ランセット装置
患者の指または別の部位から血液サンプルを採取するためのランセット装置11。ランセット装置は、本体34、41およびランセット131を備え、ランセットは、ランセット先端137が本体内部に配置される収納位置と、ランセット先端が本体を超えて突き出す突出位置の間を移動することができる。本装置は、本体27の両側でアクセス可能なU字形のばね鋼71を圧縮させることによって発射準備され、U字形ばね鋼はランセットに結合される。発射準備されると、爪がU字形ばね鋼を圧縮状態に保持する。本装置は、アクチュエータ151の一端部155を患者のサンプリングを行う位置に接触させ、アクチュエータ151の反対側端部157を用いて爪107をU字形ばね鋼71から解放することによって発射される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にランセット装置に関し、より詳細には新規のランセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分析のために患者から血液サンプルを抜き取ることが望ましい多くの医学的状態がある。たとえば、ある種の伝染病の場合、患者から抜き取られた血液サンプルは、血液媒介病原体の有無について分析されることができる。あるいは、糖尿病の場合は、患者から定期的に抜き取られた血液サンプルが、血糖値をモニタするために用いられる。
【0003】
血糖値のモニタリングのために患者から採取される血液サンプルは、一般に、ランセット装置を使用して患者の皮膚に穿刺することによって得られる。ランセット装置は一般に、本体およびランセットを備える。本体は一般に、使用者によって把持されるようになされ、ランセットは、本体に結合され、患者の皮膚を穿刺してそこから血液を抜き取るようになされている。ある種のランセット装置では、ランセットが常に本体から突出している。容易に理解できるように、そのようなランセット装置は不注意に人を刺し、かつ/または異物で汚染され、したがって安全性を冒す恐れがある。したがって、別のランセット装置では、ランセットは作動時に、本体内部にランセット先端が配置される収納位置から、本体からランセット先端が突き出す突出位置へと移動されるように構成される。一般に、ランセットの収納位置から突出位置への移動は、患者の皮膚に移動するランセット先端が接触すると患者の皮膚を穿刺するような力で行われる。可動式ランセットを備える多くのそのようなランセット装置では、ランセットは、その突出位置に到達した後、ランセットによる不注意な穿刺の危険性を最低限に抑えるために、自動的に本体に引き戻される。
【0004】
可動式ランセットを有するランセット装置は一般に、2つのタイプのうちの1つに属する。そのようなタイプの装置の1つにおいては、ランセットは、使用前に使用者による準備なしで、すぐに発射可能な準備状態に維持される。そのような装置におけるランセットの発射は一般に、装置全体を患者の皮膚に押し付けるまたは圧迫することによって、あるいは装置のそれ以外の部分を患者の皮膚に当てて支持しながら装置上の可動式のプランジャまたは引き金を押すことによって行われる。上述したタイプのランセット装置の例が、以下の文書で開示されている。それらをすべて参照として本明細書に組み込む。1993年4月13日発行のSwierczekの米国特許第5,201,324号明細書、1996年7月30日発行のRamelの米国特許第5,540,709号明細書、1998年1月20日発行のWarnerの米国特許第5,709,699号明細書、1998年5月26日発行のMoritaの米国特許第5,755,733号明細書、2001年11月27日発行のLloydらの米国特許第6,322,574号明細書、2002年3月19日発行のThorne,Jr.らの米国特許第6,358,265号明細書、および2002年7月4日公開のSearleらの米国特許出願公開第2002/0087180号明細書。
【0005】
上記のタイプのランセット装置の欠点の1つは、このような装置が、一般に皮膚が穿刺されようとしている患者でもある使用者に、その患者の皮膚にランセットを突き刺すために必要な力を提供することを要求することである。大抵の人は穿刺されることを嫌うので、患者は自然とランセットの移動前または移動中にしり込みする傾向を示し、その結果、完全な穿刺が達成されないことが多い。さらに、経験の少ない患者には、ランセットを動かして皮膚を穿刺するのに必要な適切な力の大きさがわからないことが多いので、そのような患者が皮膚へのランセット挿入を失敗することは珍しくなく、その結果、その処置が繰り返されなければならない。
【0006】
上記のタイプのランセット装置の別の欠点は、ランセット装置に不注意に圧力を加えただけでランセットが早まって発射される可能性があることである。容易に理解されるように、ランセットの早まった発射は、個人の望ましくない穿刺、および/またはランセットの汚染を生じるおそれがある。さらに、ランセットが複数回使用されることを防ぐ安全機能も備えるランセット装置の場合、ランセットを早まって発射すると、後でランセット装置を所期の目的に使用することができなくなる。さらに、ランセットが複数回使用されることを防ぐ安全機能を備えないランセット装置の場合、ランセットが早まって発射されず実際に意図された患者に使用されたとしても、後でランセット装置が第2の個人によって扱われて、前記第2の個人に不注意にランセットが刺さることになる危険性がある。
【0007】
可動式ランセットを有する第2のタイプのランセット装置は、一般に、ばねで負荷をかけられたランセットと、ばねにエネルギーを蓄える発射準備(cocking)手段と、ばねに蓄えられたエネルギーを解放してランセットを移動させる引き金手段とを備えるペン型装置の形をとる。使用時は、ばねが発射準備され、装置が患者の皮膚に当てて保持され、引き金が引かれる。上述のタイプのランセット装置の例が、以下の文書で開示されている。それらをすべて参照として本明細書に組み込む。1984年7月31日発行のEhrlichの米国特許第4,462,405号明細書、1985年3月12日発行のCornellらの米国特許第4,503,856号明細書、1989年5月16日再発行のLevinらの米国再発行特許第32,922号明細書、1997年3月25日発行のHardingの米国特許第5,613,978号明細書と、2001年10月4日公開のSchragaの米国特許出願公開第2001/0027326号明細書。
【0008】
上記の文書のうち、米国再発行特許第32,922号明細書が説明に役立つ。同特許では、内側管状部材および外側管状部材を備えるランセット装置が開示されている。この内側管状部材は、外側管状部材内に入れ子式に取り付けられる。内部管状部材の内部には、ランセットホルダが摺動可能に取り付けられ、ランセットホルダはその前端部でランセットを受ける。このランセットホルダからシャフトが後方に向かって延び、シャフトは内側管状部材内を通って外側管状部材内で終端する。内側管状部材内部でシャフトにばねが取り付けられ、ばねはランセットホルダを前方にバイアスさせる。ランセットホルダ上に形成されたフィンガが、内側管状部材内の横断開口部を通って径方向外側に延びるように構成される。内側管状部材の外部に取り付けられた引き金が、ランセットホルダのフィンガに係合し、前記フィンガを横断開口部を通して内側管状部材内に押し込むように構成される。この装置を発射準備するために、外側管状部材が内側管状部材から引き離され、次いで解放される。外側管状部材を引き離すことにより、シャフトが後方に引っ張られ、ばねが圧縮される。さらに、外側管状部材を引き離すことにより、ランセットホルダ上のフィンガが内側管部材の横断開口内に引き込まれ、それによってばねを圧縮された状態に保つ。装置を発射させるために、引き金が押し下げられる。引き金を押し下げることにより、フィンガが内側管状部材内に押し戻され、それによってばねを解放する。ばねの前記解放によって、ランセットが内側管状部材の端部を通って前方に駆動される。発射後、シャフトの後端部を取り囲む外側管状部材内に配置された第2のばねが、ランセットを内側管状部材内に引き戻す。
【0009】
上述のランセット装置の欠点の1つは、装置を発射準備するために両手を使わなければならない、すなわち一方の手で内側管状部材を把持し、他方の手で外側管部材を内側管状部材に対して後方に引かなければならないことである。さらに、装置を発射準備した後、装置を発射させるのに用いられる手を、指が引き金上に配置されるように移動させなければならない。
【0010】
上述のランセット装置、およびその他多くの上記ランセット装置の別の欠点は、そのような装置は、患者の指先(指先は血管が密集している)を穿刺し、次いで患者にその穿刺された指先から血液を1滴滲出させるために使用されることが企図されていることである。しかしそれは、指先には痛み受容器官が高密度で配置されているので問題となり得る。したがって、指先を穿刺する行為およびそこから血液を滲出させる行為はいずれも、極めて痛いものになり得る。さらに、患者が糖尿病で血液サンプルを頻繁に抜き出さなければならない場合、このことはより重大である。この問題は、同じ装置を身体の別の部分、たとえば前腕、胴部、臀部、上腿部など、指先ほど痛み受容器官の密度が高くない部分で使用することによって簡単に回避することができない。というのもこの装置は、サンプリング用の適切な量の血液を、こうした血管密度がより低い身体部分から抜き取るようには設計されていないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、新規のランセット装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、既存のランセット装置に伴う少なくともいくつかの欠点を克服する上記ランセット装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、比較的廉価で大量生産されることができ、部品の数が最低限で、操作が簡単な上記装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記およびその他の目的はさらに、以下の記述によって説明され、または明らかになる。本発明の一態様によれば、(a)開いた頂端部および少なくとも1つの側部開口を備える本体と、(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で変形可能であり、圧縮のために前記少なくとも1つの側部開口から手でアクセス可能なスプリングと、(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットとを備えるランセット装置が提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、(a)開いた頂端部を備える本体と、(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で可逆的に変形可能なスプリングと、(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動するために前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、(d)前記スプリングを前記発射準備状態に保持するための解放可能なキャッチと、(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動されるアクチュエータとを備えるランセット装置が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様によれば、(a)開いた頂端部で終端する管状部材を備える本体と、(b)ランセット先端を有し、前記管状部材の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置から、前記管状部材の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置へと移動可能なランセットと、(c)前記本体内部に取り付けられ、前記ランセットに結合され、前記ランセットを前記収納位置から前記突出位置へと移動させるスプリングと、(d)前記ランセットを前記収納位置に保持するための解放可能なキャッチと、(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記管状部材の前記開いた頂端部を通って突出し、前記ランセットによって穿刺される身体部分に接触することによって作動されるアクチュエータと、(f)前記管状部材上に取り付けられ、前記開いた頂端部を超えて突出する、前記ランセットによって穿刺される皮膚を引き伸ばすための可撓性の封止部とを備えるランセット装置が提供される。