、モバイル・コンピューティング装置に対する位置に基づいた広告の採用に対して特別な課題を提示してきた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
[0002]モバイル・クライアントへの広告配信を制御するシステム及び方法が本願において提供される。1つの例となる方法は、広告配信サーバーからモバイル・クライアントを含むモバイル・コンピューティング装置への広告配信を、位置(location)ブローカー・サーバーを利用して制御するものである。当該方法は、広告配信サーバーが、モバイル・コンピューティング装置から位置使用トークン(location use token)を受信すること、及び位置ブローカー・サーバー(location broker server)における照合(verification)のために位置ブローカー・サーバーへ位置使用トークンを送信することを含み得る。当該方法は、さらに、位置使用トークンの照合によって、広告配信サーバーから位置ブローカー・サーバーへ送信された位置使用トークンが位置ブローカー・サーバーの記憶装置に格納された、当該位置ブローカー・サーバーにより生成された位置使用トークンであることが決定された場合に、広告配信サーバーにおいて、位置ブローカー・サーバーからモバイル・クライアント位置を受信することを含んでもよい。当該方法は、さらに、広告配信サーバーが、広告配信サーバーに格納された、位置をターゲットとする広告(location-targeted ad)のうちから、位置ブローカー・サーバーから受信されたモバイル・クライアント位置と同一のモバイル・クライアント位置を指定する(又は、含む)位置ターゲット広告を選択して、当該広告を、広告配信サーバーに対して位置使用トークンを送信したモバイル・コンピューティング装置に対して配信することを含んでもよい。記載される方法は、広告配信サービスにおいて実行可能である。
【0005】
[0003]この概要は、以下の詳細な説明においてにさらに説明される概念から選択したものを単純化した形式で紹介するものである。この概要は、特許請求された主題の主要な特徴又は不可欠な特徴を特定することを意図したものではないし、特許請求された主題の範囲を制限するために使用するように意図されるものでもない。さらに、特許請求された主題は、本明細書のいかなる部分において言及される任意のまたはすべての不都合な点を解決する実施例に限定されるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】[0004]広告配信サービスからモバイル・クライアントへの広告配信を制御する例示的な広告システムの概略図である。
【図2A】[0005]位置ブローカー・サービスを利用した、広告配信サービスからモバイル・クライアントへの広告配信を制御する例示的な方法を説明するフローチャートである。
【図2B】位置ブローカー・サービスを利用した、広告配信サービスからモバイル・クライアントへの広告配信を制御する例示的な方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0006]図1は、広告配信サーバー104上で実行可能な広告配信サービス102からモバイル・コンピューティング装置108上で実行可能なモバイル・クライアント106(例えば、モバイル・クライアント#1)への広告配信を制御する例示的な広告システム100を示す。本明細書において使用される「サービス」なる語は、複数のユーザーセッションにわたって実行可能であり、他のオペレーティング・システム・コンポーネント及びアプリケーションに利用可能であるアプリケーション・プログラムを指す。広告システム100は、信頼されたブローカーとしてモバイル・クライアント106及び広告配信サービス102とインタラクトする、位置ブローカー・サーバー110上で実行可能な位置ブローカー・サービス112を含む。位置ブローカー・サービス112は、位置ブローカー・サーバー110上で実行され、広告配信サービス102からのモバイル・クライアント106の位置についての要求に応答するプログラムである。いくつかの例において、位置ブローカー・サービス112は、広告配信サービス102に対して正確なモバイル・クライアント位置を開示することなく、広告配信サービス102のためにモバイル・クライアント位置を照合(verify)することができる。したがって、位置ブローカー・サービス112の使用により、広告配信サービス102によるモバイル・クライアント106への位置をターゲットとする(location-targeted)広告配信を可能にしながら、モバイル・クライアント106のモバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーを維持するのに役立つことができる。位置をターゲットとする広告(location-targeted ad)が、広告主によって要求される、指定された位置において検出されるモバイル・クライアント106に対して配信されるべき広告であることが理解されよう。
【0008】
[0007]システム100内において、モバイル・クライアント106のモバイル・クライアント・ユーザーは、モバイル・クライアント・ユーザーの位置及び/又は人口統計データ(demographic data)に関する情報を位置ブローカー・サービス112と共有してもよい。位置ブローカー・サービス112は当該情報を照合し、広告配信サービス102に当該情報への制限されたアクセスを提供してもよい。別の例において、位置ブローカー・サービス112は、当該情報を一般化し、広告配信サービス102に当該一般化された情報を提供してもよい。このように、広告主114は、モバイル・クライアント・ユーザーの情報(例えば、位置、人口統計データ)が見えないもしくは部分的に見えない一方、広告配信サービス102に1つ以上の広告116を供給することができ、その後、広告配信サービス102は、モバイル・クライアント位置138に存在しているモバイル・クライアント106のようなモバイル・クライアントに対し、当該モバイル・クライアント位置を指定する、位置をターゲットとする広告を配信することができる。したがって、モバイル・クライアント106のモバイル・クライアント・ユーザーは詳細な個人的情報をより進んで提供することができ、したがって、ターゲット広告(targeted advertising)を提供することができる。そのような一般化技術の例は以下に議論される。
【0009】
[0008]別の例において、さらに情報を洗練して広告配信サービス102に当該洗練された情報を提供するために、位置ブローカー・サービス112は、情報を別の情報源と関連付けてもよい。例えば、モバイル・クライアント・ユーザーは、車両コンピューター、モバイル・クライアント及びラップトップを含む複数の装置を持っていることがあり、それら装置の各々が位置ブローカー・サービス112と通信してもよい。そのため、位置ブローカー・サービス112は、(例えば、車両GPSによって識別されるような)車両の位置に関する車両コンピューターからの情報を受信して、当該車両の位置をすべての装置に関連付けることができ、それによって、ユーザーの「実質的な身元(virtual identity)」が車両の位置に関連付けられる。ユーザーの実質的な身元は、ユーザーに関連付けられた複数のモバイル・クライアントの位置の検出に基づいて位置ブローカー・サービス112によって作成され管理される、ユーザーを表わす記憶されたデータである。したがって、以下に詳細に議論される、車両コンピューター、モバイル・クライアント及びラップトップの1回限りの使用(使い捨ての、single use)トークンはすべて、車両の位置に関連付けることができる。さらに、モバイル・クライアントの1回限りの使用トークンにより、車両コンピューター及びラップトップを含む任意の装置への広告の配信を許可することができる。1つの例において、車両が所与の車両位置にある一方、装置が互いに対して所定の近傍内にある場合に、これが許可されてもよい。
【0010】
[0009]広告に最も反応する可能性のあるモバイル・クライアント・ユーザーを広告配信の対象とすることによって、広告主は、反応しそうにないユーザーの同じ組に対して広告配信を繰り返すことを回避でき、それによって、モバイル・クライアント・ユーザーのうち当該部分及び広告の有効性の減少に対する疲労を回避することができる。
【0011】
[0010]システム100による広告の配信は、広告を載せるための広告主114からの要求から開始することができる。広告主は、広告配信サービス102を介した位置をターゲットとする広告配信を購入するために、例えば広告主の通信端末114から広告配信サービス102に対して入札(bid)118を送信する。位置をターゲットとする広告は、照合可能なモバイル・クライアント位置におけるモバイル・クライアントへの配信のために指定された任意の広告とすることができる。位置をターゲットとする広告は、さらに、以下に詳細に述べるように、特定のモバイル・クライアント位置に加えて、特定のユーザー人口統計プロファイルを有する及び/又は指定された時間における、モバイル・クライアントへの配信のために指定されてもよい。入札118は、キーワード検索用語など、広告を対象へ向けるための他の適切な特徴を含んでもよいことが理解されよう。広告配信サーバー104は、入札118に含まれる上述のような情報を含む位置をターゲットとする広告162を記憶装置172等に格納する。
【0012】
[0011]したがって、広告配信サービス102は、複数のモバイル・クライアント(例えば、モバイル・クライアント106及びモバイル・クライアント154−156)に位置をターゲットとする広告を配信するために広告主114から入札118を受信するため、関連付けられたメモリー178の部分を使用して、広告配信プロセッサー120により実行可能な命令を含んでもよい。入札118(又は、広告116)は、1つ以上の広告116が配信されるべきモバイル・クライアント位置138(ある場合には、緯度、経度、方位などであってもよく、他の場合には、一般化された位置(例えば、郵便番号、都市など)であってもよい)、及び1つ以上の広告116を配信する所定時間124を含んでもよい。したがって、広告116は、広告配信サービス102において受信され、入札118に含まれるモバイル・クライアント位置138に基づいて位置をターゲットとする広告116として定義される。
