ライナハーネスを備えたスノーボードブーツ
【課題】 弾性アッパーを備えた外側シェルと、外側シェル内に配置されたハーネス組立品とを有するスノーボードブーツ等のブーツを提供する。
【解決手段】 ハーネス組立品は、使用者の足首周りを覆い、複数のコード保持部材を有している。レースやステンレス鋼のケーブルといったコードは、使用者の足首周りにおいてハーネスを締め付けるために、コード保持部材と摺動可能に係合する。スプール機構やレース保持部材といった締め付け機構は、弾性アッパーに取り付けられ、コードと係合することにより、使用者はコードを解放可能に引っ張ることができる。コードは、外側シェル内の開口部を介して延びており、使用者は、ブーツを取り外すことなく、ハーネスを締め付けたり、緩めたりすることができる。本実施形態において、締め付け機構は、シェルの舌に固定されたレースロックであり、舌は、レースロックの底部近傍に配置され、コードを摺動可能に収容する開口部を有している。
【解決手段】 ハーネス組立品は、使用者の足首周りを覆い、複数のコード保持部材を有している。レースやステンレス鋼のケーブルといったコードは、使用者の足首周りにおいてハーネスを締め付けるために、コード保持部材と摺動可能に係合する。スプール機構やレース保持部材といった締め付け機構は、弾性アッパーに取り付けられ、コードと係合することにより、使用者はコードを解放可能に引っ張ることができる。コードは、外側シェル内の開口部を介して延びており、使用者は、ブーツを取り外すことなく、ハーネスを締め付けたり、緩めたりすることができる。本実施形態において、締め付け機構は、シェルの舌に固定されたレースロックであり、舌は、レースロックの底部近傍に配置され、コードを摺動可能に収容する開口部を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用ブーツに関するものであり、より具体的には、内部ハーネスを備えたスポーツ用ブーツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのブーツ、特に、スキー、スノーボード、スケート、ハイキング等といったスポーツ用途のブーツは、ブーツ及び使用者の足の間において、ブーツ内にフィットするブーツライナを用いて装着されるようになっている。ライナは、ブーツから取り外し可能であったり、ブーツに固定されたりしている。ライナによって、多くの利便を得ることができる。例えば、ライナによって、使用者の足の形状に合致させることができ、使用者及びブーツの間において、より適切なフィット感を得ることができる。また、ライナは、使用者の足を温め、使用者に対して詰め物を与え、蓄積した汗や他の水分を吸収し、使用者の足や足首及びブーツにおいて快適性を与えるために役立っている。取り外し可能なライナは、必要に応じて、簡単に清掃したり、交換したりすることができる。しばしば、ライナには、比較的堅く、耐久性を有するソールが設けられており、ライナが過度に摩耗するのを防止している。
【0003】
従来のブーツのライナは、単に、靴下タイプのライナであって、このライナは、管状で、略L字状に形成されており、使用者の足を支持するために、十分な伸縮性と柔軟性を備えている。このようなタイプのライナは、使用者が履いたり脱いだりするのに困難である。しばしば、スリットと舌を有する長手のバンプは、ライナ内に設けられており、ライナ及びブーツの装着を容易にしている。従来のライナは、一般的に、レースやバックルといった、ブーツの締め付けシステムを用いており、ライナ及び使用者(の足)の間で、適度な締め付けを与える。しかしながら、ブーツの締め付けシステムは、ライナに対して所望のフィット感を達成させるためには、適切ではない。これは、ブーツは、一般的に、ライナよりも堅い構成であるからである。
【0004】
この要求に応えるために、幾つかの従来のブーツ用ライナは、従来のバンプ部分と、レースやストラップといった、分離された締め付けシステムとを有している。このようなレースやストラップによって、ライナは、選択的な締め付け具合で、使用者の足やかかとの周りを締め付けることができる。これにより、使用者は、より最適なフィット感を得ることができる。また、このバンプタイプの構成によって、ライナとして用いることのできる材料の選択の幅を広げることができる。これは、ライナは、靴下タイプのライナのように伸縮性を備えている必要がないからである。このように材料の選択の幅が広がることにより、材料の選択において、上述したライナの様々な機能に適合させるための設計の幅を広げることができる。
【特許文献1】米国特許第5,934,599号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のライナにおいては、以下の不具合がある。すなわち、使用者が2組の履物のひもを縛らなければならない。また、ライナのレースに手を伸ばして外側シェルを外したり、ひもを解いたりせずに、ライナの締め付け具合を調整することができない。このため、使用者がスポーツ用ブーツの使用時において、ライナを締め付けたり、緩めたりする場合に、例えば、使用時にライナを緩める場合に、使用者がライナの締め付け具合を調整するのに不便であり、実用的ではない。このことは、スキーやスノーボードといったスノースポーツにおいては、特に問題となる。スノースポーツにおいては、環境状態によって、使用者がそのままの位置でスポーツ用ブーツを脱ぐことが困難である。また、使用者は、ブーツシェルを取り外すために、スノーゲートルを取り外したり、緩めたりしなければならず、不便性を増加させてしまう。従来のライナの締め付けシステムを用いた場合において、スノーボーダーは、1つか2つの斜面を下ってから、ブーツシェルを取り外してライナを再度締め付け、次の滑走を行う前にブーツシェルを再び装着することが一般的である。この工程は不便であり、与えられた日において、使用者が実際にスノーボードを行う時間を減らしてしまう。
【0006】
ブーツシェル用のレースシステムとしては、レースといったコードと、ブーツに装着されるスプールを備えた締め付け機構を用いたものが知られている。コードは、レースがブーツのバンプを交差するように、レースガイド内に摺動可能に配置されている。これにより、締め付け機構は、レースの張力を利用することができる。例えば、Hammerslagによって提案された米国特許第5,934,599号明細書では、このようなレースシステムが開示されており、締め付け機構は、ブーツ上部の後側において、外側に配置されている。しかしながら、このようなシステムでは、締め付け機構を取り付けるための適切な外面を設けなければならない。
【0007】
このため、別体の締め付けシステムを備えたブーツのライナは必要であり、組み込まれたブーツを緩めたり外したりすることなく、また、スノーゲートルやパンツを持ち上げたり緩めたりして、ブーツを外部に露出させることなく、ライナを締め付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
外側シェルを有し、内側ライナを用いた使用に適したスポーツ用ブーツを開示する。使用者が、ブーツを取り外すことなく、内側ライナを選択的に締め付けたり、緩めたりすることのできる機構を提供する。
【0009】
一つの実施形態において、ライナは、外側シェルとは独立しており、使用者の足やかかとの周りにおいて、ライナを締め付けるための締め付け具を有している。外側シェルは、比較的丈夫なソールと、ソールに取り付けられたアッパーとを有している。アッパーは、このアッパーを貫通する開口部を有している。ライナは、外側シェル内で保持される。複数のコード保持部材は、ライナに取り付けられ、締め付け具は、コード保持部材によって摺動可能に保持されている。締め付け機構は、ライナに取り付けられており、コードが使用者の足周りでライナを締め付けるための張力を与えることができるように、締め付け具と係合している。締め付け機構は、少なくとも一部において、外側シェルの開口部を介して延びるように位置しているとともに、大きさが設定されている。これにより、使用者は、外側シェルを取り外すことなく、締め付け機構を操作してコードの張力を調整することができる。
【0010】
本発明の他の実施形態において、ハーネスは、ブーツの外側シェル内に配置されている。ハーネスは、使用者のかかとの一部を覆う弾性パネルを有している。コードといった締め付け具は、使用者のかかとにおいて、ハーネスを締め付けるために設けられている。締め付け機構は、ハーネスに取り付けられ、コードを引っ張ることができるように、コードと係合する。これにより、使用者のかかとにおいてハーネスを締め付けることができるとともに、引っ張り状態においてコードを保持することができる。ブーツの外側シェルは、この外側シェルを貫通する開口部を有しており、締め付け機構は、この開口部内で延びている。これにより、使用者は、ブーツを取り外すことなく、締め付け機構を操作することができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、締め付け機構は、第1及び第2の位置の間で移動可能となっている。ここで、第1の位置は、締め付け機構がコードと動作可能に係合する位置である。また、第2の位置は、締め付け機構がコードと動作可能に係合しない位置である。
【0012】
本発明の一実施形態において、外側シェルの開口部は、弾性グロメットを有しており、この弾性グロメット内では、締め付け機構の少なくとも一部が延びている。
【0013】
本発明の一実施形態において、コードを、ステンレス鋼のケーブルとすることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、コード保持部材は、コードのためのU字形状の通路を有しており、このU字形状の通路は、比較的大きな最小径を有している。
【0015】
本発明の一実施形態において、他のコード保持部材は、ライナに取り付けられている。この他のコード保持部材は、コードのための通路を構成し、この通路はライナの略後側に配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に説明する本発明の態様及び多くの付随する効果は、図面を参照しつつ以下の詳細な説明によって容易に理解される。
【0017】
1.従来のブーツ及びライナの実施形態
本発明は、例えば、米国特許第6,877,256及び米国特許第6,993,859で提案されている新規なブーツ及びライナの技術を改良したものである。この改良をより良く理解するためと、本発明を十分に理解する上で読み手により良い手助けとなるために、まず、上述した特許における従来の実施形態について説明する。
【0018】