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、(a)本体であって、(i)内部キャビティを備え、前部、後部、左側、右側、底部、および開いた頂部を含み、前記左側および前記右側にそれぞれ、長手方向スロットを有するスカロップ部を備える、基部と、(ii)前記基部上に取り付けられており、底部と、開いた頂端部および開いた底端部を有する管状頂部とを含む中空の蓋(cover)とを備える本体と、(b)前記本体内部に取り付けられたほぼU字形の部材であり、第1の外方向にバイアスするアームおよび第2の外方向にバイアスするアームを備えるスプリングであって、前記第1の外方向にバイアスするアームが、前記第2の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記左側にある前記長手方向スロットからアクセス可能であり、前記第2の外方向にバイアスするアームが、前記第1の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記右側にある前記長手方向スロットからアクセス可能である、スプリングと、(c)ランセットホルダと、(d)前記基部に取り付けられ、円筒形部材を備える支持部材であって、前記円筒形部材が、前記蓋の前記管状頂部と位置合せされた長手方向に延びる孔を含み、前記ランセットホルダが、前記長手方向に延びる孔の内部に摺動可能に取り付けられ、前記円筒形部材がさらに、前記スプリングが十分に圧縮されたとき解放可能なように前記ランセットホルダと係合可能なキャッチを備える、支持部材と、(e)前記ランセットホルダ内に取り付けられ、ランセット先端を有し、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、(f)前記スプリングを前記ランセットホルダに結合する手段と、(g)前記ランセットホルダを下方にバイアスさせる手段であって、前記スプリングより弱いバイアス手段と、(h)前記中空の蓋の前記管状頂部内に摺動可能に取り付けられており、前記キャッチを前記ランセットホルダから解放するように前記キャッチと係合可能であり、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動される、アクチュエータと、(i)前記アクチュエータを前記キャッチから離れる方向にバイアスさせる手段とを備えるランセット装置が提供される。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲では、様々な関係を示す語、たとえば「頂部」、「底部」、「近位」、「遠位」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」などが、この発明品が所与の向きに配置されるときに、前記発明品を記述するために使用される。この発明品の向きを変えることにより、いくつかの関係語がそれに従って調整される必要がある場合があることが理解されるべきである。
【0019】
本発明のさらなる目的、ならびに特徴および利点が、一部は以下の説明で述べられ、一部は説明から自明になり、あるいは本発明を実施することにより習得されることができる。説明では、説明の一部をなし、本発明を実施するための実施形態がその中で例示される添付の図面が参照される。本発明の実施形態が、当分野の技術者が本発明を実施することを可能にするのに十分な程度に詳細に説明される。また、本発明の範囲を逸脱することなく他の実施形態が利用されることができ、また構造的および機械的な変更が加えられることができることを理解されたい。したがって以下の詳細な説明は、限定的な意味と考えられるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって最もよく定義される。
【0020】
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、その説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。図面では、同様の参照番号は同様の部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここで図1から図5を参照すると、本発明の教示に従って構成されたランセット装置の一実施形態の様々な図が示されている。上記ランセット装置は、発射準備されていない状態で示され、全体が参照番号11で示される。
【0022】
装置11は、後側基部13および前側基部15を備える。単独で図6にも示される後側基部13は、好ましくは耐久性の成形プラスチックまたは類似の適切な材料製の、単一構造であり、後壁17、1対の側壁19−1および19−2、底部壁21、開いた前部および開いた頂部を備える。後壁17は、上方に延びるタブ23を備えるように形成され、タブ23は、その上端が後向きの爪25内で終端する。以下で明らかにされる理由により、タブ23は、弾性的に前方に屈曲するように構成されている。
【0023】
側壁19−1にはスカラップ部(scalloped portion)27−1が形成され、対応するスカラップ部27−2が側壁19−2に形成されている。以下で説明するように、スカラップ部27−1および27−2はそれぞれ、使用者の親指および人差し指(またはその逆)を受けるように構成される。スカラップ部27−1は、長手スロット29−1を備え、スカロップ部27−2は、対応する長手スロット29−2を備えており、スロット29−1および29−2の機能は以下で明らかになる。
【0024】
単独で図7にも示される前側基部15は、好ましくは後側基部13と同じ材料でできた、単一構造である。前側基部15の形状は概ね、後壁17の鏡像である。すなわち、前側基部15は上方に延びる弾性のタブ31を備えるように形成されており、タブ31はその上端が前向き爪33内で終端する。前側基部15は、後側基部13とたとえば周縁同士を対合させることによって嵌合されて、基部キャビティ35を有する中空基部34を共に画成する。
【0025】
装置11はまた、蓋41を備える。図8で単独で示される蓋41は、好ましくは耐久性の成形プラスチックまたは類似の適切な材料でできた、単一構造であり、底部43および頂部45を備える。一般に貫通して形成され、内部キャビティ44を画定する底部43は、前壁47、後壁49、上方に湾曲した中間壁51、および開いた底を備える。底部43は基部34上に載り、底部43の底縁部53は、基部34の頂縁部55とほぼ一致するように適切に寸法決めされている。横断スロット57が前壁47内に形成され、これと対応する横断スロット59が後壁49内に形成されており、スロット57は爪33を受け、スロット59は爪25を受ける。このようにして、蓋41は基部34に固定される。基部34から蓋41を外すためには、タブ31を後方に屈曲させて爪33をスロット57から外し、かつ/または、タブ23を前方に屈曲させて爪25をスロット59から外す。
【0026】
ほぼ管状で両端が開いた頂部45が、中間壁51から上方に延びる。以下でその目的が説明される外側環状フランジ61が、頂部45上のその頂端部63の少し下に設けられている。
【0027】
基部34および蓋41は共に中空の本体を画定する。
【0028】
装置11はさらに、基部34内に配置されるバイアス用部材71を備える。単独で図9にも示されるバイアス用部材71は、ばね鋼などでできた単一のU字形リボン状構造であり、基部75によって相互結合された、弾性で外側にバイアスする1対のアーム73−1および73−2を備える。以下で明らかにされる理由から使用者によってその自由端部が互いに近づくように枢動されるように構成されるアーム73−1および73−2は、それぞれスロット29−1およびスロット29−2と位置合せされており、それぞれスロット29−1およびスロット29−2からアクセス可能となっている。基部75は、底部壁21および基部75にそれぞれ設けられた横断開口79および81から挿入されるねじ77、およびナット78によって、後側基部13の底部壁21の頂面に固定される。
【0029】
装置11はさらに、基部34内に配置される可撓性のフィラメント85を備える。ある長さの糸または別の適切な材料でよいフィラメント85は、第1の端部87と第2の端部89を有する単一構造である。第1端部87は、アーム73−1の自由端部付近に形成された横断開口88を通して挿入されており、第1端部87に、開口88から抜けるのを防ぐための結び目が付いている。第2の端部89は、アーム73−2の自由端部付近に形成された横断開口90を通して挿入されており、第2の端部89に、開口90から抜けるのを防ぐための結び目が付いている。以下で明らかになる理由から、フィラメント85の長さは、アーム73−1および73−2の自由端部が互いに向かって枢動されるときに(すなわち装置11が発射準備されるときに)フィラメント85がたるみ、アーム73−1および73−2の自由端部がほぼ弛緩した位置にあるときに(すなわち装置11が発射準備されていないときに)フィラメント85が緊張するような長さである。
【0030】
本実施形態ではバイアス用部材71とフィラメント85は別々の構造として記述されるが、バイアス用部材71とフィラメント85は、単一構造に変更可能であることを理解されたい。
【0031】
装置11はまた、支持部材91を備える。単独で図10にも示される支持部材91は、耐久性の成形プラスチックまたは別の同様な適切な材料で製作される単一構造であり、基部93およびステム95を備える。ほぼ矩形の基部93は、バイアス用部材71の基部75の上面に載せられる。
【0032】
基部93から上方に延びるステム95は、1対のタブ96−1および96−2と、ほぼ円筒形部材97とを備えるように形成される。タブ96−1および96−2は円筒形部材97と隣接し、タブ96−1は後側基部13の後壁17側を向き、タブ96−2は前壁15側を向く。以下で明らかになる理由により、タブ96−1に横断開口98−1が設けられ、タブ96−2に横断開口98−2が設けられる。
【0033】
頂端部が開いた円筒形部材97が、長手方向に延びる孔101と、長手方向に延び、孔101と連通する横断スロット103−1、103−2、103−3および103−4とを備えるように形成される。スロット103−1および103−2は、それぞれ後側基部13のスロット29−1および29−2と位置合せされ、フィラメント85が円筒形部材97内を通過するのを可能にする。以下で明らかになる理由により、スロット103−3は、タブ96−1と位置合せされ、スロット103−4は、タブ96−2と位置合せされる。
【0034】
円筒形部材97はまた、孔101に向かって径方向内側にバイアスされるアーム105を備えるように形成される。アーム105の頂端部は、孔101の頂端部をわずかに超えて延びており、以下でその目的が説明される解放可能なキャッチまたは爪107を備えるように形成される。
【0035】
