説明

リフティングマグネット

【課題】吸着磁力のオン、オフ状態を安定的に維持し、吸着運搬作業を簡便に行うことができるリフティングマグネットを提供する。
【解決手段】本発明は、ハウジングと;ハウジングに回転自在に収容され、相互対応する磁極を備えた一対の永久磁石部と回転軸を有する回転磁石部と;回転磁石部を取り囲み、回転磁石部を介在して相互対向する一対の永久磁石部とを有し、回転磁石部の回転位置によって着磁状態と解磁状態を現す固定磁石部を有するリフティングマグネットに関し、回転軸に結合されるピニオンと;ハウジングに対して所定の昇降ストローク内で昇降運動するソケットと;ピニオンと噛み合うラック歯形部を有し、昇降ストローク内で昇降し、上死点で着磁状態となり、下死点で解磁状態となるようにピニオンを回転させる昇降スライダーと;ソケットと昇降スライダーのうちのいずれか一つに備えられる係止部と;ソケットと昇降スライダーのうちの他の一つに設けられ、係止部に係止及び係止解除可能なロッキング部を有し、ロッキング部が係止部にかかった状態でソケットと昇降スライダーが一体で昇降可能にするロッキング部材と;ソケットの第1昇降時にロッキング部を係止部から係止解除し、ソケットの第2昇降時にロッキング部が係止部にかかるようにロッキング部材を交互的に駆動するロッキング部材駆動部とを含むことを特徴とする。これによって、吸着磁力のオン、オフ状態を安定的に維持して、吸着運搬作業を簡便に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフティングマグネットに関し、より詳しくは、永久磁石の磁力を利用して鉄板などの製品を運ぶリフティングマグネットに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、リフティングマグネットはハウジングの中央部に回転磁石が回転軸上に設置され、ハウジングの内部両側には回転磁石に対応する固定磁石が設置され、回転磁石を一側方向に回転させる場合には、回転磁石と固定磁石が同一磁極で対応されてハウジングから吸着磁力が発生するようになり、回転磁石を他側方向に回転させる場合には、回転磁石と固定磁石が互いに異なる磁極で対応されて吸着磁力が相殺されるように構成されている。そのため、リフティングマグネットをクレーンなどのような運搬装置に設置して重量物の鉄板を磁力によって吸着及び運搬することができる。
【0003】
このようなリフティングマグネットが、大韓民国特許公開第1998−72201号公報に開示されている。
従来のリフティングマグネットは、回転磁石が固定された回転軸の中央部にピニオンを設置し、ハウジングの内部中央を通じて昇降可能に挿入される作動部にはピニオンと噛み合うラックを設置することによって、作動部の昇降によって回転磁石がピニオンと共に180°の角度で回転し、リフティングマグネットの吸着磁力が自動でオン、オフするように構成されている。
【0004】
また、従来のリフティングマグネットは、作動部の下降時にピニオンが回転軸に対して自転できるように、回転軸の中央部に別途の連結軸棒を設置し、その連結軸棒上にピニオンと一体で形成される円筒体をベアリングと共に設置し、円筒体の内部には弾性片を備える係止部と、係止部にかかるカム体及びカム体と一体で形成された円板をそれぞれ回転軸の回転方向を考慮して設置し、回転軸の一端には吸着磁力のオンまたはオフ状態を維持させるためにラチエット形態の磁極固定円板がストッパー装置と共に設置されている。
【0005】
ところが、従来のリフティングマグネットでは吸着磁力がオフ状態にセッティングされて、リフティングマグネットが地面に置かれている最初の状態でリフティングマグネットをクレーンに連結して持ち上げれば、リフティングマグネット自体の自重によって作動部が先に上昇すると同時に、その即時リフティングマグネットの吸着磁力がオン状態になるので、リフティングマグネットの周辺に存在する各種異物がリフティングマグネットの表面に付着して、リフティングマグネットによる鉄板の吸着力が低下され、鉄板の円滑な吸着運搬に差し支えをもたらし、特に吸着磁力のオン、オフのセッティングが作動部の上昇時にだけ行われるので、作業者がリフティングマグネットの状態を正確に把握して鉄板の運搬作業を遂行することが困難であるという問題点がある。
【0006】
また、吸着磁力がオン状態にセッティングされた場合には、回転磁石と固定磁石が互いに同一磁極で対応されて回転磁石と固定磁石の間に強い反発力が作用するようになり、回転磁石が回転軸を中心に吸着磁力のオフ側に回転しようとする大きな力を受けるのに、回転軸の一方向回転はピニオンがラックに噛み合っているので回転が不可能になるが、他側方向への自由回転はストッパー装置のスプリング力によってだけ統制されているため、吸着磁力のオン状態が非常に不安定に維持されて作業者の安全に大きな危険要素になるという問題点がある。
【0007】
