説明

リベッティングマシン及びリベッティング方法

【課題】コンプレッサーや油圧モーターを使用しないで、またタクトタイムの大幅な短縮をはかるリベッティングマシンを提供する。
【解決手段】
コラム1のベース2に上下端が定位置でフリーに回転するように軸承した雄ネジ3と、上記ベースに搭載して上記雄ネジを可逆駆動するように設けた第1サーボモーター4と、上記ベースに支持部材を介し支持したガイド手段6と、このガイド手段により上下方向にスライドガイドされるよう設けたスリーブ7と、このスリーブに定位置でフリーに回転するように軸承したスピンドル8と、上記スリーブに搭載して上記スピンドルを駆動するように設けた第2サーボモーター9と、上記スリーブに取り付けて上記雄ネジにねじ込んである雌ネジ12を不回転状態に保持するように設けたブラケット13と、上記スピンドルの下端に設けた鋲頭成型工具10とからなるリベッティングマシン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リベッティングマシン及びリベッティング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリベッティングマシンは、コラムに支持させてあるシリンダの降下作用によりピストン軸と共に上記ピストン軸の軸芯に貫通させて軸承してあるスピンドルを降下させながら、上記スピンドルの下端の成型工具に保持させてある成型軸を被加工物のワークリベットに押し付けると共に、モーターにより上記スピンドルをドライブして、上記成型軸の旋回揺動によってワークリベットにリベットヘッドを成型する(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭43−24834号公報
【特許文献2】実公平7−18449号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1及び2のリベッティングマシンによると、予め設定した条件で加工を行うので、経験値とテストピースが必要になり、また製品の不良品を検出することで、機械の故障判断を行うが、使用時間や生産数で機械部品の寿命管理を行っているので、不良品の流出による問題や未寿命品の交換などの無駄があった。
【0005】
また、データ管理は、制御指令やアウトプット信号をアナログ変換してデータ管理していた為、誤差が大きくサンプリング周期も長かった。
【0006】
さらに、複数種の製品が存在した場合、機械上昇端は一番ストロークの長い物に合わせるので、無駄なストロークを動かす製品が存在して、タクトタイムの短縮はできなかった。すなわち、製品毎で上昇端を段取替毎変更しているユーザーは、変更後に高さ調整をする必要があった。
【0007】
さらに、スピンドルモーターだけをインバーターで駆動して加圧軸へのフィードバック制御をしていたが、サーボモーターを使用することで、さらなる精度アップや応答速度が速くなり、より最適な加工ができるようになる。
【0008】
また、速度変化機構が付いた装置でも製品との接触位置は正確にわからず、油空圧ソレノイドバルブの反応速度も遅かったため、速度変化機構による速度切替位置もばらついて、タクトタイムに影響したり、接触してしまい製品の品質に影響を及ぼしていた。
【0009】
さらに、空圧機は、機械使用時にコンプレッサーを必要とし、油圧機は、油圧ポンプモーターを必要としていたため、機械がアイドル状態であっても動力源となるコンプレッサーや油圧ポンプは動作している問題もあった。
【0010】
そこで、この発明は、上述の問題を解消したリベッティングマシン及びリベッティング方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、この発明は、コラムのベースに上下端が定位置でフリーに回転するように軸承した雄ネジと、上記ベースに搭載して上記雄ネジを可逆駆動するように設けた第1サーボモーターと、上記ベースに支持部材を介し支持したガイド手段と、このガイド手段により上下方向にスライドガイドされるよう設けたスリーブと、このスリーブに定位置でフリーに回転するように軸承したスピンドルと、上記スリーブに搭載して上記スピンドルを駆動するように設けた第2サーボモーターと、上記スリーブに取り付けて上記雄ネジにねじ込んである雌ネジを不回転状態に保持するように設けたブラケットと、上記スピンドルの下端に設けた鋲頭成型工具とからなる構成を採用する。
【0012】
また、前記のベースが、前記コラム側に設けてある昇降調整手段により昇降調整できるようにしてある構成を採用することもある。
【0013】
