説明

リボン着墨機

【目的】 双方向に巻き取り可能なリボンカートリッジのリボンに印刷インクを供給することの可能なリボン着墨機を提供する。
【構成】 リボン着墨機であって、モータにより駆動される減速ギア22が着墨軸25および二本の定位置軸23を出力ギア21およびベルト24を介して回転させリボンカートリッジのリボンを着墨軸25上で着墨筆に接触させて動かす。逆回転軸26は、着墨軸25に取り付けられた着墨ギア252と噛み合わされてリボンカートリッジのリボンを逆回転させる逆回転ギア261を有する。さらに二つの厚さ調整装置3および二つの高さ調整装置4が取り付けられており、着墨しようとするリボンカートリッジをその厚さと幅に応じて押さえて固定する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、リボン着墨機に関し、詳しくは双方向に巻き取り可能なリボンカートリッジのリボンに印刷インクを供給することの可能なリボン着墨機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
知識の普及と商工業の発達により我々が対面する資料は増加し、それと同時に文書作成の方法も手書きからタイプライターまたはコンピュータの出力によるプリントに変わり、より完全な文書の作成が可能になった。近年ではコンピュータのプリント速度はますます速くなる傾向にあり、それに伴い印刷用リボンの使用量も増している。そこで、資源の浪費を避けるため並びに環境保護の意識の高揚により、従来使い捨てにされていたリボンカートリッジを繰り返し使用することが考えられている。
【0003】
通常のリボンカートリッジを繰り返し使用するためには、リボンに定期的に印刷インクを供給する必要がある。これまでにリボンカートリッジのリボンに印刷インクを供給するための器具が種々考案され、すでに市場に出回っている。例えば、米国特許5,071,271号に開示されている。しかし、従来のリボン着墨機はリボンを一方向にしか送ることができず、そのためすべての種類のリボンカートリッジに対して適用することはできなかった。しかもこれらのリボン着墨機は、着墨しようとするリボンカートリッジのサイズによって調節可能なリボンカートリッジ押え手段を提供することはできなかった。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
本考案の目的は、双方向に巻き取り可能なリボンカートリッジのリボンに印刷インクを供給することの可能なリボン着墨機を提供することである。
本考案の別の目的は、着墨しようとするリボンカートリッジのサイズによって調節可能なリボンカートリッジ押え手段を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本考案の請求項1記載のリボン着墨機は、 機体と、 この機体の上部にクランプで取りつけられリボンカートリッジのリボンに印刷インクを供給する着墨筆と、 前記機体の正面に三角形の三つの角をなすように配置され、ベルトを通じて駆動モータにより駆動されてリボンカートリッジのリボンを前期着墨筆に接触させて動かす着墨軸および二本の定位置軸と、 前記機体にそれぞれ取りつけられ、着墨しようとするリボンカートリッジを定位置に保持する二つの厚さ調整装置および二つの高さ調整装置と、 前記モータに取りつけられて一連の減速ギアを通じて前記定位置軸を回転させ、前記定位置軸から前記ベルトを経由して前記着墨軸を回転させるように設けられられた出力ギアとからなり、 前記着墨軸に取りつけられた着墨ギアが逆回転軸の逆回転ギアと噛み合っており、前期逆回転ギアは前記着墨軸の回転方向と逆方向にリボンカートリッジのリボンを巻き取ることを特徴とする。
【0006】
また、本考案の請求項2記載のリボン着墨機は、前記二つの厚さ調整装置がそれぞれリボンカートリッジ押え枠とこの押え枠から直角に伸びた二本の平行な脚とこの二本の平行な脚の間をつなぐバネとからなり前記機体の正面の調整孔に保持され、前記厚さ調整装置を前記調整孔に脱着する時には前記二本の脚を互いに近づくように押し、前記二本の平行な脚を圧力から解放すれば前記厚さ調整装置が前記調整孔に堅固に固定されることを特徴とする。
【0007】
また、本考案の請求項3記載のリボン着墨機は、前記二つの高さ調整装置がそれぞれ脚とこの脚から上方向に伸びた調整板からなり、前記調整板の上部にはねじ穴が設けられ、前記調整板を前記機体に設けられた各チャンバに挿入し前記機体の両側壁に設けられた各調整溝および前記ねじ穴にねじを通して締めつけることにより、前記調整板を前記機体に堅固に固定することを特徴とする。
【0008】
【作用および考案の効果】
本考案の請求項1のリボン着墨機によれば、簡単な機構で双方向に巻き取り可能なリボンカートリッジのリボンに印刷インクを供給することが可能である。
本考案の請求項2および3のリボン着墨機によれば、リボンカートリッジ押え手段を調節することにより様々なサイズのリボンカートリッジを容易に固定することが可能である。
【0009】
【実施例】
以下、本考案を図面に基づいて説明する。
本考案によるリボン着墨機は、機体1、伝動装置2、二つの厚さ調整装置3、二つの高さ調整装置4からなる。
機体1は、その上部に設けられ着墨筆を保持するU字クランプ11と、その正面下部に縦方向に設けられ厚さ調整装置3を支える二つの長い調整孔12と、外側の両側壁13に縦方向に設けられる二つの長い調整溝14と、外側側壁13の内側にチャンバ16を介してそれぞれ設けられる二つの内側側壁15とからなる。
【0010】
伝動装置2は機体1の内側に取りつけられる。この伝動装置2は、モータの出力シャフト(図示せず)に取りつけられた出力ギア21と、機体1の正面から突き出し等しい高さに配置される二本の定位置軸23と、この定位置軸23の一本に取りつけられる定位置ギアと、出力ギア21と定位置ギア231との間に噛み合わされる一連の減速ギア22と、定位置軸23の上部中央に配置されその一方の端は機体1の正面から突き出してスリーブ251が被せられ他方の端は機体1内部の着墨ギア252に取りつけられた着墨軸25と、二本の定位置軸23と着墨軸25とに掛けられ機体1の内部に配置されたベルト24と、着墨ギア252と噛み合わされる逆回転ギア261と、逆回転ギア261の軸(図示せず)に取りつけられる逆回転軸26とからなる。以上の構成により、出力ギア21が回転すると一連の減速ギア22が回転し、定位置ギア231、ベルト24を経由して二本の定位置軸23と着墨軸25を回転させる。同時に着墨ギア252の回転が逆回転ギア261を経由して逆回転軸26に伝えられる。着墨軸25にスリーブ251が被せられているのは、リボンを着墨筆に接触させておくためである。
【0011】
二つの厚さ調整装置3は同一であり、それぞれリボンカートリッジ押え枠32と、この押え枠32と直角に伸びた二本の平行な脚31と、この二本の平行な脚31の間をつなぐバネ33とからなる。二本の平行な脚31を互いに近づくように押してバネ33を圧縮することにより、厚さ調整装置3を機体1の正面に設けられた二つの調整孔12のいずれかに挿入することが可能である。厚さ調整装置3を調整孔12のいずれかに挿入した後手を離すと、即座にバネ33により二本の平行な脚31が互いに離れる方向に広がり厚さ調整装置3が調整孔12内に保持される。
【0012】
二つの高さ調整装置4は同一であり、それぞれ脚41と、この脚41から上方向に伸び機体1に設けられたチャンバ16のいずれかに挿入される調整板42とからなる。調整板42の上部にはねじ穴43が設けられ、ねじ44を調整溝14、ねじ穴43に通して締めつけることにより調整板42を対応する内側側壁15に押えつける。
【0013】
リボン着墨機を作動させる時には、着墨しようとするリボンカートリッジを二本の定位置軸23に取り付けて二つの厚さ調整装置3により定位置に保持し、リボンカートリッジのリボンを着墨軸25に被せられたスリーブ251に巻きつける。モータを起動すると、リボンがスリーブ21の上を着墨筆に接触して移動し、印刷インクが均一に連続的にリボンに供給される。リボンカートリッジのリボンが逆向きに巻かれている場合には、スリーブ251を着墨軸25からはずして逆回転軸26に被せればリボンカートリッジのリボンを逆回転軸26とスリーブ251により逆方向に送ることができる。
【0014】
さらに、厚さ調整装置3および高さ調整装置4は着墨しようとするリボンカートリッジの厚さや幅に応じて容易に調節できる。
上記の実施例は簡単な構成であるため機能的である。本考案は図面および明細書中に示された例に限らず、本考案の範囲でさまざまな修正や変更が可能なことは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案によるリボン着墨機の実施例を示す透視立面図である。
【図2】本考案によるリボン着墨機の厚さ調整装置を示す拡大立面図である。
【図3】本考案によるリボン着墨機の高さ調整装置を示す拡大立面図である。
【符号の説明】
1 機体
3 厚さ調整装置
4 高さ調整装置
12 調整孔
14 調整溝
23 定位置軸
24 着墨ベルト
25 着墨軸

