説明

リポタンパク質特異的アポリポタンパク質を測定する方法

本発明は、生物学的液体中の様々なタイプのリポタンパク質粒子を予め物理的に分離する必要なしに、イムノアッセイを用いて生物学的液体中のリポタンパク質粒子および/またはリポタンパク質特異的アポリポタンパク質の濃度を測定する方法に向けられる。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
リポタンパク質は、脂質またはその誘導体がタンパク質に共有的にまたは非共有的に結合されうる複雑なタンパク質-脂質構造である。様々なリポタンパク質の中で、代謝プロセスにおいて重要な役割を果たすリポタンパク質は、脂肪(脂質)を血流に乗せて輸送することができる血中のリポタンパク質である。血中リポタンパク質は、その大きさおよび脂質含有量に基づいて分類されうるが、脂質含有量がより高いリポタンパク質は、より大きく、密度がより低くなる傾向がある。
【0002】
カイロミクロン(密度<0.95 g/ml、および直径100〜1000 nm)は、トリアシルグリセロール(脂肪)を腸管から肝臓、骨格筋、および脂肪組織に輸送する。超低密度リポタンパク質(VLDL)(密度0.95〜1.006 g/ml、および直径30〜80 nm)は、新たに合成されたトリアシルグリセロールを肝臓から脂肪組織まで輸送する。中間密度のリポタンパク質(IDL)(密度1.006〜1.019 g/ml、および直径25〜50 nm)は、VLDLとLDLの中間の大きさである。低密度リポタンパク質(LDL)(密度1.019〜1.063 g/ml、および直径18〜28 nm)は、コレステロールを肝臓から体の細胞に輸送する。高密度リポタンパク質(HDL)(密度>1.063 g/ml、および直径5〜15 nm)は、体の組織からコレステロールを収集して、これを肝臓に戻す。
【0003】
脂質レベルは、冠動脈疾患または冠動脈心疾患(CHD)に本質的に関連している。CHDは、心筋および周辺組織に適切な循環を供給する冠動脈の循環不全を表す。CHDは、酸素および栄養を心筋(心臓の筋肉)に供給する冠動脈の壁内に脂質含有プラークが蓄積する冠動脈疾患にしばしば関連している。CHDの発症に関する様々な原因の中には、脂質異常血症があり、この状態は、被験体の血液中での脂質の標準量の異常に関連する状態である。そのような異常には、以下の発生の1つ、またはそのいずれかの組み合わせが含まれうる:総コレステロール(TC)レベルの増加、トリグリセリド(TG)レベルの増加、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールレベルの減少、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールレベルの増加、または上昇量のLDL粒子の存在。医療の専門家は、CHDの管理は、脂質レベル(特にLDLレベル)の厳密なモニタリングおよび修正によって達成されうると一般的に考えている。
【0004】
HDLは時に「善玉コレステロール」リポタンパク質と呼ばれ、より高レベルの循環中HDLレベルは、一般的にCHDのより低いリスクに関連する。
【0005】
一方、LDLコレステロールは、冠動脈心疾患(CHD)の主要な危険因子として広く容認されており、時に「悪玉コレステロール」リポタンパク質と呼ばれる。LDLを低下させる治療による介入試験は、今後のCHD事象の発生を低減させることが示されている。LDL粒子は、コレステロール、トリグリセリド、およびリン脂質のその組成が不均一であり、同じLDL粒子濃度を有する個体が非常に異なるLDLコレステロールレベルを提示しうる。逆に、同じLDLコレステロールレベルを有する個体が、非常に異なるLDL粒子濃度を提示しうる。
【0006】
血漿中LDLコレステロール濃度は、集団での試験においてCHDの良好な予測因子であるが、個々の患者を扱う場合には、CHDの不良な予測因子であることがしばしば見いだされている。この相違の背後にある主な理由は、そのコア内に含有されるコレステロールではなくて、LDL粒子が動脈壁と相互作用してアテローム性動脈硬化症を促進するためである(Tabas et al., 2007, Circulation 116:1832; Rudd et al., In: "Textbook of Cardiovascular Medicine", 2nd ed.; RJ. Topal, Ed., Lippincott, Williams, and Wilkins, Philadelphia, 2002, pp. 2-12)。循環中のLDL粒子の数がより多くなれば、アテローム性動脈硬化症の発症率および進行速度はより大きくなる。ゆえに、患者における今後のCHD事象のよりよい予測因子は、患者の循環中のLDL粒子濃度であるということになる。表1は、LDL粒子(NMRによって測定)およびCHDのプロスペクティブな疫学的試験を要約する。
【0007】
(表1)CHDの危険因子としてのLDL粒子濃度のプロスペクティブ試験(Contois et al., 2009, Clin. Chem. 55:407-419から改作)

省略語:
MI、致死性または非致死性心筋梗塞;A、アンギナ;CHD、冠動脈心疾患;CHDD、冠動脈心疾患による死亡;M、男性;W、女性;CC、ケースコントロール;y、歳;A、アンギナ;S、発作;△MLD、血管造影術による最小内腔径の変化;CI、冠動脈不全;IC、間欠性跛行;CHF、うっ血性心不全;LDL-P、低密度リポタンパク質粒子濃度。
【0008】
LDLの不均一な性質のゆえに、LDL粒子濃度(LDL-P)を、LDLコレステロールレベルから正確に推定することができない(Otvos, 1999, Clin. Cardiol. 22:II21)。LDL-Pを測定するために様々な分析法が用いられている。一例として、LDL-Pを測定するために核磁気共鳴(NMR)分光法を用いるプロスペクティブな疫学的試験(Otvos、米国特許第5,343,389号および第6,576,471号)は、最も顕著に、VAHIT Trial(Otvos et al., 2006, Circulation 113:1556)、Women's Health Study(Mora et al., Scientific Sessions of the American Heart Association, Orlando, FL, November, 2007)、およびFramingham Heart Study(Cromwell et al., 2007, J. Clin. Lipidol. 1 :583)において、LDLコレステロールまたは他の脂質およびリポタンパク質パラメータよりも、LDL粒子濃度がCHDの転帰と有意により強い関連があることを示した(表2;Contois et al., 2009, Clin. Chem. 55:407-419)。アテローム性動脈硬化症に関する多民族試験(MESA)では、LDL粒子濃度は、LDLコレステロールが100 mg/dL未満の被験体においても、前臨床アテローム性動脈硬化症(頚動脈内膜-中膜肥厚)と良好に相関した(Mora et al., 2007, Atherosclerosis 2007, 192:211)。残念なことに、NMR技術を用いることは費用が高く、実験的に複雑であり、臨床検査においてなおルーチンで用いられない。ゆえに、臨床の状況においてルーチンで行われうる方法を用いて、個々の患者におけるLDL粒子の数または濃度を定量することが当技術分野において必要である。
【0009】
リポタンパク質のタンパク質成分であるアポリポタンパク質は、3つの主要な機能を提供する:(a)リポタンパク質を代謝する酵素の活性を調節する;(b)リポタンパク質の構造的完全性を維持する;および(c)特異的細胞表面受容体に結合することによってリポタンパク質の取込みを促進する。アポリポタンパク質B(apo B)は、2つのイソ型、すなわち肝細胞において合成されるapo B-100、およびapo B-100遺伝子に同様に由来するが、小腸において合成される切断型タンパク質であるapo B-48、を有する大きいタンパク質である(Elovson et al., 1988, J. Lipid Res. 29:1461)。Apo B-48は、カイロミクロンにおいて見いだされるが、Apo B-100はVLDL、IDL、LDL、およびリポタンパク質(a)[Lp(a)]において見いだされる。これら全てのリポタンパク質において、リポタンパク質粒子1個あたりapo B 1分子が存在し、ゆえに特定のリポタンパク質クラスに会合するapo Bを測定すれば、その特定のリポタンパク質クラスの粒子数または濃度を示している(Sniderman et al., 1991, Atherosclerosis 89:109)。
【0010】
(表2)LDL粒子濃度のプロスペクティブ試験:相対的リスクとLDLコレステロールレベルとの比較(Contois et al., 2009, Clin. Chem. 55:407-419から改作)

省略語:apo B、アポリポタンパク質B;NS、有意差なし;M、男性;W、女性;T、三分位値;Q、四分位値または五分位値;SD、標準偏差;TC、総コレステロール;TG、トリグリセリド;BP、血圧;SBP、収縮期血圧;DBP、拡張期血圧;LDL-C、低密度リポタンパク質コレステロール;LDL-P、低密度リポタンパク質粒子濃度;BMI、肥満指数;HDL-C、高密度リポタンパク質コレステロール;HTN、高血圧症;HbA1c、ヘモグロビンA1c;TIA、一過性の虚血発作;PVD、末梢血管疾患。
【0011】
LDLを定量する試みにおいて、研究者らは、LDLを他のリポタンパク質から分離するために、超遠心分離、電気泳動、または選択的沈殿などの技術を開示している。しかし、これらの技術は一般的に扱いにくく、このように、ルーチンアッセイにとって必要な実行し易さがない。Gambertは、LDLを他のリポタンパク質から分離するために電気泳動を用いて、および次にapo Bを測定するために電気的-免疫拡散を用いてLDL-apo Bを測定する方法を記述した(米国特許第5,064,769号)。Andersonは、抗apo CI抗体によってVLDLおよびIDLを沈殿させた後、ロケット電気泳動によって溶液中に残っているapo B(おそらくLDLと会合している)を測定する段階によって、LDL-apo Bを測定する方法を記述した(Anderson, 1998, J. Lipid Res. 29:377)。Vrgaらは、Genzyme Diagnostics(Cambridge, MA)の免疫分離キットを用いたLDLの単離を記述した(Vrga et al., 1997, Clin. Chem. 43:390)。方法は、VLDLおよびHDLをLDLから分離するための手段として、ポリスチレンビーズに複合体形成させた抗apo A-Iおよび抗apo E抗体を使用した。単離されたLDLを含有する濾液を遠心分離によって得て、濾液中のapo Bをイムノアッセイによって測定した。Schriewerらは、リンタングステン酸および塩化マグネシウムによる血清中のVLDLの沈殿後のLDLコレステロールおよびLDL-apo B濃度を決定した(Schriewer et al., 1984, J Clin. Chem. Clin. Biochem. 22: 35)。Caulfieldらは、イオン移動度分析によってLDL粒子濃度を測定する方法を記述した(Caulfield et al., 2008, Clin. Chem. 54: 1307)。Korenらは、LDLにおいて認識されるがVLDL粒子では認識されないと報告されているapo Bエピトープに対する1つの抗体が含まれる多数のモノクローナル抗体を記述した(米国特許出願第2004/0053321号)。Slaterらはまた、LDLに会合するapoBに対して相対的特異性を示すモノクローナル抗体を用いてLDL-apo Bに関するモノクローナル抗体に基づくアッセイを記述した(Slater et al., 1985, Clin. Chem. 31:841)。LDL-apo Bに対するこれらの抗体または類似のモノクローナル抗体は、まだ広く採用されていない。
【0012】
異なるアプローチにおいて、何人かの研究者が、総apo B測定に基づいてLDL-Pを推定しようと試みている。Clendenenらは、LDL粒子濃度を推定するために総apo Bを用いることを記述したが、総apo Bを用いて勾配ゲル電気泳動によって分離されたLDLサブ画分の粒子濃度を決定してもよい(米国特許出願第 2007/0072302号)。方法は、総apo BとLDL-Pのあいだの1:1の関係を仮定したが、これはおおよその近似に過ぎない。同様に、Baca and Warnickは、総apo Bおよびトリグリセリド濃度に基づいてLDL-apo Bを推定する数式を開発し(Baca & Warnick, 2008, Clin. Chem. 54: 907)、Kulkarniは、apo Bを推定するために類似の数学的方程式を記述した(米国特許第7,521,248号)。
【0013】
要約すると、脂質レベルをルーチンでモニターして、被験体における今後のCHD事象のリスクを推定するための手段として、血液試料中のLDL粒子濃度を迅速に決定することは非常に重要である。残念なことに、生物学的試料中のLDL粒子数または濃度を特異的に測定する正確な方法がなおも必要であり、そのような方法は、やっかいな精製技法または高価な分析機器を必要とすることなく、標準的な化学実験において実行されうる。本発明は、この要件を満たす。
【発明の概要】
【0014】
1つの局面において、本発明には、アポリポタンパク質が、リポタンパク質-アポリポタンパク質の形でリポタンパク質に構造的に会合する、被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度を測定する方法が含まれる。
【0015】
1つの態様において、方法は、界面活性剤を含む試薬R1と生物学的液体を混合して、溶液S1を生成する段階を含み;次に、溶液S1を、設定温度T1で時間t1の期間、インキュベートして;次に、溶液S1を、アポリポタンパク質に対する抗体を含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する。次に、溶液S2を設定温度T2で時間t2の期間、インキュベートして、アポリポタンパク質抗体複合体を生成する。既知の濃度のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの標準溶液を用いて、イムノアッセイによってアポリポタンパク質に対する抗体の結合を定量するために、較正曲線を作製する。このように、抗体結合アポリポタンパク質は、較正曲線を用いてイムノアッセイにおいて溶液S2中で定量され、およびそれによって溶液S2中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が評価され、およびそれによって生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が決定され、ならびにそれによって生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度が評価される。
【0016】
もう1つの態様において、方法は、生物学的液体を試薬R1と混合して溶液S1を生成する段階を含む;次に、溶液S1を設定温度T1で時間t1の期間インキュベートする;次に、溶液S1を、アポリポタンパク質に対する抗体と界面活性剤とを含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する。次に、溶液S2を設定温度T2で時間t2の期間インキュベートして、アポリポタンパク質抗体複合体を生成する。次に、既知の濃度のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの標準溶液を用いて、アポリポタンパク質に対する抗体の結合をイムノアッセイによって定量するために、較正曲線を作製する。このように、抗体結合アポリポタンパク質は、較正曲線を用いてイムノアッセイにおいて溶液S2中で定量され、およびそれによって溶液S2中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が評価され、およびそれによって生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が決定され、ならびにそれによって生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度が評価される。
【0017】
