説明

リストバンド

【課題】手首等に巻き付け可能としながらも情報を印字する場合にその製造効率を向上させることができるとともに、非接触情報記録手段が内蔵されている場合に非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことができなくなってしまうことを回避する。
【解決手段】非接触状態にて情報の書き込み及び/または読み出しが可能なインレット5が内蔵されたシート部11と、シート部11の長手方向両端部にそれぞれ連接したシート部12,13とを有し、シート部11とシート部12,13とは、シート部11〜13で略コの字型を形成するように連接し、シート部11が、インレット5が内蔵された領域と、この領域に対して略コの字型の内側に配置され、シート部12,13とは分離された領域とが、シート部11の長手方向に延びた山折り予定線19にて山折り可能に連続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手首や足首等に装着して使用されるリストバンドに関し、特に、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能な非接触情報記録手段が内蔵されたリストバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、病院等において、検査や治療のために入院する患者の手首や足首にリストバンドを装着させ、このリストバンドを用いて患者を識別、管理することが行われている。この場合、リストバンドの表面に、患者の氏名や血液型、受診科目、病棟名、あるいは患者を識別するためのバーコード情報を印字しておき、この情報を肉眼あるいはバーコードリーダで読み取ることによって、患者を識別、管理している(例えば、特許文献1参照。)。また、近年では、上述したように患者を識別可能な情報が印字されたリストバンドに、非接触状態にて情報の書き込み及び読み出しが可能なICシートを取り付け可能に構成されたものも考えられている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−363808号公報
【特許文献2】特開2005−287663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したリストバンドは、手首や足首に巻き付けて装着するものであるため、細長い帯状形状となっている。そのため、表面に情報を印字するプリンタにおいては、情報を印字する記録媒体の搬送幅の制限等から、帯状形状の長手方向を搬送方向としてリストバンドを搬送しながら情報を印字していくこととなる。
【0005】
このように、帯状形状の長手方向を搬送方向としてリストバンドを搬送しながら情報を印字する場合、プリンタにおける印字幅が非常に狭いものとなり、製造効率が著しく悪い。そこで、帯状のリストバンドを複数本並べて配置して搬送しながら情報を印字していくことが考えられるが、その場合、並べられた複数本のリストバンドが同時に搬送されることになるため、リストバンドを、1本等、並べられた本数未満だけ必要とする場合に無駄なリストバンドが生じてしまうという問題点がある。
【0006】
また、上述したように、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能な非接触情報記録手段が内蔵されているものにおいては、リストバンドが手首や足首に装着された場合に非接触型情報記録手段が手首や足首の表面に近接対向することになるため、手首や足首が汗等で濡れている場合、その水分によって、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことができなくなってしまう虞れがある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、手首や足首に巻き付けることにより装着可能としながらもその表面に情報を印字する場合にその製造効率を向上させることができるとともに、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しが可能な非接触情報記録手段が内蔵されている場合に非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことができなくなってしまうことを回避することができるリストバンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
非接触状態にて情報の書き込み及び/または読み出しが可能な非接触情報記録手段が内蔵された帯状の第1のシート部と、該第1のシート部の長手方向両端部にそれぞれ連接した帯状の第2及び第3のシート部とを有し、前記第2のシート部と前記第3のシート部とが接合されることにより環状となるリストバンドにおいて、
前記第1のシート部と前記第2及び第3のシート部とは、当該第1、第2及び第3のシート部で略コの字型を形成するように連接しており、
