説明

ランプ

【課題】点灯−消灯を繰り返しによりピンチシール部にクラックが発生するのを抑制できるランプを提供する。
【解決手段】ランプ14は、端部が圧潰封止された内管32のその端部に、内管32の管軸と平行に設けられた一対の口金ピン102,104を有する口金36が装着されていると共に、封止部82から延出する一対の接続線98,100の各々が対応する口金ピン102,104内に挿通された状態で口金ピン102,104の各々が局所的に凹入されることで固定されている。凹入部分は、一対の口金ピン102,104の両方の中心軸を含む仮想平面と平行な方向であって口金ピン102,104と直行する方向に凹入している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプの口金に関する。
【背景技術】
【0002】
メタルハライドランプに、一対の電極を内部に備える発光管を内部に格納した状態でガラス管の端部がピンチシールドされ、当該ピンチシール部にピンタイプの口金が装着されたタイプがある。なお、内部に発光管を格納し端部がシールドされたガラス管を気密容器といい、ピンチシールドされた部分をピンチシール部という。一方、上記タイプ以外にも、気密容器がさらに外管内に収納された三重管構造のタイプもある。
【0003】
上記ピンチシール部の端面からは、発光管内の一対の電極と電気的に接続する一対の接続線が、ガラス管の管軸を含み且つピンチ面と平行な仮想平面内を当該管軸と平行に延出している。
一方、口金は、ガラス管の管軸を含み且つピンチ面と平行な仮想平面内であって当該管軸と平行に延出する一対のコンタクトピンを備えている。なお、ピンチシール部から延出する一対の接続線の中心軸間距離は、一対のコンタクトピンの中心軸間距離と等しい。
【0004】
気密容器と口金との接合は、気密容器の一対の接続線をコンタクトピン内に挿通させた状態で、コンタクトピンの所定部位を仮想平面と直交する方向から局所的に押圧してコンタクトピンの一部を凹入させ(所謂、カシメ或いは圧着である。)て、接続線とコンタクトピンとを電気的に接続している。
なお、押圧方向を上記仮想平面と直交する方向としているのは、一対のコンタクトピンにおける押圧箇所の裏側を支持すれば、2本のコンタクトピンを同時に押圧して(1回のプレスで)凹入させることができ、製造コストをおさえることができるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−080678号公報
【特許文献2】特開2007−504627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のメタルハライドランプでは、点灯−消灯のヒートサイクルにより、ピンチシール部にクラックが発生し、酷い場合にはピンチシール部のガラスに欠けが発生するという課題がある。なお、この課題は、ピンチシール部から延出する一対の接続線が、この延出方向に沿う一対のコンタクトピン内でコンタクトピンの押圧による凹入部によって電気的接続がなされるランプにおいても同様に発生するものである。
【0007】
本発明は、点灯−消灯を繰り返しによりピンチシール部にクラックが発生するのを抑制できるランプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るランプは、端部に圧潰封止部を有すると共に前記圧潰封止部から一対の電気接続線が延出するガラス管の前記端部に、前記一対の電気接続線の延出方向に延出する口金ピンを一対有する口金が装着されていると共に、前記一対の電気接続線の各々が対応する前記口金ピン内に挿通された状態で前記口金ピンの各々が局所的に凹入されることで固定されているランプであって、
前記口金ピンの凹入部分は、前記一対の口金ピンの両方の中心軸を含む仮想平面と平行な方向に凹入していることを特徴としている。
【0009】
ここで、「仮想平面と平行な方向」とは、仮想平面に対し完全に平行な方向を含む他、製造過程で平行でなくなった方向も含む。つまり、ランプとして完成した場合、凹入部分は、仮想平面に対して±10度程度傾斜した範囲内にあるものを含んでいる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るランプは、凹入方向が一対の口金ピンの両方の中心軸を含む仮想平面と平行な方向であり、この方向のピンチシール部の寸法がピンチ面と直交する方向の厚みよりも厚くなり、凹入時の負荷によるダメージを少なくできる。