なおもう1つの態様において、方法は、生物学的液体を、アポリポタンパク質に対する抗体と界面活性剤とを含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する段階を含む。次に、溶液S2を設定温度T2で時間t2の期間インキュベートして、アポリポタンパク質抗体複合体を生成する。次に、既知の濃度のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの標準溶液を用いてアポリポタンパク質に対する抗体の結合をイムノアッセイによって定量するために較正曲線を作製する。このように、抗体結合アポリポタンパク質は、較正曲線を用いてイムノアッセイにおいて溶液S2中で定量され、およびそれによって溶液S2中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が評価され、およびそれによって生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が決定され、ならびにそれによって生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度が評価される。
【0018】
1つの態様において、被験体はヒトである。
【0019】
1つの態様において、生物学的液体は血液である。もう1つの態様において、生物学的液体は血清である。なおもう1つの態様において、生物学的液体は血漿である。
【0020】
1つの態様において、リポタンパク質はLDLであり、アポリポタンパク質はapo Bである。もう1つの態様において、リポタンパク質はHDLであり、アポリポタンパク質は、apo A-I、apo A-II、apo A-IV、apo A-V、apo C-I、apo C-II、apo C-III、apo C-IV、およびapo Eからなる群より選択される。
【0021】
1つの態様において、界面活性剤は、イオン性界面活性剤である。もう1つの態様において、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。なおもう1つの態様において、非イオン性界面活性剤は、POEポリマー、POPポリマー、POE-POPブロックコポリマー、PEGポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、およびTriton(登録商標)界面活性剤からなる群より選択される。
【0022】
1つの態様において、溶液S1中の界面活性剤の濃度は約0.001%から約10%までの範囲である。もう1つの態様において、溶液S1中の界面活性剤の濃度は、約0.005%から約1%までの範囲である。
【0023】
1つの態様において、溶液S2中の界面活性剤の濃度は約0.001%から約10%までの範囲である。もう1つの態様において、溶液S2中の界面活性剤の濃度は、約0.005%から約1%までの範囲である。
【0024】
1つの態様において、試薬R1はPEGポリマーをさらに含む。もう1つの態様において、溶液S1中のPEGポリマーの濃度は約0.1%から約10%までの範囲である。なおもう1つの態様において、溶液S1中のPEGポリマーの濃度は、約1%から約8%までの範囲である。
【0025】
1つの態様において、試薬R2はPEGポリマーをさらに含む。もう1つの態様において、溶液S2中のPEGポリマーの濃度は約0.1%から約10%までの範囲である。なおもう1つの態様において、溶液S2中のPEGポリマーの濃度は、約1%から約8%までの範囲である。
【0026】
1つの態様において、試薬S2はPEGポリマーをさらに含む。もう1つの態様において、溶液S2中のPEGポリマーの濃度は約0.1%から約10%までの範囲である。なおもう1つの態様において、溶液S1中のPEGポリマーの濃度は、約1%から約8%までの範囲である。
【0027】
1つの態様において、試薬R1は、任意でPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む。
【0028】
1つの態様において、試薬R2は、任意でPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む。
【0029】
1つの態様において、溶液S2は、任意でPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む。
【0030】
1つの態様において、溶液S1は、界面活性剤Pluronic(登録商標)F-68(0.5%)、PEG 4000(2.5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4を含む。もう1つの態様において、溶液S1は、界面活性剤Brij(登録商標)700(0.005%)、PEG 8000(3%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4を含む。なおもう1つの態様において、溶液S1は、界面活性剤Pluronic(登録商標)F-127(0.01%)、PEG 8000(5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4を含む。
【0031】
1つの態様において、溶液S2は、界面活性剤Pluronic(登録商標)F-68(0.5%)、PEG 4000(2.5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4を含む。もう1つの態様において、溶液S2は、界面活性剤Brij(登録商標)700(0.005%)、PEG 8000(3%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4を含む。なおもう1つの態様において、溶液S2は、界面活性剤Pluronic(登録商標)F-127(0.01%)、PEG 8000(5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4を含む。
【0032】
1つの態様において、時間t1の期間は約5分であり、設定温度T1は約37℃である。
【0033】
1つの態様において、時間t2の期間は約3分であり、設定温度T2は約37℃である。
【0034】
1つの態様において、イムノアッセイは、免疫濁度測定法または免疫比濁法である。もう1つの態様において、イムノアッセイはELISAアッセイである。
【0035】
1つの態様において、少なくとも1つの標準溶液は、mg/dL単位で表記される既知の濃度を有する。もう1つの態様において、生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度は、mg/dL単位で計算される。なおもう1つの態様において、生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度は、nmol/L単位で計算される。なおもう1つの態様において、生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度はnmol/L単位で計算される。
【0036】
もう1つの態様において、本発明には、POEポリマー、POPポリマー、POE-POPブロックコポリマー、PEGポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、およびTriton(登録商標)界面活性剤からなる群より選択される非イオン性界面活性剤を含む組成物が含まれ、非イオン性界面活性剤の濃度は、約6.5から約8.5までの範囲のpH値を有する緩衝液中で約0.001%から約10%までの範囲である。
【0037】
1つの態様において、組成物は、濃度が約0.1%から約10%までの範囲であるPEGポリマーを任意でさらに含む。もう1つの態様において、組成物は、PEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む。なおもう1つの態様において、組成物は、被験体からの生物学的液体をさらに含む。なおもう1つの態様において、組成物は、アポリポタンパク質に対する抗体をさらに含む。
【0038】
なおもう1つの局面において、本発明には、アポリポタンパク質がリポタンパク質-アポリポタンパク質の形でリポタンパク質に構造的に会合している、被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度を測定するためのキットが含まれる。キットは、(a)既知の量のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの組成物;(b)非イオン性界面活性剤の濃度が、約6.5から約8.5の範囲のpH値を有する緩衝液中で約0.001%から約10%までの範囲である、POEポリマー、POPポリマー、POE-POPブロックコポリマー、PEGポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、およびTriton(登録商標)界面活性剤からなる群より選択される非イオン性界面活性剤を含む組成物であって;濃度が0.1%から約10%までの範囲であるPEGポリマーを任意でさらに含み;およびPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む、組成物;ならびに(c)アポリポタンパク質に対する抗体を含み、および任意で界面活性剤、PEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含む組成物、を含み;キットはキットを用いるためのアプリケーターおよび説明材をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明を例証する目的のために、本発明のある態様を図面で描写する。しかし、本発明は、図面に描写された態様の正確な配置および器具整備図に限定されない。
【0040】
【図1】免疫濁度測定法によって測定した、抗apo B抗体とVLDLおよびLDL粒子との反応における試薬R1の成分としての界面活性剤Pluronic(登録商標)P123の効果を表すグラフである。全ての反応において、試薬R1は、2.7%PEG 4000を含有した。0%Pluronic(登録商標)P123に関する反応の程度を100%に標準化した。
【図2】免疫濁度測定法によって測定した、抗apo B抗体とVLDLおよびLDL粒子との反応における試薬R1の成分としての界面活性剤Pluronic(登録商標)L121の効果を表すグラフである。全ての反応において、試薬R1は、2.7%PEG 4000を含有した。0%Pluronic(登録商標)P123に関する反応の程度を100%に標準化した。
【図3】免疫濁度測定法によって測定した、抗apo B抗体とVLDLおよびLDL粒子との反応における試薬R1の成分としてのPEG 4000の効果を表すグラフである。全ての反応において、試薬R1は、0.05%Pluronic(登録商標)P123を含有した。
【図4】免疫濁度測定法によって測定した、抗apo B抗体とVLDLおよびLDL粒子との反応における試薬R1の成分としてのPEG 600の効果を表すグラフである。全ての反応において、試薬R1は、0.8%Pluronic(登録商標)F68を含有した。
【図5】免疫濁度測定法によって測定した、抗apo B抗体とVLDLおよびLDL粒子との反応における試薬R1の成分としてのPEG 4000の効果を表すグラフである。全ての反応において、試薬R1は、0.8%Pluronic(登録商標)F68を含有した。
【図6】免疫濁度測定法によって測定した、抗apo B抗体とVLDLおよびLDL粒子との反応における試薬R1の成分としての界面活性剤Pluronic(登録商標)F68の効果を表すグラフである。全ての反応において、試薬R1は、3%PEG 4000を含有した。
【図7】免疫濁度測定法によって測定した、抗apo B抗体とVLDLおよびLDL粒子との反応における試薬R1の成分としての界面活性剤Pluronic(登録商標)F68の効果を表すグラフである。全ての反応において、試薬R1は、3%PEG 600を含有した。
【図8】観察された濃度と、濃縮LDL粒子の希釈に由来する予想濃度の直線回帰を例証するグラフおよび表である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は、試料中に存在する様々なタイプのリポタンパク質粒子の予備的な物理的分離を必要とすることなく、溶液中のリポタンパク質粒子の濃度が、関心対象のリポタンパク質粒子に会合する1つまたは複数のアポリポタンパク質の定量に基づいて迅速に決定されうるという発見に関する。方法はこのように、費用および/または時間がかかる精製技法または高価な分析機器を都合よく使用せずにすませる。
【0042】
本発明には、被験体の生物学的液体中のLDL-apo B(たとえば、LDL粒子に会合したapo B)濃度を測定する方法が含まれる。方法は、非LDL粒子に会合したapo B(VLDL-apo B、すなわちVLDL粒子に会合したapo Bなどの)と、抗apo B抗体との結合を「遮断する」化学試薬によって生物学的液体を処置する段階を含む。次に、LDL粒子に会合したapo Bタンパク質のみが、処置試料に加えられた抗apo B抗体に自由に結合する。方法はさらに、生物学的液体中のLDL-apo B濃度を定量する方法、およびその情報を用いて生物学的液体中のLDL粒子濃度を計算する方法を含む。
【0043】
本発明にはまた、被験体の生物学的液体中のHDLに結合した選択されたアポリポタンパク質の濃度を測定する方法が含まれる。方法は、非HDL粒子(VLDLなどの、しかしこれに限定されない)に会合した選択されたアポリポタンパク質(apo A-I、apo A-II、apo A-IV、apo A-V、apo C-I、apo C-II、apo C-III、apo C-IVまたはapo Eなどの、しかしこれらに限定されない)と、対応する抗アポリポタンパク質抗体(それぞれ、抗apo A-I、抗apo A-II、抗apo A-IV、抗apo A- V、抗apo C-I、抗apo C-II、抗apo C-III、抗apo C-IVまたは抗apo E抗体)との結合を「遮断する」化学試薬によって生物学的液体を処置する段階を含む。HDLに会合した選択されたアポリポタンパク質は、処置試料に加えられた抗アポリポタンパク質抗体に自由に結合する。方法はさらに、生物学的液体中のHDLに会合したアポリポタンパク質の濃度を定量する方法、およびその情報を用いて生物学的液体中のHDL粒子濃度を推定する方法を含む。
【0044】
本発明に含まれる方法は、被験体におけるアポリポタンパク質および/またはリポタンパク質の循環中の特異的レベルを経時的にモニターするために用いられうる。このモニタリングを、被験体が冠動脈心疾患(CHD)を発症する可能性を決定するために用いてもよく、ならびに循環中の特異的アポリポタンパク質および/またはリポタンパク質レベルを、医療の専門家によって健康であるまたは望ましいと容認される範囲に管理することを助ける目的で、個人に合わせて作製される医学的および/またはライフスタイルの介入の肝要な部分として用いてもよい。
【0045】
定義
本明細書において用いられる、以下の用語の各々は、本章におけるそれに関連する意味を有する。
【0046】
特に明記していなければ、本明細書において用いられる全ての科学技術用語は全般的に、本発明が属する当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。全般的に、本明細書において用いられる命名法、ならびに細胞培養、分子遺伝子学、有機化学、脂質化学、および核酸化学およびハイブリダイゼーションにおける実験技法は、当技術分野において周知であり、かつ一般的に使用されている。
【0047】
本明細書において用いられる「1つの」および「1つの(an)」は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは1つより多く(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「1つの要素」は、1つの要素または1つより多くの要素を意味する。
【0048】
本明細書において用いられる「約」という用語は、当業者によって理解され、それが用いられる内容に関してある程度変化するであろう。
【0049】
本明細書において用いられる「PBS」という用語は、リン酸緩衝生理食塩液を指し、「Tris」または「tris」は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩基を指す。
【0050】