図において、同一の部材については、同一の符号を用いている。図1及び図2は、本発明であるスポーツ用ブーツ100を示す。スポーツ用ブーツ100は、外側シェル110と、取り外し可能なライナ160とを有している。ここでは、取り外し可能なライナについて説明するが、本発明は、取り外し可能なライナを用いた実施形態に限定されるものではない。スポーツ用ブーツ100の外側シェル110は、丈夫なソール112と、ソール112に取り付けられ、比較的弾性のアッパー114とを有している。アッパー114のソール112に対する取り付けは、従来から公知の様々な方法によって行うことができる。例えば、接着、縫合、取り付け用金属品を用いた取り付け、一体形成によって行うことができる。このような取り付け方法の選択は、スケート、スキー、スノーボード、ハイキング等といったものに適合するようにスポーツ用ブーツが設計される特定の目的に応じて行われる。
【0019】
アッパー114は、細長いギャップ120を有しており、ギャップ120は、アッパー114の上端部122から、アッパー114の長さの実質的な部分を介して、つま先の端部124に向かって延びている。舌121は、細長いギャップ120の基部近傍に取り付けられているとともに、細長いギャップ120に略沿って配置されている。本実施形態において、アッパー114は、コード116を用いて、支持(挿入)された使用者の足(不図示)を締め付けることができるようになっている。コード116としては、ケーブルやレースがあり、複数の対向するコード保持部材118、119内において、摺動可能に配置されている。本実施形態においては、繊維ループ118及び金属フック119で構成されたコード保持部材を示しているが、他の多くのコード保持部材を選択することもできる。また、浮動するコード保持部材を設けることもできる。本願において、「コード」は、細長く、弾性を有するレース、ケーブル、ストラップ等を示し、これは、スポーツ用ブーツの締め付け部材として用いられるとともに、革、金属(ステンレス鋼)、布、プラスチック等といった適切な材料で形成することができる。本実施形態において、コード116は、従来の繊維レースである。外側シェル110を締め付けるために、他の固定機構や追加的な固定機構を用いることができる。例えば、ストラップ、バックル、フック−ループタイプの締め付け具、外側ケーブルシステム等がある。
【0020】
開口部組立品126は、アッパー114の上端部122の近傍において、これに取り付けられる弾性グロメット130に設けられている。開口部組立品126及びグロメット130の目的及び例示構成について、以下に説明する。
【0021】
図2において最も明確に示しているように、ライナ160は、外側シェル110に対して取り外し可能な状態で挿入されている。本実施形態において、ライナ160は、弾性を有し、比較的丈夫なソール162と、比較的柔らかく、弾性を有するアッパー164とを有している。ソール162は、適切な材料で形成することができる。この材料としては、例えば、エチレンビニルアセテート共重合体といったポリマーや同様のポリマーを用いることができる。ソール162の底は、例えば、複数の先端(不図示)又は他の短い突出部を設けることによって織り込み、使用時に、ライナのソール162及びブーツのシェル110間で相対的に摺動するのを阻止することが好ましい。詰め物がされたアッパー164は、従来の方法、例えば、縫合、接着、一体形成によって、ソール162に取り付けることができる。
【0022】
詰め物がされたアッパー164は、使用者に対して、快適なフィット感、快適性、保護、水分分散、振動吸収を与えるようになっており、これにより、従来において公知の適切な弾性材料を用いて、アッパー164を構成することができる。例えば、天然繊維や合成繊維、革、詰め物の材料、及び、これらの組み合わせを用いることができる。アッパー164は、複数の層を有する複合構造とすることができ、様々な層を選択して、異なる機能を持たせることができる。例えば、柔らかい内側の層を快適性のために用いることができ、比較的堅い外側の層を支持及び耐久性のために用いることができる。革や高分子の片といった、一部の層を取り付けて、所望の位置において、強度及び/又は支持性を与えることができる。ライナ100のアッパー164は、細長いギャップ170を有し、細長いギャップ170は、ライナ160の上端部172の近傍からつま先の端部174に向かって下方に延びている。舌171は、細長いギャップ170の長手に略沿って延びている。
【0023】
図3及び図4は、ライナ160の詳細を示しており、これらの図において、複数の対向するコード保持部材168は、細長いギャップ170の対向する側において、ライナ160に取り付けられている。コード保持部材168は、低摩擦のプラスチック管状部材180を有しており(図4A及び図4B参照)、管状部材180は、横断したフランジ182を有するとともに、コード166を摺動可能に保持することのできる略U字形状の通路185を構成する。管状部材180は、ライナ160に取り付けられており、好ましくは、管状部材180上で縫合された革パネル184を用いて取り付けられている。ここで、他の適切な取り付けシステムを代替的に用いることができる。コード保持部材168、特に、管状部材180は、U字部分において比較的大きな最小径を有する略U字形状の通路185(図4B)を構成する。
【0024】
コード166は、コード保持部材168と摺動可能に係合し、細長いギャップ170において交差する。本実施形態において、コード166は、ステンレス鋼のケーブルであり、管状部材180に対して低摩擦係数を有している。これにより、コード166は、コード保持部材168内において、比較的自由に摺動する。ここで、コード166は、適切な強度及び弾性を有する材料で形成することができ、他の金属ケーブル、混合材料、繊維等を用いることができる。また、コード保持部材168内のU字形状の通路185によって構成された比較的大きな最小径によって、通路185内におけるコード166の摩擦結合を低減することができる。本実施形態において、2つの他のコード保持部材169は、アッパー164の上側後方部分の周りにおいて延びている。2つの他のコード保持部材169は、上述したコード保持部材168と同様の構成であり、フランジ付き管状部材189を有している。他のコード保持部材169は、コード166に対して低摩擦の通路を構成し、ライナ160の後方を覆っている。本実施形態において、複数の繊維ループ188は、舌171に取り付けられており、この中心の長手に沿って延びている。交差するコード166がループ188と係合することによって、所望の位置に舌171を保持する。
【0025】
図4Bは、管状部材180の端部を示し、フランジ182を示している。フランジ182は、比較的広く、平坦な面を構成し、管状部材180をライナ160に装着できるようになっている。フランジ182は、好ましくは、図示するように管状部材180を横断して延びており、U字形状の通路185の端部を所望の方向に維持している。
【0026】
締め付け機構190はライナ160に装着されており、好ましくは、アッパー164の上端部172の近傍に装着されている。締め付け機構190は、好ましくは、従来で公知のギア駆動のスプール機構であり、例えば、米国特許第5,934,599に開示されているスプール機構を用いることができる。締め付け機構190は、回転可能なつまみ192を有し、このつまみ192は、ライナ160から略離れる方向に突出している。図3の点線や矢印で示すように、つまみ192は、内側に位置する第1の位置と、外側に位置する第2の位置との間で移動可能となっている。ここで、第1の位置は、つまみ192が動作可能に締め付け機構190と係合する位置であり、第2の位置は、締め付け機構190が係合しない位置である。締め付け機構190は、内側のスプール(不図示)を有しており、このスプールは、コード166の両端部に機能的に取り付けられている。これにより、スプールの回転によって、コード166は、スプールの周りで巻かれる(又は、引き出される)。
【0027】
つまみ192が締め付け機構190と動作可能に係合する第1の位置にある場合において、つまみ192を回転させることによって、スプールが回転する。これにより、使用者は、コード166に対して選択的に張力を与えることができる。従来で公知の一体型ロック機構は、つまみ192が第1の位置にあるときにのみ、スプールが一方向に回転するのを阻止する。使用者は、つまみを第1の位置に位置させ、所望の締め付け力が得られるまで、つまみ192を回転させることによって、ライナ160を所望の状態に締め付けることができる。コード166及びコード保持部材168、169間の低摩擦抵抗によって、コード166の張力を、コード166の長手に沿って比較的均一にさせることができる。使用者は、つまみ192を第2の位置に向けて外側に引っ張ることにより、コード166上の張力を解除することができる。
【0028】
締め付け機構190は、例えば、革パネル194(図3参照)といったパネルを縫合することによって、締め付け機構190のフランジ(不図示)上において、ライナ160の外面に取り付けることができる。他の適切な装着機構としては、上述したものを代替的に用いることができ、本発明において考慮される。締め付け機構190は、好ましくは、比較的薄いものがよく、ライナ160の詰め物部分の外側において、使用者に対して不快感を与えるのを防止する方法で、ライナ160に取り付けられる。
【0029】
図1及び図2において、ブーツのシェル110には、開口部組立品126が設けられており、弾性グロメット130を有している。ライナ160がブーツのシェル110内に適切に挿入された場合に、開口部組立品126は、締め付け機構190を取り外し可能に支持する位置にある。ブーツシェル110は、十分な弾性を有しており、外側シェルのレース116が締め付けられていないときに、締め付け機構190を含むライナ160をブーツシェル110内に挿入させることができる。本実施形態における開口部組立品126は、閉じた開口部及びグロメット組立品を収容しているが、他の構成も可能であり、本発明によって考慮される。例えば、開口部を、上部において開口させ、ブーツシェル内において、締め付け機構190を摺動可能に収容するスロットを形成することができる。同様に、ストラップを備えたスロットのように、閉じることが可能な開口部や、開口部の開いた上部を解放可能に閉じることができる他の締め付け機構を設けることができる。ここで用いられている「開口部」とは、他の構成も含むものである。
【0030】
