説明

リフト装置

【課題】 昇降台を安定良く昇降移動させることができるリフト装置を提供する。
【解決手段】 駆動モータにて回転駆動される駆動回転軸14と昇降台の昇降操作用の一対の従動回転軸15とを、駆動回転軸14に設けた一つの駆動回転体17に対して一対の従動回転軸15の夫々に設けた従動回転体18を、駆動回転体17の回転軸心方向において同じ位置に位置する状態で設けて、駆動回転体17と一対の従動回転体18とに亘って一つの伝動用無端帯19を巻き掛ける無端帯式伝動機構30にて連動連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動モータにて回転駆動される駆動回転軸と昇降台の昇降操作用の一対の従動回転軸とが、互いに平行又は略平行する姿勢で水平又は略水平方向に沿って並び且つ一対の従動回転軸の中間位置に前記駆動回転軸を位置させる状態で設けられ、前記駆動回転軸と前記一対の従動回転軸とが無端帯式伝動機構により連動連結されたリフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるリフト装置は、昇降台を上昇位置や下降位置に昇降操作して、昇降台に載置支持させた物品を高い位置に載せる場合や低い位置に昇降移動させる際に用いられるものであり、このようなリフト装置では、無端帯式伝動機構が、駆動回転軸に一対の駆動回転体を駆動回転軸の軸心方向に並べて設け、一方の駆動回転体と一方の従動回転軸に設けた従動回転体とを駆動回転体の回転軸心方向において同じ位置に位置する状態で設け、他方の駆動回転体と他方の従動回転軸に設けた従動回転体とを駆動回転体の回転軸心方向において同じ位置に位置する状態で設け、駆動回転体と従動回転体とに亘って巻き掛ける伝動用無端帯を、一方の駆動回転体と一方の従動回転体とに亘って巻き掛けるものと他方の駆動回転体と他方の従動回転体とに亘って巻き掛けるものとの一対備えて構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平10−182083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記したリフト装置では、一方の駆動回転体と一方の従動回転体とに亘って巻き掛けた伝動用無端帯と他方の駆動回転体と他方の従動回転体とに亘って巻き掛けた伝動用無端帯とが備えられ、一対の従動回転軸は駆動回転軸に一対の伝動用無端帯にて個別に連動連結されているため、経年変化による伝動用無端帯の張りの変化や伝動用無端体の引っ張り作用による従動回転軸の撓みによって、一方の従動回転軸の回転にて昇降操作される昇降台の昇降量と他方の従動回転軸の回転にて昇降操作される昇降台の昇降量とにずれが生じてしまうので、昇降台を安定良く昇降操作できない場合があった。
【0005】
具体的に説明すると、経年変化による伝動用無端帯の伸び量が一方の伝動用無端帯と他方の伝動用無端帯とで異なると、駆動モータにて駆動回転軸を回転駆動させた際の一方の従動回転軸の回転量と他方の従動回転軸の回転量とに伝動用無端体の伸び量の差によるずれが生じてしまい、また、従動回転軸を回転自在に支持する軸受けを一方の従動回転軸と他方の従動回転軸とを従動回転軸の回転軸心方向に同じ位置に位置する状態に設けた場合では、従動回転軸を回転自在に支持する軸受けと従動回転体との間隔が一方の従動回転軸と他方の従動回転軸とで異なり従動回転軸の撓み量が異なるため、駆動モータにて駆動回転軸を回転駆動させた際の一方の従動回転軸の回転量と他方の従動回転軸の回転量とに、従動回転軸の撓み量の差によるずれが生じてしまうものである。
