説明

モンキーレンチ

【課題】 一対の顎が接離する方向と直交する全ての方向で、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できるモンキーレンチを提供する。
【解決手段】 固定顎11を有する本体1は、軸心C1が接離方向に沿って配置され且つ可動体2をガイドするガイド孔部12を備え、可動顎21を有する可動体2は、ガイド孔部12にガイドされるべくガイド孔部12に挿入される柱状部22を備え、ガイド孔部12は、柱状部22に突設される可動顎2が貫通するための開放部121を接離方向に沿って備えるモンキーレンチにおいて、ガイド孔部12における軸心C1から開放部121に向かう方向と、当該方向及びガイド孔部の軸心C1に直交する方向との両方向において、柱状部22の軸心C2がガイド孔部12の軸心C1とそれぞれ傾斜して交差した状態で、柱状部22が保持されるべく、柱状部22を付勢する第1の付勢手段3を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固定顎を有する本体と、固定顎と所定の接離方向で接離する可動顎を有する可動体とを備えるモンキーレンチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定顎を有する本体と、固定顎と所定の接離方向で接離する可動顎を有する可動体とを備えるモンキーレンチ(「自在スパナ」ともいう)として、可動体に、本体のガイド孔部に挿入され且つ接離方向でガイドされる柱状部が設けられると共に、柱状部を付勢する付勢手段が設けられるモンキーレンチが知られている(例えば、特許文献1)。斯かるモンキーレンチによれば、一対の顎の先端部同士が離反する状態となるように、付勢手段が可動体を付勢している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−42240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に係るモンキーレンチにおいては、付勢手段が可動体を付勢することにより、可動顎の先端部が固定顎の先端部から離反するような所定方向で、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できる。しかしながら、斯かるモンキーレンチは、当該所定方向でない方向、即ち、一対の顎が接離する方向と直交する全ての方向において、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できるとは限らないものである。
【0005】
よって、本発明は、斯かる事情に鑑み、一対の顎が接離する方向と直交する全ての方向で、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できるモンキーレンチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るモンキーレンチは、固定顎を有する本体と、固定顎と所定の接離方向で接離する可動顎を有し、一対の顎が接離するように本体に対して接離方向で相対的に変位する可動体とを備え、本体は、軸心が接離方向に沿って配置され且つ可動体をガイドするガイド孔部を備え、可動体は、ガイド孔部にガイドされるべくガイド孔部に挿入される柱状部を備え、ガイド孔部は、柱状部に突設される可動顎が貫通するための開放部を接離方向に沿って備えるモンキーレンチにおいて、ガイド孔部における軸心から開放部に向かう方向と、当該方向及びガイド孔部の軸心に直交する方向との両方向において、柱状部の軸心がガイド孔部の軸心とそれぞれ傾斜して交差した状態で、柱状部が保持されるべく、柱状部を付勢する第1の付勢手段を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係るモンキーレンチによれば、第1の付勢手段が柱状部を付勢することで、ガイド孔部における軸心から開放部に向かう方向と、当該方向及びガイド孔部の軸心に直交する方向との両方向において、柱状部の軸心がガイド孔部の軸心とそれぞれ傾斜して交差した状態で、柱状部が保持される。これにより、柱状部の径方向の全ての方向で、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できる。
【0008】
また、本発明に係るモンキーレンチにおいては、可動体を本体に対して変位させるべく、接離方向を中心に回転されるウォームを備え、柱状部は、軸心方向に沿って並べられ且つウォームと噛合する複数の板状部を備え、少なくとも一つの板状部は、柱状部が第1の付勢手段に付勢されることにより、両方の面がウォームと当接するように互いの間隔が設定される構成でもよい。