また、前記ガラス管は一対の電極を有する発光管を格納し、前記電気接続線は前記電極に電気的に接続されていることを特徴とし、あるいは、前記電気接続線は、モリブデン棒であり、前記封止部の厚みが2.5mm以上5.0mm以下の範囲であることを特徴としている。さらに、前記ランプはメタルハライドランプであることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態に係るメタルハライドランプを備える照明装置の全体図であり、照明器具の内部が分かるように一部を切り欠いた図。
【図2】実施の形態に係るランプの正面図。
【図3】発光管の正面断面図。
【図4】ランプの一端部側の断面図。
【図5】口金の斜視図。
【図6】本実施の形態に係るランプの組立て方法の概略図。
【図7】コンタクトピンの押圧方向を説明する図。
【図8】従来の組立て方法を説明する概略図であり、(a)は圧着前の状態を示し、(b)は圧着後の状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態に係るメタルハライドランプ(以下、単に「ランプ」ともいう。)についてそれぞれ図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施の形態に係るメタルハライドランプを備える照明装置10の全体図であり、照明器具12の内部が分かるように一部を切り欠いている。
照明装置10は、図1に示すように、照明器具12と当該照明器具12に装着されるランプ14とで構成される。なお、当該照明器具12は、スポットライト用であるが、実施の形態に係るランプは、所謂、ベースライトのような他の用途の照明器具にも装着・使用される。
【0013】
照明器具12は、内部に配置されたランプ14から発せられた光を前方に反射させる反射体16と、反射体16内に組み込まれ且つランプ14が取り付けられるソケット(図示省略)と、反射体16を壁や天井に取着するための取着具18とを備える。
反射体16は、図に示すように、凹状の反射面20を備えている。この反射面20は、例えば、アルミ鏡を利用することで構成される。なお、この反射体16は、その開口(光取り出し口)22がガラス板等によって塞がれていない、所謂、(前面)開放型である。
【0014】
ソケットは、ランプ14の口金と電気的に接続され、ランプ14に電力を供給する。なお、ランプ14を点灯させるための安定器(不図示)は、例えば、天井内(又は天井裏)に埋め込まれる等しており、供給線24を介してランプ14に給電を行う。
取着具18は、例えば、「コ」字形状をしており、並行に配された一対のアーム26(,26)と、一対のアーム26(,26)の一端同士を連結する連結部(図示省略)とを有し、一対のアーム26(,26)間に反射体16を挟んだ状態で、反射体16がアーム26(,26)に対し回動自在に軸支され、連結部が、例えば、壁や天井に取り付けられる。なお、照明装置10から放射される光の向きは、反射体16に対して回動自在な取着具18を回動させることによって調節できる。
(2)ランプ
図2は、実施の形態に係るランプ14の正面図である。
【0015】
ランプ14は、内部に一対の電極を有し、放電空間を形成している発光管30と、当該発光管30を収納する気密容器である内管32と、当該内管32に被せられた保護容器である外管34とを備える三重管構造であって、照明器具12のソケットから給電を受けるための口金36、内管32の外管34に対するズレ防止用の位置決め部材37、発光管30に電力を供給すると共に発光管30を支持する一対の電力供給線38,40等をさらに有する。
【0016】
図3は、発光管30の正面断面図である。
発光管30は、内部に気密封止された放電空間42を有する本管部44と当該本管部44の管軸方向両側に延出するように形成された細管部46,48とからなる外囲器50を有している。
本管部44及び細管部46,48は、例えば、透光性セラミックで形成され、当該発光管30は、例えば、セラミック発光管とも称される。透光性セラミックには、例えば、多結晶性のアルミナセラミックを用いることができる。なお、他のセラミック、あるいは、石英ガラス等で構成しても良い。
【0017】
本管部44は、放電空間42の内部で、ランプ14の長手方向の中心軸(以下、単に、「ランプ軸」ともいう。)上、あるいはランプ軸と平行な軸上で、互いに略対向する一対の電極52,54を備える。
放電空間42には、発光物質である金属ハロゲン化物、始動補助ガスである希ガス及び緩衝ガスである水銀がそれぞれ所定量封入されている。金属ハロゲン化物としては、例えば、ヨウ化ナトリウムやヨウ化ジスプロシウム、ヨウ化セリウムを含む混合ヨウ化物を用いている。なお、金属ハロゲン化物は、ランプ14の発光色に対応して適宜決定される。
