説明

ランプユニットおよびこれを用いた照明装置

【課題】 ランプユニットの取付時における光源の破損を防止すること、およびランプユニットの取付時において、感電を防止することが可能なランプユニットおよびこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】 このランプユニット70は、表面から発光する平面型放電管76の裏面を両面テープを介してシャーシ71の内面に配置し、平面型放電管76の表面側を覆う透光性を有するレンズ77をシャーシ71の側面に固定設置する。また、このランプユニット70にカバー101を取り付けることによって照明装置とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプユニットおよびこれを用いた照明装置に関し、例えば家庭用・業務用・工業用等の各種製品に搭載され、照明装置用の発光素子として利用されるランプユニットおよびこれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示される平板型照明装置(図21参照)や、特許文献2または特許文献3に開示されている照明具用基盤(図22および図23参照)が知られている。これらの平板型照明装置や照明具用基盤では、平面型放電管と、この平面型放電管に電気的に接続された点灯用回路基板とを、シャーシに貼り付けることによって、薄くて取り扱いが容易なモジュールとして機能するランプユニットを構成している。
【0003】
<平面型放電管>
ここで、特許文献1〜3に開示されている平面型放電管について述べておく。図24に示すように、平面型放電管50は、一対の誘電体平板としてのガラス板54a、54bを対向配置し、周囲を封止部材53を使用して内部に密閉空間57(放電空間)を形成した密閉容器を構成し、この空間に給排気管56を介して希ガス等の放電ガスを封入している。密閉空間57内には、複数の誘電体リブ55が設けられている。この密閉容器の両外表面の各々には、一対の薄膜状の透明電極51a、51bが設けられている。一対のリード線52a、52bは、この一対の透明電極51a、51bと、導電体接続部53a、53bを介して接続固定されている。また、一方の透明電極51bの上面には、図示しない薄膜の反射部材が設けられている。なお、平面型放電管50から光が発光する発光面S(表面)とする。後述する実施形態においては、この発光面側Sの側が表面側となる。
【0004】
平面型放電管50は、有機ELや導光板を利用した厚さの薄い発光体と比較して高輝度であり、しかも発光面Sから照射される光が均一であるなどの利点を有する。また、光源としての低温特性に優れていること、放電ガスに水銀を用いていないことなど、従来の蛍光灯と比較しても様々な長所を有している。このため、ランプユニットに応用した場合において、適用範囲が非常に大きい。
【0005】
【特許文献1】特開2007−188772号
【特許文献2】意匠登録公報1287399号
【特許文献3】意匠登録公報1287854号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図22および図23に示すような従来のランプユニット(照明具用基盤)においては、
このユニット自体が取引の対象となっており、輸送や保管に関して平面型放電管の表面が露出していることから、平面型放電管の破損を防止するためのカバー等が別途必要であった。
【0007】
また、この照明具用基盤を天井や壁面にネジを使用して取付固定する作業を行う場合、平面型放電管を跨いでボルト締め作業を行う必要があり、乱雑に扱うとドライバ及びレンチ等の工具が平面型放電管に接触して平面型放電管が破損するおそれがあった。
【0008】
また、平面型放電管の表面側に形成される薄膜状の透明電極が高圧側となっている場合には、ランプユニットを取付る際に誤って触れると感電するという問題があった。そこで、平面型放電管の表面側を低圧側にすると、必然的に裏面側が高圧側となる。平面型放電管の裏面側にも薄膜状電極が配置されているため、この薄膜状電極がシャーシ(金属製)と導通することになる。つまり、この場合においても、誤って金属製のシャーシに触れると感電する恐れがある。シャーシを樹脂製として絶縁することも考えられるが、平面型放電灯から放射される熱がシャーシを介して放熱されにくくなると言う問題が新たに生じることになる。
【0009】
そこで、本発明は、ランプユニットの取付時における光源(平面型放電管)の破損を防止することが可能なランプユニットおよびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。これに加えて、ランプユニットの取付時において、平面型放電から放射される熱を好適に放熱するとともに、感電を防止することが可能なランプユニットおよびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のうち、請求項1に記載のランプユニットは、