支持部材91は、底部壁21および基部75の横断開口79および81と位置合せされた孔109を通って支持部材91内に挿入されるねじ77と、ナット78とによってバイアス用部材71に固定される(ねじ77およびナット78によって互いに固定される代わりに、支持部材91とバイアス用部材71は、一体に成形されるまたはスナップ構造で結合されるなど、他の手段によって互いに固定されることができる。)。
【0036】
装置11はまた、支持部91の円筒形部材97内に摺動式に取り付けられたランセットホルダ111を備える。単独で図11にも示されるランセットホルダ111は、耐久性の成形プラスチックまたは別の適切な材料でできた単一構造であり、上部112および下部113を備える。上部112は、閉じた底端部114および開いた頂部を有するほぼ管状の構造である。下部113は、ほぼT字形であり、下方に延びる中央アーム117と、横断に延びる1対の側部アーム119−1および119−2とを備える。管部材97の孔101内に配置された中央アーム117には、スロット103−1および103−2と位置合せされた横断開口118が設けられる。以下で説明される理由から、フィラメント85は開口118を通って延びる。
【0037】
側部アーム119−1は、スロット103−3を貫通して延び、横断開口120−1を備える。アーム119−1には弾性ストラップ121の一端が固定され、ストラップ121の反対側端部は、タブ96−1に固定される。ストラップ121は好ましくは、アーム119−1上および開口120−1内に熱可塑性エラストマー(「TPE」)材料をオーバーモールド(または「二段成形(two−shot molding)」)し、同じTPE材料をタブ96−1上および開口98−1内にオーバーモールド(または「二段成形」)することによって形成される(あるいは、アーム119−1とタブ96−1をストラップ121を用いて相互連結する代わりに、弾性フィラメントの第1の端部を開口120−1に挿入し、前記弾性フィラメントの第2の端部を開口98−1に挿入し、前記フィラメントの前記第1および第2の端部が開口120−1および開口98−1から抜けないようそれぞれに結び目を付けることができる。)。
【0038】
側部アーム119−2は、スロット103−4を貫通して延び、横断開口120−2を備える。アーム119−2には弾性ストラップ123の一端が固定され、ストラップ123の反対側端部は、タブ96−2に固定される。ストラップ123は好ましくは、アーム119−2上および開口120−2内に熱可塑性エラストマー(「TPE」)材料をオーバーモールド(または「二段成形」)し、同じTPE材料をタブ96−2上および開口98−2内にオーバーモールド(または「二段成形」)することによって形成される(あるいは、アーム119−2とタブ96−2をストラップ123を用いて相互連結する代わりに、弾性フィラメントの第1の端部を開口120−2に挿入し、前記弾性フィラメントの第2の端部を開口98−2に挿入し、前記フィラメントの前記第1および第2の端部が開口120−2および開口98−2から抜けないようそれぞれに結び目を付けることができる。)。
【0039】
弾性ストラップ121および123は、ランセットホルダ111を下方にバイアスさせるために使用されるが、ストラップ121および123がバイアスさせる強さよりもバイアス用部材71がバイアスさせる強さの方が強い。したがって、使用者によって圧縮力または内側方向の力がバイアス用部材71に加えられないと、フィラメント85はバイアス用部材71によって引っ張られて緊張し、それによってホルダ111が支持部91内の比較的高い位置に位置決めされ、ストラップ121および123を、その正常または弛緩した長さを大幅に超えた長さに(しかしそれが切れる点より手前まで)引き伸ばす。しかし、使用者によってバイアス用部材71に圧縮力が加えられると、フィラメント85にたるみができ、ストラップ121および123は、その弛緩した長さへと収縮することが可能になり、それによってホルダ111が支持部91内で引き下げられる。ホルダ111の頂部を爪107より下方に引き下げるのに十分な圧縮力がバイアス用部材71に加えられると、爪107が内側に枢動してホルダ111の頂部に係合するので、バイアス用部材71を圧縮状態に維持するためのさらなる圧縮力が加えられる必要はない。このようにして圧縮されたバイアス用部材71に蓄えられたエネルギーはその後、以下で説明するようにしてホルダ111から爪107を外すことによって解放されることができる。理解されるように、バイアス用部材の拘束が解かれると、バイアス用部材71はその弛緩状態へと開き、それによってホルダ111を支持部91に対して上方へと急速に動かす。次いでホルダ111の急速な上方移動によって大幅に引き伸ばされた弾性ストラップ121および123は、ホルダ111に下向きの小さな弾性力をもたらす。
【0040】
装置11はさらに、ランセット131を備える。従来の使い捨てランセットでよいランセット131は、好ましくは金属または別の適切な材料製の、単一部材である。ランセット131は、円筒状基部133およびステム135を含む。基部133は、ホルダ111の上部112内で取外し可能に受けられる。ランセット131のステム135は、基部133から上方に延び、患者の皮膚を穿刺するようになされた尖った先端137で終端する。
【0041】
装置11はさらに、封止部141を備える。封止部141は、シリコーンゴムまたは同様の適切な材料製でよく、下部143および上部145を含む単一構造である。下部143は管状で、蓋41の頂部45を覆ってはめ込まれ、下部143の底縁部が頂部45のフランジ61上に載る。上部145は、以下で明らかになる理由から、蓋41の頂部45を超えて延び、外側に広がっている。
【0042】
装置11はさらに、アクチュエータ151を備え、アクチュエータ151は、蓋41の頂部45内に摺動式に取り付けられる。単独で図12にも示されるアクチュエータ151は、好ましくは耐久性の成形プラスチックまたは別の適切な材料製の、単一構造である。アクチュエータ151は、頂端部155および底端部157を有する円筒部153を備えるように形成される。頂端部155は、封止部141のほぼ頂縁部141−1に配置され、底端部157は、蓋41の底部43内に延び、爪107ならびに支持部91の円筒形部材97の残りの部分と整列され、それらの上方にわずかに距離を置いて配置される。
【0043】
アクチュエータ151には外側周囲フランジ159が形成され、底端部157から少し離れて配置される。発泡体または類似の材料製でよいリング161が、フランジ159の頂面に取り付けられる。リング161の底面は、第1の位置で適切な接着剤(図示せず)を用いてフランジ159の頂面に固定され、リング161の頂面は、前記第1の位置からほぼ180度の第2の位置で蓋41の中間壁51の底面に固定される。このようにして、リング161によってアクチュエータ151が上方にバイアスされる。
【0044】
装置11はさらに、基部34(その底部を除く)とバイアス用部材71の露出した部分とを覆って密着して装着された、保護膜またはスキン171を備える。スキン171は、好ましくは可撓性の弾性材料製である。
【0045】
使用時は、操作者は片手の人差し指と親指で装置11を把持し、人差し指はスキン171が基部34のスカロップ部27−1を覆う部分に置かれ、親指はスキン171が基部34のスカロップ部27−2を覆う部分に置かれる(またはその逆)。装置11が発射準備される前のこの時点では、装置11は基本的に、図1〜図5に示されるとおりである。次いで操作者は、スプリング71を人差し指と親指で圧縮し、次いで装置11を把持したままスプリング71から圧力を解放することによって、装置11を発射準備させる。上述のとおり、スプリング71を圧縮することにより、アーム73−1および73−2の自由端が互いに近づく方向に旋回され、ランセットホルダ111が爪107より下方に引き下げられる。続いて、スプリング71にかかった圧縮力が操作者によって解放されると、ランセットホルダ111が爪107と係合し、爪107はホルダ111を定位置に維持する。この時点では、装置11は発射準備されており、基本的に図13〜図15に示される通りである。こうして、爪107がホルダ111に係合することにより、スプリング71はその弛緩状態に戻らないように制止され、相当量のポテンシャルエネルギーがスプリング71に蓄えられることが容易に理解される。次いで装置11は、封止部141の頂縁部141−1およびアクチュエータ151の頂端部155を、患者のサンプリングが望まれる部分に押し付けることによって使用される。封止部141の頂縁部141−1が患者の皮膚に押し付けられ(そこに係合され)ると、頂縁部141−1の直径が拡張して、係合された皮膚を外側に引き伸ばす。同時に、アクチュエータ151の頂端部155が患者の皮膚に係合し、頂端部155は皮膚を拡張させ、同時にアクチュエータ151を下方に動かす。アクチュエータ151の一連の動きによって、アクチュエータ151の底端部157は爪107を動かしてランセットホルダ111との係合を外し、それによって、スプリング71により蓄えられた潜在的なエネルギーが解放され、ランセット131を患者の身体内に発射する。
【0046】
装置11が患者の皮膚を穿刺するために使用されると、ランセット131は交換されなければならない。装置11の本体内に配置された使用済みのランセット131にアクセスするためには、使用者は、蓋41が基部34から取り外されることができるまでタブ23および/または31を押す。次いで使用済みランセット131はホルダ111から取り外され、新しいランセット131と交換される。新しいランセット131がホルダ111に配置された後、蓋41が、基部34に再び取り付けられる。
【0047】
上述のとおり、装置11の望ましい特徴の1つは、装置11が、患者の指だけではなく別の部位にも使用されることができることである。
【0048】
別の実施形態(図示せず)では、スキン171が、基部34およびバイアス用部材71の露出した部分を取り囲む剛性の保護ケースで置き換えられ、この装置はさらに、バイアス用部材71のアーム73に結合された第1の端部と、保護ケースを貫通して延びる第2の端部とを有する、1対の押圧可能なボタンを備える。
【0049】
以上で説明された本発明の実施形態は、例示的なものに過ぎず、本発明の精神から逸脱することなく数多くの変更および修正をこれに加えることができることが、当分野の技術者には理解されよう。そのような変更および修正はすべて、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】発射準備される前のランセット装置を示す、本発明の教示に従って構成されたランセット装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示す発射準備されていないランセット装置の部分分解斜視図である。
【図3】図1に示す発射準備されていないランセット装置の上面図である。
【図4】図3の線1−1に沿った発射準備されていないランセット装置の拡大縦断面図である。
【図5】前側基部およびスキンが示されていない、図1の発射準備されていないランセット装置の拡大正面図である。
【図6】図1の装置の後側基部の拡大斜視図である。
【図7】図1の装置の前側基部の拡大斜視図である。
【図8】図1の装置の蓋の拡大斜視図である。
【図9】図1の装置のバイアス用部材の拡大斜視図である。
【図10】図1の装置の支持部材の拡大斜視図である。
【図11】図1の装置のランセットホルダの拡大斜視図である。
【図12】図1の装置のアクチュエータの拡大斜視図である。
【図13】発射準備状態である図1のランセット装置の縦断面図である。
【図14】解放可能な爪によるランセットホルダの解放可能な制止を示す、発射準備された図13のランセット装置の部分拡大縦断面図である。
