説明

リアクトルおよびリアクトル用ボビン

【課題】コイル軸方向の寸法を小さくすることができるリアクトルと、そのようなリアクトルを構築するのに最適なリアクトル用ボビンとを提供する。
【解決手段】巻線をらせん状に巻回してなるコイルと、このコイルに嵌め込まれて環状に形成されるコアと、コアが嵌め込まれると共にコイルの両端に当接される枠状ボビン20Fとを備える。枠状ボビン20Fにおけるコイルとの当接面が、巻線により構成されるコイル端部の形態に対応した傾斜面を備える。この構成により、枠状ボビン20Fをコイル端面に対して面接触させることができる。そのため、枠状ボビン20Fの当接面とコイル端面との間にデッドスペースが生じることがなく、リアクトルのコイル軸方向の寸法を小さくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバータなどの部品に用いられるリアクトルと、リアクトルに用いられるボビンとに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、普及が進みつつあるハイブリッド自動車には、電圧の昇降圧を行うコンバータが用いられ、そのコンバータの部品の一つとして、特許文献1に記載のリアクトルが知られている。
【0003】
このリアクトルは、磁性材からなる環状のコアと、コアの外周の一部に形成された一対のコイルとを主要構成部材としている。このようなリアクトルは、例えば次のように構成する。予め一連の平角線をエッジワイズ巻きして一対のコイルを形成しておく。両コイルは、平角線の一部をヘアピン状に屈曲した連結部を介して互いに並列状態に配される。この連結部は、コイルのターン部の上面と面一に形成され、かつターン部の軸方向に突出して形成されている。一方でコアを組み立てる。例えば、磁性材料からなる複数の中間コア片の間にギャップ板を介して中間コア片同士を接着し、これらコア片群の周囲に樹脂製の筒状ボビンを装着する。次に、筒状ボビンの装着された中間コア片群の外側にコイルを嵌め込む。続いて、コイルの両端部に樹脂製でほぼB型の枠状ボビンを配置し、中間コア片群の端部の外側に、この枠状ボビンを嵌め込む。枠状ボビンは、スプリングバックにより広がろうとするコイルを両端から押えると共に、コイルとコア(次述する端部コア片)との絶縁を確保する。そして、中間コア片群の端部同士を端部コア片で連結することで、環状のコアを形成する。これにより、コアの一部はコイルに覆われ、残部がコイルから露出されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-28290号公報 図3
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の構成では、枠状ボビンの形態上、リアクトルの小型化が十分に図れないという問題があった。
【0006】
従来用いられている枠状ボビンは、コイルの端部と接触する当接面がコイル軸方向と直交する平面で構成されている。一方で、コイルは巻線をらせん状に巻回して構成されるため、その端面はコイル軸方向と直交する平面ではなく、巻線の巻回ピッチに応じた傾斜面で構成される。そのため、従来の枠状ボビンをコイルの端部に配置すると、枠状ボビンの当接面とコイル端面との間にデッドスペースができ、リアクトルを小型化するための障害となっていた。
【0007】
また、従来の枠状ボビンでは、その当接面とコイル端面とが線接触となるため、コイルの反発に伴って枠状ボビンにかかる応力が線接触した箇所で局所的に作用する。そのため、この応力を枠状ボビンの当接面の全体で分散して受けることができず、局所的に偏って作用する応力を受けるには、ある程度枠状ボビンを厚くせざるを得ない。その結果、前記デッドスペースの発生と枠状ボビン自体の厚みにより、リアクトルのコイル軸方向の寸法を小さくすることができなかった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、コイル軸方向の寸法を小さくすることができるリアクトルと、そのようなリアクトルを構築するのに最適なリアクトル用ボビンとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のリアクトルは、枠状ボビンの当接面の形状を工夫することで上記の目的を達成する。
【0010】
本発明のリアクトルは、巻線をらせん状に巻回してなるコイルと、このコイルに嵌め込まれて環状に形成されるコアと、コアが嵌め込まれると共にコイルの両端に当接される枠状ボビンとを備える。そして、枠状ボビンにおけるコイルとの当接面が、巻線により構成されるコイル端部の形態に対応した傾斜面を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、枠状ボビンにおけるコイルとの当接面が、コイル端部の形態に対応した傾斜面を有しているため、枠状ボビンをコイル端面に対して面接触させることができる。そのため、枠状ボビンの当接面とコイル端面との間にデッドスペースが生じることがなく、リアクトルのコイル軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0012】