【0013】
[0012]入札118はまた、広告主114が対象としたいと望む、年齢(例えば、特定の年齢、年齢層など)、性別(例えば、男性、女性、無指定、両方など)、言語(例えば、英語、スペイン語、フランス語など)、行動(例えば、検索クエリー、ブログをする頻度、ウェブサイトへの訪問など)、及びモバイル・クライアントの心理学的な特徴(例えば、モバイル・クライアント・ユーザーの個性、値、考え方、関心、ライフスタイルなどの特徴)の1つ以上を含む、対象となる(target)ユーザー人口統計データ(user demographic data)126を含んでもよい。例えば、英語で表記されたハンバーガー広告についての入札は、40−50歳の年齢層、男性の性別、英語の言語、スポーツの試合に参加する行動、及び/又はスポーツの試合における食べ物の広告にユーザーが反応する可能性があるというモバイル・クライアント・ユーザーの心理学的特徴を指定する、対象となるユーザー人口統計データを含んでもよい。所定の時間における指定されたモバイル・クライアント位置に対して、及び/又は、対象となるユーザー人口統計データを有するモバイル・クライアント・ユーザーに対して広告を配信するための入札を受信することにより、システム100は、広告主によってより利用される可能性がある。さらに、広告が対象とすることができる多種多様の対象となるユーザー人口統計データの提供によって、広告に反応する可能性の高いユーザーに対して広告をより狭めて対象とすることをシステムが可能にするので、広告主は、当該システムに参加する可能性がより高くなる。
【0014】
[0013]入札118は、さらに、前記のモバイル・クライアントを含むモバイル・クライアント・ユーザーについての所望の地理的密度閾値128を含んでもよい。すなわち、入札118は、特定のモバイル・クライアント位置における対象となるユーザー人口統計データを有する複数のモバイル・クライアントの地理的な密度が地理的密度閾値を上回る場合に、位置をターゲットとする広告が配信されるべきであることを指定することができる。地理的な密度は、ショッピング・モール内にいる頻繁に訪れるショッピング・モール訪問者の密度などの、所定の地理的な地域におけるモバイル・クライアント・ユーザーの数とすることもできる。地理的な密度は、互いから所定の距離内に存在するモバイル・クライアント・ユーザーの数であってもよく、それにより、当該密度は実際の地理的な地域によって定義されず、むしろ互いに対する相対的な近傍により定義される。すなわち、モバイル・クライアント・ユーザーの密度が移動していても、ユーザーの密度はそれでもなお密度と考えることができる。
【0015】
[0014]例えば、地理的密度閾値は、50,000平方フィートの地域内における、自動車に興味を持つ50人のモバイル・クライアント・ユーザーの密度とすることもできる。したがって、自動車に興味を持っている少なくとも50人のモバイル・クライアント・ユーザーが自動車ショーにいて、彼ら全員がビル内部の50,000平方フィートの地域に含まれていれば、当該地理的密度閾値は満たされ、位置をターゲットとする広告は当該複数のモバイル・クライアント・ユーザーに配信することができる。ユーザーのその集団、すなわち群衆が元の50,000平方フィートから外部の地域に移動する(例えば、カーレース・トラックへ戸外で移動する)が、しかしそれでもなお全体で50,000平方フィートの地域内におり、且つ、それらのモバイル・クライアントが入札118において指定されたモバイル・クライアント位置に依然として存在している場合には、上記地理的密度閾値はまた満たされており、位置をターゲットとする広告を配信することができる。地理的な密度が地理的密度閾値を越える場合、モバイル・クライアント・ユーザーは、自動車に興味を持っているモバイル・クライアント・ユーザーの当該密度に対して入札した広告主の特定の広告を配信される資格がある。
【0016】
[0015]モバイル・クライアント・ユーザーの密度に対して広告主に入札させることによって、広告システム100は革新的な価格設定を可能にする。例えば、複数の広告主が、他の対象となるユーザー人口統計学的情報とともに、特定の位置及び特定の時間におけるモバイル・クライアント(例えば、カーレースイベントにおけるある年齢層のモバイル・クライアント・ユーザー)に広告を配信するための価格設定を動的に競うことができる。さらに、広告主は、あるモバイル・クライアント・ユーザー密度に対して(例えば、特定の聴衆の人口統計が集まっているコンサートにおいて広告を行うために)価格設定を競ってもよい。
【0017】
[0016]広告主は、広告主がモバイル・クライアント・ユーザー密度のモバイル・クライアントのモバイル・クライアント・ユーザーに「集団割引」を提供することができるように、モバイル・クライアント・ユーザー密度について競合することに関心を持つかもしれない。すなわち、モバイル・クライアント・ユーザーが割引された価格で製品又はサービスを購入する場合に広告主がなお利益を得られるような、閾値となる数の潜在的な買い手がモバイル・クライアント・ユーザー密度内にいる場合、広告主は製品又はサービスについて割引価格を提示することができる。広告主は、閾値となる数の潜在的買い手がモバイル・クライアント・ユーザー密度内に存在する場合にはそのような集団割引を提供し、モバイル・クライアント・ユーザー密度の潜在的買い手の数が閾値となる数未満である場合には集団割引を提供しないという柔軟性を持つことができる。
【0018】
[0017]さらに、配信される広告の種類は広告を受信するモバイル・クライアントの密度に依存してもよい。例えば、自動車に関心を持つモバイル・クライアント・ユーザーの集団の密度がさらに高くなる場合、広告を提供する価格が増額されてもよい。さらに、広告を受信するモバイル・クライアント・ユーザーがスポーツ商品、音楽ダウンロードなどの取引を受け取るために対話することができるように、広告は対話型であってもよい。別の例において、広告は、広告を受け取った互いに近接している2人のモバイル・クライアント・ユーザーが取引を受信するために対話(インタラクト)するように、「ロック(lock)及びキー(key)」とすることもできる。
【0019】
[0018]広告主114が広告の配信のために一旦入札118をすると、広告配信サーバー104は、当該入札に基づいて広告の供給を開始する。広告配信サーバー104はモバイル・クライアント106から広告を求める要求を受信する。この要求は、例えば、広告をダウンロードするための要求をモバイル・クライアント106が広告配信サーバーへ送信するようにさせる、広告配信サーバーに対するインライン・リンクを備えたウェブ・ページを、モバイル・クライアント106がダウンロードする場合に、モバイル・クライアント106によって生成される。広告をダウンロードするための要求をモバイル・クライアント106から受信すると、広告配信サーバー104は、モバイル・クライアント106にモバイル・クライアント位置要求130を送信する。広告配信サーバー104とモバイル・コンピューティング装置108との間の通信は、周知の通信プロトコル(例えば、TCP/IPプロトコル、HTTPプロトコル等)を使用して実行することができる。関連するメモリ184の部分を使用して、モバイル・クライアントはプロセッサー182によって実行可能である。
【0020】
[0019]モバイル・クライアント位置要求130を受信することに応答して、モバイル・クライアント106は、関連するディスプレイ(図示せず)上にユーザー同意要求を提示する。例えば、モバイル・クライアント106のプロセッサー182は、当該ユーザー同意要求に同意するか否かについての選択ボタンをディスプレイ上に表示して、モバイル・クライアント・ユーザーがそのいずれかを選択することを可能にしてもよい。この場合、モバイル・クライアント・ユーザーは、ディスプレイ上に表示された選択ボタンに触れたり当該選択ボタンをクリックしたりすることにより、ユーザー同意要求に同意するか否かを選択することができる。モバイル・クライアント・ユーザーがユーザー同意要求に同意した場合、モバイル・クライアント106はモバイル・クライアント・ユーザー同意(mobile client user consent)132を位置ブローカー・サービス112へ送信し、位置ブローカー・サービス112は、モバイル・クライアント106からモバイル・クライアント・ユーザー同意132を受信し、それにより、モバイル・クライアント106は、広告システム100へ「オプトイン(opt-in)」することができる。ここで、位置ブローカー・サーバー110とモバイル・コンピューティング装置108とは、通常のインターネット接続等を通じて(すなわち、TCP/IPプロトコル等を介して)互いに通信してもよい。モバイル・クライアント・ユーザー同意132は、広告配信サービス102からモバイル・クライアント位置要求130を受信することに応答して、1回限りのユーザー同意としてもよい。さらに別の例において、モバイル・クライアント・ユーザー同意132は、一般化された同意を含むようにすることもでき、それによって、モバイル・クライアント・ユーザーは、さらなる同意を提供することなく、位置をターゲットとする広告を今後受信することに合意するようにしてもよい。他の例において、モバイル・クライアント・ユーザーは、同意を否定し、それによって、広告システム100を介して位置をターゲットとする広告を受信することに合意しないこともできる。モバイル・クライアント106のモバイル・クライアント・ユーザーが同意を否定すれば、広告主114はモバイル・クライアント106に位置をターゲットとする広告を送信することはできない。ユーザーの同意を受信することにより、システム100は、位置ブローカー・サービスと個人情報を共有するか否か及びどれだけの個人情報を共有するかをモバイル・クライアント・ユーザーが選択することを効果的に可能にする。