【図15】解放可能な爪によるランセットホルダの解放可能な制止を示すために、蓋、作動機構、および封止部が示されていない、図13の発射準備されたランセット装置の上面図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にランセット装置に関し、より詳細には新規のランセット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分析のために患者から血液サンプルを抜き取ることが望ましい多くの医学的状態がある。たとえば、ある種の伝染病の場合、患者から抜き取られた血液サンプルは、血液媒介病原体の有無について分析されることができる。あるいは、糖尿病の場合は、患者から定期的に抜き取られた血液サンプルが、血糖値をモニタするために用いられる。
【0003】
血糖値のモニタリングのために患者から採取される血液サンプルは、一般に、ランセット装置を使用して患者の皮膚に穿刺することによって得られる。ランセット装置は一般に、本体およびランセットを備える。本体は一般に、使用者によって把持されるようになされ、ランセットは、本体に結合され、患者の皮膚を穿刺してそこから血液を抜き取るようになされている。ある種のランセット装置では、ランセットが常に本体から突出している。容易に理解できるように、そのようなランセット装置は不注意に人を刺し、かつ/または異物で汚染され、したがって安全性を冒す恐れがある。したがって、別のランセット装置では、ランセットは作動時に、本体内部にランセット先端が配置される収納位置から、本体からランセット先端が突き出す突出位置へと移動されるように構成される。一般に、ランセットの収納位置から突出位置への移動は、患者の皮膚に移動するランセット先端が接触すると患者の皮膚を穿刺するような力で行われる。可動式ランセットを備える多くのそのようなランセット装置では、ランセットは、その突出位置に到達した後、ランセットによる不注意な穿刺の危険性を最低限に抑えるために、自動的に本体に引き戻される。
【0004】
可動式ランセットを有するランセット装置は一般に、2つのタイプのうちの1つに属する。そのようなタイプの装置の1つにおいては、ランセットは、使用前に使用者による準備なしで、すぐに発射可能な準備状態に維持される。そのような装置におけるランセットの発射は一般に、装置全体を患者の皮膚に押し付けるまたは圧迫することによって、あるいは装置のそれ以外の部分を患者の皮膚に当てて支持しながら装置上の可動式のプランジャまたは引き金を押すことによって行われる。上述したタイプのランセット装置の例が、以下の文書で開示されている。それらをすべて参照として本明細書に組み込む。1993年4月13日発行のSwierczekの米国特許第5,201,324号明細書、1996年7月30日発行のRamelの米国特許第5,540,709号明細書、1998年1月20日発行のWarnerの米国特許第5,709,699号明細書、1998年5月26日発行のMoritaの米国特許第5,755,733号明細書、2001年11月27日発行のLloydらの米国特許第6,322,574号明細書、2002年3月19日発行のThorne,Jr.らの米国特許第6,358,265号明細書、および2002年7月4日公開のSearleらの米国特許出願公開第2002/0087180号明細書。
【0005】
上記のタイプのランセット装置の欠点の1つは、このような装置が、一般に皮膚が穿刺されようとしている患者でもある使用者に、その患者の皮膚にランセットを突き刺すために必要な力を提供することを要求することである。大抵の人は穿刺されることを嫌うので、患者は自然とランセットの移動前または移動中にしり込みする傾向を示し、その結果、完全な穿刺が達成されないことが多い。さらに、経験の少ない患者には、ランセットを動かして皮膚を穿刺するのに必要な適切な力の大きさがわからないことが多いので、そのような患者が皮膚へのランセット挿入を失敗することは珍しくなく、その結果、その処置が繰り返されなければならない。
【0006】
上記のタイプのランセット装置の別の欠点は、ランセット装置に不注意に圧力を加えただけでランセットが早まって発射される可能性があることである。容易に理解されるように、ランセットの早まった発射は、個人の望ましくない穿刺、および/またはランセットの汚染を生じるおそれがある。さらに、ランセットが複数回使用されることを防ぐ安全機能も備えるランセット装置の場合、ランセットを早まって発射すると、後でランセット装置を所期の目的に使用することができなくなる。さらに、ランセットが複数回使用されることを防ぐ安全機能を備えないランセット装置の場合、ランセットが早まって発射されず実際に意図された患者に使用されたとしても、後でランセット装置が第2の個人によって扱われて、前記第2の個人に不注意にランセットが刺さることになる危険性がある。
【0007】
可動式ランセットを有する第2のタイプのランセット装置は、一般に、ばねで負荷をかけられたランセットと、ばねにエネルギーを蓄える発射準備(cocking)手段と、ばねに蓄えられたエネルギーを解放してランセットを移動させる引き金手段とを備えるペン型装置の形をとる。使用時は、ばねが発射準備され、装置が患者の皮膚に当てて保持され、引き金が引かれる。上述のタイプのランセット装置の例が、以下の文書で開示されている。それらをすべて参照として本明細書に組み込む。1984年7月31日発行のEhrlichの米国特許第4,462,405号明細書、1985年3月12日発行のCornellらの米国特許第4,503,856号明細書、1989年5月16日再発行のLevinらの米国再発行特許第32,922号明細書、1997年3月25日発行のHardingの米国特許第5,613,978号明細書と、2001年10月4日公開のSchragaの米国特許出願公開第2001/0027326号明細書。
【0008】
上記の文書のうち、米国再発行特許第32,922号明細書が説明に役立つ。同特許では、内側管状部材および外側管状部材を備えるランセット装置が開示されている。この内側管状部材は、外側管状部材内に入れ子式に取り付けられる。内部管状部材の内部には、ランセットホルダが摺動可能に取り付けられ、ランセットホルダはその前端部でランセットを受ける。このランセットホルダからシャフトが後方に向かって延び、シャフトは内側管状部材内を通って外側管状部材内で終端する。内側管状部材内部でシャフトにばねが取り付けられ、ばねはランセットホルダを前方にバイアスさせる。ランセットホルダ上に形成されたフィンガが、内側管状部材内の横断開口部を通って径方向外側に延びるように構成される。内側管状部材の外部に取り付けられた引き金が、ランセットホルダのフィンガに係合し、前記フィンガを横断開口部を通して内側管状部材内に押し込むように構成される。この装置を発射準備するために、外側管状部材が内側管状部材から引き離され、次いで解放される。外側管状部材を引き離すことにより、シャフトが後方に引っ張られ、ばねが圧縮される。さらに、外側管状部材を引き離すことにより、ランセットホルダ上のフィンガが内側管部材の横断開口内に引き込まれ、それによってばねを圧縮された状態に保つ。装置を発射させるために、引き金が押し下げられる。引き金を押し下げることにより、フィンガが内側管状部材内に押し戻され、それによってばねを解放する。ばねの前記解放によって、ランセットが内側管状部材の端部を通って前方に駆動される。発射後、シャフトの後端部を取り囲む外側管状部材内に配置された第2のばねが、ランセットを内側管状部材内に引き戻す。
【0009】
上述のランセット装置の欠点の1つは、装置を発射準備するために両手を使わなければならない、すなわち一方の手で内側管状部材を把持し、他方の手で外側管部材を内側管状部材に対して後方に引かなければならないことである。さらに、装置を発射準備した後、装置を発射させるのに用いられる手を、指が引き金上に配置されるように移動させなければならない。
【0010】
上述のランセット装置、およびその他多くの上記ランセット装置の別の欠点は、そのような装置は、患者の指先(指先は血管が密集している)を穿刺し、次いで患者にその穿刺された指先から血液を1滴滲出させるために使用されることが企図されていることである。しかしそれは、指先には痛み受容器官が高密度で配置されているので問題となり得る。したがって、指先を穿刺する行為およびそこから血液を滲出させる行為はいずれも、極めて痛いものになり得る。さらに、患者が糖尿病で血液サンプルを頻繁に抜き出さなければならない場合、このことはより重大である。この問題は、同じ装置を身体の別の部分、たとえば前腕、胴部、臀部、上腿部など、指先ほど痛み受容器官の密度が高くない部分で使用することによって簡単に回避することができない。というのもこの装置は、サンプリング用の適切な量の血液を、こうした血管密度がより低い身体部分から抜き取るようには設計されていないからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、新規のランセット装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、既存のランセット装置に伴う少なくともいくつかの欠点を克服する上記ランセット装置を提供することである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、比較的廉価で大量生産されることができ、部品の数が最低限で、操作が簡単な上記装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記およびその他の目的はさらに、以下の記述によって説明され、または明らかになる。本発明の一態様によれば、(a)開いた頂端部および少なくとも1つの側部開口を備える本体と、(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で変形可能であり、圧縮のために前記少なくとも1つの側部開口から手でアクセス可能なスプリングと、(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットとを備えるランセット装置が提供される。
【0015】
本発明の別の態様によれば、(a)開いた頂端部を備える本体と、(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で可逆的に変形可能なスプリングと、(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動するために前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、(d)前記スプリングを前記発射準備状態に保持するための解放可能なキャッチと、(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動されるアクチュエータとを備えるランセット装置が提供される。
【0016】
本発明のさらに別の態様によれば、(a)開いた頂端部で終端する管状部材を備える本体と、(b)ランセット先端を有し、前記管状部材の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置から、前記管状部材の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置へと移動可能なランセットと、(c)前記本体内部に取り付けられ、前記ランセットに結合され、前記ランセットを前記収納位置から前記突出位置へと移動させるスプリングと、(d)前記ランセットを前記収納位置に保持するための解放可能なキャッチと、(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記管状部材の前記開いた頂端部を通って突出し、前記ランセットによって穿刺される身体部分に接触することによって作動されるアクチュエータと、(f)前記管状部材上に取り付けられ、前記開いた頂端部を超えて突出する、前記ランセットによって穿刺される皮膚を引き伸ばすための可撓性の封止部とを備えるランセット装置が提供される。
