説明

ラベル、粘着ラベル及び印刷物

【課題】物品に貼り付けられたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制可能とする。
【解決手段】本発明のラベル1は、前面及び背面を有している基材11と、前記前面と向き合い、或る波長の光を透過させる光学機能層13と、前記基材11と前記光学機能層13との間に介在し、前記波長の光を透過させるか又は反射させるスクラッチ層18と、前記光学機能層13と前記スクラッチ層18との間に介在しているか、又は、前記光学機能層13を間に挟んで前記スクラッチ層18と向き合っており、前記波長の光を吸収する光吸収パターン14とを備え、前面を或る方向に引掻いた場合に、前記スクラッチ層18よりも前方に位置した部分が、前記方向に沿って裂けながら、前記スクラッチ層18の一部を伴って前記基材11から剥離するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば偽造防止に利用可能なラベル並びにそれを含んだ粘着ラベル及び印刷物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、偽造品の流通が大きな社会問題となっている。そこで、例えば、物品に、それが真正品であることを確認可能とするラベルを付することがある。そのようなラベル、所謂偽造防止ラベルとしては、例えば、蛍光インキ及びOVI(optically variable ink)などの機能性インキによって形成した印刷層を含んだラベル、マイクロ印刷及び凹版印刷などの特殊印刷によって形成した印刷層を含んだラベル、ホログラム又は回折格子を含んだラベル、磁気記録によって情報を書き込んだラベル、並びにIC(integrated circuit)タグを含んだラベルがある。
【0003】
これら偽造防止ラベルの多くは、それ自体の偽造が困難である。但し、偽造防止ラベルの中には、これが貼り付けられた物品から比較的容易に剥がすことができるものがある。そのようなラベルは、使用済みの物品から剥がして偽造品に貼り付けるといった不正行為に使用される可能性がある。
【0004】
偽造防止ラベルの中には、その再使用を不可能とするための対策を講じたものもある。
【0005】
例えば、一部の偽造防止ラベルには、切欠きが設けられている。そのような偽造防止ラベルは、これが貼り付けられた物品から引き剥がそうとすると、切欠きの位置から裂けるように設計されている。
【0006】
また、基材が比較的小さな力で脆性破壊を生じる偽造防止ラベルもある。このようなラベルも、これが貼り付けられた物品から引き剥がそうとすると破壊されるように設計されている。
【0007】
更に、比較的小さな力で脆性破壊を生じる脆性層を含み、この脆性層とその観察者側の面に隣接した層との接着強度が場所によって異なっている偽造防止ラベルもある。このようなラベルを、これが貼り付けられた物品から引き剥がすと、接着強度の分布に対応したパターンで脆性層が破壊される。その結果、例えば、脆性層等の一部は物品上に文字列「VOID」に対応したパターンで残り、偽造防止ラベルの脆性層等には、文字列「VOID」に対応したパターンの欠落部を生じる。
【0008】
これら偽造防止ラベルは、引き剥がすことによって物品から剥離した場合には、再使用は不可能であるか又は困難である。しかしながら、これら偽造防止ラベルは、粘着層又は接着層に有機溶剤を滲み込ませると、ラベル本体の損傷なしに剥離できることがある。
【0009】
これを不可能又は困難とするための技術を採用した偽造防止ラベルもある。
例えば、粘着層の材料として、粘着剤とこれに対して難溶性の添加剤との混合物を使用した偽造防止ラベルがある(例えば、特許文献1参照)。この偽造防止ラベルは、有機溶剤を使用して剥離した場合、粘着剤及び添加剤の有機溶剤に対する溶け易さの相違に起因して、粘着層の表面に凹凸を生じる。
【0010】
また、印刷層が有機溶剤に可溶な染料を含有した偽造防止ラベルもある(例えば、特許文献2参照)。この偽造防止ラベルは、有機溶剤を使用して剥離しようとすると、染料が印刷層から滲み出る。
【0011】
なお、このラベルは、ドライヤ等で表面を温めることによって、ラベル本体の損傷や染料の染み出しなしに剥離することができる。加熱による剥離への対策を施した偽造防止ラベルとしては、例えば、加熱によって発泡する発泡粒子を粘着層に含有させた偽造防止ラベルがある(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
これら偽造防止ラベルは、有機溶剤又は熱を利用して剥離した場合には、再使用が不可能であるか又は困難である。但し、使用期間を終えた物品については、偽造防止ラベルが、これが貼り付けられた物品の表層とともに除去される可能性を考慮しなければならない。上述した対策では、このようにして除去した偽造防止ラベルの再使用を防ぐことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2005―266147号公報
【特許文献2】特開平10−204363号公報