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 リボン着墨機であって、機体と、この機体の上部にクランプで取りつけられリボンカートリッジのリボンに印刷インクを供給する着墨筆と、前記機体の正面に三角形の三つの角をなすように配置され、ベルトを通じて駆動モータにより駆動されてリボンカートリッジのリボンを前期着墨筆に接触させて動かす着墨軸および二本の定位置軸と、前記機体にそれぞれ取りつけられ、着墨しようとするリボンカートリッジを定位置に保持する二つの厚さ調整装置および二つの高さ調整装置と、前記モータに取りつけられて一連の減速ギアを通じて前記定位置軸を回転させ、さらに前記定位置軸から前記ベルトを経由して前記着墨軸を回転させるように設けられられた出力ギアとからなり、前記着墨軸に取りつけられた着墨ギアが逆回転軸の逆回転ギアと噛み合っており、前期逆回転ギアは前記着墨軸の回転方向と逆方向にリボンカートリッジのリボンを巻き取ることを特徴とするリボン着墨機。
【請求項2】 前記二つの厚さ調整装置はそれぞれリボンカートリッジ押え枠とこの押え枠から直角に伸びた二本の平行な脚とこの二本の平行な脚の間をつなぐバネとからなり前記機体の正面の調整孔に保持され、前記厚さ調整装置を前記調整孔に脱着する時には前記二本の脚を互いに近づくように押し、前記二本の平行な脚を圧力から解放すれば前記厚さ調整装置が前記調整孔に堅固に固定されることを特徴とする請求項1記載のリボン着墨機。
【請求項3】 前記二つの高さ調整装置はそれぞれ脚とこの脚から上方向に伸びた調整板からなり、前記調整板の上部にはねじ穴が設けられ、前記調整板を前記機体に設けられた各チャンバに挿入し前記機体の両側壁に設けられた各調整溝および前記ねじ穴にねじを通して締めつけることにより、前記調整板を前記機体に堅固に固定することを特徴とする請求項1記載のリボン着墨機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【登録番号】第3001926号
【登録日】平成6年(1994)6月29日
【発行日】平成6年(1994)9月6日
【考案の名称】リボン着墨機
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平6−1997
【出願日】平成6年(1994)3月11日
【出願人】(594043638)
【代理人】
【氏名又は名称】服部 雅紀