説明

ラベル貼付装置及びラベル貼付方法

【課題】ラベルを搬送中のタイヤに貼り付けて、ラベルの貼り付けに要する時間を短縮させる。
【解決手段】タイヤ90を搬送経路Kに沿って搬送して、互いの先端部23を近接させて搬送経路Kを閉鎖する一対の開閉体20に向けて移動させる。搬送経路Kを閉鎖する一対の開閉体20にラベルRを供給して、一対の開閉体20の先端部23にラベルRを配置する。搬送するタイヤ90で一対の開閉体20の先端部23を押して、一対の開閉体20を搬送経路Kを開放する状態に変移させ、一対の開閉体20の先端部23のラベルRを、搬送されるタイヤ90に押し当てて貼り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの製造中や出荷時等に、円筒状のタイヤの表面に各種のラベルを貼り付けるラベル貼付装置、及び、ラベル貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
未加硫タイヤや製品タイヤ等のタイヤには、タイヤの識別や生産管理のためのラベルや、タイヤのサイズ、種類、製造者等のタイヤ情報を表示するラベルを含めて、種々のラベルが人手や貼付装置により貼り付けられる。このラベル貼付装置として、従来、供給されるラベルを保持してタイヤの所定位置に押し付け、ラベルをタイヤに自動で貼り付ける装置が知られている(特許文献1〜5参照)。
【0003】
図5は、従来のラベル貼付装置の例を示す要部正面図である。
この従来のラベル貼付装置100は、図示のように、ピストン・シリンダ機構110と、そのピストンロッド111の先端に設けられたラベルRを吸着する吸着機構(図示せず)とを備えている。ラベル貼付装置100は、ピストン・シリンダ機構110のシリンダ112からピストンロッド111を進出させて、その先端に吸着するラベルRを、成形ドラム等に固定されたタイヤ90(ここでは未加硫タイヤ)の側面91に押し付ける。これにより、ラベルRを、タイヤ90の側面91に設定された所定の貼付位置に貼り付ける。
【0004】
ところが、このラベル貼付装置100では、予めタイヤ90を固定して、ラベルRを押し付ける位置とタイヤ90の貼付位置とを合わせ、タイヤ90を停止させた状態で、ラベルRをタイヤ90に貼り付ける。また、タイヤ90のタイヤサイズの変更や、ラベルRの貼付位置を変更するときには、部品を交換し、或いは、ピストン・シリンダ機構110の配置位置や角度を変更して、調整作業を行う必要がある。そのため、この従来のラベル貼付装置100では、ラベルRの貼り付けに要する時間が長くなり、かつ、その作業に手間がかかり、貼り付けの作業効率が低くなる傾向がある。
【0005】
これに対し、図6は、従来のラベル貼付装置の他の例を示す要部正面図である。
これら従来のラベル貼付装置120、130は、図示のように、固定部材(図示せず)に固定されたタイヤ90(ここでは製品タイヤ)の外周92に、それぞれラベルRを貼り付ける。その際、一方のラベル貼付装置120(図6A参照)は、ラベルRを保持する保持部材121により、ラベルRの一端部をタイヤ90の外周92に押し付け、タイヤ90を回転させて、外周92にラベルRの全体を貼り付ける。また、他方のラベル貼付装置130(図6B参照)は、ラベルRを保持ローラ131の外周に巻き付けて保持し、保持ローラ131をタイヤ90の外周92に押し付けて外周92上を転動させ、外周92にラベルRを貼り付ける。
【0006】
このように、これら従来のラベル貼付装置120、130でも、ラベルRを貼り付ける都度、タイヤ90を装置内に搬送して所定位置に固定し、その状態でラベルRを貼り付けた後、固定を解除してタイヤ90を装置外に搬送する。そのため、ラベルRの貼り付け時間を短縮するのは難しく、更なる貼り付けの作業効率の向上を図る必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−310236号公報
【特許文献2】特開平6−312604号公報
【特許文献3】特開平8−197637号公報
【特許文献4】特開2005−249984号公報
