説明

リモコン装置

【課題】内蔵する電子機器の故障を防止可能なリモコン装置を提供することである。
【解決手段】リモコン装置1は、外壁部材31よりも屋内側(内側)に設置された樹脂製の浴室壁形成部材32で囲まれた浴室空間43内に設けられたカウンター42に設置されている。カウンター42はカウンター形成部材35で構成された天板であり、浴室壁形成部材32とカウンター形成部材35で囲まれたカウンター内空間(別空間)33を有している。リモコン装置1は、操作パネル2と筺体部3と管部材4を有している。管部材4は、本体部4cを有し、一端4aは、筺体部3内の空間に開口している。本体部4cは筺体部3を貫通してカウンター内空間33に至り、外壁部材31の外側まで延びている。他端4bは外壁部材31の外側の外部空間50に開口している。筺体部3内の空間と、外壁部材31の外側の外部空間50は、管部材4によって連通している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコン装置に関し、さらに詳細には、浴室内に設置されるリモコン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室に設置される遠隔操作装置いわゆるリモコン装置は、浴室内に設けたテレビや音響機器等をコントロールするもので、防滴構造や防水構造を有することで、高湿度雰囲気中でも使用することができる。例えば、特許文献1には、防水構造を有するリモコン装置が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載されたリモコン装置では、浴室壁面に設けられたメインコントローラに加え、シャワーヘッドの筺体内にサブコントローラが設けられている。メインコントローラとサブコントローラは共に内部に回路基板を有しており、水分の浸入で回路がショートして故障に至ってしまう恐れがある。特にサブコントローラは、シャワーヘッドの流水路に近接しているため、確実な防水構造が必須である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1−277523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
浴室内に設置されるリモコン装置は、一般的に、取付工事の際に、筺体の縁の全体あるいは下方を除いた部分にシリコン等を主原料としたシール材が塗布される。具体的には、浴室側において、筺体と浴室の壁面との隙間を閉塞するべく、シール材が塗布される。その結果、リモコン装置は、浴室側に対して密閉された防水構造が形成される。
【0006】
一方、この種のリモコン装置は、通常、背面側に信号線や動力線を配線するための配線用開口が設けられている。浴室内の空気圧力(気圧)は、温度等により変動し、リモコン装置内部の空気圧力も変動する為、リモコン装置内と浴室内との圧力差により空気が移動する恐れがある。その為、配線用開口等を介して、リモコン装置内部に湿気が浸入する場合があった。
【0007】
そこで、本発明では、従来技術の問題点に鑑み、リモコン装置に内蔵された基板等が、主に浴室の湿気が起因となって、ショート等の不具合を起こし得ないリモコン装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、外部空間との境界壁を構成する外壁部材の内側にあって浴槽又はシャワーの少なくともいずれかが設置された浴室空間と、前記浴室空間から区分された別空間とが存在し、前記浴室空間に取り付けられるテレビ、音響機器等のリモコン装置であり、前記リモコン装置は、浴室空間のカウンターに取り付けられるものであり、筐体部と、管部材とを有し、前記筐体部内に電子機器が内蔵され、前記筐体部の一面側に操作部又は表示面の少なくともいずれかがあり、前記管部材はその一端が筐体部内に開口し、前記管部材の他端側は外壁部材の外側の外部空間に開口し、前記管部材によって筐体部の内部と外壁部材の外側の外部空間とが連通していることを特徴とするリモコン装置である。
【0009】
本発明のリモコン装置は、筺体部の内部と、外壁部材の外側の外部空間とが、管部材によって連通した構成とされている。そのため、筺体部の内部の圧力が、常時、大気圧と同等の圧力に保たれる。例えば、筺体部の内部の圧力が、何らかの影響で大気圧以下に低下する場合であれば、管部材を通じて、大気圧に調圧され、筺体部の内部の圧力が、何らかの影響で大気圧以上に上昇する場合であれば、管部材を通じて、前記同様大気圧に調圧される。したがって、かかる作用によれば、筐体部の内部の圧力が、外壁部材の外側の外部空間と略同等となって安定するため、浴槽等によって浴室空間内に水蒸気が充満した場合にでも、筐体部の内部への水蒸気の浸入を防止できるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のリモコン装置によれば、筺体内に流入した水蒸気による筺体内部の基板等の故障を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るリモコン装置が設けられたユニットバスを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図であり、カウンターに取り付けられたリモコン装置を示している。
【図3】リモコン装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のリモコン装置の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明は、実施形態の理解を容易にするためのものであり、これによって、本発明が制限して理解されるべきではない。
【0013】
本発明の実施形態に係るリモコン装置1は、図1に示すように、浴室40で用いられるものである。
【0014】
まず、本実施形態のリモコン装置1が設置される浴室40について説明する。
【0015】
本実施形態における浴室40は、いわゆるユニットバス30で、建物の構造体たる外壁部材31の内側に設置されている。なお、本実施形態における外壁部材31は、一部又は全部が屋内と屋外の外部空間50とを仕切る境界壁である。
【0016】
浴室40は、前記したように、ユニットバス30であり、外壁部材31よりも屋内側(内側)に設置された樹脂製の浴室壁形成部材(内壁部材)32を有する。すなわち、浴室40は、浴室壁形成部材32によって、使用者が入浴や掛け湯等をする浴室空間43が形成されている。浴室空間43には、公知のそれと同様、浴室壁形成部材32に一体的に固定された内装品たる浴槽41、カウンター42、テレビ60(又は音響機器61)等や、湯水の供給に寄与するシャワー45等の給湯栓が設けられている。
