説明

リアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置

【課題】 コンピュータ端末の操作経験が浅くても迅速に且つ正確に申告書作成が行えるように、リアルイメージ入力によって申告書別表を作成する手段を備えた装置の提供。
【解決手段】 法人税・地方税の申告書を作成する装置1であって、事業所情報テーブル41aと前記別表・様式の入力順設定テーブル41bと法人税・地方税計算設定テーブル41cとを備えた法人基本情報データベース41と、市町村情報データベース42と、入力または計算された結果を記憶する申告情報データベース43とを備え、前記入力順設定テーブル41bにしたがって順番に呼び出されて表示される入力画面が前記それぞれの別表の印刷形式30をそのまま画面に再現したリアルなイメージとなっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、企業法人・事務所の業務を遂行するコンピュータ端末を利用して処理するコンピュータ・システムを用いて法人税・地方税の申告書を作成する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、企業などの法人が年度決算後に法人税・地方税を確定申告するに当たっては、40種類近くの申告書の書式について指定様式にそれぞれ決められた決算確定金額を正確に転記しなければならなかった。これらの作業には、高度な経理財務の知識を必要とする。また、法人の事業内容により、数多くの申告書の中から必要な書式の申告書を選択するのにも税務の専門知識を必要としていた。このため、経理部門のエキスパート以外は申告作業が行えないのが実状であった。また申告作業は、一年に一度がほとんどの作業であるため、これらの作業に習熟したエキスパートを育成することが困難である問題があった。
【0003】そのため、ほとんどの法人は、税理士事務所や、公認会計士事務所などの税務、会計の専門家に委託している。しかしながら、委託を受けた税理士事務所や、公認会計士事務所にとっても、毎年4月などの一時期に決算期が集中するため、各委託先毎に分担して処理しなければ期限に合わせて申告できない問題があった。
【0004】さらに、前記申告作業では、別表と呼ばれる40種類近くの添付書類に付されている名称の番号と、申告書作成作業の順番は乖離している。このため、申告書作成作業に当たり、どの前記別表から作成するかについても税務知識と経験がなければできない難しさがあった。さらにまた、委託先毎の事業内容により数多くの申告書別表の中から必要な書式の申告書別表を選択する難しさもあった。
【0005】しかしながら、従来手書き処理を行っていた経理、税務のエキスパートにとっては、コンピュータ端末の画面への入力には違和感がある。このため、従来の手書き処理からの移行に際して抵抗感があった。
【0006】また、コンピュータ端末の入力画面に表示される項目には、入力項目、自動計算項目、上書訂正可能項目などの種類があるが、不慣れな操作担当には分かりづらいため、作業効率を低下させる問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述した点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、企業法人・事務所の業務システムをコンピュータを用いて処理するシステムを利用して、法人税・地方税の申告に必要な申告書作成及び添付書類である別表の作成を行うコンピュータ端末において、コンピュータ端末の操作経験が浅くても迅速に且つ正確に申告書作成が行えるように、リアルイメージ入力によって申告書別表を作成する手段を備えた装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため、請求項1の発明は、企業法人・事務所の業務を遂行するコンピュータ端末機を用い、法人税・地方税を申告するため通し番号が付された複数の別表・様式からなるそれぞれ所定のフォーマットの各申告欄に入力して法人税・地方税の申告書を作成する装置であって、事業所情報テーブルと前記別表・様式の入力順設定テーブルと法人税・地方税計算設定テーブルとを備えた法人基本情報データベースと、市町村情報データベースと、入力または計算された結果を記憶する申告情報データベースとを備え、前記入力順設定テーブルにしたがって順番に呼び出されて表示される入力画面が前記それぞれの別表の印刷形式をそのまま画面に再現したリアルなイメージとなっていることを特徴とする。
【0009】この発明によれば、入力画面が前記それぞれの別表の印刷形式をそのまま画面に再現したリアルなイメージとなっていることから、従来手書き処理を行っていた経理、税務のエキスパートにとっても、コンピュータ端末の画面への入力に違和感がなく、従来の手書き処理からの移行に際しての抵抗感をなくすることができる。
【0010】請求項2の発明は、請求項1の発明であって、前記入力画面は、入力項目と、自動計算結果が表示されると共にその表示を訂正入力することができる上書項目と、自動計算結果が表示される計算項目とが色分け表示により区分されていることを特徴とする。
【0011】この発明によれば、入力、上書き、計算の3種類の項目が色分け表示されるため、次に入力すべき項目が明確となり、申告書作成に不慣れな担当者でも効率よく作業を行うことができる。
