説明

リグニンを含む液体/スラリからリグニンを分離する方法

本発明によれば、少量の酸性化剤を使用してリグニンを沈澱(分離)させる方法が提供される。この方法ではリグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーから燃料または化学的な供給原料(化学薬品またはさらに精製するための粗原料)として使用できるリグニン生成物または中間的なリグニン生成物が得られる。また本発明によれば上記方法によって得られるリグニン生成物または中間的なリグニン生成物が提供される。また本発明によれば、好ましくは熱の生成に、或いは化学生成物として使用するための、該リグニン生成物または中間的なリグニン生成物の使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリグニンを分離する技術分野に関する.特に本発明は、例えばリグニンを含むパルプ工場の処理液、好ましくはブラック・リカー(black liquor)のようなリグニンを含む液体/スラリからリグニンを分離する方法に関する.
さらに本発明は上記方法から得られる液体生成物、並びに該生成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近代的なエネルギーに関して最適化されたパルプ工場には余剰エネルギーが存在している。今日の方法ではバーク(bark)は取り出すことができるが、他の燃焼可能な残渣を含んだ混合物の形の余剰のエネルギーは回収ボイラーの中で燃焼され、電気の生成に関してはこの工程の効率は比較的低い。また、回収ボイラーの中での熱伝達容積は狭い区画であり、これによって工場の中におけるパルプの生産性が制限されることがしばしば問題になる。回収ボイラーはパルプ工場において最も高価な装置(ユニット)である。
【0003】
ブラック・リカーからリグニンを分離する方法はこれらの問題に対する興味深い解決法である。この方法では、余剰のエネルギーを固体のバイオ燃料の形で工程から取り出して例えば発電所へと送ることができ、この場合パルプ工場の回収ボイラーの中におけるよりも燃料を効率的に使用することができる。またこのリグニンは「グリーン・ケミカル(green chemical)」の製造に貴重な材料である。さらに、リグニンを抽出すると、低い熱価で燃焼するブラック・リカーが残り、これによって回収ボイラーの負荷が低くなる。これはパルプの生産を増加させるための短期間での大局的な可能性となる。長期に亙る大局的観点では回収ボイラーに対する装置のコストの低下が期待される。
【0004】
このような分離に対してはいくつかの可能な方法があり、久しい以前から工業的な応用が知られている。既に1944年にはTomlinsonおよびTomlinson,Jr.はこのような方法の改良法に対して特許(特許文献1)を取得している。現在使用されている分離方法は、黒色の液を酸性にし、リグニンを塩の形で沈澱させる。この固相をブラック・リカーら分離し、しかる後澄んだ液にするか、変性を行うことができる。現在操作されている工業的な用途では、リグニンをブラック・リカーから分離して特殊な化学薬品として使用する。このような方法の一例は二酸化炭素で酸性化することによりブラック・リカーからリグニンを沈澱させる方法である。懸濁液を貯蔵容器の中に入れ、沈澱をコンディショニングした後固体のリグニンを分離し、バンド・フィルターの上で洗浄し(酸性の洗浄水で)、最後に所望の状態になるまで処理する。
【0005】
しかしこの方法は、後で燃料に使用することができるようなリグニンを分離するために酸性化用の化学物質を大量に使用し、従ってこのような方法は非常に高価な方法であるので、リグニンを分離するのに必要な酸性化用の化学物質の量を減少することができれば、大きな利点が得られるであろう。従って少量の酸性化用の化学物質、例えば硫酸または二酸化炭素を使用してリグニンを分離できる方法が必要とされている。
【特許文献1】米国特許第664811号。
【発明の開示】
【0006】
本発明の概要
本発明においては,第1の態様に従って少量の酸性化剤を使用してリグニンを沈澱(分離)させる方法により上記問題の一つまたはそれ以上が解決される。この方法によりリグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーから燃料として(或いは化学的な供給原料として、またはさらに精製を行うための粗原料として)使用できるリグニンが得られ
る。この方法は次の段階を含んで成っている:
(a)硫酸塩または硫酸イオンを含んで成る1種またはそれ以上の化合物、または該化合物を含んで成る混合物を該液体/スラリに添加し、
(b)酸性化によって該液体/スラリのpHレベルを調節し、
(c)該液体/スラリを脱水し、これによってリグニン生成物、または中間的なリグニン生成物を得る。
【0007】
上記のこの方法においては、例えばブラック・リカーからリグニンはより効率的に分離され、沈澱したリグニンが以前に存在していた液体の中での濾過性が増加する。
【0008】
また本発明においては、第2の態様に従いリグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーからリグニンを分離する方法が提供される。この方法は次の段階を含んで成っている:
(i)硫酸塩または硫酸イオンを含んで成る1種またはそれ以上の化合物、または該化合物を含んで成る混合物を該液体/スラリに添加し、該液体/スラリを酸性化し、しかる後これを脱水することによりリグニンを沈澱させ、