本明細書において用いられる「リポタンパク質X-アポリポタンパク質Y」は、リポタンパク質Xに構造的に会合したアポリポタンパク質Yを指す。たとえば、LDL-apo Bは、LDLリポタンパク質に構造的に会合したapo Bアポリポタンパク質を指す。非LDL-apo Bは、LDLではないリポタンパク質に構造的に会合したapo Bアポリポタンパク質を指す。その結果、非LDL-apo Bは、試料中の総apo Bアポリポタンパク質マイナスLDLに構造的に会合したapo Bアポリポタンパク質に対応する。
【0051】
本明細書において用いられる「界面活性剤」という用語は、液体の表面張力を低下させて、容易な拡散を可能にし、2つの液体間の界面張力を低下させる湿潤剤を指す。界面活性剤は通常、両親媒性である有機化合物であり、このことはそれが疎水性基(「テール」)と親水性基(「ヘッド」)の双方を含有することを意味する。界面活性剤の非制限的な例は、ポリオキシエチレン(POE)ポリマー、ポリオキシプロピレン(POP)ポリマー、POE-POPブロックコポリマー、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール(PEG)、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、Triton(登録商標)界面活性剤、および硫酸デキストランである。
【0052】
本明細書において用いられる「ペプチド」、「ポリペプチド」、および「タンパク質」という用語は互換的に用いられ、ペプチド結合によって共有結合したアミノ酸残基を含む化合物を指す。タンパク質またはペプチドは少なくとも2つのアミノ酸を含有しなければならず、タンパク質またはペプチドの配列を含みうるアミノ酸の最大数に制限はない。ポリペプチドには、ペプチド結合によって互いに連結された2つまたはそれより多くのアミノ酸を含む任意のペプチドまたはタンパク質が含まれる。本明細書において用いられるこの用語は、当技術分野においてたとえばペプチド、オリゴペプチド、およびオリゴマーと一般的に呼ばれる短鎖と、当技術分野において、多くのタイプが存在するタンパク質と一般的に呼ばれる長鎖の双方を指す。「ポリペプチド」には、たとえば中でも生物活性断片、実質的に相同なポリペプチド、オリゴペプチド、ホモダイマー、ヘテロダイマー、ポリペプチドの変種、改変ポリペプチド、誘導体、アナログ、融合タンパク質が含まれる。ポリペプチドには、天然のペプチド、組み換え型ペプチド、合成ペプチド、またはその組み合わせが含まれる。タンパク質は、受容体または非受容体であり得る。
【0053】
本明細書において用いられるタンパク質またはペプチドに適用される場合の「断片」という用語は、より大きいタンパク質またはペプチドのサブ配列を指す。タンパク質またはペプチドの「断片」は、長さがアミノ酸少なくとも約10個であってもよく、たとえば長さがアミノ酸少なくとも約50個、より好ましくは長さがアミノ酸少なくとも約100個、さらにより好ましくは長さがアミノ酸少なくとも約200個、特に好ましくは長さがアミノ酸少なくとも約300個、および最も好ましくは長さがアミノ酸少なくとも約400個であってもよい。
【0054】
本明細書において用いられる「核酸」は、ポリヌクレオチドを指し、これにはポリリボヌクレオチドおよびポリデオキシリボヌクレオチドが含まれる。
【0055】
本明細書において用いられる「相同な」という用語は、2つのポリマー分子のあいだ、たとえば2つのDNA分子もしくは2つのRNA分子などの2つの核酸分子のあいだ、または2つのポリペプチド分子のあいだのサブユニット配列類似性を指す。2つの分子の双方におけるサブユニット位置が同じモノマーサブユニットによって占有されている場合、たとえば2つのDNA分子の各々における1つの位置がアデニンによって占有されている場合、それらはその位置で相同である。2つの配列間の相同性は、マッチするまたは相同な位置の数の直接関数であり;たとえば2つの配列における位置の半数(たとえば、長さがサブユニット10個のポリマーにおける5個の位置)がマッチしているまたは相同である場合、2つの配列は50%相同であり;位置の90%(たとえば、10個中9個)がマッチしているまたは相同である場合、2つの配列は90%相同である。例として、DNA配列3'ATTGCC5'および3'TATGGC5'は50%相同である。本明細書において用いられる「相同性」は、「同一性」と同義で用いられる。
【0056】
本明細書において用いられる「実質的に同じ」アミノ酸配列という用語は、Pearson & Lipman, Proc. Natl. Inst. Acad. Sci. USA 1988, 85:2444-2448に従ってFASTA検索法によって決定した場合に、もう1つのアミノ酸配列に対して少なくとも70%、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、さらにより好ましくは少なくとも約95%、および最も好ましくは少なくとも99%相同性を有する配列として定義される。
【0057】
本明細書において用いられる「単離された」という用語は、ヒトの作業を通して天然の状態から変更または除去されたことを意味する。たとえば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは、「単離」されていないが、その天然の状態で同時に存在する材料から部分的または完全に分離されている同じ核酸またはペプチドは「単離」されている。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製型で存在することができ、またはたとえば宿主細胞などの非本来の環境に存在することができる。
【0058】
本明細書において用いられる「抗体」という用語は、天然であるかまたは部分的もしくは全体が合成によって産生されたか否かによらず、免疫グロブリンを指す。この用語はまた、抗原結合ドメインである、またはそれと相同である結合ドメインを有する任意のポリペプチド、タンパク質、またはペプチドに及ぶ。これらは天然の起源から単離されてもよく、または部分的もしくは完全に合成によって産生されてもよい。抗体の例は、無傷の免疫グロブリン分子のみならず、エピトープ決定基に結合することができるFab、F(ab')2、Fv断片、および一本鎖可変断片(scFv)などのその断片である。抗体断片は、長さがアミノ酸少なくとも約5個から約15個またはそれより長く、および免疫グロブリンのいくつかの生物活性もしくは免疫学的活性を保持する抗原結合免疫グロブリンペプチドを指す。本明細書において用いられる抗体には、ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体、ハイブリッド、一本鎖、およびヒト化抗体のみならず、Fabの産物が含まれるFab断片、または他の免疫グロブリン発現ライブラリ、および適した誘導体が含まれる。
【0059】
本明細書において用いられる、選択されるアポリポタンパク質に対する抗体の結合を指す場合の、抗体が「特異的に結合する」とは、抗体が選択されるアポリポタンパク質、またはそのサブユニットに結合するが、選択されるアポリポタンパク質ではない生物学的分子には結合しないことを意味する。選択されるアポリポタンパク質またはそのサブユニットに特異的に結合する抗体は、選択されるアポリポタンパク質の外側の生物学的分子と実質的に交叉反応しない。
【0060】
本明細書において用いられる「モノクローナル抗体」という用語には、特定のエピトープに対して1つの結合特異性および親和性を示す抗体が含まれる。これらの抗体は、マウス、ヒト、およびヒト化抗体が含まれる哺乳動物に由来する抗体である。本明細書において用いられる、「抗体重鎖」は、その天然に存在するコンフォメーションで全ての抗体分子に存在するポリペプチド鎖の2つのタイプのより大きいほうを指す。本明細書において用いられる、「抗体軽鎖」は、その天然に存在するコンフォメーションで全ての抗体分子に存在するポリペプチド鎖の2つのタイプのより小さいほうを指す。
【0061】
本明細書において用いられる「抗アポリポタンパク質結合非抗体分子」という用語は、抗体ではなく、および本発明において企図されるアポリポタンパク質の1つまたは複数に結合する有機分子またはペプチドを含めると解釈されるべきである。
【0062】
抗アポリポタンパク質抗体、断片、誘導体、相同体もしくはアナログ、または抗アポリポタンパク質結合非抗体分子に関連して、本明細書において用いられる「生物学的に活性な」とは、抗体、断片、誘導体、相同体もしくはアナログ、または抗アポリポタンパク質結合非抗体分子が、本明細書において記述されるアポリポタンパク質に対する結合能を有することを意味する(たとえば、非制限的な例として抗apo B抗体)。本明細書において用いられる「阻害する」という用語は、活性または機能を対照値と比較して少なくとも約10%抑制または遮断することを意味する。好ましくは、活性は、対照値と比較して50%、より好ましくは75%、およびさらにより好ましくは95%抑制または遮断される。
【0063】
「誘導体」には、本発明において企図されるアポリポタンパク質の1つに結合する抗体の可変ドメインアミノ酸配列と実質的に類似であるアミノ酸配列をその全体または一部において含む、任意の意図的に生成されたペプチドが含まれる。本発明の抗体の誘導体は、1つまたは多数のアミノ酸置換、欠失、付加、または交換を特徴としうる。これらの誘導体には:(a)1つまたは複数のアミノ酸残基が保存的または非保存的アミノ酸に置換されている誘導体;(b)1つまたは複数のアミノ酸が付加されている誘導体;(c)本発明の実践において用いられるアミノ酸配列のアミノ酸の1つまたは複数に置換基が含まれる誘導体;(d)本発明の実践において用いられるアミノ酸配列またはその一部がもう1つのペプチド(たとえば、血清アルブミンまたはタンパク質形質導入ドメイン)に融合されている誘導体;(e)1つまたは複数の非標準アミノ酸残基(たとえば、天然に存在するタンパク質において見いだされる標準的なL-アミノ酸20個以外のアミノ酸)が本発明の実践において用いられるアミノ酸配列に組み入れられるまたは置換されている誘導体;(f)1つまたは複数の非アミノ酸連結基が、本発明の実践において用いられるアミノ酸の一部に組み入れられているまたは一部を交換している誘導体;および(g)1つまたは複数のアミノ酸がグリコシル化によって改変されている誘導体、が含まれうる。
【0064】
本明細書において用いられる「被験体」、「個体」、または「患者」という用語は、その生物学的液体が本発明の方法を用いて分析されうる哺乳動物、好ましくはヒトを指す。本明細書において用いられる「生物学的液体」という用語には、被験体の体または臓器内部に存在する任意の液体材料が含まれる。生物学的液体は体から排泄もしくは分泌されてもよく、または体から除去されてもよい。生物学的液体には、羊水、血液、血漿、脳脊髄液、間隙液、リンパ、乳汁、粘液(鼻汁および痰が含まれる)、胸膜液、膿、皮脂(皮膚の油)、血清、および性器分泌物が含まれるがこれらに限定されるわけではない。
【0065】
本明細書において用いられる「アプリケーター」という用語は、本発明の化合物および組成物を投与するための、皮下注射器、ピペット、自動試料プローブ等が含まれるがこれらに限定されるわけではない任意の装置を指す。
【0066】
本明細書において用いられる「説明材」には、本発明の方法に関してキット中の本発明の組成物および/または化合物の有用性を伝達するために用いられうる刊行物、記録、ダイヤグラム、製品添付文書、または他の任意の表現媒体が含まれる。任意でもしくはまたは、説明材は、本明細書において他所で開示される方法が含まれる、本発明に関連する1つまたは複数の方法を記述しうる。
【0067】
キットの説明材は、たとえば、本発明の化合物および/または組成物を含有する容器に貼付されてもよく、または化合物および/または組成物を含有する容器と共に輸送されてもよい。または説明材を、受け取った人が、説明材と化合物とを協調して用いることを意図して容器とは別に輸送してもよい。または、説明材を、ユーザーへの電子ファイル伝送にとって適したフォーマットで、インターネット上で得てもよい。たとえば、説明材は、キットを用いるためであり、化合物を用いるための説明書、または化合物の製剤を用いるための説明書である。
【0068】
方法
本発明には、分析を行う前に所定のリポタンパク質を他のリポタンパク質から物理的に分離する必要なく、被験体の生物学的液体中のリポタンパク質に会合したアポリポタンパク質の濃度を測定する方法が含まれる。
【0069】
本発明の1つの態様において、アポリポタンパク質はapo Bであり、リポタンパク質はLDLである。
【0070】
もう1つの態様において、生物学的液体は、非LDL粒子に会合したapo Bアポリポタンパク質(非LDL-apo B)の抗apo B抗体に対する結合を遮断する化学試薬によって処置される。処置された試料に抗apo B抗体を加えると、LDL粒子に会合したapo Bタンパク質(LDL-apo B)のみに対する抗体の結合が起こる。本発明には、生物学的液体中のLDL-apo B濃度を定量するためにこの系を用いる方法が含まれる。次に、LDL-apo B濃度を用いて、本明細書において記述される方法を用いて生物学的液体中のLDL粒子濃度を計算してもよい。
【0071】
なおもう1つの態様において、生物学的液体は、LDL粒子に会合したapo Bタンパク質(LDL-apo B)の抗apo B抗体に対する結合を「遮断する」化学試薬によって処置される。処置された試料に抗apo B抗体を加えると、非LDL粒子に会合したapo Bタンパク質(非LDL-apo B)のみに対する抗体の結合が起こる。本発明には、生物学的液体中の非LDL-apo B濃度を定量するためにこの系を用いる方法が含まれ、非LDL-apo B濃度を総apo B濃度から差し引いて、生物学的液体中のLDL-apo B濃度を提供してもよい。次に、LDL-apo B濃度を用いて、本明細書において記述される方法を用いて生物学的液体中のLDL粒子濃度を計算してもよい。
【0072】
本発明のもう1つの態様において、リポタンパク質はHDLであり、アポリポタンパク質は、apo A-I、apo A-II、apo A- IV、apo A-V、apo C-I、apo C-II、apo C-III、apo C-IVおよびapo Eからなる群より選択される。生物学的液体は、非HDL粒子に会合したアポリポタンパク質(非HDL-アポリポタンパク質)の抗アポリポタンパク質抗体に対する結合を「遮断する」化学試薬によって処置される。処置された試料に抗アポリポタンパク質抗体を加えると、HDL粒子に会合したアポリポタンパク質(HDL-アポリポタンパク質)のみに対する抗体の結合が起こる。本発明はさらに、生物学的液体中のHDL-アポリポタンパク質濃度を定量する方法に関する。次にこの情報を用いて、本明細書において記述される方法を用いて、HDL-アポリポタンパク質粒子あたりの平均アポリポタンパク質数に基づいて、生物学的液体中のHDL粒子濃度を推定してもよい。
【0073】
分析中の生物学的液体は、哺乳動物、好ましくはヒトから単離された任意の生物学的液体を含んでもよい。1つの態様において、生物学的液体はヒト血液である。もう1つの態様において、生物学的液体はヒト血清である。なおもう1つの態様において、生物学的液体はヒト血漿である。
【0074】
本発明には、アポリポタンパク質がリポタンパク質-アポリポタンパク質の形でリポタンパク質に会合している、被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度を測定する方法が含まれる。1つの態様において、方法は、界面活性剤を含む試薬R1と生物学的液体を混合して、溶液S1を生成する段階を含み;溶液S1を、第一の設定温度で第一の期間インキュベートして;溶液S1を、アポリポタンパク質に対する抗体を含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する。次に、溶液S2を設定温度T2で時間t2の期間インキュベートして、抗体結合アポリポタンパク質を生成する。次に、既知の濃度のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの標準溶液を用いて、選択されたイムノアッセイによって所定のアポリポタンパク質に対する抗体の結合を定量するための較正曲線を作製する。このようにして、溶液S2中の抗体結合アポリポタンパク質は、較正曲線を用いて、選択されたイムノアッセイにおいて定量され、および溶液S2中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が評価され、およびそれによって生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が決定され、およびそれによって被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度が決定される。
