説明

リモコン雲台システム

【課題】支持したカメラのパン/チルト動作(旋回動作)を禁止する手段を設けることにより、カメラの旋回動作に対して障害物となるものとの接触や強い衝撃による装置の損傷を防止することができるリモコン雲台システムを提供する。
【解決手段】リモコン雲台10に支持されたテレビカメラ18のレンズ装置42の先端に接触センサ50を取り付ける。この接触センサ50が例えば前方のプロンプター装置80に接触した場合には、リモコン雲台10におけるテレビカメラ18のパン/チルト動作を禁止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリモコン雲台システムに係り、特に支持したカメラを電動でパン/チルト動作させるリモコン雲台システムに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビカメラ等のカメラを支持する雲台において、コントローラでの遠隔操作によりカメラをパン/チルト動作(旋回動作)させることができるリモコン雲台が知られている。
【0003】
また、モニタに表示した原稿をカメラの前方に配置したハーフミラーに投影させることによって、原稿読上者の撮影を妨げることなく、また、原稿読上者がカメラから目線を外すことなくモニタに表示された原稿を読み上げることを可能にしたプロンプター装置が知られている(特許文献1等参照)
【特許文献1】特開2002−365519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、リモコン雲台を使用して撮影する場合に、リモコン雲台とプロンプター装置とを組み合わせて使用する場合と、リコモン雲台のみで使用する場合とがある。リモコン雲台とプロンプター装置とを組み合わせて使用する場合に、自立型のプロンプター装置がリモコン雲台に非連結の状態で(リモコン雲台とプロンプター装置とが個別の装置として)リモコン雲台の前方に配置される場合がある。その場合にリモコン雲台でカメラをパン/チルト動作させると、リモコン雲台に対してプロンプター装置が障害物となり、カメラとプロンプター装置が衝突(接触)してカメラのレンズやプロンプター装置を破損してしまうおそれがあった。
【0005】
一方、リモコン雲台とプロンプター装置と組み合わせて使用する場合にリモコン雲台の電源を切ることによってパン/チルト動作を不能にし、装置の損傷を未然に防止することも考えられる。しかしながら、カメラ(カメラ本体やレンズ装置)に対する制御信号、例えば、カメラ本体のゲイン、ホワイトバランス等に関する制御信号やレンズ装置のズームやフォーカス等に関する制御信号についてもコントローラからリモコン雲台に与えられ、リモコン雲台を介してカメラに与えられるようになっているため、リモコン雲台の電源を切ると、パン/チルト動作以外の必要な操作も不能になるという不具合が生じる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、カメラの旋回動作に対して障害物となるものとの接触や強い衝撃による装置の損傷を防止することができるリモコン雲台システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、請求項1に記載のリモコン雲台システムは、カメラを支持すると共に、該カメラをモータによって旋回動作させるリモコン雲台を備えたリモコン雲台システムにおいて、前記リモコン雲台システムの電源を入れた状態で前記旋回動作を禁止する禁止手段を備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明によれば、カメラの旋回動作を禁止することによって、カメラの旋回動作に対して障害物となるものとの接触又は強い衝撃を防止することができ、装置の損傷を防ぐことができる。また、禁止手段は、電源をオフする手段ではないため、禁止手段によってカメラの旋回動作が禁止された場合であってもそれ以外の必要な操作を行うことができる。
【0009】
請求項2に記載のリモコン雲台システムは、請求項1に記載の発明において、前記禁止手段は、近接物が存在することを検出する検出手段を備え、該検出手段により近接物が存在することが検出された場合に前記旋回動作を禁止することを特徴としている。
【0010】
本発明では、近接物が存在することを検出した場合に自動的にカメラの旋回動作が禁止されるため、カメラの旋回動作に対して障害物があることを知らずに操作者がカメラを旋回動作させようとした場合であっても障害物との接触又は強い衝撃を防ぐことができる。
【0011】
請求項3に記載のリモコン雲台システムは、請求項2に記載の発明において、前記検出手段は、前記カメラに取り付けられることを特徴としている。また、請求項4に記載のリモコン雲台システムは、請求項2に記載の発明において、前記検出手段は、前記リモコン雲台又は前記カメラに対して近接物となり得る物体に取る付けられることを特徴としている。即ち、近接物の存在を検出する検出手段は、他の物体に接触する可能性が高いカメラ、例えば、カメラの先端のレンズ部に取り付けてもよいし、近接物となり得る物体側に取り付けてもよい。
【0012】
請求項5に記載のリモコン雲台システムは、請求項1、2、3、又は、4に記載のリモコン雲台システムにおいて、前記近接物は、プロンプター装置であることを特徴としている。
【0013】
本発明は、リモコン雲台と非連結のプロンプター装置を使用する場合に、カメラの旋回動作に対してプロンプター装置が障害物となるような場合に特に有意義であることを示している。
【0014】
請求項6に記載のリモコン雲台システムは、請求項1乃至5のうちいずれか1に記載の発明において、前記禁止手段は、手動操作による指示を入力する入力手段であって、前記旋回動作を禁止する指示の入力手段を備え、該入力手段により前記旋回動作を禁止する指示が与えられた場合に前記旋回動作を禁止することを特徴としている。