このように、駆動モータにて駆動回転軸を回転駆動させた際の一方の従動回転軸の回転量と他方の従動回転軸の回転量とにずれが生じてしまうと、例えば、昇降台の一端部を一方の従動回転軸の回転に伴って昇降操作し、昇降台の他端部を他方の従動回転軸の回転に伴って昇降操作するように構成すると、一端部と他端部とで昇降台の昇降量が異なって昇降台が傾いてしまうものであり、昇降台を安定良く昇降操作することができないものであった。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、昇降台を安定良く昇降移動させることができるリフト装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明にかかるリフト装置の第1特徴構成は、駆動モータにて回転駆動される駆動回転軸と昇降台の昇降操作用の一対の従動回転軸とが、互いに平行又は略平行する姿勢で水平又は略水平方向に沿って並び且つ一対の従動回転軸の間の中央又は略中央位置に前記駆動回転軸を位置させる状態で設けられ、前記駆動回転軸と前記一対の従動回転軸とが無端帯式伝動機構により連動連結されたリフト装置において、
前記無端帯式伝動機構が、前記駆動回転軸に設けた一つの駆動回転体に対して前記一対の従動回転軸の夫々に設けた従動回転体を、前記駆動回転体の回転軸心方向において同じ位置に位置する状態で設けて、前記駆動回転体と前記一対の従動回転体とに亘って一つの伝動用無端帯を巻き掛けて構成されている点にある。
【0008】
すなわち、一つの駆動回転体と一対の従動回転体とに亘って伝動用無端帯が巻き掛けられており、一対の従動回転軸は駆動回転軸と伝動用無端帯にて一体に連動連結されているため、経年変化による伝動用無端帯の張りの変化や従動回転軸の撓みによっても、一方の従動回転軸の回転にて昇降操作される昇降台の昇降量と他方の従動回転軸の回転にて昇降操作される昇降台の昇降量とにずれが生じず、昇降台を安定良く昇降操作することができる。
【0009】
具体的に説明すると、経年変化により伝動用無端帯が伸びてしまったとしても、一対の従動回転体は同じ伝動用無端帯が巻き掛けられているため、無端帯状帯が一方の従動回転体と他方の伝動用無端帯とで伸び量が異ならず、駆動モータにて駆動回転軸を回転駆動させた際の一方の従動回転軸の回転量と他方の従動回転軸の回転量とに伝動用無端体の伸びによる差が生じないように構成し易く、また、従動回転軸を回転自在に支持する軸受けを一方の従動回転軸と他方の従動回転軸とを従動回転軸の回転軸心方向に同じ位置に位置する状態に設けた場合では、従動回転軸を回転自在に支持する軸受けと従動回転体との間隔が一方と他方とで同じとなるため、一方の従動回転軸と他方の従動回転軸とが同じように撓んで、駆動モータにて駆動回転軸を回転駆動させた際の一方の従動回転軸の回転量と他方の従動回転軸の回転量とに、従動回転軸の撓みによるずれが生じないように構成し易い。
【0010】
従って、駆動モータにて駆動回転軸を回転駆動させた際の一方の従動回転軸の回転量と他方の従動回転軸の回転量とにずれが生じないように構成することができるので、例えば、昇降台の一端部を一方の従動回転軸の回転に伴って昇降操作し他端部を他方の従動回転軸の回転に伴って昇降操作するように構成すると、一端部と他端部とで昇降台の昇降量が等しくなって昇降台の姿勢を維持した状態で昇降移動させることができて昇降台を安定良く昇降操作することができ、もって、昇降台を安定良く昇降移動させることができるリフト装置を提供できるに至った。
【0011】
本発明にかかるリフト装置の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記駆動回転軸の回転軸心と前記一対の従動回転軸の回転軸心とが同一平面内に位置するように設けられ、前記一対の従動回転軸が、前記駆動回転軸の正逆回転に伴う正逆回転により前記昇降台を昇降操作するように構成され、前記伝動用無端体における前記一対の従動回転体の間に位置する一対の無端帯部分の夫々が、前記駆動回転体に巻き掛けられ、且つ、前記一対の無端帯部分の夫々における前記駆動回転体の両側に位置する部分を前記駆動回転体側に屈曲する状態に案内する遊転体が設けられている点にある。
【0012】
すなわち、駆動回転軸の回転軸心を中心に対称又は略対称に伝動用無端帯を巻き掛けることにより、同等のトルクで一対の従動回転軸の夫々を回転させることができ、昇降台を安定良く昇降移動させることができる。