そして、ストッパー装置の場合、ラックの上昇時にはピニオンを円滑に回転させて、吸着磁力のオン状態ではピニオンの回転ができないようにつかまなければならないという全く相反する2つの目的を同時に果たさなければならないので、ストッパー装置の確かな作動を保障することが難しいだけでなく、ストッパー装置が外部に露出されているため、クレーンを使用してリフティングマグネットで鉄板を吸着及び運搬させる過程で、リフティングマグネットの激しい揺れやその他の障害物との衝突によりストッパー装置による係止状態が解除され易くなったり、ストッパー装置自体が破損され易いため、リフティングマグネットに吸着された鉄板が落下する恐れがある。
【0008】
また、回転磁石の磁極が固定磁石の磁極と偏心するように設置したが、これは吸着磁力のオン状態時にリフティングマグネットから発生する吸着磁力の低下をもたらすだけでなく、吸着磁力のオフ時にも吸着磁力が完全なオフ状態になれず、リフティングマグネットにある程度の吸着磁力が残存する結果をもたらすことによって、鉄板の吸着時にいつも異物が鉄板と共に吸着され、吸着力の低下による安全の危険をもたらす恐れがある。
【0009】
【特許文献1】大韓民国特許公開第1998−72201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明の目的は、吸着磁力のオン、オフ状態を安定的に維持し、吸着運搬作業を簡便に行うことができるリフティングマグネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、ハウジングと;前記ハウジングに回転自在に収容され、相互対応する磁極を具備した一対の永久磁石部と回転軸を有する回転磁石部と;前記回転磁石部を取り囲み、前記回転磁石部を介在して相互対向する一対の永久磁石部とを有し、前記回転磁石部の回転位置によって着磁状態と解磁状態を現す固定磁石部を有するリフティングマグネットにおいて、前記回転軸に結合されるピニオンと;前記ハウジングに対して所定の昇降ストローク内で昇降運動するソケットと; 前記ピニオンと噛み合うラック歯形部を有し、前記昇降ストローク内で昇降し、上死点で着磁状態となり、下死点で解磁状態となうように前記ピニオンを回転させる昇降スライダーと;前記ソケットと前記昇降スライダーのうちのいずれか一つに備えられる係止部と;前記ソケットと前記昇降スライダーのうちの他の一つに設けられ、前記係止部に係止及び係止解除可能なロッキング部を有し、前記ロッキング部が前記係止部にかかった状態で前記ソケットと前記昇降スライダーが一体で昇降可能にするロッキング部材と;前記ソケットの第1昇降時に前記ロッキング部を前記係止部から係止解除し、前記ソケットの第2昇降時に前記ロッキング部が前記係止部にかかるように前記ロッキング部材を交互的に駆動するロッキング部材駆動部とを含むことを特徴とするリフティングマグネットを提供する。
【0012】
ここで、前記ロッキング部材駆動部は、前記ソケットの昇降方向に対して横方向にスライド可能に設けられ、前記ロッキング部材のロッキング部が前記係止部にかかるように前記ロッキング部材に所定の弾性力を提供する弾性部材と;前記弾性部材の弾性力に抵抗し、前記ロッキング部材の前記係止部への移動を阻止する係止位置と、前記ロッキング部材の前記係止部への移動を可能にする解除位置間を移動し、前記ロッキング部材に接触及び離隔するラチエット部材とを含み、前記ラチエット部材は、前記ソケットの第1上昇及び第2下降時に前記係止位置に位置し、前記ソケットの第1下降及び第2上昇時に前記解除位置に位置することが好ましい。
【0013】
また、前記ロッキング部材駆動部は、前記ラチエット部材が前記係止位置に位置するように前記ラチエット部材に所定の弾性力を提供するラチエット部材用弾性部材と;前記ロッキング部が前記係止部から係止解除された状態で前記ソケットの下降によって前記ラチエット部材が前記解除位置に位置するように前記ラチエット部材を加圧するプッシャーとをさらに含むことができる。
【0014】
前記ソケットの外側壁に突出形成された係止突起と;前記係止突起がかかり、前記ソケットの上昇を制限するストッパーとを有し、前記ハウジングに結合されて前記ソケットを昇降可能に支持するソケットケースをさらに含むこともできる。
【0015】
前記ソケットケースに回動自在に結合され、前記ソケットが前記ソケットケースから上昇しないように前記ソケットを前記ソケットケースに結束するバンドをさらに含むこともできる。
【0016】
前記ピニオンと前記昇降スライダーの間に備えられ、前記昇降スライダーの昇降によって前記ラック歯形部と噛み合って回転し、前記ピニオンに回転力を伝達する少なくとも一つのあそび歯車をさらに含むことによって、ピニオンの実質的な回転のための昇降スライダーの昇降ストロークをより長く確保することができ、そのためピニオンとハウジングの底部間に昇降スライダーの移動のための別途の空間を形成しなくても良いので、ハウジングのサイズがコンパクトになることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、吸着磁力のオン、オフ状態を安定的に維持して、吸着運搬作業を簡便に行うことができるリフティングマグネットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して本発明について詳細に説明する。
