説明

ラックマウント電源装置の信号線接続構造

【課題】ラックマウント電源装置において制御基準値設定時の信号線を、背面のスペースがない場合でも接続しやすい構造。
【解決手段】前面に窓を有するフロントパネルを固着したシャーシ上に電源装置を組み付けて、該窓の投影される位置に接続用具を配置し、該窓に対して防滴構造の蓋を具備する構造としたことで、電源装置が設置されためっき現場等で、再設定用信号を外部からこの電源装置の制御回路に接続する際に、重い電源装置をラックから引出す必要がなく、稼動の中断を要しないで出力特性設定値の変更が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,オープンラックやキャビネットラックにマウントする構造の、めっき用電源装置に組み込まれた制御回路に対して、初期設定時および、設定値変更時に外部から信号線を接続する場合の信号線接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の技術としては(特開2003−152345号)公報、名称(電子機器の筐体構造)に保守作業性の良い電子機器の筐体構造が開示されている。同広報にキャビネットラックに機能ユニット用サブラックが組み込まれる構造が、従来例として示されている。同公報の段落(0008)に(機能ユニットサブラックの背面には背面パネルが螺子止めされ外部接続端子が設けられ、該外部接続端子と前記給電端子とは内部ケーブルにより接続)、段落(0009)に(電源用サブラックの背面には背面パネルが螺子止めされ該背面パネルに設けられた外部接続端子と電源ユットの背面に取付けられた電源端子とは内部ケーブルにより接続)との記述がある。
【0003】
発明の内容として、同公報の段落(0025)に、(シャーシの底面に電源ユニットが取付けられ、シャーシの背面には端子台が取付けられている。端子台と前記シャーシの電源端子とは中継ケーブルにより接続されている)、段落(0029)に、(前記電源ユニット組を前記機能ユニット用サブラックに組み込んだ後、給電端子と端子台とをケーブルにより接続し、更に機能ユニット用サブラックの背面に背面パネルを取付ける)、段落(0027)に(前記電源ユニット組は機能ユニット用サブラックに対して前面側からスライドして収納可能としたので、電源ユニット組の着脱作業が簡単になり、組立作業性、保守性が向上する)との技術開示がある。この事例ではサブラックに電源ユニット組が機能ユニットと共に組みつけられており、このユニット間の配線がサブラック内でつながっていて作業性向上の効果があった。
【0004】
【特許文献1】「特開2003−152345号」公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような技術が開示されている、ところが電源装置の出力が長いケーブルで、広いめっき槽に配線されているめっき用の電源装置の場合、めっき現場に設置された電源装置の再調整などで保守性が悪かった。例えばディジタル制御によって自動制御された出力特性を有する電源ユニットであり、めっきの種類や方法によって電源の出力特性を変更したいとの要求が出され、最初に設定された条件と異なる出力特性に再設定する必要が稼動中の現場で生じる。電源装置が設置されためっき現場で、出力特性設定値を変更するため、再設定用信号を外部からこの電源装置の制御回路に接続する必要が生じる。
【0006】
電源装置が設置された場所に該装置の後面カバーを外して背面から作業できるようなスペースがない場合が多く、上面が空いたシャーシつきの前面パネルをラックから引き出して電源装置に組み込まれた制御回路部分に対して、再設定用信号発生器の出力信号線を接続して再設定する作業では重い電源装置を引き出す為、装置の前後が狭い場所などでの作業性が悪かった。再設定用信号発生器の出力信号線を接続して再設定する作業の不便さを排除した信号線接続構造を有する電源装置を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に関しては
電源装置の制御回路に接続する設定用信号線を外部から接続する接続手段を具備し、電源装置が組みつけられたシャーシ付き前面パネルを有するラックマウント電源装置に於いて、前面パネルに窓を設けて、この窓から奥まった位置に前記接続手段を配置したことを特徴とするラックマウント電源装置の信号線接続構造とした。
【0008】
請求項2に関しては、
電源装置の制御回路に接続する設定用信号線を外部から接続する接続手段を具備し、電源装置が組みつけられたシャーシ付き前面パネルを有するラックマウント電源装置に於いて、前面パネルに窓を設けて、この窓から投影されるシャーシの位置に前記接続手段を配置したことを特徴とするラックマウント電源装置の信号線接続構造とした。
【0009】
請求項3に関しては、
前記前面パネルの窓に、防滴構造の蓋を具備する請求項1乃至2記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造とした。
【0010】
請求項4に関しては、
前記接続手段が、複数の接触子から形成されたコネクターである請求項1乃至3記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造とした。
【0011】
請求項5に関しては
前記電源装置が、入力側整流器、制御機能付き電力インバータ、高周波トランス、出力側整流器、制御回路を具備し、電圧制御出力特性または電流制御出力特性を有する電源装置であることを特徴とする、請求項1乃至4記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造とした。