そして、一対の無端帯部分の夫々における駆動回転体の両側に位置する部分を駆動回転体側に屈曲する状態に案内する遊転輪を設けることにより、一対の無端帯部分の夫々を十分な巻き掛け角をもって駆動回転体に巻き掛けることができる。
【0013】
本発明にかかるリフト装置の第3特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記昇降台が案内手段にて昇降自在に案内され、前記一対の従動回転軸の夫々に、上向き姿勢になると前記昇降台を上昇状態とし且つ下向き姿勢になると前記昇降台を下降状態とするように前記昇降台に連結された揺動アームが、一体回転するように設けられ、前記昇降台を上昇側に弾性付勢する弾性付勢体が、少なくとも前記揺動アームが水平方向を含む設定角度範囲に位置するときには弾性付勢作用する状態で設けられている点にある。
【0014】
すなわち、駆動モータの出力により上下揺動操作される揺動アームを、揺動アームが上方に向いて垂直姿勢となった上向き姿勢と揺動アームが下方に向いて垂直姿勢となった下向き姿勢とに亘って上下揺動操作することになると、揺動アームが水平姿勢となった状態で揺動アームを上方に揺動操作する際に、駆動モータに大きな出力が必要となるが、この揺動アームが水平方向を含む設定角度範囲に位置するときに、弾性付勢体が昇降台を上昇側に弾性付勢する状態で設けることにより、昇降台を下降状態から上昇状態に切り換える際の駆動モータの出力が小さいものでよくなり、駆動モータを出力が小さな小型のものを用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明によるリフト装置を自動倉庫に適用した場合の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、自動倉庫には、物品Aを収納する収納棚1が相対向する一対を一組として設けられている。そして、相対向する一対の収納棚1の間には、走行レール2に沿って走行自在なスタッカークレーン3が設けられており、このスタッカークレーン3にて、物品Aを収納棚1から出庫させて収納棚1の横側方に設けられた物品搬入出装置4に受け渡し、物品搬入出装置4から受け取った物品Aを収納棚1に入庫するように構成されている。尚、図6〜図8に示すように、物品Aは、パレットとそのパレットに載置支持される搬送物とで構成されている。
【0016】
図1に示すように、物品搬入出装置4は、一対のチェーンコンベア6aを備えて物品Aを載置搬送するように構成された搬送コンベア6と、この搬送コンベア6の一端側に一対のチェーンコンベア6aの間に位置するように設けられたリフト装置7とを備えて構成されている。
そして、搬送コンベア6は、リフト装置7にて一端側に降ろされた物品Aをチェーンコンベア6aにて他端側まで載置搬送して外部の搬送装置(図示せず)に受け渡し、また、外部の搬送装置にて他端側に受け渡された物品Aをチェーンコンベア6aにて一端側まで載置搬送するように構成されている。この一端側に載置搬送された物品Aはリフト装置7にて掬い取られる。
【0017】
図2、図3に示すように、リフト装置7には、物品Aを載置支持する載置部9を備えた昇降台8が設けられており、この昇降台8は、昇降移動することにより、載置部9の載置面が搬送コンベア6の搬送面より上方に位置する上昇状態(図7参照)と、昇降台8の全体が搬送コンベア6の搬送面より下方に位置する下降状態(図6参照)とに切り換えられるように構成されている。
つまり、載置部9にて物品Aが載置支持されている状態で昇降台8を下降させて上昇状態から下降状態に切り換えると、その下降途中において物品Aが搬送コンベア6の一端側に降ろされ、また、搬送コンベア6の一端側に物品Aが載置支持されている状態で昇降台8を上昇させて下降状態から上昇状態に切り換えると、その上昇途中において物品Aを載置部9にて掬い取るように構成されている。
【0018】
つぎに、リフト装置7について説明を加える。尚、搬送コンベヤ3の搬送方向を前後方向と称し、この前後方向と交差するスタッカークレーン3のフォーク出退方向を左右方向と称して説明する。
