リモコン装置の取付け構造
【課題】リモコン装置本体の小型化を図りつつ、リモコン装置本体を取付板に取り付ける作業の容易化を的確に図ることが可能なリモコン装置の取付け構造を提供する。
【解決手段】壁面に取り付けられる取付板3と、リモコン装置本体1と、を備えているリモコン装置の取付け構造であって、リモコン装置本体1のケース11の外周縁のうち、互いに離間して対向する一対の側縁部11a’,11a”には、取付板3に向けて突出し、かつ弾性復元力を伴って撓み変形可能な一対の係合用突起12a,12bが設けられ、取付板3には、リモコン装置本体1を取付板3に接近させたときに、一対の係合用突起12a,12bの内側面に接触して一対の係合用突起12a,12bをリモコン装置本体1の外方に撓み変形させてから一対の係合用突起12a,12bに係合可能な一対の係合部34a,34bが設けられている。
【解決手段】壁面に取り付けられる取付板3と、リモコン装置本体1と、を備えているリモコン装置の取付け構造であって、リモコン装置本体1のケース11の外周縁のうち、互いに離間して対向する一対の側縁部11a’,11a”には、取付板3に向けて突出し、かつ弾性復元力を伴って撓み変形可能な一対の係合用突起12a,12bが設けられ、取付板3には、リモコン装置本体1を取付板3に接近させたときに、一対の係合用突起12a,12bの内側面に接触して一対の係合用突起12a,12bをリモコン装置本体1の外方に撓み変形させてから一対の係合用突起12a,12bに係合可能な一対の係合部34a,34bが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器あるいはその他の装置・機器類の制御に用いられるリモコン装置を、家屋の台所や洗面所などの所望の壁面に取り付けるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、リモコン装置の取付け構造の一例として、特許文献1に記載されたものを先に提案している。同文献に記載されたリモコン装置の取付け構造は、所望の壁面に固定して取り付けられる取付板と、この取付板に対してその正面側から取り付けられるリモコン装置本体とを有している。取付板には、リモコン装置本体の下部を進入させて掛止させるための凹溝部が形成されている。リモコン装置本体は、ケース内に制御基板が収容された構成であり、取付板に別途設けられている孔部に挿入させるための係合用突起を有している。この係合用突起は、その直径が拡縮変形可能であり、取付板の孔部に挿入された際には、その直径が小さくなるように圧縮されて弾発力が生じる結果、係合用突起の外周は取付板の孔部の周縁に圧接する。この圧接の作用により、係合用突起が取付板の孔部から容易に抜けないようにすることができる。
【0003】
このような構成によれば、リモコン装置本体の下部を取付板の凹溝部に係入し、かつリモコン装置本体の係合用突起を取付板の孔部に挿入させることにより、リモコン装置本体を取付板に容易に仮固定することができる。したがって、所望の壁面に対するリモコン装置の取り付け作業の容易化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、前記従来技術においては、リモコン装置本体の係合用突起を取付板に設けられた孔部に挿入させる構造が採用されているために、取付板をリモコン装置本体よりも小サイズにしつつ前記構造を採用しようとすると、前記係合用突起については、リモコン装置本体のケースの外周縁よりもケースの中央寄りに配置させて設ける必要がある。ところが、このような構成によれば、ケースの中央寄り領域の一部分が係合用突起を設けるための領域として占有されてしまう。したがって、そのような領域を確保する必要がある分だけ、ケース内のスペースを大きくしなければならず、ケースの小型化、ひいてはリモコン装置本体の小型化を図る上で不利となる。また、ケース内に制御基板などの機器類を収容する場合には、これらの機器類と係合用突起との干渉を回避するための工夫を施す必要もあり、リモコン装置本体の構造が複雑化する不利も生じる。したがって、このようなことを適切に解消することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−187069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、リモコン装置本体の小型化を図りつつ、リモコン装置本体を取付板に取り付ける作業の容易化を的確に図ることが可能なリモコン装置の取付け構造を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供されるリモコン装置の取付け構造は、所望の壁面に取り付けられる取付板と、ケース内に制御基板が組み付けられた構成を有し、かつ前記取付板の正面に配されるようにして前記取付板に取り付けられるリモコン装置本体と、を備えている、リモコン装置の取付け構造であって、前記リモコン装置本体のケースの外周縁のうち、互いに離間して対向する一対の側縁部には、前記取付板に向けて突出し、かつ弾性復元力を伴って撓み変形可能な一対の係合用突起が設けられており、前記取付板には、前記リモコン装置本体を前記取付板に向けてその正面から接近させたときに、前記一対の係合用突起の内側面に接触して前記一対の係合用突起を前記リモコン装置本体の外方に撓み変形させてから前記一対の係合用突起に係合可能な一対の係合部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、リモコン装置本体の一対の係合用突起を、取付板の一対の係合部に係合させることにより、取付板に対してリモコン装置本体を適切に固定させることができる。これは、リモコン装置本体をたとえばネジ止めする前の仮固定に好ましく、リモコン装置の取付け作業の容易化を図るのに役立つ。一方、前記一対の係合用突起は、リモコン装置本体のケースの外周縁に形成されている。このため、前記従来技術とは異なり、リモコン装置本体のケースの中央寄り領域の一部が係合用突起を設けるための領域として占有されないようにすることができる。その結果、ケースの小型化、ひいてはリモコン装置本体の小型化を図るのに好ましいものとなる。また、ケース内に組み付けられる制御基板などの機器類と係合用突起との干渉を好適に回避する効果も得られ、構造の簡素化、製造コストの低減化を図ることもできる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記リモコン装置本体のケースは、前記制御基板が組み付けられる主板部と、この主板部の外周縁からこの主板部の背後に向けて突出し、前記制御基板の周囲を囲む略枠状の突出縁部を有しており、前記突出縁部に切り込み部を形成することにより、前記突出縁部の一部分が前記一対の係合用突起として形成されている。
【0012】