【特許文献5】特開2006−193170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来の問題に鑑みなされたものであって、その目的は、タイヤを停止させずに搬送しながらラベルをタイヤに貼り付けて、ラベルの貼り付けに要する時間を短縮させ、貼り付けの作業効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、タイヤにラベルを貼り付けるラベル貼付装置であって、タイヤを搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、互いの先端部が近接して搬送経路を閉鎖する状態から、搬送されるタイヤに先端部が押されて搬送経路を開放する状態に変移する一対の開閉体と、搬送経路を閉鎖する一対の開閉体にラベルを供給して、一対の開閉体の先端部にラベルを配置する配置手段と、を備え、一対の開閉体が、先端部のラベルを搬送されるタイヤに押し当てて貼り付けることを特徴とする。
また、本発明は、タイヤにラベルを貼り付けるラベル貼付方法であって、タイヤを搬送経路に沿って搬送して、互いの先端部を近接させて搬送経路を閉鎖する一対の開閉体に向けて移動させる工程と、搬送経路を閉鎖する一対の開閉体にラベルを供給して、一対の開閉体の先端部にラベルを配置する工程と、搬送するタイヤで一対の開閉体の先端部を押して、一対の開閉体を搬送経路を開放する状態に変移させる工程と、一対の開閉体の先端部のラベルを、搬送されるタイヤに押し当てて貼り付ける工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タイヤを停止させずに搬送しながらラベルをタイヤに貼り付けることができ、ラベルの貼り付けに要する時間を短縮しつつ、貼り付けの作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態のラベル貼付装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】本実施形態のラベル貼付装置を図1の矢印X方向から見た側面図である。
【図3】本実施形態のラベル貼付装置の貼付部を拡大して示す要部平面図である。
【図4】タイヤにラベルを貼り付ける過程を順に示す要部平面図である。
【図5】従来のラベル貼付装置の例を示す要部正面図である。
【図6】従来のラベル貼付装置の他の例を示す要部正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のラベル貼付装置とラベル貼付方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態のラベル貼付装置は、未加硫タイヤや製品タイヤ等のタイヤを搬送しつつ、その表面の所定位置に、タイヤを識別するための情報やタイヤに関する情報等を表示するラベルを貼り付ける。以下では、ラベルとして、ラベルが貼り付けられたタイヤの情報、例えば、タイヤサイズ、種類、製造日、又は、製造業者等の製品情報を表示するユーザ向けの商品ラベル(いわゆる、リプレイスラベル)を、製品タイヤに貼り付ける例を説明する。ラベル貼付装置は、このラベルを、タイヤの外周に周方向に沿って貼り付ける。
【0013】
図1は、本実施形態のラベル貼付装置の概略構成を示す平面図であり、図2は、ラベル貼付装置を図1の矢印X方向から見た側面図である。
ラベル貼付装置1は、図示のように、タイヤ90を搬送経路Kに沿って搬送する搬送装置10と、搬送装置10の搬送経路K中に設けられたラベルRの貼り付けを行う貼付部2(図2では、一部を透視して点線で示す)とを備えている。また、ラベル貼付装置1は、搬送装置10の上方に配置されたバーコードリーダ3を備え、バーコードリーダ3が、貼付部2を挟んで、搬送装置10によるタイヤ90の搬送方向(図の矢印H)の上流側と下流側(図の左側と右側)に2つ配置されている。
【0014】
搬送装置10は、ローラコンベヤからなり、搬送経路Kに沿って配置されたフレーム11と、フレーム11の上面に並べて取り付けられた複数の搬送ローラ12と、搬送ローラ12を回転駆動する駆動機構(図示せず)とを有する。搬送装置10は、タイヤ90が搬送ローラ12上に倒して横置きした状態(回転軸を上下方向に向けた状態)で載置され、回転する搬送ローラ12で、複数のタイヤ90を搬送方向Hに連続して搬送する。また、搬送装置10は、各タイヤサイズのタイヤ90を、搬送経路Kに沿って所定間隔を開けて順に搬送して、貼付部2及び、2つのバーコードリーダ3の下方を通過させる。
【0015】