【特許文献3】特開2000−293108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、物品に付されたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1側面によると、前面及び背面を有している基材と、前記前面と向き合い、或る波長の光を透過させる光学機能層と、前記基材と前記光学機能層との間に介在し、前記波長の光を透過させるか又は反射させるスクラッチ層と、前記光学機能層と前記スクラッチ層との間に介在しているか、又は、前記光学機能層を間に挟んで前記スクラッチ層と向き合っており、前記波長の光を吸収する光吸収パターンとを備え、前面を或る方向に引掻いた場合に、前記スクラッチ層よりも前方に位置した部分が、前記方向に沿って裂けながら、前記スクラッチ層の一部を伴って前記基材から剥離するように構成されたラベルが提供される。
【0016】
本発明の第2側面によると、前記光吸収パターンは前記光学機能層と同じ色を呈している第1側面に係るラベルが提供される。
【0017】
本発明の第3側面によると、前記波長は赤外領域内にあり、前記光学機能層は黒色層である第1又は第2側面に係るラベルが提供される。
【0018】
本発明の第4側面によると、前記波長は近赤外領域内にあり、前記光学機能層の前記波長における透過率が30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500%の波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上である第3側面に係るラベルが提供される。
【0019】
本発明の第5側面によると、前記スクラッチ層は、樹脂とその中で分散したフィラーとを含み、前記波長の光を反射又は散乱させるように構成された第1乃至第4側面の何れか1つに係るラベルが提供される。
【0020】
本発明の第6側面によると、第1乃至第5側面の何れか1つに係るラベルと、前記ラベルの背面と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベルが提供される。
【0021】
本発明の第7側面によると、第1乃至第5側面の何れか1つに係るラベルと、前記ラベルの背面と向き合った印刷基材と、前記ラベルと前記印刷基材との間に介在して、前記ラベルを前記印刷基材に貼り付けた粘着層とを具備した印刷物が提供される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、物品に貼り付けられたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制することが可能となる。
【0023】
第1側面に係るラベルは、例えば、スクラッチ層及び基材からなる積層体の上記波長(以下、「第1波長」という)における反射率が、光吸収パターンの第1波長における反射率と比較してより大きい場合、その前面を第1波長の光で照明すると、光吸収パターンに対応した領域が暗く、他の領域が明るい第1画像を表示する。このラベルの前面を或る方向に引掻く無効化処理を行うと、スクラッチ層よりも前方に位置した部分は、先の方向に沿って裂けながら、スクラッチ層の一部を伴って基材から剥離する。剥離を生じているか否かは、通常、肉眼による観察によって判別できる。また、剥離を生じた部分では、上記波長(以下、「第1波長」という)における反射率が変化する。例えば、光吸収パターンに対応した部分では、剥離を生じることにより反射率が大きくなる。そして、その他の部分では、例えば、剥離を生じることにより反射率が小さくなる。それ故、無効化処理後のラベルは、第1波長の光で照明した場合に、第1画像とは剥離部の明るさが異なる第2画像を表示する。それ故、例えば、このラベルを貼り付けた物品がその使用期間を終了したときに、ラベルの前面を引掻く無効化処理を行うこととすれば、真正品であるかが不明の物品に貼り付けられたラベルを肉眼で観察すること、又は、このラベルが第1波長の光で照明した場合に表示する画像と、無効化処理前のラベルが第1波長の光で照明した場合に表示する画像とを比較することによって、先の物品の真偽を判定することができる。従って、不正行為を行う者を牽制することができ、それ故、物品に貼り付けられたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制することができる。
【0024】
第2側面に係るラベルでは、光吸収パターンは光学機能層と同じ色を呈している。それ故、光吸収パターンの存在を悟られ難い。従って、このラベルを利用して真偽判定を行っていることは、不正行為を行う者に悟られ難い。
【0025】
第3側面に係るラベルでは、第1波長は赤外領域内にあり、光学機能層は黒色層である。なお、ここで「黒色」とは、正反射光の強度を測定したときに、波長が400nm乃至700nmの範囲内にある全ての光成分について、反射率が10%以下であることを意味している。
【0026】
この構成を採用した場合、光吸収パターンが黒色であるか又は光学機能層の後方に位置しているときには、光吸収パターンの存在を悟られ難くすることができる。即ち、このラベルを利用して真偽判定を行っていることを、不正行為を行う者に悟られ難くすることができる。
【0027】