さらに、コラムのベースに上下端が定位置でフリーに回転するように軸承した雄ネジと、上記ベースに搭載して上記雄ネジを可逆駆動するように設けた第1サーボモーターと、上記ベースに支持部材を介し支持したガイド手段と、このガイド手段により上下方向にスライドガイドされるよう設けたスリーブと、このスリーブに定位置でフリーに回転するように軸承したスピンドルと、上記スリーブに搭載して上記スピンドルを駆動するように設けた第2サーボモーターと、上記スリーブに取り付けて上記雄ネジにねじ込んである雌ネジを不回転状態に保持するように設けたブラケットと、上記スピンドルの下端に設けた鋲頭成型工具とからなり、第2サーボモーターの運転にともないスピンドルをドライブし、次いで第1サーボモーターの高速運転により雄ネジを正転駆動してスリーブと共にスピンドルを高速降送しながら、ワークリベットに鋲頭成型工具の成型軸が当接すると、上記第1サーボモーターの運転を高速から低速に切り替えて、スリーブと共にスピンドルを低速降下させながらリベットヘッドを成型し、リベットヘッドの成型後に第1サーボモーターを逆転駆動で、しかも高速運転によりスピンドルと共にスリーブを高速昇送するようにしたことを特徴とするリベッティング方法を採用する。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、この発明のリベッティングマシン及びリベッティング方法によれば、第2サーボモーターの運転により成型工具を有するスピンドルをドライブし、第1サーボモーターの高速、低速運転により雄ネジを正転、逆転ドライブして、成型工具側を高速降下、リベットヘッドの成型に際し低速降下し、リベットヘッドの成型後に高速上昇させるので、タクトタイム短縮が可能になって、大幅な生産性の向上をはかると共に、従来のコンプレッサーや油圧ポンプの運転にともなう排気音や油圧ポンプの駆動音による騒音の問題、電力消費、待機電力の問題をなくする効果がある。
【0015】
なお、サーボモーターを使用することで、位置、推力、速度を制御することができる以外に、製品の特性による最適な加工が可能になり、かつ製品毎に上昇端やストロークが設定できて、ストッパー調整が不要になって、最短で加工が可能になると共に、従来は製品の不良品を検出することで、機械の故障判断を行うが、使用時間や生産数で機械部品の寿命管理を行っていたために発生した不良品の流出による問題や未寿命品の交換などの無駄の問題を、各電流値による負荷率や変動を確認することで、変化点を把握して故障診断(故障前診断)が可能になり、かつ各データーの採取より予め許容幅を設けることができる項目は、寿命管理も可能になる。
【0016】
また、従来はスピンドルモーターだけをインバーターで駆動しても加圧軸へのフィードバック制御ができず独立した制御となっていたために最適な加工ができているか判断することができない不都合を、スピンドルの第2サーボモーターのフィードバックを雄ネジと併せて制御することで、製品の特性を見ながら最適な加工が可能になる。
【0017】
さらに、従来の速度変化機構が付いた装置でも製品との接触位置が正確に分からず、油空ソレノイドバルブの反応速度も遅かったため、速度変化機構による速度切替位置もばらついていて、タクトタイムに影響したり、接触してしまい製品の品質に影響を及ぼしていた問題を、接触点をサーチすることで接触位置を正確に読み取りすることができ、早送り位置も指定された位置まで動作させることができ、ソレノイドバルブを使用しないために反応速度を考えなくてもよくなったことで、タクトタイム短縮が可能となり、早送り時に、部品との接触がなくなることで製品の品質に悪影響を及ぼす可能性は少なくなった。
【0018】
また、昇降手段によりベースを昇降させて調整するようにしてあるので、ワークの厚み(高さ方向)やリベットの長さに対応した調整も簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の実施の形態を示す縦断側面図である。
【図2】同上の横断平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
第1の実施形態では、図1及び図2に示すように、コラム1のベース2には、上下端をフリーに回転するように軸承した雄ネジ(ボールネジ)3が設けてあり、この雄ネジ3は、ベース2に搭載した第1サーボモーター4により可逆駆動される。
【0021】
また、ベース2に支持部材5を介し支持したガイド手段6により上下方向にスライドガイドされるスリーブ7には、貫通させてフリーに回転するように上下端側を軸承したスピンドル8が設けてある。
【0022】
上記のガイド手段6には、図示の場合筒状体を用いて、この筒状体にスリーブ7を嵌挿して上下方向にスライドするようにしてある。
【0023】
さらに、スピンドル8の上端には、スリーブ7に搭載した第2サーボモーター9が接続されて駆動伝達を受け、スピンドル8の下端には、鋲頭成型工具10が設けてある。
【0024】
なお、上記の鋲頭成型工具10には、周知のように歳差運動する成型軸11が保持させてある。
【0025】
また、スリーブ7には、雄ネジ3にねじ込んである雌ネジ12を不回転状態に保持したブラケット13が設けてあり、雄ネジ3の可逆回転にともないブラケット13と共にスリーブ7が昇降するようになっている。
【0026】
図中14は、ブラケット13の昇降を阻害しないようにガイド手段6に設けた縦長な貫窓である。
【0027】
次に上記構成されたリベッティングマシンを用いたリベッティング方法を説明する。
まず受台15上にリベットAの挿入ずみワークBを載置する。
【0028】
次に起動開始のため第1サーボモーター4及び第2サーボモーター9を運転する。