表面から発光する薄型発光体の裏面を接合剤層を介して、または、裏面を直接、密着して筐体の内面に配置したランプユニットであって、
透光性を有するレンズを前記薄型発光体の表面側を覆うように設けるとともに、
当該レンズを前記筐体に固定設置する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、レンズによって薄型発光体が覆われるランプユニットとなっているので、ランプユニットの輸送時や取付時における薄型発光体の破損を防止することが可能となる。通常、レンズはカバー側に装着されるのが普通であるが、本発明ではランプユニットに取り付けることにより、取引の対象となるランプユニットを流通させる過程においても、カバー等の保護部材を別途必要となることはない。
【0012】
また、請求項2に記載のランプユニットは、請求項1に記載のランプユニットに加えて、
前記筐体のうち内面を構成する部材は放熱用部材であって、
前記薄型発光体の裏面を接合剤を介して前記筐体の内面に配置する場合には、その接合剤が熱伝導性部材であること、を特徴とする。
【0013】
この発明によれば、薄型発光体の裏面を熱伝導性の接合剤層を介して、または、裏面を直接、密着して筐体の内面である放熱用部材に配置しているので、薄型発光体から放射される熱を熱伝導によって放熱用部材に伝えることができるため、好適に放熱させることができ、その結果、薄型発光体の表面温度を低下させることが可能となる。ひいては、薄型発光体の表面に触れても火傷等の心配はなく安全を保つことが可能となる。
【0014】
また、請求項3に記載のランプユニットは、請求項1〜2のいずれかに記載のランプユニットに加えて、
前記薄型発光体は、平面型放電管であって、
前記レンズには、前記平面型放電管の給排気管を覆うための保護カバー部を備える、
ことを特徴とする。
【0015】
この発明によれば、ランプユニットの輸送時や取付時における平面型放電管の給排気管の破損を防止することが可能となる。
【0016】
また、薄膜状電極を外面に形成する平面型放電管を用いた場合には、発光面側となる薄膜状電極が高圧側である場合には、誤って放熱用部材に触れると感電の恐れがある。この発明によれば、レンズが設けられているために、人が誤って直接、平面型放電管の薄膜状電極に触れることができないため、感電事故を未然に防止できる。
【0017】
また、平面型放電管は、有機ELや導光板を利用した厚さの薄い発光体と比較して高輝度であり、しかも発光面から照射される光が均一であるなどの利点を有するため、各種の照明装置の一部品としてのランプユニットに利用できるという利点がある。また、光源としての低温特性に優れていること、放電ガスに水銀を用いていないことなど、従来の蛍光灯と比較しても様々な長所を有しているため、ランプユニットに応用した場合において、適用範囲が非常に大きい。
【0018】
また、請求項4に記載のランプユニットは、請求項3に記載のランプユニットに加えて、
前記平面型放電管の裏面には、薄膜状電極が形成されるとともに、当該薄膜状電極は前記平面型放電管に加圧される電圧の低圧側とされる、ことを特徴とする。
【0019】
平面型放電管の裏面を前記放熱用部材の表面に接触しているため、放熱用部材に金属板を用い、薄膜状電極を外面に形成する平面型放電管を用いた場合には、この薄膜状電極と前記放熱用部材が電気的に導通することになる。このとき、この薄膜状電極が高圧側である場合には、誤って放熱用部材に触れると感電の恐れがある。この発明によれば、放熱用部材と接触する面側における平面型放電管の薄膜状電極を低圧側とすることによって、人が誤って前記放熱用部材に触れても感電しないようにすることができる。
【0020】
また、漏れ電流が生じると平面型放電管の点灯状態においてちらつきが発生するため、この漏れ電流を極力抑えることが必要となる。この発明によれば、前記放熱用部材の表面(筐体の内面)に接触する平面型放電管の薄膜状電極側を低圧側とすることにより、漏れ電流を極力抑えることができる。
【0021】
また、請求項5に記載の照明装置は、
請求項1〜4に記載のいずれかのランプユニットと、
前記薄型発光体と電気的に接続することによって、前記ランプのランプユニットの内部、あるいは外部に設けられた同発光体を点灯するための点灯用回路と、
前記ランプユニットを覆うカバー体と、