このような構成によれば、一対の係合用突起を容易かつ適切に形成することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記リモコン装置本体に装着される化粧カバーを、さらに備えており、前記化粧カバーが前記リモコン装置本体に装着された状態においては、前記化粧カバーが前記一対の係合用突起の外側面に接触または接近し、前記一対の係合用突起が前記リモコン装置本体の外方に向けて変形または変位することが規制されるように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、化粧カバーをリモコン装置本体に装着することにより、係合用突起と係合部との係合状態を確実かつ強固なものとすることができる。また、係合用突起と係合部との係合状態を維持するための手段として、化粧カバーが有効に利用され、他の専用部材を用いる必要がないために、合理的である。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用突起のそれぞれの内側面には、前記リモコン装置本体が前記取付板の正面方向に移動することを規制するように前記各係合部と係合可能な凸状段部が設けられている。
【0016】
このような構成によれば、係合用突起と係合部との係合状態を確実化し、これらの係合状態が不用意に解除されることを防止するのに好ましい。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用突起のそれぞれには、孔部が形成され
ており、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合は、前記一対の係合部のそれぞれが、前記孔部に進入することによりなされる。
【0018】
このような構成によっても、係合用突起と係合部との係合状態を確実なものとすることができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部とが係合した状態において、前記一対の係合用突起の一方が前記リモコン装置本体の外方に撓み変形するように、前記リモコン装置本体を前記取付板に相対させて移動させることが可能であり、前記移動により、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合を解除させて、前記リモコン装置を前記取付板から離脱させることが可能な構成とされている。
【0020】
このような構成によれば、係合用突起と係合部との係合を簡単な操作で解除することができる。したがって、取付板からリモコン装置本体を取り外す作業も容易化される。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用されたリモコン装置の取付け構造の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すリモコン装置の取付け構造の分解斜視図である。
【図3】(a)は、図1に示すリモコン装置の分解断面図であり、(b)は、図1のIII−III断面図である。
【図4】(a)は、図1のIV−IV断面図であり、(b)は、(a)のA部拡大断面図である。
【図5】(a)は、図1のV−V断面図であり、(b)は、(a)のB部拡大断面図である。
【図6】(a)は、図4(a)の要部分解断面図であり、(b)は、図5(a)の要部分解断面図である。
【図7】図6(a)に示す構造の作用を示す要部拡大断面図である。
【図8】(a)は、図4(a)の要部分解断面図であり、(b)は、図5(a)の要部分解断面図である。
【図9】図1に示すリモコン装置の取付け構造における取付板とリモコン装置本体のケースとの位置関係を示す正面断面図である。
【図10】図9に示す構造において、取付板とリモコン装置本体のケースとを位置ずれさせた状態を示す正面断面図である。
【図11】(a),(b)は、本発明の他の例を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1〜図10は、本発明が適用されたリモコン装置の取付け構造およびこれに関連する構成の一例を示している。
本実施形態のリモコン装置の取付け構造は、図1に示すように、たとえば給湯器用のリモコン装置Rが台所またはその他の部屋の壁面9に取り付けられた構造である。図2によく表われているように、リモコン装置Rは、リモコン装置本体1および化粧カバー2を具備して構成されており、リモコン装置本体1は、取付板3を利用して壁面9に取り付けられる。図3に示すように、壁面9には、リモコン装置本体1の背面側に接続された電力供給用および信号送受信用の複数の配線コードCを通すための開口部90(図2では省略)が形成されている。
【0025】
取付板3は、金属板にプレス加工などを施して構成されたものであり、ネジ体40を利用して壁面9に固定される。この取付板3の中央には、配線コードCを通すための開口部30が形成されている。また、図2に示すように、この取付板3は、ネジ体40を挿通させるための複数の孔部31a,31bに加え、リモコン装置本体1をこの取付板3にネジ体41を用いて固定させるためのネジ孔32が形成された複数(本実施形態では3箇所)の支持片部33、および一対の係合部34a,34bを有している。各支持片部33は、図6(a)に示すように、壁面9からその正面に適当な寸法s1だけ離間するように設けられている。
【0026】
図2において、一対の係合部34a,34bは、後述する一対の係合用突起12a,12bに係合させてリモコン装置本体1を取付板3に固定(仮固定)させるための部分である。これら一対の係合部34a,34bは、取付板3の左右の両側縁部3a,3bに設けられているが、一方の係合部34aは、右側の側縁部3aの上部寄りに位置し、かつ側縁部3aの他の部分よりも右側に部分的に突出した小片状である。他方の係合部34bは、左側の側縁部3bの下部寄りに位置し、かつ側縁部3bの他の部分よりも左側に部分的に突出した小片状である。図6(a),(b)に示すように、これらの係合部34a,34bも、先に述べた支持片部33と同様に、壁面9からその正面に適当な寸法s2だけ離間するように設けられている。
【0027】
図3および図4に示すように、リモコン装置本体1は、給湯器の運転のオン・オフや目標給湯温度の設定制御などを行なうための電気および電子回路(図示略)を備えた制御基板10が、合成樹脂製のケース11内に組み込まれた構成である。制御基板10には、液晶パネルを利用したデータ表示器10a、スピーカ10b、および複数の操作スイッチ部10c,10dなども搭載されている。
【0028】
リモコン装置本体1のケース11は、図2に示すように、主板部11a、この主板部11aの外周縁からその背後に向けて突出した突出縁部11b、および一対の係合用突起12a,12bを有している。制御基板10は、主板部11aの背面側に組み付けられており、主板部11aには、データ表示器10aや操作スイッチ部10c,10dを主板部11aの前面側に露出させるための開口部13a,13bが形成されている。突出縁部11bは、リモコン装置本体1の制御基板10やその他の機器の周囲を囲む略枠状である。一対の係合用突起12a,12bは、取付板3の一対の係合部34a,34bに係合させるための部分であり、突出縁部11bにスリット状またはその他の形状の切り込み部14a,14bを設けることによって形成されている。つまり、突出縁部11bの一部が係合用突起12a,12bとして構成されている。一対の係合用突起12a,12bは、係合部34a,34bに対応した配置となるように、主板部11aの右側縁部11a’の上部寄り、および左側縁部11a”の下部寄りにそれぞれ位置して、主板部11aの背後に向けて突出している。
【0029】