図5は、ブーツシェル110及びライナ160の部分断面図を示し、例示的な実施形態であるグロメット130を備えた開口部組立品126を示している。本実施形態において、開口部組立品126は、環状の革で形成された外側パネル132及び環状の弾性内側パネル134を有する。外側パネル132は、シェル110の開口部上において、シェル110の外面に配置されている。内側パネル134は、シェル110の内面に配置されており、外側パネル132に対して同心上に配置されている。内側及び外側の環状パネル132、134は、好ましくは、ブーツシェル110に縫合される。弾性の内側パネル134は、熱可塑性樹脂といった、適切な弾性材料で形成することができ、内側パネル134のうちグロメット130を形成する部分が、外側パネル132よりも内側に延びて、外側パネル132よりも小さな内径を有している。グロメット130は、十分な屈曲によって、締め付け機構190のつまみ192を支持するようになっており、締め付け機構190が内側パネル134の内側開口部を通過できるようになっている。この構成によって、締め付け機構190及びブーツシェル110間において、比較的堅い、耐候性のシールが構成される。
【0031】
当業者にとっては、締め付け機構190をシェル110の外側から操作することができる他の同様の構成を用いることができる。例えば、スロットを、シェル110上に設け、締め付け機構を支持したり、環状フックタイプのストラップといった締め付けストラップを設け、締め付け機構のための開口部を開いたりすることができる。他の同様の構成も明らかであり、本発明によって考慮される。同様に、開口部は、本発明から外れない範囲内において、シェル110上(ライナ110に対する互換性の変更)において異なる位置に配置することができる。
【0032】
また、上述した実施形態は、ライナのバンプ部分の全長に略沿って締め付けるものであるが、本発明を、かかとのハーネス等に対して適用して、かかとの浮きを抑制するために、使用者のかかと周りのみを締め付けることは、当業者にとって自明である。このかかとの浮きは、スノーボードにおける一般的な問題である。
【0033】
本実施形態のブーツ100は、内側ライナ160の締め付け装置として、外側で操作可能な締め付け機構190を有している。このシステムによって、使用者は、外側シェル110を取り外したり、緩めたりすることなく、使用者の足周りにおいて、ライナ160を締め付けたり、緩めたりすることができる。本実施形態において、締め付け機構は、便宜上、簡単に操作できるように、使用者の外側の側面又は内側の側面において、ブーツ100の上部近傍に配置されている。さらに、ライナは、必要であれば、簡単な清掃、メンテナンス、交換のために、外側シェル110から容易に取り外すようにすることができる。
【0034】
他の実施形態を図6〜図8に示す。図6は、スノーボードブーツといった、スポーツ用ブーツ200の斜視図を示し、点線で示すブーツシェル210と、ブーツシェル210内に配置され、ブーツシェル210の弾性アッパー214を介して延びる締め付け機構190を備えた内側のハーネス組立品240とを有している。図7は、ハーネス組立品240を分離して示している。ハーネス組立品240は、使用者の足首(不図示)の部分を覆う弾性パネル242を有している。
【0035】
弾性パネル242は、対向する端部244間において、細長いギャップを構成しており、対向する端部244を互いの方向に引っ張ることにより、使用者の足首において弾性パネル242を締め付けることができるようになっている。上述した第1の実施形態で説明したコード保持部材168と略同様であって、一対の対向した略U字形状のコード保持部材268(左側に示す)は、弾性パネル242に取り付けられている。また、弾性パネル242の後側において覆われた、2つの他のコード保持部材269A、269Bは、上述した他のコード保持部材169と略同様であり、弾性パネル242の上端部の近傍において取り付けられている。
【0036】
コード266、好ましくは、ステンレス鋼で形成されたケーブルタイプのコードは、コード保持部材268、269A、269Bを介して延びており、対向する直立した端部244間のギャップと、弾性パネル242の後側において略交差している。本実施形態において、図7に最も明確に示しているように、複数の環状シース265は、弾性パネル242の対向する端部244間のギャップに部分的に掛かるコード266の部分において、摺動可能に配置されている。シース265によって、挿入されるコード266のための低摩擦の通路が構成され、コード266を部材から保護するとともに、コード266及びブーツ200の他の部分の間における摩擦を低減することができる。
【0037】
締め付け機構190は、弾性パネル242に固定され、コード266を支持する。これにより、コード266は、上述したように、引っ張られて、使用者の周りにおいて、ハーネス組立品240をぴったりと固定することができる。特に、締め付け機構190は、回転可能なつまみ192を有し、つまみ192は、内側に配置された第1の位置と、外側に配置された第2の位置との間において、移動可能となっている。ここで、第1の位置は、つまみ192が締め付け機構190に対して動作可能に係合する位置であり、第2の位置は、締め付け機構190が係合しない位置である(図3参照)。図6の点線で示し、図2及び図5に示す構成と同様に、弾性アッパー214は、開口部組立品126を有し、開口部組立品126は、回転可能なつまみ192が開口部組立品126を介して延び、使用者がブーツ200を脱ぐことなく、つまみ192を操作可能となるように、締め付け機構190の少なくとも一部に適合している。
【0038】
つまみ192が、締め付け機構190と動作可能に係合する第1の位置にあるとき、つまみ192を回転させることによって、使用者は、コード266に対して、選択的に張力を与えることができる。第2の位置につまみ192を引っ張ることにより、使用者は、コード266の張力を解除することができる。コード266及びコード保持部材268、269A、269Bの間における低摩擦抵抗によって、コード266の張力を、コード266の長さに沿って略均一にさせることができる。締め付け機構190は、例えば、縫合又は他の適切な取り付け方法によって、弾性パネル242の外表面に取り付けられている。
【0039】
また、本実施形態において、コード266は、アッパー214の舌215と係合している。例えば、フック−ループタイプの部材といった解放可能な締め付け部材252を備えた前側と、コード266及びシース265に対して摺動可能に係合する1つ以上のコード保持部材254(2つを示す)を備えた後側とを有する係合部250が配置されている。図8は、ブーツシェル210及びライナ260の周りにおいて適宜覆われたハーネス組立品240の断面図を示している。図8に最も明確に示すように、アッパー214の舌215は、補足的なフック−ループタイプの部材といった解放可能な締め付け部材256を有しており、締め付け部材256は、係合部250と係脱可能に係合している。締め付け機構190を用いてコード266を締め付けたときに、舌215は、コード266によってライナ260に向けて引っ張られたり、付勢されたりし、ライナ260に対して快適なフィット感を与えることができる。
【0040】
本実施形態において、ハーネス組立品240の後部分と、弾性アッパー214の内側における後部分は、例えば、二組のフック−ループタイプの締め付け具258を用いることにより、解放可能に連結されている。解放可能な締め付け具252、256、258を用いることにより、使用者は、ブーツ200におけるハーネス組立品240の位置を調整することができる。一方、ハーネス組立品240及び弾性アッパー214の間における、不必要な摺動を抑制することができる。また、弾性パネル242は、例えば、弾性パネル242の下側端部241に沿った縫合によって、ブーツに固定することができる。これにより、ハーネス組立品240を所望の位置に保持させることができる。
【0041】
ブーツ200を使用するために、使用者は、従来のライナ260(又は、ブーツ内に予め挿入されたライナ260)で既に覆われた足を単にブーツ200挿入させ、つまみ192を回転させることによって、使用者の足首におけるハーネスを締め付けることができる。そして、ブーツ200は、それぞれ縛ることができる。使用時において、使用者は、快適性や特性を得るために、ハーネス組立品240を締め付けたり、緩めたりしたいことがある。このことは、ブーツ200を取り外すことなく、上述した締め付け機構190のつまみ192を用いて締め付けたり、緩めたりすることによって容易に行うことができる。使用者がブーツ200を取り外したい場合には、ブーツ200のレースを緩めた後に、つまみ192を外側に単に引っ張る。そして、ブーツ200の舌215を外側に引っ張り、コード266の張力を解除し、コード266をバンプから離れる方向に引っ張る。これにより、使用者は、ブーツ200を簡単に脱ぐことができる。
【0042】
上述した第2の実施形態を変更できることは容易である。例えば、解放可能な締め付け具を用いるよりも、コード保持部材を、ブーツ200のアッパー214における舌215に固定することができる。ハーネス組立品は、所定の位置において、ブーツ200に固定しなくてもよい。これにより、ハーネス組立品の全体を、例えば、清掃や交換のために、ブーツ200から取り外すことができる。
【0043】
この第2の実施形態によれば、従来のライナ260を用いてブーツ200を使用することができる。特に、使用者は、比較的高価な締め付け機構190を交換することなく、ライナ260を容易に交換することができる。また、締め付け機構190は、ブーツ200の舌215と係合している。これにより、使用者、ライナ260及びブーツ200における連結を向上させることができる。このことや、他の利点は、従来の当業者にとって明白である。
【0044】
2.ハーネスを備えたブーツの改良
本発明における改良されたスポーツ用ブーツ300を、図9に示す。このブーツ300は、締め付け機構390が外側シェル310の弾性アッパー314における足首部分に固定されていることを除き、上述したスポーツ用ブーツ200と同様である。締め付け機構390は、例えば、締め付け機構390上に一体型のフランジパネル311を設けたり、機構390を外側シェル314に直接縫合したりすることによって、弾性アッパー314に取り付けることができる。ブーツ200と同様に、ハーネス組立品340(点線で示す)は、使用者の足首の周りを覆っており、分離されたライナ360によって収納されている。
【0045】
ハーネス組立品340は、ギャップを構成する左右の端部を有する弾性パネル342を有している。弾性パネル342は、下側端部に沿ってブーツ300に取り付けられており、コード366と摺動可能に係合する複数のコード保持部材368を有している。これにより、パネル342の左右の端部は、互いの方向に付勢され、ブーツ300を取り外すことなく、ハーネス組立品340を締め付けたり、緩めたりすることができる。上述した実施形態のように、ハーネス組立品340は、弾性パネル342の後部分の周りで延びる細長いコード保持部材269Bを有している。