【0021】
[0020]広告配信サービス102からのモバイル・クライアント位置要求130の送信に応答して、モバイル・クライアント・ユーザーがユーザー同意要求に同意すると、モバイル・クライアント106は、位置ブローカー・サービス112に、モバイル・クライアントの地理的位置を示すモバイル・クライアント位置信号134(例えば、GPS座標や無線アクセスポイントのアドレス)を送信してもよい。ここで、位置ブローカー・サーバー110とモバイル・コンピューティング装置108とは、(例えば、TCP/IPプロトコル等を介して)インターネットなどの、広域ネットワーク(WAN)を介して互いに通信してもよい。この例において、位置ブローカー・サーバー110上の関連するメモリー180の部分を使用して、位置ブローカー・サービス112は、位置ブローカー・プロセッサー136によって実行可能である。位置ブローカー・サービス112は、モバイル・クライアント106からモバイル・クライアント位置信号134を受信するための、及びモバイル・クライアント位置信号134に基づいてモバイル・クライアント位置138を決定するための、位置ブローカー・プロセッサー136によって実行可能な命令を含み得る。ある場合には、位置ブローカー・サービス112は、モバイル・クライアント位置信号134に基づいて、モバイル・クライアント位置138としてモバイル・クライアント106の正確な位置(例えば、緯度、経度、方位など)を決定してもよい。他の場合には、位置ブローカー・サービス112は、モバイル・クライアント位置信号134に基づいて、モバイル・クライアント位置138として、位置範囲(location range)、又は一般化された位置、つまり、地域(例えば、郵便番号、都市など)を決定してもよい。
【0022】
[0021]位置ブローカー・サービス112はまた、モバイル・クライアント106から受信されたユーザー人口統計データ142とともに前記のモバイル・クライアント位置138を記憶装置170に格納してもよい。人口統計データ142は、例えば、モバイル・クライアント・ユーザーの入力から決定され、且つ、位置ブローカー・サービス112へ送信されることを当該モバイル・クライアント・ユーザーによって許可される、個人的に特定可能でない(non-personally identifiable)人口統計情報を含んでもよい。この人口統計データ142は、年齢(例えば、特定の年齢、年齢層など)、性別(例えば、男性、女性、無指定、両方など)、言語(例えば、英語、スペイン語、フランス語など)、行動(例えば、検索クエリー、ブログをする頻度、ウェブサイトへの訪問など)、及びモバイル・クライアントのユーザーの心理学的な特徴(例えば、モバイル・クライアント・ユーザーの個性、値、考え方、関心、ライフスタイルなどの特徴)を含んでもよい。さらに、位置ブローカー・サービス112は、複数のモバイル・クライアント(例えば、モバイル・クライアント154−156)の残りについてのモバイル・クライアント位置144及び複数のモバイル・クライアントのユーザー人口統計データ146を記憶装置170に格納してもよい。こうすることによって、位置ブローカー・サービス112は、所定時間における特定の位置でのモバイル・クライアントに対して広告を向けるための予測的な広告ターゲット・サービス(ad targeting service)を提供することができる。
【0023】
[0022]モバイル・クライアント位置信号134を受信することに応答して、位置ブローカー・サービス112は、モバイル・クライアント位置信号134に基づいて決定されたモバイル・クライアント位置138に関連した位置使用トークン150を生成する。位置ブローカー・サービス112は、位置使用トークン150を生成するため及び位置使用トークン150をモバイル・クライアント106に送信するために、位置ブローカー・プロセッサー136を使用して命令を実行してもよい。ある場合には、モバイル・クライアント位置138もまたモバイル・クライアントに送信されてもよい。位置使用トークン150は、文字列、整数又は他のデータ型などの、モバイル・クライアント106の使用が検出されるモバイル・クライアント位置138に位置ブローカー・サービスによって関連付けられるデータのユニットである。位置使用トークン150自体は、モバイル・クライアント位置138を直接的に示すデータではないが、特定のモバイル・クライアント106のモバイル・クライアント位置138を識別するために位置ブローカー・サービス112によって使用することのできるデータである。ある場合には、位置使用トークン150は、モバイル・クライアント106におけるモバイル・クライアント位置要求130の広告配信サービス102からの受信に応答して、モバイル・クライアント106に送信される。以下の説明により理解されるように、広告配信サービス102への後のアップロードのために位置使用トークン150をモバイル・クライアント106へ送信することにより、モバイル・クライアントから広告配信サービスへの慎重に扱うべき位置データの直接的な送信を回避することができ、モバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーを維持することができる。さらに、以下に詳細に述べるように、位置使用トークン150の使用により、位置ブローカー・サービス112によるモバイル・コンピューティング装置108の位置の照合が可能となり、一旦照合されると、広告配信サービス102は、照合された位置に存在しているモバイル・コンピューティング装置に対して広告を配信し、配信された広告に対して請求を行うことが可能となる。
【0024】
[0023]したがって、位置使用トークン150は、その後、モバイル・クライアント位置要求130に応答して、モバイル・クライアント106によって広告配信サービス102に送信される。この場合、モバイル・コンピューティング装置108と広告配信サーバー104との間の通信は、例えば、HTTPプロトコルを介して行われ、両者の間でTCP/IPセッションが確立される。したがって、この通信の過程において、広告配信サーバー104は、モバイル・クライアント位置要求130に同意し且つ位置使用トークン150を広告配信サーバー104へ送信したモバイル・コンピューティング装置108についての宛先情報(例えば、IPアドレス等)を知ることができる。一方、広告配信サーバー104はモバイル・コンピューティング装置108の地理的位置を直接突き止めることはできないから、モバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーは維持される。広告配信サービス102は、モバイル・クライアント106から位置使用トークン150を受信するための、広告配信プロセッサー120によって実行可能な命令を含む。広告配信サービス102は、さらに、照合のために位置使用トークン150を位置ブローカー・サービス112に送信するための、広告配信プロセッサー120によって実行可能な命令を含んでもよい。
【0025】
[0024]位置ブローカー・サーバー110における位置使用トークン150の照合は、位置の照合又は位置の決定を含み得る。別の例において、照合は、広告配信サービス102から受信された位置使用トークン150が位置ブローカー・サービス112から生じたものであるか否かを決定すること及び/又はそれが不正なもしくは複製の位置使用トークンでないか否かを決定することを含み得る。
【0026】
[0025]広告配信サービス102から受信された位置使用トークン150の照合はまた、地理的な密度閾値(例えば、入札118によって指定された地理的密度閾値128)を上回るモバイル・クライアントの地理的密度148に、位置使用トークンに関連付けられたモバイル・クライアント106が含まれることを決定することを含んでもよい。例えば、位置ブローカー・サービス112は、前記のモバイル・クライアントを含む、対象となるユーザー人口統計データを有する複数のモバイル・クライアントを識別し、所定の地域内の複数のモバイル・クライアント(前記モバイル・クライアント106を含む)の数に基づいて地理的密度148を計算するための、位置ブローカー・プロセッサー136によって実行可能な命令を含んでもよい。したがって、上記の照合は、位置ブローカー・サービス112によって識別された地理的密度に含まれたモバイル・クライアントから位置使用トークンが生じたことを照合することを含み得る。複数のモバイル・クライアントの地理的密度に基づいて、以下に述べられるように、位置使用トークンを使用する複数のモバイル・クライアントに対して広告が提供される。このように、共通のユーザー人口統計の特徴を有するモバイル・クライアント・ユーザーがある地域(例えば、多くのティーンエイジャーがモールにいる場合、多くのスポーツファンが野球の試合にいる場合など)に集まっている場合、広告は、モバイル・クライアント・ユーザーの集団へ送信することができる。
【0027】
[0026]照合はまた、モバイル・クライアント・ユーザーが特定のユーザー集合属性を有している(例えば、特定の位置のユーザーの特定の密度に含まれている、所定の密度を有するユーザーの集団とともに移動しているなど)ことを決定することを含んでもよい。位置使用トークン150もまた、モバイル・クライアント・ユーザーが対象となるユーザー人口統計のプロファイルに適合することを決定することにより照合されてもよい。
【0028】