【0075】
もう1つの態様において、方法は、生物学的液体を試薬R1と混合して溶液S1を生成する段階を含み;溶液S1を、設定温度T1で時間t1の期間インキュベートして;溶液S1を、アポリポタンパク質に対する抗体と界面活性剤とを含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する。次に、溶液S2を設定温度T2で時間t2の期間インキュベートして、抗体結合アポリポタンパク質を生成する。次に、既知の濃度のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの標準溶液を用いて、選択されたイムノアッセイによって所定のアポリポタンパク質に対する抗体の結合を定量するための較正曲線を作製する。このようにして、溶液S2中の抗体結合アポリポタンパク質が、較正曲線を用いて、選択されたイムノアッセイにおいて定量され、溶液S2中のリポタンパク質-アポリポタンパク質濃度が評価され、およびそれによって生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が決定され、およびそれによって被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度が決定される。
【0076】
なおもう1つの態様において、方法は、生物学的液体を、アポリポタンパク質に対する抗体と界面活性剤とを含む試薬R2と混合して溶液S2を生成する段階を含む。次に、溶液S2を設定温度T2で時間t2の期間インキュベートして、抗体結合アポリポタンパク質を生成する。次に、既知の濃度のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの標準溶液を用いて、選択されたイムノアッセイによって所定のアポリポタンパク質に対する抗体の結合を定量するための較正曲線を作製する。このようにして、溶液S2中の抗体結合アポリポタンパク質は、較正曲線を用いて、選択されたイムノアッセイにおいて定量され、および溶液S2中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が評価され、およびそれによって生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質の濃度が決定され、およびそれによって被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度が決定される。
【0077】
試薬R1
分析される生物学的液体を、試薬R1と呼ばれる水性溶液によって希釈してもよい。得られた溶液を溶液S1と呼ぶ。溶液S1を生成するために、試薬R1による生物学的液体の希釈の望ましい程度は、他の要因の中でも、生物学的液体中の関心対象アポリポタンパク質の濃度、試薬R1の成分、および関心対象アポリポタンパク質に結合する抗体を検出するために用いられる方法の感度に依存する。当業者は、アポリポタンパク質と抗アポリポタンパク質抗体との結合が適切にモニターされうるように、試薬R1による生物学的液体の容認可能な希釈値を最少量の実験によって同定することが可能である。
【0078】
試薬R1は、イムノアッセイ全般を妨害しないことが当技術分野において公知である緩衝液系を用いて緩衝させてもよい。1つの態様において、試薬R1において用いられる緩衝液系は、pH約6.5からpH約8.5の最適な緩衝範囲を有する。もう1つの態様において、試薬R1において用いられる緩衝液系は、pH約7.0からpH約8.0の最適な緩衝範囲を有する。なおもう1つの態様において、試薬R1において用いられる緩衝液系はPBSを含む。なおもう1つの態様において、試薬R1において用いられる緩衝液系はTrisを含む。
【0079】
1つの態様において、試薬R1は、界面活性剤を含む。もう1つの態様において、試薬R1は、非イオン性界面活性剤を含む。なおもう1つの態様において、試薬R1中の界面活性剤の濃度は、溶液S1中で0.001から約10%までの範囲の界面活性剤の最終濃度を与える。1つの態様において、試薬R1中の界面活性剤の濃度は、溶液S1中で約0.005から約1%までの範囲の界面活性剤の最終濃度を与える。
【0080】
界面活性剤は本質的にイオン性または非イオン性であってもよい。イオン性界面活性剤は、その頭部基に真電荷の存在を特徴とする。電荷が陰性である場合、界面活性剤はより詳しくは陰イオン性と呼ばれる。陰イオン性界面活性剤は全般的に、硫酸陰イオン、スルホン酸陰イオン、またはカルボン酸陰イオンに基づく頭部基を有する。電荷が陽性である場合、界面活性剤は陽イオン性と呼ばれる。陽イオン性界面活性剤は、全般的に四級アンモニウム陽イオンに基づく頭部基を有する。界面活性剤が2つの反対荷電の基を有する頭部を含有する場合、これは両イオン性または両性と名付けられる。
【0081】
陰イオン性界面活性剤の非制限的な例は:ペルフルオロオクタノエート(PFOAまたはPFO)、ペルフルオロオクタンスルホネート(PFOS);ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)およびラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩;ラウリルエーテルスルファミン酸ナトリウム(SLES)としても知られるラウリル硫酸ナトリウム;アルキルベンゼンスルホン酸;および石けん、または脂肪酸塩である。
【0082】
陽イオン性界面活性剤の非制限的な例は:臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウムとしても知られる臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)などのアルキルトリメチルアンモニウム塩;塩化セチルピリジニウム(CPC);ポリエトキシル化獣脂アミン(POEA);塩化ベンザルコニウム(BAC);および塩化ベンゼトニウム(BZT)である。
【0083】
両イオン性または両性界面活性剤の非制限的な例は、ドデシルベタイン;コカミドプロピルベタイン;およびココアンフォグリシネート(coco ampho glycinate)である。
【0084】
非イオン性界面活性剤は、その頭部に電荷基を有しない。本発明によって企図される非イオン性界面活性剤の非制限的な例は、POE(ポリオキシエチレンポリマー)、POP(ポリオキシプロピレンポリマー)、POE-POPブロックポリマー、POE-POBブロックコポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤およびTriton(登録商標)界面活性剤である。
【0085】
エチレンオキサイドを重合化することによって製造される合成ポリマーであるポリオキシエチレン(POE)はまた、ポリエチレングリコール(PEG)またはポリエチレンオキサイド(PEO)として知られ、以下の構造:
HO-(CH2-CH2-O-)n-H
を有する。ポリオキシエチレンは、任意の分子量のオリゴマーおよびポリマーを指し、直線状POEは、300 g/モルから10,000,000 g/モルで市販されている。PEG試料に関して、「PEG」という用語の後につけられる番号は、試料中の分子の平均分子量を表す。本発明によって企図されるPEGの非制限的な例は、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 550、PEG 600、PEG 1,000、PEG 1,500、PEG 2,000、PEG 3,000、PEG 3,350、PEG 4,000、PEG 4,400、PEG 6,000、PEG 6,200、PEG 8,000、PEG 10,000、PEG 12,000、PEG 20,000、PEG 35,000、PEG 40,000、PEG 55,000、PEG 108,000、PEG 218,000、PEG 246,000、PEG 463,000、およびPEG 511,000である。
【0086】
ポリオキシプロピレン(POP)は、プロピレンオキサイドを重合化することによって製造される合成ポリマーであり、同様にポリプロピレングリコール(PPG)またはポリプロピレンオキサイド(PPO)としても知られ、以下の構造を有する:
HO-(CH2-CH(CH3)-O-)n-H。
【0087】
ポリオキシブチレン(POB)は、ブチレンオキサイドを重合化することによって製造される合成ポリマーであり、以下の構造を有しうる:
HO-(CH2-CH(CH2CH3)-O-)n-H。
【0088】
非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤は、ブチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、およびエチレンオキサイドから作製されうる。親水性ブロックは典型的に、ポリオキシエチレン(POE)であり、疎水性ブロックは、ポリオキシプロピレン(POP)および/またはポリオキシブチレン(POB)から選択される。ポロキサマーまたはPluronic(登録商標)(BASF, Florham Park, NJ)としても知られる典型的なPOE-POPブロックコポリマーは、中心POP部分および隣接する2つの親水性POE基を有する以下の全般的構造(J. Am. Oil Chem. Soc. 1994, 71 :777)を有する:
HO(CH2CH2O)y(CH2CH(CH3)O)x(CH2CH2O)zH、または
HO(POE)y(POP)x(POE)zH。
全般的構造から明らかであるように、POE-POP界面活性剤は、POEおよびPOPの相対量に応じて分子量および疎水性が広く異なりうる。同様に、POE-POP界面活性剤を、遊離のヒドロキシル基上でたとえばエステル化またはアルキル化によって化学改変してもよい。POP-POBブロックポリマーは、POE-POPブロックポリマーの構造と類似の構造を有し、POP残基がPOB残基に交換されている。
【0089】
ポロキサマーまたはPluronic(登録商標)界面活性剤の組成は、省略語によって記述されうる。ポロキサマーは、一般的に文字「P」(ポロキサマーの略)のあとに3桁の数字によって命名される:最初の2桁に100を掛けると、ポリオキシプロピレンコアのおおよその分子量を与え、最後の1桁に10を掛けると、ポリオキシエチレン含有量の百分率を与える。たとえば、P-407は、ポリオキシプロピレン分子量4,000 g/molおよび70%ポリオキシエチレン含有量を有するポロキサマーである。Pluronic(登録商標)商品名に関して、コード名の最初の文字は、室温でのその物理的形状:L=液体、P=ペースト、F=フレーク(固体)を指し、その後に2または3桁が続く。2桁の数字の最初の桁または3桁の数字の最初の2桁に300を掛けると、疎水性ブロックのおおよその分子量を示し、および最後の桁に10を掛けると、ポリオキシエチレン含有量の百分率を与える。たとえば、L-61は、ポリオキシプロピレン分子量1,800 g/molおよび10%ポリオキシエチレン含有量を有するPluronic(登録商標)界面活性剤である。これらの慣例に基づいて、ポロキサマー181(P-181)はPluronic(登録商標)L-61に対応する。
【0090】
本発明において企図されるPluronicの非制限的な例は:Pluronic(登録商標) 10R5;Pluronic(登録商標)17R2;Pluronic(登録商標)17R4;Pluronic(登録商標)25R2;Pluronic(登録商標)25R4;Pluronic(登録商標)31R1;Pluronic(登録商標)F-108;Pluronic(登録商標)F-127;Pluronic(登録商標)F-38;Pluronic(登録商標)F-68;Pluronic(登録商標)F-7 ;Pluronic(登録商標)F-87;Pluronic(登録商標)F-88;Pluronic(登録商標)F-98;Pluronic(登録商標)L-10;Pluronic(登録商標)L-101;Pluronic(登録商標)L-121;Pluronic(登録商標)L-31;Pluronic(登録商標)L-35;Pluronic(登録商標)L-43;Pluronic(登録商標)L-44;Pluronic(登録商標)L-61;Pluronic(登録商標)L-62;Pluronic(登録商標)L-64;Pluronic(登録商標)L-81;Pluronic(登録商標)L-92;Pluronic(登録商標)N-3;Pluronic(登録商標)P-103;Pluronic(登録商標)P-104;Pluronic(登録商標)P-105;Pluronic(登録商標)P-123;Pluronic(登録商標)P-65;Pluronic(登録商標)P-84;およびPluronic(登録商標)P-85である。表3は、式HO(C2H4O)A(C3H6O)B(C2H4O)AHのブロックポリマーに関するPluronic(登録商標)とポロキサマー命名法の相関である。
【0091】
(表3)選択されたPluronic(登録商標)およびポロキサマー界面活性剤の対応

【0092】
Brij(登録商標)(ICI Americas, Wilmington, DE)界面活性剤は、ポリオキシエチレン(POE)エーテルである。Brjj(登録商標)界面活性剤の非制限的な例は:Brij(登録商標)30(主成分は、テトラエチレングリコールドデシルエーテル、Mn〜362);Brij(登録商標)52(主成分は、ジエチレングリコールヘキサデシルエーテル、Mn〜330);Brij(登録商標)56(主成分は、デカエチレングリコールヘキサデシルエーテル、Mn〜683);Brij(登録商標)700(Mn〜4,670);Brij(登録商標)72(主成分は、ジエチレングリコールオクタデシルエーテル);Brij(登録商標)78(主成分は、エイコサエチレングリコールオクタデシルエーテル);Brij(登録商標)92V(主成分は、ジエチレングリコールオレイルエーテル);Brij(登録商標)93(Mn〜357);Brij(登録商標)97(分子式C18H35-O-(CH2CH2)xH、式中x〜10、Mn〜709);Brij(登録商標)98(Mn〜1,150);Brij(登録商標)O10(主成分は、デカエチレングリコールオレイルエーテル);Brij(登録商標)S10(主成分は、デカエチレングリコールオクタデシルエーテル、Mn〜711);およびBrij(登録商標)58(Mn〜1124)であり、式中Mnは数平均分子量、たとえば、試料中のポリマー分子の総数で除した試料中の全てのポリマー分子の総重量である。
【0093】
Igepal(登録商標)(Rhodia, Cranbury, NJ)界面活性剤は、同族のオクチルフェノキシポリ(エチレンオキシ)エタノールであり、全て、同じ疎水性材料(オクチルフェノール)に由来して多様な長さの親水性テール(エチレンオキサイド)を有する。その化学構造は以下の式によって例示される:
C8H17-p-フェニル-O-(CH2CH2O)nH
式中、「n」は、オクチルフェノール1モルあたりのエチレンオキサイドのモル数を表示する。「n」の値に関連する疎水性-親水性バランスの変化は、湿潤洗浄性、乳化、溶解度または泡立ちに影響を及ぼし、いくつかの応用は、特異的使用のために産物の2つまたはそれより多くを混合する必要がありうる。Igepal(登録商標)界面活性剤の非制限的な例は:CA-210(n=1.5、24%エチレンオキサイドを有する);CA-420(n=3、40%エチレンオキサイドを有する);CA-520(n=5、50%エチレンオキサイドを有する);CA-620(n=7、60%エチレンオキサイドを有する);CA-630(n=9、65%エチレンオキサイドを有する);CA-720(n=12、73%エチレンオキサイドを有する);CA-887(n=30、87%エチレンオキサイドを有する);CA-890(n=40、90%エチレンオキサイドを有する);およびCA-897(n=40、90%エチレンオキサイドを有する)である。
【0094】