【0018】
電極52,54は、図3に示すように、電極棒56,58と、電極棒56,58の先端側(放電空間42側)の端部に設けられた電極コイル60,62とを備えている。なお、電極棒56,58と細管部46,48との隙間には、発光物質の前記隙間への浸入を防ぐためのモリブデンコイル64,66が電極棒56,58に巻装された状態で挿入されている。
【0019】
なお、電極52,54は、理想的(設計的)には上述した通り、ランプ軸上で互いに略対向するように、つまり、電極棒56,58の中心軸とランプ軸とが一致する(一直線上にある。)ように配置される。しかし、実際には、そのプロセスの精度上、前記中心軸とランプ軸とが一致しない場合もある。
細管部46,48は円筒形状をし、その各々には先端部(本管部44と反対側端部である。)に前記各電極52,54が接合された給電体68,70が挿入されている。給電体68,70は、それぞれの細管部46,48における先端部分に流し込まれたフリットからなるシール材72,74によって封着されている。
【0020】
ランプ14の説明に戻る。
内管32は、図2に示すように、有底筒状をし、内部に、発光管30の他、当該発光管30の管軸の延伸する方向と略平行に延伸する一対の電力供給線38,40、内管32の内部の不純物を吸着するためのゲッタ76、発光管30の始動性能を向上させる近接導体78、電力供給線38の一部を被覆する石英ガラス管80等を格納する状態で、開口端部がシールドされている。
【0021】
内管32の開口端部は、軟化状態にある端部を管軸と直交し且つ互いに相反する2方向からピンチにより挟み締め付けられることで、ピンチされている部分同士が圧着されてシールドされる、所謂、ピンチシールド法によりシールド(圧潰封止とも言われる。)されている。なお、上記2方向を、「ピンチ方向」ともいう。
ピンチシールドされた部分をピンチシール部(本発明の「圧潰封止部」である。)82とし、このピンチシール部82は、扁平な平坦状をしており、ピンチされた面(平坦面)をピンチ面とし、ピンチシール部82の2つのピンチ面は互いに略平行であり、さらに、2つのピンチ面間の略中央に内管32の管軸が位置する。
【0022】
一対の電力供給線38,40は、上述したように発光管30に電力を供給するためのもので、内管32のピンチシール部82により支持される。
一対の電力供給線38,40は、それぞれ長さが異なっている。長い方の電力供給線38は、発光管30の外面に沿って延伸し、発光管30の本管部44のところで外側(発光管の管軸と直交する方向の外方である。)へと張り出している。この張り出し部分を張り出し部84とし、張り出し部84を構成するために屈曲している部分を屈曲部86,88とする。なお、張り出し部84を構成するための屈曲部86,88に代えて円弧状に湾曲する湾曲部であっても良い。
【0023】
長い方の電力供給線38は、発光管30の細管部48から延出している給電体70に、短い方の電力供給線40は発光管30の細管部46から延出している給電体68にそれぞれ接続されている。なお、この接続により、発光管30が内管32内で保持されることとなる。
電力供給線38には、内管32の先端部(ピンチシール部82と反対側の端部である。)側から、ゲッタ76、近接導体78、石英ガラス管80がこの順で装着されている。
【0024】
ゲッタ76は、発光管30の細管部48と、当該細管部48と平行して延伸する電力供給線38とに跨る状態で電力供給線38に固着されている。なお、細管部48は、内管32のピンチシール部82から離れた側、つまり、内管32の先端部に近い側の細管部である。また、ゲッタ76の固着は、例えば、溶接により行われる。
近接導体78は、帯状をした金属板からなり、当該金属板における長手方向の中間から一端手前までの部分が一方の細管部である細管部46の外周面をその周方向に沿って這設されて細管部46の外周面に接触している。そして、この近接導体78の這設部92は、細管部46の径方向の膨張に従って弾性変形可能であると共に金属板の一端が自由端とされていて、点灯時の熱による細管部46の膨張に伴って拡径(這設部92の径が拡大することである。)が許容されている。
【0025】
石英ガラス管80は、電力供給線38におけるピンチシール部82と近接導体78を固着している部分との間を被覆する状態で、前記電力供給線38が挿設されている。
