説明

ランプ装置および照明器具

【課題】材料使用量の増加や質量の増加を抑制し、放熱性能を向上できるランプ装置を提供する。
【解決手段】ランプ装置18は、発光モジュール23、点灯回路25、および筐体21を備える。発光モジュール23の基板51の一面に半導体発光素子を有する発光部52を形成する。点灯回路25は、半導体発光素子を点灯させる。筐体21には、一面側に開口するケース28を設けるとともにケース28の他面側に口金部30を設け、ケース28内に点灯回路25を収容し、ケース28内の点灯回路25の位置より口金部30側の位置で口金部30の一面に発光モジュール23を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体発光素子を用いたランプ装置、およびこのランプ装置を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フラット形のランプ装置として、GX53形の口金を用いたランプ装置がある。このランプ装置では、金属製の基体を有し、この基体の一面に、半導体発光素子を有する発光モジュールが取り付けられるとともに、この発光モジュールを覆って透光性カバーが取り付けられ、また、基体の他面に、一対のランプピンが突設されたGX53形の口金が取り付けられ、さらに、口金内に点灯回路が収納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−192337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなランプ装置では、投入電力の大きい発光モジュールを用いて光出力を増大させる場合、発光モジュールの発熱量も増大するため、ランプ装置からの放熱性能を向上させる必要がある。
【0005】
ランプ装置からの放熱性能を向上させるには、ランプ装置を照明器具に装着した状態で、ランプ装置の口金から照明器具側に効率よく熱伝導させることが考えられるが、従来のランプ装置の構造では、発光モジュールと口金との間に基体が介在するため、発光モジュールの熱を口金に効率よく熱伝導することができず、十分な放熱性能を得ることが困難であった。
【0006】
また、発光モジュールと口金とが接触するようにするには、口金の一面から発光モジュールに接触する部分を大きく突出させなければならず、口金の材料使用量が増加し、質量も増加する問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、材料使用量の増加や質量の増加を抑制し、放熱性能を向上できるランプ装置、およびこのランプ装置を用いた照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のランプ装置は、発光モジュール、点灯回路、および筐体を備える。発光モジュールの基板の一面に半導体発光素子を有する発光部を形成する。点灯回路は、半導体発光素子を点灯させる。筐体には、一面側に開口するケースを設けるとともにケースの他面側に口金部を設け、ケース内に点灯回路を収容し、ケース内の点灯回路の位置より口金部側の位置で口金部の一面に発光モジュールを取り付ける。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、筐体のケース内に点灯回路を収容し、ケース内の点灯回路の位置より口金部側の位置で口金部の一面に発光モジュールを取り付けるため、発光モジュールの熱を口金部に効率よく熱伝導できて、この口金部からの放熱性能を向上でき、さらに、この発光モジュールの配置によって、発光モジュールを取り付ける口金部の部分をケース側へ大きく突出させる必要がなく、口金部の材料使用量の増加や質量の増加を抑制できることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態を示すランプ装置の断面図である。
【図2】同上ランプ装置の分解状態の斜視図である。
【図3】同上ランプ装置の一面の斜視図である。
【図4】同上ランプ装置の他面の斜視図である。
【図5】同上ランプ装置の放熱シートを示し、(a)はランプ装置を照明器具に装着する前の一部の断面図、(b)はランプ装置を照明器具に装着した状態の一部の断面図である。
【図6】同上ランプ装置を用いる照明器具の断面図である。
【図7】同上ランプ装置の分解状態の斜視図である。