図1乃至図5に示されているように、本発明によるリフティングマグネット1は、相互対向する一対の側壁部10aと、側壁部10aによって形成された上端開口及び下端開口を閉鎖する上板部10b及び下板部10cで構成されるハウジング10とを有する。側壁部10a、上板部10b、及び下板部10cは非磁性体の材質からなることが好ましい。
【0019】
ハウジング10は、回転磁石部25と固定磁石部27が収容される一対のマグネットハウジング13と、一対のマグネットハウジング13の間に備えられて回転磁石部25を回転駆動させるための後述するピニオン31と昇降スライダー41のラック歯形部49が収容される駆動部ハウジング15を有する。
【0020】
ハウジング10には、単一の回転軸17が一対のマグネットハウジング13と駆動部ハウジング15を横切って回転自在に結合されている。
マグネットハウジング13の内部には多数個の磁性体隔板19が一定の間隔で離隔し、マグネットハウジング13と一体に形成されている。磁性体隔板19はその中央部に沿って設置される図示しない非磁性体板によって前後方側に分割されている。各マグネットハウジング13の両側端に位置する各磁性体隔板19は、一対の側壁部10aと共に筒形状をなす。
【0021】
一方、マグネットハウジング13の中央部を貫く回転軸17には、キー21によって回転軸17に固定される非磁性体材質の円筒体23内部に半円形状を有する一対の永久磁石が分割されて挿入された多数個の回転磁石部25が各磁性体隔板19の間に回転自在に挿入設置され、回転磁石部25と前後方に対応されるマグネットハウジング13の側壁部10aの内側には回転磁石部25を取り囲み、回転磁石部25を介在して相互対向する一対の永久磁石部を有し、回転磁石部25の回転位置によって着磁状態と解磁状態を現す多数個の固定磁石部27が各磁性体隔板19の間に固定設置される。
【0022】
ここで、回転磁石部25を回転軸17と共に一方向に回転させれば、回転磁石部25と固定磁石部27が同一磁極で対応されて磁性体隔板19が磁化、つまり、着磁するので、マグネットハウジング13の底部を通じて吸着磁力が発生するようになる。そのためリフティングマグネット1の吸着磁力がオン状態になる。
【0023】
また、回転磁石部25を回転軸17と共に他方向に回転させれば、回転磁石部25と固定磁石部27が互いに異なる磁極で対応されて磁性体隔板19が磁化されないので、つまり、解磁されるので、マグネットハウジング13から発生する吸着磁力が相殺される。そのためリフティングマグネット1の吸着磁力がオフ状態になる。
【0024】
駆動部ハウジング15の内部には回転軸17に結合されたピニオン31が収容されている。
また、ハウジング10は、ハウジング10の上板部10bを覆うカバー33をさらに有し、カバー33には多数個の貫通孔33aが形成されている。この貫通孔33aにはマグネットハウジング13の磁性体隔板19側に締結されるボルト35が結合され、カバー33はハウジング10の上板部10bに一体に固定される。また、カバー33には昇降スライダー41が駆動部ハウジング15に引出入して昇降するスライダー引出入孔37が貫通形成されている。
【0025】
昇降スライダー41は所定の昇降ストローク内で昇降し、つまり、上死点と下死点の間を昇降し、上死点で回転磁石部25と固定磁石部27が着磁状態を有し、下死点で回転磁石部25と固定磁石部27が解磁状態を有するようにピニオン31を回転させる。昇降スライダー41は内部に後述するラチエット部材プレーム79が挿入されるフレーム挿入部44が形成された本体部43と、本体部43の一端部から延長されてカバー33のスライダー引出入孔37を貫いて駆動部ハウジング15の内部に挿入され、マグネットハウジング13内の回転磁石部25を回転させるようにピニオン31を回転させるラック歯形部49を有する。
【0026】
昇降スライダー41の本体部43の上面には一対の台45が備えられていて、その一対の台45の間には後述するロッキング部材61が引出入可能に支持されるロッキング部材引出入孔47が形成されている。
【0027】
カバー33の上側にはハウジング10に対して所定の昇降ストローク、つまり、上死点及び下死点内で昇降するソケット51が備えられている。ソケット51は両側が開口された四角筒状を有し、内周には昇降スライダー41が挿入されるスライダー挿入部53が形成されている。ソケット51の下部の両外側壁には一対の係止突起55が突出形成されている。
【0028】
一方、ソケット51の上部の一内側壁には、後述するロッキング部材61のロッキング部61aがかかる係止部57が切開形成されている。本実施例における係止部57は、ソケット51の昇降方向に対して横方向に所定の深みだけ陷沒形成されている。