【0046】
締め付け機構390を外側シェル314に取り付けるための他の好適な取り付け機構としては、例えば、上述した取り付け機構を代替的に用いることができる。本実施形態において、コード366は、ステンレス鋼で形成されたケーブルである。スポーツ用ブーツ300の他の構成は、スポーツ用ブーツ200と同様であり、ここでは、説明の簡素化のために省略する。
【0047】
本発明の他の実施形態である部分的な正面図を図10に示す。図10は、スポーツ用ブーツ400の上部分の正面を示している。本実施形態において、ハーネス組立品440のための締め付け機構は、部材190としての上述したスプール機構ではなく、コード466と、スポーツ用ブーツ400の舌421に取り付けられるコードロック(レースロック)410とである。多くの好適なコードロックは、従来において知られており、例えば、米国特許第6,899,407において開示されているコードロックがある。レースロック410は、弾性アッパー414に固定されている。本実施形態では、レースロック410が舌421に取り付けられるものとして示しているが、当業者にとっては、レースロック410を、アッパー414の足首部分の側面又は後面を含む、アッパー414の他の部分に取り付けることもできる。本実施形態において、コード466は、従来の繊維製のレースである。
【0048】
上述したものと同様であるハーネス組立品440は、ブーツ400内に設けられており、好ましくは、ブーツ400に固定される。ハーネス組立品440は、ギャップを構成する左右の端部を備えた弾性パネル442を有している。弾性パネル442は、パネル442の対向する側に配置された複数のコード保持部材468を有している。コード466は、コード保持部材468と係合し、コード466に張力を与えることによって、パネルにおける左右の端部を互いの方向に付勢するとともに、使用者の足首周りにおいてハーネス組立品440を締め付けることができる。使用者は、追加的に、使用者の足周りにおいて、従来の分離されたライナ(不図示)を用いることができる。
【0049】
舌421は、2つの小さな開口部411を有しており、これらの開口部411は、コード466が延びる、レースロック410の下端部近傍に形成されている。開口部411は、金属製の小穴やプラスチックの縁等(不図示)を有している。コード466は、ハーネス組立品440上のコード保持部材468と係合し、開口部411を介して延びて、コードロック410と係合する。コード466は、好ましくは、ループ部分467を形成することにより、コード466を容易に握ったり、引っ張ったりすることができる。コードロック410は、コード466と非係合状態となって、張力を解除する解放機構412を有している。
【0050】
本実施形態において、使用者が、コード466のループ部分467を単に上方に引っ張ることにより、内側のハーネス組立品440を使用者の足首周りにおいて締め付けることができる。張力を低下させるために、例えば、使用者の快適性を増加させるために、使用者は、解放機構412を一時的に引っ張ることができる。さらに、ハーネス組立品440を緩めるために、例えば、滑走する間や、ブーツ400を解いたり、締め付けを解除したりした後に、ブーツ400を取り外すために、使用者は、舌421及び解放機構412をつかんで、ブーツ400のバンプにおけるギャップを前方に引っ張ることにより、コード466を緩めることができる。
【0051】
本発明の実施形態について説明したが、本発明の精神及び範囲を外れない範囲内において、様々な変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】シェル及びライナを備えた、本発明の実施例であるブーツの斜視図である。
【図2】図1に示すブーツ及びライナの斜視図であり、ライナがブーツのシェルに挿入される位置を示す図である。
【図3】図1に示すライナの斜視図である。
【図4A】図3に示すライナのレースシステムを示し、ライナを点線で示す図である。
【図4B】図3に示すライナにおいて、ライナコードを保持する管状部材の断面図である。
【図5】図1に示すブーツのライナ締め付け機構における、外側シェルの開口部を示す部分図である。
【図6】本発明の実施例2であって、ブーツ内に配置されるハーネスを用いたスポーツ用ブーツの斜視図であり、ブーツシェルを点線で示す。
【図7】図6に示すスノーボード用ブーツにおける、ハーネスの斜視図である。
【図8】図6に示すハーネスを備えたスノーボード用ブーツの部分断面図である。
【図9】図6に示す実施例と同様の他の実施例を示す斜視図であり、締め付け機構がブーツのアッパーに直接装着された図を示す。
【図10】ブーツの舌に直接装着されるレースロックを用いた他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0053】
300:スポーツ用ブーツ
310:外側シェル
314:弾性アッパー
340:ハーネス組立品
366:コード
390:締め付け機構
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ用ブーツに関するものであり、より具体的には、内部ハーネスを備えたスポーツ用ブーツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
多くのブーツ、特に、スキー、スノーボード、スケート、ハイキング等といったスポーツ用途のブーツは、ブーツ及び使用者の足の間において、ブーツ内にフィットするブーツライナを用いて装着されるようになっている。ライナは、ブーツから取り外し可能であったり、ブーツに固定されたりしている。ライナによって、多くの利便を得ることができる。例えば、ライナによって、使用者の足の形状に合致させることができ、使用者及びブーツの間において、より適切なフィット感を得ることができる。また、ライナは、使用者の足を温め、使用者に対して詰め物を与え、蓄積した汗や他の水分を吸収し、使用者の足や足首及びブーツにおいて快適性を与えるために役立っている。取り外し可能なライナは、必要に応じて、簡単に清掃したり、交換したりすることができる。しばしば、ライナには、比較的堅く、耐久性を有するソールが設けられており、ライナが過度に摩耗するのを防止している。
【0003】
従来のブーツのライナは、単に、靴下タイプのライナであって、このライナは、管状で、略L字状に形成されており、使用者の足を支持するために、十分な伸縮性と柔軟性を備えている。このようなタイプのライナは、使用者が履いたり脱いだりするのに困難である。しばしば、スリットと舌を有する長手のバンプは、ライナ内に設けられており、ライナ及びブーツの装着を容易にしている。従来のライナは、一般的に、レースやバックルといった、ブーツの締め付けシステムを用いており、ライナ及び使用者(の足)の間で、適度な締め付けを与える。しかしながら、ブーツの締め付けシステムは、ライナに対して所望のフィット感を達成させるためには、適切ではない。これは、ブーツは、一般的に、ライナよりも堅い構成であるからである。
【0004】
この要求に応えるために、幾つかの従来のブーツ用ライナは、従来のバンプ部分と、レースやストラップといった、分離された締め付けシステムとを有している。このようなレースやストラップによって、ライナは、選択的な締め付け具合で、使用者の足やかかとの周りを締め付けることができる。これにより、使用者は、より最適なフィット感を得ることができる。また、このバンプタイプの構成によって、ライナとして用いることのできる材料の選択の幅を広げることができる。これは、ライナは、靴下タイプのライナのように伸縮性を備えている必要がないからである。このように材料の選択の幅が広がることにより、材料の選択において、上述したライナの様々な機能に適合させるための設計の幅を広げることができる。
【特許文献1】米国特許第5,934,599号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のライナにおいては、以下の不具合がある。すなわち、使用者が2組の履物のひもを縛らなければならない。また、ライナのレースに手を伸ばして外側シェルを外したり、ひもを解いたりせずに、ライナの締め付け具合を調整することができない。このため、使用者がスポーツ用ブーツの使用時において、ライナを締め付けたり、緩めたりする場合に、例えば、使用時にライナを緩める場合に、使用者がライナの締め付け具合を調整するのに不便であり、実用的ではない。このことは、スキーやスノーボードといったスノースポーツにおいては、特に問題となる。スノースポーツにおいては、環境状態によって、使用者がそのままの位置でスポーツ用ブーツを脱ぐことが困難である。また、使用者は、ブーツシェルを取り外すために、スノーゲートルを取り外したり、緩めたりしなければならず、不便性を増加させてしまう。従来のライナの締め付けシステムを用いた場合において、スノーボーダーは、1つか2つの斜面を下ってから、ブーツシェルを取り外してライナを再度締め付け、次の滑走を行う前にブーツシェルを再び装着することが一般的である。この工程は不便であり、与えられた日において、使用者が実際にスノーボードを行う時間を減らしてしまう。
【0006】
ブーツシェル用のレースシステムとしては、レースといったコードと、ブーツに装着されるスプールを備えた締め付け機構を用いたものが知られている。コードは、レースがブーツのバンプを交差するように、レースガイド内に摺動可能に配置されている。これにより、締め付け機構は、レースの張力を利用することができる。例えば、Hammerslagによって提案された米国特許第5,934,599号明細書では、このようなレースシステムが開示されており、締め付け機構は、ブーツ上部の後側において、外側に配置されている。しかしながら、このようなシステムでは、締め付け機構を取り付けるための適切な外面を設けなければならない。
【0007】
このため、別体の締め付けシステムを備えたブーツのライナは必要であり、組み込まれたブーツを緩めたり外したりすることなく、また、スノーゲートルやパンツを持ち上げたり緩めたりして、ブーツを外部に露出させることなく、ライナを締め付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
外側シェルを有し、内側ライナを用いた使用に適したスポーツ用ブーツを開示する。使用者が、ブーツを取り外すことなく、内側ライナを選択的に締め付けたり、緩めたりすることのできる機構を提供する。
