説明

ラボラトリ用機器のための通風防止デバイス

【課題】周囲環境の空気の動きが、隙間及び開口を介して計量コンパートメント内に伝達されないように設計された、ラボラトリ用機器のための通風防止デバイスを提供する。
【解決手段】ラボラトリ用機器100のための通風防止デバイス110は、天秤皿131を囲む計量コンパートメント140を囲み、後方壁部116、前方壁部114、2つの側壁部112,113、上部カバー111、および、境界端部により画定される床部115を備える。通風防止デバイスは、上部カバーに連結され、水平方向に摺動可能な側壁部の移動を案内する役割を果たすガイド手段127、または、上部カバーに連結され、前方壁部を定位置に保持する役割を果たす保持手段を備える。ガイド手段または保持手段は、側壁部または前方壁部が偏倚トルクに押されて計量コンパートメントの床部に対接するように、側壁部または前方壁部を支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラボラトリ用機器のための通風防止デバイスに関する。後方壁部、前方壁部、2つの側壁部、および上部カバーを備える通風防止デバイスは、天秤皿を囲む計量コンパートメントを囲む。
【背景技術】
【0002】
この種のラボラトリ用機器は、多数の産業分野において、とりわけ研究部門および開発部門のラボラトリにおいて、さらには例えば品質管理などにおける生産区域においても、例えば化学天秤などとして役割を果たす。
【0003】
計量コンパートメントを有する化学天秤が、米国特許第4,700,793A号において詳細に説明されている。化学天秤は、計測結果に対して非常に高度な分解能を有する天秤である。その結果、最小の外部要素が計量物体に対してまたは積載物受容器に対して作用する場合でさえも、計量結果に誤差をもたらすおそれがある。外部影響要素は、安定的であることは殆どなく、そのため、計量物体の正確な重量の判定が不可能となる状況に至るおそれがある。したがって、計量システムが環境による影響を被るのを防ぐために、計量コンパートメントは、いわゆる通風防止デバイスにより囲まれる。
【0004】
米国特許第4,700,793A号において示されるように、化学天秤の通風防止デバイスは、殆どの場合において、2つの摺動可能な側壁部を有し、時としてさらに摺動可能な上部カバーを有する。これは、計量物体が、通常は、側方から、時としてはさらに上方から積載物受容器に送給されるためである。前方壁部は、普通は、天秤のハウジングに固定して連結され、構造支持体としての機能によって、通風防止デバイスに安定性を与える。通風防止デバイスは、周囲雰囲気の気流が通風防止デバイスの隙間および開口を通り計量コンパートメント内に伝搬し、計量コンパートメント内において雰囲気の擾乱を生じさせることが不可能となるように、可能な限り密閉された隙間のない構成のものである必要がある。
【0005】
計量コンパートメントおよびとりわけ通風防止デバイスの側壁部の洗浄を容易にするために、傾斜移動により形態合致シートから解除することが可能であり、次いで引張り移動により天秤から取り外すことが可能な、前方壁部および側壁部を有する通風防止デバイスが、米国特許第6,686,545B2号において提案されている。上部カバーは、後方壁部としての役割を果たす天秤ハウジングに、直線方向ガイド拘束具を介して連結される。上部カバーは、天秤ハウジングの上方を水平方向に摺動され得るものであり、これにより、通風シールドが、上部にて開かれる。さらに、上部カバーも、傾斜移動により、直線方向ガイド拘束具から分離され得る。
【0006】
上述の天秤は全て、側壁部が、上端部および下端部にて、通風防止デバイスのハウジングにおける水平方向に移動するように、または天秤自体のハウジングにおける水平方向に移動するように、案内される。この構成は、あらゆる防止手段にもかかわらず、ごく微量の計量される物質が、下方ガイドトラックまたはガイド部中に蓄積する可能性があるという欠点を有する。物質が周囲に拡散するのを防止するために、下方ガイドトラックまたはガイド部は、定期的に慎重に、およびかなりのコストをかけて、洗浄されなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,700,793A号
【特許文献2】米国特許第6,686,545B2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、通風防止デバイスの少なくとも1つの開口可能な側壁部が、その側壁部の下端部の区域にガイド拘束部またはガイド部を有することなく機能し、通風防止デバイスが、閉状態にある場合には、可能な限り緊密かつ安定的であり、それにより周囲環境の空気の動きが隙間および開口を介して計量コンパートメント内に伝達されないように設計された、ラボラトリ用機器のための通風防止デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1の特徴を備える通風防止デバイスによって解決される。本発明の他の好ましい実施形態が、従属請求項において提示される。
【0010】
本発明によるラボラトリ用機器のための通風防止デバイスは、天秤皿を囲む計量コンパートメントを囲む。通風防止デバイスは、後方壁部、前方壁部、2つの側壁部、上部カバー、および、境界端部により画定される床部を備える。さらに、この通風防止デバイスは、上部カバーに連結され、少なくとも1つの水平方向に摺動可能な側壁部の移動を案内する役割を果たす、少なくとも1つのガイド手段、および/または、上部カバーに連結され、前方壁部を定位置に保持する役割を果たす、保持手段を備え、このガイド手段および/または保持手段は、少なくとも1つの側壁部および/または前方壁部が偏倚トルクにより押されて計量コンパートメントの床部に対接するように、少なくとも1つの側壁部および/または前方壁部の重量を支持する。このトルクは、各側壁部および/または前方壁部の方向に向く境界端部によって受け止められる、または、より正確には支持される。
【0011】
本発明は多数の利点を有する。水平方向に摺動可能な側壁部が、床部に抗して向けられた偏倚トルクを受け、側壁部は、床部の境界端部に対接して押される。隣接する境界端部に対する側壁部の接触圧により、側壁部と隣接する境界端部との間に十分なシールが形成される。通風防止デバイスの部品の製造公差、または、以下において説明されるように少なくとも1つの壁部と共に垂直方向囲移動可能となる上部カバーの特性のいずれによっても、裂開部が形成されるおそれはなく、したがって、通風防止デバイス中に漏出口が生じるおそれはない。さらに、側壁部のガイド拘束部に関する本発明による設計により、側壁部は、静定状態で支持され、これにより、側壁部が、振り子のように内外に揺動することが不可能となるため、通風防止デバイス全体に安定的構造がもたらされる。当然ながら、同じことが、前方壁部およびそのホルダ手段に対しても同様に該当する。