前記第1のシート部は、前記非接触情報記録手段が内蔵された第1の領域と、該第1の領域に対して前記略コの字型の内側に配置され、前記第2及び第3のシート部とは分離された第2の領域とが、当該第1のシート部の長手方向に延びた折り曲げ予定線にて折り曲げ可能に連続していることを特徴とする。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、互いに連接した帯状の第1、第2及び第3のシート部からリストバンドが構成され、この第1、第2及び第3のシート部が、略コの字型を形成するように連接しているので、リストバンドに情報を印字する場合に、リストバンドの長さ分リストバンドを搬送する必要がなくなり、製造効率が向上することになる。また、第1のシート部には、非接触状態にて情報の書き込み及び/または読み出しが可能な非接触情報記録手段が内蔵されているが、この第1のシート部の長手方向両端部に、第2及び第3のシート部が、第1、第2及び第3のシート部で略コの字型を形成するようにそれぞれ連接しているので、このリストバンドを手首や足首に装着して第2のシート部と第3のシート部とを接合させることにより環状とすると、第1のシート部が手首や足首の表面に対して起立した状態となる。そのため、このリストバンドを手首や足首に装着した場合、非接触情報記録手段が手首や足首に近接対向した状態とはならず、手首や足首が汗等で濡れている場合であっても、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことができなくなってしまうことが回避される。また、リストバンドを環状とする際、第1のシート部の第1の領域と第2の領域とを折り曲げ予定線にて折り曲げると、非接触情報記録手段が内蔵された第1の領域が手首や足首の表面に対して起立した状態となりながらも、第1の領域に対して略コの字型の内側に配置された第2の領域が手首や足首の表面に対向当接するので、リストバンドの装着による違和感を軽減することができる。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明においては、リストバンドを構成する第1、第2及び第3のシート部が、略コの字型を形成するように連接している構成としたため、手首や足首に巻き付けることにより装着可能としながらもその表面に情報を印字する場合にその製造効率を向上させることができる。また、第1のシート部には、非接触状態にて情報の書き込み及び/または読み出しが可能な非接触情報記録手段が内蔵されているが、この第1のシート部の長手方向両端部に、第2及び第3のシート部が、第1、第2及び第3のシート部で略コの字型を形成するようにそれぞれ連接している構成としたため、このリストバンドを手首や足首に装着して第2のシート部と第3のシート部とを接合させることにより環状とすると、第1のシート部が手首や足首の表面に対して起立した状態となり、それにより、手首や足首が汗等で濡れている場合であっても、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことができなくなってしまうことを回避することができる。また、第1のシート部が、非接触情報記録手段が内蔵された第1の領域と、第1の領域に対して略コの字型の内側に配置され、第2及び第3のシートとは分離された第2の領域とが、第1のシート部の長手方向に延びた折り曲げ予定線にて折り曲げ可能に連続している構成としたため、第1の領域と第2の領域とを山折り予定線にて山折りにした状態でこのリストバンドを手首や足首に装着すると、非接触情報記録手段が内蔵された第1の領域が手首や足首の表面に対して起立した状態となりながらも、第1の領域に対して略コの字型の内側に配置された第2の領域が手首や足首の表面に対向当接することとなり、それにより、リストバンドの装着による違和感を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のリストバンドの実施の一形態を示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はB−B’断面図である。
【図2】図1に示したリストバンドの使用方法を説明するための図である。
【図3】図1に示したリストバンドが実際に手首に装着された状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は手首に装着された状態のリストバンド1の側面方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明のリストバンドの実施の一形態を示す図であり、(a)は全体の構成を示す図、(b)は(a)に示したA−A’断面図、(c)はB−B’断面図である。
【0014】
本形態は図1に示すように、表面シート3と支持シート4とが非接触情報記録手段であるインレット5を挟んで粘着剤6によって貼着されて構成され、支持シート4が擬似貼着層7を介して台紙2に剥離可能に貼着されている。この擬似貼着層7は、2層構造のフィルムを用いて剥離可能とするものや、自己のみが貼着可能な材料によって構成されている。
【0015】
このように台紙2に剥離可能に貼着されたリストバンド1は、帯状の第1のシート部11、第2のシート部12及び第3のシート部13からなり、シート部11の長手方向両端部に、シート部12,13が、シート部11〜13で略コの字型を形成するように連接して構成されている。
【0016】
