説明

ラジウムバッグ

【課題】リューマチなどの鎮痛効果や症状を緩和しクオリティオブライフを改善できる放射性不活性ガスのラドンを利用したラジウムバッグに関し、水中・空気中で使用でき、安価で、携帯に便利なラジウムバッグを提供する。
【解決手段】人体に対して2.4msv/year以内、好ましくは1.0msv/year以内にて使用できるラドン発生剤を具備して、安全で、小型化でき、熱交換効率を持続し、適度の柔軟性と流動性を付与し、極めて揺変性の高いラジウムバッグを得る。該ラジウムバッグは持ち運びに便利で使いやすく、感触も良く、例えば外周部を合成樹脂などにすれば水を弾く為安易に水中でも使用できる上、簡単に持ち運ぶことが出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はまったく新しい慢性病症状の緩和方法に関する。詳しくは、放射性不活性ガスであるラドンを日常安価に提供するラジウムバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ラジウム温泉は多くのリューマチ、喘息、気管支炎、乾癬、強皮症患者の痛みを和らげ症状を緩和する効能泉として多くの人々に親しまれてきた。世界的に有名なドイツのシュレマ、オーストリアのバートガシュタイン・ハイルシュトーレン、チェコ共和国のヤーヒモフなどを中心に、ロシア、ブルガリア、イタリア、日本、ポーランドなどにラドンスパセンターが存在する。これらの多くは古来より使われてきた温泉であり、又近年では放射性不活性ガスであるラドンの効能、使用方法、適用投与量、他の薬品との二重盲検試験による比較などが行われている。RADIZによる報告では、この放射性不活性ガスが炎症を抑え、ホルモン生成レベルを上げることによりエンドルフィンを放出し痛みを和らげることが、たくさんの報告により明らかになっている。(Prof−Dr−Bosis−Rajewsky−str.4,08301 schlema,1996)ラドンを体内に取り入れる方法は3種類あり、水中から肌を通して身体へ浸透させる、ラドンを含む空気を吸う、ラドンを含む水を飲むことである。
【0003】
しかしこれらのラドンスパセンターは山間地に位置することが非常に多いため冬季の治療時に寒さに弱いリューマチ患者にとって非常に苦痛であり、また往々にして交通も不便である。さらに本格的なラドンスパセンターは医師の診察費用込みでかなり高額の費用がかかり、治療も長期にわたるため、かなり病気が進行した段階で訪れることが多くなる。本来であれば軽い症状の段階に訪れ進行を妨げることによるクオリティオブライフの向上を推進できる施設が、実際にはそれらの理由により機能しにくい。
【0004】
またロシアでは、30以上のラドンスパセンターがあり、ラドンの設備も人工的に作られている。このことは科学的に、ラドンのポジティブな効果は再生でき、量を調節できるということであり、薬学者に対し、この医療内容の治療の有効性を証明するものである。(Werner Schuttmann,1996)ただしこれらの施設をラドンセラピーを必要とする全ての家庭に設置することは非常に難しい。
【0005】
また他方、多くの温熱パックや蓄熱パックなどの温熱用具が知られており、寒冷時に暖をとる目的の他、温熱用具を患部に当てることで温熱効果によって血行を良くし、コリや痛みを緩和するといった目的にも使用されている。またこれらの温熱用具の治療効果を高めるために、例えば実開平2−49555号公報には、遠赤外線放射物質を混入した使い捨てカイロが記載されている。さらに、特開平11−239585号公報には、焦電製物質による電場形成により人体に有益な影響を与える簡易カイロが、また特開2003−708022号公報にはマイナスイオン発生物質を混入した発熱剤入りの温熱カイロが記載されている。
【0006】
しかし従来の温熱用具に遠赤外線、電場形成物質を混入したものでは、放射性不活性ガスは発生せずラドンが体内に取り込まれることは無い。特開2003−708022号公報に記載されているマイナスイオンはウランやトリウムなどの多くの親核種放射性物質を混入することにより簡単に発生させることが出来るが、いまだ効果がはっきりしておらず、効能を表す公的な学術文献も見当たらない。またウランやトリウムなどの多くの親核種放射性物質は取り扱いが非常に難しく、一般向けではない。
【0007】
さらに、特表平8−501966号公報において、熱伝導性を有する多孔製シート状材料からなる包みの中にオート麦などの穀物を収納し、電子レンジで過熱して使用する熱治療用パッドが開示されている。特開平9−225005号公報では、耐熱性に優れたアラミド繊維からなる収納具内にセラミック粒を収容して成る温灸パックを開示すると共に、蛇紋岩片を難燃性繊維布で包んだものやゴム製水枕状温熱パックを電子レンジで加熱した温熱パックを従来技術として開示している。然るにこれらの技術は、幼児がやけどをするなどの危険性と、もともと人体にとって有益でないマイクロ波を必要以上に浴びてしまう危険性を併せ持っている。