【0012】
少なくとも1つの水平方向に摺動可能な側壁部の移動を案内するために、第1のガイドレールおよび、第1のガイドレールに対して平行に延在する第2のガイドレールが、前記水平方向に摺動可能な側壁部の方向に向く上部カバーの側部に配置される。さらに、この摺動可能な側壁部は、2つの凹部を有する少なくとも1つのガイド要素を備え、2つの凹部は、ガイドレールがそれぞれ、凹部の一方を貫通するように、構成される。第1の凹部は、ガイド接触区域を有し、第2の凹部は、ガイドフランクを有する。これらは、通風防止デバイスの作動状態において、ガイド接触区域が、基本的に垂直方向に配向され、第1のガイドレールに対接して置かれ、ガイドフランクが、第2のガイドレールの上に置かれるように構成される。垂直方向に対するガイドフランクのスロープ角は、
− 摺動可能な側壁部の重量が、支持され、
− 摺動可能な側壁部が、ゆるい旋回支点としてのガイド接触区域の効果と共に組み合わされる、それら自体の重量により、偏倚トルクを受け、この偏倚トルクは、摺動可能な側壁部を付勢して計量コンパートメントの床部に対接させ、前記トルクは、側壁部の方向に向く境界端部によって支持される
ように選択される。
【0013】
側壁部は、それ自体の重量により、ガイドフランク、境界端部、およびゆるい旋回支点によって、ガイドレールとの安定的な係合状態に保たれる。その結果、側壁部自体の重量による下方への引きがより大きいほど、水平方向に摺動可能な側壁部は、周囲雰囲気の空気移動により傾けられることに対してより抵抗が大きくなる。
【0014】
開閉プロセスにおける摩擦力を最小限に抑えるために、少なくとも1つのガイドローラが、ガイド要素内に設置され、ガイドローラは、ガイドフランクおよび/またはガイド接触区域を含む。
【0015】
さらなる利点は、2つのガイドレールに関する本発明の設計コンセプトに付随するものであり、これは、少なくとも1つの側壁部が、上部カバーに解除可能に連結され得ることによるものである。2つの凹部が、同様の正確な精度で作製されたガイドレールの周囲において可能な限り最も少ない量の遊びを有しつつ嵌着する、高精度のボアである必要はないことに留意されたい。したがって、この構成は、前述のガイド接触区域およびガイドフランクを有するスロット形状凹部を備えることが可能であり、各凹部の一方の端部が、ガイド要素の側方端部にて開口し、そのため、側壁部は、ガイドレール上にフックされ得る。したがって、側壁部は、ガイドレールの上にフックするように基本的に重力の方向に移動される。
【0016】
前述の解決策の代替として、ガイド手段が、以下の説明に従って設計されてもよい。
【0017】
第1のガイドレールおよび、第1のガイドレールに対して平行に延在する第2のガイドレールが、側壁部の方向に向く上部カバーの側部上に配置される。摺動可能な側壁部は、少なくとも1つの固定して支持された第1のガイドローラと、傾斜可能枢支点により保持され、弾性要素により偏倚される、第2のガイドローラとを含む、少なくとも1つのガイド要素を有する。第1のガイドレールの上の第1のガイドローラは、摺動可能な側壁部の重量を支持し、側壁部の側方における移動を拘束し、すなわち摺動方向に対して垂直方向への移動を拘束する役割を果たす。さらに、摺動可能な側壁部は、傾斜可能な第2のガイドローラによって第2のガイドレールの方向に弾性的に偏倚され、したがって、床部の方向に側壁部を付勢するトルクを受け、このトルクは、境界端部によって側壁部に対接して支持される。
【0018】
さらに先に述べたように、前方壁部は、同様に、本発明の特徴を有するホルダ手段を有することが可能である。上部カバーが前方壁部に対合する上部カバーの境界端部に、ホルダデバイスが、前記上部カバー端部の各端部に配置され、2つのホルダデバイスがそれぞれ、上部カバー端部に対して平行に延在する2つの着座溝を有する。さらに、上部カバー端部に隣接して位置する前方壁部の各隅部にて、上部カバー端部に対して平行に延在する2つのピンを有するピンブロックが配置される。第1の着座溝は、ピン接触区域を有し、第2の着座溝は、ピンガイドフランクを有する。通風防止デバイスの作動状態において、ピン接触区域は、基本的に垂直方向に配向され、第1のピンは、ピン接触区域に対接して置かれる。第2のピンは、ピンガイドフランクに対接して置かれ、垂直方向に対するピンガイドフランクのスロープ角は、前方壁部の重量が支持されることとなり、前方壁部が、ゆるい旋回支点としてのピン接触区域の効果と共に、それ自体の重量により、押されて、偏倚トルクによって計量コンパートメントの床部に対接するように選択される。このトルクは、前方壁部の方向に向いた境界端部によって支持される。
【0019】
洗浄を容易化するために、少なくとも1つの側壁部および/または前方壁部の上部カバーに対する連結は、解除可能であってよい。
【0020】
さらに、少なくとも1つのロックデバイスが、ガイド要素の中に配置され、作動状態において、ガイドレールの少なくとも一方の周囲に部分的にフックし、それにより、ガイド要素は、ロックデバイスが解除された場合にのみ、ガイドレールから分離され得る。
【0021】
通風防止デバイスが、ラボラトリ用機器の環境内に存在するあらゆる空気の移動を可能な限り遮断すべきであると仮定した場合に、境界端部の長さ部分にわたって少なくとも延在するシール滑動ストリップ、シールブラシ、またはシールローラが、床部の少なくとも1つの境界端部に沿って配置されると、有利である。これは、床部の境界端部と側壁部との間に存在するおそれのある隙間をシールする役割を果たすと共に、側壁部が境界端部上を平滑に活動することを可能にする。例えばコーティングされたガラスパネルなど、とりわけ損傷を被りやすい表面を有する側壁部については、側壁部が垂直方向に移動される際に側壁部の上で回転し、側壁部の水平方向移動に対して十分に平滑な滑動表面特性を有する、シールローラを使用することも可能である。これらの対策が依然として不十分である場合には、当然ながら、床部の境界端部に沿って支持ローラボールまたはローラボールの列を設置することも可能であり、それにより、ローラボールの回転移動の方向が、それ自体を、側壁部の移動方向に適合させるため、移動方向にかかわらず、ローラボールと側壁部との間には滑動接触移動が全く生じなくなる。個々のローラボール間の隙間、または側壁部とそれらの接触点との間の凹部は、例えばブラシ区分またはシールストリップ区分などにより、十分に埋められる必要があり、それにより、2つの隣接し合うローラボールと、ローラボールに対接し位置する側壁部との間に隙間がなくなり、または、極小の隙間のみが残ることとなる。互いに対する前方壁部、後方壁部、および側壁部の角度不一致の結果として生じることのある、通風防止デバイスの垂直方向端部の区域中の漏出口は、これらの壁部の垂直方向境界区域中に軟質弾性シールリップまたはブラシを設置することによって、閉じることが可能である。