図2に示すように、リフト装置7には、減速機やブレーキを備えてギヤードモータに構成された駆動モータ11を支持する基台13と、この基台13に対して昇降移動する昇降台8とが備えられており、駆動モータ11の出力により昇降台8が昇降移動して前記上昇状態と前記下降状態とに切り換えられるように構成されている。
【0019】
図4に示すように、駆動モータ11にて回転駆動される駆動モータ11の出力軸となる駆動回転軸14と昇降台8の昇降操作用の一対の従動回転軸15とが、互いに平行又は略平行する姿勢で水平又は略水平方向に沿って並び且つ一対の従動回転軸15の間の中央又は略中央位置に前記駆動回転軸14を位置させる状態で設けられており、また、図5に示すように、前記駆動回転軸14の回転軸心と前記一対の従動回転軸15の回転軸心とが同一平面内に位置するように設けられている。尚、駆動回転軸14並びに従動回転軸15は、前後方向に沿って設けられている。
【0020】
そして、前記駆動回転軸14と前記一対の従動回転軸15とが無端帯式伝動機構30により連動連結されている。
この無端帯式伝動機構30は、駆動回転軸14に設けた一つの駆動回転体としての駆動スプロケット17と、一対の従動回転軸15の夫々に設けた従動回転体としての従動スプロケット18と、駆動スプロケット17と従動スプロケット18とに亘って巻き掛ける伝動用無端帯としての伝動チェーン19とを備えて構成されている。
そして、図4に示すように、一つの駆動スプロケット17に対して一対の従動スプロケット18を、前記駆動スプロケット17の回転軸心方向において同じ位置に位置する状態で設けて、前記駆動スプロケット17と前記一対の従動スプロケット18とに亘って一つの伝動チェーン19を巻き掛けて構成されている。
【0021】
図5に示すように、前記伝動チェーン19における前記一対の従動スプロケット18の間に位置する一対のチェーン部分19aの夫々が、前記駆動スプロケット17に巻き掛けられ、且つ、前記一対のチェーン部分19aの夫々における前記駆動スプロケット17の両側に位置する部分を前記駆動スプロケット17側に屈曲する状態に案内する遊転体としての遊転スプロケット21が設けられている。尚、チェーン部分19aが無端帯部分に相当する。
つまり、横幅方向に並ぶ状態に基台13に立設された一対の支持部材31の夫々に、一対の遊転スプロケット21が垂直方向に並ぶように回転自在に支持されており、この4つの遊転スプロケット21がチェーン部分19aを駆動スプロケット17側に屈曲させる状態に案内するように伝動チェーン19の外面側から接触するように設けられている。
そして、4つの遊転スプロケット21にて、チェーン部分19aの夫々における駆動スプロケット17の両側に位置する部分を駆動スプロケット17側に屈曲させることにより、一対のチェーン部分19aの夫々が、120°程度の巻き付け角で駆動スプロケット17に巻き掛けられるように構成されている。
【0022】
そして、前記一対の従動回転軸15の両端部夫々に、上向き姿勢になると前記昇降台8を上昇状態とし且つ下向き姿勢になると前記昇降台8を下降状態とするように前記昇降台8に連結された揺動アーム20が、一体回転するように設けられ、前記一対の従動回転軸15が、4つの揺動アーム20を同期するように上下揺動操作して、前記駆動回転軸14の正逆回転に伴う正逆回転により前記昇降台8を水平姿勢を維持した状態で昇降操作するように構成されている。
図4に示すように、一対の従動回転軸1は前部と後部との夫々を、基台13上に設けられた軸受け16にて回転自在に支持されている。そして、一方の従動回転軸15の前部を支持する軸受け16と他方の従動回転軸15の前部を支持する軸受け16とが前後方向と直交する左右方向に並ぶように設けられ、また、一方の従動回転軸15の後部を支持する軸受け16と他方の従動回転軸15の後部を支持する軸受け16とも左右方向に並ぶように設けられている。