【0009】
斯かる構成のモンキーレンチによれば、ウォームが接離方向を中心に回転されると、軸心方向に沿って並べられる複数の板状部がウォームと噛合するため、可動体が本体に対して変位する。そして、柱状部が第1の付勢手段に付勢されることにより、互いの間隔が所定の距離で設定されている複数の板状部のうち、少なくとも一つの板状部における両方の面がウォームと当接する。これにより、柱状部の軸方向でも、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できる。
【0010】
また、本発明に係るモンキーレンチにおいては、ウォームを接離方向で付勢する第2の付勢手段を備えてもよい。
【0011】
斯かる構成のモンキーレンチによれば、第2の付勢手段が接離方向でウォームを付勢するため、ウォームが本体に対して接離方向でがたつくのを抑制できる。これにより、少なくとも一つの板状部における両方の面がウォームと当接しているため、柱状部の軸方向において、可動体が本体に対してがたつくのをより確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
以上の如く、本発明に係るモンキーレンチによれば、柱状部の径方向の全ての方向で、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できるため、一対の顎が接離する方向と直交する全ての方向で、可動体が本体に対してがたつくのを抑制できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るモンキーレンチの全体図であって、(a)は平面図、(b)は正面図を示す。
【図2】同実施形態に係るモンキーレンチの要部拡大図であって、(a)は図1(b)のB−B線における断面図、(b)は図2(a)のD−D線における断面図を示す。
【図3】同実施形態に係るモンキーレンチの要部拡大図であって、(a)は図2(a)のE−E線における断面図、(b)は正面図を示す。
【図4】同実施形態に係るモンキーレンチの各軸心位置及び各接点位置を説明する要部拡大図であって、(a)は図1(b)のB−B線における断面図、(b)は図2(a)のD−D線における断面図を示す。
【図5】同実施形態に係るモンキーレンチの各軸心位置及び各接点位置を説明する要部拡大図であって、(a)は図2(a)のE−Eにおける断面図、(b)は正面図を示す。
【図6】本発明の他の実施形態に係るモンキーレンチの各接点位置を説明する要部拡大図であって、(a)は横断面図、(b)は縦断面図、(c)は正面図を示す。
【図7】本発明のさらに他の実施形態に係るモンキーレンチの要部拡大図であって、(a)は縦断面図、(b)は横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係るモンキーレンチにおける一実施形態について、図1〜図5を参酌して説明する。
【0015】
本実施形態に係るモンキーレンチは、図1〜図3に示すように、固定顎11を先端部に有する板状の本体1と、可動顎21を有する板状の可動体2とを備える。そして、モンキーレンチは、可動体2が本体1に対して所定方向(図1(a)のA矢印方向であって、以下「接離方向」という)で相対的に変位することにより、固定顎11と可動顎21とが接離方向で接離するように構成される。
【0016】
また、モンキーレンチは、可動体2を付勢する第1の付勢手段3を備える。さらに、モンキーレンチは、可動体2を本体1に対して変位させる際に操作されるべく、接離方向を中心に回転されるウォーム4と、接離方向でウォーム4を付勢する第2の付勢手段5とを備える。
【0017】
本体1は、軸心C1(図4参照)が接離方向に沿って配置され且つ可動体2をガイドするガイド孔部12を備える。また、本体1は、固体顎11と反対方向に向かって延出し且つ把持される把持柄13と、ウォーム4を内部に配置するための窓穴14とを備える。
【0018】
固定顎11は、可動顎21とでボルトやナット等の対象物を挟持する第1の挟持面111を備える。そして、第1の挟持面111は、接離方向と直交するように、即ち、ガイド孔部12の軸心C1と直交するように配置されている。
【0019】
ガイド孔部12は、真円状に形成される一方、可動顎21が貫通するために、周方向の一部を開放する開放部121が設けられている。そして、開放部121は、可動体2が本体1に対して接離方向で変位する際に、可動顎21が接離方向で通過するように、接離方向に沿って配置されている。