また、枠状ボビンの当接面とコイル端面とを面接触にできるため、コイルの反発に伴って枠状ボビンにかかる応力を当接面の広い領域で分散して受けることができ、枠状ボビンの厚さを薄くすることができる。そのため、この枠状ボビンの薄肉化によっても、リアクトルのコイル軸方向の小型化を実現することができる。
【0013】
一方、本発明のリアクトル用ボビンは、巻線をらせん状に巻回してなるコイルと、このコイルに嵌め込まれて環状に形成されるコアとを備えるリアクトルに用いられるものである。そして、このボビンは、コアが嵌め込まれると共にコイルの両端に当接される枠状で、そのボビンにおけるコイルとの当接面が、巻線により構成されるコイル端部の形態に対応した傾斜面を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、上述した本発明のリアクトルと同様に、枠状ボビンの当接面とコイルの端面とを面接触させることができる。それにより、枠状ボビンとコイル端面の間におけるデッドスペースをなくすることができ、さらに枠状ボビン自体の薄肉化も可能になる。その結果、リアクトルの小型化を実現することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のリアクトルによれば、リアクトルにおけるコイル軸方向の寸法を小さくすることができる。
【0016】
また、本発明のリアクトル用ボビンによれば、コイル軸方向の寸法を小さくしたリアクトルを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施例1に係る本発明リアクトルに用いるコイルの斜視図である。
【図2】実施例1に係る本発明枠状ボビン20Fの斜視図で、(A)は当接面側、(B)は非当接面側を示す。
【図3】(A)は実施例1に係る本発明枠状ボビン20Fの正面図、(B)は同底面図である。
【図4】(A)は図3のD-D矢視断面図、(B)は図3のC-C矢視断面図、(C)は図3のB-B矢視断面図、(D)は図3のF-F矢視断面図である。
【図5】実施例1に係る本発明枠状ボビン20Bの斜視図で、(A)は当接面側、(B)は非当接面側を示す。
【図6】(A)は実施例1に係る本発明枠状ボビン20Bの正面図、(B)は同底面図である。
【図7】(A)は図6のD-D矢視断面図、(B)は図6のC-C矢視断面図、(C)は図6のB-B矢視断面図、(D)は図6のF-F矢視断面図である。
【図8】実施例1に係る本発明リアクトルの組立説明図である。
【図9】実施例2に係る本発明枠状ボビンの組立斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0019】
《実施例1》
図1〜図8に基づいて、本発明の枠状ボビンとリアクトルを説明する。本発明のリアクトルは、枠状ボビンの形態に主たる特徴を有するものであり、リアクトルを構成するコイルおよびコアの基本的な構成は従来と共通である。ただし、本発明の枠状ボビンを説明するのに先立って、枠状ボビンに当接するコイルの構成を説明する。
【0020】
<コイル>
図1に示すように、コイル10は、絶縁被覆を有する平角銅線(巻線)をらせん状にエッジワイズ巻きして構成され、その軸方向と直交する方向に並列される第一コイル10Aと第二コイル10Bの一対から構成される。第一・第二コイル10A、10Bは、互いに同一巻数で、軸方向から見た形状がほぼ矩形のコイルである。また、これら両コイル10A、10Bは、接合部のない一本の巻線で構成されている。即ち、コイル10の一端側において、巻線の始端11と終端12が上方に引き出され、コイル10の他端側において、巻線をヘアピン状に屈曲した連結部13を介して第一コイル10Aと第二コイル10Bとを連結している。この構成により、第一コイル10Aと第二コイル10Bの巻回方向は同一となっている。そして、コイル10の両端面は、巻線の巻回ピッチに応じて、コイル軸方向に対して傾斜する面を備えている。
【0021】
<枠状ボビン>
一方、枠状ボビン20は、上記コイルの両端部に配置されて、コイルを押圧する機能を有する。より具体的には、コイル10の一端面(始端11および終端12側)に当接される枠状ボビン20F(図2〜図4)と、コイル他端面(連結部13側)に当接される枠状ボビン20B(図5〜図8)とから構成される。これら枠状ボビンの最大の特徴は、コイル端面との当接面が、コイル端面の形態に応じた傾斜面を備えていることにある。以下、各枠状ボビン20F、20Bを順に説明する。
【0022】