【0022】
さらに、実際には、計量コンパートメントの体積によって、天秤の精度が限定されるおそれがあるということが知られている。その理由は、大型の計量コンパートメント内の閉鎖空気は、例えば進入する熱および光の放射によってなど、通風シールドの外部の環境によって、はるかに大きな影響を被るためである。さらに、大型の計量コンパートメント内では、閉鎖体積に比例して、例えば側壁部が閉じられた後になど、面数が少ないほど空気移動が遅くなる。したがって、計量コンパートメント内の空気が非常に迅速に落ち着くには、計量コンパートメントが、小さな体積を有することが役立つ。さらに、限定された高さの計量コンパートメント内の空気は、ほぼごく最小限の程度だけ変位され、計量コンパートメント内の空気が計量コンパートメントの高さに対して安定的な温度プロファイルに落ち着くのに比較的短時間しか要さない。
【0023】
したがって、上部カバーと、2つの側壁部および/または前方壁部および/または後方壁部の中の少なくとも1つとが、床部に対して垂直方向に摺動可能であると、有利である。これは、側壁部の本発明によるガイド構成によって、さらにいっそう容易化される。なぜなら、床部の区域中に、この種の垂直移動の行程内にて障害となるいかなるガイドデバイスも存在しないからである。床部の境界端部に隣接するラボラトリ用機器のハウジング壁部が、垂直方向に移動可能な壁部がこれらの境界端部を垂直方向に越えて摺動することが可能となるように構成されることが、必要であるに過ぎない。
【0024】
さらに、垂直方向移動および/または水平方向移動に対して動力を与えるための少なくとも1つの駆動機構が存在してよい。しかし、上部カバーと、上部カバーに連結される側壁部、前方壁部、および/または後方壁部とを垂直方向に移動させる役割を果たす少なくとも1つの駆動機構が存在する一方で、他の駆動機構が、少なくとも1つの側壁部を水平方向に移動させる役割を果たすことが好ましい。これらの駆動機構は、入力ユニットを介して人間により操作され得る制御デバイスに接続されてよい。
【0025】
駆動機構が、上部カバーの垂直方向移動のために、または通風防止デバイスの部品の高さ調節のために使用される場合には、好ましくは、センサデバイスが、ラボラトリ用機器の内部に配置され、それにより、天秤皿の上に設置された少なくとも受容容器の高さを検出することが可能となる。
【0026】
1つの可能な実施形態においては、センサデバイスは、2つのレーザダイオードと、2つの光電池を備え、これらは、2つのレーザダイオードにより発せられた光線が、用量分注デバイスの開口または送給孔の直下にて互いに交差するように構成される。
【0027】
本発明による通風防止デバイスは、殆どの多様な種類のラボラトリ用機器において使用することが可能である。例えば、ラボラトリ用機器は、天秤、用量分注機器、またはピペットデバイスもしくは滴定デバイスなどであってよい。
【0028】
以下の図面に基づき、本発明による通風防止デバイスおよびラボラトリ用機器におけるこのデバイスの使用法を、より詳細に説明する。図面においては、図面間において同一である要素は、同一の参照符号を割り当てられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】用量分注デバイスと、本発明による通風防止デバイスの第1の実施形態とを有する、ラボラトリ用機器の三次元図であって、本発明による通風防止デバイスの第1の実施形態は、両側壁部、前方壁部、および後方壁部の一部が連結された、垂直方向に移動可能な上部カバーを有し、図示される上部カバーの位置が、床部から可能な限り最大の距離の位置に相当する図である。
【図2】一方の側壁部が開かれた状態の、図1のラボラトリ用機器の図であり、図示される上部カバーの位置が、床部からの可能な限り最小の距離の位置に相当する図である。
【図3】摺動可能な側壁部、計量コンパートメントの一部、上部カバーの一部、床部の一部、およびガイドレールの詳細な断面図である。
【図4】側壁部に対して作用し、側壁部を支持する力を伴う、図3の摺動可能な側壁部の概略図である。
【図5】解除可能な側壁部装着具の三次元詳細図である。
【図6】解除可能な前方壁部装着具の三次元詳細図である。
【図7】両側壁部用の駆動機構と、上部カバーおよび両側壁部の垂直移動用の2つの直線方向ガイドとを有する、本発明による通風防止デバイスの三次元図である。
【図8】ガイド要素と第1および第2のガイドレールとの詳細断面図であり、ガイド要素が、固定して支持される第1のガイドローラと、傾斜可能枢支点によりガイド要素内において支持される第2のガイドローラを備える図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、用量分注デバイス120と、第1の実施形態における、本発明による通風防止デバイス110とを有する、ラボラトリ用機器100を図示する。通風防止デバイス110は、上部カバー111、境界端部133、134、135、136によって画定された床部115、第1の側壁部112、第2の側壁部113、前方パネル114、および分割された後方壁部116を備える。通風防止デバイス110は、計量コンパートメント140を囲む。
【0031】
通風防止デバイス110は、閉状態において図示され、側壁部112、113および前方壁部114が、透明材料から作製されるため、通風防止デバイス110により囲まれる計量コンパートメント140内への視界は、3つの側から自由である。側壁部112、113は共に、直線水平方向移動において、上部カバー111に対して摺動可能である。
【0032】
第1の側壁部112は、第1のガイドレール161と第1のガイドレールに対して平行に延在する第2のガイドレール162とに沿って、直線方向移動において案内される、ガイド要素127を備える。ガイドレール161、162は共に、上部カバー111にしっかりと連結される。類似の一構成においては、第2の側壁部113は、上部カバー111に連結された対応するガイドレールの上に水平方向に案内される、ガイド要素を備える。本発明によるガイドレール161、162の構成によって、水平方向に摺動可能な側壁部112、113は、垂直位置に保持され、偏倚トルクにより押されて床部115に対接し、それにより、境界端部133、134の方向に向く側壁部112、113の表面区域が、隣接する境界端部133、134に対接して常に置かれる。その結果、通風防止デバイスは、床部からの上部カバー111の距離にかかわらず、ほぼ漏出口のない閉鎖体を常に形成することが可能となる。さらに、側壁部112、113が、偏倚トルクにより押されて床部に対接するため、側壁部112、113は、周囲環境からの気流により傾けられるおそれがない。仮に、周囲環境からの気流により傾けられ得る場合には、それにより、計量コンパートメント140内の空気が移動され、計量結果の取得が不可能になる。
【0033】
床部115は、ラボラトリ用機器100のコンソールハウジング130に隙間なく連結される。コンソールハウジング130の内部には、計量セル(図面には図示せず)が配置され、計量セルの積載物受容部が、積載物伝達要素(図示せず)によって天秤皿131に連結され、天秤皿131は、床部115の上方に、したがって計量コンパートメント140の内部に配置される。図示されるように、床部115は、その中心部から2つの側壁部112、113および前方壁部114の方向へと下方に傾斜する。これは、床部115の各表面区域が、図1において図示されるように水平方向へも延在し得ることを拒むものではない。床部115の中心部は、通路開口132を有し、それにより、積載物伝達要素(天秤皿131により視認不能である)が、床部115を通り、計量コンパートメント140内に進むことが可能となる。
【0034】
床部115と同様に、上部カバー111もまた、角錐台の形状へと、しかし上下が逆の状態に、対応する設計がなされている。通路開口132の代わりに、上部カバー111は、開口119を有する。この開口119は、本明細書において以下でさらに説明される用量分注ヘッド122に対して適合化させることが可能である。
【0035】
分割された後方壁部116は、床部115の隣接する境界端部136全体にわたって幅が延在し、第1の後方壁部パネル117および第2の後方壁部パネル118を備え、第1の後方壁部パネル117は、上部カバー111に隙間なく連結され、第2の後方壁部パネル118は、床部115およびコンソールハウジング130に隙間なく連結される。2つの後方壁部パネル117、118は、それらの表面が互いに対接して位置し、したがって、互いに部分的に重畳し、しかし互いに対して垂直方向に移動可能となるように、互いに対して配置される。
【0036】
上部カバー111および上部カバー111に連結される壁部は、コンソールハウジング130に対して垂直方向に摺動可能である。これが可能となるように、前方壁部114および2つの側壁部112、113が床部115の各隣接する境界端部133、134、135を過ぎて、およびそれらの境界端部に隣接するハウジング壁部137、138、139を過ぎて、垂直方向に移動され得ることが、必要である。したがって、好ましくは、コンソールハウジング130のハウジング壁部137、138、139は、垂直方向表面として設計され、側壁部112、113および前方壁部114は、ハウジング壁部137、138、139に部分的に重なって、気密な計量コンパートメントが実現される。好ましくは、コンソールハウジング130の高さは、床部115または天秤皿131に対して上部カバー111の垂直方向変位高さに一致する。例えばラボラトリ用テーブルなどのラボラトリ用機器100用の支持表面(図示せず)が、上部カバー111が下方に移動される際に、前方壁部114および側壁部112、113を受容するのに適した凹部を有する場合には、コンソールハウジング130についてさらに低い高さを選択することも可能となる。
【0037】
用量分注デバイス120は、用量分注デバイスハウジング121内に配置された駆動/制御ユニット(図示せず)を有する。分注ヘッド122が、用量分注デバイス120の分注ヘッドホルダ123中に解除可能に設置され、駆動/制御ユニットに結合され得る。さらに、分注ヘッド122の一部が、開口119を通り計量コンパートメント140内に到達する。開口119は、分注ヘッド122の対応する断面形状部分に合致され、分注ヘッド122は、分注ヘッド122が分注ヘッドホルダ123中に設置されると、開口119の区域内に配置される。これは、周囲雰囲気の気流が開口119を通り計量コンパートメント140内に進入するのを防ぐ役割を果たす。分注ヘッド122および上部カバー111中の開口119の設計次第では、分注ヘッドホルダ123を省略することもまた可能となり得る。
【0038】
したがって、好ましくは、少なくとも分注ヘッド122が、または図1に図示されるように用量分注デバイス120全体が、上部カバー111に連結され、上部カバー111の垂直方向移動に従う。図1に図示される上部カバー111の位置は、床部115からの可能な限り最大の距離の位置に相当する。
【0039】
図2は、図1のラボラトリ用機器100とほぼ完全に同一であるラボラトリ用機器200を図示する。図1とは異なり、図2のラボラトリ用機器200の通気防止デバイス210は、第1の側壁部112が開状態にある状態で図示され、上部カバー111の位置は、床部115からの可能な限り最少の距離の位置に相当する。
【0040】
ラボラトリ用機器200の通風防止デバイス210は、可能な限り最大限の範囲まで、ラボラトリ用機器200の周囲にて発生するあらゆる周囲空気の移動を遮るべきであるため、第1の側壁部112の方向に向く境界端部133は、第1のシール滑動ストリップ251を備える。同様に、第2のシール滑動ストリップ252が、第2の側壁部113と隣接する境界端部134との間に配置され、第3のシール滑動ストリップ253が、第1の壁部114と隣接する境界端部135との間に配置される。図2に図示されるように、第1の側壁部112と接触状態にある第1のシール滑動ストリップ251は、コンソールハウジング130の第1のハウジング壁部138のほぼ全体にわたって延在する。このシールストリップは、床部115の境界端部133と第1の側壁部112との間の生じ得る隙間をシールする役割を果たし、境界端部133に対して第1の側壁部112の平滑な滑動を可能にする役割を果たし、それにより、第1の側壁部112は、引っ掛かることがなくなることとなる。
【0041】