係合用突起12a,12bは、リモコン装置本体1の左右幅方向に弾性復元力を伴って撓み変形可能である。また、図6(a),(b)に示すように、左右幅方向における一対の係合用突起12a,12bの内側面どうしの間隔L1は、一対の係合部34a,34bの外側面どうしの間隔L2よりも若干小さい寸法とされている。このため、図7などを参照して後述するように、リモコン装置本体1を取付板3に取り付ける際には、係合用突起12a,12bが係合部34a,34bに当接することによって外側方向に撓み変形を生じる。係合用突起12a,12bは、先端寄り領域の内側面が傾斜面とされ、この傾斜面が形成された先端寄り領域においては基端側から先端側に進むほど幅が狭くなる形状を有し、前記内側面には、凸状段部15が形成されている。この凸状段部15は、後述するように、係合部34a,34bに対して係合用突起12a,12bが抜け止め状態となるよ
うに係合する部分である。
【0030】
図2に示すように、リモコン装置本体1のケース11の前面側には、ネジ体挿通用の孔部16aが形成された凹部16が設けられている。ケース11の背面側には、凹部16に対応する凹部17が設けられている。凹部17は、取付板3の支持片部33を進入可能とするものであり、この凹部17の外側端部は開口している。この開口は、図10を参照して後述するように、リモコン装置本体1と取付板3とを横幅方向に相対的にスライドさせるのに役立つ。本実施形態では、凹部16,17がケース11の四隅のうち、3箇所の隅部の近傍にのみ設けられており、ケース11の右上の隅部近傍には設けられていない。これは、本実施形態では、図4に示すように、データ表示器10aを構成する液晶パネルの左右幅方向(長手方向)の右端側がバックライト用の光源配置部10a’とされ、この光源配置部10a’の近傍に凹部16,17を設けようとすると、ケース11の全体が大型化し、これを回避するためである。ただし、後述するように、この部分の近傍においては、係合用突起12aを利用して取付板3との固定が図られるために、取り付けが不安定になる不具合はない。なお、バックライト用の光源(たとえばLED光源)を液晶パネルの長手方向の一端側に配置すれば、光源の総数を少なくしつつ、照明むらも少なくすることが可能である。
【0031】
図2において、化粧カバー2は、リモコン装置本体1を保護しつつ、リモコン装置R全体の外観体裁を良好とする役割を果たすものであり、リモコン装置本体1の前面部のデータ表示部10aや操作スイッチ部10c,10d以外の箇所、ならびにリモコン装置本体1の上下左右の周側面部を覆うことが可能な合成樹脂製のケース状である。リモコン装置本体1に対する化粧カバー2の装着手段としては、化粧カバー2をリモコン装置本体1に対してその正面側から外嵌する手段が採用されている。化粧カバー2をリモコン装置本体1に装着した際には、この化粧カバー2の左右両側の突出縁部20a,20bによって、一対の係合用突起12a,12bを押さえつけることが可能であるが、その詳細についても後述する。
【0032】
次に、リモコン装置Rを壁面9に取付ける場合の作業手順、および作用について説明する。
【0033】
まず、取付板3については、ネジ体40を利用して壁面9に予め固定させておく。次いで、リモコン装置本体1を取付板3にその正面から接近させていき、リモコン装置本体1を取付板3に仮固定させる。より具体的に説明すると、まず図6(a),(b)に示すように、リモコン装置本体1を取付板3に接近させていくが、その際には、支持片部33が凹部17に嵌入し、ネジ孔32と孔部16aとが一致するように位置合わせする。すると、係合用突起12a,12bは、係合部34a,34bに当接することとなるが、図7に示すように、係合用突起12aは係合部34aとの当接に起因してリモコン装置本体1の外側方向に撓む。図示説明は省略するが、他方の係合用突起12bについても、同様にリモコン装置本体1の外側方向に撓む。したがって、係合用突起12a,12bをさらに取付板3寄りに移動させて、図8(a),(b)に示すように、係合用突起12a,12bの各凸状段部15を係合部34a,34bよりも壁面9側に配置させることができる。
【0034】
前記したような設定により、係合用突起12a,12bは、係合部34a,34bに対し、取付板3の正面方向への抜け止めが図られた状態に係合する。係合用突起12a,12bは、その弾性によって元の形状に復元しようとするために、前記した係合は確実化される。また、係合用突起12a,12bは、リモコン装置本体1の左右両側に振り分けられて設けられており、これら係合用突起12a,12bに対し、係合部34a,34bによってそれらの内側から外側に向けて押し広げる力(突っ張り力)を発揮させることができる。加えて、係合用突起12a,12bは、上下高さ方向においても高い位置と低い位
置とに振り分けられたために、リモコン装置本体1の全体を2箇所の係合部分によって安定させるのに好ましいものとなる。さらに、複数の支持片部33は、凹部17に嵌入するために、この嵌合作用によっても取付板3とリモコン装置本体1との位置決めが図られる。
【0035】
本実施形態においては、前記したようなことから、リモコン装置本体1を取付板3に対して安定的に仮固定させることが可能である。リモコン装置本体1を前記したように安定的に仮固定させれば、その後にネジ体41を利用してリモコン装置本体1を取付板3に固定させる場合に、リモコン装置本体1を手で把持するような必要がないばかりか、リモコン装置本体1のガタツキなども容易に生じないようにすることが可能となり、作業の容易化が図られる。一方、係合用突起12a,12bは、リモコン装置本体1のケース11の両側縁部11a’,11a”に形成されているために、これら係合用突起12a,12bをケース11の中央寄りに設ける場合とは異なり、係合用突起12a,12bと制御基板10などとの干渉を生じないようにすることが容易となる。また、ケース11の中央寄り領域の一部が係合用突起12a,12bを設けるための領域として占有されないようにすることができるために、ケース11の小型化、ひいてはリモコン装置本体1の全体の小型化を図るのに好ましいものとなる。
【0036】
リモコン装置本体1のネジ止めを完了した後には、化粧カバー2をリモコン装置本体1に装着する。すると、図4および図5に示すように、係合用突起12a,12bの外側面には、化粧カバー2の突出縁部20a,20bの内側面が接触または接近する。その結果、係合用突起12a,12bが外側方向に変形または変位することが適切に防止され、係合用突起12a,12bと係合部34a,34bとの係合部分に大きな遊びが生じないようにすることができる。このような効果は、とくに係合用突起12aと係合部34aとの係合部分において有意義である。すなわち、既述したように、リモコン装置本体1の右上隅部の近傍は、取付板3に対してネジ止めされていない。このため、本来ならば、その部分の取り付け状態が不安定となる虞があるが、本実施形態によれば、係合用突起12aと係合部34aとの係合を強固にすることができるために、前記した虞を解消することが可能である。なお、化粧カバー2の突出縁部20a,20bと係合用突起12a,12bとを確実かつ強固に接触させるための手段として、たとえば係合用突起12a,12bの外側面に凸部を設け、この凸部に突出縁部20a,20bが当接するように構成することもできる。リモコン装置本体1を取付板3に固定させた後には、化粧カバー2をリモコン装置本体1に取り付けることにより、図1に示したような態様でのリモコン装置Rの取り付けが完了する。