【0012】さらに、この発明によれば、前記別表が所定の順序で所定項目にデータが逐次入力される際、その別表の項目への入力データが、他の別表の同じ項目へのデータとして即時に自動連動入力されることから、別表間で連動する項目のデータは随時自動的に計算され、二重入力の必要がない。このため、入力の間違いが防止できると共に、作業が迅速に行える。さらに、自動計算された項目のデータは、必要に応じて上書き処理で変更することにより例外的な別表作成にも対応することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に基づき説明する。図1は、本発明のリアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置で使用するコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。なお、この実施の形態では、ローカルエリアネットワークを用いた形態を説明するが、単独のコンピュータでもリアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成方法を利用することができる。
【0014】ここで10は企業法人・事務所の業務用コンピュータシステムであり、法人税・地方税申告書を作成することができるリアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置を示す。ここで、1はコンピュータ端末機群であり少なくとも1個以上で構成する。
【0015】4は、データベース管理装置を示し、その中に複数のデータベース41,42,43…等が作成されており、それぞれのデータベースには多数のテーブル(あるいはファイル)がある。5はローカル・エリア・ネットワーク(LAN)であり、6はサーバコンピュータである。61は前記データベース管理装置4を制御する手順が記録されているプログラムである。
【0016】また、端末機群1,1、…は、それぞれウィンドウ形式の市販のオペレ−ションシステム(OS)に制御され、企業の各種業務を遂行する手順を記録したプログラムがロードされている。
【0017】さらに、端末機1はそれぞれ法人税・地方税申告書作成手順制御プログラム11がロードされている。そのアプリケーションプログラム11は端末機1の表示装置に、申告書作成に必要な順序で多数の申告書別表から選択しその入力画面を表示する入力手段11aと、そこで入力された項目名と数値に基づいて計算し、関連する項目欄に自動的に表示する計算制御手段11bと、それらの結果をデータベース4に保存し、或いは印刷出力する出力制御手段11cからなる。
【0018】一方、データベース管理装置4は、税務に関する申告書を作成しなければならない企業法人の基本情報データベース41と、市町村情報データベース42と、申告書に入力し計算された申告結果を保存する申告情報データベース43とからなる。
【0019】前記基本情報データベース41は、企業法人が直接税務申告書を作成するか或いは複数の企業法人から税務申告書作成を依頼されている事務所がその申告書を作成するか、いずれにしても、それらの法人毎の税務申告に必要な事業所情報テーブル11aと、所定の通し番号が付された多くの枚数からなる所定のフォーマットの別表で提出しなければならない法人税・地方税申告書を記載順序にその別表を入力画面に表示させるための入力順設定テーブル11bと、法人税・地方税計算設定テーブル11cとからなる。
【0020】次に、本発明のリアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置10による申告書を作成する動作を図2以下の図面に基づいて説明する。法人税・地方税申告書の多数の所定のフォーマットからなる別表群のそれぞれの入力欄にデータを入力しなければならないが、先ず、法人税からその作業を行う。図2はその様子を示す。ステップS21で連続入力を選択すれば、自動的に最初に記入すべき別表5(二)入力画面が表示される(S22)。ここで、この別表5(二)入力画面を終了させると自動的に次に入力すべき別表16(一)入力画面が表示される(S23)。以上のようにして最後の入力画面別表1(一)入力画面で入力を終了させると(S52)、この法人税の入力作業は終了する。
【0021】もし、この中のある別表だけのデータ入力や、修正の場合は、S21ステップで単独入力を選び、その別表通し番号を選択し、その指定の別表の入力画面を呼び出し入力或いは修正する(S11〜S13)。
【0022】次に、地方税申告書入力作業の様子を図3に示す。法人税別表から連動される項目を中心として地方税に必要な地方税基礎情報を自動入力する(S61)。これを終了して連続入力を選択すれば(S62)、自動的に最初に入力すべき入力画面第6号様式別表4の3が表示される(S63)。この画面で入力を終了させれば自動的にその次に入力すべき入力画面第6号様式4の4が表示される(S64)。以上のようにして最後の入力画面第22号の2様式入力画面で入力を終了させると(S70)、この地方税のデータ入力作業は終了する。もし、この中である様式のみのデータ入力を修正したい場合はS61ステップで単独入力方式を選び、その様式の通し番号を選択し、その指定の様式の入力画面を呼び出し入力或いは修正する(S81〜S83)。
【0023】図4には、前記ステップS22の別表5(二)のリアルイメージ入力画面20を表示した様子を示す。入力画面20で、20aはファンクション機能を持ったタイトルバー、20bはスクロール入力欄、20cは納税引当金の計算欄である。
【0024】スクロール入力欄20bの入力項目にカーソル指示に従って指定項目の納税金額を入力し、スクロールバー23により上下のスクロール表示により、項目番号20dの1番から順に法人税、道府県民税、市町村民税、事業税その他の事業年度別の納税金額を入力する。入力と同時に納税引当金の計算欄20は自動計算される。入力を完了したとき、タイトルバー20aの次表ファンクションキー22またはキーボードのファンクションキーF10を押下することにより次表別表16(一)の入力画面となる。前表ファンクションキー21の押下によれば前のステップS21に戻ることもできる。
【0025】図5は、前記ステップS36の別表4所得の金額の計算に関する明細書のリアルイメージ入力画面20で、スクロールにより表示される項目番号20dの1番目から36番目までの全項目と、手書き申告書の印刷書式30を示す。入力画面20に表示される入力項目と、印刷書式30の項目番号20dの1番目から36番目までの全項目は上から同じ順番に出現しており、手書きのイメージ通りの画面表示となっている。