【0017】
本発明のさらに別の態様によれば、(a)本体であって、(i)内部キャビティを備え、前部、後部、左側、右側、底部、および開いた頂部を含み、前記左側および前記右側にそれぞれ、長手方向スロットを有するスカロップ部を備える、基部と、(ii)前記基部上に取り付けられており、底部と、開いた頂端部および開いた底端部を有する管状頂部とを含む中空の蓋(cover)とを備える本体と、(b)前記本体内部に取り付けられたほぼU字形の部材であり、第1の外方向にバイアスするアームおよび第2の外方向にバイアスするアームを備えるスプリングであって、前記第1の外方向にバイアスするアームが、前記第2の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記左側にある前記長手方向スロットからアクセス可能であり、前記第2の外方向にバイアスするアームが、前記第1の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記右側にある前記長手方向スロットからアクセス可能である、スプリングと、(c)ランセットホルダと、(d)前記基部に取り付けられ、円筒形部材を備える支持部材であって、前記円筒形部材が、前記蓋の前記管状頂部と位置合せされた長手方向に延びる孔を含み、前記ランセットホルダが、前記長手方向に延びる孔の内部に摺動可能に取り付けられ、前記円筒形部材がさらに、前記スプリングが十分に圧縮されたとき解放可能なように前記ランセットホルダと係合可能なキャッチを備える、支持部材と、(e)前記ランセットホルダ内に取り付けられ、ランセット先端を有し、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、(f)前記スプリングを前記ランセットホルダに結合する手段と、(g)前記ランセットホルダを下方にバイアスさせる手段であって、前記スプリングより弱いバイアス手段と、(h)前記中空の蓋の前記管状頂部内に摺動可能に取り付けられており、前記キャッチを前記ランセットホルダから解放するように前記キャッチと係合可能であり、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動される、アクチュエータと、(i)前記アクチュエータを前記キャッチから離れる方向にバイアスさせる手段とを備えるランセット装置が提供される。
【0018】
本明細書および特許請求の範囲では、様々な関係を示す語、たとえば「頂部」、「底部」、「近位」、「遠位」、「上方」、「下方」、「前方」、「後方」などが、この発明品が所与の向きに配置されるときに、前記発明品を記述するために使用される。この発明品の向きを変えることにより、いくつかの関係語がそれに従って調整される必要がある場合があることが理解されるべきである。
【0019】
本発明のさらなる目的、ならびに特徴および利点が、一部は以下の説明で述べられ、一部は説明から自明になり、あるいは本発明を実施することにより習得されることができる。説明では、説明の一部をなし、本発明を実施するための実施形態がその中で例示される添付の図面が参照される。本発明の実施形態が、当分野の技術者が本発明を実施することを可能にするのに十分な程度に詳細に説明される。また、本発明の範囲を逸脱することなく他の実施形態が利用されることができ、また構造的および機械的な変更が加えられることができることを理解されたい。したがって以下の詳細な説明は、限定的な意味と考えられるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によって最もよく定義される。
【0020】
本明細書に組み込まれその一部を構成する添付の図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、その説明と共に本発明の原理を説明するのに役立つ。図面では、同様の参照番号は同様の部品を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ここで図1から図5を参照すると、本発明の教示に従って構成されたランセット装置の一実施形態の様々な図が示されている。上記ランセット装置は、発射準備されていない状態で示され、全体が参照番号11で示される。
【0022】
装置11は、後側基部13および前側基部15を備える。単独で図6にも示される後側基部13は、好ましくは耐久性の成形プラスチックまたは類似の適切な材料製の、単一構造であり、後壁17、1対の側壁19−1および19−2、底部壁21、開いた前部および開いた頂部を備える。後壁17は、上方に延びるタブ23を備えるように形成され、タブ23は、その上端が後向きの爪25内で終端する。以下で明らかにされる理由により、タブ23は、弾性的に前方に屈曲するように構成されている。
【0023】
側壁19−1にはスカラップ部(scalloped portion)27−1が形成され、対応するスカラップ部27−2が側壁19−2に形成されている。以下で説明するように、スカラップ部27−1および27−2はそれぞれ、使用者の親指および人差し指(またはその逆)を受けるように構成される。スカラップ部27−1は、長手スロット29−1を備え、スカロップ部27−2は、対応する長手スロット29−2を備えており、スロット29−1および29−2の機能は以下で明らかになる。
【0024】
単独で図7にも示される前側基部15は、好ましくは後側基部13と同じ材料でできた、単一構造である。前側基部15の形状は概ね、後壁17の鏡像である。すなわち、前側基部15は上方に延びる弾性のタブ31を備えるように形成されており、タブ31はその上端が前向き爪33内で終端する。前側基部15は、後側基部13とたとえば周縁同士を対合させることによって嵌合されて、基部キャビティ35を有する中空基部34を共に画成する。
【0025】
装置11はまた、蓋41を備える。図8で単独で示される蓋41は、好ましくは耐久性の成形プラスチックまたは類似の適切な材料でできた、単一構造であり、底部43および頂部45を備える。一般に貫通して形成され、内部キャビティ44を画定する底部43は、前壁47、後壁49、上方に湾曲した中間壁51、および開いた底を備える。底部43は基部34上に載り、底部43の底縁部53は、基部34の頂縁部55とほぼ一致するように適切に寸法決めされている。横断スロット57が前壁47内に形成され、これと対応する横断スロット59が後壁49内に形成されており、スロット57は爪33を受け、スロット59は爪25を受ける。このようにして、蓋41は基部34に固定される。基部34から蓋41を外すためには、タブ31を後方に屈曲させて爪33をスロット57から外し、かつ/または、タブ23を前方に屈曲させて爪25をスロット59から外す。
【0026】
ほぼ管状で両端が開いた頂部45が、中間壁51から上方に延びる。以下でその目的が説明される外側環状フランジ61が、頂部45上のその頂端部63の少し下に設けられている。
【0027】
基部34および蓋41は共に中空の本体を画定する。
【0028】
装置11はさらに、基部34内に配置されるバイアス用部材71を備える。単独で図9にも示されるバイアス用部材71は、ばね鋼などでできた単一のU字形リボン状構造であり、基部75によって相互結合された、弾性で外側にバイアスする1対のアーム73−1および73−2を備える。以下で明らかにされる理由から使用者によってその自由端部が互いに近づくように枢動されるように構成されるアーム73−1および73−2は、それぞれスロット29−1およびスロット29−2と位置合せされており、それぞれスロット29−1およびスロット29−2からアクセス可能となっている。基部75は、底部壁21および基部75にそれぞれ設けられた横断開口79および81から挿入されるねじ77、およびナット78によって、後側基部13の底部壁21の頂面に固定される。
【0029】
装置11はさらに、基部34内に配置される可撓性のフィラメント85を備える。ある長さの糸または別の適切な材料でよいフィラメント85は、第1の端部87と第2の端部89を有する単一構造である。第1端部87は、アーム73−1の自由端部付近に形成された横断開口88を通して挿入されており、第1端部87に、開口88から抜けるのを防ぐための結び目が付いている。第2の端部89は、アーム73−2の自由端部付近に形成された横断開口90を通して挿入されており、第2の端部89に、開口90から抜けるのを防ぐための結び目が付いている。以下で明らかになる理由から、フィラメント85の長さは、アーム73−1および73−2の自由端部が互いに向かって枢動されるときに(すなわち装置11が発射準備されるときに)フィラメント85がたるみ、アーム73−1および73−2の自由端部がほぼ弛緩した位置にあるときに(すなわち装置11が発射準備されていないときに)フィラメント85が緊張するような長さである。
【0030】
本実施形態ではバイアス用部材71とフィラメント85は別々の構造として記述されるが、バイアス用部材71とフィラメント85は、単一構造に変更可能であることを理解されたい。
【0031】
装置11はまた、支持部材91を備える。単独で図10にも示される支持部材91は、耐久性の成形プラスチックまたは別の同様な適切な材料で製作される単一構造であり、基部93およびステム95を備える。ほぼ矩形の基部93は、バイアス用部材71の基部75の上面に載せられる。
【0032】
基部93から上方に延びるステム95は、1対のタブ96−1および96−2と、ほぼ円筒形部材97とを備えるように形成される。タブ96−1および96−2は円筒形部材97と隣接し、タブ96−1は後側基部13の後壁17側を向き、タブ96−2は前壁15側を向く。以下で明らかになる理由により、タブ96−1に横断開口98−1が設けられ、タブ96−2に横断開口98−2が設けられる。
【0033】
頂端部が開いた円筒形部材97が、長手方向に延びる孔101と、長手方向に延び、孔101と連通する横断スロット103−1、103−2、103−3および103−4とを備えるように形成される。スロット103−1および103−2は、それぞれ後側基部13のスロット29−1および29−2と位置合せされ、フィラメント85が円筒形部材97内を通過するのを可能にする。以下で明らかになる理由により、スロット103−3は、タブ96−1と位置合せされ、スロット103−4は、タブ96−2と位置合せされる。
【0034】
円筒形部材97はまた、孔101に向かって径方向内側にバイアスされるアーム105を備えるように形成される。アーム105の頂端部は、孔101の頂端部をわずかに超えて延びており、以下でその目的が説明される解放可能なキャッチまたは爪107を備えるように形成される。
【0035】
支持部材91は、底部壁21および基部75の横断開口79および81と位置合せされた孔109を通って支持部材91内に挿入されるねじ77と、ナット78とによってバイアス用部材71に固定される(ねじ77およびナット78によって互いに固定される代わりに、支持部材91とバイアス用部材71は、一体に成形されるまたはスナップ構造で結合されるなど、他の手段によって互いに固定されることができる。)。
【0036】
装置11はまた、支持部91の円筒形部材97内に摺動式に取り付けられたランセットホルダ111を備える。単独で図11にも示されるランセットホルダ111は、耐久性の成形プラスチックまたは別の適切な材料でできた単一構造であり、上部112および下部113を備える。上部112は、閉じた底端部114および開いた頂部を有するほぼ管状の構造である。下部113は、ほぼT字形であり、下方に延びる中央アーム117と、横断に延びる1対の側部アーム119−1および119−2とを備える。管部材97の孔101内に配置された中央アーム117には、スロット103−1および103−2と位置合せされた横断開口118が設けられる。以下で説明される理由から、フィラメント85は開口118を通って延びる。