【図8】第2の実施形態を示すランプ装置の他面の斜視図である。
【図9】同上ランプ装置の一部の断面図である。
【図10】第3の実施形態を示すランプ装置の一面の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、第1の実施形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
【0012】
図6および図7に示すように、照明器具11は、ダウンライトなどの埋込形照明器具であり、天井板などの被設置部12に設けられた円形の埋込孔13に埋め込まれた状態に設置される。
【0013】
照明器具11は、器具本体15、この器具本体15と一体に固定されたソケット16および放熱体17、およびソケット16に着脱可能に装着されるフラット形のランプ装置18などを備えている。
【0014】
なお、以下、照明器具11を水平に設置するとともにこの照明器具11に対してフラット形のランプ装置18を水平に取り付ける状態を基準として、このランプ装置18の一面を下(例えば下面、下側、下部、下端など)、他面を上(例えば上面、上側、上部、上端など)として説明する。
【0015】
まず、図1ないし図5に示すように、ランプ装置18は、フラット形で円筒状の筐体21と、この筐体21の上面に取り付けられた放熱シート22と、筐体21内に収容された発光モジュール23、制光体24および点灯回路25と、筐体21の下面に取り付けられたグローブ26とを備えている。
【0016】
筐体21は、円筒状のケース28、およびこのケース28の上面に取り付けられる円筒状の口金部材29を有している。これらケース28の上面側およびこのケース28の上面から突出する口金部材29によって口金部30が構成されている。
【0017】
ケース28は、例えば絶縁性を有する合成樹脂製で、上面の平板部31、およびこの平板部31の周辺部から下方に突出する周面部32を有し、平板部31には、中央に貫通孔33が形成され、この貫通孔33より外径側に複数の取付孔34が形成され、さらに、これら取付孔34より外径側に複数の挿通孔35が形成されている。周面部32の外周面で上部側には表面積を広くするための凹凸部32aが形成されている。
【0018】
口金部材29は、例えばアルミダイカストなどの金属、セラミックス、あるいは熱伝導性に優れた樹脂などの材料で形成され、上面の端面部36、およびこの端面部36の周辺から下方ら突出する周面部37を有している。周面部37の内側には、ケース28と口金部材29とを固定するための複数のねじ38がケース28の複数の取付孔34を通じて螺着される複数のボス39が形成されている。
【0019】
端面部36の下面中央にはケース28へ向けて突出する熱伝導部40が一体に形成され、この熱伝導部40の下面に発光モジュール23を取り付ける平面状の取付面41が形成され、この取付面41に複数の取付孔42が形成されている。端面部36の上面には環状の規制部43が突出形成され、この規制部43の内側に放熱シート22が取り付けられている。
【0020】
周面部37には、複数のキー溝44が形成されている。各キー溝44は、口金部材29の上面に連通して上下方向に沿って形成された縦溝44a、および周面部37の下部で周面部37の周方向に沿って形成された横溝44bを有する略L字形に形成されている。さらに、周面部37には、複数のキー溝44の間に、複数のキー44が突出形成されている。なお、本実施形態では、キー溝44およびキー45とも3つずつ設けられているが、少なくとも2つずつあればよく、4つずつ以上あってもよい。
【0021】
また、放熱シート22は、ランプ装置18を照明器具11に装着した際に、放熱体17に密着し、ランプ装置18から放熱体17に効率よく熱伝導させるものである。図5に示すように、放熱シート22は、口金部材29の規制部43の内側で端面部36に貼り付けられた弾性を有するシリコーンシート47、およびこのシリコーンシート47の上面に貼り付けられる例えばアルミニウム、スズ、亜鉛などの金属箔48で円板状に構成されている。金属箔48は、シリコーンシート47に比べて、表面の摩擦抵抗が小さい。
【0022】