ロッキング部材61は係止部57に係止及び係止解除可能なロッキング部61aを有し、ロッキング部61aが係止部57にかかった状態でソケット51と昇降スライダー41が一体で昇降可能にし、昇降スライダー41のロッキング部材引出入孔47に引出入可能に支持されている。
【0029】
ロッキング部材61は、ロッキング部材駆動部によってソケット51の第1昇降時にロッキング部61aを係止部57から係止解除し、ソケット51の第2昇降時にロッキング部61aが係止部57にかかるように交互的に駆動される。
【0030】
ロッキング部材駆動部は、ロッキング部材61のロッキング部61aが係止部57にかかるようにロッキング部材61に所定の弾性力を提供する弾性部材72と、弾性部材72の弾性力に抵抗してロッキング部材61の係止部57への移動を阻止する係止位置とロッキング部材61の係止部57への移動を可能にする解除位置との間を移動し、ロッキング部材61に接触及び離隔するラチエット部材75とを有する。
【0031】
弾性部材72は、ソケット51の昇降方向に対して横方向にスライド可能に設けられ、ソケット51の第2昇降時にロッキング部61aが係止部57にかかるようにロッキング部材61に所定の弾性力を提供する。 弾性部材72は、ロッキング部材61のロッキング部61aの反対側に位置する端部内にピン73によって支持されている。
【0032】
ラチエット部材75は、カバー33の上部から上方に起立突出したラチエット部材プレーム79に所定の傾斜をなしてヒンジ結合されている。ラチエット部材75の一端部はラチエット部材用弾性部材78によって弾性支持され、ラチエット部材75の他端部、つまり、ラチエット部材75の自由端部にはスィッチピン77が両側に突出されするように備えられている。ここで、ロッキング部材61の下端部にはラチエット部材75の自由端部が接触するように接触溝63がロッキング部材61の移動方向に沿って所定の長さだけ切り取られていることが好ましい。
【0033】
ラチエット部材用弾性部材78は、ラチエット部材75が係止位置に位置するように、つまり、ラチエット部材75がロッキング部材61に接触してロッキング部材61が係止部57に移動しないようにラチエット部材75に所定の弾性力を提供する。
【0034】
また、ロッキング部材駆動部は、ロッキング部61aが係止部57から係止解除された状態でソケット51の下降によってラチエット部材75が解除位置に位置するように、つまり、ラチエット部材75がロッキング部材61から離隔してロッキング部材61が係止部57に移動可能にラチエット部材75を加圧するプッシャー81をさらに有する。プッシャー81はソケット51の上部の両内側壁にプッシャー固定部83とボルト85によって固定され、ソケット51の下降によってラチエット部材75のスィッチピン77を下部に加圧し、ラッチング部材75をロッキング部材61から離隔させる。
【0035】
ここで、本実施例においては、弾性部材72及びラチエット部材用弾性部材78としてコイルスプリングが開示されているが、コイルスプリングの代りに板スプリング、スパイラルスプリングなどが適用されることができる。
【0036】
一方、本発明によるリフティングマグネット1は、ハウジング10に結合されてソケット51を昇降可能に支持するソケットケース91をさらに有する。ソケットケース91の内部にはソケット51が挿入されるソケット挿入部93が形成されており、ソケット挿入部93の上部にはソケット51の係止突起55がかかってソケット51の上昇を制限するストッパー95が備えられている。ここで、ソケット挿入部93のストッパー95を含む上部内側の周りには、ソケット51の昇降による摩擦と騷音を最小化するためにブッシング97が設けられていることが好ましい。また、ソケットケース91は、その下部に結合されるハウジング10の荷重を支持するために補強板99によって補強され、カバー33の上部に密着し底をなす底板101を有する。ソケットケース91の底板101には多数個の貫通孔101aが形成されており、底板101の貫通孔101aとカバー33の締結孔33bを貫通結合する締結ボルト103によって一体に固定され、底板101の中央部にはソケット51をソケット挿入部93に挿入するための開口部(図示せず)が形成されている。
【0037】
また、ソケットケース91の上部には、掛け環113が一体で形成された引き揚げ部111が配置され、引き揚げ部111は、引き揚げ部111の底板115に形成された締結孔115aと、ソケット51の上部に形成された締結孔51aを通じて締結される締結ボルト117によってソケット51と一体に連結される。
【0038】
一方、本発明によるリフティングマグネット1は昇降スライダー41のラック歯形部49とピニオン31の間に備えられ、昇降スライダー41の昇降によってラック歯形部49と噛み合って回転し、ピニオン31に回転力を伝達する第1あそび歯車121及び第2あそび歯車125をさらに有する。
【0039】
第1あそび歯車121は、ラチエット部材プレーム79に回転自在に設けられ、昇降スライダー41のラック歯形部49と噛み合い、ピニオン31と第1あそび歯車121の間にはピニオン31 及び第1あそび歯車121と噛み合う第2あそび歯車125が備えられている。