[0027]位置使用トークン150の照合の結果、例えば広告配信サービス102から位置ブローカー・サービス112へ送信された位置使用トークン150が位置ブローカー・サービス112から生じたものであると決定された場合など、位置使用トークン150の照合が成功した場合、広告配信サービス102は、位置ブローカー・サービス112からモバイル・クライアント位置138を受信する。モバイル・クライアント位置138は、モバイル・クライアント106の検出された位置を表すデータであり、いくつかの例として、プライバシーに関するガイドライン又はユーザーのプライバシーに関する優先権に依存して、一般化された位置、すなわち、ある地域であるように適切に曖昧化されてもよい。例えば、モバイル・クライアント106の正確な位置は北緯47.674度、西経−122.12度かもしれないが、一般化された位置はアメリカ合衆国ワシントン州レドモンドという都市かもしれない。このように、モバイル・クライアント位置138は、位置ブローカー・サービス112によって知られている位置データより一般的な位置となるように作られてもよい。モバイル・クライアント位置138として一般化された位置を提供することにより、システム100はモバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーを保護することができる。さらに別の例において、モバイル・コンピューティング装置は、モバイル・クライアント・ユーザーがモバイル・クライアント位置の履歴を修正し及び/又は削除することができるグラフィカル・ユーザー・インターフェースを備えてもよい。位置データがどのように一般化されるかについての方針は、モバイル・コンピューティング装置108上で上記グラフィカル・ユーザー・インターフェース等を介してユーザー自身が設定してもよい。モバイル・クライアント位置138は個々のモバイル・クライアント106ではなく位置ブローカー・サービスによって広告配信サービス102に送信されるので、位置データがどのように一般化されるかを管理する方針は位置ブローカー・サービス112において中心的に管理されてもよい。
【0029】
[0028]広告配信サービス102がモバイル・クライアント位置138を一旦受信すると、広告配信サーバー104は、記憶装置172等に格納された位置をターゲットとする複数の広告162のうちから、当該モバイル・クライアント位置と同一のモバイル・クライアント位置を指定する(又は、含む)位置をターゲットとする広告160を選択する。そして、広告配信サーバー104は、当該モバイル・クライアント位置138におけるモバイル・クライアント106に対して広告160を配信するための命令を、広告配信プロセッサー120の使用により、実行することができる。既に述べたように、広告配信サーバー104は、モバイル・クライアント位置要求130に同意し且つ位置使用トークン150を広告配信サーバー104へ送信したモバイル・コンピューティング装置108についての宛先情報(例えば、IPアドレス等)を知っているから、当該宛先情報に基づいて広告160をそのモバイル・コンピューティング装置へ配信することができる。広告配信サーバー104からモバイル・コンピューティング装置108への広告の配信は、例えば、TCP/IPセッション及びHTTPプロトコルを使用して、通常の通信接続を介して実行することができる。
【0030】
[0029]広告配信サーバー104においてモバイル・クライアント106から受信された位置使用トークン150は、使い捨て(1回限りの使用、single use)のトークンであってもよく、それにより、(例えば、位置ブローカー・サービス112に当該位置使用トークンを送信することによる)当該位置使用トークン150を使用するための広告配信サービス102による後の試みを拒絶することができる。使い捨ての使用トークンは1回限りの使用にのみ有効なトークンである。広告配信サービス102が位置ブローカー・サービス112により使い捨ての使用トークンを照合することを初めて試みる時に、照合の結果は位置ブローカー・サービス112から広告配信サービス102に送信されてもよい。しかし、同じ使い捨ての使用トークンを照合するための後の試みは、位置ブローカー・サービス112によって拒絶される。したがって、位置をターゲットとする広告をモバイル・クライアント106へ送信することを広告配信サービス102が希望するごとに、広告配信サービス102は、モバイル・クライアント106に新たなモバイル・クライアント位置要求を送信し、モバイル・クライアント106から新たな位置使用トークンを受信する。
【0031】
[0030]ある場合には、位置ブローカー・サービス112はまた、モバイル・クライアント106から位置ブローカー・サービス112へのモバイル・クライアント位置信号134の送信に応答して、モバイル・クライアント106に実際のモバイル・クライアント位置138を送信してもよい。例えば、モバイル・クライアント・ユーザーが連続的にあるいは頻繁に同じ位置において(例えば、家において、仕事においてなど)モバイル・クライアント106を使用する場合に、これが行われてもよい。したがって、モバイル・コンピューティング装置108上のキャッシュにモバイル・クライアント位置138を格納し、かつ、一旦モバイル・クライアント位置138がモバイル・クライアント106に送信されたならば位置ブローカーへその後のモバイル・クライアント位置信号を送信することを差し控えるよう、位置ブローカー・サービス112は、さらに、モバイル・クライアント106に対して命令140を送信してもよい。そのような場合では、複数の位置使用トークンが位置ブローカー・サービスからモバイル・クライアントへ送信される。そのような例は、図2に関して詳細に議論される。
【0032】
[0031]広告配信サービス102は、さらに、位置ブローカー・サービス112における位置使用トークン150の照合に応答して位置をターゲットとする広告160の配信に基づいて広告主114に対して広告の請求書158を送信するための、広告配信プロセッサー120によって実行可能な命令を含む。すなわち、広告主114は、広告配信サービス102が広告主114に代わって位置ブローカー・サービス112に送信した位置使用トークンに応じて請求されることができる。広告主114は、数に基づいて、ターゲット広告の料金を周期的に請求されてもよいし、又は位置使用トークンの使用の頻度に基づいて請求されてもよいが、これらは単なる例である。このように、費用請求は独立して監査可能となり、広告主114は、モバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーをなお維持しながら広告が位置及び/又は人口統計を対象とするものであったとの確信を持つことができる。したがって、広告配信サービス102により位置使用トークン150の使用に対して広告主114に請求することができる前に、位置ブローカー・サービス112は位置使用トークン150の有効性を必ず確認するので、広告の不正を回避することができる。
【0033】
[0032]さらに、広告主114は、モバイル・クライアント・ユーザーの位置のほかにモバイル・クライアント・ユーザーの全体的な密度に応じて請求されることができ、その結果、広告主114は、価値の高い位置又は密度に対してはより高い料金を請求される。広告請求158はまた、モバイル・クライアント・ユーザーの行動を反映してもよい(例えば、広告主は、ショッピング・モールによく訪れるモバイル・クライアント・ユーザーへ送信された広告についてはより多く請求されてもよい)。
【0034】
[0033]図1に説明されるように、位置ブローカー・サーバー110及び広告配信サーバー104は、独立したサーバーであってもよいし、別個のサーバー・ファーム(server farm)又は共通のサーバー・ファームにおいて動作してもよい。代替的に、位置ブローカー・サーバー110及び広告配信サーバー104は、1つのサーバーへ統合されてもよいし、あるいは1つのエンティティ(entity)によって動作されてもよい。
【0035】
[0034]位置ブローカー・プロセッサー136及び/又は広告配信プロセッサー120が1つのサーバー上に備えられてもよいことは理解されよう。別の例において、位置ブローカー・プロセッサー136及び広告配信プロセッサー120は、1つの集積化されたプロセッサーであってもよい。
【0036】
[0035]位置ブローカー・サービス112が位置ブローカー・サーバー上でローカルに実行可能か、又は追加的なサーバー上で遠隔に実行可能であるプログラムとすることができることが理解されよう。同様に、広告配信サービス102は、広告配信サーバー上でローカルに実行可能なプログラムであってもよいし、又は、広告配信サービス102は、追加的なサーバー上で遠隔に実行可能であってもよい。さらにまた、位置ブローカー・サービス112及び広告配信サービス102は、同じプロセッサーを使用して、同じサーバー上で実行可能としてもよい。他の配置は適切であるが、図示されるように、位置ブローカー・サービス112は大容量記憶装置170上に格納されてもよく、広告配信サービス102は大容量記憶装置172上に格納されてもよく、モバイル・クライアント106は大容量記憶装置174上に格納されてもよい。また、モバイル・クライアント(又は、モバイル・コンピューティング装置)は、本明細書において説明された、モバイル・クライアント(又は、モバイル・コンピューティング装置)において実行される動作をサポートするアプリケーションを含んでいてもよい。さらに、位置ブローカー・サービス112及び/又は広告配信サービス102を実行するように構成されたプロセッサーは、位置ブローカー・サービス112及び/又は広告配信サービス102が格納されるサーバーの外部に位置してもよい。
【0037】