【0012】
請求項6に関しては
前記電源装置の制御回路が、制御機能付き電力インバータを制御するデジタル制御回路であることを特徴とする請求項5記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造とした。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば再設定する作業で、重い電源装置をラックから引き出すことは不要となった。信号線が電源装置の前面から接続できて作業性が大幅に向上した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1に於いてラックにマウントされる電源装置は前面パネル1を固着したシャーシ2に電源の主回路6及び制御回路7が組みつけられている。前面パネルのハンドル13を持ってラックから引出すことが可能な筐体である。前面パネル1には窓3が設けられて該窓の投影される位置にコネクター5が配置されて制御回路7からリード線がコネクター5に接続される。前面パネル1の窓3に蓋4が防滴構造に形成され窓3を覆うように蝶番で開閉自在に取付けられている。図2に示す電源装置の回路構成は、入力端子につながる交流を入力側整流器8で直流化して電力インバータ9で高周波交流に変換すると同時に制御回路7の信号によって出力電力を制御し高周波トランス10で変圧し、出力側整流器11で直流化して、めっき槽に直流を供給する。制御回路7の初期設定や変更設定のディジタル信号がコネクター5を介して制御回路7に接続される。高周波交流に変換することによってトランスが大幅に軽量化されたので、めっき用の大電流電源のラックマウント電源が製作できた。
【0015】
図3によってコネクター5の配置構造を説明すると、窓4の投影される範囲12にコネクター5を配置し作業場所が手暗がりになっても挿入して確実に接続できる、取付け場所はシャーシ2でも、前面パネル1でもよい。前面パネル1の奥まった所に、シャーシにL型取付け具でコネクター5を固定した状態を図3(A)に示した。前面パネル1の裏面にコの字形に取付け具を形成してコネクター5を固定した状態を図3(B)に示した。この状態のコネクターにディジタル設定の信号線のコネクターを差し込んで初期設定や変更設定を信号生成装置から接続する作業は、前面パネルの蓋を開けるだけでよく、重い電源をラックから引き出す必要が無いので作業性が向上した。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明による前面パネルに窓を設けて、この窓から奥まった位置に接続手段を配置したラックマウント電源装置の信号線接続構造としたので、装置の製作が容易な構造であり、稼動の中断を要しないので設備の利用効率が向上し産業上の価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による実施の形態を示す構造図。
【図2】本発明による実施の形態を示す回路構成図。
【図3】本発明による実施の形態を示す要部拡大図。
【符号の説明】
【0018】
1 前面パネル
2 シャーシ
3 窓
4 蓋
5 コネクター
6 主回路
7 制御回路
8 入力側整流器
9 電力インバータ
10 高周波トランス
11 出力側整流器
12 窓の投影される範囲
13 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置の制御回路に接続する設定用信号線を外部から接続する接続手段を具備し、電源装置が組みつけられたシャーシ付き前面パネルを有するラックマウント電源装置に於いて、前面パネルに窓を設けて、この窓から奥まった位置に前記接続手段を配置したことを特徴とするラックマウント電源装置の信号線接続構造。
【請求項2】
電源装置の制御回路に接続する設定用信号線を外部から接続する接続手段を具備し、電源装置が組みつけられたシャーシ付き前面パネルを有するラックマウント電源装置に於いて、前面パネルに窓を設けて、この窓から投影されるシャーシの位置に前記接続手段を配置したことを特徴とするラックマウント電源装置の信号線接続構造。
【請求項3】
前記前面パネルの窓に、防滴構造の蓋を具備する請求項1乃至2記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造。
【請求項4】
前記接続手段が、複数の接触子から形成されたコネクターである請求項1乃至2記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造。
【請求項5】
前記電源装置が、入力側整流器、制御機能付き電力インバータ、高周波トランス、出力側整流器、制御回路を具備し、電圧制御出力特性または電流制御出力特性を有する電源装置であることを特徴とする、請求項1乃至4記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造。
【請求項6】
前記電源装置の制御回路が、制御機能付き電力インバータを制御するデジタル制御回路であることを特徴とする、請求項1と2及び5記載のラックマウント電源装置の信号線接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−101603(P2006−101603A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−282701(P2004−282701)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000144393)株式会社三社電機製作所 (95)
【Fターム(参考)】