を設けたことを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、このランプユニットに点灯用回路を接続し、カバー体を設けることによって完成品としての照明装置を構成することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上の発明のランプユニットおよびこれを用いた照明装置によれば、ランプユニットの取付時における光源の破損を防止することが可能なランプユニットおよびこれを用いた照明装置を提供することが可能となる。これに加えて、ランプユニットの取付時において、感電を防止することが可能なランプユニットおよびこれを用いた照明装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(第1の実施形態)
図1〜図9は、本発明における第1の実施形態の照明具用基盤としてのランプユニットおよびこれを組み込んだ照明装置を示した図である。図1は、ランプユニット70の斜視図、図2は、ランプユニット70の正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図、図3は、図2に示した平面図における拡大A−A断面図、図4は、図2に示した平面図における拡大B−B断面図である。
【0025】
図5は、ランプユニット70を利用して構成した照明装置100の斜視図であり、図6は、照明装置100の正面図、右側面図、左側面図、平面図、および底面図である。図7は、この照明装置100の分解斜視図であり、図8は、シャーシ71の正面図、右側面図、左側面図、平面図、および底面図、図9は、カバー101の正面図、右側面図、左側面図、平面図、および底面図である。図6,図8および図9において、背面図は、正面図と左右対称に現れるので省略している
【0026】
<ランプユニット>
照明具用基盤としてのランプユニット70は、シャーシ71,平面型放電管76,点灯用回路基板75およびレンズ77の主部品から構成されている(図7参照)。略長形状の金属製薄板からなるシャーシ71には、短手方向の両側を垂直に折り曲げたシャーシ壁71a,71aが設けられ、そのシャーシ壁71a,71aには、複数の係止穴71bおよび一対のスリット71c、71cが形成されている(図7参照)。
【0027】
平面型放電管76の裏面(発光面Sと反対側の面)76aとシャーシ71の内面71eとの間には、これらの面を接続して固定するための熱伝導性の両面テープ(接合剤)73が介在している。この接合剤としては、例えば、3M社の商品名スコッチ・ウェルドEW2070等の熱伝導性エポキシ接着剤や、熱伝導性両面テープ等がある。ここで、シャーシ71は、放熱用部材として構成され、アルミニウムや銅、真鍮などの熱伝導率の大きい金属製材料などからなる。
【0028】
点灯用回路基板75の裏面75bとシャーシ71の内面71eとの間には、PET(ポリエチレンテレフタレート)性の基板固定シート74と、絶縁シート72とが介在する。絶縁シート72に開口された一対の係止穴72a、72aに、シャーシ71に形成された一対のダボ71d、71dに係止して絶縁シート72を位置決めする。その後、絶縁シート72に形成されている矩形穴72b内に収まるように、両面テープならなる基板固定シート74をシャーシ71の内面71eに貼り付け、さらに点灯用回路基板75に裏面75bを貼り付ける(図7参照)。なお、点灯用回路部品75aの表面75aには、種々の回路部品および回路パターン(図示しない)が形成されており、平面型放電管76と点灯用回路基板75とは、リード線を介して(図示しない)電気的に接続されている。また、絶縁シート72の両側に形成された一対の絶縁片72c、72cは、点灯用回路基板75の帳面75a側に設置されているトランス等の部品と、これらに隣設するシャーシ壁71aとの絶縁性を確保するために設けられている。また、平面型放電管76の表面に形成された薄膜状の透明電極側を高圧側とし、裏面側に形成された薄膜状電極側を低圧側として、シャーシ71と接続し、照明器具のマイナス側として設置される。
【0029】
透光性を有する箱形状のレンズ77は、シャーシ71に両面テープ73を介して固定された平面型放電管76の表面76b側を、同レンズの内部空間内に覆うようにして、レンズ77の長手方向の一対の側壁面77b、77bに形成された複数の係止爪77cを、シャーシ壁71aに設けられた係止穴71bに係止することによって固定される(図3参照)。これまでの組立行程によって、ランプユニット70(図1,図2参照)が完成し、この状態において、シャーシ71の底面四隅に開口された止め穴71fを利用して、天井や壁なとにネジ等を使用して固定される。そして電源との接続を行いスイッチ75cをONすると、平面型放電管76の表面76bから一様な光が発光し、レンズ77の表面を介して外部空間へ光が照射される。
【0030】
