説明

ユニットプライス型工程管理システム、その方法およびプログラム

【課題】ユニットプライス型の工程表の生成および管理を容易にする。
【解決手段】ユニットプライス型工程管理システム(100)は、ユニット工程と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライスとを格納するユニットプライス記憶部(111)と、ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを格納する標準施工記憶部(112)と、ユニット工程およびその数量の入力を受け付ける操作入力部(120)と、受け付けたユニット工程およびその数量に基づき、標準施工記憶部とユニットプライス記憶部とを参照してユニット工程およびそれに要する施工期間を示した工程表を生成する工程管理部(130)と、生成された前記工程表を表示する表示部(140)とを具えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニットプライス型工程管理システム、その方法およびプログラムに関し、特に、簡易にユニットプライス型工程表を生成できるユニットプライス型工程管理システム、その方法およびプログラに関する。
【背景技術】
【0002】
公共工事の受発注は随意契約および入札によって行われてきたが、最近は原則として入札制度が用いられている。そして、公共工事の契約や入札の適正化を図るための「入契法」と、工事の価格と品質の確保を図るための「公共品確法」とが導入・施行され、入札から落札までのプロセスおよび工事の品質や安全の確保を総合的に評価する試みがなされている。
【0003】
このような公共工事を取り巻く環境、特に上述した2つの法律に応じて、国土交通省は、「総合評価落札方式の施工計画書」の提出を入札企業に義務付けるガイドラインを設けた。このガイドラインでは、入札説明会から1週間程度で「施工計画書」を提出することを要求している。このような施工計画書の中核をなす文書が、工事全体の各工程のスケジュールを管理する工程表である。工程表には幾つかのタイプがあるが、最も多く使用されるタイプは、施工単位毎にその施工期間を工程バーで表したバーチャート工程表である。
【0004】
一方、従来の建設業界では、いわゆる歩掛を用いた積算方式(積み上げ)を使って歩掛積算テーブルを構築し、或いは標準的な積算テーブルを用いて、これに適合した工事単位を工事名称として使用して単価計算や入札などを行っていた。しかしながら、国土交通省は、コストの削減、価格の透明性などを目的として、工事を構成する個々の要素の単価を積み上げずに、包括的な施工対象の工事別の「ユニットプライス型積算方式(施工単価形式)」を用いた入札・受注を推奨している(非特許文献1を参照されたい)。現在、ユニットプライス型積算方式は、舗装工事・河川工事などの限られた工事で試行されている状況であるが、今後は、国土交通省の指導によって、公共工事一般に普及することが予想される。
【0005】
上述したユニットプライス型積算方式とは、発注者と受注者の取引価格をベースに、工事目的物の施工単価(ユニットプライス)を調査・決定する方式である。具体的には、例えば、工事目的物の工事名称がアスファルト舗装工(車道部)、契約単位が200m、その値段が2千万円などの形式である。
【非特許文献1】ユニットプライス型積算方式の解説(編集:国土交通省大臣官房技術調査課、発行元:経済調査会、発行:2005年3月発行)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、入札説明会から1週間という短期間に、工程表を含む施工計画書を作成することはベテランの施工監督者、管理者であっても非常に困難であった。また、ユニットプライス型の工程表では、目的工事である「ユニット(工種や種別)」を工程バーで示し、さらに施工期間を工程バーの長さで示している。しかし、このような「ユニット」単位の工程バーは、当該ユニットに対して必要となる幾つかの施工手順(要素)に細分化される。このような細分化された施工手順に必要な人員および機材を矛盾なく低コストに適正かつ安全面を考慮して割り当てることは非常に困難であった。このような工程表作成作業は、ベテラン立案者の経験、スキル、および勘などに依存するものであった。さらに、ユニットや施工手順を再配置する場合には、機材や人員の再配置を伴うため、スケジュール全体に影響を及ぼすこともあり、施工計画の立案者にとっては過酷な作業である。特に、ユニット間には、前後関係(相互関係)がある場合が多く、前提となるユニットの施工が終了しなければ後続のユニットの施工を開始できなといった制約がある。また、ユニットを構成する要素(幾つかの施工手順)にも同様の前後関係がある。このようなユニットや要素の間の相互関係を考慮して、矛盾なく工程表を短期間で作成することによって計画立案者には多大な負荷がかかっていた。
【0007】
また、工事は一般的に屋外作業が多く、その進捗は天気、気温などの天候に左右されるため、これらのファクターを無視した施工計画では、予定期間が大きくずれることになる。公共工事では、納期遅れに対する違約金が高額であり、このような天候を加味した計画を練る必要があるが、ベテランの計画立案者が経験と勘を頼りにして天候を考慮した計画を立てているのが現状である。
【0008】
そこで、本発明は、上述した諸課題を解決すべく、今後、普及していくであろうユニットプライス型の工程表の生成および管理を容易にするユニットプライス型工程管理システム、その方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した諸課題を解決すべく、第1の発明によるユニットプライス型工程管理システムは、
ユニット工程(工種や種別)と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライス(ユニット工程の単価「単位数量あたりの価格」)とを格納するユニットプライス記憶部と、
ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを格納する標準施工記憶部と、
少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力部により受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部と前記ユニットプライス記憶部とを参照して、前記ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成する工程管理部と、
前記工程管理部により生成された前記工程表を表示する表示部と、
を具えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ユニット工程とその数量を入力するだけで、簡易かつ簡便に、矛盾がない適正な工程表を自動的に生成することができるようになる、
【0011】