[0036]図1において、位置ブローカー・サービス112はモバイル・クライアント106及び広告配信サービス102の両方とインタラクトするものとして示されるが、位置ブローカー・サービス112は、信頼連鎖階層(trust chain hierarchy)又は証明書信頼連鎖(certificate trust chain)の多くのサービス又はサーバーのうちの1つであってもよい。信頼連鎖階層は電子証明書を認証するために使用される、信頼された認証機関の階層である。証明書信頼連鎖は、最終証明書(end certificate)によって識別される対象を認証するために必要とされる証明書をすべて含んでいる。実際上、これは、最終証明書、中間の認証機関の証明書及び連鎖内のすべての認証機関によって信頼されたルート認証機関の証明書を含んでいる。そのような信頼連鎖階層において位置ブローカー・サービスをともにつなぐ1つの例として、モバイル・クライアント・ユーザーは、外部の位置ブローカー・サービスと接触することを試みる前に、制御された企業の状況の場合における企業のローカル・エリア・ネットワークの位置ブローカー・サービスと最初に接触してもよい。
【0038】
[0037]位置ブローカー・サービスと広告配信サービスとの間の通信と同様に、信頼連鎖階層中の位置ブローカー・サービスとモバイル・クライアントとの間の通信は、盗聴に耐性のある安全な通信プロトコル(例えばhttpなど)の使用によって保護することができる。
【0039】
[0038]広告主により指定され入札118に含まれる所望の「モバイル・クライアント位置」が都市(例えば、アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド)である場合の図1に示す広告システム100の動作について以下に述べる。
【0040】
[0039]広告主は、モバイル・クライアント位置138として「アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド」を含む入札118を、広告主の通信端末114から広告配信サーバー104へ送信する。広告配信サーバー104は、当該「アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド」をモバイル・クライアント位置として指定する(又は、含む)位置をターゲットとする広告162を記憶装置172に格納する。広告配信サーバー104は、例えば、広告配信サーバー104からの広告を検索し表示するためのリンクを含むウェブサイトを訪れているモバイル・クライアント・ユーザーのモバイル・コンピューティング装置108に対してモバイル・クライアント位置要求130を送信する。広告配信サーバー104とモバイル・コンピューティング装置108との間の通信は、周知の通信プロトコル(例えば、TCP/IPプロトコル、HTTPプロトコル等)を使用して実行することができる。
【0041】
[0040]モバイル・クライアント位置要求130を受信したモバイル・コンピューティング装置108は、ディスプレイ(図示せず)上にユーザー同意要求を提示する。モバイル・コンピューティング装置のユーザーは、ユーザー同意要求に同意するか否かを選択する。ユーザーがユーザー同意要求に同意した場合、モバイル・コンピューティング装置108はモバイル・クライアント・ユーザー同意132を位置ブローカー・サーバー110へ送信し、位置ブローカー・サーバー110は当該モバイル・クライアント・ユーザー同意132を受信する。位置ブローカー・サーバー110とモバイル・コンピューティング装置108とは、インターネットなどの広域ネットワークを通じて互いに通信してもよい。他の例において、モバイル・クライアント・ユーザーは、同意を否定し、それによって、広告システム100を介して位置をターゲットとする広告を受信することに合意しないこともできる。
【0042】
[0041]モバイル・コンピューティング装置108は、位置ブローカー・サービス112に、モバイル・コンピューティング装置108の地理的位置を示すモバイル・クライアント位置信号134を送信する。位置ブローカー・サーバー110は、受信したモバイル・クライアント位置信号134に基づいて、モバイル・クライアント位置138として、「アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド」という一般化された位置を決定する。一般化された位置の一般化のレベルを決定する手法は、ユーザーのプライバシーを維持しつつ広告主の好みにマッチするように選択することができる。したがって、一般化のレベルは、例えば、国、県、市、区などの政治的区域、郵便番号などの従来の住所(mailing address convention)、検出されたGPS座標位置又はモバイル・アクセス塔(mobile access tower)の位置の周囲の半径10キロメートルなどの所定の距離などへと分解されてもよい。
【0043】
[0042]位置ブローカー・サーバー110は、上記のようにして決定されたモバイル・クライアント位置138を記憶装置170に格納する。さらに、位置ブローカー・サーバー110は、複数のモバイル・クライアント(例えば、モバイル・クライアント154−156)の残りについてのモバイル・クライアント位置144を記憶装置170に格納してもよい。
【0044】
[0043]位置ブローカー・サーバー110は、決定されたモバイル・クライアント位置138に関連した位置使用トークン150を生成する。位置使用トークン150はモバイル・コンピューティング装置108に送信される。
【0045】
[0044]位置使用トークン150は、その後、モバイル・コンピューティング装置108から広告配信サーバー104へ送信される。モバイル・コンピューティング装置108と広告配信サーバー104との間の通信は、例えば、HTTPプロトコルを介して行われ、両者の間でTCP/IPセッションが確立される。したがって、この通信の過程において、広告配信サーバー104は、モバイル・クライアント位置要求130に同意し且つ位置使用トークン150を広告配信サーバー104へ送信したモバイル・コンピューティング装置108についての宛先情報(例えば、IPアドレス等)を知ることができる。
【0046】
[0045]モバイル・コンピューティング装置108から受信された位置使用トークン150は、広告配信サーバー104から位置ブローカー・サーバー110へ照合のために送信される。当該照合は、例えば、広告配信サーバー104から受信された位置使用トークン150が位置ブローカー・サーバー110において生成されたものであり今なお有効であるか否かを決定すること及び/又はそれが不正な、期限切れの、もしくは複製の位置使用トークンでないか否かを決定することを含み得る。位置使用トークンは、例えば、一度の使用の後に、又は固定の回数の使用の後に、又は所定の長さの時間の後に期限切れとなってもよい。
【0047】
[0046]位置使用トークン150の照合の結果、例えば広告配信サーバー104から位置ブローカー・サーバー110へ送信された位置使用トークン150が位置ブローカー・サーバー110から生じたものであり今なお有効であると決定された場合など、位置使用トークン150の照合が成功した場合、広告配信サーバー104は、位置ブローカー・サーバー110から、上述のようにして決定されたモバイル・クライアント位置138(この例においては、「アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド」)を受信する。
【0048】
[0047]広告配信サーバー104がモバイル・クライアント位置138を一旦受信すると、広告配信サーバー104は、記憶装置172に格納されている位置をターゲットとする複数の広告162のうちから、「アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド」をモバイル・クライアント位置として指定する(又は、含む)、位置をターゲットとする広告160を選択する。既に述べたように、広告配信サーバー104は、モバイル・クライアント位置要求130に同意し且つ位置使用トークン150を広告配信サーバー104へ送信したモバイル・コンピューティング装置108についての宛先情報(例えば、IPアドレス等)を知っているから、当該宛先情報に基づいて、上記のようにして選択された位置をターゲットとする広告160をそのモバイル・コンピューティング装置へ配信することができる。広告配信サーバー104からモバイル・コンピューティング装置108への広告の配信は、例えば、TCP/IPセッション及びHTTPプロトコルを使用して、(インターネットなどの)広域ネットワークを介して実行することができる。
【0049】
[0048]以上の例においては、モバイル・クライアント位置として「アメリカ合衆国ワシントン州レドモンド」が指定された場合の本発明の広告システムの動作について説明した。当業者であれば、特定の郵便番号などの他の形式のモバイル・クライアント位置が広告主によって指定された場合に、本発明の広告システムがどのように動作するかについても、本明細書の記載に基づいて理解することができるであろう。
【0050】
[0049]図2A及び図2Bに移ると、フローチャートは、位置ブローカー・サービスを利用して、広告配信サービスからモバイル・クライアントへの広告配信を制御する例示的な方法200を説明する。方法200及び/又はここに説明される他のプロセスは、図1に関して記載されたようなハードウェアを含むシステムによって実現されてもよい。他の例において、方法200及び/又はここに説明される他のプロセスは他の適切なシステムによって実現することもできる。
【0051】
[0050]202において、方法200は、広告配信サービスにおいて、前記のモバイル・クライアントを含むモバイル・クライアント位置における複数のモバイル・クライアントに広告を配信することに対する入札を、例えば広告主の通信端末等から受信することを含む。当該入札は、広告を配信する対象であるモバイル・コンピューティング装置が存在している所望のモバイル・クライアント位置を指定する(又は、含む)。当該入札は、広告を配信するための所定時間を含み得る。広告主は、所定時間にモバイル・クライアント位置におけるモバイル・クライアントに広告を配信するための入札を受信するシステムに、より一層進んで参加するかもしれない。というのは、そのようなシステムは、広告主が潜在的な消費者に対して広告を狭めて対象とすることを可能にするからである。上記入札に含まれるモバイル・クライアント位置を指定する(又は、含む)位置をターゲットとする広告(例えば、図1に示す広告162)は、例えば、広告配信サーバーの記憶装置に格納される。