<照明装置>
照明装置100は、ランプユニット70にカバー101を取り付けることによって完成する。即ち、カバー101の上面101aには、レンズ77の上面77dが嵌合するレンズ用矩形穴101b、およびスイッチノブ78を下面から取り付けるためのスイッチ形成穴101cが形成されている。カバー101の内側側面には、レンズ77の上面77dを位置決めするための複数の位置決めリブ101dと、カバー101本体をシャーシ71に固定する一対の補助レール101eが設けられている。この一対の補助レール101eを、シャーシ壁71aに設けられた一対のスリット71cに斜め上方から差し込むことによって係止させて仮固定し、カバー101の他端側に開口された固定穴101fにネジ101gを通して、シャーシ側雌ネジ71gに螺入して固定する。その後、キャップ101hをカバー101に設置してネジ101gを抑え覆い隠す。このようにして照明装置100の取付が完了する(図7および図9参照)。
【0031】
図10に示すように、補助レール101eは、カバー101の側壁内面に備えた直方体からなる突条から構成され、点灯用回路基板75等の部品が設置されている側へ傾斜角度θ1だけ傾いて設けられている。スリット71cは、この補助レール101eの幅よりも少し大きな幅を有し、この保有角度θ2は、前記傾斜角度θ1と同じ角度である。本実施形態では、θ1=θ2=−45°(時計周りの向きを+と定義する)であり最も好ましいが、−50°〜−30°であっても実現可能である。
【0032】
カバー101が組み込まれた状態では、補助レール101eの側面101eaが、スリット71cの側面71caに当接し面接触することによって固定されている。ここで、カバー101の他端側(ネジ101gによって固定されている側を基端側とする)のみを無理に持ち上げて取り外そうとした場合には、補助レール101eのもう一方の側面101ebが、スリット71cのもう一方の側面71cbに当接し面接触することによって係止状態を保たれるため、カバー101とシャーシ71との間に隙間ができにくく、容易にはカバーが外れないようになっている。
【0033】
図25に示すように、従来の照明装置200では、筐体202にカバー201を取り付けるパターンとして以下の方法がある。第1の方法として、筐体202の側壁外面に係止爪202bを設け、カバー201の側壁に開口された係止穴201aに、この係止爪202bを係止させることによって、筐体202にカバー201が固定される。あるいは、第2の方法として、カバー201の側壁内面に係止爪201bを設け、筐体202の側壁に開口された係止穴202aに、この係止爪201bを係止させることによって、筐体202にカバー201が固定される。いずれの方法も、筐体202にカバー201を被せる際に、双方あるいはいずれか一方の部品の弾性変形を利用し、係止完了後には、各部品が弾性復帰して元の形状を保つという性質を利用している。
【0034】
ところが、修理等のために、カバー201を何度も取り外すと、これらの部品の弾性復帰が保たれなくなることがある。特に、自動車に搭載されるような場合には、この照明装置を天井に設置するため、自動車運転時の振動に伴ってカバー201が外れ、その自重によってカバー201が落下する恐れがある。
【0035】
しかし、本実施形態の照明装置では、前述のような弾性変形を伴う係止構造を採用してないので、カバー201の着脱における経年変化を考慮しなくてもよく、確実な係止状態を確保することができる。また、仮に、自動車運転時の振動等によって、ネジ101gが緩むことになっても、キャップ101hによってネジ101gが抑えられ完全に外れることがないため、補助レール101eとスリット71cとによる係止状態は依然として保たれるため、カバーが落下することはない。
【0036】
(第1の実施形態の作用・効果)
以上の構成から、次の作用・効果が把握される。
(1)シャーシ71の表面71e側に平面型放電管76を設けるとともに、シャーシ71の表面71a側に点灯用回路基板75を設けることによって、コンパクトで薄く纏まりのあるランプユニットとすることができる。
【0037】
(2)薄型発光体としての平面型放電管76の裏面を熱伝導性の接合剤73を介して、放熱用部材としてのシャーシ71の表面71eに配置しているので、平面型放電管76から放射される熱を熱伝導によってシャーシ71に伝えることができるため、好適に放熱させることができ、その結果、平面型放電管76の表面温度を低下させることが可能となる。ひいては、薄型発光体の表面に触れても火傷等の心配はなく安全を保つことが可能となる。
【0038】