Tween(登録商標)界面活性剤(ICI Americas, Wilmington, DE)は、脂肪酸によってエステル化されたPEG化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)に由来する油性の液体として定義されるポリソルベートである。単純な(非PEG化)ソルビタンと脂肪酸とのエステルである界面活性剤は通常、Span(登録商標)という名称で呼ばれる。Tween(登録商標)界面活性剤の非制限的な例は、ポリソルベート20 [Tween(登録商標)20またはモノラウリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン];ポリソルベート40 [Tween(登録商標)40またはモノパルミチン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン];ポリソルベート60 [Tween(登録商標)60、またはモノステアリン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン];およびポリソルベート80 [Tween(登録商標)80またはモノオレイン酸ポリオキシエチレン(20)ソルビタン]である。「ポリソルベート」という用語の後の数字は、分子のポリオキシエチレンソルビタン部分に会合する脂肪酸のタイプに関係し、モノラウリン酸エステルは20、モノパルミチン酸エステルは40、モノステアリン酸エステルは60、およびモノオレイン酸エステルは80によって示される。そのSpan(登録商標)同等物(Span(登録商標)20、Span(登録商標)40、Span(登録商標)60、およびSpan(登録商標)80)においても同じ番号付けに従う。ポリオキシエチレンという用語の後に続く番号20は、分子中に見いだされるオキシエチレン-(CH2CH2O)-基の総数を指す。
【0095】
先に言及したように、Tween(登録商標)20(ポリソルベート20)は、分子式C58H114O26を有し、分子量1,227.5 g/molを有するモノラウリン酸ソルビタンのポリオキシエチレン誘導体である。

Tween(登録商標)20
【0096】
Tween(登録商標)80(ポリソルベート80)は、分子式C64H124O26を有し、分子量1,310 g/molを有するモノオレイン酸ソルビタンのポリオキシエチレン誘導体である。

Tween(登録商標)80
【0097】
Triton(登録商標)X-100(Dow Chemical, Midland, Michigan)は、分子式C14H22O(C2H4O)nを有し、親水性のポリエチレンオキサイド基(n〜9.5)および親油性の4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニル基を有する非イオン性界面活性剤である。
【0098】
試薬R1は、任意で、ポリエチレングリコールポリマー(PEG)を含んでもよい。PEGは、分子量300 g/molから10,000,000 g/molの広い範囲で市販されている。1つの態様において、試薬R1におけるPEGの濃度は、溶液S1中で約0.1%から約10%までの範囲のPEGの最終濃度を与える。もう1つの態様において、試薬R1中のPEGの濃度は、溶液S1中で約1%から約8%までの範囲のPEGの最終濃度を与える。
【0099】
試薬R1は、任意でPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を含んでもよい。1つの態様において、試薬R1における硫酸デキストランの濃度は、溶液S1中で約0.1 g/Lから約3.0 g/Lまでの範囲の硫酸デキストランの最終濃度を与える。もう1つの態様において、試薬R1中の硫酸化α-シクロデキストリンの濃度は、溶液S1中で約0.1 g/Lから約3.0 g/Lまでの範囲の硫酸化α-シクロデキストリンの最終濃度を与える。なおもう1つの態様において、試薬R1におけるアジ化物塩の濃度は、溶液S1中で約0.01%から約0.1%までの範囲のアジ化物の最終濃度を与える。なおもう1つの態様において、アジ化物塩は、アジ化ナトリウムである。なおもう1つの態様において、試薬R1中のEDTAの濃度は、溶液S1中で約1 mMから約50 mMまでの範囲のEDTAの最終濃度を与える。なおもう1つの態様において、試薬R1中の二価の陽イオンの濃度は、溶液S1中で約1 mMから約20 mMまでの範囲の二価の陽イオンの最終濃度を与える。なおもう1つの態様において、二価の陽イオンはマグネシウムである。なおもう1つの態様において、二価の陽イオン塩は、塩化マグネシウムである。
【0100】
溶液S1
試薬R1を生物学的試料と混合する際、溶液S1の様々な成分を平衡状態にするために、得られた溶液S1を予め設定した温度T1で時間t1の既定の期間インキュベートしてもよい。この期間のあいだに、界面活性剤分子は存在するリポタンパク質と相互作用して、非結合界面活性剤とリポタンパク質結合界面活性剤とのあいだで平衡に達する。当業者は、時間および温度の値を変化させた平行実験を行う段階、ならびにインキュベーション温度とインキュベーション時間のどの組み合わせが、その後の抗体結合測定に関して再現可能な読みを与えるかを決定する段階によって、このインキュベーションに関する最適な時間および温度を容易に決定しうる。当業者はまた、このインキュベーションにとって最適な時間および温度が、用いられるリポタンパク質および界面活性剤のみならず、溶液S1に含有される残りの成分の性質に依存することを容易に認識するであろう。本発明の1つの態様において、インキュベーション時間t1は約5分である。もう1つの態様において、インキュベーション温度T1は約37℃である。
【0101】
試薬R2
次に溶液S1を試薬R2に接触させて、溶液S2を生成してもよい。試薬R2は、抗アポリポタンパク質抗体を含む。1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は、抗apo B抗体である。もう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は、抗apo A-I抗体である。なおもう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は、抗apo A-II抗体である。なおもう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は、抗apo A-IV抗体である。なおもう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は、抗apo A-V抗体である。なおもう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は抗apo C-I抗体である。もう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は抗apo C-II抗体である。なおもう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は、抗apo C-III抗体である。なおもう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は抗apo C-IV抗体である。なおもう1つの態様において、抗アポリポタンパク質抗体は抗apo-E抗体である。
【0102】
慣用の技術を用いて、当業者は、対応する抗アポリポタンパク質抗体を生成するために用いるための抗原性ペプチドを調製するためにアポリポタンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列を用いてもよい。ヒトapo B cDNA配列(SEQ ID NO:1)は、Higuchi et al., 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85 (6): 1772-1776において開示される。同様にヒトapo A- I(SEQ ID NO:2)、apo A-II(SEQ ID NO:3)、apo A-IV(SEQ ID NO:4)、apo A-V(SEQ ID NO:5)、apo C-I(SEQ ID NO:6)、apo C-II(SEQ ID NO:7)、apo C-III(SEQ ID NO:8)、apo C-IV(SEQ ID NO:9)およびapo E(SEQ ID NO: 10)のcDNA配列は、当技術分野において公知である。
【0103】
または、当業者は、アポリポタンパク質(apo Bなどの)に対する市販の抗体を利用してもよい。抗apo Bおよび他の抗アポリポタンパク質抗体は、中でもMidland Bioproducts(Boone, IA)、US Biological(Swampscott, MA)、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz, CA)、Millipore(Billerica, MA)、R&D Systems(Minneapolis, MN)、およびRockland Immunochemicals(Gilbertsville, PA)から入手可能である。当業者はまた、市販の抗アポリポタンパク質抗体を得て、他の抗体とのカップリング、部分消化、PEG化、または共有的改変などの慣用の方法を用いてそれらを改変してもよい。次に、改変抗体を本明細書において記述される本発明の方法において用いてもよい。本発明の実践において有用な抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、合成抗体、または上記のいずれかの断片であってもよい。
【0104】
本発明において用いられる抗アポリポタンパク質抗体は、アポリポタンパク質の結合を達成するために、一価、二価、または多価であってもよいと認識されうる。一価の免疫グロブリンは、ハイブリッド軽鎖とのジスルフィド架橋を通して会合したハイブリッド重鎖で形成される二量体(HL)である。二価の免疫グロブリンは、少なくとも1つのジスルフィド架橋を通して会合した2つの二量体で形成される四量体(H2L2)である。
【0105】
本発明にはまた、本明細書において記述される抗体の機能的同等物が含まれる。機能的同等物は抗体と同等の結合特徴を有し、これには、たとえばハイブリッドおよび一本鎖抗体のみならず、その断片が含まれる。そのような機能的同等物を産生する方法は、PCT出願WO 1993/21319およびWO 1989/09622において開示される。機能的同等物には、本発明の実践に従って、アポリポタンパク質に対する抗体の可変または超可変領域のアミノ酸配列と実質的に同じであるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれる。
【0106】
抗アポリポタンパク質抗体の機能的同等物には、抗体全体の特徴と同じかまたは実質的に同じ結合特徴を有する抗体の断片がさらに含まれる。そのような断片は、1つまたは双方のFab断片またはF(ab')2断片を含有してもよい。好ましくは、抗体断片は、抗体全体の6個全ての相補性決定領域を含有するが、3個、4個、または5個の相補性決定領域などの、そのような領域の全てより少ない領域を含有する断片も同様に機能的である。機能的同等物は、そのIgG免疫グロブリンクラスおよびサブクラスのメンバーであるが、以下の免疫グロブリンクラスのいずれか1つであってもよく、もしくはそれらを組み合わせてもよい:IgM、IgA、IgD、またはIgE、およびそのサブクラス。IgGサブクラスなどの様々なサブクラスの重鎖は、異なるエフェクター機能の原因であり、このように、所望の重鎖定常領域を選択することによって、所望のエフェクター機能を有するハイブリッド抗体が産生される。好ましい定常領域は、γ1(IgG1)、γ2(IgG2およびIgG)、γ3(IgG3)、およびγ4(IgG4)である。軽鎖定常領域は、κまたはλタイプの領域でありうる。
【0107】
モノクローナル抗体は、アポリポタンパク質結合部位を保持する断片を生成するためにタンパク質分解酵素によって都合よく切断されうる。たとえば、IgG抗体を中性pHでパパインによってタンパク質分解処置すると、各々が重鎖(Fc)断片にジスルフィド結合した1つの無傷の軽鎖を含有する2つの同一のいわゆる「Fab」断片を生成する。各々のFab断片は1つの抗原結合部位を含有する。IgG分子の残りの部分は、「Fc」として知られる二量体である。同様に、pH 4でのペプシン切断によって、いわゆるF(ab')2断片が得られる。
【0108】
一本鎖抗体またはFv断片は、相互接続リンカーによって、またはリンカーによらずに軽鎖の可変領域に連結された抗体の重鎖の可変領域からなるポリペプチドである。このように、Fvは、抗体結合部位を含む。
【0109】
ハイブリッド抗体を使用してもよい。ハイブリッド抗体は、ヒト抗体定常領域に実質的にまたは排他的に由来する定常領域と、各々の安定なハイブリドーマからのモノクローナル抗体の可変領域の配列に実質的にまたは排他的に由来する可変領域とを有する。
【0110】
抗体の断片を調製する方法は当業者に公知である。たとえば、Goding, "Monoclonal Antibodies Principles and Practice", Academic Press (1983), p. 119-123を参照されたい。FabおよびF(ab')2断片などの抗原結合部位を含有するモノクローナル抗体の断片は、その低減された免疫原性により、治療応用において好ましい可能性がある。そのような断片は、免疫原性のFc部分を含有する無傷の抗体より免疫原性が低い。このゆえに、本明細書において用いられる「抗体」という用語には、無傷の抗体分子および抗原結合能を保持するその断片が含まれる。
【0111】
本発明の実践において用いられる抗体がポリクローナル抗体(IgG)である場合、抗体は、適した動物にアポリポタンパク質またはその断片を接種することによって生成される。次に、接種された動物において産生された、アポリポタンパク質に特異的に結合する抗体を、動物から得た液体から単離する。抗アポリポタンパク質抗体は、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、およびロバなどの、しかしこれらに限定されないいくつかの非ヒト哺乳動物においてこの様式で生成されうる。ポリクローナル抗体を生成する方法は当技術分野において周知であり、たとえば、Harlow et al.(In: Antibodies, A Laboratory Manual, 1988, Cold Spring Harbor, NY)において記述されている。これらの方法は、それらが抗体技術の技術分野において一般的に用いられることから、本明細書において繰り返さない。
【0112】
本発明の実践において用いられる抗体がモノクローナル抗体である場合、抗体は、Harlow et al.(In: Antibodies, A Laboratory Manual, 1988, Cold Spring Harbor, NY)およびTuszynski et al.(Blood 1988, 72: 109-115)において記述される技法などの任意の周知のモノクローナル抗体調製技法を用いて生成される。これらの方法は当技術分野において周知であることから、それらを本明細書において説明しない。一般的に、所望の抗原に対するモノクローナル抗体は、本明細書において参照される標準的な技法を用いて抗原によって免疫したマウスから生成される。標的構造の完全長または断片に対するモノクローナル抗体は、Harlow et al.(In: Antibodies, A Laboratory Manual, 1988, Cold Spring Harbor, NY)において記述される技術を用いて調製されうる。
【0113】
当業者は、本明細書において提供される開示に基づいて、本発明が関心対象アポリポタンパク質の結合要素として抗体を用いることに限定されないことをさらに認識するであろう。本発明はまた、本発明において企図されるアポリポタンパク質の1つまたは複数に結合する要素として、抗アポリポタンパク質結合非抗体分子を用いることを許容する。抗アポリポタンパク質結合非抗体分子は、アポリポタンパク質またはアポリポタンパク質の断片に結合しうる。本発明における好ましい抗アポリポタンパク質結合非抗体分子は、アプタマーである。アプタマーは、特異的標的分子に結合するオリゴ核酸(核酸とも呼ばれる)分子またはペプチド分子である。核酸アプタマーは、インビトロでの選択の繰り返しラウンドまたは同等のSELEX(指数的濃縮によるリガンドの系統的進化)を通して、低分子、タンパク質、核酸など、ならびに細胞、組織、および生物までもの様々な分子標的に結合するように操作されている核酸種である。アプタマーは、それらが一般的に用いられる抗体の特性と競合する分子認識特性を提供することから、生物工学応用および治療応用において有用である。その識別的認識に加えて、アプタマーは、それらを試験管において完全に操作することができ、化学合成によって容易に産生され、所望の保存特性を有し、および治療応用においてほとんどまたは全く免疫原性を誘発しないことから、抗体に対して長所を提供する。その全ての全体が参照により本明細書に組み入れられる、Ellington, A. D. & Szostak, J. W., 1990, "In vitro selection of RNA molecules that bind specific ligands", Nature 346 (6287): 818-22; Bock et al., 1992, "Selection of single-stranded DNA molecules that bind and inhibit human thrombin", Nature 355 (6360): 564-6; Drabovich et al., 2006, "Selection of smart aptamers by methods of kinetic capillary electrophoresis", Anal Chem. 78 (9): 3171-8を参照されたい。本発明において有用なアプタマーは、当技術分野の教示に従って選択および/または調製されうる。