図5(a)に示すように、ランプ装置18を照明器具11に装着していない状態で、放熱シート22に圧力が加わっていない状態では、口金部材29の端面部36からの放熱シート22の突出寸法が規制部43より高くなっている。また、図5(b)に示すように、ランプ装置18を照明器具11に装着し、放熱シート22を放熱体17に押し付け、放熱シート22に圧力が加わった状態では、口金部材29の端面部36からの放熱シート22の突出寸法が規制部43と同じ高さになるまで、放熱シート22(シリコーンシート47)が弾性変形の範囲内で圧縮可能としている。
【0023】
また、発光モジュール23は、基板51、この基板51の下面に形成された発光部52、基板51の下面に実装されたコネクタ53、基板51の周辺を保持する枠状のホルダ54、および基板51とこの基板51を取り付ける口金部材29の熱伝導部40の取付面41との間に介在する放熱シート55を備えている。
【0024】
基板51は、例えば、熱伝導性に優れた金属あるいはセラミックスなどの材料で平板状に形成されている。
【0025】
発光部52は、光源として例えばLED素子やEL素子などの半導体発光素子が用いられている。本実施形態では、半導体発光素子としてLED素子が用いられ、基板上に複数のLED素子を実装するCOB(Chip On Board)方式が採用されている。すなわち、基板上に複数のLED素子が実装され、これら複数のLED素子がワイヤボンディングによって直列に電気的に接続され、蛍光体を混入した例えばシリコーン樹脂などの透明樹脂である蛍光体層で複数のLED素子が一体に覆われて封止されている。LED素子には例えば青色光を発するLED素子が用いられ、蛍光体層にはLED素子からの青色光の一部により励起されて黄色光を放射する蛍光体が混入されている。したがって、LED素子および蛍光体層などによって発光部52が構成され、この発光部52の表面である蛍光体層の表面が発光面となり、この発光面から白色系の照明光が放射される。なお、発光部としては、LED素子が搭載された接続端子付きのSMD(Surface Mount Device)パッケージを基板に複数個実装する方式を用いてもよい。
【0026】
コネクタ53は、半導体発光素子と電気的に接続されている。
【0027】
ホルダ54は、基板51を保持し、口金部材29の熱伝導部40の複数の取付孔42に螺着される複数のねじ56によって、口金部材29の熱伝導部40との間に放熱シート55および基板51を挟み込んだ状態に固定されている。これにより、基板51が放熱シート55を介して口金部材29の熱伝導部40に密着され、基体51から口金部材29への良好な熱伝導性が確保されている。
【0028】
放熱シート55は、例えば、シリコーンシートの他、例えばアルミニウム、スズ、亜鉛などの金属箔を用いてもよい。金属箔を用いることにより、熱による劣化がシリコーンシートに比べて小さく、長期にわたって熱伝導性能を維持できる。
【0029】
また、制光体24は、円筒状の反射体によって構成されている。この制光体24は、例えば絶縁性を有する合成樹脂製で、上端側から下端側に向けて段階的または連続的に拡径する円筒状の光ガイド部59が形成され、この光ガイド部59の下端にケース28の下面周辺を覆う環状のカバー部60が形成されている。光ガイド部59の内面およびカバー部60の下面には、例えば白色や鏡面とする光反射率の高い反射面61が形成されている。光ガイド部59の上端はケース28の貫通孔33を貫通して口金部材29内に突出し、発光モジュール23のホルダ54に当接して保持されている。なお、制光体24としては、レンズを用いてもよく、反射体とレンズとを組み合わせてもよい。
【0030】
また、点灯回路25は、例えば、商用電源電圧を整流平滑し、定電流の直流電力を出力する電源回路を構成するもので、点灯回路基板64、およびこの点灯回路基板64に実装された複数の電子部品である点灯回路部品65を備えている。点灯回路25は、絶縁体であるケース28内に収容されて取り付けられている。
【0031】
点灯回路基板64は、中央部に制光体24が貫通する円形の開口部66が形成された環状に形成されている。点灯回路基板64の下面が点灯回路部品65のうちのリード線を有するディスクリート部品を実装する実装面64aであり、上面がディスクリート部品のリード線を接続するとともに点灯回路部品のうちの面実装部品を実装する配線パターンを形成した配線パターン面64bである。
【0032】