図2に戻って、内管32のピンチシール部82の端面からは一対の接続線(本発明の「電気接続線」である。)98,100が延出しており、上記の電力供給線38,40は、それぞれ金属箔94,96、接続線98,100を介して口金36のコンタクトピン(本発明の「口金ピン」である。)102,104に接続されている。
【0026】
つまり、ピンチシール部82の内部では、電力供給線38,40における口金36に近い側の一端部が金属箔94,96の他端部に、接続線98,100における発光管30に近い側の他端部が同じく金属箔94,96の一端部に、それぞれ接続されている。
一対の接続線98,100は、その中心軸が直線状の棒部材により構成され、ピンチシール部82の端面からその直線性を維持した状態で、所定の間隔をおいて互いに平行に延出している。接続線98,100の延出方向は、ピンチシール部82における内管の管軸の延出方向と平行である。
【0027】
なお、金属箔94,96と電力供給線38,40との接続、金属箔94,96と接続線98,100との接続は例えば溶接により行われている。
内管32の他端部の先端にある凸部は、当該内管32内を真空引きする際に用いた排気管の残部であるチップオフ部105である。なお、内管32内を真空にするのは、ランプ点灯時に高温にさらされる給電体68,70、電力供給線38,40、近接導体78等の酸化を防止するためである。
【0028】
内管32は、一端側のピンチシール部82、他端側のチップオフ部105により気密封止されることとなる。このため、この内管32は気密容器でもある。
内管32には、図2に示すように有底筒状(すなわち、一端が開口され他端が閉塞されてなる筒状)をした外管34が被せられている。なお、内管32の外管に対する装着方法当は後述する。
【0029】
位置決め部材37は、外管34に対する内管32の軸ズレを防止するためのもので、内管32の他端部と外管34との間に設けられている。この位置決め部材37は、具体的には、内管32の他端部側の外周面と外管34の他端部側の内周面との間の距離(隙間)を直径とする素線から構成されたコイルであり、このコイルは、内管32の他端部の形状に合わせて、先細り形状となっている。
【0030】
外管34は、保護管として機能する他、発光管30から発せられて内管32を透過した光のうち、ランプから放射されると人体等に影響を及ぼす紫外線を吸収する機能も有している。
図4は、ランプの一端部側の断面図である。
内管32は、口金36により支持された状態で、外管34内に挿入され、口金36と内管32と外管34とが接着剤(例えば、セメントである。)106により固着(一体化)されている。つまり、内管32の一端部と外管34の一端部とがセメント106を介して口金36に固着されている。
【0031】
図5は、口金の斜視図である。
口金36は、図4及び図5に示すように、所謂、ピンタイプであり、円盤状のベース部108と、ベース部108の上面(発光管30側の端面である。)に形成され且つ内管32のピンチシール部82を保持する保持部110と、ベース部108の下面に延設された一対のコンタクトピン102,104とを備える。
【0032】
ベース部108は、外管34の外径と同じ又は外径より大きい大径部分112と、大径部分112よりも径が小さな小径部分114と、口金36の中心軸上を小径部分114から離れるに従って縮径する傾斜部分116とを、大径部分112が発光管30側に位置するように、この順で備える。
ベース部108は、所定の間隔をおいて一対の貫通孔108a,108bを有し、図4に示すように、この貫通孔108a,108b内にコンタクトピン102,104(後述の筒部122,124)の基部122a,124aが挿入・固定されている。
【0033】
保持部110は、内管32のピンチシール部82をピンチ方向から把持する一対の保持(把持)部分118,120を有する。保持部分118,120は、ベース部108の大径部分112から発光管30側へと突出している。
保持部分118,120は、保持部分118,120の延伸方向から当該部分118,120を見たときに、内管32のピンチシール部82の厚さ(ピンチ方向の厚さである。)分だけの隙間をあけて矩形状に突出し、外管34の内周面と対向する辺が外管34の内周面に合わせた円弧状をしている。
【0034】
また、保持部分118,120の互いに対向し合う面の一部が内管32を接合するのに利用される接着剤106を保持する保持領域118a,120aとなっている。保持領域118a,120aは、内管32の管軸方向に延伸する(あるいは、保持部分118,120の突出方向に延伸する)溝により構成されている。