インレット5は、帯状形状を具備するアンテナ15と、このアンテナ15に接続されたICチップ14とを有し、シート部11に内蔵されている。アンテナ15は、シート部11の長手方向に延びるように配置されており、外部から照射される電波に共振して電流が流れ、この電流がICチップ14に供給されることにより、ICチップ14に対する情報の書き込みや読み出しが非接触状態にて行われる。
【0017】
シート部11は、上述したようにインレット5を内蔵し、シート部11〜13で形成される略コの字型の外側に膨らむように湾曲している。また、シート部12,13との連接部分には、略コの字型の内側からシート部11の幅方向中央部に向かって切り込まれたスリット21a,21bがそれぞれ形成されており、そのスリット21a,21bの端部には、表面シート3から支持シート4まで貫通したアンカー穴22a,22bがそれぞれ形成されている。そして、この2つのアンカー穴22a,22bを結ぶ線を折り曲げ予定線である山折り予定線19として山折り可能となっている。すなわち、シート部11は、この山折り予定線19を介して、略コの字型の外側がインレット5を内蔵した第1の領域となり、略コの字型の内側がスリット21a,21bによってシート部12,13とは分離された第2の領域となり、これら第1の領域と第2の領域とが山折り予定線19にて山折り可能に連続している。
【0018】
シート部12は、長手方向両端部のうち、シート部11との連接側とは反対側の端部に、シート部12の長手方向に直交する方向に山折り予定線18を介して突出した突出部17が設けられている。また、複数の孔部16aがその長手方向に並んで形成されており、突出部17にも孔部16cが形成されている。この孔部16a,16cは、表面シート3、支持シート4及び台紙2に貫通している。
【0019】
シート部13は、複数の孔部16bがその長手方向に並んで形成されており、この孔部16bは、表面シート3、支持シート4及び台紙2に貫通している。
【0020】
以下に、上記のように構成されたリストバンド1の使用方法について説明する。
【0021】
まず、情報を印字可能であるとともにICチップ14に対して情報の書き込みが可能なプリンタを用いて、リストバンド1が台紙2に貼着された状態において、表面シート3のシート部11となる領域に情報を印字するとともに、インレット5のICチップ14に情報を書き込む。例えば、病院等において、検査や治療のために入院する患者の手首や足首にこのリストバンド1を装着させて使用する場合、表面シート3のシート部11の部分に、患者の氏名や血液型等を印字するとともに、この患者の氏名や血液型、受診科目、病棟名等の患者に関する情報をICチップ14に書き込む。この際、台紙2にリストバンド1が装着された状態においては、リストバンド1を構成する3つのシート部11〜13が、略コの字型を形成するように連接しているため、リストバンド1全体で細長い帯状形状となっておらず、それにより、リストバンド1をその長手方向に搬送しながら情報を印字する必要がなくなり、製造効率が向上する。また、このように表面シート3に対する情報の印字とICチップ14に対する情報の書き込みとを1つの装置にて行うことにより、表面シート3に印字された情報と、ICチップ14に書き込まれた情報とのマッチングミスを防止することができる。
【0022】
このようにして表面シート3に情報が印字されるとともにICチップ14に情報が書き込まれたリストバンド1は、台紙2から剥離され、上述したように、例えば、病院等において患者の手首や足首に装着されて使用されることになる。なお、台紙2に貼着されたリストバンド1は、上述したように、支持シート4が擬似貼着層7によって台紙2の貼着されているため、台紙2から剥離することができる。
【0023】
図2は、図1に示したリストバンド1の使用方法を説明するための図である。
【0024】
台紙2から剥離したリストバンド1を手首や足首に装着する場合は、まず、図2(a)に示すように、シート部11を山折り予定線19にて山折りにする。シート部11は、3つのシート部11〜13によって形成される略コの字型の山折り予定線19を介して内側となる領域が、スリット21a,21bによってシート部12,13から分離しているため、山折り予定線19にて山折りにすることができる。
【0025】
次に、3つのシート部11〜13が手首や足首に巻き付くようにし、そして、図2(b)に示すように、シート部12とシート部13とを長手方向の向きが反対となるように、かつ、シート部12の裏面とシート部13の表面とが対向するように重ね合わせる。この際、装着する手首や足首の太さに合わせて、シート部12に形成された孔部16aとシート部13に形成された孔部16bとが重なり合うようにする。
【0026】
そして、図2(c)に示すように、シート部12の突出部17を山折り予定線18にて折り畳み、シート部12と突出部17との間にシート部13を挟み込む。すると、突出部17に形成された孔部16cが、互いに重なり合った孔部16a,16bと重なり合う。この状態で、重なり合った3つの孔部16a〜16cに貫通するようにクリップ等を挿入して2つのシート部12,13を接合し、リストバンド1を手首や足首の周囲にて環状にする。このように、シート部12と突出部17との間にシート部13を挟み込んだ状態で2つのシート部12,13を接合すると、シート部13の一方の側辺が、突出部17が山折りされる辺の内側に当接し、それにより、シート部13のシート部12に対する相対角度がシート部12とシート部13とが一直線上に並ぶように固定され、シート部12に対してシート部13がクリップ等による接合部分を中心として図中矢印にて示す方向に回転してしまうことがなくなる。