(ii)リグニンのフィルター・ケーキを懸濁させて第2の懸濁液をつくり、pHレベルをほぼ洗浄水のpHレベルに調節し、
(iii)該第2の懸濁液を脱水し、
(iv)洗浄水を加え、pHに劇的な勾配が生じないようにして多少とも一定の条件下において置き換え洗浄を行い、
(v)段階(iv)でつくられたフィルター・ケーキを高度に乾燥するまで脱水し、該フィルター・ケーキの中に残った洗浄液を置き換え、これによってリグニン生成物または中間的なリグニン生成物を得る。
【0009】
上記の第2の態様の方法を使用することにより、いっそう純粋なリグニンが得られる。また本発明において第3の態様に従えば、第1の態様による方法で得られるリグニン生成物または中間的なリグニン生成物が提供される。さらに本発明の第4の態様に従えば、第2の態様による方法で得られるリグニン生成物または中間的なリグニン生成物が提供される。さらに本発明の第5の態様においては、好ましくは熱または化学的な供給原料をつくるための第3または第4の態様のリグニン生成物または中間的なリグニン生成物の使用が提供される。
【0010】
本発明は、硫酸イオンが例えば塩素イオンに比べ予想外に効率的にリグニンを沈澱/凝固させるという発見に基づいている。いわゆるホフマイスター系列(Hofmeister series)、即ち離液系列(F.Hofmeister、1888年)に関するこれまでに得られた知識によれば、塩化物は硫酸塩に比べアルブミンからタンパク質を良好に沈澱させる。Hofmeisterによる陰イオン系列は次の通りである。
【0011】
SCN>NO>Cl>クエン酸塩>CHCOO
>PO3−>SO2−
【0012】
Hofmeisterに従えば、塩化物が硫酸塩よりもアルブミンから良好にタンパク質を沈澱させることはこのことにより明らかである。
【0013】
Hofmeisterによる陽イオン系列は次の通りである。
【0014】
Ca2+>Mg2+>Na=K>NH>N(CH
【0015】
本発明の詳細な説明
本明細書の説明全体を通じ、「リグニンを含む液体/スラリ」と言う言葉はリグニンを
含む任意の液体またはスラリを意味するものとする。この液体またはスラリは工場におけるリグニンを含む処理水であることができ、該液体またはスラリはブラック・リカーであることが好ましい。
【0016】
本明細書の説明全体を通じ、「硫酸塩または硫酸イオンを含んで成る化合物」という言葉は硫酸塩または硫酸イオンを含んで成る任意の化合物を含むものとする。この化合物はNa−、K−、(AI−)、Ca−、Mg−、Fe−硫酸塩、または有機性の硫酸塩、CaSO、KSO、AlSO、硫酸鉄またはMgSOを含むことができる。該化合物はまた回収されたボイラーの灰の中に含まれていることができる。この化合物は混合物であるかまたは純粋なNaSOであることができる。
【0017】
本明細書の説明全体を通じ、「酸性化する」という言葉はリグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーを酸性化する任意の手段を含むものとする。好ましくは酸性化はSO(ガス)、有機酸、HCl、HNO、二酸化炭素、または硫酸(新しい硫酸の形、或いは二酸化塩素発生装置から得られる「廃硫酸」)またはこれらの混合物を該液体/スラリ、好ましくはブラック・リカーに加えることにより、最も好ましくは二酸化炭素または硫酸を加えることにより行われる。
【0018】
本明細書の説明全体を通じ、「脱水」と言う言葉は水を除去する任意の手段を含むものとする。好ましくは脱水は遠心分離、フィルター・プレス装置、バンドフィルター、回転フィルター、例えばドラムフィルター、または沈降タンク、または同様な装置、最も好ましくはフィルター・プレス装置を用いて行われる。
【0019】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、段階(c)の脱水はフィルター・プレス装置を用いて行われる。
【0020】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、段階(a)の添加は回収ボイラー灰、即ちソーダ回収ユニットから出る灰を加えることにより行われる。ソーダ回収ユニットはブラック・リカーの燃焼熱を利用する熔解炉と組み合わされた水蒸気発生機であり、その無機成分の大部分、即ちNaSO、CaSO、KSO、AlSO、硫酸鉄、またはMgSOの大部分は回収される。
【0021】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、段階(b)においてpHレベルを調節した後に混合が行われる。
【0022】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、段階(b)においてpHが約9.5以下、好ましくは約6以下、最も好ましくはpHが1〜4になるまでpHレベルを調節する。
【0023】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、pHレベルはCOを用いて調節される。
【0024】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、リグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーの性質に依存して温度は20〜100℃の範囲内で変化する。
【0025】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、段階(c)から得られる濾液を、好ましくは再アルカリ化を行った後に、回収システムに直接再循環させる。