また、第2の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
積算方式で規定された積算歩掛りデータを格納する積算歩掛り記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、
前記積算歩掛り記憶部を参照して、前記単位時間当りの標準施工量(好適には日当り施工量)を求め、求めた標準施工量を標準施工記憶部に格納する、
ことを特徴とする。
【0012】
また、第3の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記標準施工記憶部は、各ユニット工程を構成する複数の要素の単位時間当りの標準要素施工量をさらに格納し、
前記ユニットプライス型工程管理システムは、
積算方式で規定された積算歩掛りデータを格納する積算歩掛り記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、
前記積算歩掛り記憶部を参照して、要素の単位時間当りの標準施工量(好適には日当り要素施工量)を求め、求めた標準施工量を標準施工記憶部に格納する、
ことを特徴とする。
【0013】
また、第4の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記工程管理部は、
前記積算歩掛り記憶部を参照して、前記工程表に含まれる各ユニットまたは各要素の価格を前記工程表に関連付ける、
ことを特徴とする。
【0014】
土木・建設工事業界では、積算方式の積算歩掛りデータのデータベースおよび積算システムを構築している事業者が多くあり、標準的な積算歩掛りデータのみならず、自社のコストなどを反映させてカスタマイズした自社積算歩掛りデータも保有していることが多い。第2〜4の発明の構成によれば、「積算歩掛りデータ」に基づき、標準的な施工量を適切に求めることができる。特に、自社のカスタマイズされた積算歩掛りデータを長年に亘って構築してきた事業者は、適切かつ信頼性の高いユニットや要素の標準施工量や価格(ユニットの価格「ユニットプライス」、および、要素の価格)を設定することが可能となる。
【0015】
また、第5の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記ユニット工程を構成する複数の要素(細分化された工程、手順)は、施工期間が固定である固定要素(例えば、機材設置、機材点検、撤収、後片付け、清掃作業など)と、施工期間が変動可能である変動要素(例えば実際の作業)とを含む、
ことを特徴とする。
【0016】
工事計画をユニット工程で管理する場合には、全ての要素を含めた形式でユニットプライスおよび施工期間を管理することになり、ユニット工程全体の施工期間を正確に管理できない恐れがある。本構成によれば、ユニット工程を構成する要素別に施工期間が固定か、変動可能であるかという情報を持っているため、ユニット工程全体の施工期間を正確に管理できるようになる。また、工程表の構成を変更(ユニット工程の配置、或いは、要素の実行時期の再配置や再調整など)した場合に、正確な施工期間を求めることが可能である。
【0017】
また、第6の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記工程管理部は、
1日あたりの変動要素の施工期間を長く設定する、或いは、ユニット工程全体に対する前記固定要素の回数を減らすことによって、ユニット工程に要する施工期間を短く設定した工程表を生成する、
ことを特徴とする。
【0018】
本構成によれば、1日あたりの変動要素の施工期間を調整・変更することによって、全体の施工期間を短縮することが可能となる。
【0019】
また、第7の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記標準施工記憶部は、各ユニット工程を構成する複数の要素の単位時間当りの標準要素施工量をさらに格納し、
前記工程管理部は、前記操作入力部により受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部を参照して、ユニット工程を構成する複数の要素の要素施工期間をそれぞれ求め、求めた要素施工期間を合計することによって、ユニット工程の施工期間を求め、
前記標準施工記憶部は、前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素に対して、標準要素施工量よりも多い最適化要素施工量および当該最適化要素施工量に必要とされる作業指示をさらに格納し、
前記工程管理部は、
前記標準施工記憶部に格納されている最適化要素施工量をさらに参照して、ユニット工程に要する施工期間を短く設定した工程表を生成し、
前記工程表には、前記最適化要素施工量に必要とされる作業指示(バックホウとダンプトラックとの最適配置の指示)が関連付けられる、
ことを特徴とする。
【0020】
本構成によれば、施工手順を最適化した工程表を作成することができ、結果として低コストかつ短期間の工事を実現することが可能となる。また、施工主である国や自治体に自社の効率的な施工手順を提示することできるため、施工計画全体の評価を高めることが可能である。
【0021】
また、第8の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記工程管理部は、
前記工程表のユニット工程の各々に対して、当該ユニット工程を構成する複数の要素(作業手順)で構成されるユニット工程表を関連付ける、
ことを特徴とする。
【0022】
ユニット工程がバーチャートなどで表示されていても、実際の細分化された作業や手順までは把握できないが、本構成によれば、各ユニット工程に含まれる要素およびその作業期間を即座に把握することが可能となる。
【0023】
また、第9の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
利用可能な機材情報(重機の種類や台数および資材の種類・在庫(数量)などの情報)および/または人員情報(人数、人員毎のスキル・免許などの情報)を格納する資源記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、前記資源記憶部をさらに参照して、前記工程表を生成する、
ことを特徴とする。
【0024】
自社資源や外注可能な資源(機材、人員)を考慮した、より実現性の高い工程表を作成することが可能となる。例えば、掘削作業はバックホウの装着バケット容量によって、施工期間は大きく変動するものであり、資源記憶部の情報によって正確な施工期間を算定することが可能となる。
【0025】
また、第10の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記工程表は、ユニット工程に要する施工期間をバーで示したバーチャート工程表であり、施工期間を短縮することができるバーを視覚的に表示するためのデータを含む、