第4側面に係るラベルは、第3側面に係るラベルのうち、第1波長が近赤外領域内にあり、光学機能層の第1波長における透過率が30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500%の波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上であるものである。即ち、光学機能層の近赤外領域における透過スペクトルは、第1波長において高い透過率を示すが、多くの波長で低い透過率を示す。従って、ラベルの偽造を試みようとする者にとっては、その設計が不可能であるか又は困難である。
【0028】
第5側面に係る粘着ラベルは、第1乃至第4側面の何れか1つに係るラベルを含んでいる。粘着ラベルは、先のラベルを物品に貼り付ける場合に利用可能な一形態である。
【0029】
第6側面に係る印刷物は、第1乃至第4側面の何れか1つに係るラベルを含んでいる。この印刷物は、その使用期間を終了した後にラベルが再使用される可能性が低い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一態様に係るラベルを概略的に示す平面図。
【図2】図1に示すラベルのII−II線に沿った断面図。
【図3】真偽判定に利用可能な画像表示システムの一例を概略的に示す図。
【図4】図1及び図2に示すラベルに記録された情報を、図3に示す画像表示システムによって可視化してなる画像の一例を概略的に示す図。
【図5】図1及び図2に示すラベルの無効化処理法の一例を概略的に示す図。
【図6】図5に示す方法によって無効化したラベルの一例を概略的に示す平面図。
【図7】図5に示す方法によって無効化したラベルに記録された情報を、図3に示す画像表示システムによって可視化してなる画像の一例を概略的に示す図。
【図8】図1及び図2に示すラベルの一変形例を概略的に示す断面図。
【図9】粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図。
【図10】印刷物の一例を概略的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0032】
図1は、本発明の一態様に係るラベルを概略的に示す平面図である。図2は、図1に示すラベルのII−II線に沿った断面図である。
【0033】
図1及び図2に示すラベル1は、基材11と、スクラッチ層18と、光学機能層13と、光吸収パターン14とを含んでいる。スクラッチ層18、光学機能層13及び光吸収パターン14は、この順で基材11上に積層されている。ラベル1は、光吸収パターン14側の面が前面であり、基材11側の面が背面である。
【0034】
基材11は、例えば、樹脂からなるフィルムである。この樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びポリエチレンなどのプラスチックを使用することができる。或いは、基材11としては、上質紙及びコート紙などの紙又はアルミニウム箔などの金属層を使用することができる。基材11は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
【0035】
基材11は、透明であってもよく、不透明であってもよい。また、基材11は、光反射性又は光散乱性を有していてもよく、光学特性を有していなくてもよい。
【0036】
スクラッチ層18は、基材11の一方の主面上に設けられている。
スクラッチ層18は、ラベル1の前面を或る方向に引掻いた場合に、スクラッチ層18よりも前方に位置した部分が、先の方向に沿って裂けながら、スクラッチ層18の一部を伴って基材11から剥離するのを可能とする。
【0037】
また、スクラッチ層18と基材11との積層体は、スクラッチ層18側から第1波長の光で照明した場合に、光反射層又は光散乱層としての役割を果たす。第1波長におけるスクラッチ層18の吸収率は、例えば0乃至20%の範囲内にあり、典型的には3乃至10%の範囲内にある。そして、先の積層体の第1波長における反射率は、例えば60乃至90%の範囲内にあり、典型的には70乃至80%の範囲内にある。
【0038】
ここでは、一例として、第1波長は近赤外線領域にあることとする。ここで、「近赤外線領域」は、700乃至1500nmの波長域を意味することとする。
【0039】
スクラッチ層18は、基材保護層18aと剥離層18bとを含んでいる。
基材保護層18aは、基材11上に形成されている。基材保護層18aは、ラベル1の前面を引掻いた際に、基材11が損傷するのを抑制する。また、基材保護層18aは、剥離層18bの剥離を容易にする。
【0040】
剥離層18bが第1波長の光に対して光反射層又は光散乱層として機能する場合、基材保護層18aは、第1波長の光に対して透明、半透明及び不透明の何れであってもよい。剥離層18bが第1波長の光に対して光反射層又は光散乱層として機能する場合であって、基材保護層18aが第1波長に光に対して透明であるときには、ラベル1の前面を引掻いて基材保護層18aを露出させ、これを第1波長の光で照明すると、ラベル1は、基材保護層18aの露出部でその下地の像を表示する。
【0041】