【0114】
試薬R2は、任意で界面活性剤をさらに含んでもよい。試薬R1が界面活性剤を含まない場合、試薬R2は界面活性剤を含む。方法が試薬R1を用いない場合、試薬R2は界面活性剤を含む。1つの態様において、試薬R2は、非イオン性界面活性剤を含む。もう1つの態様において、試薬R2における界面活性剤の濃度は、溶液S2中で0.001から約10%までの範囲の界面活性剤の最終濃度を提供する。なおもう1つの態様において、試薬R2における界面活性剤の濃度は、溶液S2中で約0.005から約1%までの範囲の界面活性剤の最終濃度を与える。なおもう1つの態様において、界面活性剤は、POE(ポリオキシエチレン)ポリマー、POP(ポリオキシプロピレン)ポリマー、POE-POPブロックコポリマー、PEGポリマー、POE-POBブロックコポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録証用)界面活性剤、およびTriton(登録商標)界面活性剤からなる群より選択される。
【0115】
試薬R2は、任意でPEGポリマー(「PEG」)、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオン塩からなる群より選択される1つまたは複数の成分をさらに含んでもよい。PEGは、分子量200から520,000の範囲の市販の任意のポリエチレングリコールポリマーを含んでもよい。1つの態様において、試薬R2中のPEGの濃度は、約0.1%から約10%までの範囲である。もう1つの態様において、試薬R2中の硫酸デキストランの濃度は、約0.1 g/Lから約3.0 g/Lまでの範囲である。もう1つの態様において、試薬R2中の硫酸化α-シクロデキストリンの濃度は、約0.1 g/Lから約3.0 g/Lまでの範囲である。なおもう1つの態様において、試薬R2中のアジ化物塩の濃度は約0.01%から約0.1%までの範囲である。なおもう1つの態様において、アジ化物塩はアジ化ナトリウムである。なおもう1つの態様において、試薬R2中のEDTAの濃度は約1 mMから約50 mMまでの範囲である。なおもう1つの態様において、試薬R2中の二価の陽イオン濃度は、約1 mMから約20 mMまでの範囲である。なおもう1つの態様において、二価の陽イオンはマグネシウムである。なおもう1つの態様において、二価の陽イオン塩は塩化マグネシウムである。
【0116】
溶液S2
溶液S2を、時間t2の定義された期間、定義された温度T2でインキュベートした後、抗アポリポタンパク質抗体とアポリポタンパク質との相互作用を測定してもよい。インキュベーション時間は、望ましくない試料の分解を引き起こすことなく、溶液中で抗体がおおよそ平衡状態になるように選択されるべきである。当業者は、時間および温度の値を変化させた平行実験を行う段階、ならびにインキュベーション温度とインキュベーション時間のどの組み合わせが抗体結合測定に関して再現可能な読みを提供するかを決定する段階によって、このインキュベーションにとって最適な時間および温度を容易に決定しうる。当業者はまた、このインキュベーションのための最適な時間および温度が、用いられるリポタンパク質および抗アポリポタンパク質抗体に依存するのみならず、第二の分析溶液中に含有される残りの成分の性質に依存することを容易に認識するであろう。本発明の1つの態様において、溶液2は約3分間インキュベートされる。本発明のもう1つの態様において、溶液2は約37℃でインキュベートされる。
【0117】
分析および定量
次に、溶液S2をその中に含有されるアポリポタンパク質と抗アポリポタンパク質抗体の結合に関して分析してもよい。そのような相互作用を測定するために適切ないかなるイムノアッセイも本発明において有用である。イムノアッセイは、その抗原(この特定の場合において、抗体との相互作用のために利用可能な関心対象のアポリポタンパク質)に対する抗体の特異的結合に基づく。抗体と抗原との相互作用の検出は、多様な方法を用いて達成されてもよく、その中で最も一般的な方法の1つは、抗原または抗体のいずれかを標識して、結合時の標識の環境の変化をモニターすることである。標識は、酵素(結合は酵素イムノアッセイまたはEIAによってモニターされる)、金コロイド(結合はラテラルフローアッセイによってモニターされる)、125Iラジオイムノアッセイなどの放射性同位元素(結合は放射線測定法によってモニターされる)、磁気ビーズ(結合は磁気イムノアッセイまたはMIAによってモニターされる)、または蛍光を含んでもよい。他の技術には、凝集、比濁法、濁度測定、およびウェスタンブロットが含まれるがこれらに限定されるわけではない。これらの方法は全て、当業者に公知である。たとえば、Harlow et al., 1988, "Antibodies: A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY; Harlow et al., 1999, "Using Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press", Cold Spring Harbor, NYを参照されたい。
【0118】
イムノアッセイは、非標識試薬を伴うアッセイと標識された試薬を伴うアッセイとに分けられうる。標識試薬を伴うイムノアッセイは、均一系イムノアッセイと不均一系イムノアッセイとに分けられる(後者は通常、固相試薬を用いて、その部位から未結合の抗体または抗原を除去するという余分の段階を必要とする)。
【0119】
不均一系イムノアッセイは、競合的または非競合的でありうる。競合的イムノアッセイでは、未知試料中の抗原は、抗体との結合に関して標識抗原と競合する。次に、抗体部位に結合した標識抗原の量を測定する。この方法において、大きい応答があれば、未知試料中に標識抗原と競合する抗原がほとんどないことを示していることから、応答は未知試料中の抗原濃度に反比例するであろう。「サンドイッチアッセイ」とも呼ばれる非競合的イムノアッセイでは、未知試料中の抗原が抗体部位に結合した後、標識抗体が抗原に結合する。次に、その部位での標識抗体の量を測定する。競合法とは異なり、非競合法の結果は、抗原が未知試料中に存在しなければ標識抗体が結合しないであろうことから、抗原の濃度に直接比例する。
【0120】
ある態様において、イムノアッセイは、免疫濁度測定法、免疫比濁法、ELISAアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ケミルミネッセンスイムノアッセイ、免疫蛍光、免疫沈殿、免疫電気泳動、およびフローサイトメトリーに基づくイムノアッセイからなる群より選択される。
【0121】
当業者は、他のリポタンパク質に会合したアポリポタンパク質より、選択されたリポタンパク質に会合したアポリポタンパク質に対して、抗アポリポタンパク質抗体を選択的に結合させるために、どの化学試薬が試薬R1および/または試薬R2に存在するべきかを決定するために最適化実験を容易に行いうることを認識するであろう。最適化実験は少なくとも2つの脂質源を伴いうる。第一の脂質源は、選択されたリポタンパク質に会合したアポリポタンパク質を含み、第二の起源は、選択されたリポタンパク質ではないリポタンパク質に会合したアポリポタンパク質を含む。2つの脂質源を、既に記述したように異なる組成の試薬R1およびR2とインキュベートして、試薬R1または試薬R2の各々の組成は、対応する抗アポリポタンパク質抗体に対する関心対象のアポリポタンパク質の結合能を調節しうる化学試薬の多様な濃度を含む。そのような化学試薬の非制限的な例は、界面活性剤、非イオン性界面活性剤、二価の陽イオン塩、デキストラン塩、PEG、α-シクロデキストリン塩、EDTA、およびアジ化物塩である。インキュベーション後、イムノアッセイを用いて各試料の抗体結合の程度を決定して、この情報を用いて他のリポタンパク質に会合したアポリポタンパク質よりも、選択されたリポタンパク質に会合したアポリポタンパク質に抗体が結合するために都合がよい試薬R1および試薬R2の組成を決定する。この評価は、分析科学において用いられる標準的な方法論に従い、当業者から正しいと認められていない実験を必要とすべきではない。
【0122】
関心対象のアポリポタンパク質がapo Bであり、所定のリポタンパク質がLDLである非制限的な例において、非LDL粒子に会合したapo Bタンパク質(非LDL-apo B)の抗apo B抗体に対する結合を「遮断する」試薬R1および/またはR2の組成を同定するために、最適化試験を行う。この例において、処置試料に抗apo B抗体を加えることによって、LDL粒子に会合したapo Bタンパク質(LDL-apo B)のみに対する抗体の結合が起こる。それによって、アッセイにおいて決定されたapo B濃度は、LDL-apo Bの濃度に対応する。
【0123】
関心対象アポリポタンパク質がapo Bであり、所定のリポタンパク質がLDLであるもう1つの非制限的な例において、LDL粒子に会合したapo Bタンパク質(LDL-apo B)の抗apo B抗体に対する結合を「遮断する」試薬R1および/またはR2の組成を同定するために、最適化試験を行う。この例において、処置試料に抗apo B抗体を加えることによって、非LDL粒子に会合したapo Bタンパク質(非LDL-apo B)のみに対する抗体の結合が起こる。ゆえに、アッセイにおいて決定されたapo B濃度は、非LDL-apo Bの濃度に対応して、LDL-apo B濃度は、総apo B濃度(全てのリポタンパク質粒子からのapo Bが抗apo B抗体と自由に相互作用するアッセイ、または試料中の総apo B濃度を決定するために他の任意の公表されたもしくは公知の方法によって決定されうる)から非LDL-apo B濃度を差し引いて誘導されうる。
【0124】
リポタンパク質がHDLであり、関心対象のアポリポタンパク質がapo A-I、apo A- II、apo A-IV、apo A-V、apo C-I、apo C-II、apo C-III、apo C-IV、およびapo Eからなる群より選択されるなおもう1つの非制限的な例において、非HDL粒子に会合した関心対象のアポリポタンパク質(非HDL-apo B)のアポリポタンパク質抗体に対する結合を「遮断する」試薬R1および/または試薬R2の組成物を同定するために最適化試験を行う。この例において、処置試料に抗アポリポタンパク質抗体を加えることによって、HDL粒子に会合したアポリポタンパク質のみに対する抗体の結合が起こる。ゆえに、アッセイにおいて決定された関心対象アポリポタンパク質の濃度は、HDL-アポリポタンパク質濃度に対応する。
【0125】
抗体と関心対象アポリポタンパク質との相互作用を検出するために用いられるイムノアッセイをまた、試料中のアポリポタンパク質の濃度を定量するのに用いてもよい。本発明に含まれる典型的な技法において、既知の濃度の関心対象アポリポタンパク質を含有する一連の標準溶液を調製して、イムノアッセイによって分析する。各標準溶液に関して得られた読みを用いて較正曲線を作製する。次に、未知試料を同じイムノアッセイによって分析して、その読みを試料中の関心対象アポリポタンパク質の対応する濃度を得るために標準曲線と比較する。この濃度を用いて、生物学的試料が溶液S2の調製のために供される希釈を考慮に入れて、生物学的液体中の関心対象アポリポタンパク質の実際の濃度を計算してもよい。
【0126】
上記のように較正曲線を用いることによって、標準溶液の濃度を表記するために用いられる同じ単位でアポリポタンパク質の濃度を決定することができる。いくつかの例において、標準溶液は、質量/体積単位(たとえば、mg/dLなどの)で同定されたその成分濃度を有する。較正曲線からmg/dLとして決定された生物学的試料中の関心対象のアポリポタンパク質の濃度を、関心対象アポリポタンパク質の分子量に基づいてモル/体積(nmol/Lなどの)の濃度に変換してもよい。関心対象アポリポタンパク質がapo Bである場合、計算のために用いられる分子量は約512,000ダルトンである。
【0127】
試料中で決定されたアポリポタンパク質の濃度を用いて、どれほど多くのアポリポタンパク質分子が平均でリポタンパク質中に含有されるかに応じて、対応するリポタンパク質の濃度を計算してもよい。関心対象アポリポタンパク質がapo Bであり、リポタンパク質がLDLである場合、LDL 1分子あたりapo B 1分子が存在し、それによって、LDL-apo Bの濃度(nmol/Lなどのモル関連単位)は、LDLの濃度(nmol/Lなどのモル関連単位)と同一である。リポタンパク質あたり関心対象のアポリポタンパク質分子が平均で「N」個存在する場合、リポタンパク質の濃度(nmol/Lなどのモル関連単位)は、アポリポタンパク質の濃度(nmol/Lなどのモル関連単位)の値の1/Nである。
【0128】
当業者に明らかであるように、本発明は、その範囲内に含まれる変化形を包含する。非制限的な例として、VLDLおよびHDLリポタンパク質粒子は、アポリポタンパク質A-I(apo A-I)、アポリポタンパク質A-II(apo A-II)、アポリポタンパク質A-IV(apo A-IV)、アポリポタンパク質A-V(apo A-V)、アポリポタンパク質C-I(apo C-I)、アポリポタンパク質C-II(apo C-II)、アポリポタンパク質C-III(apo C-III)、アポリポタンパク質C-IV(apo C-IV)、およびアポリポタンパク質E(apo E)が含まれる多数のアポリポタンパク質を共有する。VLDL-apo Bの抗apo B抗体に対する結合を遮断する試薬R1および/または試薬R2の組成はまた、他のVLDL-アポリポタンパク質(アポリポタンパク質は、apo A-I、apo A- II、apo A-IV、apo A-V、apo C-I、apo C-II、apo C-III、apo C-IV、およびapo Eからなる群より選択される)の対応する抗アポリポタンパク質抗体に対する結合を「遮断」しうる。この場合、試薬R1および/または試薬R2のそのような組成を、HDL-アポリポタンパク質に対するそのような抗アポリポタンパク質抗体の選択的結合を促進するために用いてもよく、これは、HDL-特異的アポリポタンパク質濃度の直接決定を容易にする可能性がある。
【0129】
当業者は、本開示に基づいて、本発明の組成物を特定の応用の必要性に基づいて改変してもよいことを認識するであろう。非制限的な例として、界面活性剤が、アッセイを妨害する、または検体溶液の1つもしくは複数の他の成分を妨害する可能性がある場合、特定の界面活性剤を特定の検体溶液から除外してもよい。同様に、当業者は、本開示に基づいて、本発明の方法を特定の応用の必要性に基づいて改変してもよいことを知っているであろう。非制限的な例として、イムノアッセイは、アポリポタンパク質-抗体複合体の濃度を平衡時に測定するエンドポイント反応を利用してもよい。もう1つの非制限的な例として、イムノアッセイは、一定の期間にわたって、または1つもしくは複数の時点でアポリポタンパク質-抗体複合体の形成速度を測定してもよい。
【0130】