ことを特徴とする。
【0026】
本構成によれば、ユーザに改善可能な工程(バー)を提示することで、ユーザに改善を促してより効率化、期間短縮化、コスト低減化した工程表の作成が可能になる。
【0027】
また、第11の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記工程管理部は、
前記工程表のユニット工程の各々に対して、当該ユニット工程を構成する複数の要素(作業手順)で構成されるユニット工程表を生成し、
前記ユニット工程表は、ユニット工程を構成する複数の要素をバーで示したバーチャートユニット工程表であり、施工期間を短縮することができるバーを視覚的に表示するためのデータを含む、
ことを特徴とする。
【0028】
本構成によれば、ユーザに改善可能な要素(バー)を提示することで、ユーザに改善を促してより効率化、期間短縮化、コスト低減化した工程表の作成が可能になる。
【0029】
また、第12の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
風速、気温、天気のうちの少なくとも1つの天候履歴情報(例えば、当該地域のき日毎、時間毎の風速、気温、天気などの情報)を格納する気象情報記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、前記気象情報記憶部をさらに参照して、前記工程表を生成する、
ことを特徴とする。
【0030】
建設・土木工事では、気温によってコンクリートの固形化速度が大幅に異なったり、風速が大きい場合や雨、雷などが発生した場合には、安全上、作業禁止になる高所作業やクレーン吊り上げ作業があったりするため、施工期間に大きく影響を与えることとなる。本構成では、天候履歴情報を利用して、より実現性の高い工程表を作成することが可能となる。
【0031】
また、第13の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
ユニット工程を構成する各要素に対して関連機関に提出することを義務付けられている書類を格納する法令記憶部と、
前記工程表に含まれるユニット工程を構成する複数の要素に、前記書類の提出が必要であるか否かを判定する法令検査部と、
前記表示部は、前記工程表を表示すると共に、前記法令検査部によって書類の提出が必要であると判定された前記工程表の要素を視覚的に表示する(クリッカブル表示、強調表示(アニメーションで変化させた表示態様、太線や色違い表示態様など)、
ことを特徴とする。
【0032】
本構成によれば、工事を始める前に、工事に必要な許認可の届け出、申請、出願などを漏れなく行うことが可能となる。
【0033】
また、第14の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記工程管理部は、前記工程表に準拠して工事を施工した場合の前記少なくとも1つのユニット工程およびその数量に対するコストを算出し、当該コストを含む前記工程表を生成する、
ことを特徴とする。
【0034】
また、第15の発明によるユニットプライス型工程管理システムでは、
前記工程表のユニット工程を実施するときにかかったコストを取得するコスト取得部をさらに具え、
前記ユニットプライス記憶部は、前記コストに基づきユニットプライスを更新する、
ことを特徴とする。
本構成によれば、実際のコストデータを自社歩掛りとしてユニットプライスに反映することができるため、適正な価格での入札を行うこととが可能となる。
【0035】
上述したように本発明の解決手段を装置(システム)として説明してきたが、本発明はこれらに実質的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。なお、下記の方法やプログラムの各ステップは、データの処理においては必要に応じて、CPU、DSPなどの演算処理装置を使用するものであり、入力したデータや加工・生成したデータなどを磁気テープ、HDD、メモリなどの記憶装置に格納するものである。
【0036】
例えば、本発明を方法として実現させた第16の発明によるユニットプライス型工程管理方法は、
ユニット工程と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライスとをユニットプライス記憶部に格納するステップと、
ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを標準施工記憶部に格納するステップと、
入力部を用いて少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付けるステップと、
演算部を用いて、前記受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部と前記ユニットプライス記憶部とを参照して、前記ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成するステップと、
前記生成された前記工程表を表示部に表示するステップと、
を有することを特徴とする。
【0037】
また、本発明をプログラムとして実現させた第17の発明によるユニットプライス型工程管理方法をコンピュータに実行させるためのユニットプライス型工程管理プログラムは、
ユニットプライス型工程管理方法をコンピュータに実行させるためのユニットプライス型工程管理プログラム であって、
ユニット工程と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライスとをユニットプライス記憶部に格納するステップと、
ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを標準施工記憶部に格納するステップと、
少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付けるステップと、
前記受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部と前記ユニットプライス記憶部とを参照して、前記ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成するステップと、
前記生成された前記工程表を表示部に表示するステップと、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、ユニットプライス型の工程表の生成および管理を容易にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以降、諸図面を参照しながら、本発明の実施態様を詳細に説明する。
【0040】
<実施態様1>