(3)点灯用回路基板12を放熱用部材としてのシャーシ11の表面71e側に配置し、シャーシ71に別部品として取付部材(PET(ポリエチレンテレフタレート)性の基板固定シート74と、絶縁シート72)を介して取り付けたので、平面型放電管76からシャーシ71に放熱された熱が、熱伝導により、直接、点灯用回路基板72に伝わることを防止することができるとともに、絶縁性を確保することができる。。ひいては、点灯用回路基板12に配置されている回路部品12a、12b、12c、12dの温度上昇の防止を図ることができるとともに、誤動作の防止や回路部品の寿命を長く保つことが可能となる。
【0039】
(4)照明具用基盤としてのランプユニット70にレンズ77を取り付けた。従来の照明具用基盤(図22および図23参照)においては、この照明具用基盤を天井や壁面にネジを使用して取付固定する作業を行う場合、平面型放電管を跨いでボルト締め作業を行う必要があり、乱雑に扱うとドライバ及びレンチ等の工具が平面型放電管に接触して破損するおそれがあった。この構成によれば、平面型放電管を覆うレンズ77をランプユニットに取り付けたので、誤ってレンズ77にドライバ及びレンチ等の工具が接触しても光源である平面型放電管に接触して破損することを防止できる。この種の照明装置においては、通常、レンズはカバー側に予め取り付けることが多かった。この構成では、レンズとカバーは別体とし、平面型放電管を覆うようにシャーシ側に取り付けるようにしている。また、平面型放電管76の表面側に形成される薄膜状の透明電極が高圧側となっているために、ランプユニット70を取付る際に誤って触れると感電するという問題があった。しかし、レンズ77を取り付けた状態でランプユニット70を天井等に組み付ける作業を行うので、平面型放電管76の表面76bに直に触れることがなく安全である。
【0040】
(5)平面型放電管76の表面に形成された薄膜状の透明電極側を高圧側とし、裏面側に形成された薄膜状電極側を低圧側として、シャーシ71と接続し、照明器具のマイナス側として設置した。平面型放電管76の高圧側である表面は、前記(4)で述べられているように、レンズ77で覆われているため、人が直接、触れることはなく、感電することはない。また、裏面側が低圧側となっているため、誤ってシャーシに触れても感電することはない。また、漏れ電流が生じると平面型放電管の点灯状態においてちらつきが発生するため、この漏れ電流を極力抑えることが必要となるが、前記放熱用部材の表面(筐体の内面)に接触する平面型放電管の薄膜状電極側を低圧側となっているため、結果的ではあるが漏れ電流を極力抑えることができる。
(6)カバー101の内側側面には、レンズ77の上面77dを位置決めするための複数の位置決めリブ101dが設けられているので、照明装置100を組み立てる際には、レンズの位置決めがされレンズが嵌合されるので、容易に取付が可能となる。
【0041】
(7)ランプユニット70にカバー101を取り付けて照明装置100を組み立てる場合、カバー101に設けられた一対の補助レール101eを、シャーシ壁71aに設けられた一対のスリット71cに斜め上方から差し込むことによって係止させて仮固定し、カバー101の他端側に開口された固定穴101fにネジ101gを通して、シャーシ側雌ネジ71gに螺入して固定するようにした。この構成によれば、前記補助レール101eおよびスリット71cが、シャーシ71の内面に対して傾斜しているので、ネジ101gによって固定が完了した後、カバーが外れることはない。また、両端側にネジ固定を行う場合と比較して、ネジが節約できるとともに、ネジ取付部分に必要なスペースをとる必要がないため、コンパクトな照明装置とすることができる。なお、前記補助レール101dおよびスリット71cと、シャーシ71の内面(水平面)との間に形成される角度は45度(点灯用回路基板75等が搭載される側の水平面から角度を測定した場合)が好ましい。従来、この種の照明装置においては、特に乗用車等の狭い空間内に設置されるという要求から、コンパクトな構成を要求されていた。また、従来と同様な性能を維持しながら、構成する部品点数を可能な限り削減したいという問題があった。
【0042】
(第2の実施形態)
図11〜図19は、本発明における第2の実施形態の照明具用基盤としてのランプユニットおよびこれを組み込んだ照明装置を示した図である。図11は、ランプユニット70の斜視図、図12は、ランプユニット70’の正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図、図13は、図12に示した平面図における拡大A−A断面図、図14は、図12に示した平面図における拡大B−B断面図である。
【0043】
