説明

リッドディスペンサー

【課題】飲料用カップの蓋として使用されるリッドを高さ方向に積み重ねた状態で収容し、この収容されたリッドを1枚ずつ取り出すようにしたリッドディスペンサーであって、動力を使用せず、衛生的且つ確実にリッドを一枚ずつ払い出すことができる構造であって、故障も少なく、低コストで提供でき、使い勝手にも優れたリッドディスペンサーを提供する。
【解決手段】リッドRを高さ方向に積み重ねてなるリッド列Lを収納する筒体3と、該筒体3の下方開口の下部に設けられた収納室4と、該収納室4に水平移動可能に設けられたリッドセパレータ5と、該収納室4の下部に設けられたリッド取出口6とを備え、リッドセパレータ5はリッド列Lの最下位のリッドR1の両側縁を支持する一対のアーム16、16と、該一対のアーム間にて最下位の1枚のリッドR1を落下させる広幅開口部28と、最下位から2枚目のリッドR2の下部を支持する爪片とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーやジュース等の飲料用カップの蓋として使用されるリッドを高さ方向に積み重ねた状態で収容し、この収容されたリッドを必要に応じて1枚ずつ取り出すようにしたリッドディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コーヒーやジュース等の飲料用カップの蓋として、紙リッドや合成樹脂製リッド等が用いられている。これらのリッドの形状は、飲料用カップの上端周部に嵌合する周縁とその内部に凸形状を有し(図7のリッドRを参照)、カップ式飲料自動販売機の外部に設けられたリッド供給器に収容されているものである。従来のリッド供給器は、桶状の容器にリッドが収容されたものであり、そのリッドを購入者自身の手で選び取ることにより提供される。
【0003】
ところが、上記のリッド供給器は、容器の蓋を開放したとき、外部のゴミや埃が容器内に落下するおそれがあり、容器を覆う蓋だけではゴミや埃が容器内部へ侵入するのを防止できないという欠点があった。また、購入者がリッドを容器内から選び取るとき、選び取ったリッド以外のリッドに汚れた手が触れたり、一旦取り出したリッドを容器に戻すというようなことがあり、使用上、不衛生な構造となっていた。
【0004】
このような不都合を解消するため、特許文献1にカップの蓋を供給する装置が開示されているが、より簡易に、低コストで製造し得る構造のリッドディスペンサーが希求されていた。
【特許文献1】特開2002−150419号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、コーヒーやジュース等の飲料用カップの蓋として使用されるリッドを高さ方向に積み重ねた状態で収容し、この収容されたリッドを必要に応じて1枚ずつ取り出すようにしたリッドディスペンサーであって、動力を使用せず、衛生的、且つ確実にリッドを一枚ずつ払い出すことができる構造であって、故障も少なく、低コストで提供でき、使い勝手にも優れたリッドディスペンサーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1のリッドディスペンサーは、外周に周縁を有するリッドを高さ方向に積み重ねてなるリッド列を収納する筒体と、該筒体の下方開口の下部に設けられた収納室と、該収納室に水平移動可能に設けられたリッドセパレータと、該収納室の下部に設けられたリッド取出口とを備え、リッドセパレータはリッド列の最下位の周縁を両側で支持する一対のアームと、該一対のアーム間にて最下位の1枚のリッドを落下させる広幅開口部と、最下位から2枚目のリッドの下部を支持する爪片とを有し、リッドセパレータを移動することによって、前記リッドセパレータの爪片によって最下位から2枚目のリッドの周縁を両側で支持すると共に、最下位のリッドをリッドセパレータの広幅開口部からリッド取出口へ落下させ、さらにリッドセパレータを元の状態に復帰させることによって、残りのリッド列の最下位をリッドセパレータの一対のアームで支持するようにしたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2のリッドディスペンサーは、請求項1において、前記筒体の下方開口付近の内壁に、前記リッドセパレータの一対のアームで支持されたリッド列の最下位のリッドの周縁を支持する支持片が設けられ、筒体内部に収納されたリッド列の最下位のリッドの周縁がリッドセパレータの両側のアームと支持片とによる3点で支持されたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3のリッドディスペンサーは、請求項1又は2において、前記筒体に縦状の開口窓が設けられ、リッド列を縦長のポリ袋に収納した状態で前記筒体の上方開口から内部に収納し、ポリ袋の下部を開口窓から切り裂いて、該ポリ袋を前記筒体の上部から引き出して除去するようにしたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4のリッドディスペンサーは、請求項1、2又は3において、前記収納室にて移動自在に設けられたリッドセパレータには、前記収納室の奥部を支点としてリッドセパレータの押し込み動作に反発するスプリングが設けられたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5のリッドディスペンサーは、請求項1、2、3又は4において、前記筒体に収納されたリッド列の上部にリッド押圧体が載置され、該リッド押圧体は水平部材の四隅にアングル材を固定してなり、リッド押圧体に線材で連結されたバランサが筒体の上端に線材を引掛けた状態で外部に吊り下げられると共に、筒体内部のリッドが品切れとなった状態で、前記リッド押圧体のアングル材が前記リッドセパレータの爪片に係止されることによって該リッドセパレータの移動を停止するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6のリッドディスペンサーは、請求項1、2、3、4又は5において、前記リッド取出口を構成する室内に上方から落下してきた一枚のリッドを反転させる支点部材が設けられたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項7のリッドディスペンサーは、請求項1、2、3、4、5又は6において、前記リッド取出口の底部には出口に向かって高くなる勾配を有する受皿面が設けられたことを特徴とする。
【0013】
さらに、本発明の請求項8のリッドディスペンサーは、請求項1、2、3、4、5、6又は7において、前記筒体は角筒体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
上記の本発明において、請求項1のリッドディスペンサーによれば、筒体の内部に多数のリッドを積み重ねた状況で収納することができ、また、そのリッドを1枚ずつ確実にリッド取出口から取り出すことが可能となる。従って、購入者が他のリッドに触れることなく、リッドを取り出すことができ、リッドを衛生的に使用することが可能となる。しかも、簡単な構造であるため、故障も少なく、低コストで提供することが可能となる。
【0015】
また、本発明の請求項2のリッドディスペンサーによれば、筒体内部に収納されたリッド列の最下位の周縁がリッドセパレータの両側のアームと支持片とによる3点で支持されたことによって、安定した支持構造を得ることが可能となる。これは、筒体の内部に多数積み重ねられたリッドが、その重量で下方のリッドが撓み、最下位付近のリッドが複数枚一度に落下したりするという不都合を解消するのに有益である。
【0016】
また、本発明の請求項3のリッドディスペンサーによれば、リッド列を縦長のポリ袋に収納した状態で筒体の上方開口から内部に収納することができるため、リッドの充填作業が容易であり、ポリ袋の下部を開口窓から引き出することによって簡単に除去することができ、さらに筒体に収納されたリッドを縦状の開口窓から目視で確認することがき、リッドの残量を容易に判別することが可能となる。
【0017】
また、本発明の請求項4のリッドディスペンサーによれば、収納室の奥部を支点として、リッドセパレータの押し込み動作に反発するスプリングが設けられているため、リッドセパレータの押し込み動作を行った後、リッドセパレータを押し込んだ際の手を離しさえすれば、元の状態に復帰するという利便性を有するものである。
【0018】