【0020】
可動体2は、ガイド孔部12内にスライド自在に挿入される略円柱状の柱状部22を備える。なお、可動顎21は、柱状部22の外周部から平板状に突設されている。即ち、可動顎21の基端部は、柱状部22の軸心方向に沿って配置されると共に、柱状部22の外周部に連結されている。
【0021】
可動顎21は、固定顎11の第1の挟持面111とで対象物を挟持する第2の挟持面211を備える。そして、第2の挟持面211は、柱状部22の軸心C2(図4参照)と傾斜して交差するように配置されている。
【0022】
柱状部22は、外周部における可動顎21が突出する側と反対側(以下、単に「反対側」という)に、第1の付勢手段3を収容するための凹状の収容部221を備える。また、柱状部22は、可動顎21の外周部の反対側に、軸心方向に沿って並べられる複数(本実施形態においては七つ)の板状部222,…を備える。
【0023】
板状部222,…は、ウォーム4の外周部と噛合する。そして、板状部222,…は、互いに平行となるように配置されると共に、柱状部22の軸心C2と傾斜して交差するように配置される。また、板状部222,…は、互いの間隔が所定の間隔となるように設定されている。具体的には、柱状部22が第1の付勢手段3に付勢されることにより、少なくとも一つの板状部222における両方の面がウォーム3と当接するように、互いの間隔が設定されている。
【0024】
第1の付勢手段3は、本体2のガイド孔部12の内周部に当接する球状の当接部材31と、当接部材31及び柱状部22間に配置される円筒状の第1の弾性体32とを備える。そして、第1の付勢手段3は、当接部材31の少なくとも一部と第1の弾性体32とが柱状部22の収容部221に収容されることにより、当接部材31がガイド孔部12にガイドされると共に、柱状部22(可動体2)と一体的になって本体1に対して変位する。
【0025】
また、第1の付勢手段3は、平板状の可動顎21と傾斜して交差する方向で、柱状部22を付勢する。さらに、第1の付勢手段3は、柱状部22の軸心C2と直交する(仮想の)面と傾斜して交差する方向で、柱状部22を付勢する。加えて、第1の付勢手段3は、柱状部22の軸心方向における一端側(固定顎11側)を付勢する。
【0026】
ウォーム4は、本体1に固定される支軸6に挿通される円筒状のウォーム本体41と、ウォーム本体41の外周部に螺旋状に配置され、柱状部22の板状部222,…と噛合する噛合部42とを備える。また、ウォーム4は、ウォーム本体41の一端側に第2の付勢手段5を収容するための凹部43を備える。なお、支軸6は、軸心が接離方向に沿って配置されている。
【0027】
第2の付勢手段5は、本体1とウォーム4との間であって且つウォーム4の軸心方向における一端側(固定顎11側)に配置される第2の弾性体51を備える。そして、第2の弾性体51は、円筒状に形成され、支軸6に挿通されている。
【0028】
以下、説明の便宜上、図4及び図5に示すように、ガイド孔部12における軸心C1から開放部121に向かう方向で、且つガイド孔部12の軸心C1に直交する方向を「X方向」といい、当該X方向に直交する方向で、且つガイド孔部12の軸心C1に直交する方向を「Y方向」といい、ガイド孔部12の軸心C1に平行な方向を「Z方向」という。
【0029】
以上のような構成を有する本実施形態に係るモンキーレンチによれば、第1の付勢手段3が、円筒状の第1の弾性体32の軸心方向に柱状部22を付勢する。具体的には、第1の付勢手段3は、平板状の可動顎21と傾斜して交差する方向であって、且つ柱状部22の軸心C2と直交する(仮想の)面と傾斜して交差する方向で、柱状部22を付勢する。すると、図4及び図5に示すように、柱状部22の軸心C2が、ガイド孔部12の軸心C1と、X方向及びY方向において傾斜して交差する。
【0030】
換言すると、ガイド孔部12における軸心C1から開放部121に向かう方向と直交する(仮想の)面(YZ平面)と、ガイド孔部12の軸心C1と直交する(仮想の)面(XY平面)とにおいて、柱状部22の軸心C2は、それぞれ傾斜して交差する。なお、柱状部22の軸心C2は、ガイド孔部12における軸心C1から開放部121に向かう方向に平行で、且つガイド孔部12の軸心C1に平行な(仮想の)面(ZX平面)においても、傾斜して交差している。
【0031】