【0037】
側部アーム119−1は、スロット103−3を貫通して延び、横断開口120−1を備える。アーム119−1には弾性ストラップ121の一端が固定され、ストラップ121の反対側端部は、タブ96−1に固定される。ストラップ121は好ましくは、アーム119−1上および開口120−1内に熱可塑性エラストマー(「TPE」)材料をオーバーモールド(または「二段成形(two−shot molding)」)し、同じTPE材料をタブ96−1上および開口98−1内にオーバーモールド(または「二段成形」)することによって形成される(あるいは、アーム119−1とタブ96−1をストラップ121を用いて相互連結する代わりに、弾性フィラメントの第1の端部を開口120−1に挿入し、前記弾性フィラメントの第2の端部を開口98−1に挿入し、前記フィラメントの前記第1および第2の端部が開口120−1および開口98−1から抜けないようそれぞれに結び目を付けることができる。)。
【0038】
側部アーム119−2は、スロット103−4を貫通して延び、横断開口120−2を備える。アーム119−2には弾性ストラップ123の一端が固定され、ストラップ123の反対側端部は、タブ96−2に固定される。ストラップ123は好ましくは、アーム119−2上および開口120−2内に熱可塑性エラストマー(「TPE」)材料をオーバーモールド(または「二段成形」)し、同じTPE材料をタブ96−2上および開口98−2内にオーバーモールド(または「二段成形」)することによって形成される(あるいは、アーム119−2とタブ96−2をストラップ123を用いて相互連結する代わりに、弾性フィラメントの第1の端部を開口120−2に挿入し、前記弾性フィラメントの第2の端部を開口98−2に挿入し、前記フィラメントの前記第1および第2の端部が開口120−2および開口98−2から抜けないようそれぞれに結び目を付けることができる。)。
【0039】
弾性ストラップ121および123は、ランセットホルダ111を下方にバイアスさせるために使用されるが、ストラップ121および123がバイアスさせる強さよりもバイアス用部材71がバイアスさせる強さの方が強い。したがって、使用者によって圧縮力または内側方向の力がバイアス用部材71に加えられないと、フィラメント85はバイアス用部材71によって引っ張られて緊張し、それによってホルダ111が支持部91内の比較的高い位置に位置決めされ、ストラップ121および123を、その正常または弛緩した長さを大幅に超えた長さに(しかしそれが切れる点より手前まで)引き伸ばす。しかし、使用者によってバイアス用部材71に圧縮力が加えられると、フィラメント85にたるみができ、ストラップ121および123は、その弛緩した長さへと収縮することが可能になり、それによってホルダ111が支持部91内で引き下げられる。ホルダ111の頂部を爪107より下方に引き下げるのに十分な圧縮力がバイアス用部材71に加えられると、爪107が内側に枢動してホルダ111の頂部に係合するので、バイアス用部材71を圧縮状態に維持するためのさらなる圧縮力が加えられる必要はない。このようにして圧縮されたバイアス用部材71に蓄えられたエネルギーはその後、以下で説明するようにしてホルダ111から爪107を外すことによって解放されることができる。理解されるように、バイアス用部材の拘束が解かれると、バイアス用部材71はその弛緩状態へと開き、それによってホルダ111を支持部91に対して上方へと急速に動かす。次いでホルダ111の急速な上方移動によって大幅に引き伸ばされた弾性ストラップ121および123は、ホルダ111に下向きの小さな弾性力をもたらす。
【0040】
装置11はさらに、ランセット131を備える。従来の使い捨てランセットでよいランセット131は、好ましくは金属または別の適切な材料製の、単一部材である。ランセット131は、円筒状基部133およびステム135を含む。基部133は、ホルダ111の上部112内で取外し可能に受けられる。ランセット131のステム135は、基部133から上方に延び、患者の皮膚を穿刺するようになされた尖った先端137で終端する。
【0041】
装置11はさらに、封止部141を備える。封止部141は、シリコーンゴムまたは同様の適切な材料製でよく、下部143および上部145を含む単一構造である。下部143は管状で、蓋41の頂部45を覆ってはめ込まれ、下部143の底縁部が頂部45のフランジ61上に載る。上部145は、以下で明らかになる理由から、蓋41の頂部45を超えて延び、外側に広がっている。
【0042】
装置11はさらに、アクチュエータ151を備え、アクチュエータ151は、蓋41の頂部45内に摺動式に取り付けられる。単独で図12にも示されるアクチュエータ151は、好ましくは耐久性の成形プラスチックまたは別の適切な材料製の、単一構造である。アクチュエータ151は、頂端部155および底端部157を有する円筒部153を備えるように形成される。頂端部155は、封止部141のほぼ頂縁部141−1に配置され、底端部157は、蓋41の底部43内に延び、爪107ならびに支持部91の円筒形部材97の残りの部分と整列され、それらの上方にわずかに距離を置いて配置される。
【0043】
アクチュエータ151には外側周囲フランジ159が形成され、底端部157から少し離れて配置される。発泡体または類似の材料製でよいリング161が、フランジ159の頂面に取り付けられる。リング161の底面は、第1の位置で適切な接着剤(図示せず)を用いてフランジ159の頂面に固定され、リング161の頂面は、前記第1の位置からほぼ180度の第2の位置で蓋41の中間壁51の底面に固定される。このようにして、リング161によってアクチュエータ151が上方にバイアスされる。
【0044】
装置11はさらに、基部34(その底部を除く)とバイアス用部材71の露出した部分とを覆って密着して装着された、保護膜またはスキン171を備える。スキン171は、好ましくは可撓性の弾性材料製である。
【0045】
使用時は、操作者は片手の人差し指と親指で装置11を把持し、人差し指はスキン171が基部34のスカロップ部27−1を覆う部分に置かれ、親指はスキン171が基部34のスカロップ部27−2を覆う部分に置かれる(またはその逆)。装置11が発射準備される前のこの時点では、装置11は基本的に、図1〜図5に示されるとおりである。次いで操作者は、スプリング71を人差し指と親指で圧縮し、次いで装置11を把持したままスプリング71から圧力を解放することによって、装置11を発射準備させる。上述のとおり、スプリング71を圧縮することにより、アーム73−1および73−2の自由端が互いに近づく方向に旋回され、ランセットホルダ111が爪107より下方に引き下げられる。続いて、スプリング71にかかった圧縮力が操作者によって解放されると、ランセットホルダ111が爪107と係合し、爪107はホルダ111を定位置に維持する。この時点では、装置11は発射準備されており、基本的に図13〜図15に示される通りである。こうして、爪107がホルダ111に係合することにより、スプリング71はその弛緩状態に戻らないように制止され、相当量のポテンシャルエネルギーがスプリング71に蓄えられることが容易に理解される。次いで装置11は、封止部141の頂縁部141−1およびアクチュエータ151の頂端部155を、患者のサンプリングが望まれる部分に押し付けることによって使用される。封止部141の頂縁部141−1が患者の皮膚に押し付けられ(そこに係合され)ると、頂縁部141−1の直径が拡張して、係合された皮膚を外側に引き伸ばす。同時に、アクチュエータ151の頂端部155が患者の皮膚に係合し、頂端部155は皮膚を拡張させ、同時にアクチュエータ151を下方に動かす。アクチュエータ151の一連の動きによって、アクチュエータ151の底端部157は爪107を動かしてランセットホルダ111との係合を外し、それによって、スプリング71により蓄えられた潜在的なエネルギーが解放され、ランセット131を患者の身体内に発射する。
【0046】
装置11が患者の皮膚を穿刺するために使用されると、ランセット131は交換されなければならない。装置11の本体内に配置された使用済みのランセット131にアクセスするためには、使用者は、蓋41が基部34から取り外されることができるまでタブ23および/または31を押す。次いで使用済みランセット131はホルダ111から取り外され、新しいランセット131と交換される。新しいランセット131がホルダ111に配置された後、蓋41が、基部34に再び取り付けられる。
【0047】
上述のとおり、装置11の望ましい特徴の1つは、装置11が、患者の指だけではなく別の部位にも使用されることができることである。
【0048】
別の実施形態(図示せず)では、スキン171が、基部34およびバイアス用部材71の露出した部分を取り囲む剛性の保護ケースで置き換えられ、この装置はさらに、バイアス用部材71のアーム73に結合された第1の端部と、保護ケースを貫通して延びる第2の端部とを有する、1対の押圧可能なボタンを備える。
【0049】
以上で説明された本発明の実施形態は、例示的なものに過ぎず、本発明の精神から逸脱することなく数多くの変更および修正をこれに加えることができることが、当分野の技術者には理解されよう。そのような変更および修正はすべて、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】発射準備される前のランセット装置を示す、本発明の教示に従って構成されたランセット装置の一実施形態の斜視図である。
【図2】図1に示す発射準備されていないランセット装置の部分分解斜視図である。
【図3】図1に示す発射準備されていないランセット装置の上面図である。
【図4】図3の線1−1に沿った発射準備されていないランセット装置の拡大縦断面図である。
【図5】前側基部およびスキンが示されていない、図1の発射準備されていないランセット装置の拡大正面図である。
【図6】図1の装置の後側基部の拡大斜視図である。
【図7】図1の装置の前側基部の拡大斜視図である。
【図8】図1の装置の蓋の拡大斜視図である。
【図9】図1の装置のバイアス用部材の拡大斜視図である。
【図10】図1の装置の支持部材の拡大斜視図である。
【図11】図1の装置のランセットホルダの拡大斜視図である。
【図12】図1の装置のアクチュエータの拡大斜視図である。
【図13】発射準備状態である図1のランセット装置の縦断面図である。
【図14】解放可能な爪によるランセットホルダの解放可能な制止を示す、発射準備された図13のランセット装置の部分拡大縦断面図である。
【図15】解放可能な爪によるランセットホルダの解放可能な制止を示すために、蓋、作動機構、および封止部が示されていない、図13の発射準備されたランセット装置の上面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランセット装置であって、
(a)開いた頂端部および少なくとも1つの側部開口を備える本体と、
(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で変形可能であり、圧縮のために前記少なくとも1つの側部開口から手でアクセス可能なスプリングと、
(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットとを備えるランセット装置。
【請求項2】