基材保護層18aは、例えば、硬質樹脂と滑剤とを含んでいる。硬質樹脂は、例えば、紫外線又は電子線硬化型のアクリル樹脂の硬化物である。滑剤としては、例えばシリコーンを使用することができる。基材保護層18aは、例えば、紫外線又は電子線硬化型と滑剤とを含んだ組成物からなる塗膜を形成し、この塗膜に紫外線又は電子線を照射することにより得られる。この塗膜は、例えば、塗布法又は印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。
【0042】
基材保護層18aの厚さは、例えば1乃至10μmの範囲内とし、典型的には2乃至5μmの範囲内とする。基材保護層18aは、省略することができる。
【0043】
剥離層18bは、基材保護層18a上に形成されている。剥離層18bは、ラベル1の前面を引掻いた際に、基材保護層18aから剥離する。
【0044】
剥離層18bは、例えば、樹脂からなる。この樹脂としては、例えば、ゴム系天然樹脂、例えば天然ゴム及び塩酸ゴムなどの天然ゴム誘導体、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を使用することができる。
【0045】
剥離層18bを光反射層又は光散乱層として利用する場合は、剥離層18bにフィラーを更に含有させればよい。フィラーとしては、金属材料からなるフィラー、非金属材料からなるフィラー、又はそれらの組み合わせを使用することができる。金属材料からなるフィラーとしては、例えば、アルミニウム粉末及び銅粉末などの金属粉末、黄銅粉末などの合金粉末、又はそれらの組み合わせを使用することができる。非金属材料からなる粉末としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、アルミナ、二酸化チタン、シリカ、硫酸バリウム、タルク、カオリン、クレー、カーボンブラック、若しくは樹脂からなる粉末、又はそれらの混合物を使用することができる。剥離層18bに含有させるフィラーは、白色顔料であってもよく、着色顔料であってもよい。また、剥離層18bには、染料を含有させてもよい。ここでは、一例として、剥離層18bは、第1波長の光に対して、光反射層又は光散乱層として機能することとする。
【0046】
剥離層18bの厚さは、例えば3乃至30μmの範囲内とし、典型的には5乃至20μmの範囲内とする。
【0047】
剥離層18bは、例えば、塗布法又は印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。
【0048】
剥離層18bは、一定以上の力が加わったときには、容易に除去できるものであることが好ましい。但し、通常の保管環境下やハンドリングの際に、剥離層18bが傷付くことは好ましくない。従って、スクラッチ層18上には、図示しないスクラッチ保護層を形成してもよい。
【0049】
スクラッチ保護層は、例えば、樹脂からなる。この樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ケトン樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリウレタン樹脂を使用することができる。スクラッチ保護層は、例えば、上記樹脂の溶液を塗布し、塗膜を乾燥させることにより得られる。
【0050】
光学機能層13は、スクラッチ層18上に設けられている。光学機能層13は、第1波長の光を透過させる。第1波長の光に対する光学機能層13の透過率は、例えば30%以上であり、典型的には30乃至60%の範囲内にある。
【0051】
光学機能層13は、典型的には着色している。光学機能層13が着色している場合、特に、光学機能層13が黒色に着色している場合、肉眼による観察で光学機能層13の背後の構造を知覚することは不可能となるか又は困難となる。また、光学機能層13が光吸収パターン14と同色である場合、光吸収パターン14の存在を気付かれ難くすることができる。ここでは、一例として、光学機能層13は黒色を呈していることとする。
【0052】
第1波長が近赤外領域内にある場合、光学機能層13として、第1波長における透過率が30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500%の波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上であるものを使用してもよい。即ち、光学機能層13は、近赤外領域における透過スペクトルが、第1波長において高い透過率を示し、前記近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500nmの波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以下となる。ここでは、一例として、光学機能層13は、このような光学特性を有していることとする。また、ここでは、第2波長も近赤外領域内にあり、第2波長における光学機能層13の透過率は、第1波長における光学機能層13の透過率と比較してより低いこと、例えば、第1波長における光学機能層13の透過率の差が10%以上であることとする。
【0053】