【0037】
メンテナンスやその他の理由から、取付板3に取り付けられているリモコン装置本体1を取付板3から取り外したい場合がある。この場合には、図9に示すように、化粧カバー2が取り外され、かつリモコン装置本体1のネジ止めも解除された状態において、作業者がリモコン装置本体1のケース11を把持し、図10に示すように、リモコン装置本体1を左右幅方向の一方にスライドさせる。支持片部33が嵌入している凹部17の外側端部は開口しているために、そのようなスライド操作が可能である。また、このスライド操作は、係合用突起12bの弾発力に抗し、この係合用突起12bを撓み変形させつつ行なわれる。リモコン装置本体1を図10に示すようにスライドさせると、係合用突起12aと係合部34aとが離反することとなり、それらの係合状態を解除することが可能である。リモコン装置本体1を図10とは反対方向にスライドさせた際には、係合用突起12bと係合部34bとの係合を解除することが可能である。したがって、前記したような操作を行なうことにより、取付板3に対するリモコン装置本体1の仮固定状態を解除し、リモコン装置本体1を取付板3から容易に取り外すことができる。このように、本実施形態のリモコン装置の取付け構造によれば、リモコン装置Rを取り外す場合の作業性にも優れたものとなる。
【0038】
図11は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0039】
図11(a)に示す実施形態においては、各係合用突起12に孔部18が形成されている。これに対し、各係合部34は、同図(b)に示すように、その外側端部が孔部18に進入可能な構成とされている。本実施形態によれば、孔部18に係合部34が進入することにより、各係合用突起12と各係合部34とを係合させて、リモコン装置本体1が取付板3から脱落しないように仮固定させることができる。本実施形態のような構成も、本発明の技術的範囲に包摂される。
【0040】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るリモコン装置の取付け構造の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0041】
一対の係合用突起は、要は、取付板に向けて突出し、弾性復元力を伴って撓み変形可能な突起として構成されていればよい。また、一対の係合用突起が設けられる位置は、リモコン装置本体のケースの左右幅方向の両側縁部に限らず、たとえば前記ケースの上下高さ方向の両側縁部(上側縁部および下側縁部)に設けられた構成とすることもできる。取付板に設けられる一対の係合部は、リモコン装置本体を取付板に向けてその正面から接近させたときに、一対の係合用突起の内側面に接触してこの係合用突起をリモコン装置本体の外方に撓み変形させる機能を発揮し、かつ前記一対の係合用突起と係合可能であればよく、その具体的な形状やサイズなどは限定されない。本発明においては、一対の係合用突起と一対の係合部との組み合わせ(互いに係合可能な係合用突起と係合部との組み合わせが2組)に加え、これらとは別の係合用突起と係合部との組み合わせがさらに設けられた構成(係合用突起と係合部との組み合わせが3組以上の構成)とすることもできる。
【0042】
取付板は、リモコン装置本体を壁面に取り付けるためのベースとなる部材であり、やはりその具体的な形状や材質などは限定されない。この取付板は、複数の部材を用いて構成することもできる。本発明でいうリモコン装置本体とは、リモコン装置の主要部をなす部分であって、ケース内に制御基板が組み付けられた構成を有するものであり、ケースの具体的な形状や制御基板の具体的な回路構成などは、やはり限定されない。本発明は、給湯器用のリモコン装置に限らず、壁面に取付けられる種々のリモコン装置の取り付けに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
R リモコン装置
1 リモコン装置本体
2 化粧カバー
3 取付板
9 壁面
10 制御基板
11 ケース(リモコン装置本体の)
11a 主板部(ケースの)
11a’ 右側縁部(ケースの側縁部)
11a” 左側縁部(ケースの側縁部)
11b 突出縁部(ケースの)
12 係合用突起
12a,12b 一対の係合用突起
14a,14b 切り込み部
15 凸状段部
18 孔部
34 係合部
34a,34b 一対の係合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器あるいはその他の装置・機器類の制御に用いられるリモコン装置を、家屋の台所や洗面所などの所望の壁面に取り付けるための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、リモコン装置の取付け構造の一例として、特許文献1に記載されたものを先に提案している。同文献に記載されたリモコン装置の取付け構造は、所望の壁面に固定して取り付けられる取付板と、この取付板に対してその正面側から取り付けられるリモコン装置本体とを有している。取付板には、リモコン装置本体の下部を進入させて掛止させるための凹溝部が形成されている。リモコン装置本体は、ケース内に制御基板が収容された構成であり、取付板に別途設けられている孔部に挿入させるための係合用突起を有している。この係合用突起は、その直径が拡縮変形可能であり、取付板の孔部に挿入された際には、その直径が小さくなるように圧縮されて弾発力が生じる結果、係合用突起の外周は取付板の孔部の周縁に圧接する。この圧接の作用により、係合用突起が取付板の孔部から容易に抜けないようにすることができる。
【0003】
このような構成によれば、リモコン装置本体の下部を取付板の凹溝部に係入し、かつリモコン装置本体の係合用突起を取付板の孔部に挿入させることにより、リモコン装置本体を取付板に容易に仮固定することができる。したがって、所望の壁面に対するリモコン装置の取り付け作業の容易化を図ることができる。
【0004】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
【0005】
すなわち、前記従来技術においては、リモコン装置本体の係合用突起を取付板に設けられた孔部に挿入させる構造が採用されているために、取付板をリモコン装置本体よりも小サイズにしつつ前記構造を採用しようとすると、前記係合用突起については、リモコン装置本体のケースの外周縁よりもケースの中央寄りに配置させて設ける必要がある。ところが、このような構成によれば、ケースの中央寄り領域の一部分が係合用突起を設けるための領域として占有されてしまう。したがって、そのような領域を確保する必要がある分だけ、ケース内のスペースを大きくしなければならず、ケースの小型化、ひいてはリモコン装置本体の小型化を図る上で不利となる。また、ケース内に制御基板などの機器類を収容する場合には、これらの機器類と係合用突起との干渉を回避するための工夫を施す必要もあり、リモコン装置本体の構造が複雑化する不利も生じる。したがって、このようなことを適切に解消することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−187069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであって、リモコン装置本体の小型化を図りつつ、リモコン装置本体を取付板に取り付ける作業の容易化を的確に図ることが可能なリモコン装置の取付け構造を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0009】