従って、一方の従動回転軸15に設けられた従動スプロケット18から軸受け16までの間隔と、他方の従動回転軸15に設けられた従動スプロケット18から軸受け16までの間隔とが同じ間隔となるように構成されている。
【0023】
図4に示すように、基台13の前部と後部との夫々左右中央部には、前記昇降台8を水平方向への移動を規制した状態で昇降自在に案内する案内手段としてのガイドレール22が設けられ、このガイドレール22は、基台13の前部に設けられたものが平面視で前方に向けて開口するコ字状に形成され、基台13の後部に設けられたものが平面視で後方に向けて開口するコ字状に形成されている。
そして、ガイドレール22の夫々には、昇降台8に位置固定状態に設けられた被案内手段23が係合されており、この係合により、昇降台8が、ガイドレール22にて水平方向への移動が規制された状態で垂直方向に昇降自在に案内されるように構成されている。尚、被案内手段23は、ガイドレール22の内面夫々に接触する3つのローラを備えて構成されている。
【0024】
昇降台8には、一対の昇降フレーム24が前後方向に沿うように横幅方向に間隔を隔てて設けられ、一対の載置フレーム25が左右方向に沿うように前後方向に間隔を隔てて設けられており、載置フレーム25の夫々は、昇降フレーム24夫々の上部に連結されて一対の昇降フレーム24に亘って架設されている。そして、一対の載置フレーム25にて載置部9が構成されて物品Aを一対の載置フレーム25に亘って載置するように構成されており、さらに、載置フレーム25に載置した物品Aをスタッカークレーン3にて載せ卸しできるように、昇降フレーム24と載置フレーム25に載置支持される物品Aとの間にはフォーク挿抜用のスペースが形成されている。
また、昇降台8には、揺動アーム20の上下揺動により昇降移動操作される一対の被操作フレーム26が左右方向に沿うように前後方向に間隔を隔てて設けられており、被操作フレーム26の夫々は、昇降フレーム24夫々の下部に連結されて一対の昇降フレーム24に亘って架設されている。そして、被操作フレーム26夫々の外面側には下端部が内方側に屈曲形成されて左右中央部に被案内手段23を位置固定状態に備えたL字板27が連結されている。
【0025】
つまり、揺動アーム20の先端部に備えられた操作ローラ20aが、被操作フレーム26の下端部とL字板27に下端部との間に左右方向に移動自在に係合されており、揺動アーム20が上方に揺動すると、操作ローラ20aは円弧を描くように上方に移動し、この操作ローラ20aの移動により操作ローラ20aにて被操作フレーム26の下端部が押し上げられて昇降台8が上昇移動操作され、揺動アーム20が上方に向けて垂直姿勢となる上向き姿勢になると昇降台8が最も上昇した上昇状態(図7参照)となるように構成されている。また、揺動アーム20が下方に揺動すると、操作ローラ20aは円弧を描くように下方に移動し、この操作ローラ20aの移動に追従するように昇降台8が自重により下降移動操作され、揺動アーム20が下方に向けて垂直姿勢となる下向き姿勢となると昇降台8が最も下降した下降状態(図6参照)となるように構成されている。
そして、操作ローラ20aが昇降台8に対して左右方向に相対移動可能に係合されているので、操作ローラ20aが円弧を描くように左右方向に移動しても、昇降台8はガイドレール22に水平方向への移動が規制されて操作ローラ20aの左右方向への移動に追従せず、左右方向には移動しないように構成されている。
【0026】
また、揺動アーム20は、出力軸14と従動軸15の両端部夫々に連結することにより昇降台8の4隅に対応させて4つ設けられており、この4つの揺動アーム20にて、一対の被操作フレーム26の両端部夫々を昇降操作して、昇降台8の4隅の夫々を昇降移動させて水平状態を維持しながら昇降台8を昇降移動させるように構成されている。
【0027】
図2〜図4に示すように、前記昇降台8を上昇側に弾性付勢する弾性付勢体としてのコイルスプリング28が、少なくとも前記揺動アーム20が水平方向を含む設定角度範囲に位置するときには弾性付勢作用する状態で設けられている。