【0008】
これらの問題点をクリアするべく発明者が、特許2869633の出願人の技術供与を受け長年鋭意研究し、いつどこででも安価にラドンセラピーを行うことにより、人体に有効な放射性不活性ガスを手軽に安全に吸入あるいは吸引あるいは身体へ浸透することのできる発明について、ついに知己を得た。
【特許文献1】特開平11−239585号広報
【特許文献2】特開2003−708022号広報
【特許文献3】特表平8−501966号広報
【特許文献4】特開平9−225005号広報
【非特許文献1】藤野薫著「放射線ホルミシスの話」せせらぎ出版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
人体に放射性不活性ガスであるラドンによるリューマチなどの鎮痛効果を付与することにより症状の緩和ひいてはクオリティオブライフの改善をもたらすラジウムバッグを安価に提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
水中・空気中とも安易に使用でき、安価で、携帯に便利であるラジウムバッグを発明することである。詳しくは、放射性不活性ガスであるラドン発生剤を具備するバッグにおいて、特にベンテナイト及び硫酸ナトリウムを主成分とし、結晶調整剤としての合成樹脂の微細粒子、及び水を適量比混合させ、ラドン発生剤としてラジウムを含有するセラミックスあるいはラジウム鉱石、好ましくはオーストリアに在るハイルシュトーレン坑道から産出される鉱石を微粉砕、あるいは焼成後適宜補助剤を添加混合して微粉砕、分級した粒径0.1〜75μmのセラミックスあるいは鉱石微粉末を、その露出量が人体に対して2.4msv/year以内、好ましくは1.0msv/year以内にて使用できるよう分散添加することにより安全で、小型化でき、熱交換効率を持続し、適度の柔軟性と流動性を付与し、極めて揺変性の高いラジウムバッグを安価に得ることが出来る。このラジウムバッグは持ち運びに便利で使いやすく、感触も良く、例えば外周部を合成樹脂などにすれば水を弾く為安易に水中でも使用できる上、簡単に持ち運ぶことが出来るので、どこにいても放射性不活性ガスの有用性の恩恵を得ることが出来る。
【0011】
また、該バッグ表面にラドン発生剤を付着させて、本発明のラジウムバッグを構成することが出来る。その際に、ラドン発生剤は、塗布、含侵、等通常の方法によってバッグの表面に付着させることが出来る。また、ラドン発生剤を混合した印刷インキをバッグの表面に印刷することによってバッグ表面にラドン発生剤を付着させるようにしても良い。
【0012】
さらに、バッグ表面にラドン発生剤を付着させるには、バッグ両面の全面または一部にラドン発生剤を塗布などにより付着させることができ、またバッグの片面の全面または一部にラドン発生剤を付着させても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、結晶の粒子が繊細なためバッグ表面を形成する袋体の損傷の危険性が少なく、また温度に対する反応がよく熱還流が効率よく行われ、快適な感触の柔軟性が付与されたバッグから、常時安全に使用できる範囲で放射性不活性ガスであるラドンを吸入・吸引することにより特にリュウマチ患者に対してクオリティオブライフの向上を安価に提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
気密かつ柔軟性に富む合成樹脂性の封袋で、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の熱融着性合成樹脂フィルム、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ナイロン、金属蒸着フィルム、金属酸化物の蒸着フィルム、金属箔ラミネートフィルム、エチレンビニルアルコール共重合物系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体鹸化物系フィルムの単独フィルム、または他のフィルムとの貼りあわせフィルムと熱融着性フィルムとを貼りあわせた複合フィルムや多層フィルムのような気密性の高い合成樹脂膜が使用される。これらのフィルムは、熱融着性フィルムの面が互いに内側となるようにして重ね合わせ、周辺を加熱融着、袋状に形成される。
【0015】