図15は、ランプユニット70’を利用して構成した照明装置100’の斜視図であり、図16は、照明装置100’の正面図、右側面図、左側面図、平面図、および底面図である。図17は、この照明装置100’の分解斜視図であり、図18は、シャーシ71’の正面図、右側面図、左側面図、平面図、および底面図、図19は、カバー101’の正面図、右側面図、左側面図、平面図、および底面図である。図16,図18および図19において、背面図は、正面図と左右対称に現れるので省略している
【0044】
第2の実施形態は、第1の実施形態と基本的構成において同等であるため、ほぼ同様の構成要素については、第1の実施形態を示す図面(図1〜図9参照)に記載してある符号と同じとし、異なる部分のみに新たな符号を付している(図11〜図19参照)。
【0045】
本実施形態では、レンズ77の長手方向の両端に一対のチップ保護カバー77e,77eを設けている。これは、平面型放電管76の長手方向の両端に設けられている給排気管76c、76cを保護するために設けられている。本実施形態であるランプユニット100’を壁や天井等に取り付ける際に、ドライバーやラチェット等の取付工具を平面型放電管77の給排気管76c、76cに誤って触れて破損させるような事故を未然に防止することが可能となる。
【0046】
本実施形態では、カバー101本体をシャーシ71に固定する一対の補助レール101’eが設けられている。この補助レール101’eは、第1の実施形態の補助レール101eと垂直面に対する傾斜方向が反対向きとなっている点が異なっている。この一対の補助レール101’eを、シャーシ壁71aの一端側に設けられたシャーシ傾斜部71’cに係止させることによって仮固定し、カバー101の他端側に開口された固定穴101fにネジ101gを通して、シャーシ側雌ネジ71gに螺入して固定する。その後、キャップ101hをカバー101に設置してネジ101gを抑え覆い隠す。このようにして照明装置100’の取付が完了する(図17および図19参照)。
【0047】
図20に示すように、補助レール101’eは、カバー101の側壁内面に備えた直方体からなる突条から構成され、点灯用回路基板75等の部品が設置されている側と反対側へ傾斜角度θ3だけ傾いて設けられている。シャーシ傾斜部71’cの傾斜面71’caの保有角度θ4は、前記傾斜角度θ3と同じ角度である。本実施形態では、θ3=θ4=45°(時計周りの向きを+と定義する)であり最も好ましいが、30°〜50°であっても実現可能である。
【0048】
カバー101’が組み込まれた状態では、補助レール101’eの側面101eaが、シャーシ傾斜部71’cの傾斜面71’caに当接し面接触することによって固定されている。ここで、カバー101’の他端側(ネジ101gによって固定されている側を基端側とする)のみを無理に持ち上げて取り外そうとした場合には、この傾斜面71’caが、カバー101’eaの側面に当接し面接触することによって係止状態を保たれるため、カバー101’とシャーシ71’との間に隙間ができにくく、容易にはカバー101’が外れないようになっている。
【0049】
また、両端側にネジ固定を行う場合と比較して、ネジが節約できるとともに、ネジ取付部分に必要なスペースをとる必要がないため、コンパクトな照明装置とすることができる。
【0050】
(応用例等)
ところで、本発明は前記の実施形態に限定するものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な実施が可能である。
・ 前記実施形態では、平面型放電管76の裏面とシャーシ71の表面71eとは、接着剤(両面テープ)73を介して固定されているが、このような接着剤層を省略して直接、密着させて固定するようにしてもよい。
【0051】
・ 前記実施形態では、平面型放電管76の裏面に設けられた薄膜状電極を透明電極としているが、必ずしも透明である必要はない。
・ 前記実施形態においては、ランプユニットの表面形状が、略長方形状の箱型形状をしているが、これらに限定するものではなく、薄型発光体の表面形状と相似形にするなどして、表面形状を略正方形、略長方形、略円形等、その他の多角形や楕円型としても良い。
【0052】
・ 前記実施形態において説明した平面型放電管76は、両外面に透明電極が形成されているとしているが、これに限定するものではなく、透明電極の一方が平面型放電管11の内部(放電空間内)に形成されているものを採用しても良いし、発光面でない側の透明電極を金属薄膜状電極としても良い。また、他の電極配置を利用した平面型放電管であってもよく、電極の配置には限定されない。
【0053】
・ 前記実施形態においては、薄型発光体として平面型放電管を用いたが、これに限定しなくてもよい。例えば、有機ELや円環型の誘電体バリア放電管を複数並列に並べた平面ユニットを平面型放電管の代わりに用いてもよい。また、例えば、ナノシリコンやナノカーボンなどの電子放出源を用いた電子放出型の平面発光パネルを利用することも可能である。