バーコードリーダ3は、搬送装置10により搬送されるタイヤ90に向けて配置され、下方をタイヤ90が通過する毎に、搬送中の各タイヤ90の側面91に取り付けられたバーコード(図示せず)を読み取る。各タイヤ90は、側面91の内周側(ビード部)に、それぞれを識別するためのバーコードが表示されたラベル(バーコードラベル)が取り付けられており、バーコードから読み取られた識別情報が、その識別や生産管理等に使用される。ラベル貼付装置1は、バーコードリーダ3により各タイヤ90のバーコードを読み取ることで、搬送されるタイヤ90に付された、それぞれの識別情報を取得する。このように、バーコードリーダ3は、タイヤ90の識別情報を取得する取得手段を構成し、貼付部2の両側で、タイヤ90が貼付部2を通過する前後に、その識別情報を取得する。
【0016】
図3は、ラベル貼付装置1の貼付部2を拡大して示す要部平面図である。
ラベル貼付装置1は、図示のように、貼付部2に、搬送装置10上に設置されてタイヤ90の搬送経路Kを開閉する一対の開閉体20と、一対の開閉体20にラベルRを供給して所定位置に配置するラベル配置手段30とを備えている。
【0017】
一対の開閉体20は、角柱状に形成されたアームであり、それぞれ一端部(基端部21)が支持部材22により回転可能に支持され、基端部21を中心に回転して、他端部(先端部23)が回転方向の両方向に移動する。支持部材22は、タイヤ90の搬送経路Kを挟んだ両側で搬送装置10のフレーム11等に固定され、一対の開閉体20を搬送経路Kの中央部を挟んで対称に配置する。その際、一対の開閉体20は、支持部材22から搬送経路Kの中央部に向かって搬送方向Hの下流側(図では右側)に傾斜し、互いの先端部23が搬送経路Kの中央部で近接して、搬送経路Kを閉鎖する状態(図示の状態)に配置される。この閉鎖状態から、一対の開閉体20は、搬送されるタイヤ90の外周92に先端部23が押されて基端部21を中心に回転し、先端部23同士が離れて搬送経路Kを開放する状態に次第に変移(図では、変移後の先端部23付近を点線で示す)する。
【0018】
また、一対の開閉体20は、バネ等の付勢手段(図示せず)により閉鎖状態に向けて常に付勢されて、その方向の付勢力(回転力)が付加されており、搬送経路Kの閉鎖と開放の両状態間で変移して状態を変化させつつ閉鎖状態に向けて付勢される。その結果、一対の開閉体20は、先端部23が搬送されるタイヤ90の外周92に押し付けられて、押圧の力で次第に変移(変位)して搬送経路Kを開放し、タイヤ90の通過後に付勢力で元の閉鎖状態に復帰して、タイヤ90の搬送及び通過に応じて搬送経路Kを順次開閉する。この搬送経路Kの開放に伴い、一対の開閉体20は、両先端部23によりタイヤ90を挟んで、その搬送位置を規定し、搬送されるタイヤ90を位置決めして搬送経路K内の所定位置に配置する。ここでは、一対の開閉体20は、搬送方向Hと直交する方向のタイヤ90の位置を規定して、タイヤ90を搬送経路Kの中央部に位置決めするセンタリング機構であり、タイヤ90を搬送経路Kの中央部に配置して中央部上を搬送させる。
【0019】
このように、一対の開閉体20は、タイヤ90に先端部23が押されたときに、タイヤ90を挟んだ両側で、基端部21を中心に回転しつつ互いの先端部23でタイヤ90を挟んで、搬送されるタイヤ90の搬送位置を規定する一対の位置規定部材を構成する。また、ラベル貼付装置1は、後述するように、ラベル配置手段30により、予め、搬送経路Kを閉鎖する状態の一対の開閉体20の先端部23にラベルRを供給して、一対の開閉体20の先端部23にラベルRを配置する。その後、ラベル貼付装置1は、一対の開閉体20により、先端部23のラベルRを、搬送されるタイヤ90の外周92に押し当てて、その表面に貼り付ける。
【0020】
ここで、一対の開閉体20は、搬送経路Kを閉鎖する状態で、互いの先端部23が、接触して、又は、ラベルRを保持してタイヤ90に押し当て可能な所定間隔を開けて配置される。また、一対の開閉体20は、先端部23に、排気手段に接続された吸着パッド等からなる吸着手段(図示せず)を有し、吸着手段により、ラベルRを吸着して保持し、タイヤ90への貼り付けに合わせてラベルRの吸着を解除する。
【0021】