また、本発明の請求項5のリッドディスペンサーによれば、筒体に収納されたリッド列の上部にリッド押圧体が載置され、このリッド押圧体に線材で連結されたバランサが筒体の上端に線材を引掛けた状態で外部に吊り下げられているため、筒体の内部で積み重ねられたリッドの残量枚数が変化しても安定した押圧力を付与することができ、しかも筒体内部のリッドが品切れとなった状態で、リッド押圧体のアングル材がリッドセパレータの爪片に係止されることによって該リッドセパレータの移動を停止することができるため、それによって、購入者はリッドの品切れを知ることが可能となる。
【0019】
また、本発明の請求項6のリッドディスペンサーによれば、リッド取出口を構成する室内に上方から落下してきた一枚のリッドを反転させる支点部材が設けられているため、筒体の内部に、個々のリッドの内部を上向きにした状態で積み重ねていたとき、リッド取出口へはリッドの内部を伏せた状態に反転して落下するため、ゴミや埃等がリッドの内部に付着することがなく、衛生的に使用することが可能となる。
【0020】
さらに、本発明の請求項7のリッドディスペンサーによれば、リッド取出口の底部には出口に向かって高くなる勾配を有する受皿面が設けられているため、上記のように上方から落下してきたリッドがリッド取出口の外方に飛び出さないようにすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
本実施例のリッドディスペンサー1は、コーヒーやジュース等の飲料用カップの蓋として使用されるリッドRを高さ方向に積み重ねた状態で収容し、この収容されたリッドRを必要に応じて1枚ずつ取り出すことを可能としたものである。
【0023】
本実施例によるリッドディスペンサー1の全体構成は、図1又は図2に示すように、リッドRを高さ方向に積み重ねてなるリッド列Lを収納する筒体3と、筒体3の下方開口の下部に設けられた収納室4と、収納室4に水平移動可能に設けられたリッドセパレータ5と、収納室4の下部に設けられたリッド取出口6とを備えてなるものである。
【0024】
また、本実施例のリッドディスペンサー1は、縦長の筐体2の内部に構成されている。この筐体2は、互いに平行に配設された両側の側板7、7と、底板8と、背面板9とを備え、両側の側板7、7間の奥まった位置に前面板10が固定されている。
【0025】
本実施例の筒体3は、上記の前面板10と両側の側板7、7と背面板9とで囲まれた横断面が四角形の枠体からなる角筒体とされている。ただし、この筒体3は、他の筒形状により構成してもよい。また、図1又は図2に示すように、筒体3の上方開口は蓋板11によって閉塞されている。この蓋板11は、図2に示すように背面板9の上端にヒンジ12で開閉自在に枢設され、蓋板11の端部に設けられた係止部材13を筐体2側に設けられた鍵部材14に係止することにより(図3参照)、店員等の特定の者が所有している所定のキー(不図示)で施錠をすることができ、またこのキーで施錠を解除して蓋板11を開けることができるものとされている。
【0026】
また、図2に示すように筒体3の下部の収納室4には、後述するリッドセパレータ5が設けられ、このリッドセパレータ5によって、多数のリッドRを高さ方向に積み重ねてなるリッド列Lを支持する構成としている。また、筒体3の前面板10には、縦状の開口窓10a(図1参照)が設けられ、リッド列Lを縦長のポリ袋15に収納した状態で筒体3の上方開口から内部に投下することによって充填することができる。そして、筒体3に収納された状態のポリ袋15の下部15aを開口窓10aから引き出すことによってポリ袋15を除去することができ、筒体3の内部に多数のリッドRが積み重ねられた状態となる。また、このように筒体3の内部にリッド列Lを収納した状態において、筒体3の前面板10の開口窓10aから内部のリッドRの残量を目視で確認することが可能となる。
【0027】
なお、上記のように、所定枚数のリッドRをポリ袋15の内部に積み重ねた状態において、各リッドRは、図7に示すように開口側ROを上方に向けて配列されている。従って、各リッドRの周縁Fは上側に位置するものとなる。
【0028】
また、リッド列Lを筒体3の内部に収容する以前の状態においては、衛生上又は保管、運搬上の理由から、リッドRを所定枚数積み重ねて縦長のポリ袋15に閉封した状態で収容してあるため、作業者はリッド列Lをポリ袋15に収納した状態で筒体3の内部に一度に充填することができるため、作業者の手がリッドRに触れることがなく、衛生的に充填作業を行うことができる。その状態で、筒体3のポリ袋15の下部を開口窓10aから切り裂いて、該ポリ袋15を筒体3の上方開口から引き出すことにより、衛生的且つ容易にポリ袋15を筒体3内から除去することができる。なお、このようなポリ袋15の除去作業は、筒体3内のポリ袋15の上部を開封し、筒体3の開口窓10aからポリ袋15の下部を引き出す方法でもよい。
【0029】
ここで、本実施例のリッドセパレータ5について説明すると、図5(a)又は(b)に示すように、リッドセパレータ5は、離間した両側に一対のアーム16、16を有することにより平面形状がコ字形をなし、一対のアーム16、16の繋ぎ部17の中央には下部に突出したプッシュボタン18が外方に向けて各アーム16と平行に延びた状態で固設されている。また、図5(a)に示すように、プッシュボタン18に設けられた内腔18aには、スプリング19の端部が挿着され、スプリング19の端部は一対のアーム16、16間に自由端を向けた状態とされている。
【0030】
さらに、リッドセパレータ5の繋ぎ部17の上部には長尺のストッパ20が固設されている。このストッパ20は、図3に示すように、リッドセパレータ5を収納室4内の奥方へ収納した状態で収納室4の入口部を化粧板37で固定することにより(図1参照)、ストッパ20が化粧板37に係止された状態となって、購入者等がリッドセパレータ5を外方へ取り出すことができない構造とすることができる。
【0031】
このようなリッドセパレータ5は、上記したように筒体3の下部に設けられた収納室4に水平移動自在に収納される。この収納室4は、図4(a)、(b)に示すように、筒体3の下部にて筒体3の前面板10の下端から前方に延びた上板21を有し、その下部にリッドセパレータ5の一対のアーム16、16を挿入し得る上下幅を有して中間板22が固設されている。
【0032】
この中間板22は、筐体2の両側の側板7、7に沿って奥方向に向けて幅細に形成された延長板23、23を有し、これらの両側の延長板23、23の間は、平行状態のリッドRを余裕で通過することができる離間幅C(図4(a)参照)を有するように形成されている。また、この中間板22の前方中央にはリッドセパレータ5のプッシュボタン18を奥方向に挿通させるための溝型の案内室24を有し、この案内室24の両側に側板25、25を固設すると共に、該案内室24の下部には、筐体2の両側の側板7、7間に固設された下板26が設けられている。さらに、上記の案内室24の奥部には奥板27が固設され、この奥板27にリッドセパレータ5に設けられた後述するスプリング19の先端が当接してスプリング19を弾発させることとなる。
【0033】
上記のリッドセパレータ5について、より詳細に述べると、図5(b)に示すように、一対のアーム16、16の各アーム16の先部は、互いに内側に向けて幅広に形成された係止部16a、16aを有することにより、これらの両側の係止部16a、16aの離間幅Aよりも繋ぎ部17の近傍に形成された広幅開口部28の離間幅Bのほうが大きいものとされている。
【0034】
このようなリッドセパレータ5の一対のアーム16、16と、1枚のリッドRの関係について述べると、図6(a)に示すように、リッドRの周縁Fの両側が一対のアーム16、16の各係止部16a、16aに支持され、後述するようにリッドセパレータ5の水平移動によって、一対のアーム16、16の繋ぎ部17の近傍の広幅開口部28がリッドRの下方に移動したとき、リッドRは広幅開口部28にて両側の支持を失い、下方へ落下することとなる。
【0035】
また、図5(a)に示すように、リッドセパレータ5の一対のアーム16、16における各アーム16、16の略中間位置には爪片29、29が固定されている。夫々の爪片29は、上部が互いに内側に向けて延長された延長部29aを有し、両側の爪片29の離間幅は、一対のアーム16、16の各先部の係止部16a、16aの離間幅Aと略同様に形成され、このため両側の爪片29、29の各延長部29a、29aの上部にリッドRの周縁Fの両側を支持することが可能とされている。
【0036】
また、夫々の爪片29、29は、図7に示すように、リッドRを積み重ねた状態で最下位のリッドR1の周縁Fの両側を一対のアーム16、16の係止部16a、16aで支持した状態で、爪片29の各延長部29a、29aが最下位から2枚目のリッドR2の下部に挿入されることによって最下位のリッドR1と最下位から2枚目のリッドR2とを切り離し、且つ爪片29の延長部29aが最下位から2枚の目のリッドR2を下方から支持するものとされている。
【0037】
上記の構成により、図4(a)のように収納室4から取り外した状態のリッドセパレータ5を、図4(b)に示すように収納室4の内部に挿入すると、一対のアーム16、16は上板21と中間板22の間に挿入されると共に、リッドセパレータ5のプッシュボタン18は案内室24に挿入され、リッドセパレータ5が左右にぶれないように規制された状態で水平移動を行うことが可能となる。また、リッドセパレータ5のスプリング19は案内室24に挿入され、スプリング19の自然状態でスプリング19の先端が奥板27に当接された状態となる。
【0038】
この状態で、図6(a)に示すように、リッドセパレータ5の一対のアーム16、16は、その先端の係止部16a、16aで筒体3に収納されたリッド列Lの最下位のリッドR1の周縁Fの両側を支持する。この状態でプッシュボタン18をスプリング19の弾力に抗して押し込むと、図6(b)及び図7に示すように、両側の爪片29の延長部29aがリッド列Lの最下位から2枚目のリッドR2の下部に挿入され、この最下位から2枚目のリッドR2と最下位のリッドR1とを切り離した状態で、最下位から2枚目のリッドRの周縁Fの両側を支持することとなる。また、このように最下位から2枚目のリッドR2を両側の爪片29、29の延長部29a、29aで支持すると同時に、切り離された最下位のリッドR1は一対のアーム16、16間の広幅開口部28に位置して、周縁Fの両側に対する支持を失い、自重で筐体2の下部のリッド取出口6に落下する。
【0039】
また、上記によって両側の爪片29、29の延長部29a、29aによって支持されていたリッド列Lの最下位から2枚目のリッドR2は、リッド列Lの最下位のリッドR1となり、図6(a)に示すように、リッドセパレータ5を元の状態に復帰させることによって、一対のアーム16、16の係止部16a、16aで支持するように移行する。このようにリッドセパレータ5を元の状態に復帰させる作業は、上記のように、リッドセパレータ5に、収納室4の奥部(奥板27)を支点としてリッドセパレータ5の押し込み動作に反発するスプリング19が設けられているため、プッシュボタン18を押していた手を離すだけで、リッドセパレータ5を元の状態に復帰することが可能となる。
【0040】
さらに、本実施例においては、図3に示すように、筒体3の下方開口付近の内壁、即ち背面板9の内側に、リッドセパレータ5の一対のアーム16、16の係止部16a、16aで支持されたリッド列Lの最下位のリッドR1の周縁Fを支持する支持片35が設けられている。この支持片35は、後述するように、リッドRの周縁Fの一箇所を支持し、またリッドRを下方へ滑り落す必要があるため、該支持片35の端部を湾曲状に形成するのが好ましい。このような構成により、筒体3内部に収納されたリッド列Lの最下位のリッドRの周縁Fが両側のアーム16、16の各係止部16a、16aと支持片35とによる3点で支持される構成となる。これにより、多数のリッドRが積み重ねられることによって、その重量で最下位のリッドR1にたわみが生じ、一対のアーム16、16による支持から離脱して、その間に落下することを防止することができ、上記のように両側のアーム16、16の各係止部16a、16aと支持片35とによる3点でリッド列Lの最下位のリッドR1の周縁Fを支持することによって、安定した支持状態とすることが可能となる。
【0041】
また、本実施例においては、図3に示すように、筒体3に収納されたリッド列Lの上部にリッド押圧体31が載置されている。このリッド押圧体31は四角形平面による水平部材31aの四隅にて下方に突出するアングル材31b、31b…が固設されてなり、リッド押圧体31に線材32で連結されたバランサ33が、筒体3の背面板9の上端に線材32を引掛けた状態で外部に吊り下げられると共に、筒体3内部のリッドRが品切れになると、リッド押圧体31のアングル材29がリッドセパレータ5の爪片29に係止されることによって該リッドセパレータ5の移動を停止し、筒体3内のリッドRが品切れであることを認識できるようにしている。
【0042】
また、本実施例においては、図3に示すように、リッド取出口6を構成する室内に上方から落下してきた一枚のリッドRを反転させる支点部材36が設けられている。この支点部材36は、図4(a)に示すように、筐体2の両側側板7、7間に固定された棒状の形状を有するが、板状の部材で構成してもよい。この支点部材36によって、リッド取出口6の室内に上方の筒体3から落下してきた個々のリッドRを反転させることができるため、上記のように筒体3の内部に個々のリッドRの内部を上向きにした状態で積み重ねていたとき、リッド取出口6へはリッドRの内部を伏せた状態に反転して落下し、ゴミや埃等がリッドRの内部に付着することがなく、衛生的に使用することが可能となる。
【0043】
さらに、本実施例においては、図3又は図4に示すように、リッド取出口6の底部には底板8上に出口に向かって高くなる勾配を有する受皿面34が設けられているため、上記のように筒体3の内部から落下してきたリッドRがリッド取出口6の外方に飛び出さないようにすることが可能となる。また、この受皿面34の上面に沿って複数のリブ34a、34a…が離間して設けられ、受皿面34上に落下したリッドRが、リブ34a、34a…に支持されることによって、リッドRのリブ34a、34a…に対する接触面積が極小箇所に限定された状態となり、より衛生的な使用が可能となる。
【0044】
なお、上記の本実施例において、1枚のリッドRは、図5(b)に示すように円形の周縁Fを有し、その内部の隆起部Raにはストロー(不図示)を挿入するための穴Rhが形成された構成とされているが、本実施例においては、ストローを挿入するための穴Rhは必ずしも必要ではなく、周縁Fを有するリッドRの形状であれば、本発明によるリッドディスペンサー1を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のリッドディスペンサーは、コーヒーやジュース等のカップ式自動販売機の近傍に設置したり、飲料店の店頭に設置したりして、動力を使用せず、衛生的且つ確実にリッドを一枚ずつ払い出すことができ、故障も少なく、低コストで提供でき、使い勝手にも優れたリッドディスペンサーとして利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明によるリッドディスペンサーの全体斜視図である。
【図2】本発明によるリッドディスペンサーの縦断面図である。
【図3】本発明によるリッドディスペンサーの縦断面図(一部省略)であり、リッドをリッド取出口へ落下する際の状況を示す。
【図4】(a)は本発明によるリッドディスペンサーの収納室からリッドセパレータを取り出した状況を示す部分斜視図であり、(b)はリッドディスペンサーの収納室へリッドセパレータを挿着した状況を示す部分斜視図である。
【図5】(a)は本発明によるリッドセパレータの前方斜視図であり、(b)は本発明によるリッドセパレータの上面図である。
【図6】本発明によるリッドセパレータの平面図であり、(a)はリッドセパレータを押し込む前の状況を示し、(b)はリッドセパレータを押し込んだ状況を示す。
【図7】本発明において、多数のリッドを積み重ねたリッド列をリッドセパレータで支持した状況を示す概略正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1 リッドディスペンサー
2 筐体
3 筒体
4 収納室
5 リッドセパレータ
6 リッド取出口
7 側板
8 底板
9 背面板
10 前面板
10a 開口窓
11 蓋板
12 ヒンジ
13 係止部材
14 鍵部材
15 ポリ袋
16 アーム
17 繋ぎ部
18 プッシュボタン
18a 内腔
19 スプリング
20 ストッパ
21 上板
22 中間板
23 延長板
24 案内室
25 側板
26 下板
27 奥板
28 広幅開口部
29 爪片
29a 延長部
30 奥板
31 リッド押圧体
31a 水平部材
31b アングル材
32 線材
33 バランサ
34 受皿面