【0040】
そのため、ピニオン31の回転のための昇降スライダー41の上下移動の幅をより長く確保することができ、ピニオン31と駆動部ハウジング15の下板部10cの間の昇降スライダー41の移動のための別途の空間を形成しなくても、各あそび歯車121、125の回転によってピニオン31と連結された回転軸17を180°の角度で回転させることができるようになる。
【0041】
また、本発明によるリフティングマグネット1は、ソケットケース91に回動可能に結合されて、ソケット51の上端領域を取り囲んでソケット51がソケットケース91から上昇しないようにソケット51をソケットケース91に結束するバンド131をさらに有する。ここで、バンド131は選択的に備わることができる。
【0042】
一方、図面に対する参照番号の説明のうち、説明されていない参照番号121a及び125aはギア軸を示す。
【0043】
このような構成によって、本発明によるリフティングマグネット1の作動過程について説明すれば次の通りである。
【0044】
まず、図6aに示されているように、リフティングマグネット1の吸着磁力がオフ状態にセッティングされてリフティングマグネット1が地面に置かれている最初の状態として、昇降スライダー41のラック歯形部49が駆動部ハウジング15の内部を通じてハウジング10の底部まで下降した状態で置かれると同時に、昇降スライダー41の台45の間に挿入されたロッキング部材61がラチエット部材75によって、説明の便宜上、図面の右側に押されて行くようになり、つまり、ラチエット部材75が係止位置に位置して係止部57にロッキング部61aがかからない状態になっり、 図7aに示されているように、ラチエット部材75のスィッチピン77は、ソケット51の一対のプッシャー81の間に挿入されている状態を有する。
【0045】
また、ラチエット部材75を引っ張っているラチエット部材用弾性部材78の弾性力と、ロッキング部材61を弾性支持する弾性部材72の弾性力によって、ロッキング部材61が係止部57に向けて移動可能に設置されているが、図6aに示された状態では、ロッキング部材61が昇降スライダー41の台45の間で2点支持されており、ラチエット部材75の自由端部がヒンジ結合部を中心に上部側、つまり、説明の便宜上、図面の左側方向への回転が不可能であるため、ロッキング部材61が台45の外部を通じて自ら抜け出ることができなくなる。
【0046】
このような状態で、掛け環113をロープなどを利用してホイストやクレーンなどのような運搬装置に連結してリフティングマグネット1を1次上昇させれば、図6bに示されているように、リフティングマグネット1の自重によって引き揚げ部111と一体で連結されたソケット51だけが引き揚げ部111と共に上昇するようになり、ソケット51とロッキングされない昇降スライダー41は上昇されない状態を維持し、リフティングマグネット1の吸着磁力がオフ状態を維持する。この時、図7bに示されているように、ラチエット部材75は係止位置に位置すると同時に、ラチエット部材75のスィッチピン77はソケット51の一対のプッシャー81から離隔するようになる。
【0047】
そして、引き揚げ部111と共にソケット51を上昇させ続ければ、ソケット51の係止突起55がソケットケース91のストッパー95にかかって、引き揚げ部111とソケット51と昇降スライダー41を含んだソケットケース91と、その下側のハウジング10が共に上昇して、リフティングマグネット1の全体を上昇させることができるようになり、このように上昇されたリフティングマグネット1を運搬しようとする鉄板の上面に移送させた後、リフティングマグネット1を鉄板の上面に安着させる。
【0048】
次に、リフティングマグネット1が運搬しようとする鉄板の上面に安着すれば、ハウジング10が鉄板の上面に一次的に置かれ、続いてソケット51を引き揚げ部111と共にソケットケース91に沿って、図6cに示されているように、1次下降させる。この時、ソケット51が下降する過程で、図7c乃至図7eに示されているように、プッシャー81がラチエット部材75のスィッチピン77を下部に加圧するようになり、そのためロッキング部材61を支持していたラチエット部材75が下部側で回転する。
【0049】
このように、プッシャー81によってラチエット部材75が下部側に回転すれば、ラチエット部材75が解除位置に位置し、つまり、ラチエット部材75の自由端部がロッキング部材61の接触溝63から抜け出てラチエット部材75によるロッキング部材61の係止が解除され、そのためロッキング部材61のロッキング部61aが弾性部材72の弾性力によって台45のロッキング部材引出入孔47を通じて昇降スライダー41の外側に突出し、ソケット51の係止部57にかかる。
【0050】