【0052】
[0051]方法200はまた、204において、モバイル・クライアントへのモバイル・クライアント位置要求を広告配信サービスから送信することを含み得る。例えば、モバイル・クライアント・ユーザーが広告配信サーバーが管理するウェブサイトを訪れており、広告配信サービスが当該モバイル・クライアントの位置を知ることを要求する場合、204における送信が起こり得る。
【0053】
[0052]いくつかの例において、モバイル・クライアント・ユーザーの同意は、グラフィカル・ユーザー・インターフェースの形式でモバイル・クライアントにおいて要求され、それにより、ユーザーは、204におけるモバイル・クライアント位置要求の送信に応答して、システムにオプトインし、またシステムからオプトアウト(opt-out)することができる。モバイル・クライアント・ユーザーが同意を拒絶する場合、広告配信サービスは、関連するモバイル・クライアントに位置をターゲットとする広告を送信することができない。しかし、206において、方法200は、モバイル・クライアントから位置ブローカー・サービスへモバイル・クライアント・ユーザー同意を送信することを含み得る。したがって、方法200は、208において位置ブローカー・サービスにおいてモバイル・クライアントからのモバイル・クライアント・ユーザー同意を受信すること、及びステップ210へ進むことを含み得る。モバイル・クライアント位置信号を受信する前に位置ブローカー・サービスにおいてモバイル・クライアント・ユーザー同意を受信することによって、1つの例として、モバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーは、当該ユーザーがオプトインするまで維持することができる。
【0054】
[0053]他の例において、位置ブローカー・サービスは、格納されたユーザー同意を使用して204のモバイル・クライアント位置要求に対して内密にサービスを行うために、以前のユーザー同意データベースを利用することができる。この後者の例において、方法200は、ステップ204からステップ210に直接進んでもよい。
【0055】
[0054]210において、方法200は、モバイル・クライアントから位置ブローカー・サーバーへモバイル・クライアント位置信号を送信することを含んでもよい。したがって、方法200は、212において、位置ブローカー・サービスにおいてモバイル・クライアントからモバイル・クライアントの地理的位置を示すモバイル・クライアント位置信号を受信することを含んでもよい。ある場合には、位置ブローカー・サービスにおけるモバイル・クライアントからのモバイル・クライアント位置信号の受信は、208におけるモバイル・クライアントからのモバイル・クライアント・ユーザー同意の受信に応答して起こってもよい。位置ブローカー・サービスにおいてモバイル・クライアント位置信号を受信することは、モバイル・クライアントから、モバイル・クライアントにおいてモバイル・コンピューティング装置にとって可視の異なる固定のビーコン(例えば、携帯電話基地局、Wi−Fiアクセス・ポイント、FMラジオなど)に関する情報を受信することを含んでもよい。モバイル・クライアント位置信号の受信はまた、ピア・ツー・ピアのブルートゥース信号のような非固定ビーコンに関する情報、及びモバイル・コンピューティング装置108の環境に関する他の情報を受信することを含んでもよい。以下に述べるように、非固定ビーコンの使用は、モバイル・クライアント・ユーザー密度の計算に役立つ。ステップ210のモバイル・クライアントにおいて、又はステップ212もしくはステップ218の位置ブローカー・サービスにおいて、モバイル・クライアント位置信号又はモバイル・クライアント位置は、モバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーが望まれる場合、ランダムに、不正確にされるか又はより大きな地域(例えば、郵便番号、都市など)へと一般化されてもよい。
【0056】
[0055]方法200は、さらに、214においてモバイル・クライアントからユーザー人口統計データを送信することを含んでもよく、したがって、216において位置ブローカー・サービスにおいてユーザー人口統計データを受信することを含んでもよい。人口統計データは、例えば、モバイル・クライアント・ユーザーの入力から決定され、且つ、位置ブローカー・サービスへ送信されることを当該モバイル・クライアント・ユーザーによって許可される、個人的に特定可能でない人口統計情報を含んでもよい。この人口統計データは、年齢(例えば、特定の年齢、年齢層など)、性別(例えば、男性、女性、無指定、両方など)、言語(例えば、英語、スペイン語、フランス語など)、行動(例えば、検索クエリー、ブログをする頻度、ウェブサイトへの訪問など)、及びモバイル・クライアントのユーザーの心理学的な特徴(例えば、モバイル・クライアント・ユーザーの個性、値、考え方、関心、ライフスタイルなどの特徴)を含んでもよい。
【0057】
[0056]218において、方法200は、位置ブローカー・サービスにおいて、モバイル・クライアントから受信したモバイル・クライアント信号に基づいてモバイル・クライアント位置を決定することを含んでもよい。220において、方法200は、218でモバイル・クライアント位置を決定することに応答して及び/又はユーザー人口統計データを受信することに応答して、位置ブローカー・サービスの記憶装置において、ユーザー人口統計データとともにモバイル・クライアント位置を格納することを含んでもよい。したがって、格納されたモバイル・クライアント位置及びユーザー人口統計データは、所定時間に特定の位置におけるモバイル・クライアントに対して広告を向けるための予測的な広告ターゲッティング・サービスを提供するために後に使用することができる。
【0058】
[0057]方法200は、222において位置ブローカー・サービスからモバイル・クライアントへモバイル・クライアント位置に関連付けられた位置使用トークンを送信することを含んでもよい。位置使用トークンは、文字列、整数又は他のデータ型などの、モバイル・クライアントの使用が検出されるモバイル・クライアント位置に位置ブローカー・サービスによって関連付けられるデータのユニットである。したがって、方法200は、224において位置ブローカー・サービスから位置使用トークンを受信することを含んでもよい。位置ブローカー・サービスを使用して、モバイル・クライアント位置信号を受信し、モバイル・クライアント位置に基づいて、(例えば、郵便番号、都市などの)より一般化された地域を示すモバイル・クライアント位置を決定し、そしてモバイル・クライアント位置に関連付けられた位置使用トークンを送信することは、本明細書に記載されるように、モバイル・クライアントへの広告配信サービスによる位置をターゲットとする広告配信を可能にしながら、モバイル・クライアント・ユーザーのプライバシーを維持するのに役立つ。
【0059】
[0058]広告配信サービスに送信される情報は特定のモバイル・クライアント位置要求のための位置使用トークンであるので、モバイル・クライアント位置及びユーザー人口統計データは広告配信サービスと共有されなくてもよい。言いかえれば、位置履歴、及びユーザー動作は、広告主のために現在の位置を予測するため、位置ブローカー・サービスによって使用されてもよく、中央において消去し、編集し、及び/又は、その使用をグラフィカル・ユーザー・インターフェースを介してモバイル・クライアントのモバイル・クライアント・ユーザーによって管理することができる。このように、位置ブローカー・サービスは、ユーザーが自身のプライバシーを維持できるようにしながら、入札において指定された位置及び/又は対象となるユーザー人口統計データを満たすモバイル・クライアントに対して広告配信サービスが広告を送信することを可能にすることにより、広告主の入札に応えることができる。
【0060】
[0059]いくつかの例において、方法200は、226におけるようなモバイル・クライアントから位置ブローカー・サービスへのモバイル・クライアント位置信号の送信に応答して位置ブローカー・サービスからモバイル・クライアントに実際のモバイル・クライアント位置を送信することを含んでもよい。例えば、モバイル・クライアント・ユーザーが連続的に又は頻繁に、同じ位置(例えば、家や仕事など)でモバイル・クライアントを使用する場合に、これが行われてもよい。したがって、226において、位置ブローカー・サービスはまた、モバイル・コンピューティング装置上のキャッシュにモバイル・クライアント位置を格納し且つ一旦モバイル・クライアント位置がモバイル・クライアントに送信されたならば位置ブローカー・サービスにその後のモバイル・クライアント位置信号を送ることを差し控えるための命令を、モバイル・クライアントに送信してもよい。そのような場合には、複数の位置使用トークンが、モバイル・クライアントが位置使用トークンを使い果たすまで、モバイル・クライアントによって要求されるようにキャッシュに格納され使用されるため、モバイル・クライアントに送信されてもよい。他の例において、モバイル・クライアントは無制限の量の位置使用トークンを送信されてもよい。モバイル・クライアントにおいてモバイル・クライアント位置及び/又は位置使用トークンをキャッシュに格納することにより、例えば、同じ位置で反復して動作されるモバイル・クライアントについては、システムは、システムのコンポーネント間の反復の通信の量を減らす。モバイル・クライアント位置及び命令は228においてモバイル・クライアントで受信される。
【0061】