さらに、図2は、角度付きレバーの形態の第1の随伴移動ラッチ225を図示する。随伴移動ラッチは、用量分注デバイスハウジング121中のスロット263によって形成され、ガイドレール161、162に対して平行に延在する、直線方向経路に沿って、移動可能である。この直線移動は、用量分注デバイスハウジング121の内部に配置された駆動機構(図示せず)によって行われる。この駆動機構は、図7のコンテクスト内でより詳細に以下で説明されることとなる。第1の随伴移動ラッチ225は、単純な旋回運動を介してガイド要素127に結合されてよく、これにより、第1の随伴移動ラッチ225の直線移動が、第1の側壁部112に伝達される。同様に、第2の側壁部113のための第2の随伴移動ラッチが存在してもよく、その場合には、両随伴移動ラッチが、駆動機構によって同期的に移動される。第1の随伴移動ラッチ225に結合されない場合には、第1の側壁部112は、手動により移動させることが可能である。
【0042】
図3は、摺動可能な側壁部112、計量コンパートメント140の一部、上部カバー311の一部、床部315の一部、およびガイドレール161、162の詳細な断面図である。上部カバー311は、上部カバーフレーム312および上部カバー挿入部313に区分され、そのため、上部カバー挿入部313は、洗浄を行うために、上部カバーフレーム312から容易に分離され得る。
【0043】
摺動可能な側壁部112の上に配置されたガイド要素127は、第1の凹部361および第2の凹部362を有する。図面の平面に対して垂直方向に延在しつつ、第1のガイドレール161および第2のガイドレール162はそれぞれ、第1の凹部361および第2の凹部362内に係合される。第1の凹部361にて、ガイド接触区域363が、形成され、これは、通風防止デバイスの作動状態においては、実質的に垂直方向に配向され、第1のガイドレール161に対接して置かれる。第2の凹部362は、第2のガイドレール162の上に置かれたガイドフランク364を有する。ガイド接触区域に対する、すなわち垂直方向に対するガイドフランク364のスロープ角αは、通風防止デバイスの作動状態において、摺動可能な側壁部112の重量が支持され、摺動可能な側壁部112がゆるい旋回支点として作用するガイド接触区域363と共に自体の重量により偏倚トルクMを受け、この偏倚トルクMが側壁部を押して床部315に対接させるように、選択される。このトルクMは、側壁部112の方向に向く境界端部133によって支持され、より具体的には、境界端部133の区域中に配置されたシールローラ351によって支持される。
【0044】
摺動可能な側壁部112に対して作用し、それを支持する力が、図4の概略図において示され、以下において説明される。ここではその必要不可欠な機能的輪郭に変形された図3の側壁部112が、簡略化のために重力の質量中心S中に中心がおかれるものとして仮定された質量を有する。したがって、側壁部112は、重力の質量中心Sに印加点を有する重量力Fを受ける。図3のコンテクストにおいて説明されたように、および、図4において図示されるように、重量力Fは、平衡条件、すなわち
AY=F
により、第2のガイドレール162の上に置かれたガイドフランク364によって支持され、ここで、FAYは、ガイドフランク上の接触力の垂直方向成分を表す。
【0045】
ガイドフランク364が、ガイド接触区域363に対してスロープ角αで傾斜されるために、ガイドフランク364に対して垂直方向である、結果的に得られる接触力FResは、
Res=FAY/sin(α)
として求められる。
【0046】
したがって、さらに、水平方向力成分Fが、等式
=FAY/tan(α)
に従って側壁部に対して作用する。
【0047】
水平方向力成分Fにより、ガイド接触区域363は、レール距離hにて第1のガイドレール161に押圧され、したがって、第1の水平方向反力FAX1を受ける。図4に図示されるように、この結果として、トルクMは、等式
M=F×h−F×d
に従って側壁部112を付勢して床部315に対接させる。
【0048】
図4の重量中心Sの位置から結論付けることが可能であるように、トルクMは、第2のガイドレール162からの距離dにて重量中心Sにおいて作用する重量力Fの影響分だけ、大きさにおいて低減される。当然ながら、重力中心Sを第2のガイドレール162の他方の側へと変更することによって、トルクMは、やはり増大され得る。
【0049】
ガイドフランク364とガイド接触区域363との間のスロープ角α、および、重量力Fに対するガイド接触区域363の整列角βが、第1のガイドレール161上の接触力と、第2のガイドレール162上の接触力との間の力の分散に関する決定的な要素であることが、さらに明らかである。本例においては整列角β=0°であるため、ガイド接触区域363は、垂直方向に配向される。当然ながら、整列角β≧0°もまた可能であるが、側壁部112を押して床部315に対接させるトルクMが得られるという条件を常に受ける。しかし、この場合、ガイドレール161、162と境界端部133との互いに対する位置決め、ならびに、スロープ角αおよび整列角βは、高い精度で互いに合致されなければならないこととなる。
【0050】
偏倚トルクMは、境界端部133によって支持され、これは、
AX2=M/l
の大きさで、第2の水平方向反力FAX2を生じさせる。
【0051】
さらに、第1の水平方向反力は、
AX1=F−FAX2
となる。
【0052】
境界端部距離lは、第1のガイドレール161からの境界端部133の距離である。
【0053】
これらの等式は、所与の質量、すなわち既知の重量力Fについて、第1の水平方向反力FAX1および第2の水平方向反力FAX2が、スロープ角α、ならびに距離d、h、およびlの選択を介してどのような影響を被るかを示す。これらの力の大きさを知ることが重要であることの理由は、摺動可能な側壁部112の摺動摩擦が、駆動機構の設計、手動操作の容易さ、ならびに、側壁部112と、第1のガイドレール161、第2のガイドレール162、および境界端部133との接触区域にて生じる摩損に対して、決定的な影響を有するためである。したがって、スロープ角αは、具体的には摺動摩擦を受ける材料の摩擦抵抗に合致され得るが、その一方で、気流に耐えるための側壁部112の安定性は、必ずしも低減されないわけではない。
【0054】
図5は、先行の図面において第1の側壁部112に関して既に図示された(言葉による説明なしに)種類の、解除可能な側壁部装着具の三次元詳細図を示す。ガイド要素127は、第1の凹部361および第2の凹部362を備え、これらはスロットの形状をなし、重力方向に逆らって配向され、そのため、第1の側壁部112は、第1のガイドレール161および第2のガイドレール162の上にフックされ得る。2つのガイドレール161、162は、懸下された側壁部112に対して安定性を与え、それにより、側壁部112は、ガイドレール161、162に沿って水平方向にのみ摺動することが可能となり、ならびに、重力方向に逆らって旋回移動および引張り移動によりガイドレール161、162から解除され得るようになる。