点灯回路基板64の実装面64aに実装される点灯回路部品65のうち、点灯回路基板64から突出高さが高い大形部品、発熱量が大きい発熱部品、および電解コンデンサなどの熱に弱い部品の少なくとも1つ、好ましくは全てが、点灯回路基板64の外側寄り位置に実装されている。また、環状の点灯回路基板64には、電源入力部の位置に対して周方向の反対側に離れた位置にスイッチング素子などのノイズ発生源となる部品が実装されている。
【0033】
そして、点灯回路基板64は、配線パターン面64bがケース28の平板部31の内面に平行に対向する状態で、ケース28内の上側に配置されている。点灯回路基板64の実装面64aに実装された点灯回路部品65はケース28の周面部32と制光体24の光ガイド部59およびカバー部60との間に配置されている。
【0034】
点灯回路基板64の配線パターン面64bの周辺部には、配線パターンに電気的に接続された複数のランプピン67が垂直に突設されている。複数のランプピン67には、2つは電源用のランプピン67、2つの調光信号用のランプピン67、1つのアース用のランプピン67などが含まれる。これらランプピン67は、ケース28の各挿通孔35に圧入されてケース28の上方に垂直に突出されている。つまり、複数のランプピン67が口金部30の上面から垂直に突出されている。
【0035】
なお、少なくとも2つの電源用のランプピン67を備えていればよく、他のランプピン67はなくてもよく、あるいは点灯回路基板64には設けず、ケース28の挿通孔35に圧入固定するダミーピンとしてもよい。
【0036】
点灯回路25の直流電源の出力端子には、発光モジュール23のコネクタ53に接続されるコネクタ付き配線が接続されている。
【0037】
また、グローブ26は、例えば、透光性を有する合成樹脂製やガラス製で、ケース28の下面を覆って周面部32の下部に嵌め込まれるとともに、グローブ26の周辺部に設けられた複数の爪69が周面部32に係止されてケース28に取り付けられている。グローブ26の下面の周辺部には、複数の突起によって構成される指掛け部70がグローブ26の円周上の複数箇所であって例えば2箇所に突設され、照明器具11への装着位置を表示する三角形のマーク71が1箇所に形成されている。なお、発光モジュール23の発光部52に対向するグローブ26の内面には発光部52からの光がグローブ26を通過して出射される出射方向つまり配光を制御するフレネルレンズなどを形成してもよい。
【0038】
そして、このように構成されたランプ装置18では、点灯回路25がケース28内に配置され、このケース28内の点灯回路25の位置より口金部30側の位置である口金部材29内に発光モジュール23が配置され、この発光モジュール23が口金部材29に熱的に接合して取り付けられている。また、制光体24の光ガイド部59が点灯回路基板64の開口部66およびケース28の貫通孔33に配置され、制光体24のカバー部60でケース28内の点灯回路25を覆って隠蔽している。
【0039】
なお、本実施形態のランプ装置18は、発光モジュール23の入力電力(消費電力)が20〜25W、全光束が1100〜1650lmとされている。
【0040】
次に、図6および図7に示すように、照明器具11の器具本体15は、反射体と兼用されたものであり、下方に向かって開口形成されている。器具本体15の下端には側方に突出するフランジ部81が形成され、器具本体15の上面には嵌合孔82が形成されている。器具本体15の内周面の1箇所には、ランプ装置18の装着位置を示す三角形のマーク83が設けられている。
【0041】
また、ソケット16は、例えば絶縁性を有する合成樹脂製で環状に形成されたソケット本体85、およびこのソケット本体85内に配置された図示しない複数の端子を備えている。
【0042】
ソケット本体85の中央には、ランプ装置18の口金部材29が挿通する挿通開口86が形成されている。ソケット本体85の下面には、ランプ装置18の各ランプピン67が挿入される複数の接続溝87が周方向に沿って長孔状に形成されている。
【0043】
ソケット本体85の内周面には、複数のキー溝88が形成されている。各キー溝88は、上下方向に沿って形成された縦溝88a、およびソケット本体85の上部側で周方向に沿って形成された横溝88bを有する略L字形に形成されている。さらに、ソケット本体85の内周面には、複数のキー溝88の間に、複数のキー89が突出形成されている。これら各キー溝88および各キー89とランプ装置18の各キー45およびキー溝44とが互いに対応していて、ソケット16にランプ装置18を着脱可能に取り付けることができる。