説明を加えると、基台13には、上方に向いて突出するように突起部29が設けられ、昇降台8には、下方に向いて突出するように突起部29が設けられており、コイルスプリング28は、下部を基台13の突起部29に嵌合し上部を昇降台8の突起部29に嵌合するようにして前記昇降台8と基台13との間に圧縮状態で設けられており、昇降台8に対して常に上方側に付勢するように構成されている。
そして、基台13と昇降台8との夫々に突起部29が4つ設けられるように、基台13の前後両側夫々に前後一対の突起部29が設けられ、昇降台8における昇降フレーム24の夫々に前後一対の突起部29が設けられており、リフト装置7には4つのコイルスプリング28が着脱可能に設けられている。
そして、昇降台8を上昇側に付勢する付勢力の変更を、リフト装置7に設けた1つ或いは複数の弾性付勢体28にて、揺動アーム20が水平姿勢となった昇降台8が上昇状態と下降状態との中間の状態において、定格荷重の半分程度の付勢力で昇降台8を上昇側に弾性付勢するように構成されている。
従って、例えば、図8に示すような、揺動アーム20が水平姿勢となった状態において、定格荷重が1000kgの場合では、コイルスプリング28にて昇降台8を上昇側に400kgで弾性付勢し、定格荷重が1350kgの場合では、コイルスプリング28にて昇降台8を上昇側に700kgで弾性付勢するように、コイルスプリング28を着脱することによって定格荷重の変更に対応することができ、変更される定格荷重に応じて複数の駆動モータ11を用意する必要がないように構成されている。
【0028】
〔別実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、駆動回転体を駆動スプロケット17とし、従動回転体を従動スプロケット18とし、伝動用無端帯を伝動チェーン19として、無端帯式伝動機構30をチェーン式の伝動機構に構成したが、駆動回転体を駆動プーリとし、従動回転体を従動プーリとし、伝動用無端帯を伝動ベルトとして、無端帯式伝動機構30をベルト式の伝動機構に構成してもよい。
【0029】
(2) 上記実施の形態では、一対の従動回転軸15の夫々に、昇降台8に連結された揺動アーム20を一体回転するように設け、揺動アーム20を揺動させることにより昇降台8が昇降移動するように構成したが、一対の従動回転体15の夫々に、昇降台8に設けたラックギヤに噛合するピニオンギヤを一体回転するように設け、ピニオンギヤを回転させることによりラックギヤを昇降操作して昇降台8が昇降移動するように構成してもよい。
【0030】
(3) 上記実施の形態では、揺動アーム20を、従動回転軸14の両端部夫々に一体回転するように設けてリフト装置7に計4つの揺動アーム20を備えさせるように構成したが、揺動アームを20、従動回転軸14の一端部にだけ設けてリンク装置7に計2つの揺動アーム20を備えさせるように構成してもよい。
【0031】
(4) 上記実施の形態では、一対の無端帯部分19aの夫々における駆動回転体17の両側に位置する部分を駆動回転体17側に屈曲する状態に案内するように遊転体21を4つ設けたが、一方の無端帯部分19aにおける駆動回転体17の両側に位置する部分を駆動回転体17側に屈曲する状態に案内する遊転体21を2つだけ設けてもよい。
【0032】
(5) 上記実施の形態では、揺動アーム20が上方に向いて垂直姿勢となる上向き姿勢になると昇降台8が上昇状態となり、揺動アーム20が下方に向いて垂直姿勢となる下向き姿勢になると昇降台8が下降状態となるように構成したが、揺動アーム20が上方に向いて傾斜姿勢となる上向き姿勢になると昇降台8が上昇状態となるように構成してもよく、揺動アーム20が下方に向いて傾斜姿勢となる下向き姿勢になると昇降台8が下降状態となるように構成してもよい。また、揺動アーム20が水平姿勢になると昇降台8が上昇状態或いは下降状態となるように構成してもよい。
【0033】