【0055】
図6は、図1において既に図示された(言葉による説明なしに)種類の、解除可能な側壁部装着具の三次元詳細図を示す。明瞭化のために、上部カバー111、上部カバー境界端部611、第2の側壁部113、および上部カバー111から分離された前方壁部114の破断部分のみが示される。前方壁部114と上部カバー111との間を解除可能な連結にするために、および、前方壁部114を押して床部に対接させるトルクの本発明のコンセプトに合わせることにおいて、上部カバー111に隣接して位置する前方壁部114の隅部が、ピンブロック680を担持し、各ピンブロック680は、第1のピン681および第2のピン682を備える。2つのピン681、682は、それぞれ、ホルダ685中に形成された第1の溝683および第2の溝684内において係合され得る。これらのホルダ685の中の1つが、前方壁部114の方向に向くカバー境界端部611の隅部のそれぞれに配置される。この前方壁部固定装着具を備える前方壁部114は、片手による移動により、ホルダ685から解除され、ホルダ685に装着することが可能である。
【0056】
図6に図示されるように、第1の溝683は、ピンガイド区域686としての役割を果たす、平行な垂直方向側部を有する。第2の溝684は、他の構成部の中でもとりわけ、ピンガイドフランク687を有し、このピンガイドフランク687は、垂直方向に対してピンガイドフランク角χで配置される。側壁部113の例に関して図4のコンテクスト内において既に詳細に説明されたように、本発明の構成の第1の溝683および第2の溝684の結果として、設置された前方壁部114は、トルクを受け、このトルクは、前方壁部114を偏倚して床部に対接させる。このトルクは、床部の境界端部の反力によって対抗される。したがって、2つのピン681、682および2つの溝683、684を用いた構成により、前方壁部がホルダ685中において振り子のように旋回することが可能になることなく、上部カバー111に対して前方壁部114の安定的な整列位置が確保される。
【0057】
図7においては、図1の通風防止デバイス110と同一の、本発明による通風防止デバイス110が、後方からの三次元図において図示される。全ての閉鎖パネルおよび用量分注デバイス全体が、上述の駆動機構780のいくつかの詳細に焦点を当てるために、省略されている。コンソールハウジング130は、同時に床部115の基部を形成するため、コンソールハウジングのみが、上部カバーに連結される2つの側壁部112、113および前方壁部114を用いた上部カバー111の垂直方向ガイド構成をより良好に図示するために、やはりここでも図示される。駆動機構780は、モータ781を有し、モータ781の運動が、歯付きベルトドライブ782を介して第1の随伴移動ラッチ225および第2の随伴移動ラッチ226に伝達される。両随伴移動ラッチ225、226は、水平方向に摺動可能な側壁部112、113のガイドレール161、162に対して平行に延在する長手方向ガイド拘束具783上において案内され、互いに無関係に、それぞれに関連付けされる側壁部112、113に結合され得る。
【0058】
さらに、2つの垂直方向ガイド784が、上部カバー111と、上部カバー111に連結される要素、すなわち側壁部112、113、前方壁部114、第1の後方壁部パネル117、および駆動機構780との垂直方向可動性を示すために、図7において概略的に図示される。当然ながら、通風防止デバイス110もまた、垂直方向移動のための駆動源を有するが、明瞭化のため、この垂直方向のための駆動源は、ここには図示されない。
【0059】
図8は、ガイド要素827と、第1および第2のガイドレール161、162の詳細な断面図を示す。剛体的なガイド接触区域の代わりに、ガイド要素827は、固定して支持された第1のガイドローラ868を備える。ガイドローラ868は、その円周部の周りに延在するV字形状溝863を有し、このV字形状溝863は、ガイド要素が、ガイドレール上において定位置にある場合には、第1のガイドレール161の上を走る。したがって、ガイド要素827とガイド要素827に連結される側壁部112とを組み合わせた重量を現す重量力Fは、ガイドレールによって支持される。さらに、V字溝863は、ガイド要素827を側方において拘束する。さらに、剛性ガイドフランクの代わりに、ガイド要素827は、ガイドフランク864を担持する第2のガイドローラ869を有する。この構成により、側壁部112がガイドレール161、162に沿って摺動される際に、摩擦抵抗は著しく低減される。ガイドローラ869は、傾斜可能枢支点861上で回転する。傾斜可能枢支点861の軸は、境界部により画定される傾斜角δ内において上下に旋回することが可能であり、引張りばね867は、ガイド要素827がガイドレール161、162の上に載置されない場合に、傾斜可能枢支点861を偏倚して停止部866に対接させる。ガイドレール161、162の上にガイド要素827を載置するために、ガイドローラ869は、傾斜されて、2つのガイドローラ868、869がガイドレールと係合状態になるようにスナップ嵌めされるのに十分な幅において、これら2つのガイドローラ868、869の間にスペースを開く必要がある。ガイド要素827が、図8に図示されるように定位置に設置されると、傾斜可能枢支点861は、停止部866から解除され、ばね要素867によって加えられたばね力が、第2のガイドレール162に対して作用する。ガイドフランク864が、角度αで傾斜され、このばね力と協働することにより、結果的に得られる接触力FResが、ガイドレール162にて生じ、これは再び、水平方向ベクトル成分Fと垂直方向ベクトル成分Fとに分解され得る。垂直方向成分Fが、重力Fと同一方向を有するため、垂直方向支持力は、FAY=F+Fである。図4を参照として上述したように、水平方向力成分Fは、トルクMを生じさせ、このトルクMは、床部315の境界端部133にて支持される。
【0060】