【0044】
各端子は、各接続溝87の上側に配置されており、ソケット16にランプ装置18が装着されて各接続溝87に挿入された各ランプピン67が電気的に接続される。
【0045】
また、放熱体17は、例えばアルミダイカストなどの金属、セラミックス、放熱性に優れた樹脂などの材料によって形成されている。放熱体17は、円筒状の基部91、およびこの基部91の周囲から放射状に突出する複数の放熱フィン92を有している。
【0046】
基部91の中央部の下面には、この基部91の下面を閉塞するとともに円形の突出部93が形成され、この突出部93の下面に平面状の接触面94が形成されている。
【0047】
放熱体17の基部91の周囲には複数の取付部95が形成され、これら取付部95に被設置部12に照明器具11を取り付けるための取付ばね96が取り付けられている。
【0048】
放熱体17の上面には、電源用の端子台97および調光信号用の端子台98を取り付けた取付板99が取り付けられている。
【0049】
そして、照明器具11は、器具本体15の嵌合孔82が放熱体17の突出部93の周囲に嵌合され、この器具本体15が放熱体17とソケット16との間に挟み込まれてねじ止め固定されている。ソケット16の挿通開口86の上面に、放熱体17の接触面94が露出して配置されている。
【0050】
次に、照明器具11へのランプ装置18の装着について説明する。
【0051】
ランプ装置18を器具本体15の下面開口から挿入し、ランプ装置18に表示されているマーク71と器具本体15の内面に表示されているマーク83とを合わせ、ランプ装置18を押し上げてソケット16に差し込む。
【0052】
これにより、まず、ランプ装置18の口金部材29がソケット16の挿通開口86に嵌り込み、続いて、口金部材29の各キー溝44の縦溝44aにソケット16の各キー89が進入するとともに、口金部材29の各キー45がソケット16の各キー溝88の縦溝88aに進入し、ランプ装置18の各ランプピン67がソケット16の対応する各接続溝87に挿入され、その後、口金部材29の上面が放熱シート22を介して放熱体17の接触面94に当接する。このとき、放熱シート22が口金部材29の規制部43より突出しているため、まず、放熱シート22が放熱体17の接触面94に当接して圧縮され、その後、口金部材29の規制部43が放熱体17の接触面94に当接する。
【0053】
ランプ装置18を放熱体17に押し付けた状態で、ランプ装置18を装着方向に回動させる。このとき、放熱シート22の表面には金属箔48が設けられ、この金属箔48が放熱体17の接触面94に接触しているため、仮にシリコーンシート47が放熱体17の接触面94に直接接触している場合に比べて、放熱シート22が放熱体17の接触面94に対して滑りがよくて動きやすく、ランプ装置18の回動操作を容易にできる。さらに、規制部43が放熱体17の接触面94に当接してそれ以上の放熱シート22の弾性変形を規制し、放熱シート22が放熱体17の接触面94に押し付けられる押付力が大きくなるのを規制しているため、放熱シート22が放熱体17の接触面94に対して動きやすく、ランプ装置18の回動操作を容易にできる。
【0054】
ランプ装置18を回動操作する際、ランプ装置18の周面と器具本体15の内面との間に指が入るスペースが少なくても、グローブ26から下面から突出している指掛け部70に指を引っ掛けることで、ランプ装置18を容易に回動操作できる。なお、グローブ26に指を引っ掛けることができれば、指掛け部70に代えて、グローブ26の周辺部に複数の凹部を設けてもよい。
【0055】
ランプ装置18を装着方向に回動させることにより、口金部材29の各キー溝44の横溝44bにソケット16の各キー89が進入して引っ掛かるとともに、口金部材29の各キー45がソケット16の各キー溝88の横溝88bに進入して引っ掛かり、ランプ装置18がソケット16に取り付けられる。また、ランプ装置18の各ランプピン67が各ソケット16の各接続溝87内を移動して各接続溝87の上側に配置されている各端子に接触して電気的に接続される。
【0056】
そして、ランプ装置18の装着状態では、ランプ装置18の口金部材29の上面が放熱シート22を介して放熱体17の接触面94に密着し、ランプ装置18から放熱体17に効率よく熱伝導可能とする。
【0057】