更に、一対の開閉体20は、それぞれの先端部23に、回転可能な円筒状の押付ローラ24を有し、押付ローラ24を、搬送されるタイヤ90に当接させて表面に沿って回転移動させて、上記した搬送経路Kの開放状態に変移する。同時に、一対の開閉体20は、搬送経路Kを開放する状態への変移に伴い、互いの押付ローラ24により、ラベルRを、その中央部から両端部に向けてなぞるようにタイヤ90に順次押し付けて、ラベルRを両端部まで押圧してタイヤ90に貼り付ける。ここでは、両側の押付ローラ24は、一対の開閉体20が搬送経路Kを閉鎖する状態で、外周同士を接触させて、先端部23の搬送方向Hの上流側に配置され、ラベル配置手段30により、ラベルRが搬送方向Hの上流側に配置される。また、押付ローラ24は、ラベルRの上下方向の全体に亘り接触する。
【0022】
ラベル配置手段30は、複数のラベルRが等間隔に貼り付けられた帯状のシート(例えば、台紙)Sを有し、シートSにより複数のラベルRを仮に保持して、シートSを長手方向に移動させて各ラベルRを供給する。また、ラベル配置手段30は、一方(図では下方)の開閉体20の支持部材22が固定された基台31と、基台31の上面に設けられた、ロール状に巻き付けられたシートSを保持する回転可能な供給リール32、ラベルRに印刷する印刷装置33、及び、シートSを巻き取る巻取リール34とを有する。更に、ラベル配置手段30は、一方の開閉体20に固定された平面視楔状の剥離部材35と、シートSの移動を案内する複数のガイドローラ36とを有し、2つのガイドローラ36で案内して、シートSを剥離部材35の外面に沿って移動させる。加えて、ラベル配置手段30は、一対の開閉体20の押付ローラ24に隣接する誘導ローラ37と、巻取リール34及び誘導ローラ37を回転させる回転駆動手段(図示せず)とを有する。
【0023】
ラベル配置手段30は、シートSが、供給リール32から剥離部材35に架け渡されて巻取リール34まで配置され、巻取リール34を回転させてシートSを巻き取りながら、シートSを開閉体20の先端部23の近傍を通って移動させる。この移動に合わせて、ラベル配置手段30は、印刷装置33により、シートSが保持する各ラベルRに、それぞれの表示を印刷した後、剥離部材35の先端でシートSを鋭角に屈曲させて移動の向きを変更させる。その際、ラベルRは、シートSよりも曲げ剛性が高いため、シートSが屈曲移動する間にシートSから剥離して、剥離部材35から誘導ローラ37の外周まで突出する。
【0024】
ラベル配置手段30は、突出するラベルRを、回転する誘導ローラ37で引き出して他方の開閉体20の先端部23まで誘導し、ラベルRを、両側の押付ローラ24の外周に接触させて、一対の開閉体20の両先端部23に左右対称に配置する。このラベルRは、上記のように先端部23で保持される。また、ラベル配置手段30は、巻取リール34と誘導ローラ37の回転を停止して1つのラベルRの配置作業を終了する。これにより、ラベルRを、その貼付面がタイヤ90側(搬送方向Hの上流側)に向くようにして、一対の開閉体20のタイヤ90に押される位置に配置する。ラベル貼付装置1は、このラベル配置手段30の動作を、装置全体を制御する制御装置(図示せず)により制御して行わせる。
【0025】
制御装置は、例えばマイクロプロセッサ(MPU)と、各種制御処理のためのプログラムを格納するROM(Read Only Memory)と、MPUが直接アクセスするデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)等を有するマイクロコンピュータを備える。また、制御装置は、接続手段を介して装置各部が接続されており、接続された各部を制御して予め設定されたタイミングや条件で関連動作させて、ラベルRを貼り付けるための各動作を連動して実行させる。その際、制御装置は、各バーコードリーダ3(図1、2参照)により、搬送されるタイヤ90のバーコードを読み取り、その識別情報を搬送の各段階で取得して、タイヤ90の識別や管理等を行う。
【0026】
併せて、制御装置は、取得した識別情報から、そのタイヤ90に関する情報を、予め各情報を記憶した記憶手段から読み出し、或いは、外部の情報管理サーバやデータベースに取得要求を送信し、それらから受信して取得する。これにより、制御装置は、ラベルRに印刷して、その貼り付け対象のタイヤ90に付す表示の情報を取得し、ラベル配置手段30の印刷装置33(図3参照)により、各表示をラベルRに印刷させる。このように、ラベル配置手段30は、取得したタイヤ90の識別情報に基づき、タイヤ90に貼り付けるべきラベルRを作成して、ラベルRを、タイヤ90の搬送に同期して一対の開閉体20に供給する。