特定の例の実施形態を提示することにより、本発明を説明したが、例えば個々の実施形態の構成部を互いに組み合わせることによって、および/または、これらの例において説明された実施形態の個々の機能ユニットを相互交換することによってなど、無数の他の変形形態を、本発明の知識から生み出すことが可能であることが、明らかであると考えられる。他の可能性の中でもとりわけ、例えばガイド接触区域もまたガイド要素中において傾斜可能なガイドローラ上に形成される、または、側壁部が前方壁部に類似する保持手段を備える、本発明のコンセプトからなる実施形態を考え付くことが可能であろう。当然ながら、2つ以上の区分に垂直方向に分割される側壁部が、本発明によるガイド手段をやはり備えることが可能であり、そのため、各セグメントのそれぞれにおいて、重量力および対抗する支持力が共に、側壁セグメントを床部の方向に押すトルクを生成する。さらに、側壁部または前方壁部は、関節連結部によりガイド手段またはホルダ手段に連結されてもよく、その場合には、トルクは、関節連結部中のばね要素によって生成されてよい。さらに、ガイドレールは、摺動可能な側壁部に配置されてよく、ガイド要素は、上部カバー、前方壁部、または後方壁部に配置されてよい。他の可能性としては、ガイド要素は、一体部材として形成される代わりに、複数の構成要素から構成されてもよい。
【符号の説明】
【0061】
900、300、200、100 ラボラトリ用機器
910、410、310、210、110 通風防止デバイス
911、811、711、311、111 上部カバー
112 第1の側壁部
113 第2の側壁部
114 前方壁部
315、115 床部
116 後方壁部
117 第1の後方壁部パネル
118 第2の後方壁部パネル
119 開口
120 用量分注デバイス
121 用量分注デバイスハウジング
122 分注ヘッド
123 分注ヘッドホルダ
827、127 ガイド要素
130 コンソールハウジング
131 天秤皿
132 通路開口
133 第1の側壁部に対向する境界端部
134 第2の側壁部に対向する境界端部
135 前方壁部に対向する境界端部
136 後方壁部に対向する境界端部
137 第3のハウジング壁部
138 第1のハウジング壁部
139 第2のハウジング壁部
140 計量コンパートメント
161 第1のガイドレール
162 第2のガイドレール
225 第1の随伴移動ラッチ
226 第2の随伴移動ラッチ
251 第1のシール滑動ストリップ
252 第2のシール滑動ストリップ
253 第3のシール滑動ストリップ
263 スロット
312 上部カバーフレーム
313 上部カバー挿入部
351 シールローラ
361 第1の凹部
362 第2の凹部
363 ガイド接触区域
864、364 ガイドフランク
611 上部カバーの境界端部
680 ピンブロック
681 第1のピン
682 第2のピン
683 第1の溝
684 第2の溝
685 ホルダ
686 ピンガイド区域
687 ピンガイドフランク
780 駆動機構
781 モータ
782 歯付きベルトドライブ
783 長手方向ガイド
784 垂直方向ガイド
861 傾斜可能枢支点
863 溝
866 停止部
867 引張りばね
868 第1のガイドローラ
869 第2のガイドローラ
α スロープ角
β 整列角
χ ピンガイドフランク角
δ 傾斜角
S 重力中心
重量力
AY 垂直方向反力
AX1 第1の水平方向反力成分
AX2 第2の水平方向反力成分
Res 結果的に得られる力のベクトル
水平方向力ベクトル成分
垂直方向力ベクトル成分
h レール間距離
d 重力中心からの距離
l 境界端部距離
M トルク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラボラトリ用機器(100、200)のための通風防止デバイス(110、210)であって、天秤皿(131)を囲む計量コンパートメント(140)を囲み、後方壁部(116)、前方壁部(114)、2つの側壁部(112、113)、上部カバー(111、311)、および、境界端部(133、134、135、136)により画定される床部(115)を備える通風防止デバイス(110、210)において、この通風防止デバイス(110、210)は、前記上部カバー(111、311)に連結され、少なくとも1つの水平方向に摺動可能な側壁部(112、113)を案内する役割を果たす、少なくとも1つのガイド手段を備え、および/または、前記上部カバー(111、311)に連結され、前記前方壁部(114)を定位置に保持する役割を果たす、保持手段を備え、前記ガイド手段および/または前記保持手段は、前記少なくとも1つの側壁部(112、113)および/または前方壁部(114)が偏倚トルク(M)に押されて前記床部(115、315)に対接するように、前記少なくとも1つの側壁部(112、113)および/または前記前方壁部(114)の重量を支持し、前記トルク(M)は、前記各側壁部(112、113)および/または前方壁部(114)の方向に向く前記境界端部(133、134、135)によって支持されることを特徴とする、通風防止デバイス(110、210)。
【請求項2】
ガイド手段として、
第1のガイドレール(161)および、第1のガイドレールに対して平行に延在する第2のガイドレール(162)が、前記側壁部(112、113)の方向に向く前記上部カバー(111、311)の側部上に配置され、
前記摺動可能な側壁部(112、113)は、2つの凹部(361、362)を有する少なくとも1つのガイド要素(127、827)を備え、前記2つの凹部(361、362)は、前記ガイドレール(161、162)がそれぞれ前記凹部(361、362)の一方を貫通するように、構成され、
前記第1の凹部(361)は、ガイド接触区域(363)を有し、前記第2の凹部(362)は、ガイドフランク(364)を有し、
前記通風防止デバイス(110、210)の作動状態において、前記接触区域(363)は、垂直方向に実質的に配向され、前記第1のガイドレール(161)に対接して置かれ、前記ガイドフランク(364)は、前記第2のガイドレール(162)の上に置かれ、前記垂直方向に対してスロープ角(α)にて配向され、前記スロープ角(α)は、
前記摺動可能な側壁部(112、113)の重量が支持され、
前記摺動可能な側壁部(112、113)が、それ自体の重量と、ゆるい旋回支点としての前記ガイド接触区域(363)の効果と共に作用することとにより、偏倚トルク(M)を受け、この偏倚トルク(M)は、摺動可能な側壁部を付勢して前記計量コンパートメントの前記床部(115、315)に対接させ、前記トルク(M)は、前記各側壁部(112、113)の方向に向く前記境界端部(133、134)によって支持される
ように選択される
ことを特徴とする、請求項1に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項3】
前記ガイドフランク(364、864)および/または前記ガイド接触区域(363)を備える少なくとも1つのローラ(868、869)が、前記ガイド要素(127、827)内に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項4】