また、ランプ装置18を照明器具11から外す場合には、まず、ランプ装置18を装着時とは反対の取外し方向に回動させることにより、口金部材29の各キー溝44の縦溝44aにソケット16の各キー89が移動するとともに、口金部材29の各キー45がソケット16の各キー溝88の縦溝88aに移動し、各ランプピン67が各ソケット16の各接続溝87内を移動して各接続溝87の上側に配置されている各端子から離反する。続いて、ランプ装置18を下方へ移動させることにより、各ランプピン67が各ソケット16の各接続溝87から外れ、口金部材29の各キー溝44の縦溝44aがソケット16の各キー89から外れるとともに、口金部材29の各キー45がソケット16の各キー溝88の縦溝88aから外れ、さらに、口金部材29がソケット16の挿通開口86から外れ、ランプ装置18をソケット16から取り外すことができる。
【0058】
次に、ランプ装置18の点灯について説明する。
【0059】
電源線から端子台97、ソケット16の端子およびランプ装置18のランプピン67を通じて点灯回路25に給電されると、点灯回路25から発光モジュール23の半導体発光素子に点灯電力を供給し、半導体発光素子が点灯する。半導体発光素子の点灯によって発光部52から放射される光が、制光体24の光ガイド部59内を進行し、グローブ26を透過して、器具本体15の下面開口から出射される。
【0060】
また、点灯時に、発光モジュール23の半導体発光素子が発生する熱は、主に、発光モジュール23の基板51から放熱シート55を介して熱的に接合されている口金部材29の熱伝導部40に効率よく熱伝導され、この口金部材29の熱伝導部40から放熱シート22を介して密着する放熱体17に効率よく熱伝導され、この放熱体17の複数の放熱フィン92を含む表面から空気中に放熱される。
【0061】
また、ランプ装置18から放熱体17に熱伝導された熱の一部は、器具本体15、複数の取付ばね96および取付板99にそれぞれ熱伝導され、これらからも空気中に放熱される。
【0062】
また、点灯回路25が発生する熱は、ケース28やグローブ26に伝わり、これらケース28やグローブ26の表面から空気中に放熱される。
【0063】
以上のように構成された本実施形態のランプ装置18によれば、筐体21のケース28内に点灯回路25を収容し、ケース28内の点灯回路25の位置より上方位置で口金部材29に発光モジュール23を取り付けるため、発光モジュール23の熱を口金部材29に効率よく熱伝導でき、この口金部材29からの放熱性能を向上でき、さらに、この発光モジュール23の配置によって、発光モジュール23を取り付ける口金部材29の部分を下方へ大きく突出させる必要がなく、口金部材29の材料使用量の増加や質量の増加を抑制できる。しかも、このランプ装置18の構造では、ランプ装置18自体で遮光角を大きくとることができ、狭角配光のランプ装置18を提供できる。
【0064】
また、制光体を用いることにより、発光モジュール23の発光部52から放射される光を点灯回路23などで遮ることなく、グローブ26から出射させることができ、光出力の低下を防止できる。
【0065】
また、点灯回路25には、発光モジュール23の発光部52に対向して開口部66が形成された点灯回路基板64を用いるため、発光モジュール23の発光部52から放射される光を点灯回路基板64で遮るのを防止できる。
【0066】
また、点灯回路基板64に実装される点灯回路部品65のうち、点灯回路基板64から突出高さが高い大形部品、発熱量が大きい発熱部品、および熱に弱い部品の少なくとも1つを点灯回路基板64の外側寄り位置に実装している。そのため、大形部品で光を遮ったり、大形部品が制光体24と干渉するのを防止でき、また、発熱部品が発生する熱をケース28の周面部32に逃しやすくなり、発熱部品の温度上昇を抑制でき、また、温度の低いケース28の周面部32に熱に弱い部品が近付くことで、熱に弱い部品の温度上昇を抑制できる。
【0067】
また、環状の点灯回路基板64には、電源入力部の位置に対して周方向の反対側に離れた位置にスイッチング素子などのノイズ発生源となる部品が実装されるため、この部品からのノイズが電源ラインに乗るのを防止できる。
【0068】
また、点灯回路25は、点灯回路基板64にランプピン67を立設させたため、点灯回路基板64とランプピン67との配線構造が簡単になり、さらに、点灯回路基板64と一緒にランプピン67を筐体21に組み込むことができ、組立性を向上できる。