【0009】
一つの実施形態において、ライナは、外側シェルとは独立しており、使用者の足やかかとの周りにおいて、ライナを締め付けるための締め付け具を有している。外側シェルは、比較的丈夫なソールと、ソールに取り付けられたアッパーとを有している。アッパーは、このアッパーを貫通する開口部を有している。ライナは、外側シェル内で保持される。複数のコード保持部材は、ライナに取り付けられ、締め付け具は、コード保持部材によって摺動可能に保持されている。締め付け機構は、ライナに取り付けられており、コードが使用者の足周りでライナを締め付けるための張力を与えることができるように、締め付け具と係合している。締め付け機構は、少なくとも一部において、外側シェルの開口部を介して延びるように位置しているとともに、大きさが設定されている。これにより、使用者は、外側シェルを取り外すことなく、締め付け機構を操作してコードの張力を調整することができる。
【0010】
本発明の他の実施形態において、ハーネスは、ブーツの外側シェル内に配置されている。ハーネスは、使用者のかかとの一部を覆う弾性パネルを有している。コードといった締め付け具は、使用者のかかとにおいて、ハーネスを締め付けるために設けられている。締め付け機構は、ハーネスに取り付けられ、コードを引っ張ることができるように、コードと係合する。これにより、使用者のかかとにおいてハーネスを締め付けることができるとともに、引っ張り状態においてコードを保持することができる。ブーツの外側シェルは、この外側シェルを貫通する開口部を有しており、締め付け機構は、この開口部内で延びている。これにより、使用者は、ブーツを取り外すことなく、締め付け機構を操作することができる。
【0011】
本発明の一実施形態において、締め付け機構は、第1及び第2の位置の間で移動可能となっている。ここで、第1の位置は、締め付け機構がコードと動作可能に係合する位置である。また、第2の位置は、締め付け機構がコードと動作可能に係合しない位置である。
【0012】
本発明の一実施形態において、外側シェルの開口部は、弾性グロメットを有しており、この弾性グロメット内では、締め付け機構の少なくとも一部が延びている。
【0013】
本発明の一実施形態において、コードを、ステンレス鋼のケーブルとすることができる。
【0014】
本発明の一実施形態において、コード保持部材は、コードのためのU字形状の通路を有しており、このU字形状の通路は、比較的大きな最小径を有している。
【0015】
本発明の一実施形態において、他のコード保持部材は、ライナに取り付けられている。この他のコード保持部材は、コードのための通路を構成し、この通路はライナの略後側に配置されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に説明する本発明の態様及び多くの付随する効果は、図面を参照しつつ以下の詳細な説明によって容易に理解される。
【0017】
1.従来のブーツ及びライナの実施形態
本発明は、例えば、米国特許第6,877,256及び米国特許第6,993,859で提案されている新規なブーツ及びライナの技術を改良したものである。この改良をより良く理解するためと、本発明を十分に理解する上で読み手により良い手助けとなるために、まず、上述した特許における従来の実施形態について説明する。
【0018】
図において、同一の部材については、同一の符号を用いている。図1及び図2は、本発明であるスポーツ用ブーツ100を示す。スポーツ用ブーツ100は、外側シェル110と、取り外し可能なライナ160とを有している。ここでは、取り外し可能なライナについて説明するが、本発明は、取り外し可能なライナを用いた実施形態に限定されるものではない。スポーツ用ブーツ100の外側シェル110は、丈夫なソール112と、ソール112に取り付けられ、比較的弾性のアッパー114とを有している。アッパー114のソール112に対する取り付けは、従来から公知の様々な方法によって行うことができる。例えば、接着、縫合、取り付け用金属品を用いた取り付け、一体形成によって行うことができる。このような取り付け方法の選択は、スケート、スキー、スノーボード、ハイキング等といったものに適合するようにスポーツ用ブーツが設計される特定の目的に応じて行われる。
【0019】
アッパー114は、細長いギャップ120を有しており、ギャップ120は、アッパー114の上端部122から、アッパー114の長さの実質的な部分を介して、つま先の端部124に向かって延びている。舌121は、細長いギャップ120の基部近傍に取り付けられているとともに、細長いギャップ120に略沿って配置されている。本実施形態において、アッパー114は、コード116を用いて、支持(挿入)された使用者の足(不図示)を締め付けることができるようになっている。コード116としては、ケーブルやレースがあり、複数の対向するコード保持部材118、119内において、摺動可能に配置されている。本実施形態においては、繊維ループ118及び金属フック119で構成されたコード保持部材を示しているが、他の多くのコード保持部材を選択することもできる。また、浮動するコード保持部材を設けることもできる。本願において、「コード」は、細長く、弾性を有するレース、ケーブル、ストラップ等を示し、これは、スポーツ用ブーツの締め付け部材として用いられるとともに、革、金属(ステンレス鋼)、布、プラスチック等といった適切な材料で形成することができる。本実施形態において、コード116は、従来の繊維レースである。外側シェル110を締め付けるために、他の固定機構や追加的な固定機構を用いることができる。例えば、ストラップ、バックル、フック−ループタイプの締め付け具、外側ケーブルシステム等がある。
【0020】
開口部組立品126は、アッパー114の上端部122の近傍において、これに取り付けられる弾性グロメット130に設けられている。開口部組立品126及びグロメット130の目的及び例示構成について、以下に説明する。
【0021】
図2において最も明確に示しているように、ライナ160は、外側シェル110に対して取り外し可能な状態で挿入されている。本実施形態において、ライナ160は、弾性を有し、比較的丈夫なソール162と、比較的柔らかく、弾性を有するアッパー164とを有している。ソール162は、適切な材料で形成することができる。この材料としては、例えば、エチレンビニルアセテート共重合体といったポリマーや同様のポリマーを用いることができる。ソール162の底は、例えば、複数の先端(不図示)又は他の短い突出部を設けることによって織り込み、使用時に、ライナのソール162及びブーツのシェル110間で相対的に摺動するのを阻止することが好ましい。詰め物がされたアッパー164は、従来の方法、例えば、縫合、接着、一体形成によって、ソール162に取り付けることができる。
【0022】
詰め物がされたアッパー164は、使用者に対して、快適なフィット感、快適性、保護、水分分散、振動吸収を与えるようになっており、これにより、従来において公知の適切な弾性材料を用いて、アッパー164を構成することができる。例えば、天然繊維や合成繊維、革、詰め物の材料、及び、これらの組み合わせを用いることができる。アッパー164は、複数の層を有する複合構造とすることができ、様々な層を選択して、異なる機能を持たせることができる。例えば、柔らかい内側の層を快適性のために用いることができ、比較的堅い外側の層を支持及び耐久性のために用いることができる。革や高分子の片といった、一部の層を取り付けて、所望の位置において、強度及び/又は支持性を与えることができる。ライナ100のアッパー164は、細長いギャップ170を有し、細長いギャップ170は、ライナ160の上端部172の近傍からつま先の端部174に向かって下方に延びている。舌171は、細長いギャップ170の長手に略沿って延びている。
【0023】
図3及び図4は、ライナ160の詳細を示しており、これらの図において、複数の対向するコード保持部材168は、細長いギャップ170の対向する側において、ライナ160に取り付けられている。コード保持部材168は、低摩擦のプラスチック管状部材180を有しており(図4A及び図4B参照)、管状部材180は、横断したフランジ182を有するとともに、コード166を摺動可能に保持することのできる略U字形状の通路185を構成する。管状部材180は、ライナ160に取り付けられており、好ましくは、管状部材180上で縫合された革パネル184を用いて取り付けられている。ここで、他の適切な取り付けシステムを代替的に用いることができる。コード保持部材168、特に、管状部材180は、U字部分において比較的大きな最小径を有する略U字形状の通路185(図4B)を構成する。
【0024】
コード166は、コード保持部材168と摺動可能に係合し、細長いギャップ170において交差する。本実施形態において、コード166は、ステンレス鋼のケーブルであり、管状部材180に対して低摩擦係数を有している。これにより、コード166は、コード保持部材168内において、比較的自由に摺動する。ここで、コード166は、適切な強度及び弾性を有する材料で形成することができ、他の金属ケーブル、混合材料、繊維等を用いることができる。また、コード保持部材168内のU字形状の通路185によって構成された比較的大きな最小径によって、通路185内におけるコード166の摩擦結合を低減することができる。本実施形態において、2つの他のコード保持部材169は、アッパー164の上側後方部分の周りにおいて延びている。2つの他のコード保持部材169は、上述したコード保持部材168と同様の構成であり、フランジ付き管状部材189を有している。他のコード保持部材169は、コード166に対して低摩擦の通路を構成し、ライナ160の後方を覆っている。本実施形態において、複数の繊維ループ188は、舌171に取り付けられており、この中心の長手に沿って延びている。交差するコード166がループ188と係合することによって、所望の位置に舌171を保持する。
【0025】
図4Bは、管状部材180の端部を示し、フランジ182を示している。フランジ182は、比較的広く、平坦な面を構成し、管状部材180をライナ160に装着できるようになっている。フランジ182は、好ましくは、図示するように管状部材180を横断して延びており、U字形状の通路185の端部を所望の方向に維持している。
【0026】