上記の光学特性、即ち、近赤外領域内の光のうち、一部の波長域の光を選択的に透過させ、残りの光を吸収する光学特性を有している光学機能層13は、例えば、所定の近赤外線吸収剤と樹脂とを含んでいる。この近赤外線吸収剤としては、例えば、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、アントラキノン化合物、ジイモニウム化合物、及びシアニン化合物からなる群より選択される少なくとも1つを使用することができる。また、樹脂としては、例えば、プロセスインキにおいて一般に使用されているものを使用することができる。
【0054】
光学機能層13は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。光学機能層13の厚さは、例えば0.5乃至10μmの範囲内とし、典型的には1乃至5μmの範囲内とする。
【0055】
光吸収パターン14は、光学機能層13上に設けられている。光吸収パターン14は、光学機能層13を間に挟んでスクラッチ層18の一部と向き合っている。図1及び図2に示す例では、光吸収パターン14は、一次元コードを構成している。光吸収パターン14は、二次元コードを構成していてもよい。或いは、光吸収パターン14は、文字、記号、模様及び図形などの他のパターンを構成していてもよい。
【0056】
光吸収パターン14は、第1波長の光を吸収する。具体的には、光吸収パターン14の第1波長における吸収率は、スクラッチ層18の第1波長における吸収率及び光学機能層13の第1波長における吸収率と比較してより大きい。第1波長の光に対する光吸収パターン14の吸収率は、例えば70%以上であり、典型的には80%以上である。
【0057】
第1波長が近赤外領域内にある場合、光吸収パターン14は、例えば、近赤外線吸収剤と樹脂とを含有している。この樹脂としては、例えば、プロセスインキにおいて一般に使用されているものを使用することができる。
【0058】
ここで使用する近赤外線吸収剤は、典型的には、光学機能層13において使用する近赤外線吸収剤とは、近赤外線領域の吸収スペクトルが異なっている。例えば、ここで使用する近赤外線吸収剤は、光学機能層13において使用する近赤外線吸収剤と比較して、第1波長の光に対する吸収率がより大きい。この近赤外線吸収剤としては、例えば、プロセス墨インキに用いられているカーボンブラックを使用することができる。或いは、この近赤外線吸収剤として、光学機能層13の近赤外線吸収剤として例示した化合物を使用してもよい。
【0059】
光吸収パターン14は、光学機能層13と同色にするか、又は、第1波長の光に対して十分な吸収率を示す限り、薄い色にすることが好ましい。こうすると、ラベル1を肉眼で観察した場合に、光吸収パターン14の存在が分かり難くなる。
【0060】
光吸収パターン14は、スクラッチ層18に対応した領域のほぼ全体に亘って分布していることが望ましい。こうすると、光学機能層13の分光特性の解析を困難とすることができる。
【0061】
光吸収パターン14は、例えば、印刷法により形成する。この印刷法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、及びフレキソ印刷法が挙げられる。或いは、光吸収パターン14は、熱転写リボン、インクジェット印字、又はレーザー印字を用いて形成してもよい。光吸収パターン14の厚さは、例えば0.5乃至5μmの範囲内とし、典型的には0.5乃至2μmの範囲内とする。
【0062】
次に、このラベル1を利用した真偽判定方法について説明する。
まず、このラベル1を偽造防止ラベルとして使用した場合に真偽判定に利用可能な画像表示システムについて説明する。
【0063】
図3は、真偽判定に利用可能な画像表示システムの一例を概略的に示す図である。
図3に示すシステムは、2つの光源31と、撮像装置32と、画像表示装置36と、光学フィルタ38とを含んでいる。
【0064】
光源31は、例えば、赤外線LED(light-emitting diode)である。光源31は、図示しない載置台上に前面が上向きになるように載置されたラベル1に対して斜め上方に設置されている。光源31の一方は省略してもよい。また、3つ以上の光源31を設けてもよい。複数の光源31を設ける場合、それら光源31が放射する光のスペクトルは、同一であってもよく、異なっていてもよい。後者の場合、例えば、第1波長の光を放射する光源31と、第2波長の光を放射する光源31とを配置し、それらを交互に点灯可能な構成を採用してもよい。
【0065】
撮像装置32は、例えば、CCD(charge-coupled device)カメラである。撮像装置32は、ラベル1の前面と正対するように設置されている。
【0066】
画像表示装置36は、撮像装置32に接続されている。画像表示装置36は、撮像装置32が撮影した画像を表示する。
【0067】
光学フィルタ38は、第1及び第2波長の光を透過させ、他の波長の少なくとも一部を吸収する。例えば、光学フィルタ38は、可視光を吸収し、赤外光の少なくとも一部を透過させる可視光カットフィルタである。光学フィルタ38は、ラベル1と撮像装置32との間に設置されている。
【0068】
図4は、図1及び図2に示すラベルに記録された情報を、図3に示す画像表示システムによって可視化してなる画像の一例を概略的に示す図である。