【0054】
・ 前記実施形態において、2〜3個の熱伝導性の両面テープ73を用いているが、ひとつでもよく個数には限定されない。しかし、平面型放電管76の裏面と両面テープ73との接触する面積が大きいほど、平面型放電管76から放射される熱は、シャーシ71側へ放熱しやすくなるという効果を奏する。
【0055】
・ 前記実施形態において、点灯用回路基板76をシャーシ71の内面71eに設けたが、これに限定することなく、シャーシ71の裏面に設けても良いし、あるいは別設置とすることも可能である。
【0056】
・ レンズ77は、ポリカーボネイト製であるが、これに限定されない。また、透光性であればよく、ガラスや樹脂等を問わない。
【0057】
・ 前記第1の実施形態において、カバー101に一対の補助レール101eを設け、シャーシ壁71aに一対のスリット71cに設けて、補助レール101eを一対のスリット71cに斜め上方から差し込むことによって係止させて仮固定させるようにしているが、これに限定されず、他の例として、カバー101に一対のスリットあるいは凹部(被係止部)を設け、シャーシ壁71aに一対の補助レール(係止部)を設けるようにしても、同様の効果を奏する。
【0058】
次に、前記実施形態等から把握される技術的思想を列挙する。
(A)少なくとも光源(平面型放電管76)を内部に備えた筐体(シャーシ71,71’)からなるランプユニット(100,100’)と、前記ランプユニットの内部を覆うカバー体(101,101’)とを備える照明装置において、
前記カバー体((101,101’)の側壁内面および前記筐体の側壁(71)のいずれか一方に設けられた係止部と、
前記カバー体((101,101’)の側壁内面および前記筐体の側壁(71)のうち、前記係止部が設けられていない他の一方に設けられた被係止部と、を備え、
前記係止部と前記被係止部とを互いに係止することによって、前記ランプユニットの基端側が前記カバー体と一次固定されるとともに、
前記ランプユニットの他端側は、別の固定手段によって固定されることによって前記カバー体と前記ランプユニットとの固定が完了する、
ことを特徴とする照明装置(100、100’)。
【0059】
(B)前記係止部は前記カバー体((101,101’)の側壁内面に設けられるとともに、前記被係止部は前記筐体(71の側壁に設けられることを特徴とする前記技術的思想(A)に記載の照明装置。
【0060】
この構成によれば、ランプユニットとカバー体とが組み込まれ照明装置の概観から分かるように、前記係止部と前記被係止部とは、照明装置に内部にあるため、照明装置の外側からこの係止状態を解除することは不可能であり、前記「別の固定手段」を解除して始めて、この係止状態を解除することができる。ここで、他端側における「別の固定手段」とは、前記実施形態において記載したように、カバー101の他端側に開口された固定穴101fにネジ101gを通して、シャーシ側雌ネジ71gに螺入して固定するようにしても良いし、カバー体と筐体とにそれぞれ係止穴や係止爪を設けた係止手段であってもよく、特別の固定手段に限定されない。
【0061】
(C)前記係止部は、前記カバー体の側壁内部に設けられた矩形型の突条であるとともに、当該突条(101e、101’e)が前記筐体内面に対する垂線に対し傾斜した傾斜角度を有して設けられ、
前記被係止部(71c、71’c)には、前記突条の側面が当設する当設面を有し、この当設面の保有角度は、前記突条が有する前記傾斜角度と同じである、
ことを特徴とする前記技術的思想(B)に記載の照明装置。
【0062】
この構成によれば、前記突条の側面と、前記被係止部の当設面とが面接触によって係止する。即ち、前記突条の側面と前記被係止部の当設面の傾斜角度を同じにしているので、接触する面が摩擦面となり、より良い係止状態を実現できる。
【0063】
前記傾斜面角度は、筐体内面の垂線に対し、−30°〜−50°あるいは30°〜50°であることが好ましい(図10および図20参照)。さらに−45°あるいは45°であることがより好ましい。この場合、「傾斜角度を有しない」場合とは、傾斜角度が0°であることを指す。即ち、前記突条が筐体内面に対し垂直に長手方向を設けた場合に相当するため、前記技術的思想(C)には含まれない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施形態におけるランプユニットの斜視図である。
【図2】第1の実施形態におけるランプユニットの正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図3】図2に示した平面図における拡大A−A断面図である。