次いで、ロッキング部材61のロッキング部61aが係止部57にかかった状態で、リフティングマグネット1を運搬しようとする鉄板の上面に安着した後、ホイストやクレーンのような運搬装置を利用してリフティングマグネット1を2次上昇させれば、リフティングマグネット1の自重によって引き揚げ部111とソケット51がまず上昇するが、この時ラチエット部材75がロッキング部材61と離隔した状態で、つまり、ラチエット部材75が解除位置状態でロッキング部材61のロッキング部61aが係止部57にかかっているので、図6dに示されているように、引き揚げ部111とソケット51と昇降スライダー41が同時に上昇するようになる。
【0051】
ソケット51と昇降スライダー41が共に上昇すれば、昇降スライダー41のラック歯形部49と噛み合う第1あそび歯車121 及び第2あそび歯車125の回転によって回転軸17に結合されたピニオン31が回転をし、ソケット51の係止突起55がソケットケース91のストッパー95にかかる時点、つまり、昇降ストロークの上死点でピニオン31が180°の角度で回転して、回転磁石部25と固定磁石部27は相互同一磁極で対応される着磁状態、つまり、マグネットハウジング13から吸着磁力が発生するリフティングマグネット1のオン状態になる。
【0052】
そのため、リフティングマグネット1の吸着磁力がオン状態にセッティングされると同時に、リフティングマグネット1の底部に位置していた鉄板がマグネットハウジング13から発生する吸着磁力によってマグネットハウジング13と一体に付着し、運搬装置を利用して上昇させ続ければ、鉄板がリフティングマグネット1と共に上昇して鉄板を所望の場所に運搬させることができるようになる。
【0053】
続けて、リフティングマグネット1で鉄板を吸着して所望の場所に鉄板を運んだ後、リフティングマグネット1を鉄板と共に下ろせば、鉄板が地面と先に接触した後、ソケット51が昇降スライダー41と共にソケットケース91に沿って2次下降する。この時、ラチエット部材75の自由端部がラチエット部材用弾性部材78によって図面の左側方向に回転した状態なので、図6eに示されているように、ラチエット部材75のスィッチピン77がプッシャー81によって加圧されず、ラチエット部材75の自由端部だけがロッキング部材61の接触溝63に収容され、ラチエット部材75はロッキング部材61を支持する。つまり、ラチエット部材75は係止位置に位置する。
【0054】
また、 ソケット51が昇降スライダー41と共に2次下降することによって昇降スライダー41のラック歯形部49が各あそび歯車121、125及びピニオン31を2次上乗時とは反対方向に回転させ、ソケット51が昇降スライダー41と共に2次下降して引き揚げ部111の底板115がソケットケース91の上面に安着すれば、図6aに示されているように、昇降スライダー41のラック歯形部49がハウジング10の下板部10cまで下降してピニオン31及び回転軸17を上昇時とは反対方向に180°の角度で回転させることによって、下死点で回転磁石部25と固定磁石部27が相互異なる磁極で対応される解磁状態、つまり、マグネットハウジング13から吸着磁力が発生しない初期のリフティングマグネット1のオフ状態に復元される。
【0055】
一方、このような状態で運搬装置を利用してリフティングマグネット1を再上昇させれば、リフティングマグネット1の初期状態と同様に引き揚げ部111と一体で連結されたソケット51だけが上昇し、昇降スライダー41は上昇しないようになって、リフティングマグネット1の吸着磁力がオフ状態で維持されてリフティングマグネット1が鉄板と分離され、このように鉄板と分離されたリフティングマグネット1を前述した順序で作動して鉄板を持続的に吸着運搬させることができる。また、鉄板の運搬作業を完了し、リフティングマグネット1を地面に下ろした後、昇降スライダー41とソケット51のみを元の場所から1/2 くらいの高さで1回昇降させれば、リフティングマグネット1を図6aに示されている最初のオフ状態で保管することができるようになる。この時、バンド131によってソケット51の上端の一領域を取り囲み、ソケット51とソケットケース91を結束して、ソケット51がソケットケース91から上昇しないようにすることが好ましい。
【0056】
一方、前述した実施例では、ピニオン31と昇降スライダー41のラック歯形部49の間に一対のあそび歯車121、125が備えられていることと説明しているが、図8に示されているように、ピニオンとラック歯形部の間にあそび歯車を備えず、ピニオン31とラック歯形部49を直接噛み合うように備えることもできる。
【0057】
このように、本発明によるリフティングマグネットは、最初の吸着磁力のオフ状態でリフティングマグネットを上昇させる場合、ソケットだけが上昇して吸着磁力のオフ状態を維持させ、運搬しようとする鉄板の上面にリフティングマグネットを下ろした後、リフティングマグネットをまた上昇させれば、ソケットが昇降スライダーと共に上昇して吸着磁力をオン状態にセッティングさせるようになり、リフティングマグネットを鉄板と共に下ろすことによって昇降スライダーとソケットが同時に下降して吸着磁力をオフ状態にセッティングさせた後、リフティングマグネットをまた上昇させれば、ソケットだけが上昇して吸着磁力がオフ状態で維持されるので、リフティングマグネットのオン、オフ状態を鉄板の吸着運搬に最も適合した形態で自動操作できるようになって、鉄板の運搬作業をより效率的で容易に遂行することができるようになる。