図1は、本発明の実施態様1によるユニットプライス型工程管理システムのブロック図である。図に示すように、ユニットプライス型工程管理システム100は、記憶部110、操作入力部120を具える。記憶部110は、ユニット工程(工種や種別)と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライス(ユニット工程の単価「単位数量あたりの価格」)とを格納するユニットプライス記憶部111と、ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを格納する標準施工記憶部112と、積算方式で規定された積算歩掛りデータを格納する積算歩掛り記憶部113とを具える。また、操作入力部120は、少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付けるものであり、具体的には、ローカル接続された端末TM1或いはインターネットなどのネットワークNETを介してリモート接続された端末TM2のキーボードやマウスなどを介して情報を受け付ける。工程管理部130は、操作入力部120により受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、標準施工記憶部112とユニットプライス記憶部111とを参照して、ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成する。また、表示部140は、工程管理部130により生成された工程表(計画工程表)を表示する。また、工程管理部130は、積算歩掛り記憶部113を参照して、単位時間当りの標準施工量(好適には日当り施工量)を求め、求めた標準施工量を標準施工記憶部112に格納することもできる。即ち、標準施工記憶部112の情報は、積算歩掛りに基づき、更新することが可能である。
【0041】
標準施工記憶部112は、各ユニット工程を構成する複数の要素の単位時間当りの標準要素施工量(例えば、日当たり施工量)をさらに格納し、積算歩掛り記憶部113を参照して、要素の単位時間当りの標準施工量(好適には日当り要素施工量)を求め、求めた標準施工量を標準施工記憶部に格納してもよい。また、工程管理部130は、前記積算歩掛り記憶部113を参照して、工程表に含まれる各ユニットまたは各要素の価格を当該工程表に関連付けることもできる。関連付けられた価格情報は、対応する工程表の工程バーや要素のバーの付近に表示することが可能である。
【0042】
<実施態様2>
標準施工記憶部112は、ユニット工程を構成する複数の要素(細分化された工程、手順)の各々が施工期間が固定である固定要素(例えば、機材設置、機材点検、撤収、後片付け、清掃作業など)であるという情報か、或いは、施工期間が変動可能である変動要素(例えば、実際の掘削作業、地均し作業など)であるという情報かをさらに格納する。工程管理部130は、1日あたりの変動要素の施工期間を長く設定する、或いは、ユニット工程全体に対する前記固定要素の回数を減らすことによって、ユニット工程に要する施工期間を短く設定した工程表を生成する。このように、各要素が施工期間が固定であるか、変動可能であるかという情報を利用することによって、全体の工程スケジュールの短縮化を図ることが可能となる。このような変動要素か固定要素かの情報を利用しない場合は、施工期間や価格が不正確な数値となってしまうが、本構成では、各要素および各ユニット、さらには工事全体の施工期間や金額を正確に求めることが可能となる。
【0043】
また、標準施工記憶部112は、ユニット工程を構成する複数の要素(細分化された工程、手順、資材)の各々に対応する金額が、固定金額であるか(例えば材料費、資材費)、変動金額であるか(例えば、人件費や実作業の費用)という情報をさらに格納する。このような、固定金額か変動金額かの情報を利用しない場合は、価格が不正確な数値となってしまうが、本構成では、各要素および各ユニット、さらには工事全体の施工期間や金額を正確に求めることが可能となる。歩掛りデータには、セメントやアスファルトなどの資材の単価データを含むため、上述した固定金額か変動金額かの情報を含ませることによって、従来の積上げ方式の歩掛りデータを利用して、ユニットプライス型の金額を容易に求めることが可能となる。
【0044】
<アスファルト舗装工>
道路幅 4m
舗装面積(実施工量) 2,500m2
国土交通省土木工事積算基準
日当り標準施工量(基準) : 2,300m2
日当り標準作業時間 : 8時〜17時(昼1時間休憩) 8時間作業
日当り標準施工量を時間換算 : 2,300m2 ÷ 8時間 = 287.
5m2/時間
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
記憶部110は、資源記憶部114、気象情報記憶部115、および法令記憶部116をさらに具える。ユニットプライス型工程管理システム100は、法令検査部150、コスト取得部160、および通信部170をさらに具える。
【0049】
法令検査部150は、通信部170を介して外部の法令サーバLSから最新の法令データを取得し、法令記憶部116に格納する。法令データは、例えば、ユニット工程を構成する各要素に対して関連機関に提出することを義務付けられている書類の雛形などである。法令検査部150は、工程表に含まれるユニット工程を構成する複数の要素に、書類の提出が必要であるか否かを判定する。表示部140は、工程表を表示すると共に、法令検査部150によって書類の提出が必要であると判定された工程表の要素を視覚的に表示する(クリッカブル表示、強調表示など)。
【0050】
工程管理部130は、通信部170を介して外部の気象サーバASから過去、現在の気象データ、未来の予想の気象データを取得し、気象情報記憶部115に格納する。気象データの典型例は、風速、気温、天気などの天候履歴情報である。工程管理部130は、気象情報記憶部115をさらに参照して、天候情報を考慮した工程表を生成する。
【0051】
コスト取得部160は、操作入力部120或いは通信部170を介して端末TM1、TM2から、工程表のユニット工程を実施するときにかかったコストを取得し、ユニットプライス記憶部111は、当該コストに基づきユニットプライスを更新する。本構成によって、より自社のコストを反映したユニットプライスのデータベースを構築することが可能である。
【0052】
資源記憶部114は、利用可能な機材情報(重機の種類や台数および資材の種類・在庫(数量)などの情報)および/または人員情報(人数、人員毎のスキル・免許などの情報)を格納する。工程管理部130は、資源記憶部114をさらに参照して、工程表を生成する。資源記憶部114には、以下の表のような情報が格納される。
【0053】
【表4】

【0054】