【0026】
本発明の第1の態様の好適な具体化例に従えば、段階(i)の添加は回収ボイラー灰、或いはNaSO、CaSO、KSO、AlSO、硫酸鉄および/またはM
gSOを加えることによって行われる。好ましくはNaSOを用いる。
【0027】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、段階(i)において酸性化の後に混合が行われる。
【0028】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、pHレベルは段階(i)においてCOを用いて酸性化することにより調節される。
【0029】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、リグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーの性質に依存して段階(i)における温度は20〜100℃の範囲内で変化する。
【0030】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、段階(i)および/または段階(iii)の脱水はフィルター・プレス装置を用いて行われ、この場合残ったリグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカー(これが好適)を除去するために、フィルター・ケーキの中にガスまたはガス混合物、好ましくは煙道ガス、空気または蒸気、最も好ましくは空気または過熱蒸気を吹き込む。
【0031】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、段階(i)においてpHが約9.5以下、好ましくは約6以下、最も好ましくはpHが1〜3.5になるまでpHレベルを調節する。
【0032】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、洗浄水は約9.5以下、好ましくは約6以下、最も好ましくは1〜3.5のpHレベルをもっている。
【0033】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、段階(i)で得られたフィルター・ケーキの中に、例えば煙道ガス、空気および蒸気(これらは空気または過熱した蒸気であることが好ましい)を含むガスまたはガス混合物を吹き込んだ後、段階(ii)において説明したように該フィルター・ケーキの懸濁を行う。
【0034】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、好ましくは多価のアルカリ土類金属イオン、最も好ましくはカルシウムイオンを用い、pHレベルの調節をイオン強度の調節と組み合わせる。この好適具体化例においては、本発明の第2の態様の好適具体化例において前に説明したように洗浄中リグニンが安定化される。この際好ましくは多価のアルカリ土類金属イオン(例えばカルシウムイオン)を用い、スラリの段階でpHの低下をイオン強度の調節と組み合わせて行う。pHが与えられた場合、懸濁段階においてイオン強度が高いとリグニン収率の損失が減少する。この場合イオン強度および洗浄水のpHは、洗浄工程中に勾配が生じるのを避けるためのスラリ段階における条件に実質的に対応している。スラリおよび洗浄水の中のイオン強度が高いと、pH値が高い場合でも安定なリグニンが得られる。洗浄が容易なことに加えて、2価のカルシウムイオンをリグニンの中に導入することができ、これによりリグニンを燃焼させる際硫酸カルシウムの形で硫黄を結合させることができる(Aarsrud等、1990年、国際公開第9006964号)。
【0035】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、イオン強度の調節と組み合わされたpHレベルの調節はpHレベルおよび洗浄液のイオン強度に対応している。
【0036】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、第1の脱水段階工程(i)からの濾液を、好ましくは再アルカリ化した後、直接回収システムへ再循環させる。
【0037】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、フィルター・ケーキの中に残った洗浄
液を段階(v)において空気または煙道ガス、好ましくは回収ボイラー、石灰窯またはバーク・ボイラーからの煙道ガスを用いて除去する。
【0038】
本発明の第2の態様の好適な具体化例に従えば、段階(iii)における洗浄液および第2の脱水から得られる濾液の一部を再スラリ化段階(ii)へと戻し、酸および水の消費をさらに減少させる。
【0039】
従って、第1の態様の方法(または第2の態様の方法)の段階(a)(または段階(i))を行う際に硫酸塩または硫酸イオンを含んで成る1種またはそれ以上の化合物、或いは回収ボイラー灰のような該化合物を含んで成る混合物を加え、ブラック・リカーのようなリグニンを含む液体/スラリのイオン強度を増加させ、このようにして酸の消費量を低くしてリグニンを沈澱させることができ、或いは別な言い方をすれば酸の添加量が同じならリグニンを多量に沈澱させることができる。このことは特に興味深いことである。何故なら、図1に示されているように、硫酸イオンはイオン強度を増加させるという事実の他に、それ自身沈澱に効果をもっているからである。システム・エンジニアリングの見地からすれば、注意を要するような方法で工場の硫化度(Na/Sのバランス)が影響を受けることが考えられる。ブラック・リカーを蒸発させる際、バーカイトの沈澱もまた影響を受け、この材料を処理する必要性が増加するであろう。他方、この結果は例えばブラック・リカーからリグニンを十分に除去するための施設的なコスト(濾過表面)および操作コスト(COのコスト)の両方を低下させ得ることを示している。