【0026】なお、もし入力順が変更になれば、入力順設定画面の呼び出しを行い法人基本情報データベース41の中に再登録することができる。また、新しい企業法人名、事業年度、申告区分など法人基本情報を新規登録、追加、修正なども、その法人基本情報登録画面を呼び出して行うことができる。
【0027】図6には、法人税申告で提出すべき別表(31種)の通し番号順にその概略を示す。ここで、別表1(一)、別表4、別表5(一)は総括表である。
【0028】図7には、地方税の申告で提出すべき様式(8種)の通し番号順にその概略を示す。また、管理帳票が出力制御手段11cにより自動的に保存される。それは(1)納付税額一覧表、(2)地方税内訳明細書とからなり、(2)には(イ)事業税道府県民税内訳明細書、(ロ)市町村民税内訳明細書などがある。
【0029】なお、図2及び図3に示したように、法人税・地方税申告書作成を連続入力によって所定の別表順序で所定項目にデータ入力していくが、その際、別表間で連動する項目のデータは随時自動入力され二重入力する必要がないように、図8に示すよう、別表間に矢印の方向にデータを流して連動させるようになっている。以上のように連動によってデータが自動計算された当該項目のデータは、必要に応じて上書き処理で変更可能である。
【0030】
【発明の効果】本発明は以下のような効果を奏する。請求項1の発明によれば、、入力画面が前記それぞれの別表の印刷形式をそのまま画面に再現したリアルなイメージとなっていることから、従来手書き処理を行っていた経理、税務のエキスパートにとっても、コンピュータ端末の画面への入力に違和感がなく、従来の手書き処理からの移行に際しての抵抗感をなくすることができる。
【0031】請求項2の発明によれば、入力、上書き、計算の3種類の項目が色分け表示されるため、次に入力すべき項目が明確となり、申告書作成に不慣れな担当者でも効率よく作業を行うことができる。
【0032】また、自動的に次に入力すべき通し番号の別表入力画面が呼び出されるため、申告書作成作業に当たり、どの別表から作成するかについて税務知識と経験が不要となると共に、申告書作成の作業効率を上げることができる。
【0033】さらに、別表間で連動する項目のデータは随時自動的に計算され、二重入力の必要がない。このため、入力の間違いが防止できると共に、作業が迅速に行える。さらに、自動計算された項目のデータは、必要に応じて上書き処理で変更することにより例外的な別表作成にも対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置の構成ブロック図である。
【図2】本発明の法人税申告書作成のフローチャート図である。
【図3】本発明の地方税申告書作成のフローチャート図である。
【図4】本発明の申告書のリアルイメージ入力画面表示の正面図である。
【図5】本発明の申告書のリアルイメージ入力画面で、スクロールで表示される全体表示内容と、印刷書式の正面図である。
【図6】法人税申告で提出すべき別表の概略を示す一覧表である。
【図7】地方税申告で提出すべき別表の概略を示す一覧表である。
【図8】本発明の別表間のデータ連動を示す模式図である。
【符号の説明】
1 端末機
4 データベース管理装置
5 LAN
6 サーバコンピュータ
10 企業のコンピュータシステム,リアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置
11 法人税・地方税申告書作成手順制御プログラム,アプリケーションプログラム
11a 入力制御手段
11b 計算制御手段
11c 出力制御手段
20 入力画面
20a タイトルバー
20b スクロール入力欄
20c 納税引当金の計算欄
21 前表ファンクションキー
22 次表ファンクションキー
23 スクロールバー
30 申告書印刷書式
41 法人基本情報データベース
41a 事業所情報テーブル
41b 入力順設定テーブル
41c 法人税・地方税計算設定テーブル
42 市町村情報データベース
43 申告情報データベース
61 データベース管理装置の制御プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】 企業法人・事務所の業務を遂行するコンピュータ端末機を用い、法人税・地方税を申告するため通し番号が付された複数の別表・様式からなるそれぞれ所定のフォーマットの各申告欄に入力して法人税・地方税の申告書を作成する装置であって、事業所情報テーブルと前記別表・様式の入力順設定テーブルと法人税・地方税計算設定テーブルとを備えた法人基本情報データベースと、市町村情報データベースと、入力または計算された結果を記憶する申告情報データベースとを備え、前記入力順設定テーブルにしたがって順番に呼び出されて表示される入力画面が前記それぞれの別表の印刷形式をそのまま画面に再現したリアルなイメージとなっていることを特徴とするリアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置。
【請求項2】 前記入力画面は、入力項目と、自動計算結果が表示されると共にその表示を訂正入力することができる上書項目と、自動計算結果が表示される計算項目とが色分け表示により区分されていることを特徴とするリアルイメージ入力対応の法人税・地方税申告書作成装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2001−126008(P2001−126008A)
【公開日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−309567
【出願日】平成11年10月29日(1999.10.29)
【出願人】(593089895)株式会社オービックビジネスコンサルタント (52)
【Fターム(参考)】