本発明により提供されるリモコン装置の取付け構造は、所望の壁面に取り付けられる取付板と、ケース内に制御基板が組み付けられた構成を有し、かつ前記取付板の正面に配されるようにして前記取付板に取り付けられるリモコン装置本体と、を備えている、リモコン装置の取付け構造であって、前記リモコン装置本体のケースの外周縁のうち、互いに離間して対向する一対の側縁部には、前記取付板に向けて突出し、かつ弾性復元力を伴って撓み変形可能な一対の係合用突起が設けられており、前記取付板には、前記リモコン装置本体を前記取付板に向けてその正面から接近させたときに、前記一対の係合用突起の内側面に接触して前記一対の係合用突起を前記リモコン装置本体の外方に撓み変形させてから前記一対の係合用突起に係合可能な一対の係合部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、リモコン装置本体の一対の係合用突起を、取付板の一対の係合部に係合させることにより、取付板に対してリモコン装置本体を適切に固定させることができる。これは、リモコン装置本体をたとえばネジ止めする前の仮固定に好ましく、リモコン装置の取付け作業の容易化を図るのに役立つ。一方、前記一対の係合用突起は、リモコン装置本体のケースの外周縁に形成されている。このため、前記従来技術とは異なり、リモコン装置本体のケースの中央寄り領域の一部が係合用突起を設けるための領域として占有されないようにすることができる。その結果、ケースの小型化、ひいてはリモコン装置本体の小型化を図るのに好ましいものとなる。また、ケース内に組み付けられる制御基板などの機器類と係合用突起との干渉を好適に回避する効果も得られ、構造の簡素化、製造コストの低減化を図ることもできる。
【0011】
本発明において、好ましくは、前記リモコン装置本体のケースは、前記制御基板が組み付けられる主板部と、この主板部の外周縁からこの主板部の背後に向けて突出し、前記制御基板の周囲を囲む略枠状の突出縁部を有しており、前記突出縁部に切り込み部を形成することにより、前記突出縁部の一部分が前記一対の係合用突起として形成されている。
【0012】
このような構成によれば、一対の係合用突起を容易かつ適切に形成することができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、前記リモコン装置本体に装着される化粧カバーを、さらに備えており、前記化粧カバーが前記リモコン装置本体に装着された状態においては、前記化粧カバーが前記一対の係合用突起の外側面に接触または接近し、前記一対の係合用突起が前記リモコン装置本体の外方に向けて変形または変位することが規制されるように構成されている。
【0014】
このような構成によれば、化粧カバーをリモコン装置本体に装着することにより、係合用突起と係合部との係合状態を確実かつ強固なものとすることができる。また、係合用突起と係合部との係合状態を維持するための手段として、化粧カバーが有効に利用され、他の専用部材を用いる必要がないために、合理的である。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用突起のそれぞれの内側面には、前記リモコン装置本体が前記取付板の正面方向に移動することを規制するように前記各係合部と係合可能な凸状段部が設けられている。
【0016】
このような構成によれば、係合用突起と係合部との係合状態を確実化し、これらの係合状態が不用意に解除されることを防止するのに好ましい。
【0017】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用突起のそれぞれには、孔部が形成され
ており、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合は、前記一対の係合部のそれぞれが、前記孔部に進入することによりなされる。
【0018】
このような構成によっても、係合用突起と係合部との係合状態を確実なものとすることができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部とが係合した状態において、前記一対の係合用突起の一方が前記リモコン装置本体の外方に撓み変形するように、前記リモコン装置本体を前記取付板に相対させて移動させることが可能であり、前記移動により、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合を解除させて、前記リモコン装置を前記取付板から離脱させることが可能な構成とされている。
【0020】
このような構成によれば、係合用突起と係合部との係合を簡単な操作で解除することができる。したがって、取付板からリモコン装置本体を取り外す作業も容易化される。
【0021】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用されたリモコン装置の取付け構造の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すリモコン装置の取付け構造の分解斜視図である。
【図3】(a)は、図1に示すリモコン装置の分解断面図であり、(b)は、図1のIII−III断面図である。
【図4】(a)は、図1のIV−IV断面図であり、(b)は、(a)のA部拡大断面図である。
【図5】(a)は、図1のV−V断面図であり、(b)は、(a)のB部拡大断面図である。
【図6】(a)は、図4(a)の要部分解断面図であり、(b)は、図5(a)の要部分解断面図である。
【図7】図6(a)に示す構造の作用を示す要部拡大断面図である。
【図8】(a)は、図4(a)の要部分解断面図であり、(b)は、図5(a)の要部分解断面図である。
【図9】図1に示すリモコン装置の取付け構造における取付板とリモコン装置本体のケースとの位置関係を示す正面断面図である。
【図10】図9に示す構造において、取付板とリモコン装置本体のケースとを位置ずれさせた状態を示す正面断面図である。
【図11】(a),(b)は、本発明の他の例を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0024】
図1〜図10は、本発明が適用されたリモコン装置の取付け構造およびこれに関連する構成の一例を示している。
本実施形態のリモコン装置の取付け構造は、図1に示すように、たとえば給湯器用のリモコン装置Rが台所またはその他の部屋の壁面9に取り付けられた構造である。図2によく表われているように、リモコン装置Rは、リモコン装置本体1および化粧カバー2を具備して構成されており、リモコン装置本体1は、取付板3を利用して壁面9に取り付けられる。図3に示すように、壁面9には、リモコン装置本体1の背面側に接続された電力供給用および信号送受信用の複数の配線コードCを通すための開口部90(図2では省略)が形成されている。