当業者は、本明細書において提供される開示に基づいて、本発明がいかなる特定の機器にも限定されず、むしろ本発明は、当技術分野において公知であるまたは将来的に開発される広く多数の機器を包含することをさらに認識するであろう。すなわち、試料中の関心対象の公知の構成成分の存在および/またはレベルを評価するためのそのような機器には、マルチチャンネル化学分析装置およびたとえばHitachi, Integraなどの比濁計、およびRoche Diagnostics(Indianapolis, IN)のCobas分析器、Beckman Coulter(Fullerton, California)のSynchron, UniCel and AUシステム、Siemens Healthcare Diagnostics(Deerfield, IN)のDimension, BN, IMS, and Adviaシステム、Abbott Diagnostics(Abbott Park, Illinois)のAeroset and Architectシステム、Ortho Clinical Diagnostics(Rochester, NY)のVitrosシステム、ならびにPolymedco(Cortlandt Manor, NY)のPolychemが含まれるがこれらに限定されるわけではない。このように、当業者は、本明細書において提供される開示に基づいて、本発明が公知のまたは開発されるべき任意の特定の機器にいかなるようにも限定されないことを理解するであろう。血清分析器、携帯式装置、1回試験装置等が含まれるそのような機器は当技術分野において周知であり、本明細書においてこれ以上考察しない。
【0131】
当業者によって理解されるように、本明細書において述べた開示の組を用意した場合、参照のアポリポタンパク質または同等物(「較正試料」とも呼ばれる)の組を用いて、ある方法および/または機器に関する較正曲線を作製してもよい。非制限的な例として、参照のアポリポタンパク質または同等物の組を2点較正アッセイにおいて用いてもよい。本発明のもう1つの態様において、参照のアポリポタンパク質または同等物の組を5点または6点較正アッセイにおいて用いてもよい。1つの局面において、参照のアポリポタンパク質または同等物の組には、有効で正確な参照曲線を確立するために必要であると決定された多くのまたは少ない参照点が含まれうる。
【0132】
多数の較正スキームを臨床検査において用いてもよい。しばしば手動で行われる、より古い方法は、アッセイ範囲全体でいくつかの濃度レベルを使用して、典型的に、機器の応答対濃度をプロットするか、または直線回帰を用いて患者の検体の値を計算する。これらの方法をなおも用いてもよい。しかし、コンピューター技術の使用および利用率の増加により、方法は現在ではしばしば、1つまたは2つの較正点を用いて同じ結果を達成している。1または2設定値法は、食塩水または蒸留水ブランクを追加の設定値として組み入れることが非常に多いが、この後者の機能は、機器または試薬の製造元によって指示される。非線形化学の場合、従来のアプローチは、較正物質の5つまたは6つのレベルを提供するが、これは患者の結果の最終計算において用いられる数学的モデルによって指示される非線形様式で通常設定される。非線形化学に関するより最近の傾向は、アッセイにおいて測定される検体の最高濃度を含有する1つの較正物質を用いることである。この方法を用いて、分析系は、この高濃度の値の必要な希釈を行って、システムが検体を較正する際にフライ上の既定の較正設定値を生成するように指示される。4または5パラメータのロジット/対数較正曲線は典型的に自動イムノアッセイのために用いられる。
【0133】
ゆえに、本発明の1つの局面において、参照曲線を生成するために多数の較正点を用いることを特色とする方法が提供される。1つの態様において、方法は、1つより多い点を用いることを特色とする。もう1つの態様において、多数の点の1つはゼロ点である。なおもう1つの態様において、ゼロ点は、多数の点の1つとして含まれないが、参照曲線において個々に含められてもよい。もう1つの態様において、方法は、本明細書において他所で詳細に記述されるように1つの較正点を用いることを特色とする。なおもう1つの態様において、方法は、1つの較正点に加えてゼロ点を用いることを特色とする。
【0134】
一連の非制限的な例によって、本発明の方法は、較正のための1つの濃度に基づく参照曲線、較正のための1つの濃度プラスゼロ濃度点に基づく参照曲線、較正のための少なくとも2つの濃度に基づく参照曲線、または較正のための少なくとも2つの濃度プラスゼロ濃度点に基づく参照曲線を用いてもよい。本発明のなおもう1つの態様において、少なくとも2つの較正試料を含有する混合物中の少なくとも1つの較正試料の濃度は既知である。
【0135】
キット
本発明には、アポリポタンパク質標準物質または同等物の組(「較正試料」)、アプリケーター、および本発明の方法を行うためにキットの使用について記述する説明材を含む様々なキットが含まれる。例示的なキットを以下に記述するが、他の有用なキットの内容が本開示に照らして当業者に明らかであろう。これらのキットの各々は本発明に含まれる。
【0136】
1つの態様において、本発明には、被験体の生物学的試料中のLDL-apo B濃度を測定するためのキットが含まれる。キットは、非LDL-apo Bの存在下でLDL-apo Bを決定することができる試薬を含む。キットはさらに、アプリケーターおよびキットを用いるための説明材を含む。
【0137】
もう1つの態様において、本発明には、被験体の生物学的試料中の非LDL-apo B濃度を測定するためのキットが含まれる。キットは、LDL-apo Bの存在下で非LDL-apo B濃度を決定することができる試薬を含む。キットはさらに、アプリケーターおよびキットを用いるための説明材を含む。
【0138】
なおもう1つの態様において、本発明には、被験体の生物学的試料中でHDLに結合した特異的アポリポタンパク質の濃度を測定するためのキットが含まれる。キットは、非HDL-アポリポタンパク質の存在下でHDL-アポリポタンパク質を決定することができる試薬を含む。キットはさらに、アプリケーターおよびキットを用いるための説明材を含む。
【0139】
キットは、本発明において開示される方法に従って用いられる。1つの態様において、キットは、生物学的試料中のLDL-apo B濃度を決定するために用いられうる。これは、本明細書において他所でより完全に開示されるように、本発明の試薬が非LDL-apo Bに対する抗apo B抗体の結合を遮断することを、本明細書において開示されるデータが証明しているためである。これによって、本明細書において記述される方法によって、試料中のLDL-apo Bを直接検出および定量することができる。
【0140】
キットはさらに、関連するアッセイにおいて用いるための試薬を投与するために有用なアプリケーターを含む。キットに含まれる特定のアプリケーターは、たとえば脂質をアッセイするために用いられる方法のみならず、用いられる特定の分析機器に依存して、そのようなアプリケーターは、当技術分野において周知であり、これにはとりわけピペット、シリンジ、滴下瓶等が含まれてもよい。その上、キットは、キットを用いるための説明材を含む。
【0141】
キットには、試薬R1および/または試薬R2、ならびに/または1つもしくは複数の界面活性剤および1つもしくは複数の生物学的緩衝液が含まれるがこれらに限定されるわけではない、本明細書において他所で開示される試薬1および/または試薬2を調製するために用いられる様々な試薬を含むキットが含まれる。組成物は、本明細書において他所で記述される適切な量で提供される。
【0142】
さらに、キットには、アポリポタンパク質、リポタンパク質、その誘導体、またはその断片であってもよい、既知の構成成分の既知の値を含む少なくとも1つの参照組成物を含むキットが含まれる。そのようなキットは、アポリポタンパク質またはリポタンパク質を定量するための較正曲線を作製するために用いられうる。このように、本発明は、少なくとも1つの参照組成物を含むキットを包含する。本発明は、いかなる特定の組にも限定されないが、参照組成物のある組み合わせを本明細書において他所で例示する。
【0143】
さらに、キットは任意で、本明細書において提供される開示に基づいて当業者に認識されるように、総コレステロール、VLDL、LDL、HDL、apo A、apo B、Lp(a)等が含まれるがこれらに限定されるわけではない、リポタンパク質、アポリポタンパク質または同等物、およびその任意の組み合わせを含む。
【実施例】
【0144】
本発明を以下の実施例を参照して説明する。これらの実施例は説明目的に限って提供され、本発明は、これらの実施例に限定されず、むしろ本明細書において提供される教示の結果として明らかである全ての変化形を包含する。
【0145】
材料
抗ヒトアポリポタンパク質Bポリクローナル抗体(宿主としてヤギ)をMidland Bioproducts, Boone, IAから購入した。ブロックコポリマー界面活性剤Pluronic(登録商標)P-123、L-121、およびF-68のみならず他の全ての界面活性剤は、Sigma-Aldrich(St. Louis, MO)から購入した。
【0146】
免疫濁度測定実験は、Roche Cobas Fara分析器(Roche Diagnostic, Indianapolis, IN)において行った。
【0147】
実施例1:
生物学的液体中のLDL-apo B濃度またはLDL粒子濃度を測定する方法の開発に向けての調査研究
抗apo B抗体が非LDL-apo BよりもLDL-apo Bに対して選択的に結合しうる条件を同定するために、血清プールから単離したリポタンパク質画分を用いて実験を行った。超遠心分離を用いて、LDL/HDL画分(d>1.006 g/ml)から、存在する場合にはカイロミクロン画分およびVLDL画分(d<1.006 g/mL)を単離した。カイロミクロンは、特に絶食状態において、apo Bに対して比較的ほとんど関与せず、HDL粒子はapo Bを含有しない。ゆえに、上記のこれらの画分はそれぞれ、apo B分析の目的に関して、「VLDL画分」および「LDL画分」として特徴付けされうる。
【0148】
各画分が抗apo B抗体と相互作用できるか否かを、Cobas Fara化学分析器を用いて評価した。典型的な技法において、各画分(6μL)を試薬R1 285μLと混合した。試薬R1の組成を、apo Bと抗体との相互作用に及ぼすその影響を調べるために変化させた。この研究に関して、異なるブロックコポリマー界面活性剤、他の非イオン性洗浄剤または塩を用いて試薬R1を調製した。本研究において用いられるブロックコポリマー界面活性剤において、3つのPOE-POP界面活性剤:Pluronic(登録商標)P-123、L-121、およびF-68が存在した。試薬R1は、各界面活性剤をPBS pH 7.4において0.05%(P-123またはL-121の場合)または0.4%(F-68の場合)の最終濃度に希釈することによって調製された。
【0149】
試料を分析器に入れて、分析キュベットに移し、約37℃で約5分間インキュベートした。得られた溶液を、抗apo B抗血清1に対して50 mM Tris塩基、pH 8.0を7.5の割合で希釈することによって調製した試薬R2 95μLによって処置した。各々の系に関するapo B/抗apo B抗体の量を、PBSに対する吸光度に基づいて免疫比濁法を用いて測定した。
【0150】
アポリポタンパク質-抗体相互作用に及ぼす試薬R1中の様々な成分の影響を以下に記述する。表4および5に要約されるように、分析した3つの界面活性剤の各々は、LDL-apo BよりもVLDL-apo Bに対する抗apo B抗体の結合を阻害できることを示した。典型的な製剤の例として、PBS中で0.8%POE-POPおよび5%PEGを含むR1溶液は、抗apo B抗体のLDL粒子に対する結合を変化させることなく、VLDL粒子に対する抗apo B結合を完全に阻害した。
【0151】
その結果を表4および5に示すこれらの実験は、硫酸デキストラン、シクロデキストリン、および塩化マグネシウムなどの試薬が、単独でまたは併用して抗apo B抗体のVLDL-apo BまたはLDL-apo Bに対する結合に対してほとんど効果を示さなかったことを示している。この結果は、LDLコレステロールの直接測定に関して既に公表された報告(Sugiuchi, Clin. Chem. 1998, 44:522;米国特許第5,888,827号および第6,794,157号)とは対照的である。さらに、これらの試薬は、POE-POPブロックコポリマーの存在下でVLDL-apo BまたはLDL-apo Bに対する抗apo B抗体の結合選択性に影響を及ぼさなかった。この結果は、LDLコレステロール(LDL-C)およびHDLコレステロール(HDL-C)の直接測定に関するアッセイの報告とは異なる。そのような報告において、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、および塩化マグネシウムは、POE-POPブロックコポリマーがコレステロール測定において用いられる酵素の反応性に付与する選択性を増加させることが見いだされた(Sugiuchi, 1998, Clin. Chem. 44:522)。
【0152】
(表4)apo B抗体とVLDLおよびLDL画分との反応性

各試薬の最終のR1濃度(表4で示していない場合):PBS pH 7.4中で0.05%P-123;0.05%L-121;0.4%F-68;2.7%PEG 600;2.7%PEG 4000;0.15 g/L硫酸デキストラン(DS);0.14%硫酸化α-シクロデキストリン(αCDs);4.2 mM塩化マグネシウム(MgCl2)。
【0153】
(表5)抗apo B抗体とVLDLおよびLDL画分との反応性に及ぼすF-68界面活性剤の効果

【0154】
表4および5に表されるデータはまた、洗浄剤の疎水性が、様々な製剤の相対的反応性に対して有意な効果を有しないことを示唆している。この観察は、リポタンパク質特異的コレステロールまたはトリグリセリドを測定する方法に関する文献の報告とは異なっている(Sugiuchi, 1998, Clin. Chem. 44:522、およびWieland、米国特許第6,991,913号)。
【0155】
ポリエチレングリコールは典型的に、抗原と抗体の相互作用を加速するためにイムノアッセイ試薬に加えられる(Ritchie, "The Foundations of Immunochemistry", Chapter 5, In: "the Immunoassay Handbook", 3rd Edition, David Wild, ed., Elsevier, 2005, pp. 91-2)。
【0156】
表4のデータは、PEG 600またはPEG 4000を加えても、P-123またはL-121がVLDLよりもLDLに関する抗原-抗体相互作用に与える選択性に影響を及ぼさないことを証明しているが、その後の実験において0.05%P-123および0%、3%、または5%PEG 4000を有する製剤は、そうではないことを示唆している(図3)。PEG 4000を加えると、LDL-apo Bの回復を増強したが、VLDL-apo B結合を阻害した。同様に、PEG 600またはPEG 4000を加えると、F-68がVLDLよりもLDLと抗apo Bの相互作用に与える選択性を増強する(表4および図4〜7)。
【0157】
Brij(登録商標)30、Brij(登録商標)700、Igepal(登録商標)630、およびTween(登録商標)20などのPOE-POPブロックコポリマー以外の非イオン性洗浄剤も同様に、表6に示されるように抗apo B抗体とVLDLとの反応を阻害することが見いだされた。
【0158】
(表6)ポリオキシエチレン界面活性剤

【0159】
実施例2:
生物学的液体中のLDL-apo B濃度またはLDL粒子濃度を測定する方法
実施例1に記述した最適化実験に基づいて、3つの試薬R1製剤を今後の試験のために選択した。
【0160】
試薬R1
製剤1:Pluronic(登録商標)F-68(0.5%);PEG 4000(2.5%);PBS緩衝液、pH 7.4。
製剤2:Brij(登録商標)700(0.005%);PEG 8000(3%);PBS緩衝液、pH 7.4。
製剤3:Pluronic(登録商標)F-127(0.01%);PEG 8000(5%);PBS緩衝液、pH 7.4。
【0161】
典型的な実験において、アッセイをCobas Fara分析器において、生物学的試料6μL、試薬R1 285μL(先に記載した3つの製剤の1つから選択される)、および試薬R2 95μLを用いて設定した。試薬R2は、50 mM Tris塩基、pH 8.0 7.5の割合で希釈したapo B抗血清(Midland Bioproducts, Boone IA)1の割合からなった。生物学的試料を試薬R1に加えて、約37℃で約5分間インキュベートした。「ブランク」吸光度の測定後、試薬R2を加えた。試薬R2を加えた約3分後、最後の読みを行った。
【0162】