保持部分118,120は、保持部分118,120の延伸方向及びピンチ方向の両方向に直交する方向から当該部分118,120を見たとき(換言すると、コンタクトピン102,104の中心軸を結ぶ仮想線分上から見たときであり、図4である。)、保持部分118,120の基部が外管34を接合するのに利用される接着剤106を保持する保持領域118b,120bとなっている。保持領域118b,120bは、保持部分118,120の基部に形成されている凹みにより構成されている。
【0035】
コンタクトピン102,104は、図4に示すように、筒部122,124と筒部122,124よりも大径の大径部126,128とを備えている。
コンタクトピン102,104の間隔(ピッチ)は、内管32のピンチシール部82から延出する一対の接続線98,100の間隔(ピッチ)と同じである。接続線98,100は、コンタクトピン102,104に挿通された状態で、コンタクトピン102,104の筒部122,124における一対のコンタクトピン102,104の中心軸を結ぶ仮想線であってその外側に位置する部位が当該仮想線の外方側から押圧されて凹入している。この凹入部分102a,104aがコンタクトピン102,104内の接続線98,100を押圧(当然互いに接触している)して、接続線98,100を固定すると共にコンタクトピン102,104と接続線98,100とが電気的に接続される。
2.組立て方法
(1)方法
メタルハライドランプ14の組立て方法、特に、内管32、外管34、口金36の組立てについて説明する。
【0036】
図6は、本実施の形態に係るランプの組立て方法の概略図である。
まず、口金36、内管32、外管34を準備する。このとき、図6に示すように、内管32の他端部に位置決め部材37を被せておく。
次に、内管32の一端のピンチシール部82の両ピンチ面と、口金36の保持部110を構成する保持部分118,120の保持領域118a,120aとに接着剤106であるセメントを塗布する。
【0037】
そして、内管32のピンチシール部82から内管32の管軸と平行な方向に延出する一対の接続線98,100が口金36のベース部108の貫通孔108a,108bに挿入するように、口金36と内管32とを相対的に近づける(図中の「A」である。)。
これに伴って、ピンチシール部82が一対の保持部分118,120間に挿入し、また、内管32の一対の接続線98,100が口金36のコンタクトピン102,104内に挿入する。
【0038】
この次に、口金36の保持部分118,120の外周面及び保持領域118b,120b、そして、外管34の一端部の内周面に接着剤106であるセメントを塗布する。そして、外管34を内管32に被せ(図6における「B」である。)、外管43の開口端(一端の端面)を口金36のベース部108(大径部分112)に当接させる。
この当接状態を維持して接着剤106を硬化させる。これにより、口金36、内管32及び外管34は固着されてその組立てが完了する。
【0039】
最後に、上記組立てが完了すると、コンタクトピン102,104の筒部122,124を、一対のコンタクトピン102,104の両方の中心軸を含む仮想平面と平行であってコンタクトピン102,104と直交する方向から押圧して局所的に凹入させる。これにより、接続線98,100がコンタクトピン102,104内において凹入部分102a,104aで押圧されて固定されると共に、接続線98,100がコンタクトピン102,104と電気的に接続されて、ランプ14が完成する。
【0040】
図7は、コンタクトピンの押圧方向を説明する図である。
図7は、コンタクトピン102,104の延出方向から口金36を見た図である。図中の矢印Yは、ピンチ方向であり、「O」はランプ軸である(内管32、外管34の管軸でもある。)。二点鎖線は、一対のコンタクトピン102,104の中心を通る仮想線であり、また、内管32のピンチシール部82のピンチ面と平行な平面であってランプ軸Oを含む仮想平面でもある。
【0041】
本実施の形態に係る押圧方向は、図7に示すように、一対のコンタクトピン102,104の中心を通る仮想線上であって、各コンタクトピン102,104における他方のコンタクトピン104,102と隣接する側と反対側から隣接する側へと向かう方向で、さらに、ここではコンタクトピン102,104と直交する方向であり、同図の矢印C、Dで示す方向である。
(2)効果
上記組立て方法で製造したランプにおいては、点灯−消灯を繰り返してもピンチシール部にクラックが発生するのを抑制することができる。この理由について以下説明する。
【0042】
まず、従来の組立て方法について説明する。