まず、枠状ボビン20Fは、ほぼB型で2つの矩形の開口22を有する基板枠24と、基板枠24の両開口22の間に設けられた仕切部26と、各開口22から基板枠24の厚み方向に突出する突枠部28とを有する。
【0023】
基板枠24は、その一面(図2(A))が各コイルの一端面と接触する当接面であり、他面(図2(B))が非当接面となる。ここで、当接面は、コイルの一端面の形状に適合した形状とされている。具体的には、図3に示すように、基板枠24の当接面のうち、図の右側部分は、第一コイル10A(図1)との当接面となり、右回りに沿って徐々に厚くなるように傾斜面で構成されている。例えば、図3のD-D断面は、図4(A)に示すように、上部が薄く、下方に向かうに従って厚く構成され、図3のC-C断面は、図4(B)に示すように、下部が薄く、上部に向かうに従って厚くなるように構成されている。また、基板枠24の当接面のうち、図の左側部分は、第二コイル10B(図1)との当接面となり、右回りに沿って徐々に厚くなるように傾斜面で構成されている。例えば、図3のB-B断面は、図4(C)に示すように、上部が薄く、下方に向かうに従って厚く構成され、図3のF-F断面は、図4(D)に示すように、下部が薄く、上部に向かうに従って厚くなるように構成されている。
【0024】
一方、基板枠24の非当接面は、開口部22の軸方向に対して直交する平面で構成されている。そして、本例では、コイルの始端11及び終端12(図1)が引き出される基板枠24の上部の角をほぼ直角に形成し、基板枠24の下部の角をコイル10(図1)の屈曲に沿った円弧状に形成している。
【0025】
この基板枠24のほぼ中心には、その高さ方向に伸びる突条で構成される仕切部26がある。仕切部26は、第一コイルと第二コイルとの間に嵌め込まれて、両コイルの間隔を保持する。
【0026】
さらに、突枠部28は、コアとコイル10(図1)との間に介在されて、コアに対してコイル10を同軸状に位置決めすることに利用される。
【0027】
次に、枠状ボビン20Bは、ほぼE状の基板縁21と、その上部で基板縁21に対して直交方向にひさし状に突出する平台部23と、基板縁21および平台部23で形成される一対の開口25から基板縁21の厚さ方向に突出する突枠部27と、基板縁21における両開口25の間に設けられた仕切部29とを有する。
【0028】
この枠状ボビン20Bが枠状ボビン20Fと異なる点は、平台部23を備えることである。この平台部23の上には、コイルの連結部13(図1)が配置される。
【0029】
ここで、基板縁21の一面(図5(A))が各コイルの一端面と接触する当接面であり、他面(図5(B))が非当接面となる。この当接面は、コイル10の一端面の形状に適合した形状とされている。具体的には、図6に示すように、基板縁21の当接面のうち、図の右側部分は、第二コイル10Bとの当接面となり、右回りに沿って徐々に厚くなるように傾斜面で構成されている。例えば、図6のD-D断面は、図7(A)に示すように、上部が薄く、下方に向かうに従って厚く構成され、図6のC-C断面は、図7(B)に示すように、下部が薄く、上部に向かうに従って厚くなるように構成されている。また、基板縁21の当接面のうち、図の左側部分は、第一コイル10Aとの当接面となり、右回りに沿って徐々に厚くなるように傾斜面で構成されている。例えば、図6のB-B断面は、図7(C)に示すように、上部が薄く、下方に向かうに従って厚く構成され、図6のF-F断面は、図7(D)に示すように、下部が薄く、上部に向かうに従って厚くなるように構成されている。
【0030】
これらの枠状ボビン20F、20Bは、樹脂材料を注型成形して得ることができる。具体的な樹脂材料としては、絶縁性に優れ、かつリアクトルの使用温度に対して軟化しない耐熱性を有する材料が好ましい。例えば、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、エポキシなどが挙げられる。
【0031】
<リアクトル>
上述した構成の枠状ボビンは、既に述べたコイルの他、さらにコアを組み合わせることでリアクトルを構成する。
【0032】
ここでは、図8に示すように、合計6つの中間コア片32と、一対の端部コア片34、合計4枚のギャップ板36を用いてコア30を構成する。中間コア片32、端部コア片34は、磁性粉末の圧粉成形体や電磁鋼板の積層体などで構成でき、ギャップ板36はアルミナなどの非磁性材で構成できる。
【0033】
まず、ブロック状の3つの中間コア片32の間にそれぞれ矩形のギャップ板36を介在させて接着剤で接合して中間コア片群とし、このコア片群を一対用意する。
【0034】
次に、各コア片群の外側に筒状ボビン(図示略)を配置する。筒状ボビンは、コア片群に対して、コイル10を同軸状に位置決めするための部材である。通常、断面がU型の一対の分割片を組み合わせることで角パイプ状に形成される公知の筒状ボビンが利用できる。
【0035】