【0025】
取付板3は、金属板にプレス加工などを施して構成されたものであり、ネジ体40を利用して壁面9に固定される。この取付板3の中央には、配線コードCを通すための開口部30が形成されている。また、図2に示すように、この取付板3は、ネジ体40を挿通させるための複数の孔部31a,31bに加え、リモコン装置本体1をこの取付板3にネジ体41を用いて固定させるためのネジ孔32が形成された複数(本実施形態では3箇所)の支持片部33、および一対の係合部34a,34bを有している。各支持片部33は、図6(a)に示すように、壁面9からその正面に適当な寸法s1だけ離間するように設けられている。
【0026】
図2において、一対の係合部34a,34bは、後述する一対の係合用突起12a,12bに係合させてリモコン装置本体1を取付板3に固定(仮固定)させるための部分である。これら一対の係合部34a,34bは、取付板3の左右の両側縁部3a,3bに設けられているが、一方の係合部34aは、右側の側縁部3aの上部寄りに位置し、かつ側縁部3aの他の部分よりも右側に部分的に突出した小片状である。他方の係合部34bは、左側の側縁部3bの下部寄りに位置し、かつ側縁部3bの他の部分よりも左側に部分的に突出した小片状である。図6(a),(b)に示すように、これらの係合部34a,34bも、先に述べた支持片部33と同様に、壁面9からその正面に適当な寸法s2だけ離間するように設けられている。
【0027】
図3および図4に示すように、リモコン装置本体1は、給湯器の運転のオン・オフや目標給湯温度の設定制御などを行なうための電気および電子回路(図示略)を備えた制御基板10が、合成樹脂製のケース11内に組み込まれた構成である。制御基板10には、液晶パネルを利用したデータ表示器10a、スピーカ10b、および複数の操作スイッチ部10c,10dなども搭載されている。
【0028】
リモコン装置本体1のケース11は、図2に示すように、主板部11a、この主板部11aの外周縁からその背後に向けて突出した突出縁部11b、および一対の係合用突起12a,12bを有している。制御基板10は、主板部11aの背面側に組み付けられており、主板部11aには、データ表示器10aや操作スイッチ部10c,10dを主板部11aの前面側に露出させるための開口部13a,13bが形成されている。突出縁部11bは、リモコン装置本体1の制御基板10やその他の機器の周囲を囲む略枠状である。一対の係合用突起12a,12bは、取付板3の一対の係合部34a,34bに係合させるための部分であり、突出縁部11bにスリット状またはその他の形状の切り込み部14a,14bを設けることによって形成されている。つまり、突出縁部11bの一部が係合用突起12a,12bとして構成されている。一対の係合用突起12a,12bは、係合部34a,34bに対応した配置となるように、主板部11aの右側縁部11a’の上部寄り、および左側縁部11a”の下部寄りにそれぞれ位置して、主板部11aの背後に向けて突出している。
【0029】
係合用突起12a,12bは、リモコン装置本体1の左右幅方向に弾性復元力を伴って撓み変形可能である。また、図6(a),(b)に示すように、左右幅方向における一対の係合用突起12a,12bの内側面どうしの間隔L1は、一対の係合部34a,34bの外側面どうしの間隔L2よりも若干小さい寸法とされている。このため、図7などを参照して後述するように、リモコン装置本体1を取付板3に取り付ける際には、係合用突起12a,12bが係合部34a,34bに当接することによって外側方向に撓み変形を生じる。係合用突起12a,12bは、先端寄り領域の内側面が傾斜面とされ、この傾斜面が形成された先端寄り領域においては基端側から先端側に進むほど幅が狭くなる形状を有し、前記内側面には、凸状段部15が形成されている。この凸状段部15は、後述するように、係合部34a,34bに対して係合用突起12a,12bが抜け止め状態となるよ
うに係合する部分である。
【0030】
図2に示すように、リモコン装置本体1のケース11の前面側には、ネジ体挿通用の孔部16aが形成された凹部16が設けられている。ケース11の背面側には、凹部16に対応する凹部17が設けられている。凹部17は、取付板3の支持片部33を進入可能とするものであり、この凹部17の外側端部は開口している。この開口は、図10を参照して後述するように、リモコン装置本体1と取付板3とを横幅方向に相対的にスライドさせるのに役立つ。本実施形態では、凹部16,17がケース11の四隅のうち、3箇所の隅部の近傍にのみ設けられており、ケース11の右上の隅部近傍には設けられていない。これは、本実施形態では、図4に示すように、データ表示器10aを構成する液晶パネルの左右幅方向(長手方向)の右端側がバックライト用の光源配置部10a’とされ、この光源配置部10a’の近傍に凹部16,17を設けようとすると、ケース11の全体が大型化し、これを回避するためである。ただし、後述するように、この部分の近傍においては、係合用突起12aを利用して取付板3との固定が図られるために、取り付けが不安定になる不具合はない。なお、バックライト用の光源(たとえばLED光源)を液晶パネルの長手方向の一端側に配置すれば、光源の総数を少なくしつつ、照明むらも少なくすることが可能である。
【0031】
図2において、化粧カバー2は、リモコン装置本体1を保護しつつ、リモコン装置R全体の外観体裁を良好とする役割を果たすものであり、リモコン装置本体1の前面部のデータ表示部10aや操作スイッチ部10c,10d以外の箇所、ならびにリモコン装置本体1の上下左右の周側面部を覆うことが可能な合成樹脂製のケース状である。リモコン装置本体1に対する化粧カバー2の装着手段としては、化粧カバー2をリモコン装置本体1に対してその正面側から外嵌する手段が採用されている。化粧カバー2をリモコン装置本体1に装着した際には、この化粧カバー2の左右両側の突出縁部20a,20bによって、一対の係合用突起12a,12bを押さえつけることが可能であるが、その詳細についても後述する。
【0032】
次に、リモコン装置Rを壁面9に取付ける場合の作業手順、および作用について説明する。
【0033】
まず、取付板3については、ネジ体40を利用して壁面9に予め固定させておく。次いで、リモコン装置本体1を取付板3にその正面から接近させていき、リモコン装置本体1を取付板3に仮固定させる。より具体的に説明すると、まず図6(a),(b)に示すように、リモコン装置本体1を取付板3に接近させていくが、その際には、支持片部33が凹部17に嵌入し、ネジ孔32と孔部16aとが一致するように位置合わせする。すると、係合用突起12a,12bは、係合部34a,34bに当接することとなるが、図7に示すように、係合用突起12aは係合部34aとの当接に起因してリモコン装置本体1の外側方向に撓む。図示説明は省略するが、他方の係合用突起12bについても、同様にリモコン装置本体1の外側方向に撓む。したがって、係合用突起12a,12bをさらに取付板3寄りに移動させて、図8(a),(b)に示すように、係合用突起12a,12bの各凸状段部15を係合部34a,34bよりも壁面9側に配置させることができる。