前記スプリングを前記発射準備状態に保持するための、前記スプリングの圧縮によって作動される解放可能なキャッチと、前記解放可能なキャッチに係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータとをさらに備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項3】
前記スプリングが、前記少なくとも1つの側部開口に向かって外側にバイアスされるアームを備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項4】
前記スプリングが、外方向にバイアスする1対のアームを有するほぼU字形の部材を備え、前記本体が1対の側部開口を備え、それを通じて前記外方向にバイアスするアームがアクセスされ内側に互いに近づくように枢動されることができる請求項1に記載のランセット装置。
【請求項5】
ランセットホルダと、前記ランセットホルダを前記スプリングに結合する手段とをさらに備え、前記ランセットが前記ランセットホルダ内で受けられ、前記キャッチが前記ランセットホルダと係合可能である請求項4に記載のランセット装置。
【請求項6】
前記結合手段が、前記外方向にバイアスするアームの一方に第1の端部が固定され、前記外方向にバイアスするアームのもう一方に第2の端部が固定された、前記ランセットホルダを通って挿入されたフィラメントを備える請求項5に記載のランセット装置。
【請求項7】
前記ランセットホルダを前記本体の前記開いた頂端部から離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項6に記載のランセット装置。
【請求項8】
前記本体内部に固定された支持部をさらに備え、前記キャッチが前記支持部の一部であり、前記バイアス手段が、前記ランセットホルダに固定された第1の端部と前記支持部上にその底部に近接して形成されたタブに固定された第2の端部とを有する、弾性のストラップを備える請求項7に記載のランセット装置。
【請求項9】
前記アクチュエータが、前記本体の前記開いた頂端部に摺動可能に取り付けられた円筒形部材を備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項10】
前記アクチュエータを前記解放可能なキャッチから離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項11】
ランセット装置であって、
(a)開いた頂端部を備える本体と、
(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で可逆的に変形可能なスプリングと、
(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、
(d)前記スプリングを前記発射準備状態に保持するための解放可能なキャッチと、
(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動されるアクチュエータとを備えるランセット装置。
【請求項12】
前記スプリングが、外方向にバイアスする1対のアームを有するほぼU字形の部材を備え、前記本体が1対の側部開口を備え、それを通して前記外方向にバイアスするアームがアクセスされ内側に互いに近づくように枢動されることができる請求項11に記載のランセット装置。
【請求項13】
ランセットホルダと、前記ランセットホルダを前記スプリングに結合する手段とをさらに備え、前記ランセットが前記ランセットホルダ内で受けられ、前記キャッチが前記ランセットホルダと係合可能である請求項12に記載のランセット装置。
【請求項14】
前記結合手段が、前記外方向にバイアスするアームの一方に第1の端部が固定され、前記外方向にバイアスするアームのもう一方に第2の端部が固定された、前記ランセットホルダを通って挿入されたフィラメントを備える請求項13に記載のランセット装置。
【請求項15】
前記ランセットホルダを前記本体の前記開いた頂端部から離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項14に記載のランセット装置。
【請求項16】
前記本体内部に固定された支持部をさらに備え、前記キャッチが前記支持部の一部であり、前記バイアス手段が、前記ランセットホルダに固定された第1の端部と前記支持部上にその底部に近接して形成されたタブに固定された第2の端部とを有する、弾性のストラップを備える請求項15に記載のランセット装置。
【請求項17】
前記アクチュエータが、前記本体の前記開いた頂端部に摺動可能に取り付けられた円筒形部材を備える請求項11に記載のランセット装置。
【請求項18】
前記アクチュエータを前記解放可能なキャッチから離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項11に記載のランセット装置。
【請求項19】
前記ランセットによって穿刺される皮膚を引き伸ばすための可撓性の封止部をさらに備え、前記可撓性の封止部が前記本体の前記開いた頂端部の周囲に配置される請求項11に記載のランセット装置。
【請求項20】
前記解放可能なキャッチが、前記スプリングの圧縮によって作動される請求項11に記載のランセット装置。
【請求項21】
ランセット装置であって、
(a)開いた頂端部で終端する管状部材を備える本体と、
(b)ランセット先端を有し、前記管状部材の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置から、前記管状部材の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置へと移動可能なランセットと、
(c)前記本体内部に取り付けられ、前記ランセットに結合され、前記ランセットを前記収納位置から前記突出位置へと移動させるスプリングと、
(d)前記ランセットを前記収納位置に保持するための解放可能なキャッチと、
(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記管状部材の前記開いた頂端部を通って突出し、前記ランセットによって穿刺される身体部分に接触することによって作動される前記アクチュエータと、
(f)前記管状部材上に取り付けられ、前記開いた頂端部を超えて突出する、前記ランセットによって穿刺される皮膚を引き伸ばすための可撓性の封止部とを備えるランセット装置。
【請求項22】
前記スプリングが、外方向にバイアスする1対のアームを有するほぼU字形の部材を備え、前記本体が1対の側部開口を備え、それを通して前記外方向にバイアスするアームがアクセスされ内側に互いに近づくように枢動されることができる請求項21に記載のランセット装置。
【請求項23】
ランセットホルダと、前記ランセットホルダを前記スプリングに結合する手段とをさらに備え、前記ランセットが前記ランセットホルダ内で受けられ、前記キャッチが前記ランセットホルダと係合可能である請求項22に記載のランセット装置。
【請求項24】
前記結合手段が、前記外方向にバイアスするアームの一方に第1の端部が固定され、前記外方向にバイアスするアームのもう一方に第2の端部が固定された、前記ランセットホルダを通って挿入されたフィラメントを備える請求項23に記載のランセット装置。
【請求項25】
前記ランセットホルダを前記本体の前記開いた頂端部から離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項24に記載のランセット装置。
【請求項26】
前記本体内部に固定された支持部をさらに備え、前記キャッチが前記支持部の一部であり、前記バイアス手段が、前記ランセットホルダに固定された第1の端部と前記支持部上にその底部に近接して形成されたタブに固定された第2の端部とを有する、弾性のストラップを備える請求項25に記載のランセット装置。
【請求項27】
前記アクチュエータが、前記本体の前記管状部材内に摺動可能に取り付けられた円筒形部材を備える請求項21に記載のランセット装置。
【請求項28】
前記アクチュエータを前記解放可能なキャッチから離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項21に記載のランセット装置。
【請求項29】
前記解放可能なキャッチが前記スプリングの圧縮によって動作させられる請求項21に記載のランセット装置。
【請求項30】
ランセット装置であって、
(a)本体であって、
(i)内部キャビティを備え、前部、後部、左側、右側、底部、および開いた頂部を含み、前記左側および前記右側にそれぞれ、長手方向スロットを有するスカロップ部を備える、基部と、
(ii)前記基部上に取り付けられており、底部と、開いた頂端部および開いた底端部を有する管状頂部とを含む中空の蓋とを備える本体と、
(b)前記本体内に取り付けられたほぼU字形の部材であり、第1の外方向にバイアスするアームおよび第2の外方向にバイアスするアームを備えるスプリングであって、前記第1の外方向にバイアスするアームが、前記第2の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記左側にある前記長手方向スロットからアクセス可能であり、前記第2の外方向にバイアスするアームが、前記第1の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記右側にある前記長手方向スロットからアクセス可能である、スプリングと、
(c)ランセットホルダと、
(d)前記基部に取り付けられ、円筒形部材を備える支持部材であって、前記円筒形部材が、前記蓋の前記管状頂部と位置合せされた長手方向に延びる孔を含み、前記ランセットホルダが、前記長手方向に延びる孔の内部に摺動可能に取り付けられ、前記円筒形部材がさらに、前記スプリングが十分に圧縮されたとき解放可能なように前記ランセットホルダと係合可能なキャッチを備える、支持部材と、
(e)前記ランセットホルダ内に取り付けられ、ランセット先端を有し、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、
(f)前記スプリングを前記ランセットホルダに結合する手段と、
(g)前記ランセットホルダを下方にバイアスさせる手段であって、前記スプリングより弱いバイアス手段と、
(h)前記中空の蓋の前記管状頂部内に摺動可能に取り付けられており、前記キャッチを前記ランセットホルダから解放するように前記キャッチと係合可能であり、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動される、アクチュエータと、
(i)前記アクチュエータを前記キャッチから離れる方向にバイアスさせる手段とを備えるランセット装置。
【請求項1】
ランセット装置であって、
(a)開いた頂端部および少なくとも1つの側部開口を備える本体と、
(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で変形可能であり、圧縮のために前記少なくとも1つの側部開口から手でアクセス可能なスプリングと、
(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットとを備えるランセット装置。
【請求項2】
前記スプリングを前記発射準備状態に保持するための、前記スプリングの圧縮によって作動される解放可能なキャッチと、前記解放可能なキャッチに係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータとをさらに備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項3】
前記スプリングが、前記少なくとも1つの側部開口に向かって外側にバイアスされるアームを備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項4】