(6) 上記実施の形態では、弾性付勢体28を基台13と昇降台8との間に設けたが、床面と昇降台8との間に設けてもよい。そして、弾性付勢体28は、少なくとも揺動アームが水平方向を含む設定角度範囲に位置するときに弾性付勢作用すればよいものであり、昇降台8が上昇状態に切り換えられた状態において弾性付勢体28の上端部が昇降台8と接触しないように基台13や床面に設ける、又は、昇降台8が上昇状態に切り換えられた状態において弾性付勢体28の下端部が基台13や床面に接触しないように昇降台8に設けて、昇降台8が上昇状態から所定量下降すると弾性付勢体28にて昇降台8を上昇側に弾性付勢するように構成してもよい。
【0034】
(7) 上記実施の形態では、昇降台8を上昇側に付勢する付勢力を変更可能に構成したが、弾性付勢体28を着脱不能にして付勢力を変更できないように構成してもよい。また、上記実施の形態では、弾性付勢体28を複数備えるように構成したが弾性付勢体28を1つだけ備えるように構成してもよく、弾性付勢体28を備えなくてもよい。
【0035】
(8) 上記実施の形態では、弾性付勢体28をコイルスプリングとしたが、板バネでもよく、また、ゴム等の樹脂材にて構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】自動倉庫の平面図
【図2】リフト装置の平面図
【図3】リフト装置の側面図
【図4】リフト装置の正面図
【図5】無端帯式伝動機構の正面図
【図6】リフト装置の作用図
【図7】リフト装置の作用図
【図8】リフト装置の作用図
【符号の説明】
【0037】
8 昇降台
11 駆動モータ
14 駆動回転軸
15 従動回転軸
17 駆動回転体
18 従動回転体
19 伝動用無端帯
20 揺動アーム
21 遊転体
22 案内手段
28 弾性付勢体
30 無端帯式伝動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータにて回転駆動される駆動回転軸と昇降台の昇降操作用の一対の従動回転軸とが、互いに平行又は略平行する姿勢で水平又は略水平方向に沿って並び且つ一対の従動回転軸の間の中央又は略中央位置に前記駆動回転軸を位置させる状態で設けられ、
前記駆動回転軸と前記一対の従動回転軸とが無端帯式伝動機構により連動連結されたリフト装置であって、
前記無端帯式伝動機構が、前記駆動回転軸に設けた一つの駆動回転体に対して前記一対の従動回転軸の夫々に設けた従動回転体を、前記駆動回転体の回転軸心方向において同じ位置に位置する状態で設けて、前記駆動回転体と前記一対の従動回転体とに亘って一つの伝動用無端帯を巻き掛けて構成されているリフト装置。
【請求項2】
前記駆動回転軸の回転軸心と前記一対の従動回転軸の回転軸心とが同一平面内に位置するように設けられ、前記一対の従動回転軸が、前記駆動回転軸の正逆回転に伴う正逆回転により前記昇降台を昇降操作するように構成され、
前記伝動用無端体における前記一対の従動回転体の間に位置する一対の無端帯部分の夫々が、前記駆動回転体に巻き掛けられ、且つ、前記一対の無端帯部分の夫々における前記駆動回転体の両側に位置する部分を前記駆動回転体側に屈曲する状態に案内する遊転体が設けられている請求項1記載のリフト装置。
【請求項3】
前記昇降台が案内手段にて昇降自在に案内され、
前記一対の従動回転軸の夫々に、上向き姿勢になると前記昇降台を上昇状態とし且つ下向き姿勢になると前記昇降台を下降状態とするように前記昇降台に連結された揺動アームが、一体回転するように設けられ、
前記昇降台を上昇側に弾性付勢する弾性付勢体が、少なくとも前記揺動アームが水平方向を含む設定角度範囲に位置するときには弾性付勢作用する状態で設けられている請求項
1または2に記載のリフト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−264967(P2006−264967A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89842(P2005−89842)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)