【0040】
本発明の各態様の好適な特徴は必要な変更を加えれば他の態様の各々と同様である。本明細書で触れた従来法の文献は法律の許す限度内において最大限度本発明に組み込まれるものとする。添付図面と組み合わせて下記の実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例はいかなる方法によっても本発明を限定するものではない。次に具体化例の実施例および添付図面を用いて本発明の具体化例をさらに詳細に説明するが、その唯一の目的は本発明を例示することであり、決してその範囲を限定することではない。
【実施例】
【0041】
実験室でリグニンの分離の研究をした試験では、収率の増加および良好な濾過性の両方において肯定的な結果が示された。この試験においては、Varo Millからのブラック・リカーを使用した(30% DS(乾燥物質))。このリカー2リットルに100gのNaSOを加えた。ブラック・リカーの流れの30%をリグニンの沈澱段階で処理し、すべての回収ボイラー灰をこの流れに加えたと仮定すれば、これは合理的な量であるとすべきである。80℃においてpH約9.6でCOを用いてブラック・リカーを酸性化した。酸性化の後、30分間スラリを連続的に撹拌しながら放置し、その後これを濾過した。NaSOを添加しない参照試験を同じ方法で行った。
【0042】
これらの二つの試験(NaSOを添加した試験としなかった試験)に対し、沈澱段階における収率を決定した(従来公知の方法により)。NaSOを添加した場合、収率(%)は6.3ポイントだけ増加した(pH約9.6で同じ沈澱を生じる場合60.5%から66.8%へ増加)。比濾過抵抗値として表された濾過性も、参照試験に対する1.6・1010からNaSOを添加した場合の6.9・10へと劇的に改善された。
【0043】
以上本発明の種々の具体化例を説明したが、当業界の専門家は本発明の範囲内に入ると思われる副次的な変更を行うことができる。本発明の範囲および領域は上記の例示的ないずれの具体化例によっても限定されるべきではなく、添付特許請求の範囲およびそれと同等な事項によってのみ限定されるべきである。例えば上記に説明したどの方法も他の公知方法、例えばブラック・リカーのようなリグニンを含む液体/スラリからリグニンを分離
するための他の公知方法と組み合わせることができる。本発明の範囲内に入る他の態様、利点、および変更は、本発明に関与する当業界の専門家には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】硫酸塩の方がリグニンの沈澱/凝固に対し文献から期待されるよりも良好な結果をもたらすことを示唆する図。ここでは塩化物と硫酸塩とが比較されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーからリグニンを沈澱させる方法であって、次の段階:
(a)硫酸塩または硫酸イオンを含んで成る1種またはそれ以上の化合物、または該化合物を含んで成る混合物を該液体/スラリに添加し、
(b)酸性化によって該液体/スラリのpHレベルを調節し、
(c)該液体/スラリを脱水し、これによってリグニン生成物、または中間的なリグニン生成物を得る段階を含んで成る、上記方法。
【請求項2】
段階(c)はフィルター・プレス装置の中で行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
段階(a)の添加は、回収ボイラー灰、またはNaSO、CaSO、KSO、AlSO、硫酸鉄、および/またはMgSO、好ましくはNaSOを加えることにより行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
段階(b)においてpHレベルを調節した後に混合を行なうことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
段階(b)においてpHレベルを約9.5以下、好ましくは約pH6以下、最も好ましくは1〜4の範囲に調節することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
COを使用しpHレベルを調節することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
リグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーの性質に依存して温度は20〜100℃の間で変化することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
段階(c)からの濾液を、好ましくは再アルカリ化を行った後、回収システムに直接再循環させることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
リグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーからリグニンを分離する方法であって、次の段階:
