説明

ラベル貼付装置

【課題】 被着体の搬送方向に制約されずにラベル貼付を可能とする汎用性を備えたラベル貼付装置を提供すること。
【解決手段】 ラベルLを吸着保持する吸着プレート11の一端側に押圧ロール12が配置されている。この吸着プレート11は回転機構13を介して回転可能に設けられているとともに、揺動機構26を介して揺動可能な状態でプレート支持体14に支持されている。吸着プレート11は角度変位手段15によって角度変位可能とされ、この角度変位手段15との連結を解除して平面内で所定角度回転させることで、押圧ロールの位置が変更可能とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はラベル貼付装置に係り、更に詳しくは、ラベルが貼付される被着体の搬送方向を変更した場合でもラベルを貼付することが可能なラベル貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
公知のラベル貼付装置は、帯状の剥離シートに仮着されたラベルを剥離するタイミングに合わせて当該ラベルを吸着プレートで吸着し、搬送される被着体の面に前記吸着プレートを押し付けることによってラベルを被着体に貼付する構成が採用されている。しかしながら、このラベル貼付装置の場合、ラベルの平面積が大きいときに、吸着プレートによる押圧力が等しく全面的に及ばない場合があり、部分的な貼付不良を生ずる、という不都合がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1に示されるように、吸着プレートの一端側に押圧ロールを配置し、当該押圧ロールでラベルに押圧力を付与しながらラベルを貼付することのできるラベル貼付装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特許第3370722号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたラベル貼付装置にあっては、被着体の搬送方向が一方向である場合には特段の不都合を生じないが、被着体の搬送方向が反対となる場合には、それに対応したラベル貼付装置が必要になり、汎用性に欠けるとともに、設備コストを上昇させる。つまり、被着体の搬送方向によって、勝手反対のラベル貼付装置をもう一台用意しておかなければならない、という不都合がある。
【0006】
[発明の目的]
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、一台で被着体の搬送方向に制約されずにラベル貼付を可能とする汎用性を備えたラベル貼付装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、ラベルを吸着保持する吸着プレートと、当該吸着プレートの一端側に配置されてラベルに貼付圧力を付与する押圧ロールと、前記吸着プレートを平面内で回転させる回転機構と、前記吸着プレートを揺動可能に支持するプレート支持体と、前記吸着プレートを角度変位させる角度変位手段とを備え、前記吸着プレートを角度変位させて前記吸着プレートに吸着されたラベルを順次搬送される被着体に貼付するラベル貼付装置において、
前記吸着プレートは、前記角度変位手段が選択的に連結可能な連結位置を特定する複数の連結部を含み、前記連結位置を変更する際に前記吸着プレートを平面内で所定角度回転させることで、前記被着体の搬送方向の変更に対応するように押圧ロールの位置を変更可能けられる、という構成を採っている。
【0008】
本発明において、前記角度変位手段はシリンダにより構成され、当該シリンダの一端側に設けられた連結部材を介して前記吸着プレートの連結部に連結される、という構成を採ることができる。
【0009】
また、前記吸着プレートとプレート支持体との間にストッパが設けられ、当該ストッパにより吸着プレートとプレート支持体との相対位置規制が行われるように設けることが好ましい。
【0010】
更に、本発明は、ラベルを吸着保持する吸着プレートと、当該吸着プレートの一端側に配置されてラベルに貼付圧力を付与する押圧ロールと、前記吸着プレートを揺動可能に支持するプレート支持体と、前記吸着プレートを角度変位させる角度変位手段とを備え、前記吸着プレートを角度変位させて前記吸着プレートに吸着されたラベルを順次搬送される被着体に貼付するラベル貼付装置において、
前記吸着プレートの他端側に配置されて前記ラベルに貼付圧力を付与する押圧ロールを更に設ける構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、押圧ロールが被着体の搬送方向下流側に位置する状態で吸着プレートを角度変位させ、この状態で被着体が押圧ロール下を通過することによりラベルが貼付圧力(押圧力)を受けながら貼付されることとなる。ここで、被着体の搬送方向が反対となる場合には、吸着プレートに対する角度変位手段の連結を解除するとともに、吸着プレートを平面内で略180度回転させた後に角度変位手段を吸着プレートに再び連結することで、押圧ロールの位置を反対側とすることができ、これにより、搬送方向が反転した場合であっても、同一装置によるラベル貼付を可能とする汎用性を付与することができる。