前記凹部(361、362)は、スロット形状であり、各凹部(361、362)の一方の端部が、前記ガイド要素(127、827)の側方端部で開口し、それにより、前記側壁部(112、113)を、前記ガイドレール(161、162)中にフックすることが可能となることを特徴とする、請求項2または3に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項5】
前記ガイド手段として機能するために、
第1のガイドレール(161)および、前記第1のガイドレール(161)に対して平行な第2のガイドレール(162)が、前記側壁部(112、113)の方向に向く前記上部カバー(111、311)の側部に配置され、
前記摺動可能な側壁部(112、113)は、少なくとも1つの固定して支持された第1のガイドローラ(868)と、傾斜可能枢支点により保持され、弾性要素(867)により偏倚される、第2のガイドローラ(869)とを含む、少なくとも1つのガイド要素(827)をさらに備え、
前記第1のガイドローラ(868)は、前記第1のガイドレール(161)の上において前記摺動可能な側壁部(112、113)の重量を支持し、前記摺動可能な側壁部(112、113)の側方における移動を拘束し、すなわち前記第1のガイドレールに対して垂直方向への移動を拘束し、
前記摺動可能な側壁部(112、113)は、前記傾斜可能な第2のガイドローラ(869)によって前記第2のガイドレール(162)の方向に弾性的に偏倚され、したがって、前記床部(115、315)の方向に前記側壁部(112、113)を付勢するトルク(M)を受け、前記トルク(M)は、前記側壁部(112、113)の方向に向く前記境界端部(133、134)によって支持される
こととなることを特徴とする、請求項1に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項6】
前記前方壁部(114)の方向に向く上部カバー境界端部(611)にてホルダ手段としての役割を果たすために、
前記上部カバー境界端部(611)の各端部に、ホルダ(685)が設置され、前記2つのホルダデバイス(685)がそれぞれ、前記上部カバー端部(611)に対して平行に延在する2つの着座溝(683、684)を有し、
前記上部カバー端部(611)の方向に向く前記前方壁部(114)の各隅部にて、前記上部カバー端部に対して平行に延在する2つのピン(681、682)を有するピンブロック(680)が配置され、
前記第1の着座溝(683)は、ピン接触区域(686)を有し、前記第2の着座溝は、ピンガイドフランク(687)を有し、
前記通風防止デバイス(110、210)の作動状態において、前記ピン接触区域(686)は、実質的に垂直方向に配向され、前記第1のピン(681)は、前記ピン接触区域に対接して置かれ、前記第2のピン(682)は、前記ピンガイドフランク(687)に対接して置かれており、前記垂直方向に対する前記ピンガイドフランク(687)の前記スロープ角(χ)は、
前記前方壁部(114)の重量が支持され、
前記前方壁部(114)が、ゆるい旋回支点としての前記ピン接触区域(686)の効果と共に、それ自体の重量により、押されて、偏倚トルク(M)によって前記計量コンパートメントの前記床部(115、315)に対接し、前記トルク(M)は、前記前方壁部(114)の方向に向いた前記境界端部(135)によって支持されることとなる
ように選択される
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの側壁部(112、113)および/または前方壁部(114)は、前記上部カバー(111、311)に解除可能に連結されることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項8】
少なくとも1つのロックデバイスが、前記ガイド要素(127、827)に配置され、前記通風防止デバイス(110、210)の作動状態において、前記ガイドレール(161、162)の少なくとも一方の周囲に部分的にフックし、それにより、前記ガイド要素(127、827)は、前記ロックデバイスが解除された場合にのみ、前記ガイドレール(161、162)から分離され得ることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項9】
前記境界端部(133、134、135、136)の長さ部分に少なくともわたって延在する、シール滑動ストリップ(251、252、253)、シールブラシ、またはシールローラ(351)が、前記床部(115、315)の少なくとも1つの境界端部(133、134、135、136)に沿って配置されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項10】
前記上部カバー(111、311)と、前記2つの側壁部(112、113)の少なくとも一方および/または前記前方壁部(114)および/または前記後方壁部(116)とは、前記床部(115、315)に対して垂直方向に摺動可能であることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項11】
前記上部カバー(111、311)の垂直方向移動に動力を与えるための少なくとも1つの駆動機構(780)が存在することを特徴とする、請求項10に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの側壁部(112、113)の水平方向移動に動力を与えるための少なくとも1つの駆動機構(780)が存在することを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210)。
【請求項13】
前記ラボラトリ用機器(100、200)は、具体的には、天秤、用量分注機器、またはピペット装置である、請求項1から12のいずれか一項に記載の通風防止デバイス(110、210)を有するラボラトリ用機器(100、200)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−266436(P2010−266436A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−100491(P2010−100491)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland