説明

リニアアクチュエータ

【目的】 本考案はリニアアクチュエータに関し、特に、直線動作の極微小変位(1/100mm)を制御することを目的とする。
【構成】 本考案によるリニアアクチュエータは、本体部(1)に設けられた可撓性のハウジング(10)の両端にロッドエンド部(13,14)を設け、モータ(5)、ウォームギヤ(4)、ウォームホイール軸(2)及びナット(15)を介してこのハウジング(10)の横方向(A)移動を行い、各ロッドエンド部(13,14)のリニア動作における極微小変位を得る構成である。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、リニアアクチュエータに関し、特に、直線動作の極微小変位(1/100mm)を制御するための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、用いられていたこの種のリニアアクチュエータとしては、文献を開示していないが、一般に、モータの回転出力をギヤトレイン及びジャッキスクリュウ等で減速させ、このジャッキスクリュウに接続された出力軸を作動させていた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
従来のリニアアクチュエータは、以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。
すなわち、モータの回転をギヤトレインとジャッキスクリュウを介して減速させ、出力軸(ロッドエンド部)の直線動作を行っていたため、この直線動作の精度はこのギヤトレインとジャッキスクリュウのギヤ比及び精度によるもので、このギヤ比以上に細かい直線移動を得ることは不可能であり、例えば、極微小変位(1/100mm)を得ることは全く不可能であった。
【0004】
本考案は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、直線動作の極微小変位(1/100mm)を制御するようにしたリニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本考案によるリニアアクチュエータは、互いに連動するウォームギヤ及びウォームホイール軸を内蔵した本体部と、前記本体部に設けられ前記ウォームギヤを駆動するためのモータと、前記本体部の外側に設けられ可撓性の長手形状をなすハウジングと、前記ハウジングの中央に保持され前記ウォームホイール軸と螺合するナットと、前記ハウジングの両端に設けられたロッドエンド部とを備え、前記ウォームホイール軸の回転により前記ナット及びハウジングを介して前記ロッドエンド部を移動させる構成である。
【0006】
さらに詳細には、前記モータには回転検出器が接続されている構成である。
【0007】
さらに詳細には、前記ハウジングは、プラスチックよりなると共に1対の板状をなす構成である。
【0008】
【作用】
本考案によるリニアアクチュエータにおいては、モータによりウォームギヤを介してウォームホイール軸を回転させると、ナットを介してハウジングの中央を横方向に移動させることができる。このハウジングの中央の横方向によってハウジングは可撓性であるが故にこのハウジングの両端に設けられた出力軸としての各ロッドエンドが直線方向に沿って移動(出入)させることができる。従って、この各ロッドエンドは、ハウジングの可撓性により、ナット、ウォームホイール軸及びウォームギヤのギヤ比以上の細かい作動(例えば、1/100mm)を得ることができる。
【0009】
【実施例】
以下、図面と共に本考案によるリニアアクチュエータの好適な実施例について詳細に説明する。
図1及び図2において符号1で示されるものは全体形状がほぼ箱形をなす本体部であり、この本体部1内には、ウォームホイール軸2を有するウォームホイール3と、このウォームホイール3に噛合するウォームギヤ4とが内蔵され、このウォームギヤ4はモータ5のギヤトレイン6によって駆動されるように構成されている。前記ギヤトレイン6には回転検出器7が接続され、モータ5の回転数を検出している。
【0010】
前記本体部1の長手方向の両端に設けられた1対のガイド棒8には、この本体部1の外側に位置するプラスチックからなる可撓性のハウジング10が作動自在に設けられ、このハウジング10は1対の板状のハウジング片10a,10bからなると共に、この各ハウジング片10a,10bの両端は結合部11,12に結合されている。
【0011】
前記各結合部11,12には、出力軸としてのロッドエンド部13,14が接続されており、このロッドエンド部13,14には図示しない被駆動体が接続されるように構成されている。
【0012】
前記各ハウジング片10a,10bの中央には、前記ウォームホイール軸2に螺合するナット15が各々保持されており、このウォームホイール軸2の回転によって各ナット15を介しこの各ハウジング片10a,10bが横方向Aに沿って移動することができるように構成されている。
【0013】
次に、前述の構成において、本考案によるリニアアクチュエータを動作させる場合について述べる。
まず、モータ5を介して、ウォームホイール3、ウォームホイール軸2、ウォームギヤ4及びナット15を回転させると、各ハウジング片10a,10bの中央が横方向Aの何れかの側に向けて移動するため、この移動により、各ハウジング片10a,10bを介して各結合部11,12が横方向Aと直交する軸方向Bに沿って移動する。
前述各結合部11,12に設けられた各ロッドエンド部13,14が軸方向Bに沿って出入し、この各ロッドエンド部13,14に接続された被駆動体(図示せず)の直線動作を行うことができる。なお、前述の各ハウジング片10a,10bは可撓性を有しているため、ナット15とウォームホイール軸2によって横方向Aに移動する各ハウジング片10a,10bの可撓的な動作により極めて微細な極微小変位(1/100mm)の動きを各ロッドエンド部13,14に与えることができる。
【0014】
【考案の効果】
本考案によるリニアアクチュエータは、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
すなわち、モータで駆動されるウォームギヤとウォームホイール軸の動作をナット及び各ハウジング片を介してロッドエンド部を作動させるようにしているため、このハウジングの各ハウジング片による可撓性により各ロッドエンド部の極微小変位(1/100mm)を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案によるリニアアクチュエータを示す一部断面付き正面図である。
【図2】図1のA−A線の断面図である。
【符号の説明】
1 本体部
2 ウォームホイール軸
4 ウォームギヤ
5 モータ
10 ハウジング
10a,10b ハウジング片
13,14 ロッドエンド部
15 ナット

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 互いに連動するウォームギヤ(4)及びウォームホイール軸(2)を内蔵した本体部(1)と、前記本体部(1)に設けられ前記ウォームギヤ(4)を駆動するためのモータ(5)と、前記本体部(1)の外側に設けられ可撓性の長手形状をなすハウジング(10)と、前記ハウジング(10)の中央に保持され前記ウォームホイール軸(2)と螺合するナット(15)と、前記ハウジング(10)の両端に設けられたロッドエンド部(13,14)とを備え、前記ウォームホイール軸(2)の回転により前記ナット(15)及びハウジング(10)を介して前記ロッドエンド部(13,14)を移動させる構成としたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】 前記モータ(5)には回転検出器(7)が接続されていることを特徴とする請求項1記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】 前記ハウジング(10)は、プラスチックよりなると共に1対の板状をなすハウジング片(10a,10b)からなることを特徴とする請求項1又は2記載のリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】第3004613号
【登録日】平成6年(1994)9月14日
【発行日】平成6年(1994)11月22日
【考案の名称】リニアアクチュエータ
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−5754
【出願日】平成6年(1994)5月25日
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)