【0012】
また、前記吸着プレートの両端側に押圧ロールを対称配置した構成によれば、吸着プレートを平面内で回転させるための回転機構を省略できるとともに、角度変位手段を吸着プレートに連結するための連結部を一箇所として構成の簡易化を図ることができる。また、吸着プレートの角度を変える極めて簡単な操作のみで搬送方向が略180度異なる場合でも難なく適用可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1には、本実施形態に係るラベル貼付装置の概略正面図が示されている。この図において、ラベル貼付装置10は、ラベルLを吸着保持する吸着プレート11と、この吸着プレート11の一端側(図1中右端側)に配置された押圧ロール12と、この吸着プレート11を平面内で回転させる回転機構13と、前記吸着プレート11の上方に位置して当該吸着プレート11を揺動可能に支持するプレート支持体14と、吸着プレート11を角度変位させる角度変位手段15とを備えて構成されている。
【0015】
前記吸着プレート11は、初期位置において略水平方向に保たれるようになっており、当該吸着プレート11は、平面視略方形をなすプレート本体11Aと、このプレート本体11Aの下面側に配置された多孔質部材等からなる吸着面11Bとを備えて構成されている。プレート本体11Aの上面には、連結部を構成するねじ穴11C,11Dが複数箇所、本実施形態では、図1中左右二箇所に設けられている。また、プレート本体11Aには図示しない減圧装置にホース等によって接続され、当該減圧装置を作動させることにより、前記吸着面11BにラベルLが吸着保持される。なお、吸着面11Bの横方向には、ラベル剥離装置AにおけるピールプレートPの先端が配置され、当該ピールプレートPの先端にて帯状の剥離シートBからラベルLが剥離されて吸着面11Bで吸着されることとなる。
【0016】
前記押圧ロール12は、図2及び図3に示されるように、吸着プレート11の一端側(図1中右端側)において、一対のブラケット20,20を介して回転可能に支持されている。この押圧ロール12は、ラベルLを被着体W(図4参照)に貼付する際に、ラベルLの上面を押圧しながら転動するものであり、これにより、ラベルLの平面積が大きなものであっても、略全面的に等しい押圧力を付与して貼付不良個所が生じないようになっている。
【0017】
前記回転機構13は、前記プレート本体11Aの中央部に固定された下部回転体13Aと、この下部回転体13Aに対して平面内で相対回転可能に設けられるとともに、前記プレート支持体14の下面側に配置された後述する揺動機構26に固定された上部回転体13Bとからなる回転体により構成されている。
【0018】
前記プレート支持体14は、前記吸着プレート11よりも平面積が小さな略方形の板状をなし、その上面側一端部には、上下用シリンダ27が配置されている。この上下用シリンダ27は、前述したラベル剥離装置Aに固定されるシリンダブロック29と、当該シリンダブロック29に支持されたガイドロッド30A、ピストンロッド30Bと、これらロッドによって上下移動可能に設けられるとともに前記プレート支持体14に固定された昇降ブロック31とを含み、当該昇降ブロック31の昇降によって前記プレート支持体14が上下に昇降可能となっている。また、プレート支持体14の上面側において、前記上下用シリンダ27の反対側には、前記角度変位手段15を支持するための支柱33が立設されている。
【0019】
前記プレート支持体14の下面側に設けられた揺動機構26は、図3に示されるように、プレート支持体14の下面に固定された左右一対の内側軸受34,34と、これら内側軸受34,34の外側に位置する一対の外側軸受35,35と、これら内側及び外側軸受34,34,35,35を相対回転可能に連結するピン36,36と、前記外側軸受35,35を支持するとともに図3中左右方向に沿って配置された支持板37とにより構成されている。支持板37は、その下面側に前記回転機構13を構成する上部回転体13Bが固定され、これにより、角度変位手段15と吸着プレート11との連結を解除した状態で、当該吸着プレート11が平面内で回転可能となっている。
【0020】