【0058】
また、吸着磁力がオフ状態にセッティングされてリフティングマグネットが地面に置かれている最初の状態でリフティングマグネットを上昇させる場合、その即時吸着磁力がオン状態にセッティングされないので、鉄板の吸着運搬の前にマグネットハウジング側に異物が付着することを遮断させることができ、そのため鉄板の吸着運搬作業を安定的に遂行することができ、作業者の安全を図ることにも寄与することができる。
【0059】
そして、吸着磁力のオン、オフセッティングを正確に行うことができ、吸着磁力のオン状態で回転軸及び回転磁石部の流動が全然発生しないようになって、吸着磁力のオン状態を安定的に維持させることができる。
【0060】
一方、前述した実施例では、係止部がソケットに備えられ、昇降スライダーにロッキング部材が備えら得ることと説明しているが、係止部をロッキング部材に備えると同時にロッキング部材をソケットに備えることもできる。
【0061】
そして、前述した実施例では、一つのリフティングマグネットを利用して鉄板を吸着移送することと説明しているが、図示されていないH形状鋼や鉄棒の下端部にシャックルのような連結手段を多数個で固定させ、そのそれぞれの連結手段に本発明のリフティングマグネットを連結させた後、クレーンのような運搬装置を利用してH形鋼や鉄棒をリフティングマグネットと共に上昇させることによって、H形鋼や鉄棒の下端部に設けられた多数個のリフティングマグネットが同時に作動するようにして、一つのリフティングマグネットで吸着移送が難しい広幅の鉄板を容易に移送させることもできる。
【0062】
本発明によれば、吸着磁力のオン、オフ状態を安定的に維持して、吸着運搬作業を簡便に行うことができるリフティングマグネットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明によるリフティングマグネットの分解斜視図である。
【図2】図1の結合斜視図である。
【図3】図2の正断面図である。
【図4】図2の平断面図である。
【図5】図3のV−V線による断面図である。
【図6a】本発明によるリフティングマグネットの作動過程を段階的に示した側断面図である。
【図6b】本発明によるリフティングマグネットの作動過程を段階的に示した側断面図である。
【図6c】本発明によるリフティングマグネットの作動過程を段階的に示した側断面図である。
【図6d】本発明によるリフティングマグネットの作動過程を段階的に示した側断面図である。
【図6e】本発明によるリフティングマグネットの作動過程を段階的に示した側断面図である。
【図7a】本発明によるリフティングマグネットのラチエット部材とプッシャーの作動過程を段階的に示した縦断面図である。
【図7b】本発明によるリフティングマグネットのラチエット部材とプッシャーの作動過程を段階的に示した縦断面図である。
【図7c】本発明によるリフティングマグネットのラチエット部材とプッシャーの作動過程を段階的に示した縦断面図である。
【図7d】本発明によるリフティングマグネットのラチエット部材とプッシャーの作動過程を段階的に示した縦断面図である。
【図7e】本発明によるリフティングマグネットのラチエット部材とプッシャーの作動過程を段階的に示した縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施例によるリフティングマグネットの要部正断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 リフティングマグネット
10 ハウジング
13 マグネットハウジング
25 回転磁石部
27 固定磁石部
31 ピニオン
41 昇降スライダー
49 ラック歯形部
51 ソケット
57 係止部
61 ロッキング部材
75 ラチエット部材
111 引き揚げ部
121、125 あそび歯車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと;前記ハウジングに回転自在に収容され、相互対応する磁極を具備した一対の永久磁石部と回転軸を有する回転磁石部と;前記回転磁石部を取り囲み、前記回転磁石部を介在して相互対向する一対の永久磁石部とを有し、前記回転磁石部の回転位置によって着磁状態と解磁状態を現す固定磁石部を有するリフティングマグネットにおいて、
前記回転軸に結合されるピニオンと;
前記ハウジングに対して所定の昇降ストローク内で昇降運動するソケットと;
前記ピニオンと噛み合うラック歯形部を有し、前記昇降ストローク内で昇降し、上死点で着磁状態となり、下死点で解磁状態となるように前記ピニオンを回転させる昇降スライダーと;
前記ソケットと前記昇降スライダーのうちのいずれか一つに備えられる係止部と;