図2は、図1に示したユニットプライス型工程管理システムの処理の一例を示すフローチャートである。図に示すように、ステップP11にて、ユニット工程(工種)と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライス(ユニット工程の単価「単位数量あたりの価格」)とをユニットプライス記憶部に格納し、さらに、ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを標準施工記憶部に格納する。ステップP12では、操作入力部を用いて少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付ける。ステップP13では、工程管理部(CPUなどの演算部)を用いて、受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、標準施工記憶部とユニットプライス記憶部とを参照して、ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成する。ステップP14では、生成された工程表を表示部に表示する、外部に工程表のデータを出力し、外部の端末などで工程表を表示する。
【0055】
図3は、図1のユニットプライス型工程管理システムにより作成した工程表である。図に示すように工程表TB1では、工種(或いは種別)単位で、施工期間を工程バーで表示する。1つの工種であってもそれには、複数の種別が含まれることがある。例えば、工種「撤去工」は、2つの種別「カッター工」、「舗装版撤去工」を含むものであり、この場合は、この2つの種別をユニットとして扱う。さらに、工種や種別には、それを構成する少なくとも1つの要素(施工手順)が含まれる。このような工程を組むには、工種や種別ごとに施工手順を考慮した上で日数を設定する。各工程バーには、施工手順に準じた、労務・機械・資材、価格が関連付けられている。このように、本実施態様によれば、ユニットとその数量(例えば、準備工1式、舗装版撤去工1400m2)と入力すれば、ユニットおよびその数量に応じた工程表TB1を自動的に生成することが可能である。また、各ユニットには、前後関係が規定されている。例えば、準備工は、他のいかなるユニットよりも先に実施する必要がある。従って、準備工の工程バーが工事の最初にスケジュールされることとなる。基本的なユニットの相互関係(順序)は、「準備工、撤去工、対象の工事(例えば舗装工)、付属の最終仕上げ工事(例えば、縁石工)」であり、このようなユニット間の前後関係が、標準施工記憶部112に格納されている。また、ユニットを構成する各要素(施工手順)にも前後関係があり、これらも標準施工記憶部112に格納されている。工程管理部130は、ユニット間の前後関係に基づき、矛盾なく各ユニット工程の工程バーを配置し、さらに、各要素の前後関係に基づき、例えば、矛盾なく各ユニットを構成する各要素の要素バーE1−E6を配置する(図4)。また、各工程バーや要素バーの長さは、入力された数量に基づき、さらには、工程管理部130によって算出された数値に基づき決定される。舗装版撤去工は、連続して全ての数量を施工することも可能であるが、ある程度の数量を処理した後、一旦停止して、次工程であると掘削残土処理などを実行した方が、処理工程上、或いは機材や人員のスケジュール上都合がいい場合がある。そのような場合は、工程管理部130は、図2に示すように、舗装版撤去工、およびその次工程というサイクルを繰り返すスケジュールの工程表を作成する。
【0056】
図4は、図3の工程表TB1の別の表示態様を示す図である。図1に示した、表示部140に表示された舗装版撤去工の工程バーB1を操作入力部(マウスなど)120を用いてクリックすると、図2に示すように、当該ユニット工程に関連付けられている、ユニット工程を構成する複数の要素(作業手順)で構成されるユニット工程表UT1がポップアップ表示される。工程バーB2、B3、ユニット工程表UT2,UT3の場合も同様である。工程表TB1では、工事全体のスケジュールを俯瞰することができても、各ユニットを構成する細部の要素(施工手順)までは把握できないが、本実施態様のように、必要に応じてユニット工程表をポップアップ表示させることによって、細部の要素まで容易に理解することが可能な工程表を提供することが可能である。さらに、各ユニット、各要素の価格についても同様にポップアップ表示させることが可能である。
【0057】
図5は、図3の工程表TB1の別の表示態様を示す図である。図5に示すように、施工期間が変動可能な工程バーは、例えば、工程バーB11のようにハッチングなどで強調表示される。従って、ユーザは、強調表示された工程バーの長さ(施工期間)をマウスなどの指示装置によって指示して、調整することが可能である。工程管理部130は、このようにある工程バーの施工期間が変動した場合に、自動的に他の工程バーや、細部のユニット工程表の各要素の要素バーなどの施工期間やユニットプライスなどの各種コストなどを自動的に再計算し、最新の計算値に基づき、再表示することが可能である。さらに、図に示すように、各工程が関連する一連の工程である工程バーB11,B12,B13,B14を点線G11で囲み、グループ工程であることを表示することができ、このような場合は、ユーザが、例えば、工程バーB12の施工期間を増減させた場合は、これに応じて、工程管理部130によって、点線G11で囲まれた他の工程バーB11,B13,B14の工程バーも同じ比率で増減される。この場合も、自動的に他の工程バーなども再計算、再表示される。
【0058】
図6は、固定要素および変動要素の表示例を示す図である。図6の(a)は、工事Aが要素バーE11,E12,E13が変動要素である。変動要素であることを示すために、ハッチングで強調表示されている。ユーザは、1日目と2日目に工事Aの施工時間を1時間ずつ増加させることによって、工期を2日間に短縮することが可能である。ユーザは、(a)の要素バーE11、E12を1時間ずつ増加させることによって、(b)のように要素バーE21,E22となる。このように本構成によれば、固定要素か変動要素かを視覚的に把握することが可能となり、工期の短縮、コストの圧縮のシミュレーションを容易に行うことが可能である。また、工程表の工程バーが施工期間を変動可能か否かを表示することが可能であり、この場合は、工程バーの長さを調整すると、それに応じて、ユニット工程表の変動要素の施工期間が自動的に変動する。
【0059】
図7は、舗装版破砕工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。図7の(a)に示すように、ステップS11では、作業に必要な機械を現場に搬入する。ステップS12では、他に影響を与えないように、コンクリートカッタにより舗装版を切断する。ステップS13では、0.4バックホウにて既設舗装版を破砕する。その際、破砕片は30cm未満にする。ステップS14では、破砕した舗装版を0.4バックホウにて、10tダンプトラックに積み込む。また、積載物が荷台からはみ出ないよう監視者がチェックする。ステップS15では、破砕した舗装版は指定された中間処理施設へ10tダンプトラックで運搬する。運搬経路は事前に監督員に経路表を提出する。最後に、ステップS16にて、機械を搬出して作業を終える。図7の(b)は、(a)に示したこのような要素(作業手順)の前後関係のデータ、および当該ユニットの数量に基づき、本システム100によって生成したユニット工程表UT11である。