(i)硫酸塩または硫酸イオンを含んで成る1種またはそれ以上の化合物、または該化合物を含んで成る混合物を該液体/スラリに添加し、該液体/スラリを酸性化し、しかる後これを脱水することによりリグニンを沈澱させ、
(ii)リグニンのフィルター・ケーキを懸濁させて第2の懸濁液をつくり、pHレベルをほぼ洗浄水のpHレベルに調節し、
(iii)該第2の懸濁液を脱水し、
(iv)洗浄水を加え、pHに劇的な勾配が生じないようにして多少とも一定の条件下において置き換え洗浄を行い、
(v)段階(iv)でつくられたフィルター・ケーキを高度に乾燥するまで脱水し、該フィルター・ケーキの中に残った洗浄液を置き換え、これによってリグニン生成物または中間的なリグニン生成物を得る段階を含んで成る、上記方法。
【請求項10】
段階(i)の添加は、回収ボイラー灰、またはNaSO、CaSO、KSO、AlSO、硫酸鉄、および/またはMgSO、好ましくはNaSOを加えることにより行われることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項11】
段階(i)において酸性化を行った後混合を行なうことを特徴とする請求項9記載の方
法。
【請求項12】
COを使用して酸性化することにより段階(i)においてpHレベルを調節することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項13】
リグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーの性質に依存して温度は20〜100℃の間で変化することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項14】
段階(i)および/または(iii)の脱水はフィルター・プレスキ装置の中で行い、この際残ったリグニンを含む液体/スラリ、例えばブラック・リカーを除去するために、フィルター・ケーキの中にガスまたはガス混合物、好ましくは煙道ガス、空気または蒸気、最も好ましくは空気または過熱した蒸気を吹き込むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項15】
段階(i)においてpHレベルを約9.5以下、好ましくは約pH6以下、最も好ましくは1〜3.5の範囲に調節することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項16】
洗浄水のpHレベルは約9.5以下、好ましくは約pH6以下、最も好ましくは1〜3.5の範囲であることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項17】
段階(i)で得られたフィルター・ケーキを段階(ii)に記載されたように懸濁させる前に、例えば煙道ガス、好ましくは空気または過熱した蒸気であることができる空気および蒸気を含むガスまたはガスの混合物を使用して該フィルター・ケーキの中に吹き込むことを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項18】
好ましくは多価のアルカリ土類金属イオン、最も好ましくはカルシウムイオンを用いることによりpHレベルの調節をイオン強度の調節と組み合わせることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項19】
イオン強度の調節と組み合わされたpHレベルの調節は洗浄液のpHレベルおよびイオン強度に対応していることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
第1の脱水段階(i)からの濾液を、好ましくは再アルカリ化を行った後、回収システムへ直接循環させることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項21】
段階(v)におけるフィルター・ケーキの中に残った洗浄液を空気または煙道ガス、好ましくは回収ボイラー、石灰窯、またはバーク・ボイラーからの煙道ガスを用いて除去することを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項22】
洗浄液および段階(iii)における第2の脱水からの濾液の一部を再スラリ化の段階工程(ii)に戻し、酸および水の消費をさらに減少させることを特徴とする請求項9記載の方法。
【請求項23】
請求項1〜8のいずれか一つに記載された方法で得られるリグニン生成物または中間的なリグニン生成物。
【請求項24】
請求項9〜22のいずれか一つに記載された方法で得られるリグニン生成物または中間的なリグニン生成物。
【請求項25】
熱または化学的な供給原料をつくるための請求項23または24記載のリグニン生成物
または中間的なリグニン生成物の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2008−516100(P2008−516100A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535638(P2007−535638)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【国際出願番号】PCT/SE2005/001453
【国際公開番号】WO2006/038863
【国際公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【出願人】(507088831)リグノブースト・エービー (1)
【Fターム(参考)】