締め付け機構190はライナ160に装着されており、好ましくは、アッパー164の上端部172の近傍に装着されている。締め付け機構190は、好ましくは、従来で公知のギア駆動のスプール機構であり、例えば、米国特許第5,934,599に開示されているスプール機構を用いることができる。締め付け機構190は、回転可能なつまみ192を有し、このつまみ192は、ライナ160から略離れる方向に突出している。図3の点線や矢印で示すように、つまみ192は、内側に位置する第1の位置と、外側に位置する第2の位置との間で移動可能となっている。ここで、第1の位置は、つまみ192が動作可能に締め付け機構190と係合する位置であり、第2の位置は、締め付け機構190が係合しない位置である。締め付け機構190は、内側のスプール(不図示)を有しており、このスプールは、コード166の両端部に機能的に取り付けられている。これにより、スプールの回転によって、コード166は、スプールの周りで巻かれる(又は、引き出される)。
【0027】
つまみ192が締め付け機構190と動作可能に係合する第1の位置にある場合において、つまみ192を回転させることによって、スプールが回転する。これにより、使用者は、コード166に対して選択的に張力を与えることができる。従来で公知の一体型ロック機構は、つまみ192が第1の位置にあるときにのみ、スプールが一方向に回転するのを阻止する。使用者は、つまみを第1の位置に位置させ、所望の締め付け力が得られるまで、つまみ192を回転させることによって、ライナ160を所望の状態に締め付けることができる。コード166及びコード保持部材168、169間の低摩擦抵抗によって、コード166の張力を、コード166の長手に沿って比較的均一にさせることができる。使用者は、つまみ192を第2の位置に向けて外側に引っ張ることにより、コード166上の張力を解除することができる。
【0028】
締め付け機構190は、例えば、革パネル194(図3参照)といったパネルを縫合することによって、締め付け機構190のフランジ(不図示)上において、ライナ160の外面に取り付けることができる。他の適切な装着機構としては、上述したものを代替的に用いることができ、本発明において考慮される。締め付け機構190は、好ましくは、比較的薄いものがよく、ライナ160の詰め物部分の外側において、使用者に対して不快感を与えるのを防止する方法で、ライナ160に取り付けられる。
【0029】
図1及び図2において、ブーツのシェル110には、開口部組立品126が設けられており、弾性グロメット130を有している。ライナ160がブーツのシェル110内に適切に挿入された場合に、開口部組立品126は、締め付け機構190を取り外し可能に支持する位置にある。ブーツシェル110は、十分な弾性を有しており、外側シェルのレース116が締め付けられていないときに、締め付け機構190を含むライナ160をブーツシェル110内に挿入させることができる。本実施形態における開口部組立品126は、閉じた開口部及びグロメット組立品を収容しているが、他の構成も可能であり、本発明によって考慮される。例えば、開口部を、上部において開口させ、ブーツシェル内において、締め付け機構190を摺動可能に収容するスロットを形成することができる。同様に、ストラップを備えたスロットのように、閉じることが可能な開口部や、開口部の開いた上部を解放可能に閉じることができる他の締め付け機構を設けることができる。ここで用いられている「開口部」とは、他の構成も含むものである。
【0030】
図5は、ブーツシェル110及びライナ160の部分断面図を示し、例示的な実施形態であるグロメット130を備えた開口部組立品126を示している。本実施形態において、開口部組立品126は、環状の革で形成された外側パネル132及び環状の弾性内側パネル134を有する。外側パネル132は、シェル110の開口部上において、シェル110の外面に配置されている。内側パネル134は、シェル110の内面に配置されており、外側パネル132に対して同心上に配置されている。内側及び外側の環状パネル132、134は、好ましくは、ブーツシェル110に縫合される。弾性の内側パネル134は、熱可塑性樹脂といった、適切な弾性材料で形成することができ、内側パネル134のうちグロメット130を形成する部分が、外側パネル132よりも内側に延びて、外側パネル132よりも小さな内径を有している。グロメット130は、十分な屈曲によって、締め付け機構190のつまみ192を支持するようになっており、締め付け機構190が内側パネル134の内側開口部を通過できるようになっている。この構成によって、締め付け機構190及びブーツシェル110間において、比較的堅い、耐候性のシールが構成される。
【0031】
当業者にとっては、締め付け機構190をシェル110の外側から操作することができる他の同様の構成を用いることができる。例えば、スロットを、シェル110上に設け、締め付け機構を支持したり、環状フックタイプのストラップといった締め付けストラップを設け、締め付け機構のための開口部を開いたりすることができる。他の同様の構成も明らかであり、本発明によって考慮される。同様に、開口部は、本発明から外れない範囲内において、シェル110上(ライナ110に対する互換性の変更)において異なる位置に配置することができる。
【0032】
また、上述した実施形態は、ライナのバンプ部分の全長に略沿って締め付けるものであるが、本発明を、かかとのハーネス等に対して適用して、かかとの浮きを抑制するために、使用者のかかと周りのみを締め付けることは、当業者にとって自明である。このかかとの浮きは、スノーボードにおける一般的な問題である。
【0033】
本実施形態のブーツ100は、内側ライナ160の締め付け装置として、外側で操作可能な締め付け機構190を有している。このシステムによって、使用者は、外側シェル110を取り外したり、緩めたりすることなく、使用者の足周りにおいて、ライナ160を締め付けたり、緩めたりすることができる。本実施形態において、締め付け機構は、便宜上、簡単に操作できるように、使用者の外側の側面又は内側の側面において、ブーツ100の上部近傍に配置されている。さらに、ライナは、必要であれば、簡単な清掃、メンテナンス、交換のために、外側シェル110から容易に取り外すようにすることができる。
【0034】
他の実施形態を図6〜図8に示す。図6は、スノーボードブーツといった、スポーツ用ブーツ200の斜視図を示し、点線で示すブーツシェル210と、ブーツシェル210内に配置され、ブーツシェル210の弾性アッパー214を介して延びる締め付け機構190を備えた内側のハーネス組立品240とを有している。図7は、ハーネス組立品240を分離して示している。ハーネス組立品240は、使用者の足首(不図示)の部分を覆う弾性パネル242を有している。
【0035】
弾性パネル242は、対向する端部244間において、細長いギャップを構成しており、対向する端部244を互いの方向に引っ張ることにより、使用者の足首において弾性パネル242を締め付けることができるようになっている。上述した第1の実施形態で説明したコード保持部材168と略同様であって、一対の対向した略U字形状のコード保持部材268(左側に示す)は、弾性パネル242に取り付けられている。また、弾性パネル242の後側において覆われた、2つの他のコード保持部材269A、269Bは、上述した他のコード保持部材169と略同様であり、弾性パネル242の上端部の近傍において取り付けられている。
【0036】
コード266、好ましくは、ステンレス鋼で形成されたケーブルタイプのコードは、コード保持部材268、269A、269Bを介して延びており、対向する直立した端部244間のギャップと、弾性パネル242の後側において略交差している。本実施形態において、図7に最も明確に示しているように、複数の環状シース265は、弾性パネル242の対向する端部244間のギャップに部分的に掛かるコード266の部分において、摺動可能に配置されている。シース265によって、挿入されるコード266のための低摩擦の通路が構成され、コード266を部材から保護するとともに、コード266及びブーツ200の他の部分の間における摩擦を低減することができる。
【0037】
締め付け機構190は、弾性パネル242に固定され、コード266を支持する。これにより、コード266は、上述したように、引っ張られて、使用者の周りにおいて、ハーネス組立品240をぴったりと固定することができる。特に、締め付け機構190は、回転可能なつまみ192を有し、つまみ192は、内側に配置された第1の位置と、外側に配置された第2の位置との間において、移動可能となっている。ここで、第1の位置は、つまみ192が締め付け機構190に対して動作可能に係合する位置であり、第2の位置は、締め付け機構190が係合しない位置である(図3参照)。図6の点線で示し、図2及び図5に示す構成と同様に、弾性アッパー214は、開口部組立品126を有し、開口部組立品126は、回転可能なつまみ192が開口部組立品126を介して延び、使用者がブーツ200を脱ぐことなく、つまみ192を操作可能となるように、締め付け機構190の少なくとも一部に適合している。
【0038】
つまみ192が、締め付け機構190と動作可能に係合する第1の位置にあるとき、つまみ192を回転させることによって、使用者は、コード266に対して、選択的に張力を与えることができる。第2の位置につまみ192を引っ張ることにより、使用者は、コード266の張力を解除することができる。コード266及びコード保持部材268、269A、269Bの間における低摩擦抵抗によって、コード266の張力を、コード266の長さに沿って略均一にさせることができる。締め付け機構190は、例えば、縫合又は他の適切な取り付け方法によって、弾性パネル242の外表面に取り付けられている。
【0039】
また、本実施形態において、コード266は、アッパー214の舌215と係合している。例えば、フック−ループタイプの部材といった解放可能な締め付け部材252を備えた前側と、コード266及びシース265に対して摺動可能に係合する1つ以上のコード保持部材254(2つを示す)を備えた後側とを有する係合部250が配置されている。図8は、ブーツシェル210及びライナ260の周りにおいて適宜覆われたハーネス組立品240の断面図を示している。図8に最も明確に示すように、アッパー214の舌215は、補足的なフック−ループタイプの部材といった解放可能な締め付け部材256を有しており、締め付け部材256は、係合部250と係脱可能に係合している。締め付け機構190を用いてコード266を締め付けたときに、舌215は、コード266によってライナ260に向けて引っ張られたり、付勢されたりし、ライナ260に対して快適なフィット感を与えることができる。
【0040】