【0060】
図8は、掘削のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。図8の(a)に示すように、ステップS21にて、0.4バックホウにより所定の深さまで掘削する。路床仕上面の掘削においては、極力路床面を乱さないように、かつ不陸が生じないように施工する。次に、ステップS22にて、掘削面の整形を行うが、3.1モーターグレーダで不陸が生じないように行う。また、構造物際等、機械での整形が困難な部分は人力にて整形する。次に、ステップS23にて、整形後、タイヤローラで所定の回数締め固める。また、機械転圧が困難な部分はハンドガイドローラ又はプレートコンパクタで締め固める。次に、ステップS24にて、掘削により発生した残土を、10tダンプトラックにより、指定された処理場に運搬する。運搬経路は事前に監督員に経路表を提出する。図8の(b)は、(a)に示したこのような要素(作業手順)の前後関係のデータ、および当該ユニットの数量に基づき、本システム100によって生成したユニット工程表UT12である。
【0061】
図9は、歩車道境界ブロック工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。図9の(a)に示すように、ステップS31にて、0.2バックホウにより所定の深さまで掘削する。路床仕上面の掘削においては、極力路床面を乱さないように、かつ不陸が生じないように施工する。床均しは人力で行い、ランマーを用いて締め固める。次にステップS32にて、0.2バックホウにて再生砕石(0〜40)を投入し人力により敷均す。その 際、最適含水比に近付けるように水分を調整し、ランマー等で入念に締固め、所定の厚さになるように仕上げる。次にステップS32にて、基礎型枠が所定の厚さ、幅を確保するよう設置段階で寸法をチェックする。また、設置した型枠がずれないよう5m毎に控え杭で固定する。次にステップS34にて、基礎コンクリートはシュートにて投入し、バイブレーターで締め固め、仕上げは金コテを使用して人力にて行う。養生は、気温に注意して一般養生を行う。次にステップS35にて、養生後の型枠脱枠は、基礎がいたまないよう人力にて行う。次にステップS36にて、モルタルは空練り(1:3)を使用し、人力にて所定の厚さを敷き均しする。次にステップS37にて、0.2バックホウ(クレーン仕様)にて、計画線からずれないように据付ける。また、据付後にずれが生じないよう、ブロック下部をモルタルで固定する。次にステップS38にて、セメントミルクにて目地詰めを行う。その際、セメントミルクがブロック脇から流出しないよう、ガムテープで目地の隙間を密閉する。次にステップS39にて、(9)埋め戻しは0.2バックホウを用いて、発生土を利用して行う。図9の(b)は、(a)に示したこのような要素(作業手順)の前後関係のデータ、および当該ユニットの数量に基づき、本システム100によって生成したユニット工程表UT13である。
【0062】
図10は車道路盤工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。図10の(a)に示すように、ステップS41にて、材料である砕石を搬入する。仕上げは、2層(1層目t=10cm,2層目t=10cm)とし、再生砕石(0〜40)を使用する。次にステップS42にて、1層当たりの仕上げを10cmとして、3.1モーターグレーダにて敷均しする。材料の含水状況に注意して必要に応じて散水し含水量の調整を行う。また、材料の分離を起こさないように注意して施工する。次にステップS43にて、マカダムローラにて転圧を行う。端部や細部は、ランマーにて転圧を行い、転圧不足にならないように注意して施工する。また、材料の含水状況に注意し必要に応じて散水し最適含水比に近い状態で入念に転圧する。図10の(b)は、(a)に示したこのような要素(作業手順)の前後関係のデータ、および当該ユニットの数量に基づき、本システム100によって生成したユニット工程表UT14である。
【0063】
図11は車道舗装工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。図11の(a)に示すように、ステップS51にて、路盤工完了後、アスファルト乳剤(PK-3)を路面及び歩車道境界ブロック・既設舗装コールドジョイント部側面に散布、又は塗布する。ステップS52にて、舗装型枠を、アスファルトフィニッシャの舗設幅及び現場状況に合った位置に設置する。設置に先立ち、スプレーでマーキングを施す。次にステップS53では、アスファルト混合物は、再生密粒度アスコン13Fを使用し、アスファルトフィニッシャにて敷均す。次にステップS54にて、転圧を行う。転圧は初期をマカダムローラで、仕上げをタイヤローラーで行い、平坦性、材料の均一性、アスファルト混合物の温度、ローラーマークに注意して施工する。次にステップS55にて、舗装型枠を撤去する。撤去は、新設した舗装の端部が崩れないよう人力にて丁寧に行う。図11の(b)は、(a)に示したこのような要素(作業手順)の前後関係のデータ、および当該ユニットの数量に基づき、本システム100によって生成したユニット工程表UT15である。
【0064】
図12は歩車道ブロック工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。図12の(a)に示すように、ステップS61にて、0.2バックホウにより所定の深さまで掘削する。床均しは人力で行い、ランマーにて締め固める。次にステップS62にて、0.2バックホウにて再生砕石(0〜40)を投入し、人力により敷均す。その際、最適含水比に近付けるように水分を調整し、ランマー等で入念に締固め、所定の厚さになるように仕上げる。次にステップS63にて、基礎型枠は所定の厚さ、幅を確保するよう設置段階で寸法をチェックする。また、設置した型枠がずれないよう控え杭で固定する。次にステップS64にて、基礎コンクリートはシュートにて投入し、バイブレータで締め固め、仕上げは金コテを使用して人力にて行う。養生は、気温に注意して一般養生を行う。また、支柱を建て込むためにあらかじめ径200のボイド管を差し込んだ状態で打設する。次にステップS65にて、型枠の脱枠を行う。なお、養生後の型枠脱枠は、基礎がいたまないよう人力にて行う。次にステップS66にて、支柱建て込みを、4tユニッククレーンを使用して行う。建て込み後は支柱と基礎の隙間にセメントミルクを注入する。次にステップS67にて、パネル及びウィングの取付は4tユニッククレーンを使用して行う。支柱とパネル、パネルとウィングは六角ボルトを堅固に締め付けて固定する。図12の(b)は、(a)に示したこのような要素(作業手順)の前後関係のデータ、および当該ユニットの数量に基づき、本システム100によって生成したユニット工程表UT16である。