前記角度変位手段15は、前記支柱33と吸着プレート11との間に設けられたシリンダ40により構成されている。このシリンダ40は、シリンダ本体41と、当該シリンダ本体41の上部及び下部にそれぞれ独立して図示しない電磁弁の作用により進退可能に設けられた上下一対のピストンロッド42,43とにより構成されている。ここで、上方のピストンロッド42は、ユニバーサルジョイント46を介して前記支柱33に取り付けられ、下方のピストンロッド43は、連結リンク44を介して相対回転可能な状態で連結部材45に連結されている。連結部材45は、吸着プレート11の上面に着座する角棒状のベース47を備え、このベース47は、取り付けねじ48を介してねじ穴11Cに連結されるようになっている。
【0021】
なお、吸着プレート11とプレート支持体14との間には、図3に示されるように、ねじ穴11Cと干渉しない位置で、吸着プレート11が初期位置すなわち略水平位置にあるときの姿勢を規制するストッパ50配置されている。このストッパ50は、吸着プレート11の上面に固定されたねじ軸51と、このねじ軸51の上端に取り付けられた袋ナット52とを含み、当該袋ナット52の上面には緩衝部材53が設けられている。
【0022】
次に、前記実施形態に係るラベル貼付装置10によるラベル貼付方法について、図4及び図5をも参照しながら説明する。
【0023】
吸着プレート11の吸着面11BにラベルLを吸着するときは、初期位置として角度変位手段15のシリンダ40の各ピストンロッド42,43は、片方が後退限、もう片方が進行限に位置し、本実施形態では、ピストンロッド42が後退限、ピストンロッド43が進行限に位置した状態で、前記吸着プレート11が略水平となる初期位置に保たれるように設定され、ラベル剥離装置AのピールプレートPの先端側に位置することとなる。そして、ピールプレートPの先端にて剥離されたラベルLは、吸着面11Bに沿って進行し、一枚が完全に剥離された状態で、その一端側が押圧ロール12の外周面に接して位置することとなる。なお、ラベルLが吸着面11Bに沿って進行する際は、図示しないエアアシスト装置によって、ラベルLの下側からエアを吹き付けてラベルLの脱落を防止するようにしてもよい。
【0024】
図4に示されるように、被着体Wが左側から右側に搬送されるものと仮定すると、上下用シリンダ27が下降するとともに、角度変位手段15のシリンダ40は、初期位置で進行限にあったピストンロッド43が図示しない電磁弁の切り換えにより、後退限に後退させて吸着プレート11を右下がりに傾斜するように角度変位させる。この状態で、押圧ロール12が被着体Wに最も接近し、被着体Wが押圧ロール12の下を右側に通過するときに、ラベルLの右端側が被着体Wに接着し、押圧ロール12の押圧力を受けながら順次貼り付けられることとなる。
【0025】
また、前記被着体Wの搬送方向が反対、すなわち、図5に示されるように、被着体Wが右側から左側に搬送される場合には、連結部材45を吸着プレート11に固定しているねじ48をねじ穴11Cから外して連結を解除する。そして、吸着プレート11を平面内で略180度回転させ、反対側に設けられているねじ穴11Dに連結部材45を位置合わせし、ねじ48で再び連結を行えばよく、これにより、押圧ロール12の位置を吸着プレート11の左側に変更することができる。そして、上下用シリンダ27が下降するとともに、角度変位手段15のシリンダ40の初期位置で後退限にあったピストンロッド42が図示しない電磁弁の切り換えにより進行限に伸長させることで、押圧ロール12側が最も低くなる状態に角度変位させることができ、前述した作用と同様に、ラベルLの貼付を行うことができる。
【0026】
従って、このような第1の実施形態によれば、角度変位手段15と吸着プレート11との連結を解除して吸着プレート11の回転が可能となり、連結部を構成するねじ穴11C,11Dの何れかを利用して選択的に連結を行うことで押圧ロール12の位置を反対側に設定することができる。従って、被着体Wの搬送方向が反対となる場合であっても、全く同一の作用によってラベルLを被着体Wに貼付することができる、という効果を得る。
なお、角度変位手段の各ピストンロッドの動きは、図示しない操作用入力装置に被着体Wの搬送方向をマニュアルで入力してもよいが、吸着プレートにセンサを取り付け、吸着プレートがどちらの方向に向いているかを自動で検出するようにして、図示しない電磁弁を制御するようにしてもよい。
【0027】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図6、図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、前記第1実施形態と同一若しくは同等の構成部分については同一符号を用いるものとし、説明を省略若しくは簡略にする。
【0028】
この第2の実施形態は、吸着プレート11の左右両端側に、ブラケット20を介して押圧ロール12A、12Bをそれぞれ配置したところに特徴を有する。そのため、吸着プレート11を回転させるための回転機構は不要となり、揺動機構26の外側軸受35は直接吸着プレート11に固定されている。また、角度変位手段15の連結部材45は、吸着プレート11の一箇所に固定される。