34a リブ
35 支持片
36 支点部材
37 化粧板
A 係止部の離間幅
B 広幅開口部の離間幅
C 延長板間の離間幅
F 周縁
L リッド列
R リッド
R1 最下位のリッド
R2 最下位から2枚目のリッド
RO 開口側
Rh 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周に周縁を有するリッドを高さ方向に積み重ねてなるリッド列を収納する筒体と、該筒体の下方開口の下部に設けられた収納室と、該収納室に水平移動可能に設けられたリッドセパレータと、該収納室の下部に設けられたリッド取出口とを備え、リッドセパレータはリッド列の最下位の周縁を両側で支持する一対のアームと、該一対のアーム間にて最下位の1枚のリッドを落下させる広幅開口部と、最下位から2枚目のリッドの下部を支持する爪片とを有し、リッドセパレータを移動することによって、前記リッドセパレータの爪片によって最下位から2枚目のリッドの周縁を両側で支持すると共に、最下位のリッドをリッドセパレータの広幅開口部からリッド取出口へ落下させ、さらにリッドセパレータを元の状態に復帰させることによって、残りのリッド列の最下位をリッドセパレータの一対のアームで支持するようにしたことを特徴とするリッドディスペンサー。
【請求項2】
前記筒体の下方開口付近の内壁に、前記リッドセパレータの一対のアームで支持されたリッド列の最下位のリッドの周縁を支持する支持片が設けられ、筒体内部に収納されたリッド列の最下位のリッドの周縁がリッドセパレータの両側のアームと支持片とによる3点で支持されたことを特徴とする請求項1記載のリッドディスペンサー。
【請求項3】
前記筒体に縦状の開口窓が設けられ、リッド列を縦長のポリ袋に収納した状態で前記筒体の上方開口から内部に収納し、ポリ袋の下部を開口窓から切り裂いて、該ポリ袋を前記筒体の上部から引き出して除去するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のリッドディスペンサー。
【請求項4】
前記収納室にて移動自在に設けられたリッドセパレータには、前記収納室の奥部を支点としてリッドセパレータの押し込み動作に反発するスプリングが設けられたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のリッドディスペンサー。
【請求項5】
前記筒体に収納されたリッド列の上部にリッド押圧体が載置され、該リッド押圧体は水平部材の四隅にアングル材を固定してなり、リッド押圧体に線材で連結されたバランサが筒体の上端に線材を引掛けた状態で外部に吊り下げられると共に、筒体内部のリッドが品切れとなった状態で、前記リッド押圧体のアングル材が前記リッドセパレータの爪片に係止されることによって該リッドセパレータの移動を停止するようにしたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のリッドディスペンサー。
【請求項6】
前記リッド取出口を構成する室内に上方から落下してきた一枚のリッドを反転させる支点部材が設けられたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載のリッドディスペンサー。
【請求項7】
前記リッド取出口の底部には出口に向かって高くなる勾配を有する受皿面が設けられたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載のリッドディスペンサー。
【請求項8】
前記筒体は角筒体であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載のリッドディスペンサー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−178534(P2008−178534A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−13992(P2007−13992)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000223193)東罐興業株式会社 (90)
【出願人】(507025490)株式会社代沢工芸 (1)