[0060]図2Bに移り、方法200は、230においてモバイル・クライアントから広告配信サービスへ位置使用トークンを送信することを含む。したがって、当該方法は、232において、モバイル・クライアントからの位置使用トークンを広告配信サービスで受信することを含む。モバイル・コンピューティング装置と広告配信サーバーとの間の通信は、例えば、HTTPプロトコルを介して行われ、両者の間でTCP/IPセッションが確立される。これにより、広告配信サーバーは、モバイル・クライアント位置要求に同意し且つ位置使用トークンを広告配信サーバーへ送信したモバイル・コンピューティング装置についての宛先情報(例えば、IPアドレス等)を知ることができる。ある場合には、位置使用トークンの受信は、204におけるモバイル・クライアントへのモバイル・クライアント位置要求の送信に応答して起こってもよい。このように、以下に述べられるように、位置使用トークンは、広告配信サービスによって容易に使用することができる。方法200は、位置ブローカー・サービスでの照合のために、234において、広告配信サービスから位置ブローカー・サービスへ、モバイル・クライアントから受信された位置使用トークンを送信することを含んでもよい。方法200は、236において広告配信サービスから位置トークンを受信することを含む。
【0062】
[0061]238において、方法200は、位置ブローカー・サービスにおいて、前記のモバイル・クライアントを含む対象となるユーザー人口統計データを有する複数のモバイル・クライアントを識別することを含んでもよい。したがって、240において、方法200は、位置ブローカー・サービスにおいて、所定の地域内の(前記のモバイル・クライアントを含む)複数のモバイル・クライアントの数に基づいて地理的な密度を計算することを含んでもよい。当該計算は、非固定ビーコンに関する情報を使用して実行することができる。すなわち、地理的な密度は、所与の環境において検出される無線信号に基づいて計算することもできる。例えば、無線周波数環境が大都市圏において非常に高いことにより高い地理的密度の計算につながるかもしれず、一方、無線周波数環境は森林においてはそれほど高くはないために、低い地理的密度の計算につながるかもしれない。地理的な位置に対して無線周波数密度を決定するために、所定のスペクトルの無線周波数の走査を当該地理的位置においてモバイル・クライアントによって行うことができ、検出された信号の数が記録されてもよい。例えば、地理的な位置が都市にあるかどうか判断するために、検出された信号の数を所定の閾値と比較してもよい。さらに、そのような無線周波数に関する情報のスキャンは、地理的な位置における複数のモバイル・クライアントから集めることができ、各モバイル・クライアントにおいて受信された信号に基づいて無線周波数密度を計算するために使用することもできる。所与のモバイル・クライアントにおける無線周波数の受信は、周囲のビルなどの物理的環境によって悪影響を及ぼされるかもしれないので、これはより正確な結果を生むことができる。
【0063】
[0062]したがって、242において、方法200は、位置ブローカー・サービスにおいて、複数のモバイル・クライアントの地理的な密度が地理的密度閾値(例えば、広告主の入札により指定された対象となる地理的密度閾値)を上回ることを決定することを含む。地理的な密度が地理的密度閾値を上回るとの決定に応答して、方法200は、244において位置使用トークンを照合することを含んでもよい。位置使用トークンの照合は、例えば、広告配信サーバーから受信された位置使用トークンが位置ブローカー・サーバーにおいて生成されたものであるか否かを決定すること及び/又はそれが不正なもしくは複製の位置使用トークンでないか否かを決定することを含み得る。方法200においては、位置使用トークンの照合は、236において広告配信サービスから位置使用トークンを受信することに応答して起こることが理解されよう。このように、位置使用トークンは、対象となるモバイル・クライアントの集団の一部であるモバイル・クライアントのモバイル・クライアント位置に関連付けられるものとして照合することができ、広告は当該モバイル・クライアント位置における当該モバイル・クライアントへ配信することができる。
【0064】
[0063]したがって、方法200は、246において、位置使用トークンの照合の結果、例えば広告配信サービスから位置ブローカー・サービスへ送信された位置使用トークンが位置ブローカー・サービスから生じたものであると決定された場合など、位置使用トークンの照合が成功した場合、当該位置使用トークンの照合に応答して、広告配信サービスへモバイル・クライアント位置を送信することを含んでもよい。このように、広告配信サービスは、モバイル・クライアント位置におけるモバイル・クライアントに、位置をターゲットとする広告を配信することを可能にされる。具体的には、方法200は、248で広告配信サービスにおいてモバイル・クライアント位置を受信すること、及び250でモバイル・クライアント位置におけるモバイル・クライアントに対して位置をターゲットとする広告を広告配信サービスから配信することを含む。この際、広告配信サーバーは、広告配信サーバーの記憶装置等に格納された複数の位置をターゲットとする広告(例えば、図1に示す位置をターゲットとする広告162)のうちから、位置ブローカー・サーバーから受信したモバイル・クライアント位置と同一のモバイル・クライアント位置を指定する(又は、含む)広告を選択する。そして、広告配信サーバーは、当該モバイル・クライアント位置におけるモバイル・クライアントに対して広告を配信するための命令を、例えば広告配信プロセッサーの使用により、実行することができる。既に述べたように、広告配信サーバーは、モバイル・クライアント位置要求に同意し且つ位置使用トークンを広告配信サーバーへ送信したモバイル・コンピューティング装置についての宛先情報(例えば、IPアドレス等)を知っているから、当該宛先情報に基づいて、上記のように選択された広告をそのモバイル・コンピューティング装置へ配信することができる。広告配信サーバーからモバイル・コンピューティング装置の広告の配信は、例えば、TCP/IPセッション及びHTTPプロトコルを使用して、周知の通信接続を介して実行することができる。一方、位置をターゲットとする広告は、252において表示のためにモバイル・クライアントで受信されてもよい。
【0065】
[0064]その後、方法200は、上述のように、254において、位置ブローカー・サービスでの位置使用トークンの照合に応答した位置をターゲットとする広告の配信に基づいて、広告配信サービスから広告主(又は、広告主の通信端末等)に対して広告に関する請求書を送信することを含んでもよい。このように、広告主は、広告主自身によるシステムの使用に応じて請求書を受け取ることができる。したがって、広告主はより容易にそのようなシステムを使用することができる。
【0066】
[0065]本明細書に記載されたコンピューティング装置及びサーバーが本明細書に記載されたプログラムを実行するように構成された任意の適切なコンピューティング装置とすることができることが理解されよう。例えば、コンピューティング装置は、メインフレーム・コンピューター、パソコン、ラップトップ・コンピューター、携帯型データ・アシスタント(PDA)、コンピューター対応の無線電話、ネットワーク化されたコンピューティング装置又は他の適切なコンピューティング装置であってもよく、インターネットのようなコンピューターネットワークを介して互いに接続されてもよい。これらのコンピューティング装置は、通常、プロセッサー並びに関連する揮発性及び不揮発性のメモリーを含み、揮発性メモリーとプロセッサーの部分を使用して、不揮発性メモリに格納されたプログラムを実行するように構成される。
【0067】
[0066]本明細書において使用される「サービス」は、複数のユーザーセッションにわたって実行可能であり、他のオペレーティング・システム・コンポーネント及びアプリケーションに利用可能であるアプリケーション・プログラムとすることができることが理解されよう。サービスは、クライアントからの要求に応答してサーバー上で実行されてもよい。
【0068】
[0067]さらに、本明細書において使用される、用語「プログラム」は、本明細書に記載の1つ以上のコンピューティング装置により実行され又は利用されるソフトウェア・コンポーネント又はファームウェア・コンポーネントを指し、実行可能ファイル、データファイル、ライブラリー、ドライバー、スクリプト、データベースレコードなどの各々又はグループを包含することを意図される。コンピューター可読媒体は、格納されたプログラム命令を備えており、当該プログラム命令は、コンピューティング装置により実行されると、コンピューティング装置に上述の方法を実行させ、上述のシステムの動作を引き起こさせることが理解されよう。コンピューター可読媒体は、ランダム・アクセス・メモリー(RAM)、読み取り専用メモリー(ROM)、ハードディスク、コンパクト・ディスク(CD)、ディジタル・ビデオ・ディスク(DVD)などのようなメモリー装置を含んでもよい。本明細書に記載されたモジュールのうちのいくつか又はすべては、メモリー装置などの、ソフトウェア・モジュール又はハードウェア・コンポーネントであってもよい。
【0069】
[0068]本明細書に記載の構成及び/又は手法は事実上例示的なものであり、多数の変更が可能であるので、これら具体的な実施例及び例は、制限する意味で考慮すべきではない。本明細書に記載の具体的なルーチン又は方法は、処理戦略の任意の1つ又は複数を表すものである。そのため、説明された様々な動作は、説明された順序で実行されてもよいし、他の順序で実行されてもよいし、並列に実行されてもよいし、ある場合には省略されてもよい。同様に、上述の処理の順序は変更されてもよい。
【0070】