【0029】
第2実施形態では、図7に示されるように、角度変位手段15を構成するシリンダ40のピストンロッド42,43を伸縮させることで、左右の押圧ロール12A、12Bを選択的に利用して左右何れの方向からも搬送される被着体Wに対するラベルLの貼付が可能となる。
【0030】
このような第2実施形態によれば、吸着プレート11の対称位置に押圧ロール12A、12Bを設けたことにより、回転機構、複数の連結部及びストッパを省略して構造が簡易になるとともに、被着体Wの搬送方向の変更に際して、シリンダ40を作動させるだけで、極めて迅速に対応することができる、という効果を得る。
【0031】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、主に特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施の形態に対し、形状、材料、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それら形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0032】
例えば、前記実施形態では、被着体Wの上面側にラベルLを貼付する場合を図示、説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、被着体Wの側面又は下面にラベルLを貼付する場合も含む。
【0033】
更に、角度変位手段15を吸着プレート11に連結する構造も図示構成例に限定されるものではなく、角度変位手段15と吸着プレート11とを着脱自在に連結することができる限りにおいて、種々の設計変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】第1実施形態に係るラベル貼付装置の概略正面図。
【図2】図1の左側面図。
【図3】図1の平面図。
【図4】被着体の搬送方向が左から右の場合の、前記ラベル貼付装置でラベル貼付を行う状態を示す概略正面図。
【図5】被着体の搬送方向が右から左の場合の、前記ラベル貼付装置でラベル貼付を行う状態を示す概略正面図。
【図6】第2の実施形態に係るラベル貼付装置の概略正面図。
【図7】第2の実施形態に係る被着体の搬送方向が右から左の場合の、ラベル貼付装置でラベル貼付を行う状態を示す概略正面図。
【符号の説明】
【0035】
10 ラベル貼付装置
11 吸着プレート
11C, 11D ねじ穴(連結部)
12、12A、12B 押圧ロール
13 回転機構
14 プレート支持体
15 角度変位手段
26 揺動機構
40 シリンダ
45 連結部材
50 ストッパ
L ラベル
W 被着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベルを吸着保持する吸着プレートと、当該吸着プレートの一端側に配置されてラベルに貼付圧力を付与する押圧ロールと、前記吸着プレートを平面内で回転させる回転機構と、前記吸着プレートを揺動可能に支持するプレート支持体と、前記吸着プレートを角度変位させる角度変位手段とを備え、前記吸着プレートを角度変位させて前記吸着プレートに吸着されたラベルを順次搬送される被着体に貼付するラベル貼付装置において、
前記吸着プレートは、前記角度変位手段が選択的に連結可能な連結位置を特定する複数の連結部を含み、前記連結位置を変更する際に前記吸着プレートを平面内で所定角度回転させることで、前記被着体の搬送方向の変更に対応するように押圧ロールの位置を変更可能としたことを特徴とするラベル貼付装置。
【請求項2】
前記角度変位手段はシリンダにより構成され、当該シリンダの一端側に設けられた連結部材を介して前記吸着プレートの連結部に連結されることを特徴とする請求項1記載のラベル貼付装置。
【請求項3】
前記吸着プレートとプレート支持体との間にストッパが設けられ、当該ストッパにより吸着プレートとプレート支持体との相対位置規制が行われることを特徴とする請求項1又は2記載のラベル貼付装置。
【請求項4】
ラベルを吸着保持する吸着プレートと、当該吸着プレートの一端側に配置されてラベルに貼付圧力を付与する押圧ロールと、前記吸着プレートを揺動可能に支持するプレート支持体と、前記吸着プレートを角度変位させる角度変位手段とを備え、前記吸着プレートを角度変位させて前記吸着プレートに吸着されたラベルを順次搬送される被着体に貼付するラベル貼付装置において、
前記吸着プレートの他端側に配置されて前記ラベルに貼付圧力を付与する押圧ロールを更に設けたことを特徴とするラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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