【0069】
また、照明器具11のソケット16に装着されたランプ装置18の口金部材29が放熱体17の接触面94に放熱シート22を介して接触し、熱的に結合されるため、発光モジュール23の熱を放熱体17に効率よく熱伝導できて、放熱性能を向上できる。
【0070】
さらに、ランプ装置18の口金部材29を放熱シート22を介して放熱体17の接触面94に押し付けて装着する際に、まず放熱シート22が放熱体17の接触面94に当接して弾性変形するが、その後、規制部43が放熱体17の接触面94に当接してそれ以上の放熱シート22の弾性変形を規制し、放熱シート22が放熱体17の接触面94に押し付けられる押付力が大きくなるのを規制するため、放熱シート22が放熱体17の接触面94に対して動きやすく、ランプ装置18の回動操作を容易にでき、しかも、放熱シート22の過剰な変形を防止し、放熱シート22の損傷を防止できる。
【0071】
さらに、放熱シート22の表面には金属箔48が設けられているため、仮にシリコーンシート47が放熱体17の接触面94に直接接触している場合に比べて、放熱シート22が放熱体17の接触面94に対して滑りがよくて動きやすく、ランプ装置18の回動操作を容易にできる。しかも、ランプ装置18の回動操作の際に、放熱体17の接触面94との摩擦力によって放熱シート22が口金部材29から剥がれるのを防止できる。
【0072】
次に、第2の実施形態を図8および図9に示す。なお、第1の実施の形態と同一構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0073】
口金部材29の端面部36に突出形成された規制部43は、口金部材29の中央で円形に突出形成された中央規制部43aと、口金部材29の周辺部で環状に突出形成された周辺規制部43bとを備える。中央規制部43aおよび周辺規制部43bは、ランプ装置18を照明器具11に装着していない状態で、放熱シート22に圧力が加わっていない状態では、口金部材29の端面部36からの放熱シート22の突出寸法より低くなっており、さらに、口金部材29の端面部36からの中央規制部43aの突出高さh1が周辺規制部43bの突出高さh2より高くなっている。そして、口金部材29の端面部36には、放熱シート22の厚みより浅い凹部101が形成されている。
【0074】
放熱シート22は、中央規制部43aと周辺規制部43bとの間の凹部に装着されるように環状に形成されている。
【0075】
そして、ランプ装置18の口金部材29を放熱シート22を介して放熱体17の接触面94に押し付けて装着する際に、放熱シート22が放熱体17の接触面94に当接して弾性変形した後、中央規制部43aが放熱体17の接触面94に当接してそれ以上の放熱シート22の弾性変形を規制する。この中央規制部43aが放熱体17の接触面94に当接している状態で、ランプ装置18を装着方向に回動させる際、中央規制部43aが放熱体17の接触面94に接している接触面積が小さく、かつ中央規制部43aから外径側に離れたケース28またはグローブ26の周辺部を手で持って操作するため、軽い力でランプ装置18を回転操作することができる。
【0076】
周辺規制部43bは放熱シート22の位置を規制したり、ランプ装置18の口金部材29が放熱体17の接触面94に斜めに押し付けられた場合に周辺規制部43bが放熱体17の接触面94に当接して放熱シート22の弾性変形を規制する。
【0077】
なお、周辺規制部43bは、環状に限らず、一部が切り欠かれた不連続に形成されていてもよいし、突起状として例えば3箇所、4箇所、5箇所などの複数箇所に設けてもよい。
【0078】
次に、図1に第3の実施形態を示す。なお、第1の実施の形態と同一構成については同一符号を用いてその説明を省略する。
【0079】
グローブ26の複数の指掛け部70は、前記実施形態の複数の突起に代えて、グローブ26の径方向に沿って長くグローブ26の表面から突出するリブ状に形成してもよい。このリブの形成域は、制光体24のカバー部60に対向する領域内であり、配光などへの影響は少ない。
【0080】
そして、グローブ26に複数のリブ状の指掛け部70を形成することにより、ランプ装置18を照明器具11に着脱する際に、手の指が複数のリブ状の指掛け部70に掛かりやすく、ランプ装置18を容易に回動操作することができる。
【0081】