[0069]本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲に先行する明細書によってではなく特許請求の範囲により規定されるので、明細書中の実施例は実例となるものであって限定的なものでないことを理解されたい。また、特許請求の範囲の境界に含まれるすべての変更、又は特許請求の範囲のそのような境界の均等物は、したがって、特許請求の範囲に包含されるものと意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広告配信サーバーからのモバイル・クライアント位置要求に応答する位置ブローカー・サーバーを使用して、広告配信サーバーからモバイル・クライアントを有するモバイル・コンピューティング装置への広告配信を制御する方法であって、前記広告配信サーバーは、広告を配信する対象とすべきモバイル・コンピューティング装置が存在するモバイル・クライアント位置を指定する、位置をターゲットとする広告を前記広告配信サーバーの記憶装置に格納しており、
前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・コンピューティング装置からモバイル・クライアント位置信号を受信するステップと、
前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・クライアント位置信号に基づいてモバイル・クライアント位置を決定するステップと、
前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・コンピューティング装置へ、前記モバイル・クライアント位置に関連付けられたデータ・ユニットである位置使用トークンを送信するステップと、
前記広告配信サーバーが、前記モバイル・コンピューティング装置から、前記位置使用トークンを受信するステップと、
前記位置ブローカー・サーバーにおける照合のため、前記広告配信サーバーが、前記位置ブローカー・サーバーへ、前記位置使用トークンを送信するステップと、
前記位置ブローカー・サーバーが、前記広告配信サーバーから送信された前記位置使用トークンが、前記位置ブローカー・サーバーの記憶装置に格納された前記位置ブローカー・サーバーから生じた位置使用トークンであるか否かを決定することにより、前記位置使用トークンの照合を行うステップと、
前記位置使用トークンの照合により前記広告配信サーバーから送信された前記位置使用トークンが前記位置ブローカー・サーバーから生じたものであると決定された場合に、前記広告配信サーバーが、前記位置ブローカー・サーバーから前記モバイル・クライアント位置を受信するステップと、
前記広告配信サーバーが、前記広告配信サーバーの記憶装置に格納された位置をターゲットとする広告のうちから、前記位置ブローカー・サーバーから受信したモバイル・クライアント位置と同一のモバイル・クライアント位置を指定する、位置をターゲットとする広告を選択するステップと、
前記広告配信サーバーが、前記位置使用トークンを前記広告配信サーバーへ送信した前記モバイル・コンピューティング装置へ、前記選択された位置をターゲットとする広告を配信するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・コンピューティング装置からユーザー人口統計データを受信するステップと、
前記ユーザー人口統計データの受信に応答して、前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・クライアント位置及び前記ユーザー人口統計データを前記位置ブローカー・サーバーの記憶装置に格納するステップと
をさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記照合を行うステップは、
前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・コンピューティング装置を含む対象となるユーザー人口統計データを有する複数のモバイル・コンピューティング装置を識別するステップと、
前記位置ブローカー・サーバーが、所定地域内の前記複数のモバイル・コンピューティング装置の数の地理的な密度を計算するステップと、
前記位置ブローカー・サーバーが、前記複数のモバイル・コンピューティング装置の地理的な密度が地理的密度閾値を上回ることを決定するステップと
をさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記広告配信サーバーが、広告を配信するための所定時間を含む、前記複数のモバイル・コンピューティング装置への広告の配信に対する入札を、広告主から受信するステップをさらに含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記対象となるユーザー人口統計データが、年齢、性別、言語、行動及び心理学的特徴のうち1つ以上である請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・コンピューティング装置から前記モバイル・クライアント位置要求に対するモバイル・クライアント・ユーザー同意を受信するステップをさらに含み、
前記位置ブローカー・サーバーにおける前記モバイル・コンピューティング装置からの前記モバイル・クライアント位置信号の前記受信は、前記モバイル・クライアント・ユーザー同意の受信に応答するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記モバイル・クライアント位置はある地域である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記位置ブローカー・サーバーにおける位置使用トークンの照合に応答した位置をターゲットとする広告の配信に基づいて、前記広告配信サーバーが前記広告主へ広告に関する請求を送信するステップをさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記モバイル・コンピューティング装置に対するモバイル・クライアント位置要求を前記広告配信サーバーが送信するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記位置ブローカー・サーバーへの前記モバイル・クライアント位置要求の送信に応答して、前記モバイル・クライアント位置を前記位置ブローカー・サーバーが前記モバイル・コンピューティング装置へ送信するステップと、
前記モバイル・コンピューティング装置へ前記モバイル・クライアント位置を送信することに応答して、前記モバイル・クライアント位置をキャッシュに格納し、前記位置ブローカー・サーバーへ今後のモバイル・クライアント位置信号を送信することを差し控える命令を、前記位置ブローカー・サーバーが前記モバイル・コンピューティング装置へ送信するステップと
をさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
広告配信サーバーからモバイル・クライアントを有するモバイル・コンピューティング装置への広告配信を制御する広告システムであって、
前記モバイル・コンピューティング装置からモバイル・クライアント位置信号を受信し、
前記モバイル・クライアント位置信号に基づいてモバイル・クライアント位置を決定し、
前記モバイル・クライアント位置に関連付けられたデータ・ユニットである位置使用トークンを前記モバイル・コンピューティング装置へ送信する
ように構成された、位置ブローカー・サーバーと、
広告を配信する対象とすべきモバイル・コンピューティング装置が存在するモバイル・クライアント位置を指定する、位置をターゲットとする広告を記憶装置に格納し、
前記モバイル・コンピューティング装置から、前記位置使用トークンを受信し、
前記位置使用トークンを、前記広告配信サーバーからのモバイル・クライアント位置要求に応答する前記位置ブローカー・サーバーへ照合のために送信し、前記位置使用トークンの照合は、前記広告配信サーバーから送信された前記位置使用トークンが、前記位置ブローカー・サーバーの記憶装置に格納された前記位置ブローカー・サーバーから生じた位置使用トークンであるか否かを前記位置ブローカー・サーバーが決定することにより行われ、
前記位置使用トークンの照合により前記広告配信サーバーから送信された前記位置使用トークンが前記位置ブローカー・サーバーから生じたものであると決定された場合に、前記位置ブローカー・サーバーから前記モバイル・クライアント位置を受信し、
記憶装置に格納された位置をターゲットとする広告のうちから、前記位置ブローカー・サーバーから受信したモバイル・クライアント位置と同一のモバイル・クライアント位置を指定する、位置をターゲットとする広告を選択し、
前記位置使用トークンを前記広告配信サーバーへ送信した前記モバイル・コンピューティング装置へ、前記選択された位置をターゲットとする広告を配信する
ように構成された、広告配信サーバーと
を備えた広告システム。
【請求項12】
前記位置ブローカー・サーバーが、前記モバイル・コンピューティング装置の前記モバイル・クライアント位置を含む複数のモバイル・コンピューティング装置のモバイル・クライアント位置と、前記モバイル・コンピューティング装置の前記ユーザー人口統計データを含む前記複数のモバイル・コンピューティング装置のユーザー人口統計データとを、前記位置ブローカー・サーバーの記憶装置に格納するようにさらに構成された請求項11に記載の広告システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2012−89046(P2012−89046A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−237125(P2010−237125)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【特許番号】特許第4667534号(P4667534)
【特許公報発行日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)