【0027】
図3は、図1に示したリストバンド1が実際に手首に装着された状態を示す図であり、(a)は外観図、(b)は手首に装着された状態のリストバンド1の側面方向から見た図である。
【0028】
図1に示したリストバンド1は、上述したように、ICチップ14及びアンテナ15を有するインレット5が内蔵されたシート部11の長手方向両端部に2つのシート部12,13が、3つのシート部11〜13で略コの字型を形成するようにそれぞれ連接して構成されているため、図2に示したように環状にして手首8に装着すると、図3(a)に示すように、ICチップ14及びアンテナ15を有するインレット5が内蔵されたシート部11が、手首8の表面に対して起立した状態となる。そのため、シート部11に内蔵されたインレット5が、このリストバンド1が装着された手首8の表面に近接対向した状態とはならず、それにより、リストバンド1が装着された手首8が汗等で濡れている場合であっても、インレット5において、非接触状態にて情報の書き込みや読み出しを行うことができなくなってしまうことが回避される。
【0029】
また、上述したようにシート部11は手首8の表面に対して起立した状態となるが、シート部11が、長手方向に延びた山折り予定線19にて山折り可能に構成されており、3つのシート部11〜13によって形成される略コの字型の山折り予定線19を介して外側にインレット5が内蔵され、山折り予定線19を介して内側が、スリット21a,21bによってシート部12,13から分離しているため、シート部11を山折り予定線19にて山折りにした状態でこのリストバンド1を手首8に装着すると、インレット5が内蔵された領域が手首8の表面に対して起立した状態となりながらも、図3(b)に示すように、山折り予定線19を介して内側が手首8の表面に対向当接することとなり、それにより、リストバンド1の装着による違和感を軽減することができる。
【0030】
なお、本形態においては、シート部11において、インレット5が内蔵された第1の領域と、この第1の領域に対して3つのシート部11〜13からなる略コの字型の内側に配置され、シート部12,13とは分離された第2の領域とが、シート部11の長手方向に延びた山折り予定線19にて山折り可能に連続しているが、シート部11の第1の領域と第2の領域とは、山折りではなく谷折り可能に連続していてもよく、すなわち、折り曲げ予定線にて折り曲げ可能に連続していればよい。
【0031】
また、本形態においては、シート部11に連接した2つのシート部12,13に形成された孔部16a〜16cに貫通するようにクリップ等を挿入することにより、2つのシート部12,13を接合させるものを例に挙げて説明したが、2つのシート部12,13を接合させる手段はこれに限らず、2つのシート部12,13の一方に突起を設けるとともに他方にこの突起が嵌め込まれる孔部を設け、この突起を孔部に嵌め込むことによって2つのシート部12,13を接合させるもの等、様々なものが考えられる。
【0032】
また、本形態においては、表面シート3のうち、シート部11となる部分に情報を印字しているが、孔部16a〜16cを避けるようにすれば、表面シート3のうち他のシート部12,13となる部分に情報を印字してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 リストバンド
2 台紙
3 表面シート
4 支持シート
5 インレット
6 粘着剤
7 擬似貼着層
8 手首
11〜13 シート部
14 ICチップ
15 アンテナ
16a〜16c 孔部
17 突出部
18,19 山折り予定線
21a,21b スリット
22a,22b アンカー穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触状態にて情報の書き込み及び/または読み出しが可能な非接触情報記録手段が内蔵された帯状の第1のシート部と、該第1のシート部の長手方向両端部にそれぞれ連接した帯状の第2及び第3のシート部とを有し、前記第2のシート部と前記第3のシート部とが接合されることにより環状となるリストバンドにおいて、
前記第1のシート部と前記第2及び第3のシート部とは、当該第1、第2及び第3のシート部で略コの字型を形成するように連接しており、
前記第1のシート部は、前記非接触情報記録手段が内蔵された第1の領域と、該第1の領域に対して前記略コの字型の内側に配置され、前記第2及び第3のシート部とは分離された第2の領域とが、当該第1のシート部の長手方向に延びた折り曲げ予定線にて折り曲げ可能に連続していることを特徴とするリストバンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−229580(P2010−229580A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76326(P2009−76326)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【出願人】(505083335)株式会社ジクシス (6)
【Fターム(参考)】