【0069】
製造直後のラベル1の前面を肉眼で観察した場合、例えば、その全体が黒色に見える。これに対し、図3に示すシステムを用いて、製造直後のラベル1を、光源31が放射する第1波長の光で照明しながら撮像装置32で撮影すると、画像表示装置36は、光吸収パターン14に対応した領域が黒く、ラベル1の他の部分に対応した領域が白い画像I1を表示する。即ち、この場合、潜像を可視化すること、例えばPCS(print contrast signal)値が0.75以上の可視像を表示することができる。
【0070】
なお、第1波長の光を放射する光源31を消灯し、第2波長の光を放射する光源31を点灯すると、画像表示装置36は、例えば、全体が黒い画像を表示するか、又は、画像I1をより低いコントラスト比で、例えば0.75未満のPCS値で表示する。
【0071】
次に、ラベル1の無効化処理について説明する。
図5は、図1及び図2に示すラベルの無効化処理法の一例を概略的に示す図である。図6は、図5に示す方法によって無効化したラベルの一例を概略的に示す平面図である。なお、図5において、参照符号Lは、剥離層18bと光学機能層13と光吸収パターン14との積層体を表している。また、図5では、基材保護層18aを省略している。
【0072】
図5に示す無効化処理法では、ラベル1の前面を、鉤状具61で紙面の右方向に引掻く。こうすると、スクラッチ層18よりも前方に位置した部分が、紙面の左右方向に沿って裂けながら、スクラッチ層18の一部を伴って基材11から剥離する。ここでは、剥離層18bと光学機能層13と光吸収パターン14との積層体Lが、紙面の左右方向に沿って裂けながら、剥離層18bの一部を伴って基材11から剥離する。その結果、図6に示す構造が得られる。
【0073】
図6に示すラベル1と図1に示すラベル1とは、典型的には、肉眼による観察で容易に互いから区別することができる。また、それらラベル1は、機械読取を利用して互いから区別することもできる。
【0074】
図7は、図5に示す方法によって無効化したラベルに記録された情報を、図3に示す画像表示システムによって可視化してなる画像の一例を概略的に示す図である。
【0075】
ラベル1のうち積層体Lが剥離した部分では、基材保護層18aが剥き出しになっている。それ故、この部分の第1波長における反射率は、典型的には、他の部分の第1波長における反射率とは異なっている。従って、図3に示すシステムを用いて、無効化処理後のラベル1を、光源31が放射する第1波長の光で照明しながら撮像装置32で撮影すると、画像表示装置36は、光吸収パターン14に対応した第1領域が黒く、光学機能層13のうち光吸収パターン14と向き合っていない部分に対応した第2領域が白く、基材保護層18aが剥き出しになっている部分に対応した第3領域が例えば灰色の画像I2を表示する。即ち、この場合、画像表示装置36は、図4の画像I1とは異なる画像I2を表示する。
【0076】
画像I2において、第1領域と第3領域とは、明るさが異なっていてもよく、同一であってもよい。例えば、剥離層18bの第1波長における反射率が十分に高く、基材保護層18aが第1波長の光に対して透明であり、基材11の第1波長における吸収率が十分に高ければ、画像I2において、第1及び第3領域の明るさはほぼ等しくなる。
【0077】
また、画像I2において、第2領域と第3領域とは、明るさが異なっていてもよく、同一であってもよい。例えば、剥離層18bの第1波長における反射率が十分に高く、基材保護層18aが第1波長の光に対して透明であり、基材11の第1波長における反射率が十分に高ければ、画像I2において、第2及び第3領域の明るさはほぼ等しくなる。
【0078】
上述したラベル1には、様々な変形が可能である。
図8は、図1及び図2に示すラベルの一変形例を概略的に示す断面図である。
図8に示すラベル1は、光吸収パターン14がスクラッチ層18と光学機能層13との間に介在していること以外は、図1及び図2を参照しながら説明したラベル1と同様である。
【0079】
図1及び図2に示すラベル1では、光吸収パターン14は、光学機能層13上に設けられている。それ故、例えば、光学機能層13及び光吸収パターン14の色及び光沢などの相違に起因して、光吸収パターン14の存在を悟られる可能性がある。
【0080】
これに対し、図8のラベル1では、光吸収パターン14は、光学機能層13とスクラッチ層18との間に介在している。それ故、光学機能層13の可視光線透過率が低くすることにより、光吸収パターン14を隠蔽することができる。その結果、このラベル1を利用して真偽判定を行っていることは、不正行為を行う者に悟られ難くなる。
【0081】
次に、上述したラベル1を含んだ粘着ラベル及び印刷物を説明する。
【0082】
図9は、粘着ラベルの一例を概略的に示す断面図である。
図9に示す粘着ラベル10は、図1及び図2を参照しながら説明したラベル1と、粘着層2とを含んでいる。粘着層2は、ラベル1の背面上に設けられている。
【0083】
この粘着ラベル10は、例えば、真正品であることを確認可能であることが望まれる物品に貼り付ける。なお、粘着ラベル10は、粘着層2の表面を剥離可能に被覆した剥離紙を更に含んでいてもよい。
【0084】