これにより、柱状部22の軸心方向の一端側(固定顎11側)においては、柱状部22における可動顎12が突出する側(以下、単に「突出側」という)の外周部と、当接部材31とが、ガイド孔部12の内周部と当接すると共に、柱状部22の軸心方向の他端側(可動顎21側)においては、可動顎21の基端側が、ガイド孔部12の開放部121側と当接する。
【0032】
その結果、X方向及びY方向において、ガイド孔部12の軸心C1と柱状部22の軸心C2とがそれぞれ傾斜して交差した状態で、柱状部22が保持されるため、柱状部22の径方向の全ての方向で、可動体2が本体1に対してがたつくのを抑制できる。したがって、一対の顎11,21が接離する方向と直交する全ての方向で、可動体2が本体1に対してがたつくのを抑制できる。
【0033】
なお、図4及び図5において、柱状部22の突出側の外周部とガイド孔部12の内周部とが当接する接点をT1、当接部材31とガイド孔部12の内周部とが当接する接点をT2、可動顎21の基端側とガイド孔部12の開放部121側とが当接する接点をT3で図示している。
【0034】
また、本実施形態に係るモンキーレンチによれば、第1の付勢手段3が、柱状部22の軸心方向における一端側(固定顎11側)であって、柱状部22の外周部の反対側から、柱状部22を付勢する。これにより、可動顎21の先端部が固定顎11の先端部から離反するような状態で、柱状部22が付勢されて保持されている。
【0035】
ここで、一対の顎11,21で対象物を挟持する際に、作業者がモンキーレンチに力を作用させた場合、一対の顎11,21が離反する方向に力が作用する。したがって、一対の顎11,21の離間距離を調整した後で、作業者がモンキーレンチに力を作用させても、第1の付勢手段3の付勢力に反して可動体2が本体1に対してがたつく(位置ずれする)のを防止できる。
【0036】
また、本実施形態に係るモンキーレンチによれば、柱状部22が第1の付勢手段3に付勢されることにより、ウォーム4の噛合部42と噛合している板状部222,…の両方の面がウォーム4の噛合部42と当接する。これにより、柱状部22の径方向だけでなく、柱状部22の軸方向でも、可動体2が本体1に対してがたつくのを抑制できる。
【0037】
また、本実施形態に係るモンキーレンチによれば、第2の付勢手段5が接離方向でウォーム4を付勢するため、ウォーム4が本体1に対して接離方向でがたつくのを抑制できる。これにより、ウォーム4の噛合部42と噛合している板状部222,…の両方の面がウォーム4の噛合部42と当接しているため、柱状部22の軸方向で、可動体2が本体1に対してがたつくのをより確実に抑制できる。
【0038】
また、本実施形態に係るモンキーレンチによれば、可動顎21の第2の挟持面211が柱状部22の軸心C2と傾斜して交差するように配置されている。したがって、柱状部22が第1の付勢手段3に付勢されることで、柱状部22の軸心C2がガイド孔部12の軸心C1とX方向及びY方向において傾斜して交差することにより、固定顎11の第1の挟持面111と可動顎21の第2の挟持面211とが平行に配置されることになる。
【0039】
なお、本発明に係るモンキーレンチは、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。また、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0040】
例えば、上記実施形態に係るモンキーレンチにおいては、柱状部22の突出側の外周部とガイド孔部12の内周部との接点T1と、当接部材31とガイド孔部12の内周部との接点T2と、可動顎21の基端側とガイド孔部12の開放部121側との接点T3とで、本体1と可動体2とが当接することにより、柱状部22が保持される場合を説明したが、斯かる場合に限られない。
【0041】
具体的には、接点T3の代わりに、図6に示すように、柱状部22の軸心方向の一端側(可動顎21側)においては、柱状部22の反対側の外周部と、ガイド孔部12の内周部とが接点T4で当接するため、本体1と可動体2とが接点T1,T2,T4で当接することで、柱状部22が保持される場合でもよい。
【0042】
また、上記実施形態に係るモンキーレンチにおいては、第1の付勢手段3は、平板状の可動顎21と傾斜して交差する方向で、且つ柱状部22の軸心C2と直交する(仮想の)面と傾斜して交差する方向で、柱状部22を付勢する場合を説明したが、斯かる場合に限られない。
【0043】