図8は、従来の組立て方法を説明する概略図であり、(a)は押圧前の状態を示し、(b)は押圧後の状態を示す。なお、図8は説明図であるため、図2等と異なるが、実施の形態と同じ構成のものは、同じ符号を用い、接続線100について説明する。
図8は、押圧する際の口金内の様子を示す図であり、押圧方向は、ピンチ面に対して直交する方向(同図において上から下に向かう方向である。)であり、この方向は、一対のコンタクトピンの中心を結ぶ仮想線と直交する方向でもある。
【0043】
同図の(a)に示すようにピンチ面に対して直交する方向からコンタクトピン104を押圧して、同図の(b)に示すようにコンタクトピン104に凹入部分Gを設けると、接続線100には押圧方向の負荷、つまり、接続線100に対して押圧方向の圧縮負荷が絶えず作用することになる(図8の(b)の「F」である。)。
この圧縮負荷Fにより、ピンチシール部82内の接続線100に当接する領域であった圧縮負荷Fが直接作用している側と反対側の領域H(接続線100がピンチシール部82から外部へとちょうど延出する位置の手前の領域Hであり、図においてピンチシール部82における接続線100の下側領域であり、図8の(b)でハッチングを施している領域である。)に作用する。
【0044】
この領域Hは、扁平なピンチシール部82における厚みの薄い部分であり、この領域Hに作用する圧縮負荷Fに加え、点灯−消灯による熱負荷が追加して作用した場合に、この領域Hにクラックが発生するのである。
これに対し、上述した、本実施の形態に係る組立て方法では、コンタクトピン104の押圧方向をピンチ面と平行な方向であってコンタクトピン104と直交する方向としているため、一対のコンタクトピン102,104を結ぶ方向に押圧による圧縮負荷が作用することになる。
【0045】
この方向は、図7において仮想線X上であり、同図に示すように扁平なピンチシール部82の幅の広い方向と一致している。従って、押圧による負荷を受けている領域に、さらに点灯−消灯による熱負荷が追加して作用した場合でも、これらの負荷を受ける領域が従来よりも広くなるため、クラック等の発生を抑制できるのである。
つまり、ピンチシール部82において押圧による負荷を受ける領域であって押圧方向のピンチシール部82の寸法が、ピンチシール部82の厚みの半分以上であれば、従来よりも負荷を受ける領域を大きくでき、クラックの発生を抑制できる。
【0046】
このことから、コンタクトピンの押圧する方向は、一対のコンタクトピンの両方の中心軸を含む仮想平面と平行な方向(コンタクトピンの押圧方向をピンチ面と平行な方向でもある。)であれば、コンタクトピンと直交する方向でなくても、ピンチシール部における押圧負荷を受ける領域の寸法をピンチシール部の厚みよりも大きくでき、クラック等の発生を防ぐことができる。
3.実施例
上記実施の形態に係るランプの実施例について以下説明する。
【0047】
ここで説明するランプ14の一例は、消費電力が70(W)であり、ランプ14の全長が約90(mm)〜120(mm)である(使用する口金36等により若干変化する)。
発光管30は、その本管部44の外径が9.7(mm)であり、その厚みが0.6(mm)である。細管部46,48の外径が2.63(mm)であり、その厚みが0.9(mm)である。
【0048】
本管部44及び細管部46,48は、多結晶性のアルミナセラミックにより構成されている。
ここでの外囲器50は、本管部(44)の半分と細管部46,48とが一体成形された2つの成形品を、例えば、本管部(44)の半分の突き合わさる部分同士をペースト状のアルミナで接合し焼結させて一体化することで得ている。
【0049】
電極52,54は、電極コイル60,62としてモリブデン材料の素線が用いられ、コイルの外径が0.70(mm)である。電極棒56,58としては直径0.35(mm)のタングステン材料が用いられている。
近接導体78は、厚みが0.1(mm)のモリブデン製の薄板が用いられ、近接導体78の幅(金属板の短手方向の寸法である。)は3.0(mm)で、長さ(金属板の長手方向の寸法である。)は4.2(mm)である。
【0050】
電力供給線38,40は、直径0.6(mm)のモリブデン製の素線が用いられている。
接続線98,100は、モリブデン材料から成る棒材(横断面形状が円状である。)が用いられ、その外径が1.0(mm)である。なお、接続線98,100の外径(太さ)が0.5(mm)以上で、ピンチシール部82の厚み(ピンチ方向の厚み)が2.5(mm)以上、5.0(mm)以下の場合に、「発明が解決しようとする課題」の項で説明したような課題が生じる。なお、接続線98,100は、外径が1.0(mm)以下のものが多く利用されている。