【0027】
次に、ラベル貼付装置1により、ラベルRを貼り付ける手順や動作、及び、タイヤ90にラベルRを貼り付けるラベル貼付方法について説明する。
図4は、タイヤ90にラベルRを貼り付ける過程を順に示す要部平面図であり、図3に対して、ラベル配置手段30の一部と、搬送装置10の搬送ローラ12を省略して示している。
ラベル貼付装置1は、まず、一対の開閉体20を、互いの先端部23を近接(図4A参照)させて搬送経路Kを閉鎖する状態に配置し、搬送装置10により、タイヤ90を搬送経路Kに沿って搬送して、一対の開閉体20に向けて移動させる。また、搬送中に、搬送方向Hの上流側のバーコードリーダ3(図1、2参照)でタイヤ90のバーコードを読み取り、上記のように、ラベル配置手段30により、搬送中のタイヤ90に貼り付けるべきラベルRを作成する。ラベル配置手段30は、作成したラベルRを、搬送経路Kを閉鎖する一対の開閉体20に供給して、その先端部23に配置し、先端部23にラベルRを予め保持させる。
【0028】
続いて、搬送するタイヤ90(図4B参照)で、一対の開閉体20の先端部23を押して、一対の開閉体20を、搬送経路Kを閉鎖する状態から開放する状態に変移させる。その際、一対の開閉体20は、両先端部23の押付ローラ24によりタイヤ90を両側から挟んで、押付ローラ24を搬送されるタイヤ90の表面に沿って移動させ、タイヤ90を搬送経路Kの中央部に位置決めしてセンタリングする。同時に、タイヤ90による先端部23の押圧に伴い、一対の開閉体20の先端部23のラベルRを、搬送されるタイヤ90に押し当て、ラベルR(図4C参照)を、押付ローラ24でタイヤ90の外周92に順に押し付けて、外周92の所定の貼付位置に貼り付ける。
【0029】
その後、タイヤ90が続けて搬送(図4D参照)されて、一対の開閉体20の間を通過すると(図4E参照)、一対の開閉体20は、元の搬送経路Kを閉鎖する状態に復帰する。次に、ラベル貼付装置1は、搬送中のタイヤ90のバーコードを、搬送方向Hの下流側のバーコードリーダ3(図1、2参照)で再び読み取り、タイヤ90の識別情報と貼り付けたラベルRの内容を照合する。照合の結果、ラベルRに問題がなければ、タイヤ90を次工程まで搬送し、或いは、ラベルRを貼り付けたタイヤ90を出荷する。続いて、ラベル貼付装置1は、一対の開閉体20の先端部23に次のラベルRを配置して、ラベルRを次のタイヤ90に貼り付ける。ラベル貼付装置1は、これらラベルRの配置と貼り付けを、タイヤ90を搬送しつつ繰り返して、複数のタイヤ90に各ラベルRを順に貼り付ける。
【0030】
以上説明したように、本実施形態では、タイヤ90の搬送に応じて開閉する一対の開閉体20により、先端部23に配置されたラベルRを、搬送するタイヤ90に押し当てて貼り付ける。そのため、タイヤ90を固定や停止させずに、かつ、タイヤ90とラベルRとの複雑な位置合わせを要さずに、タイヤ90を任意の場所に搬送しながら、ラベルRをタイヤ90に貼り付けることができる。これにより、ラベルRの貼り付け時間を短縮できるとともに、タイヤ90の搬送工程にラベルRの貼り付け工程を付加することで、それらを同時に実施して、ラベルRの貼り付け工程のための独立した時間をなくすこともできる。また、ラベル貼付装置1の部品の交換や調整等の作業を行うことなく、同じ構成で、複数のタイヤサイズのタイヤ90に対して、ラベルRを同様に貼り付けられる。その結果、例えば、複数のタイヤサイズが混在するときでも、各タイヤ90に連続してラベルRを貼り付けられるため、ラベルRの貼り付けに伴う作業の手間を軽減できる。
【0031】
従って、本実施形態によれば、タイヤ90を停止させずに搬送しながらラベルRをタイヤ90に貼り付けることができ、ラベルRの貼り付けに要する時間を短縮しつつ、貼り付けの作業効率を向上させて、全体のタクトタイムを短縮できる。また、ラベルRを貼り付けるときに、一対の開閉体20により、タイヤ90の搬送位置を規定して、タイヤ90を搬送経路K内の所定位置に配置するため、ラベルRをタイヤ90の所定の貼付位置に正確かつ確実に貼り付けられる。併せて、タイヤ90の位置決めとラベルRの貼り付けを一連の動作で実行できるため、タイヤ90の搬送位置の精度を向上させつつ、タイヤサイズに影響されずに、ラベルRを精度よく時間をかけずにタイヤ90に貼り付けることもできる。
【0032】