ゼロ較正通常食塩水と共に較正値232、116、および58 mg/dLを与えるように、連続希釈を用いてRoche(Indianapolis, IN)のc.f.a.s.脂質較正物質を用いて4パラメータ対数-ロジット(log-logit)較正曲線を調製した。C.f.a.s.脂質較正物質は、凍結乾燥ヒト血清から作製される。ゆえに、これはVLDLおよびLDL apo Bの双方を含有すると仮定される。これは原則的に、LDL-apo B濃度の測定精度を低減させることができるが、この実験結果はなおも、アッセイが、VLDL-apo Bと抗apo B抗体との反応を阻害することを証明している。
【0163】
異なる試料(VLDL画分、LDL画分、および全血清)を上記の方法を用いて分析して、結果を表7に示す。先に示した較正物質濃度を用いて、リポタンパク質濃度をmg/dL単位で提供し、これをapo Bの分子量512,000に基づいて19.5を掛けることによってnmol/Lに変換してもよい(Knott et al., 1986, Nature 323:734-38; Chen et al., 1986, J. Biol. Chem. 261 :12918-21; Law et al., 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:8142-46)。
【0164】
結果は、用いた3つの試薬R1に関して、抗apo BとVLDLとの相互作用が阻害されたが、抗apo BとLDLとの相互作用はほとんど変化しなかったことを示している。
【0165】
(表7)脂質画分の定量

【0166】
実施例3:アッセイの性能
実験内および全体の精度、検出限界、定量限界、および直線性を決定するための試験を行った。施設内倫理委員会(IRB)の承認を得て、インフォームドコンセントを提出したボランティアから血清を得た。超遠心分離によってVLDLおよびLDLを分離するために被験体19人から十分な血清を得ることができた。LDL-apo BアッセイをWHO/IFCC SP3-08参照材料によって較正した。これは、妥当な正確な標準物質を提供した;しかし、参照材料は、いくつかのVLDLを含有する安定化血清プールである。
【0167】
0.5 g/L硫酸デキストランおよび2 mM塩化マグネシウムを0.6%Pluronic F-68と共にR1製剤に加えたことを除き、既に記述したようにRoche Cobas Fara分析器においてデータを収集した。QC材料の3つのレベル(52、107、および124 mg/dL)によって評価した実験内の不正確性はそれぞれ、3.4%、3.1%、および1.8%であった。QC材料の同じ3つのレベルを1試料あたり2個ずつ1日2回20日間、4回の再較正サイクルで測定することによって決定した総不正確性は、低濃度、中濃度、および高濃度QCに関してそれぞれ10.1%、6.6%、および6.0%であった。通常食塩水およびHDL上清(硫酸デキストラン-塩化マグネシウムによる沈殿によって血清から除去されたapo B粒子)の双方によって評価した検出限界は25 mg/dL(488 nmol/L)であった。20%不正確性に関連する濃度として定義される定量限界もまた<25 mg/dLであった。濃縮LDLの希釈に由来する観察(y)濃度および予想(x)濃度の直線回帰によって評価される直線性は、約30〜183 mg/dL(図8)まで伸長した。測定された値を表8に記載する。
【0168】
(表8)

【0169】
超遠心分離によって分離された、血清標本19例のVLDL画分におけるapo Bも同様に測定した。血清プールを用いる初回試験とは異なり、少量の硫酸デキストラン(0.5 g/L)および塩化マグネシウム(2.0 mM)を加えると、ほとんどの血清試料において、特に上昇したトリグリセリドを有する試料についてLDLに対する抗血清の選択性を改善した。これは、Sugiuchiらによっても同様に、直接LDLコレステロールアッセイに関して観察された(Clin Chem 1998, 44:522-531)(表9)。下限の感度を増加させるために、および<1.0 mg/dLの検出限界を提供するために、試料:試薬容積比を増加させることによって、アッセイを改変した。総apo Bアッセイによって測定したVLDL-apo Bの濃度の平均値±SDは10.4±11.8であった。LDL-Pアッセイによって測定した平均VLDL-apoB濃度の平均値は、1.1±3.5であり、LDL-P試薬がVLDL-apo Bと抗血清との結合を首尾よく遮断したことを示している(表9)。例外は、標本17であり、これは632 mg/dLのトリグリセリド濃度を有した。
【0170】
(表9)総apo BアッセイおよびLDL-apo B(LDL-P)アッセイによって測定したVLDL-apo B

【0171】
参考文献の組み入れ
本明細書において引用された各々のおよびあらゆる特許、特許出願、および刊行物の開示は、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0172】
本発明は、特異的態様を参照して開示してきたが、本発明の他の態様および変更が、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者によって考案されうることは明らかである。添付の特許請求の範囲は、そのような全ての態様および同等の変化形が含まれると解釈されると意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、アポリポタンパク質がリポタンパク質-アポリポタンパク質の形でリポタンパク質に構造的に会合する、被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度を測定する方法:
生物学的液体、界面活性剤、およびアポリポタンパク質に対する抗体を含む溶液S2を設定温度T2で時間t2の期間インキュベートして、抗体結合アポリポタンパク質を生成する段階;
既知の濃度の該アポリポタンパク質を含む少なくとも1つの標準溶液を用いて、該アポリポタンパク質に対する抗体の結合をイムノアッセイによって定量するための較正曲線を作製する段階;
較正曲線を用いてイムノアッセイによって溶液S2中の抗体結合アポリポタンパク質を定量する段階;
溶液S2中のリポタンパク質-アポリポタンパク質濃度を決定する段階;
生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質濃度を決定する段階;ならびに
生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度を決定する段階。
【請求項2】
被験体がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項3】
生物学的液体が血液、血清、および血漿からなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
溶液S2が以下の段階を含む方法によって生成される、請求項1記載の方法:
生物学的液体を、界面活性剤を含む試薬R1と混合して溶液S1を生成する段階;
設定温度T1で時間t1の期間、溶液S1をインキュベートする段階;および
溶液S1を、アポリポタンパク質に対する抗体を含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する段階。
【請求項5】
溶液S2が以下の段階を含む方法によって生成される、請求項1記載の方法:
生物学的液体を試薬R1と混合して、溶液S1を生成する段階;
設定温度T1で時間t1の期間溶液S1をインキュベートする段階;および
溶液S1を、界面活性剤とアポリポタンパク質に対する抗体とを含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する段階。
【請求項6】
溶液S2が以下の段階を含む方法によって生成される、請求項1記載の方法:
生物学的液体を、界面活性剤とアポリポタンパク質に対する抗体とを含む試薬R2と混合して、溶液S2を生成する段階。
【請求項7】
リポタンパク質がLDLであり、かつアポリポタンパク質がapo Bである、請求項1記載の方法。
【請求項8】
リポタンパク質がHDLであり、かつアポリポタンパク質がapo A-I、apo A- II、apo A-IV、apo A-V、apo C-I、apo C-II、apo C-III、apo C-IV、およびapo Eからなる群より選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である、請求項1記載の方法。
【請求項10】
非イオン性界面活性剤が、POEポリマー、POPポリマー、POE-POPブロックコポリマー、PEGポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、およびTriton(登録商標)界面活性剤からなる群より選択される、請求項9記載の方法。
【請求項11】
溶液S2中の界面活性剤の濃度が、約0.001%から約10%までの範囲でさまざまである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
溶液S2中の界面活性剤の濃度が、約0.005%から約1%までの範囲でさまざまである、請求項11記載の方法。
【請求項13】
溶液S1中の界面活性剤の濃度が、約0.001%から約10%までの範囲でさまざまである、請求項4記載の方法。
【請求項14】
溶液S1中の界面活性剤の濃度が、約0.005%から約1%までの範囲でさまざまである、請求項13記載の方法。
【請求項15】
溶液S2がPEGポリマーをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項16】
溶液S2中のPEGポリマーの濃度が、約0.1%から約10%までの範囲でさまざまである、請求項15記載の方法。
【請求項17】
溶液S2中のPEGポリマーの濃度が、約1%から約8%までの範囲でさまざまである、請求項16記載の方法。
【請求項18】
試薬R1がPEGポリマーをさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項19】
溶液S1中のPEGポリマーの濃度が、約0.1%から約10%までの範囲である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
溶液S1中のPEGポリマーの濃度が、約1%から約8%までの範囲である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
溶液S2が、PEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項22】
試薬R1が、PEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項23】
試薬R2が、PEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む、請求項4記載の方法。
【請求項24】
溶液S2が、以下からなる群より選択される組成物を含む、請求項1記載の方法:(i)界面活性剤Pluronic(登録商標)F-68(0.5%)、PEG 4000(2.5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4;(ii)界面活性剤Brij(登録商標)700(0.005%)、PEG 8000(3%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4;ならびに(iii)Pluronic(登録商標)F- 127(0.01%)、PEG 8000(5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4。
【請求項25】
溶液S1が、以下からなる群より選択される組成物を含む、請求項4記載の方法:
(i)界面活性剤Pluronic(登録商標)F-68(0.5%)、PEG 4000(2.5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4;(ii)界面活性剤Brij(登録商標)700(0.005%)、PEG 8000(3%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4;ならびに(iii)Pluronic(登録商標)F-127(0.01%)、PEG 8000(5%)、およびPBS緩衝液、pH 7.4。
【請求項26】
時間t2の期間が約3分間であり、かつ設定温度T2が約37℃である、請求項1記載の方法。
【請求項27】
時間t1の期間が約5分間であり、かつ設定温度T1が約37℃である、請求項4記載の方法。
【請求項28】
イムノアッセイが免疫濁度測定法または免疫比濁法である、請求項1記載の方法。
【請求項29】
イムノアッセイがELISAアッセイである、請求項1記載の方法。
【請求項30】
少なくとも1つの標準溶液がmg/dL単位で表記される既知の濃度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項31】
生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質濃度がmg/dL単位で計算される、請求項1記載の方法。
【請求項32】
生物学的液体中のリポタンパク質-アポリポタンパク質濃度がnmol/L単位で計算される、請求項1記載の方法。
【請求項33】
生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度がnmol/L単位で計算される、請求項1記載の方法。
【請求項34】
POEポリマー、POPポリマー、POE-POPブロックコポリマー、PEGポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、およびTriton(登録商標)界面活性剤からなる群より選択される非イオン性界面活性剤を含む組成物であって、該非イオン性界面活性剤の濃度が、約6.5から約8.5%の範囲のpH値を有する緩衝液において約0.001%から約10%までの範囲でさまざまであり、該組成物が、0.1%から約10%までのさまざまな濃度のPEGポリマーを任意でさらに含み、かつPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む、組成物。
【請求項35】
被験体からの生物学的液体をさらに含む、請求項34記載の組成物。
【請求項36】
アポリポタンパク質に対する抗体をさらに含む、請求項34記載の組成物。
【請求項37】
アポリポタンパク質がリポタンパク質-アポリポタンパク質の形でリポタンパク質に構造的に会合する、被験体の生物学的液体中のリポタンパク質粒子の濃度を測定するためのキットであって、
既知の量のアポリポタンパク質を含む少なくとも1つの組成物;
POEポリマー、POPポリマー、POE-POPブロックコポリマー、PEGポリマー、Brij(登録商標)界面活性剤、Igepal(登録商標)界面活性剤、Tween(登録商標)界面活性剤、およびTriton(登録商標)界面活性剤からなる群より選択される非イオン性界面活性剤を含む組成物であって、該非イオン性界面活性剤の濃度が、約6.5から約8.5の範囲のpH値を有する緩衝液において約0.001%から約10%までの範囲でさまざまであり、該組成物が、約0.1%から約10%までのさまざまな濃度のPEGポリマーを任意でさらに含み、かつPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む、組成物;
アポリポタンパク質に対する抗体を含み、かつPEG、硫酸デキストラン、硫酸化α-シクロデキストリン、EDTA、アジ化物塩、および二価の陽イオンからなる群より選択される1つまたは複数の成分を任意でさらに含む、組成物
を含み、
キットを用いるためのアプリケーターおよび説明材をさらに含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−530900(P2012−530900A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516274(P2012−516274)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/038881
【国際公開番号】WO2010/148130
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511306860)メイン スタンダーズ カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー (1)