前記スプリングが、外方向にバイアスする1対のアームを有するほぼU字形の部材を備え、前記本体が1対の側部開口を備え、それを通じて前記外方向にバイアスするアームがアクセスされ内側に互いに近づくように枢動されることができる請求項1に記載のランセット装置。
【請求項5】
ランセットホルダと、前記ランセットホルダを前記スプリングに結合する手段とをさらに備え、前記ランセットが前記ランセットホルダ内で受けられ、前記キャッチが前記ランセットホルダと係合可能である請求項4に記載のランセット装置。
【請求項6】
前記結合手段が、前記外方向にバイアスするアームの一方に第1の端部が固定され、前記外方向にバイアスするアームのもう一方に第2の端部が固定された、前記ランセットホルダを通って挿入されたフィラメントを備える請求項5に記載のランセット装置。
【請求項7】
前記ランセットホルダを前記本体の前記開いた頂端部から離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項6に記載のランセット装置。
【請求項8】
前記本体内部に固定された支持部をさらに備え、前記キャッチが前記支持部の一部であり、前記バイアス手段が、前記ランセットホルダに固定された第1の端部と前記支持部上にその底部に近接して形成されたタブに固定された第2の端部とを有する、弾性のストラップを備える請求項7に記載のランセット装置。
【請求項9】
前記アクチュエータが、前記本体の前記開いた頂端部に摺動可能に取り付けられた円筒形部材を備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項10】
前記アクチュエータを前記解放可能なキャッチから離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項1に記載のランセット装置。
【請求項11】
ランセット装置であって、
(a)開いた頂端部を備える本体と、
(b)前記本体内部に取り付けられ、比較的圧縮度が大きい発射準備状態と比較的圧縮度が小さい非発射準備状態の間で可逆的に変形可能なスプリングと、
(c)ランセット先端を有し、前記本体の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記本体の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが前記発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが前記非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、
(d)前記スプリングを前記発射準備状態に保持するための解放可能なキャッチと、
(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動されるアクチュエータとを備えるランセット装置。
【請求項12】
前記スプリングが、外方向にバイアスする1対のアームを有するほぼU字形の部材を備え、前記本体が1対の側部開口を備え、それを通して前記外方向にバイアスするアームがアクセスされ内側に互いに近づくように枢動されることができる請求項11に記載のランセット装置。
【請求項13】
ランセットホルダと、前記ランセットホルダを前記スプリングに結合する手段とをさらに備え、前記ランセットが前記ランセットホルダ内で受けられ、前記キャッチが前記ランセットホルダと係合可能である請求項12に記載のランセット装置。
【請求項14】
前記結合手段が、前記外方向にバイアスするアームの一方に第1の端部が固定され、前記外方向にバイアスするアームのもう一方に第2の端部が固定された、前記ランセットホルダを通って挿入されたフィラメントを備える請求項13に記載のランセット装置。
【請求項15】
前記ランセットホルダを前記本体の前記開いた頂端部から離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項14に記載のランセット装置。
【請求項16】
前記本体内部に固定された支持部をさらに備え、前記キャッチが前記支持部の一部であり、前記バイアス手段が、前記ランセットホルダに固定された第1の端部と前記支持部上にその底部に近接して形成されたタブに固定された第2の端部とを有する、弾性のストラップを備える請求項15に記載のランセット装置。
【請求項17】
前記アクチュエータが、前記本体の前記開いた頂端部に摺動可能に取り付けられた円筒形部材を備える請求項11に記載のランセット装置。
【請求項18】
前記アクチュエータを前記解放可能なキャッチから離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項11に記載のランセット装置。
【請求項19】
前記ランセットによって穿刺される皮膚を引き伸ばすための可撓性の封止部をさらに備え、前記可撓性の封止部が前記本体の前記開いた頂端部の周囲に配置される請求項11に記載のランセット装置。
【請求項20】
前記解放可能なキャッチが、前記スプリングの圧縮によって作動される請求項11に記載のランセット装置。
【請求項21】
ランセット装置であって、
(a)開いた頂端部で終端する管状部材を備える本体と、
(b)ランセット先端を有し、前記管状部材の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置から、前記管状部材の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置へと移動可能なランセットと、
(c)前記本体内部に取り付けられ、前記ランセットに結合され、前記ランセットを前記収納位置から前記突出位置へと移動させるスプリングと、
(d)前記ランセットを前記収納位置に保持するための解放可能なキャッチと、
(e)前記解放可能なキャッチと係合可能であり、前記解放可能なキャッチを解放するためのアクチュエータであって、前記管状部材の前記開いた頂端部を通って突出し、前記ランセットによって穿刺される身体部分に接触することによって作動される前記アクチュエータと、
(f)前記管状部材上に取り付けられ、前記開いた頂端部を超えて突出する、前記ランセットによって穿刺される皮膚を引き伸ばすための可撓性の封止部とを備えるランセット装置。
【請求項22】
前記スプリングが、外方向にバイアスする1対のアームを有するほぼU字形の部材を備え、前記本体が1対の側部開口を備え、それを通して前記外方向にバイアスするアームがアクセスされ内側に互いに近づくように枢動されることができる請求項21に記載のランセット装置。
【請求項23】
ランセットホルダと、前記ランセットホルダを前記スプリングに結合する手段とをさらに備え、前記ランセットが前記ランセットホルダ内で受けられ、前記キャッチが前記ランセットホルダと係合可能である請求項22に記載のランセット装置。
【請求項24】
前記結合手段が、前記外方向にバイアスするアームの一方に第1の端部が固定され、前記外方向にバイアスするアームのもう一方に第2の端部が固定された、前記ランセットホルダを通って挿入されたフィラメントを備える請求項23に記載のランセット装置。
【請求項25】
前記ランセットホルダを前記本体の前記開いた頂端部から離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項24に記載のランセット装置。
【請求項26】
前記本体内部に固定された支持部をさらに備え、前記キャッチが前記支持部の一部であり、前記バイアス手段が、前記ランセットホルダに固定された第1の端部と前記支持部上にその底部に近接して形成されたタブに固定された第2の端部とを有する、弾性のストラップを備える請求項25に記載のランセット装置。
【請求項27】
前記アクチュエータが、前記本体の前記管状部材内に摺動可能に取り付けられた円筒形部材を備える請求項21に記載のランセット装置。
【請求項28】
前記アクチュエータを前記解放可能なキャッチから離れる方向にバイアスさせる手段をさらに備える請求項21に記載のランセット装置。
【請求項29】
前記解放可能なキャッチが前記スプリングの圧縮によって動作させられる請求項21に記載のランセット装置。
【請求項30】
ランセット装置であって、
(a)本体であって、
(i)内部キャビティを備え、前部、後部、左側、右側、底部、および開いた頂部を含み、前記左側および前記右側にそれぞれ、長手方向スロットを有するスカロップ部を備える、基部と、
(ii)前記基部上に取り付けられており、底部と、開いた頂端部および開いた底端部を有する管状頂部とを含む中空の蓋とを備える本体と、
(b)前記本体内に取り付けられたほぼU字形の部材であり、第1の外方向にバイアスするアームおよび第2の外方向にバイアスするアームを備えるスプリングであって、前記第1の外方向にバイアスするアームが、前記第2の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記左側にある前記長手方向スロットからアクセス可能であり、前記第2の外方向にバイアスするアームが、前記第1の外方向にバイアスするアームに向かって圧縮させるように、前記基部の前記右側にある前記長手方向スロットからアクセス可能である、スプリングと、
(c)ランセットホルダと、
(d)前記基部に取り付けられ、円筒形部材を備える支持部材であって、前記円筒形部材が、前記蓋の前記管状頂部と位置合せされた長手方向に延びる孔を含み、前記ランセットホルダが、前記長手方向に延びる孔の内部に摺動可能に取り付けられ、前記円筒形部材がさらに、前記スプリングが十分に圧縮されたとき解放可能なように前記ランセットホルダと係合可能なキャッチを備える、支持部材と、
(e)前記ランセットホルダ内に取り付けられ、ランセット先端を有し、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より下方に前記ランセット先端が配置される収納位置と、前記中空の蓋の前記管状頂部の前記開いた頂端部より上方に前記ランセット先端が配置される突出位置との間を移動できるように前記スプリングに結合され、前記スプリングが発射準備状態であるとき前記収納位置にあり、前記スプリングが非発射準備状態であるとき前記突出位置にあるランセットと、
(f)前記スプリングを前記ランセットホルダに結合する手段と、
(g)前記ランセットホルダを下方にバイアスさせる手段であって、前記スプリングより弱いバイアス手段と、
(h)前記中空の蓋の前記管状頂部内に摺動可能に取り付けられており、前記キャッチを前記ランセットホルダから解放するように前記キャッチと係合可能であり、前記ランセットによって穿刺される身体部分と接触することによって作動される、アクチュエータと、
(i)前記アクチュエータを前記キャッチから離れる方向にバイアスさせる手段とを備えるランセット装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−500062(P2007−500062A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533327(P2006−533327)
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/016171
【国際公開番号】WO2004/105608
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/016171
【国際公開番号】WO2004/105608
【国際公開日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(391008788)アボット・ラボラトリーズ (650)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]