ここで、このラベル貼付装置1では、一対の開閉体20が有する押付ローラ24で、ラベルRをタイヤ90に押し付けたが、ラベルRは、板状や湾曲面状の押付部材等、押付ローラ24以外の押付部材で、タイヤ90に押し付けて貼り付けてもよい。ただし、押付ローラ24により、ラベルRをタイヤ90に順次押し付けるときには、ラベルRを端部までタイヤ90に押し付けて、タイヤ90の表面に確実に貼り付けられる。また、タイヤ90に付された識別情報を取得して、識別情報に基づきラベルRを作成することで、タイヤ90のタイヤサイズや種類等の変化に柔軟に対応でき、それぞれに応じたラベルRを適宜作成してタイヤ90に貼り付けられる。その結果、ラベルRに貼り付け間違いが生じるのを抑制することもできる。
【0033】
以上、ラベルRとして、タイヤ90の情報を表示するユーザ向けの商品ラベル(リプレイスラベル)を貼り付ける例を説明したが、本実施形態のラベル貼付装置1は、リプレイスラベル以外の各種情報等を表示するラベルRを種々のタイヤ90に貼り付けることができる。
【符号の説明】
【0034】
1・・・ラベル貼付装置、2・・・貼付部、3・・・バーコードリーダ、10・・・搬送装置、11・・・フレーム、12・・・搬送ローラ、20・・・開閉体、21・・・基端部、22・・・支持部材、23・・・先端部、24・・・押付ローラ、30・・・ラベル配置手段、31・・・基台、32・・・供給リール、33・・・印刷装置、34・・・巻取リール、35・・・剥離部材、36・・・ガイドローラ、37・・・誘導ローラ、90・・・タイヤ、91・・・側面、92・・・外周、H・・・搬送方向、K・・・搬送経路、R・・・ラベル、S・・・シート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤにラベルを貼り付けるラベル貼付装置であって、
タイヤを搬送経路に沿って搬送する搬送装置と、
互いの先端部が近接して搬送経路を閉鎖する状態から、搬送されるタイヤに先端部が押されて搬送経路を開放する状態に変移する一対の開閉体と、
搬送経路を閉鎖する一対の開閉体にラベルを供給して、一対の開閉体の先端部にラベルを配置する配置手段と、を備え、
一対の開閉体が、先端部のラベルを搬送されるタイヤに押し当てて貼り付けることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたラベル貼付装置において、
一対の開閉体が、先端部に、搬送経路を開放する状態への変移に伴いラベルをタイヤに順次押し付ける押付ローラを有することを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載されたラベル貼付装置において、
一対の開閉体が、タイヤに先端部が押されたときに、タイヤの両側で基端部を中心に回転しつつ互いの先端部でタイヤを挟んで搬送されるタイヤの搬送位置を規定する一対の位置規定部材からなることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載されたラベル貼付装置において、
搬送されるタイヤに付された識別情報を取得する手段と、
取得した識別情報に基づき、タイヤに貼り付けるラベルを作成する手段と、
を備えたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載されたラベル貼付装置において、
ラベルが、貼り付けられたタイヤの情報を表示するユーザ向けの商品ラベルであることを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項6】
タイヤにラベルを貼り付けるラベル貼付方法であって、
タイヤを搬送経路に沿って搬送して、互いの先端部を近接させて搬送経路を閉鎖する一対の開閉体に向けて移動させる工程と、
搬送経路を閉鎖する一対の開閉体にラベルを供給して、一対の開閉体の先端部にラベルを配置する工程と、
搬送するタイヤで一対の開閉体の先端部を押して、一対の開閉体を搬送経路を開放する状態に変移させる工程と、
一対の開閉体の先端部のラベルを、搬送されるタイヤに押し当てて貼り付ける工程と、
を有することを特徴とするラベル貼付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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