【0034】
前記したような設定により、係合用突起12a,12bは、係合部34a,34bに対し、取付板3の正面方向への抜け止めが図られた状態に係合する。係合用突起12a,12bは、その弾性によって元の形状に復元しようとするために、前記した係合は確実化される。また、係合用突起12a,12bは、リモコン装置本体1の左右両側に振り分けられて設けられており、これら係合用突起12a,12bに対し、係合部34a,34bによってそれらの内側から外側に向けて押し広げる力(突っ張り力)を発揮させることができる。加えて、係合用突起12a,12bは、上下高さ方向においても高い位置と低い位
置とに振り分けられたために、リモコン装置本体1の全体を2箇所の係合部分によって安定させるのに好ましいものとなる。さらに、複数の支持片部33は、凹部17に嵌入するために、この嵌合作用によっても取付板3とリモコン装置本体1との位置決めが図られる。
【0035】
本実施形態においては、前記したようなことから、リモコン装置本体1を取付板3に対して安定的に仮固定させることが可能である。リモコン装置本体1を前記したように安定的に仮固定させれば、その後にネジ体41を利用してリモコン装置本体1を取付板3に固定させる場合に、リモコン装置本体1を手で把持するような必要がないばかりか、リモコン装置本体1のガタツキなども容易に生じないようにすることが可能となり、作業の容易化が図られる。一方、係合用突起12a,12bは、リモコン装置本体1のケース11の両側縁部11a’,11a”に形成されているために、これら係合用突起12a,12bをケース11の中央寄りに設ける場合とは異なり、係合用突起12a,12bと制御基板10などとの干渉を生じないようにすることが容易となる。また、ケース11の中央寄り領域の一部が係合用突起12a,12bを設けるための領域として占有されないようにすることができるために、ケース11の小型化、ひいてはリモコン装置本体1の全体の小型化を図るのに好ましいものとなる。
【0036】
リモコン装置本体1のネジ止めを完了した後には、化粧カバー2をリモコン装置本体1に装着する。すると、図4および図5に示すように、係合用突起12a,12bの外側面には、化粧カバー2の突出縁部20a,20bの内側面が接触または接近する。その結果、係合用突起12a,12bが外側方向に変形または変位することが適切に防止され、係合用突起12a,12bと係合部34a,34bとの係合部分に大きな遊びが生じないようにすることができる。このような効果は、とくに係合用突起12aと係合部34aとの係合部分において有意義である。すなわち、既述したように、リモコン装置本体1の右上隅部の近傍は、取付板3に対してネジ止めされていない。このため、本来ならば、その部分の取り付け状態が不安定となる虞があるが、本実施形態によれば、係合用突起12aと係合部34aとの係合を強固にすることができるために、前記した虞を解消することが可能である。なお、化粧カバー2の突出縁部20a,20bと係合用突起12a,12bとを確実かつ強固に接触させるための手段として、たとえば係合用突起12a,12bの外側面に凸部を設け、この凸部に突出縁部20a,20bが当接するように構成することもできる。リモコン装置本体1を取付板3に固定させた後には、化粧カバー2をリモコン装置本体1に取り付けることにより、図1に示したような態様でのリモコン装置Rの取り付けが完了する。
【0037】
メンテナンスやその他の理由から、取付板3に取り付けられているリモコン装置本体1を取付板3から取り外したい場合がある。この場合には、図9に示すように、化粧カバー2が取り外され、かつリモコン装置本体1のネジ止めも解除された状態において、作業者がリモコン装置本体1のケース11を把持し、図10に示すように、リモコン装置本体1を左右幅方向の一方にスライドさせる。支持片部33が嵌入している凹部17の外側端部は開口しているために、そのようなスライド操作が可能である。また、このスライド操作は、係合用突起12bの弾発力に抗し、この係合用突起12bを撓み変形させつつ行なわれる。リモコン装置本体1を図10に示すようにスライドさせると、係合用突起12aと係合部34aとが離反することとなり、それらの係合状態を解除することが可能である。リモコン装置本体1を図10とは反対方向にスライドさせた際には、係合用突起12bと係合部34bとの係合を解除することが可能である。したがって、前記したような操作を行なうことにより、取付板3に対するリモコン装置本体1の仮固定状態を解除し、リモコン装置本体1を取付板3から容易に取り外すことができる。このように、本実施形態のリモコン装置の取付け構造によれば、リモコン装置Rを取り外す場合の作業性にも優れたものとなる。
【0038】
図11は、本発明の他の実施形態を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0039】
図11(a)に示す実施形態においては、各係合用突起12に孔部18が形成されている。これに対し、各係合部34は、同図(b)に示すように、その外側端部が孔部18に進入可能な構成とされている。本実施形態によれば、孔部18に係合部34が進入することにより、各係合用突起12と各係合部34とを係合させて、リモコン装置本体1が取付板3から脱落しないように仮固定させることができる。本実施形態のような構成も、本発明の技術的範囲に包摂される。
【0040】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るリモコン装置の取付け構造の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0041】
一対の係合用突起は、要は、取付板に向けて突出し、弾性復元力を伴って撓み変形可能な突起として構成されていればよい。また、一対の係合用突起が設けられる位置は、リモコン装置本体のケースの左右幅方向の両側縁部に限らず、たとえば前記ケースの上下高さ方向の両側縁部(上側縁部および下側縁部)に設けられた構成とすることもできる。取付板に設けられる一対の係合部は、リモコン装置本体を取付板に向けてその正面から接近させたときに、一対の係合用突起の内側面に接触してこの係合用突起をリモコン装置本体の外方に撓み変形させる機能を発揮し、かつ前記一対の係合用突起と係合可能であればよく、その具体的な形状やサイズなどは限定されない。本発明においては、一対の係合用突起と一対の係合部との組み合わせ(互いに係合可能な係合用突起と係合部との組み合わせが2組)に加え、これらとは別の係合用突起と係合部との組み合わせがさらに設けられた構成(係合用突起と係合部との組み合わせが3組以上の構成)とすることもできる。
【0042】
取付板は、リモコン装置本体を壁面に取り付けるためのベースとなる部材であり、やはりその具体的な形状や材質などは限定されない。この取付板は、複数の部材を用いて構成することもできる。本発明でいうリモコン装置本体とは、リモコン装置の主要部をなす部分であって、ケース内に制御基板が組み付けられた構成を有するものであり、ケースの具体的な形状や制御基板の具体的な回路構成などは、やはり限定されない。本発明は、給湯器用のリモコン装置に限らず、壁面に取付けられる種々のリモコン装置の取り付けに適用することが可能である。
【符号の説明】
【0043】