内部には硫酸ナトリウムとベンテナイトを主成分とし、結晶調整剤としての合成樹脂の微細粒子例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸塩架橋物、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、架橋ポリアルキレンオキシド、水溶性セルロースエーテル、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ソーダ、ペクチン、アクリルスルホン酸系高分子物質、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマーなどと適量の水で調合したものにラドン発生剤としてラジウムを含有するセラミックスあるいはラジウム鉱石、好ましくはオーストリアに在るハイルシュトーレン坑道から産出される鉱石を微粉砕、あるいは焼成後適宜補助剤を添加混合して微粉砕、分級した粒径0.1〜75μmのセラミックスあるいは鉱石微粉末を、その露出量が人体に対して2.4msv/year以内、好ましくは1.0msv/year以内にて使用できるよう分散添加したもので、快適な感触の柔軟性が付与されている。例えばこの場合、ベンテナイトは総重量の1重量%〜10重量%であり、好ましくは2重量%〜5重量%である。バッグの上下内面を接着してバッグの厚さや大きさに応じて接着部の形状や大きさ、数を決定することが出来る。なお、この接着部はスポット的に接着するものに限らず、適当な模様例えば線状、円状あるいは芸術的な模様に形成しても良い。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。塩化ビニル製の合成樹脂膜が使用され、内部には硫酸ナトリウムとベンテナイトを主成分とし、カルロキシエチルセルロースの微細粒子と適量の水で調合したものにラドン発生剤としてラジウムを含有するハイルシュトーレン坑道鉱石を微粉砕し分級した粒径3〜7μmの鉱石微粉末を、その露出量が人体に対して0.7msv/year以内にて使用できるよう分散添加したもので、快適な感触の柔軟性が付与されている。この場合、ベンテナイトは総重量の5重量%である。
【0017】
(ラジウムバッグの性能試験)ラジウムバッグの効果を明確にするため、次のようにその性能試験を行った。実施例のラジウムバッグにおいて、比較のために従来技術のトルマリン、M・Nパウダーを実施例同様の構造物内に実施例同様に配したものとラドンの発生量における比較測定を行った。ラドンの発生量を測定した結果を表1に示す。なお、配されたM・Nパウダーとハイルシュトーレン坑道石の人体に対しての露出量は、いずれも0.7mSV/yearであった。
【0018】
【表1】

【0019】
表1によれば、娘核種であるラジウム鉱石とウラン等の親核種を使用しているM・Nパウダーではラドン発生量に大きな違いがあり、放射線が出れども放射性不活性ガスは出ないことがわかる。また、トルマリンには核種自体が存在しないため、もともとラドン効果が無い。
【0020】
上記の具体例では、本発明のラジウムバッグについて説明したが、本発明のラジウムバッグは大きさや厚さを変更することによって、枕、クッション、腹巻、サポーター、寝具など種種の形態に適用できるものであることは言うまでもない。
【0021】
上記の構成をとることによって、本発明のラジウムバッグは、軽度のリュウマチ患者などのクオリティオブライフ向上のためにラドンの持つ数々の効果、例えばエンドルフィン分泌による疼痛軽減効果を気軽に得られるようにしているため、入浴中でも就寝中でも居間でも使用できる上、快適な接触の柔軟性も付与されたものを安価に入手できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラドン発生剤を具備し、その露出量が人体に対して最大で2.4msv/yearであるラジウムバッグ。
【請求項2】
ラドン発生剤がラジウム鉱石粉末からラドンを発生させるものであることを特徴とする請求項1に記載のラジウムバッグ。
【請求項3】
ラドン発生剤がラジウム鉱石を含有するセラミックス粉末からラドンを発生させることを特徴とする請求項1に記載のラジウムバッグ。
【請求項4】
ラジウム鉱石粉末あるいはラジウム鉱石を含有するセラミックス粉末と、マイナスイオンを発生する備長炭を具備する請求項1に記載のラジウムバッグ。
【請求項5】
ラジウムバッグを構成する袋体を、ラドン発生剤を印刷による付着により坦持させた材料により構成させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のラジウムバッグ。
【請求項6】
袋体をラドン発生剤を含有する合成樹脂フィルムにより構成したことを特徴とする請求項1〜5に記載のラジウムバッグ。

【公開番号】特開2007−143992(P2007−143992A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−344590(P2005−344590)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(597014741)ネムール株式会社 (4)
【Fターム(参考)】