【0017】
ここで、浴室空間43の内装品たるカウンター42に注目すると、カウンター42は、浴室壁形成部材32と同様、樹脂成型品である。具体的には、カウンター42は、カウンター形成部材35によって、方形状且つ中空状に形成された成形体である。すなわち、浴室40内において、図1、2のように、カウンター42が設置されると、カウンター形成部材35と浴室壁形成部材32によって囲繞されたカウンター内空間(別空間)33が形成される。したがって、浴室40内は、カウンター42の設置によって、浴室空間43と、浴室空間43から隔離されたカウンター内空間33とに分割された構成とされている。そして、本実施形態では、このようなカウンター42にリモコン装置1が設置されている。
【0018】
リモコン装置1は、公知のそれと同様の機能を備えたもので、テレビ60(又は音響機器61)、給湯温度等の設定や風呂の落とし込み等の実行制御を、操作パネルを介して行えるものである。そして、このリモコン装置1は、カウンター42の天面44に取り付けられている。
【0019】
図3に示すように、リモコン装置1は、操作パネル2と筺体部3と管部材4を有している。操作パネル2は、筺体部3の表面に位置している。
【0020】
筺体部3は、上ケース3aと下ケース3bとが嵌め合わされ、一体化されたものである。上ケース3aと下ケース3bとの間には防水パッキン3cが設けられている。
【0021】
筺体部3内には、電子機器5が内蔵され、さらに管部材4の一端4aが位置している。
【0022】
電子機器5は、回路基板6にスイッチ7や電子部品8等が搭載されたものである。電子機器5の周囲には、第一充填材9が充填されており、下ケース3bと一体化されている。第一充填材9の上には、第二充填材10が積層されており、第二充填材10と上ケース3aとの間に、空間12が生じている。第二充填材10は、軟質で高粘度の合成樹脂で構成することが好ましい。なお、スイッチ7の押しボタン7aの両側には、ガード部材11,11が設けられており、押しボタン7aが第二充填材10で埋められることが防止されている。
【0023】
管部材4は、図2に示すように、長尺状に成形された合成樹脂製のチューブである。なお、本実施形態では、管部材4に採用する樹脂は、硬質性のものが好ましい。そして、この管部材4は、リモコン装置1の筺体部3内から外部空間50に渡るように配されている。管部材4の他端4bは、外部空間50に開口している。すなわち、管部材4は、中間部の大半が、カウンター内空間33に跨った配置にされ、リモコン装置1内部と外壁部材31よりも外側の外部空間50とを連通した内外連通手段である。換言すれば、この内外連通手段たる管部材4は、リモコン装置1の内部雰囲気を、外壁部材31よりも外側の外部空間50の雰囲気に調圧・調湿する機能を果たすものである。なお、本体部4cと浴室壁形成部材32とは、シリコン部材13で固定されている。
【0024】
以上のように、本発明の実施形態に係るリモコン装置1によれば、管部材4によって、筺体部3内の空間12と、外壁部材31の外側の外部空間50とを連通させることができる。そのため、筐体部3の内部の圧力が、外壁部材31の外側の外部空間50と略同等となって安定するため、浴槽41によって浴室空間43内に水蒸気が充満した場合にでも、筐体部3の内部に水蒸気が浸入し難くなる。その結果、筺体部3の内部で結露することが抑制され、内蔵する電子機器5が腐食されることを防止できる。
【0025】
また、管部材4の本体部4c(中間部)は、浴室壁形成部材32とカウンター形成部材35によって区分されたカウンター内空間33に配置されている。そのため、管部材4内を通る空気は、浴室空間43や外壁部材31の外側の外部空間50の温度変化の影響を受け難い。
【0026】
上記実施形態において、管部材4の本体部4cは下ケース3bを貫通してカウンター内空間33に至り、外壁部材31の外側まで延びている。下ケース3bは筺体部3の下側にあり、本体部4cは筺体部3の下側に延びている。そのため、筺体部3内に結露した場合にでも、管部材4を介して筺体部3内から外側の外部空間50へ水分を排出できる。
【0027】
また、管部材4を硬質素材で構成された合成樹脂製のチューブとしたことにより、施工時において、本体部4cを浴室壁形成部材32に固定した状態で管部材4を移動させた場合にでも、管部材4が変形し難いため、作業性が良い。
【0028】
上記実施形態において、リモコン装置1の筺体部3の表面に操作パネル2(操作部)を設置した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、操作パネル2の代わりに、表示画面(表示面)等を設けても構わない。
【0029】
上記実施形態において、筺体部3内部において、第二充填材10を軟質で高粘度の合成樹脂としたことで、電子機器5特にスイッチ7に水分が回り込むことを防止している。また、第二充填材10を第一充填材9の上に積層したことで、筺体部3内の空間12の体積を低減している。その結果、筺体部3内で生じる水蒸気の吸い込みいわゆる呼吸が起こり難い。
【符号の説明】
【0030】
1 リモコン装置
2 操作パネル(操作部)
3 筺体部
4 管部材
4a 一端
4b 他端
5 電子機器
31 外壁部材
33 カウンター内空間(別空間)
41 浴槽
43 浴室空間
45 シャワー
50 外部空間
60 テレビ
61 音響機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部空間との境界壁を構成する外壁部材の内側にあって浴槽又はシャワーの少なくともいずれかが設置された浴室空間と、前記浴室空間から区分された別空間とが存在し、前記浴室空間に取り付けられるテレビ、音響機器等のリモコン装置であり、該リモコン装置は、浴室空間のカウンターに取り付けられるものであり、筐体部と、管部材とを有し、前記筐体部内に電子機器が内蔵され、前記筐体部の一面側に操作部又は表示面の少なくともいずれかがあり、前記管部材はその一端が筐体部内に開口し、前記管部材の他端側は外壁部材の外側の外部空間に開口し、前記管部材によって筐体部の内部と外壁部材の外側の外部空間とが連通していることを特徴とするリモコン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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