R リモコン装置
1 リモコン装置本体
2 化粧カバー
3 取付板
9 壁面
10 制御基板
11 ケース(リモコン装置本体の)
11a 主板部(ケースの)
11a’ 右側縁部(ケースの側縁部)
11a” 左側縁部(ケースの側縁部)
11b 突出縁部(ケースの)
12 係合用突起
12a,12b 一対の係合用突起
14a,14b 切り込み部
15 凸状段部
18 孔部
34 係合部
34a,34b 一対の係合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の壁面に取り付けられる取付板と、
ケース内に制御基板が組み付けられた構成を有し、かつ前記取付板の正面に配されるようにして前記取付板に取り付けられるリモコン装置本体と、
を備えている、リモコン装置の取付け構造であって、
前記リモコン装置本体のケースの外周縁のうち、互いに離間して対向する一対の側縁部には、前記取付板に向けて突出し、かつ弾性復元力を伴って撓み変形可能な一対の係合用突起が設けられており、
前記取付板には、前記リモコン装置本体を前記取付板に向けてその正面から接近させたときに、前記一対の係合用突起の内側面に接触して前記一対の係合用突起を前記リモコン装置本体の外方に撓み変形させてから前記一対の係合用突起に係合可能な一対の係合部が設けられていることを特徴とする、リモコン装置の取付け構造。
【請求項2】
前記リモコン装置本体のケースは、前記制御基板が組み付けられる主板部と、この主板部の外周縁からこの主板部の背後に向けて突出し、前記制御基板の周囲を囲む略枠状の突出縁部を有しており、
前記突出縁部に切り込み部を形成することにより、前記突出縁部の一部分が前記一対の係合用突起として形成されている、請求項1に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項3】
前記リモコン装置本体に装着される化粧カバーを、さらに備えており、
前記化粧カバーが前記リモコン装置本体に装着された状態においては、前記化粧カバーが前記一対の係合用突起の外側面に接触または接近し、前記一対の係合用突起が前記リモコン装置本体の外方に向けて変形または変位することが規制されるように構成されている、請求項1または2に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項4】
前記一対の係合用突起のそれぞれの内側面には、前記リモコン装置本体が前記取付板の正面方向に移動することを規制するように前記各係合部と係合可能な凸状段部が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項5】
前記一対の係合用突起のそれぞれには、孔部が形成されており、
前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合は、前記一対の係合部のそれぞれが、前記孔部に進入することによりなされる、請求項1ないし3のいずれかに記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項6】
前記一対の係合用突起と前記一対の係合部とが係合した状態において、前記一対の係合用突起の一方が前記リモコン装置本体の外方に撓み変形するように、前記リモコン装置本体を前記取付板に相対させて移動させることが可能であり、
前記移動により、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合を解除させて、前記リモコン装置を前記取付板から離脱させることが可能な構成とされている、請求項4または5に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項1】
所望の壁面に取り付けられる取付板と、
ケース内に制御基板が組み付けられた構成を有し、かつ前記取付板の正面に配されるようにして前記取付板に取り付けられるリモコン装置本体と、
を備えている、リモコン装置の取付け構造であって、
前記リモコン装置本体のケースの外周縁のうち、互いに離間して対向する一対の側縁部には、前記取付板に向けて突出し、かつ弾性復元力を伴って撓み変形可能な一対の係合用突起が設けられており、
前記取付板には、前記リモコン装置本体を前記取付板に向けてその正面から接近させたときに、前記一対の係合用突起の内側面に接触して前記一対の係合用突起を前記リモコン装置本体の外方に撓み変形させてから前記一対の係合用突起に係合可能な一対の係合部が設けられていることを特徴とする、リモコン装置の取付け構造。
【請求項2】
前記リモコン装置本体のケースは、前記制御基板が組み付けられる主板部と、この主板部の外周縁からこの主板部の背後に向けて突出し、前記制御基板の周囲を囲む略枠状の突出縁部を有しており、
前記突出縁部に切り込み部を形成することにより、前記突出縁部の一部分が前記一対の係合用突起として形成されている、請求項1に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項3】
前記リモコン装置本体に装着される化粧カバーを、さらに備えており、
前記化粧カバーが前記リモコン装置本体に装着された状態においては、前記化粧カバーが前記一対の係合用突起の外側面に接触または接近し、前記一対の係合用突起が前記リモコン装置本体の外方に向けて変形または変位することが規制されるように構成されている、請求項1または2に記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項4】
前記一対の係合用突起のそれぞれの内側面には、前記リモコン装置本体が前記取付板の正面方向に移動することを規制するように前記各係合部と係合可能な凸状段部が設けられている、請求項1ないし3のいずれかに記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項5】
前記一対の係合用突起のそれぞれには、孔部が形成されており、
前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合は、前記一対の係合部のそれぞれが、前記孔部に進入することによりなされる、請求項1ないし3のいずれかに記載のリモコン装置の取付け構造。
【請求項6】
前記一対の係合用突起と前記一対の係合部とが係合した状態において、前記一対の係合用突起の一方が前記リモコン装置本体の外方に撓み変形するように、前記リモコン装置本体を前記取付板に相対させて移動させることが可能であり、
前記移動により、前記一対の係合用突起と前記一対の係合部との係合を解除させて、前記リモコン装置を前記取付板から離脱させることが可能な構成とされている、請求項4または5に記載のリモコン装置の取付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−95205(P2012−95205A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242430(P2010−242430)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】
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