本実施形態において、ハーネス組立品240の後部分と、弾性アッパー214の内側における後部分は、例えば、二組のフック−ループタイプの締め付け具258を用いることにより、解放可能に連結されている。解放可能な締め付け具252、256、258を用いることにより、使用者は、ブーツ200におけるハーネス組立品240の位置を調整することができる。一方、ハーネス組立品240及び弾性アッパー214の間における、不必要な摺動を抑制することができる。また、弾性パネル242は、例えば、弾性パネル242の下側端部241に沿った縫合によって、ブーツに固定することができる。これにより、ハーネス組立品240を所望の位置に保持させることができる。
【0041】
ブーツ200を使用するために、使用者は、従来のライナ260(又は、ブーツ内に予め挿入されたライナ260)で既に覆われた足を単にブーツ200挿入させ、つまみ192を回転させることによって、使用者の足首におけるハーネスを締め付けることができる。そして、ブーツ200は、それぞれ縛ることができる。使用時において、使用者は、快適性や特性を得るために、ハーネス組立品240を締め付けたり、緩めたりしたいことがある。このことは、ブーツ200を取り外すことなく、上述した締め付け機構190のつまみ192を用いて締め付けたり、緩めたりすることによって容易に行うことができる。使用者がブーツ200を取り外したい場合には、ブーツ200のレースを緩めた後に、つまみ192を外側に単に引っ張る。そして、ブーツ200の舌215を外側に引っ張り、コード266の張力を解除し、コード266をバンプから離れる方向に引っ張る。これにより、使用者は、ブーツ200を簡単に脱ぐことができる。
【0042】
上述した第2の実施形態を変更できることは容易である。例えば、解放可能な締め付け具を用いるよりも、コード保持部材を、ブーツ200のアッパー214における舌215に固定することができる。ハーネス組立品は、所定の位置において、ブーツ200に固定しなくてもよい。これにより、ハーネス組立品の全体を、例えば、清掃や交換のために、ブーツ200から取り外すことができる。
【0043】
この第2の実施形態によれば、従来のライナ260を用いてブーツ200を使用することができる。特に、使用者は、比較的高価な締め付け機構190を交換することなく、ライナ260を容易に交換することができる。また、締め付け機構190は、ブーツ200の舌215と係合している。これにより、使用者、ライナ260及びブーツ200における連結を向上させることができる。このことや、他の利点は、従来の当業者にとって明白である。
【0044】
2.ハーネスを備えたブーツの改良
本発明における改良されたスポーツ用ブーツ300を、図9に示す。このブーツ300は、締め付け機構390が外側シェル310の弾性アッパー314における足首部分に固定されていることを除き、上述したスポーツ用ブーツ200と同様である。締め付け機構390は、例えば、締め付け機構390上に一体型のフランジパネル311を設けたり、機構390を外側シェル314に直接縫合したりすることによって、弾性アッパー314に取り付けることができる。ブーツ200と同様に、ハーネス組立品340(点線で示す)は、使用者の足首の周りを覆っており、分離されたライナ360によって収納されている。
【0045】
ハーネス組立品340は、ギャップを構成する左右の端部を有する弾性パネル342を有している。弾性パネル342は、下側端部に沿ってブーツ300に取り付けられており、コード366と摺動可能に係合する複数のコード保持部材368を有している。これにより、パネル342の左右の端部は、互いの方向に付勢され、ブーツ300を取り外すことなく、ハーネス組立品340を締め付けたり、緩めたりすることができる。上述した実施形態のように、ハーネス組立品340は、弾性パネル342の後部分の周りで延びる細長いコード保持部材269Bを有している。
【0046】
締め付け機構390を外側シェル314に取り付けるための他の好適な取り付け機構としては、例えば、上述した取り付け機構を代替的に用いることができる。本実施形態において、コード366は、ステンレス鋼で形成されたケーブルである。スポーツ用ブーツ300の他の構成は、スポーツ用ブーツ200と同様であり、ここでは、説明の簡素化のために省略する。
【0047】
本発明の他の実施形態である部分的な正面図を図10に示す。図10は、スポーツ用ブーツ400の上部分の正面を示している。本実施形態において、ハーネス組立品440のための締め付け機構は、部材190としての上述したスプール機構ではなく、コード466と、スポーツ用ブーツ400の舌421に取り付けられるコードロック(レースロック)410とである。多くの好適なコードロックは、従来において知られており、例えば、米国特許第6,899,407において開示されているコードロックがある。レースロック410は、弾性アッパー414に固定されている。本実施形態では、レースロック410が舌421に取り付けられるものとして示しているが、当業者にとっては、レースロック410を、アッパー414の足首部分の側面又は後面を含む、アッパー414の他の部分に取り付けることもできる。本実施形態において、コード466は、従来の繊維製のレースである。
【0048】
上述したものと同様であるハーネス組立品440は、ブーツ400内に設けられており、好ましくは、ブーツ400に固定される。ハーネス組立品440は、ギャップを構成する左右の端部を備えた弾性パネル442を有している。弾性パネル442は、パネル442の対向する側に配置された複数のコード保持部材468を有している。コード466は、コード保持部材468と係合し、コード466に張力を与えることによって、パネルにおける左右の端部を互いの方向に付勢するとともに、使用者の足首周りにおいてハーネス組立品440を締め付けることができる。使用者は、追加的に、使用者の足周りにおいて、従来の分離されたライナ(不図示)を用いることができる。
【0049】
舌421は、2つの小さな開口部411を有しており、これらの開口部411は、コード466が延びる、レースロック410の下端部近傍に形成されている。開口部411は、金属製の小穴やプラスチックの縁等(不図示)を有している。コード466は、ハーネス組立品440上のコード保持部材468と係合し、開口部411を介して延びて、コードロック410と係合する。コード466は、好ましくは、ループ部分467を形成することにより、コード466を容易に握ったり、引っ張ったりすることができる。コードロック410は、コード466と非係合状態となって、張力を解除する解放機構412を有している。
【0050】
本実施形態において、使用者が、コード466のループ部分467を単に上方に引っ張ることにより、内側のハーネス組立品440を使用者の足首周りにおいて締め付けることができる。張力を低下させるために、例えば、使用者の快適性を増加させるために、使用者は、解放機構412を一時的に引っ張ることができる。さらに、ハーネス組立品440を緩めるために、例えば、滑走する間や、ブーツ400を解いたり、締め付けを解除したりした後に、ブーツ400を取り外すために、使用者は、舌421及び解放機構412をつかんで、ブーツ400のバンプにおけるギャップを前方に引っ張ることにより、コード466を緩めることができる。
【0051】
本発明の実施形態について説明したが、本発明の精神及び範囲を外れない範囲内において、様々な変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】シェル及びライナを備えた、本発明の実施例であるブーツの斜視図である。
【図2】図1に示すブーツ及びライナの斜視図であり、ライナがブーツのシェルに挿入される位置を示す図である。
【図3】図1に示すライナの斜視図である。
【図4A】図3に示すライナのレースシステムを示し、ライナを点線で示す図である。
【図4B】図3に示すライナにおいて、ライナコードを保持する管状部材の断面図である。
【図5】図1に示すブーツのライナ締め付け機構における、外側シェルの開口部を示す部分図である。
【図6】本発明の実施例2であって、ブーツ内に配置されるハーネスを用いたスポーツ用ブーツの斜視図であり、ブーツシェルを点線で示す。
【図7】図6に示すスノーボード用ブーツにおける、ハーネスの斜視図である。
【図8】図6に示すハーネスを備えたスノーボード用ブーツの部分断面図である。
【図9】図6に示す実施例と同様の他の実施例を示す斜視図であり、締め付け機構がブーツのアッパーに直接装着された図を示す。
【図10】ブーツの舌に直接装着されるレースロックを用いた他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0053】
300:スポーツ用ブーツ
310:外側シェル
314:弾性アッパー
340:ハーネス組立品
366:コード
390:締め付け機構
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半剛性のソール及び該ソールに取り付けられた弾性アッパーを備えた外側シェルと、
前記外側シェルに固定され、外側シェル内に配置されたハーネス組立品であって、ギャップを構成する左右の端部を有する弾性パネルと、前記ギャップの両側に配置された複数のコード保持部材とを有するハーネス組立品と、
前記コード保持部材と摺動可能に係合するコードと、
前記コードと係合して、前記弾性パネルの左右の端部が互いの方向に付勢されるように、前記コードを所望の張力で保持する締め付け機構とを有し、
前記締め付け機構は、前記弾性アッパーに固定されていることを特徴とするスポーツ用ブーツ。
【請求項2】
前記外側シェル内に取り外し可能に挿入されたライナを有し、前記ハーネス組立品の弾性パネルは前記ライナの一部分を覆っていることを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項3】
前記コードは、前記ハーネス組立品の後方部分に延びていることを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項4】
前記コードは、ステンレス鋼のケーブルであることを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項5】
少なくとも一対のコード保持部材は、前記コードを摺動可能に支持する互いにU字形状の通路を構成するギャップの対向する側において、前記ハーネス組立品に固定されていることを特徴とする請求項4に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項6】
前記ハーネス組立品の後部分に延びる細長いコード保持部材を有することを特徴とする請求項4に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項7】