次に、筒状ボビンが装着された中間コア片群の外側にコイル10を嵌め込む。つまり、一方のコア片群を第一コイル10A内に配置し、他方のコア片群を第二コイル10B内に配置する。
【0036】
続いて、両コイル10A、10Bの端部、つまり一端側に枠状ボビン20Fを、他端側に枠状ボビン20Bを装着する。このとき、各枠状ボビン20F、20Bの突枠部28、27が筒状ボビンに直列に配置され、かつ中間コア片群とコイル10A、10Bとの間に介在されるようにする。また、枠状ボビン20Bの平台部23の上部には、コイル10の連結部13が配置されるようにする。
【0037】
そして、両枠状ボビン20F、20Bを挟むように、一対の端部コア片を配置し、これらをコア片群の端部に接着剤で接合する。端部コア片34は、一対のコア片群の間をつなぐような大きさ、つまり枠状ボビン20F、20Bとほぼ等しい面積の扁平ブロックである。これにより、環状のコア30が形成される。
【0038】
以上説明したように、本発明の枠状ボビン20F、20Bは、コイルの端面に適合した傾斜面を持つため、当接面とコイル端面とを面接触させることができ、両面の間にデッドスペースが形成されることがない。また、当接面とコイル端面とを面接触させることで、コイル10の反発に伴って枠状ボビン20F、20Bにかかる応力を当接面の広い領域で分散して受けることができ、枠状ボビン20F、20Bの厚さを薄くすることができる。その結果、コイル軸方向のリアクトルの寸法を小さくすることができる。さらに、コイル10と枠状ボビン20F、20Bとの接触面積を大きくすることで、コイル10の熱を、同ボビン20F、20Bを介して放熱しやすくできる。
【0039】
例えば、均一な厚みで表裏がコイル軸方向に対して直交する平面で構成される従来の枠状ボビンに対して、本発明の枠状ボビン20F、20Bの各々では、2.2〜2.3mm程度薄くすることができる。従って、両枠状ボビン20F、20Bを合わせれば、約4.5mmのスペースをリアクトルの小型化に利用することができる。もちろん、このスペースを別部材の配置などに有効利用してリアクトルの設計自由度を高めても良い。
【0040】
<その他の構成>
上記の実施例に係るリアクトルには、さらに以下の構成の少なくとも一つを付加することができる。
【0041】
(ケース)
ケースは、上述したコイルとコアとの組立体を収納し、この組立体からの熱を、ケースを介して放熱させる。このケースは、通常、前後左右の各側面および底面を備え、上部が開口した容器状のものが利用される。ケースの構成材料には、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの放熱性の高い金属材料が好適に利用できる。但し、本発明のリアクトルでは、コアとコイルの組立体はケースへ収納することなくそのままリアクトルとして用いても良いし、ケースへ収納して用いても良い。ケースを用いなければ、リアクトルを小型化できる。一方、ケースを用いた場合、コアとコイルの組立体を機械的に保護しやすい。通常、上記組立体とケースとの間には、次述する封止材が充填される。
【0042】
(封止材)
封止材は、コイルとコアの組立体の周囲を覆い、組立体の機械的保護を図る。その他、封止材の機能には、リアクトルを励磁した際に生じる振動を吸収することや、コイルを覆って機械的・電気的に保護することが挙げられる。また、ケースを用いた場合、コイルとケースとの絶縁性を一層高める機能や、ケースに収納されているコアやコイルなどの構成部材をケース内に保持させる機能、或いはコイルの熱をケースに伝導させる機能も持つ。もちろん、ケースを用いない場合に、コイルとコアの組立体を封止材で覆っても良い。この封止材には、コアやコイルの最高到達温度において、軟化しない絶縁材料が好適に利用できる。例えば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂などが挙げられる。
【0043】
《実施例2》
次に、実施例1とは異なる構成の枠状ボビンを図9に基づいて説明する。図9では、一対の枠状ボビン20F、20Bの間に筒状ボビン20Mを配置し、筒状ボビン20M内に一つの中間コア片32を挿入した状態を示している。
【0044】
実施例1の枠状ボビン20F、20Bは、一連の巻線で連結部13を介して並列される一対のコイル10に対して用いる構成であり、連結部13を配置するための平台部23を一方の枠状ボビン20Bに備えていたが、本例の枠状ボビン20F、20Bは、平台部を有しない点で実施例1の枠状ボビンと異なっている。つまり、本例の枠状ボビン20F、20Bは、溶接タイプのコイルに用いる。溶接タイプのコイルは、例えば、各々独立した巻線で構成した一対の第一・第二コイルを用意し、両コイルを並列配置して、各コイルの巻線の端部同士をコイルの一端側で溶接して接続したコイル(図示略)である。例えば、第一コイルの始端を枠状ボビン20Fの引出部20FSに、同コイル10Aの終端を枠状ボビン20Bの引出部20BEに、第二コイル10Bの終端12を枠状ボビン20Fの引出部20FEに、同コイル20Fの始端を枠状ボビン20Bの引出部20BSに配置すればよい。そのため、溶接箇所はコイル10のターンの上部に設けられるため、本例の枠状ボビン20F、20Bでは、コイルの連結部を配置するための平台部を設ける必要が無い。