例えば、図7(a)に示すように、第1の付勢手段3は、平板状の可動顎と平行な方向で、且つ柱状部22の軸心C2から外れた位置で、柱状部22を付勢する場合でもよい。要するに、第1の付勢手段は、ガイド孔部12における軸心C1から開放部121に向かう方向(X方向)と、当該方向及び軸心C1に直交する方向との両方向において、柱状部22の軸心C2がガイド孔部12の軸心C1とそれぞれ傾斜して交差した状態で、柱状部22が保持されるように、柱状部22を付勢するように配置されていればよい。
【0044】
また、上記実施形態に係るモンキーレンチにおいては、当接部材31の少なくとも一部及び第1の弾性体32を収容する収容部221が、柱状部22に設けられる場合を説明したが、斯かる場合に限られない。
【0045】
例えば、図7(b)に示すように、当接部材31の少なくとも一部及び第1の弾性体32を収容する収容部122が、ガイド孔部120に設けられる場合でもよい。そして、図7(b)に示す第1の付勢手段30は、柱状部22の外周部に当接する球状の当接部材31と、当接部材31及びガイド孔部120間に配置される円筒状の第1の弾性体32とを備える。
【0046】
また、上記実施形態に係るモンキーレンチにおいては、第1の付勢手段3が球状の当接部材31及び筒状の第1の弾性体(スプリング、コイルバネ)32を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、第1の付勢手段が板状の弾性体(板バネ)を備える場合でもよい。要するに、第1の付勢手段は、所定方向に柱状部22を付勢する構成であればよい。
【0047】
また、上記実施形態に係るモンキーレンチにおいては、第2の付勢手段5が筒状の第2の弾性体(スプリング、コイルバネ)51を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られず、例えば、第2の付勢手段が板状の弾性体(板バネ)を備える場合でもよい。要するに、第2の付勢手段は、ウォームを接離方向に付勢する構成であればよい。
【0048】
また、上記実施形態に係るモンキーレンチにおいては、第1の付勢手段3が一つの当接部材31及び一つの第1の弾性体32を備える場合を説明したが、斯かる場合に限られない。例えば、第1の付勢手段は、球状の当接部材31及び筒状の第1の弾性体32を複数備える場合でもよく、しかも、それぞれが異なる位置や方向で柱状部22を付勢する場合でもよい。
【符号の説明】
【0049】
1…本体、2…可動体、3…第1の付勢手段、4…ウォーム、5…第2の付勢手段、11…固定顎、12…ガイド孔部、22…柱状部、121…開放部、222…板状部、C1…(ガイド孔部の)軸心、C2…(柱状部の)軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定顎を有する本体と、固定顎と所定の接離方向で接離する可動顎を有し、一対の顎が接離するように本体に対して接離方向で相対的に変位する可動体とを備え、
本体は、軸心が接離方向に沿って配置され且つ可動体をガイドするガイド孔部を備え、
可動体は、ガイド孔部にガイドされるべくガイド孔部に挿入される柱状部を備え、
ガイド孔部は、柱状部に突設される可動顎が貫通するための開放部を接離方向に沿って備えるモンキーレンチにおいて、
ガイド孔部における軸心から開放部に向かう方向と、当該方向及びガイド孔部の軸心に直交する方向との両方向において、柱状部の軸心がガイド孔部の軸心とそれぞれ傾斜して交差した状態で、柱状部が保持されるべく、柱状部を付勢する第1の付勢手段を備えることを特徴とするモンキーレンチ。
【請求項2】
可動体を本体に対して変位させるべく、接離方向を中心に回転されるウォームを備え、
柱状部は、軸心方向に沿って並べられ且つウォームと噛合する複数の板状部を備え、
少なくとも一つの板状部は、柱状部が第1の付勢手段に付勢されることにより、両方の面がウォームと当接するように互いの間隔が設定されてなる請求項1に記載のモンキーレンチ。
【請求項3】
ウォームを接離方向で付勢する第2の付勢手段を備える請求項2に記載のモンキーレンチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−230273(P2011−230273A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105237(P2010−105237)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【特許番号】特許第4585626号(P4585626)
【特許公報発行日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(000232830)株式会社ロブテックス (21)