前記ソケットと前記昇降スライダーのうちの他の一つに設けられ、前記係止部に係止及び係止解除可能なロッキング部を有し、前記ロッキング部が前記係止部にかかった状態で前記ソケットと前記昇降スライダーが一体で昇降可能にするロッキング部材と;
前記ソケットの第1昇降時に前記ロッキング部を前記係止部から係止解除し、前記ソケットの第2昇降時に前記ロッキング部が前記係止部にかかるように前記ロッキング部材を交互的に駆動するロッキング部材駆動部とを含むことを特徴とするリフティングマグネット。
【請求項2】
前記ロッキング部材駆動部は、前記ソケットの昇降方向に対して横方向にスライド可能に設けられ、前記ロッキング部材のロッキング部が前記係止部にかかるように前記ロッキング部材に所定の弾性力を提供する弾性部材と;
前記弾性部材の弾性力に抵抗し、前記ロッキング部材の前記係止部への移動を阻止する係止位置と、前記ロッキング部材の前記係止部への移動を可能にする解除位置との間を移動し、前記ロッキング部材に接触及び離隔するラチエット部材とを含み、
前記ラチエット部材は、前記ソケットの第1上昇及び第2下降時に前記係止位置に位置し、前記ソケットの第1下降及び第2上昇時に前記解除位置に位置することを特徴とする請求項1に記載のリフティングマグネット。
【請求項3】
前記ロッキング部材駆動部は、前記ラチエット部材戸が前記係止位置に位置するように、前記ラチエット部材 に所定の弾性力を提供するラチエット部材用弾性部材と;
前記ロッキング部が前記係止部から係止解除された状態で、前記ソケットの下降によって前記ラチエット部材が前記解除位置に位置するように前記ラチエット部材を加圧するプッシャーとをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載のリフティングマグネット。
【請求項4】
前記ソケットの外側壁に突出形成された係止突起と;
前記係止突起がかかり、前記ソケットの上昇を制限するストッパーを有し、前記ハウジングに結合されて前記ソケットを昇降可能に支持するソケットケースとをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のリフティングマグネット。
【請求項5】
前記ソケットケースに回動自在に結合され、前記ソケットが前記ソケットケースから上昇しないように前記ソケットを前記ソケットケースに結束するバンドをさらに含むことを特徴とする、請求項4に記載のリフティングマグネット。
【請求項6】
前記ピニオンと前記昇降スライダーの間に備えられ、前記昇降スライダーの昇降によって前記ラック歯形部と噛み合って回転し、前記ピニオンに回転力を伝達する少なくとも一つのあそび歯車をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つの記載のリフティングマグネット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図7a】
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【図7b】
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【図7c】
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【図7d】
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【図7e】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−509017(P2007−509017A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536456(P2006−536456)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002707
【国際公開番号】WO2005/040031
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(506141100)
【氏名又は名称原語表記】YE Hae−kum
【住所又は居所原語表記】48−68,Gaya−dong,Busanjin−gu,Pusan−si,Republic of Korea
【出願人】(506141096)
【氏名又は名称原語表記】HAN Chang−ki
【住所又は居所原語表記】Byucksan Apt.,#101−603,Deokpo−2dong,Sasang−gu,Pusan−si,Republic of Korea
【出願人】(506141111)
【氏名又は名称原語表記】KIM Young−ho
【住所又は居所原語表記】Daerim Apt.,#105−1101,Hwamyeong−dong,Pusanbuk−gu,Pusan−si,Republic of Korea
【Fターム(参考)】