【0051】
内管32は、外径が15.5(mm)、厚みが1.25(mm)で、石英ガラスが用いられている。外管34は、外径が20.5(mm)、厚みが1.3(mm)で、硬質ガラスが用いられている。
<変形例>
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を実施することができる。
1.口金
実施の形態では、口金36として、図2に示すように、所謂ピンタイプを利用したが、他のタイプの口金を使用しても良い。他のタイプとしては、例えば、Gタイプ、PG形等がある。つまり、電気接続線がピンチシール部から延出している延出方向にコンタクトピンを備え、当該電気接続線がコンタクトピンの局所的な凹入部分に固定されるような口金であれば良い。
2.発光管
実施の形態における発光管30を構成する外囲器50は、本管部(44)の半分と細管部46,48とが一体成形された2つの成形品を一体化したものであるが、本発明に係る外囲器は、実施の形態に係る外囲器に限定されるものではない。
【0052】
例えば、本管部と細管部とをそれぞれ別個に成形した後に焼き嵌めによって一体化したものでも良く、さらには、本管部、細管部と別個に形成するのではなく、これらが一体で成形された単一構造から構成されていても良い。
また、外囲器は、筒部材(具体的には円筒部材)と、当該筒部材の両端に焼き嵌めによって一体化されるリング部材と、当該リング部材の中央の貫通孔に一の端部が焼き嵌めによって一体化される細管部材とから構成しても良い。この場合の外囲器は、所謂、シリンドリカルタイプである。
3.内管・外管
実施の形態では、ランプは、発光管、内管、外管を備えた三重管構造のものを用いたが、発光管と外管とからなる二重管構造のものを用いても良い。
【0053】
さらに、内管は、その他端が封止された片封止であったが、両端が封止された両封止で構成しても良い。
4.ランプ
実施の形態では、消費電力が70(W)であったが、本発明はこの数値に限定するものではなく、消費電力が20W〜250Wの範囲内であれば実施できる。
【0054】
実施の形態では、メタルハライドランプを例にして説明したが、ピンチシール部から接続線が延出し、この接続線の延出方向にコンタクトピンが延出するタイプの口金を備えるランプであれば、本発明を適用できる。
このようなランプとしては、Gタイプ、GYタイプ、GXタイプ等の口金を備えるハロゲン電球等がある。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、ピンチシール部から延出する接続線が同じ方向に延出する口金ピンを有するランプに利用できる。
【符号の説明】
【0056】
30 発光管
32 内管
34 外管
36 口金
82 ピンチシール部
98,100 接続線
102,104 コンタクトピン
102a,104a 凹入部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部に圧潰封止部を有すると共に前記圧潰封止部から一対の電気接続線が延出するガラス管の前記端部に、前記一対の電気接続線の延出方向に延出する口金ピンを一対有する口金が装着されていると共に、前記一対の電気接続線の各々が対応する前記口金ピン内に挿通された状態で前記口金ピンの各々が局所的に凹入されることで固定されているランプであって、
前記口金ピンの凹入部分は、前記一対の口金ピンの両方の中心軸を含む仮想平面と平行な方向に凹入している
ことを特徴とするランプ。
【請求項2】
前記ガラス管は一対の電極を有する発光管を格納し、
前記電気接続線は前記電極に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載のランプ。
【請求項3】
前記電気接続線は、モリブデン棒であり、
前記封止部の厚みが2.5mm以上5.0mm以下の範囲である
ことを特徴とする請求項2に記載のランプ。
【請求項4】
前記ランプはメタルハライドランプである
ことを特徴とする請求項3に記載のランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−181450(P2011−181450A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46798(P2010−46798)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】