【0065】
図13は、図1のユニットプライス型工程管理システムにより作成した工程表である。図に示すように、工程表TB2の左側には、ユニットボックスUBを設けてあり、ユーザは、ユニットボックスUB内の作業名(ユニット、工種、種別、要素名など)を選択し、これを右側にドラッグアンドドロップすることができる。このように、自動的に作成された工程表をユーザは任意にカスタマイズすることが可能である。
【0066】
図14は、最適化要素施工量に必要とされる作業指示の一例を示す図である。標準施工記憶部は、前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素に対して、標準要素施工量よりも多い最適化要素施工量および当該最適化要素施工量に必要とされる作業指示をさらに格納し工程管理部は、標準施工記憶部に格納されている最適化要素施工量をさらに参照して、ユニット工程に要する施工期間を短く設定した工程表を生成する。
この工程表には、(b)に示すように最適化要素施工量に必要とされる作業指示が関連付けられる。ちなみに、(a)は、効率を考慮しない配置図であり、ダンプトラックDT1とバックホウBH1と、掘削ゾーンZ1とが直線状になっているため、アームを180度転回する必要があり、作業効率が悪く、日当たり施工量が少なくなってしまう。一方、(b)は、ダンプトラックDT2とバックホウBH2と、掘削ゾーンZ2とが直角状になっているため、アームを90度だけ転回することで1回の作業が済むため、作業効率が良くなり、日当たり施工量も多くなる。本実施態様によれば、工程表にこのような作業指示を関連付けることができるため、より低コスト、短期間の工事を行うことが可能である。
【0067】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施態様1によるユニットプライス型工程管理システムのブロック図である。
【図2】図1のユニットプライス型工程管理システムにより作成した工程表である。
【図3】図2の工程表TB1の別の表示態様を示す図である。
【図4】図2の工程表TB1の別の表示態様を示す図である。
【図5】図2の工程表TB1の別の表示態様を示す図である。
【図6】固定要素および変動要素の表示例を示す図である。
【図7】舗装版破砕工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。
【図8】、掘削のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。
【図9】歩車道境界ブロック工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。
【図10】車道路盤工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。
【図11】車道舗装工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。
【図12】歩車道ブロック工のユニット工程の前後関係を示すデータ(フローチャート)およびこのデータを用いて作成したユニット工程表を示す図である。
【図13】図1のユニットプライス型工程管理システムにより作成した工程表である。
【図14】最適化要素施工量に必要とされる作業指示の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
100 ユニットプライス型工程管理システム
110 記憶部
111 ユニットプライス記憶部
112 標準施工記憶部
113 積歩掛り記憶部
114 資源記憶部
115 気象情報記憶部
116 法令記憶部
120 操作入力部
120 120 操作入力部
130 工程管理部
140 表示部
150 法令検査部
160 コスト取得部
170 通信部
NET ネットワーク
AS 気象サーバ
LS 法令サーバ
B1,B2,B11,B12,B13,B14 工程バー
BH1、BH2 バックホウ
DT1,DT2 ダンプトラック
E1,E11,E12,E13,E21,E22 要素バー
G11 点線
TB1,TB2 工程表
TM1,TM2 端末
UB ユニットボックス
UT1 ユニット工程表
UT11−UT16, ユニット工程表
UT1,UT2,UT3 ユニット工程表
Z1,Z2 掘削ゾーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユニットプライス型工程管理システムであって、
ユニット工程と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライスとを格納するユニットプライス記憶部と、
ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを格納する標準施工記憶部と、
少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付ける操作入力部と、
前記操作入力部により受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部と前記ユニットプライス記憶部とを参照して、前記ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成する工程管理部と、
前記工程管理部により生成された前記工程表を表示する表示部と、
を具えることを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
積算方式で規定された積算歩掛りデータを格納する積算歩掛り記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、
前記積算歩掛り記憶部を参照して、前記単位時間当りの標準施工量を求め、求めた標準施工量を標準施工記憶部に格納する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記標準施工記憶部は、各ユニット工程を構成する複数の要素の単位時間当りの標準要素施工量をさらに格納し、
前記ユニットプライス型工程管理システムは、
積算方式で規定された積算歩掛りデータを格納する積算歩掛り記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、
前記積算歩掛り記憶部を参照して、要素の単位時間当りの標準施工量を求め、求めた標準施工量を標準施工記憶部に格納する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記工程管理部は、
前記積算歩掛り記憶部を参照して、前記工程表に含まれる各ユニットまたは各要素の価格を前記工程表に関連付ける、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記ユニット工程を構成する複数の要素は、施工期間が固定である固定要素と、施工期間が変動可能である変動要素とを含む、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記工程管理部は、