【図4】図2に示した平面図における拡大B−B断面図である。
【図5】第1の実施形態における照明装置の斜視図である。
【図6】第1の実施形態における照明装置の正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図7】第1の実施形態における照明装置の分解斜視図である。
【図8】第1の実施形態における照明装置のシャーシ正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図9】第1の実施形態における照明装置のカバー正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図10】第1の実施形態におけるカバーとシャーシとの係止構造を示す図である。
【0065】
【図11】第2の実施形態におけるランプユニットの斜視図である。
【図12】第2の実施形態におけるランプユニットの正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図13】図12に示した平面図における拡大A−A断面図である。
【図14】図12に示した平面図における拡大B−B断面図である。
【図15】第2の実施形態における照明装置の斜視図である。
【図16】第2の実施形態における照明装置の正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図17】第2の実施形態における照明装置の分解斜視図である。
【図18】第2の実施形態における照明装置のシャーシ正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図19】第2の実施形態における照明装置のカバー正面図、右側面図、左側面図、平面図、底面図および背面図である。
【図20】第2の実施形態におけるカバーとシャーシとの係止構造を示す図である。
【0066】
【図21】特許文献1に記載の平板型照明装置を示す図である。
【図22】特許文献2に記載の照明具用基盤を示す図である。
【図23】特許文献3に記載の照明具用基盤を示す図である。
【図24】従来の平面型放電管の構造を示す図である。
【図25】従来の照明装置におけるカバーと筐体との係止構造を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
70,70’…ランプユニット、71、71’…筐体(放熱用部材)としてのシャーシ、75…点灯用回路基板、73…熱伝導性の接合剤層としての接合剤(両面テープ)、76…薄型発光体(光源)としての平面型放電管、S…発光面、77…レンズ、101,101’…カバー体としてのカバー、100、100’…照明装置。101e、101’e…突条(係止部)としての補助レール、71c…被係止部としてのスリット、71’c…シャーシ傾斜部、θ1,θ2,θ3,θ4…傾斜角度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面から発光する薄型発光体の裏面を接合剤層を介して、または、裏面を直接、密着して筐体の内面に配置したランプユニットであって、
透光性を有するレンズを前記薄型発光体の表面側を覆うように設けるとともに、
当該レンズを前記筐体に固定設置する、ことを特徴とするランプユニット。
【請求項2】
前記筐体のうち内面を構成する部材は放熱用部材であって、
前記薄型発光体の裏面を接合剤を介して前記筐体の内面に配置する場合には、その接合剤が熱伝導性部材であること、を特徴とする請求項1に記載のランプユニット。
【請求項3】
前記薄型発光体は、平面型放電管であって、
前記レンズには、前記平面型放電管の給排気管を覆うための保護カバー部を備える、ことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のランプユニット。
【請求項4】
前記平面型放電管の裏面には、薄膜状電極が形成されるとともに、当該薄膜状電極は前記平面型放電管に加圧される電圧の低圧側とされる、ことを特徴とする請求項3に記載のランプユニット。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のいずれかのランプユニットと、
前記薄型発光体と電気的に接続することによって、前記ランプのランプユニットの内部、あるいは外部に設けられた同発光体を点灯するための点灯用回路と、
前記ランプユニットを覆うカバー体と、
を備えた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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