前記締め付け機構は、第1及び第2の位置間で移動可能なつまみを有し、
前記第1の位置では、前記つまみが前記コードに動作可能に係合し、第2の位置では、前記つまみが前記コードに動作可能に係合していないことを特徴とする請求項4に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項8】
前記締め付け機構は、前記弾性アッパーに固定されるコードロックを有することを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項9】
前記弾性アッパーは、前記コードロックの近傍において一対の開口部を有し、
前記コードは、前記一対の開口部を介して延びていることを特徴とする請求項8に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項10】
前記弾性アッパーは、舌を有し、
前記コードロックは、前記舌に固定されていることを特徴とする請求項9に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項11】
ソール及び弾性アッパーを備えたシェルと、
該シェル内に配置され、前記シェルに固定されたハーネス組立品であって、使用者の足首周りを覆い、ギャップを構成する対向する端部を備えた弾性パネルと、該弾性パネルに取り付けられた複数のコードガイドとを有するハーネス組立品と、
前記コードガイドと係合するコードと、該コードを張力状態で保持するための保持機構とを備えた締め付け組立品とを有することを特徴とするスノーボード用ブーツ。
【請求項12】
前記コードは、ステンレス鋼のケーブルであることを特徴とする請求項11に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項13】
前記シェルは、一対の開口部を備えた舌を有し、
前記コードは、一対の開口部を介して延び、前記ハーネス組立品は、前記コードを引っ張ることによって締め付けられることを特徴とする請求項11に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項14】
前記保持機構は、レースロックを有することを特徴とする請求項13に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項15】
前記レースロックは、前記舌に固定されていることを特徴とする請求項14に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項16】
前記保持機構は、前記弾性アッパーの足首部分に固定されたスプール機構を有することを特徴とする請求項11に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項17】
弾性アッパーを備えたブーツシェルと、
前記ブーツシェル内に配置され、前記ブーツシェルに固定されたハーネス組立品であって、第1及び第2の端部を備えた弾性パネルと、該弾性パネルに固定された複数のコード保持部材とを有し、使用者の足首周りを覆うハーネス組立品と、
前記コード保持部材と摺動可能に係合する細長いコードと、
前記コードを張力状態で保持する手段とを有し、
前記張力を保持するための手段は、前記弾性アッパーに固定されていることを特徴とするスポーツ用ブーツ。
【請求項18】
前記コードは、ステンレス鋼のケーブル及びレースの一方であることを特徴とする請求項17に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項19】
少なくとも1つのコード保持部材は、前記コードを摺動可能に支持するU字形状の通路を構成することを特徴とする請求項17に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項20】
前記張力を保持するための手段は、前記弾性アッパーに固定されたコードロックを有することを特徴とする請求項17に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項1】
半剛性のソール及び該ソールに取り付けられた弾性アッパーを備えた外側シェルと、
前記外側シェルに固定され、外側シェル内に配置されたハーネス組立品であって、ギャップを構成する左右の端部を有する弾性パネルと、前記ギャップの両側に配置された複数のコード保持部材とを有するハーネス組立品と、
前記コード保持部材と摺動可能に係合するコードと、
前記コードと係合して、前記弾性パネルの左右の端部が互いの方向に付勢されるように、前記コードを所望の張力で保持する締め付け機構とを有し、
前記締め付け機構は、前記弾性アッパーに固定されていることを特徴とするスポーツ用ブーツ。
【請求項2】
前記外側シェル内に取り外し可能に挿入されたライナを有し、前記ハーネス組立品の弾性パネルは前記ライナの一部分を覆っていることを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項3】
前記コードは、前記ハーネス組立品の後方部分に延びていることを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項4】
前記コードは、ステンレス鋼のケーブルであることを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項5】
少なくとも一対のコード保持部材は、前記コードを摺動可能に支持する互いにU字形状の通路を構成するギャップの対向する側において、前記ハーネス組立品に固定されていることを特徴とする請求項4に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項6】
前記ハーネス組立品の後部分に延びる細長いコード保持部材を有することを特徴とする請求項4に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項7】
前記締め付け機構は、第1及び第2の位置間で移動可能なつまみを有し、
前記第1の位置では、前記つまみが前記コードに動作可能に係合し、第2の位置では、前記つまみが前記コードに動作可能に係合していないことを特徴とする請求項4に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項8】
前記締め付け機構は、前記弾性アッパーに固定されるコードロックを有することを特徴とする請求項1に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項9】
前記弾性アッパーは、前記コードロックの近傍において一対の開口部を有し、
前記コードは、前記一対の開口部を介して延びていることを特徴とする請求項8に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項10】
前記弾性アッパーは、舌を有し、
前記コードロックは、前記舌に固定されていることを特徴とする請求項9に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項11】
ソール及び弾性アッパーを備えたシェルと、
該シェル内に配置され、前記シェルに固定されたハーネス組立品であって、使用者の足首周りを覆い、ギャップを構成する対向する端部を備えた弾性パネルと、該弾性パネルに取り付けられた複数のコードガイドとを有するハーネス組立品と、
前記コードガイドと係合するコードと、該コードを張力状態で保持するための保持機構とを備えた締め付け組立品とを有することを特徴とするスノーボード用ブーツ。
【請求項12】
前記コードは、ステンレス鋼のケーブルであることを特徴とする請求項11に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項13】
前記シェルは、一対の開口部を備えた舌を有し、
前記コードは、一対の開口部を介して延び、前記ハーネス組立品は、前記コードを引っ張ることによって締め付けられることを特徴とする請求項11に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項14】
前記保持機構は、レースロックを有することを特徴とする請求項13に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項15】
前記レースロックは、前記舌に固定されていることを特徴とする請求項14に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項16】
前記保持機構は、前記弾性アッパーの足首部分に固定されたスプール機構を有することを特徴とする請求項11に記載のスノーボード用ブーツ。
【請求項17】
弾性アッパーを備えたブーツシェルと、
前記ブーツシェル内に配置され、前記ブーツシェルに固定されたハーネス組立品であって、第1及び第2の端部を備えた弾性パネルと、該弾性パネルに固定された複数のコード保持部材とを有し、使用者の足首周りを覆うハーネス組立品と、
前記コード保持部材と摺動可能に係合する細長いコードと、
前記コードを張力状態で保持する手段とを有し、
前記張力を保持するための手段は、前記弾性アッパーに固定されていることを特徴とするスポーツ用ブーツ。
【請求項18】
前記コードは、ステンレス鋼のケーブル及びレースの一方であることを特徴とする請求項17に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項19】
少なくとも1つのコード保持部材は、前記コードを摺動可能に支持するU字形状の通路を構成することを特徴とする請求項17に記載のスポーツ用ブーツ。
【請求項20】
前記張力を保持するための手段は、前記弾性アッパーに固定されたコードロックを有することを特徴とする請求項17に記載のスポーツ用ブーツ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−136185(P2007−136185A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307514(P2006−307514)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(506315192)ケイ‐ツー、コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【出願人】(506315192)ケイ‐ツー、コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]