1日あたりの変動要素の施工期間を長く設定する、或いは、ユニット工程全体に対する前記固定要素の回数を減らすことによって、ユニット工程に要する施工期間を短く設定した工程表を生成する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記標準施工記憶部は、各ユニット工程を構成する複数の要素の単位時間当りの標準要素施工量をさらに格納し、
前記工程管理部は、前記操作入力部により受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部を参照して、ユニット工程を構成する複数の要素の要素施工期間をそれぞれ求め、求めた要素施工期間を合計することによって、ユニット工程の施工期間を求め、
前記標準施工記憶部は、前記複数の要素のうちの少なくとも1つの要素に対して、標準要素施工量よりも多い最適化要素施工量および当該最適化要素施工量に必要とされる作業指示をさらに格納し、
前記工程管理部は、
前記標準施工記憶部に格納されている最適化要素施工量をさらに参照して、ユニット工程に要する施工期間を短く設定した工程表を生成し、
前記工程表には、前記最適化要素施工量に必要とされる作業指示が関連付けられる、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記工程管理部は、前記工程表のユニット工程の各々に対して、当該ユニット工程を構成する複数の要素で構成されるユニット工程表を関連付ける、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
利用可能な機材情報および/または人員情報を格納する資源記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、前記資源記憶部をさらに参照して、前記工程表を生成する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記工程表は、ユニット工程に要する施工期間をバーで示したバーチャート工程表であり、施工期間を短縮することができるバーを視覚的に表示するためのデータを含む、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記工程管理部は、
前記工程表のユニット工程の各々に対して、当該ユニット工程を構成する複数の要素で構成されるユニット工程表を生成し、
前記ユニット工程表は、ユニット工程を構成する複数の要素をバーで示したバーチャートユニット工程表であり、施工期間を短縮することができるバーを視覚的に表示するためのデータを含む、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
風速、気温、天気のうちの少なくとも1つの天候履歴情報を格納する気象情報記憶部をさらに具え、
前記工程管理部は、前記気象情報記憶部をさらに参照して、前記工程表を生成する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
ユニット工程を構成する各要素に対して関連機関に提出することを義務付けられている書類を格納する法令記憶部と、
前記工程表に含まれるユニット工程を構成する複数の要素に、前記書類の提出が必要であるか否かを判定する法令検査部と、
前記表示部は、前記工程表を表示すると共に、前記法令検査部によって書類の提出が必要であると判定された前記工程表の要素を視覚的に表示する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記工程管理部は、前記工程表に準拠して工事を施工した場合の前記少なくとも1つのユニット工程およびその数量に対するコストを算出し、当該コストを含む前記工程表を生成する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載のユニットプライス型工程管理システムにおいて、
前記工程表のユニット工程を実施するときにかかったコストを取得するコスト取得部をさらに具え、
前記ユニットプライス記憶部は、前記コストに基づきユニットプライスを更新する、
ことを特徴とするユニットプライス型工程管理システム。
【請求項16】
ユニットプライス型工程管理方法であって、
ユニット工程と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライスとをユニットプライス記憶部に格納するステップと、
ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを標準施工記憶部に格納するステップと、
入力部を用いて少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付けるステップと、
演算部を用いて、前記受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部と前記ユニットプライス記憶部とを参照して、前記ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成するステップと、
前記生成された前記工程表を表示部に表示するステップと、
を有することを特徴とするユニットプライス型工程管理方法。
【請求項17】
ユニットプライス型工程管理方法をコンピュータに実行させるためのユニットプライス型工程管理プログラム であって、
ユニット工程(工種)と該ユニット工程に関連付けられたユニットプライス(ユニット工程の単価「単位数量あたりの価格」)とをユニットプライス記憶部に格納するステップと、
ユニット工程間の前後関係と、各ユニット工程の単位時間当りの標準施工量とを標準施工記憶部に格納するステップと、
少なくとも1つのユニット工程および当該ユニット工程の数量の入力を受け付けるステップと、
前記受け付けたユニット工程および当該ユニット工程の数量に基づき、前記標準施工記憶部と前記ユニットプライス記憶部とを参照して、前記ユニット工程および当該ユニット工程に要する施工期間を示した工程表を生成するステップと、
前記生成された前記工程表を表示部に表示するステップと、
を有することを特徴とするユニットプライス型工程管理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−237988(P2009−237988A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84295(P2008−84295)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(501263809)株式会社コンピュータシステム研究所 (26)