なお、各実施形態において、ケース28を金属製とし、点灯回路25をシリコーン樹脂などの熱伝導性樹脂によってケース28に熱的に接触させることにより、点灯回路25の熱をケース28に効率よく熱伝導して放熱させ、点灯回路25の温度上昇を抑制するようにしてもよい。
【0082】
また、各実施形態において、筐体21のケース28と口金部材29とは金属製または熱伝導性に優れた樹脂製で一体に形成してもよい。
【0083】
また、放熱シート22および規制部43は、放熱体17側に設けてもよい。あるいは、放熱シート22および規制部43のいずれか一方をランプ装置18の口金部材29に設け、他方を放熱体17に設けてもよい。放熱シート22を放熱体17側に設ける場合であって、放熱シート22に金属箔48を設ける場合には、この金属箔48はランプ側に設けてもよい。放熱シート22を放熱体17側に設ける場合であって、放熱シート22に金属箔48を設ける場合には、この金属箔48はランプ側に設けてもよい。要は、放熱シート22および規制部43がランプ装置18の口金部材29と放熱体17との間に介在していればよい。これにより、照明器具11のソケット16に装着されたランプ装置18の口金部材29と放熱体17との間に放熱シート22が介在し、熱的に結合されるため、発光モジュール23の熱を放熱体17に効率よく熱伝導できて、放熱性能を向上でき、また、ランプ装置18の口金部材29を放熱シート22を介して放熱体17の接触面94に押し付けて装着する際に、放熱シート22が口金部材29と放熱体17との間に介在して弾性変形するが、規制部43が口金部材29と放熱体17との間に介在することでそれ以上の放熱シート22の弾性変形を規制し、放熱シート22が口金部材29や放熱体17に押し付けられる押付力が大きくなるのを規制するため、放熱シート22を介在していてもランプ装置18の回動操作を容易にでき、しかも、放熱シート22の過剰な変形を防止し、放熱シート22の損傷を防止できる。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
11 照明器具
16 ソケット
17 放熱体
18 ランプ装置
21 筐体
23 発光モジュール
24 制光体
25 点灯回路
28 ケース
30 口金部
51 基板
52 発光部
64 点灯回路基板
65 点灯回路部品
66 開口部
67 ランプピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一面に半導体発光素子を有する発光部が形成された発光モジュールと;
半導体発光素子を点灯させる点灯回路と;
一面側に開口するケースが設けられるとともにケースの他面側に口金部が設けられ、ケース内に点灯回路が収容され、ケース内の点灯回路の位置より口金部側の位置で口金部の一面に発光モジュールが取り付けられた筐体と;
を具備していることを特徴とするランプ装置。
【請求項2】
発光モジュールの発光部が発光する光を筐体の一面側から放射させる制光体を具備している
ことを特徴とする請求項1記載のランプ装置。
【請求項3】
点灯回路は、発光モジュールの発光部に対向して開口部が形成された点灯回路基板、および点灯回路基板に実装された点灯回路部品を有している
ことを特徴とする請求項1または2記載のランプ装置。
【請求項4】
点灯回路基板に実装される点灯回路部品のうち、点灯回路基板から突出高さが高い大形部品、発熱量が大きい発熱部品、および熱に弱い部品の少なくとも1つが点灯回路基板の外側寄り位置に実装されている
ことを特徴とする請求項3記載のランプ装置。
【請求項5】
点灯回路は、点灯回路基板の他面に設けられていて筐体の口金部から突出するランプピンを有している
ことを特徴とする請求項3または4記載のランプ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5いずれか一記載のランプ装置と;
ランプ装置を装着するソケットと;
ソケットに装着されたランプ装置の口金部が接触する放熱体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−109156(P2012−109156A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258055(P2010−258055)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】