上記第1サーボモーター4の運転にともない雄ネジ3を高速により正転駆動するので、雄ネジ3にねじ込んである雌ネジ12を有する支持部材5と共にスリーブ8が早送り降下する。
【0029】
そして、共に降下した鋲頭成型工具10の成型軸11の尖端がリベットAに当接手前もしくは当接すると、第1サーボモーター4の運転が鋲頭成型の加圧推力となるよう低速降送に切り替えられる。
【0030】
一方第2サーボモーター9の運転によりスピンドル8を駆動しているので、当接状況下にある成型軸11によりリベットAの鋲頭を成型する。
【0031】
鋲頭の成型後に第1サーボモーター4の正逆運転が逆転運転に切り替えられて、ベース2と共にガイド手段6及びスリーブ7が高速昇送される。
【0032】
なお、スピンドル8側の駆動に第2サーボモーター9を使用したことで、第2サーボモーター9をインバーターやサーボで制御して雄ネジ3側と連動させると最適な加工が可能になり、かつ製品との接触位置(加工開始位置)で管理が可能になる。
【0033】
そして、サーボモーターやインバーター制御することで、必要なエネルギーを必要な時にしか使わない省エネが可能になる。
【0034】
この発明の第2の実施形態では、第1の実施形態のベース2が、昇降調整手段Cにより昇降(高さ位置)調整できるようにしてある。
【0035】
上記の昇降調整手段Cは、図示の場合、コラム1に対しベース2をガイド手段21(このガイド手段21は、図示の場合蟻溝と、蟻溝にスライド自在に噛み合う突出条とで構成したが、限定されない)により昇降スライドできるようにすると共に、コラム1に上下端がフリーに回転するように軸承した雄ネジ22にベース2に支持させてある雌ネジ23をねじ込み、雄ネジ22の上端に設けてあるハンドル24の回転操作にともない、ベース2が昇降調整できるようになっている。
【0036】
すると、ワークの厚み(高さ)やリベットの長さ(軸長)に対応したかしめ位置を調整することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 コラム
2 ベース
3 雄ネジ
4 第1サーボモーター
5 支持部材
6 ガイド手段
7 スリーブ
8 スピンドル
9 第2サーボモーター
10 鋲頭成型工具
11 成型軸
12 雌ネジ
13 ブラケット
14 貫窓
C 昇降調整手段
21 ガイド手段
22 雄ネジ
23 雌ネジ
24 ハンドル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラムのベースに上下端が定位置でフリーに回転するように軸承した雄ネジと、上記ベースに搭載して上記雄ネジを可逆駆動するように設けた第1サーボモーターと、上記ベースに支持部材を介し支持したガイド手段と、このガイド手段により上下方向にスライドガイドされるよう設けたスリーブと、このスリーブに定位置でフリーに回転するように軸承したスピンドルと、上記スリーブに搭載して上記スピンドルを駆動するように設けた第2サーボモーターと、上記スリーブに取り付けて上記雄ネジにねじ込んである雌ネジを不回転状態に保持するように設けたブラケットと、上記スピンドルの下端に設けた鋲頭成型工具とからなるリベッティングマシン。
【請求項2】
前記のベースが、前記コラム側に設けてある昇降調整手段により昇降調整できるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載のリベッティングマシン。
【請求項3】
コラムのベースに上下端が定位置でフリーに回転するように軸承した雄ネジと、上記ベースに搭載して上記雄ネジを可逆駆動するように設けた第1サーボモーターと、上記ベースに支持部材を介し支持したガイド手段と、このガイド手段により上下方向にスライドガイドされるよう設けたスリーブと、このスリーブに定位置でフリーに回転するように軸承したスピンドルと、上記スリーブに搭載して上記スピンドルを駆動するように設けた第2サーボモーターと、上記スリーブに取り付けて上記雄ネジにねじ込んである雌ネジを不回転状態に保持するように設けたブラケットと、上記スピンドルの下端に設けた鋲頭成型工具とからなり、第2サーボモーターの運転にともないスピンドルをドライブし、次いで第1サーボモーターの高速運転により雄ネジを正転駆動してスリーブと共にスピンドルを高速降送しながら、ワークリベットに鋲頭成型工具の成型軸が当接すると、上記第1サーボモーターの運転を高速から低速に切り替えて、スリーブと共にスピンドルを低速降下させながらリベットヘッドを成型し、リベットヘッドの成型後に第1サーボモーターを逆転駆動で、しかも高速運転によりスピンドルと共にスリーブを高速昇送するようにしたことを特徴とするリベッティング方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−772(P2013−772A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134082(P2011−134082)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(390036353)▲吉▼川鐵工株式会社 (5)