図10は、印刷物の一例を概略的に示す断面図である。
図10に示す印刷物100は、図1及び図2を参照しながら説明したラベル1と、粘着層2と、印刷物本体3とを含んでいる。ラベル1は、粘着層2を介して印刷物本体3に貼り付けられている。
【0085】
印刷物本体3は、印刷基材3aと印刷層3bとを含んでいる。
【0086】
印刷基材3aは、例えば、紙、プラスチック、木材、ガラス又は樹脂からなる。印刷基材3aは、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。印刷基材3aは、層形状を有していてもよく、他の形状を有していてもよい。
【0087】
印刷層3bは、印刷基材3a上に設けられている。印刷層3bは、印刷基材3aの全体を被覆していてもよく、一部のみを被覆していてもよい。
【0088】
この印刷物100について、その使用期間終了後に上記の無効化処理を行うこととする。こうすると、真正品であるかが未知の印刷物について、例えば図3を参照しながら説明した画像表示システムを利用することにより、ラベル1が再使用されたものであるか否かを判別することができる。即ち、真正品であるかが未知の印刷物の真偽判定が可能である。従って、不正行為を行う者を牽制することができ、それ故、物品に貼り付けられたラベルが、その物品の使用期間を終了した後に再使用されるのを抑制することができる。その結果、印刷物100の偽造を抑制することができる。
【実施例】
【0089】
以下に、本発明の例を記載する。
【0090】
<例1>
図1及び図2を参照しながら説明したラベル1を、以下の方法により製造した。
【0091】
まず、基材11として白色系のタックコート紙を準備した。次いで、この基材11の一方のうち、寸法が60mm×30mmの矩形状の領域に、スクリーン印刷法により、透明ニスとして、以下に組成を示すインキDを、乾燥膜厚が3μmになるように塗布した。この塗膜を乾燥させることにより、基材保護層18aを得た。
【0092】
次に、基材保護層18a上に、スクリーン印刷法により、銀インキとして、銀粉末と樹脂との混合物を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布した。この塗膜を乾燥させることにより、剥離層18bを得た。
【0093】
次いで、基材11の基材保護層18a及び剥離層18bを形成した面の全体に、オフセット印刷法により、以下に組成を示すインキBを乾燥膜厚が1μmになるよう印刷した。更に、この塗膜に紫外線を照射して、光学機能層13を得た。
【0094】
その後、光学機能層13上に、プロセス墨インキを乾燥膜厚が1μmになるように印刷して、二次元コードパターンとしての光吸収パターン14を形成した。プロセス墨インキとしては、東洋インキ製造社製のFD カルトンACE スミ ロを使用した。
以上のようにして、ラベル1を完成した。
【0095】
[インキBの組成]
有機系青色顔料(御国色素社製) 5質量部
有機系赤色顔料(御国色素社製) 7質量部
有機系黄色顔料(御国色素社製) 8質量部
UV硬化型オフセットインキメジウム(FD カルトンACE メジウム ロ:東洋インキ製造社製) 80質量部
[インキDの組成]
アクリルポリオール(メチルテマクリレートと2−ヒドロキシエチルメタクリレートとの共重合体) 25重量部
ニトロセルロース 5重量部
キシレンジイソシアネート 5重量部
トルエン 35重量部
メチルエチルケトン 30重量部
このラベル1の前面を肉眼で観察したところ、全体が黒色に見えた。
【0096】
また、図3に示すシステムを用いて、このラベル1を、光源31が放射する第1波長の光、ここでは波長が800nmの光で照明しながら撮像装置32で撮影したところ、画像表示装置36は、黒色の二次元コードパターンと白色の背景とからなる画像を表示した。即ち、ラベルは、機械読み取りが可能な画像を表示した。
【0097】
次に、このラベル1に対して無効化処理を行った。具体的には、このラベル1の前面を硬貨で擦った。このラベル1の前面を肉眼で観察したところ、硬貨で擦った部分は白く見え、他の部分は黒く見えた。
【0098】
次いで、図3に示すシステムを用いて、このラベル1を、光源31が放射する第1波長の光で照明しながら撮像装置32で撮影したところ、画像表示装置36が表示した画像は、硬貨で擦った部分に対応した領域の色が、無効化処理前のラベル1について画像表示装置36が表示した画像とは異なっていた。即ち、二次元コードパターンを正確に読み取ることが不可能となった。
【0099】
<例2>
図1及び図2を参照しながら説明したラベル1を、以下の方法により製造した。
【0100】
まず、基材11として白色系のコート紙を準備した。次いで、この基材11の一方のうち、寸法が60mm×30mmの矩形状の領域に、スクリーン印刷法により、透明ニスとして、上記のインキDを、乾燥膜厚が3μmになるように塗布した。この塗膜を乾燥させることにより、基材保護層18aを得た。
【0101】
次に、基材保護層18a上に、スクリーン印刷法により、銀インキとして、銀粉末と樹脂との混合物を、乾燥膜厚が10μmになるように塗布した。この塗膜を乾燥させることにより、剥離層18bを得た。
【0102】