【0045】
本例の構成においても、両枠状ボビン20F、20Bの各当接面は、コイル10の端面に適合した傾斜面を備えているため、実施例1と同様に、枠状ボビン20F、20Bの当接面とコイル端面とを面接触させることができる。その結果、当接面とコイル端面との間にデッドスペースができることを回避でき、かつ各枠状ボビン20F、20Bを薄肉化して、リアクトルの小型化を図ることができる。
【0046】
なお、上述した各実施例は、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であり、本発明は上述した構成に限定されるものではない。例えば、コイルの巻線は平角線に限らず、断面が円や多角形の線でも良い。その場合、巻線の表面形状に合わせて、枠状ボビンの当接面の形状を変更すればよい。また、中間コア片や端部コア片の外形や数を適宜変更しても良い。その他、ギャップ材のないコアを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のコイルは、リアクトルの構成部品として利用することができ、本発明のリアクトルは、コンバータなどの部品として利用することができる。特に、ハイブリッド自動車や電気自動車などの自動車用リアクトルとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 コイル
10A 第一コイル 10B 第二コイル
11 始端 12 終端 13 連結部
20、20F、20B 枠状ボビン
22 開口 24 基板枠 26 仕切部 28 突枠部
21 基板縁 23 平台部 25 開口 27 突枠部 29 仕切部
20FS、20FE、20BS、20BE 引出部
20M 筒状ボビン
30 コア
32 中間コア片 34 端部コア片 36 ギャップ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻線をらせん状に巻回してなるコイルと、環状に形成されるコアと、コイルの両端に当接される枠状ボビンとを備えるリアクトルであって、
前記コイルは、一対の第一コイル及び第二コイルを互いに並列状態に配置すると共にその一端側で互いに接続してなり、
前記環状に形成されるコアは、前記第一コイル及び第二コイルのそれぞれに配置される中間コア片と、前記コイルの端部との間に前記枠状ボビンを挟むように配置される端部コア片とを備え、
前記枠状ボビンは、前記コイルとの当接面を巻線により構成されるコイル端部の形態に対応した傾斜面で構成し、当該傾斜面で構成される箇所の厚さを前記コイル端部の傾斜面に沿って厚くしているリアクトル。
【請求項2】
前記枠状ボビンにおける前記コイルとの当接面とは反対側の非当接面は、前記コイルの軸方向に対して直交する平面で構成されている請求項1に記載のリアクトル。
【請求項3】
前記枠状ボビンは、コイルとの当接面側において、前記第一コイルと第二コイルとの間に嵌め込まれる仕切部を備え、
前記仕切部は、前記枠状ボビンにおける前記両コイル間の高さ方向全長に亘って形成されている請求項1または2に記載のリアクトル。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のリアクトルを備えるコンバータ。
【請求項5】
巻線をらせん状に巻回してなるコイルと、環状に形成されるコアとを備えるリアクトルに用いられるリアクトル用ボビンであって、
前記コイルは、一対の第一コイル及び第二コイルを互いに並列状態に接続してなり、
前記ボビンは、前記コアを構成する端部コア片と前記コイルの端部との間に挟まれる枠状で、
前記ボビンにおける前記コイルとの当接面は、巻線により構成されるコイル端部の形態に対応した傾斜面を備え、
前記傾斜面を備えるボビンの厚さが、前記コイル端部の傾斜面に沿って厚くなっているリアクトル用ボビン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−248904(P2012−248904A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−207643(P2012−207643)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2008−92656(P2008−92656)の分割
【原出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)