次いで、基材11の基材保護層18a及び剥離層18bを形成した面の全体に、オフセット印刷法により、以下に組成を示すインキCを乾燥膜厚が1μmになるよう印刷した。更に、この塗膜に紫外線を照射して、光学機能層13を得た。
【0103】
その後、光学機能層13上に、プロセス墨インキを乾燥膜厚が1μmになるように印刷して、二次元コードパターンとしての光吸収パターン14を形成した。プロセス墨インキとしては、東洋インキ製造社製のFD カルトンACE スミ ロを使用した。
以上のようにして、ラベル1を完成した。
【0104】
[インキCの組成]
有機系青色顔料(御国色素社製) 5質量部
有機系赤色顔料(御国色素社製) 7質量部
有機系黄色顔料(御国色素社製) 8質量部
赤外線吸収剤(YKR−3081:山本化成社製) 5質量部
UV硬化型オフセットインキ用メジウム(FD カルトンACE メジウム ロ:東洋インキ製造社製) 75質量部
このラベル1の前面を肉眼で観察したところ、全体が黒色に見えた。
【0105】
また、図3に示すシステムを用いて、このラベル1を、光源31が放射する第1波長の光、ここでは波長が800nmの光で照明しながら撮像装置32で撮影したところ、画像表示装置36は、黒色の二次元コードパターンと白色の背景とからなる画像を表示した。即ち、ラベルは、機械読み取りが可能な画像を表示した。
【0106】
但し、図3に示すシステムを用いて、このラベル1を、光源31が放射する第2波長の光、ここでは波長が940nmの光で照明しながら撮像装置32で撮影したところ、画像表示装置36は、黒色の二次元コードパターンと灰色の背景とからなる画像を表示した。即ち、波長が800nmの光で照明した場合と比較してコントラスト比が低下し、二次元コードパターンの機械読み取りが不可能となった。
【0107】
次に、このラベル1に対して無効化処理を行った。具体的には、このラベル1の前面を硬貨で擦った。このラベル1の前面を肉眼で観察したところ、硬貨で擦った部分は白く見え、他の部分は黒く見えた。
【0108】
次いで、図3に示すシステムを用いて、このラベル1を、光源31が放射する第1波長の光、ここでは波長が800nmの光で照明しながら撮像装置32で撮影したところ、画像表示装置36が表示した画像は、硬貨で擦った部分に対応した領域の色が、無効化処理前のラベル1について画像表示装置36が表示した画像とは異なっていた。即ち、二次元コードパターンを正確に読み取ることが不可能となった。
【符号の説明】
【0109】
1…ラベル、2…粘着層、3…印刷物本体、3a…印刷基材、3b…印刷層、10…粘着ラベル、11…基材、13…光学機能層、14…光吸収パターン、18…スクラッチ層、18a…基材保護層、18b…剥離層、31…光源、32…撮像装置、36…画像表示装置、38…光学フィルタ、61…鉤状具、100…印刷物、L…積層体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面及び背面を有している基材と、
前記前面と向き合い、或る波長の光を透過させる光学機能層と、
前記基材と前記光学機能層との間に介在し、前記波長の光を透過させるか又は反射させるスクラッチ層と、
前記光学機能層と前記スクラッチ層との間に介在しているか、又は、前記光学機能層を間に挟んで前記スクラッチ層と向き合っており、前記波長の光を吸収する光吸収パターンと
を備え、前面を或る方向に引掻いた場合に、前記スクラッチ層よりも前方に位置した部分が、前記方向に沿って裂けながら、前記スクラッチ層の一部を伴って前記基材から剥離するように構成されたラベル。
【請求項2】
前記光吸収パターンは前記光学機能層と同じ色を呈している請求項1に記載のラベル。
【請求項3】
前記波長は赤外領域内にあり、前記光学機能層は黒色層である請求項1又は2に記載のラベル。
【請求項4】
前記波長は近赤外領域内にあり、前記光学機能層の前記波長における透過率は30%以上であり、前記光学機能層は、近赤外領域の700乃至800nmの波長域と、近赤外領域の800乃至1500%の波長域でいずれかの波長の透過率差が10%以上である請求項3に記載のラベル。
【請求項5】
前記スクラッチ層は、樹脂とその中で分散したフィラーとを含み、前記波長の光を反射又は散乱させるように構成された請求項1乃至4の何れか1項に記載のラベル。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のラベルと、前記ラベルの背面と向き合った粘着層とを具備した粘着ラベル。
【請求項7】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のラベルと、
前記ラベルの背面と向き合った印刷基材と、
前記ラベルと前記印刷基材との間に介在して、前記ラベルを前記印刷基材に貼り付けた粘着層と
を具備した印刷物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−73135(P2013−73135A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213729(P2011−213729)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)