【0015】
本発明は、手動操作によってカメラの旋回動作を禁止できるようにした態様であり、自動で禁止する場合に限らず手動でカメラの旋回動作を禁止する場合であっても障害物との接触又は強い衝撃を未然に防止することができる。
【0016】
請求項7に記載のリモコン雲台システムは、請求項1乃至6のうちいずれか1に記載の発明において、前記禁止手段により前記旋回動作が禁止されているか否かを示す表示手段を備えたことを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、カメラの旋回動作が禁止されているか否かをリモート操作している操作者であっても容易に認識することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るリモコン雲台システムによれば、カメラの旋回動作に対して障害物となるものとの接触や強い衝撃による装置の損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に従って本発明に係るリモコン雲台システムを実施するための最良の形態について詳説する。
【0020】
図1、図2は、本発明が適用されたリモコン雲台の外観構成を示した正面図及び側面図である。これらの図に示すリモコン雲台10は、例えば、スタジオでのテレビ撮影等に使用され、主として雲台本体12、カメラ台14、雲台取付台16等から構成され、カメラ台14にテレビカメラ18が設置されている。
【0021】
雲台本体12は、雲台取付台16の上部に固定されたパン軸20により水平方向に回動可能に支持されている。雲台本体12の図示しない内部空間部にはパン用モータが内蔵されており、そのパン用モータの出力軸に取り付けられたウォームギアが、パン軸20に固定されたウォームホイールに噛合されている。これにより、パン用モータが駆動されると、ウォームギアがウォームホイールの周りを周回移動するので、ウォームギアと共に雲台本体12がパン軸20を中心に回動するようになっている。
【0022】
雲台本体12の側部には、チルト軸22が回動可能に突設されており、そのチルト軸22にL字状のカメラ台14が連結されている。雲台本体12の図示しない内部空間部にはチルト用モータが内蔵されており、そのチルト用モータの出力軸がチルト軸22に連結されている。これにより、チルト用モータが駆動されると、チルト軸22が回動するので、カメラ台14がチルト軸22を中心に揺動するようになっている。
【0023】
従って、パン用モータ及びチルト用モータの駆動によってカメラ台14に設置されたテレビカメラ18がパン/チルト動作(旋回動作)するようになっている。
【0024】
また、雲台本体12には、パン用モータやチルト用モータを駆動するための駆動回路や、その他の所要の回路、機構が内蔵されている。
【0025】
雲台本体12を支持する雲台取付台16には、キャスタ30を有する走行部32が3箇所に設けられており、キャスタ30の回転によってリモコン雲台10を床面上で前後左右に容易に動かせるようになっている。また、各走行部32には昇降可能なストッパ34が設けられており、ストッパ34の先端を床面に当接させることによってリモコン雲台10の前後左右の走行を規制することができるようになっている。尚、雲台取付台16は、例えば、雲台本体12をモータにより昇降させる昇降機構を備えており、その昇降機構で雲台本体12を昇降させることによってテレビカメラ18を支持する高さを調整することができる。
【0026】
カメラ台14に設置されたテレビカメラ18は、例えばカメラ本体(カメラヘッド)40とそのカメラ本体40にマウントによって着脱可能に装着されたレンズ装置42とから構成されている。そのレンズ装置42において、先端の4つの隅部に接触センサ50、50、50、50が取り付けられている。各接触センサ50には、センサ本体50Aに対して進退移動可能なピン50Bが突設されている。このピン50Bはバネにより前方に付勢されており、ピン50Bが何にも接触していない状態では、ピン50Bがセンサ本体50Aから前方に最大限に突出した状態にあり、接触センサ50からオフ信号が出力される(例えば、出力信号なしの状態)。一方、ピン50Bが何かに接触してセンサ本体50A内に僅かにでも押し込まれると、内部回路によりその状態が検出され、接触センサ50からオン信号が出力される。これらの接触センサ50によって、レンズ装置42の先端に障害物が近接しているか否かが検出される。
【0027】
尚、接触センサ50は、何らかの物体が近接していることを検出するためのセンサであり、上述の構造のセンサに限らず、近接物の有無を検出することができるセンサであればよい。例えば、接触式又は非接触式の近接スイッチを用いることができ、非接触式であれば、静電容量型の近接スイッチ、超音波スイッチ、磁気スイッチ、赤外線センサ等を用いることができる。センサを配置する位置もレンズ装置42の先端に限らず、後述のようにテレビカメラ18をパン/チルト動作した際に、テレビカメラ18又はリモコン雲台10が何らかの障害物に接触(衝突)するおそれがある位置に配置することが好ましく、その位置はテレビカメラ18やリコモン雲台10の構造等によって異なる。
【0028】
以上の如く構成されたリモコン雲台は、図示しないコントローラにより遠隔操作されるようになっており、そのコントローラは、雲台取付台16のコネクタ16Aに直接又は間接的(通信回線や中継機器等を介して)にケーブルにより接続される。雲台本体12と雲台取付台16とはパン軸20の中空部などを通じて筐体内部で連通しており、コントローラから送信されたパン/チルト動作に関する制御信号(パン/チルト制御信号)やテレビカメラ18(カメラ本体40、レンズ装置42)の制御に関する制御信号は、筐体内部に配設された信号線を通して雲台取付台16のコネクタ16Aから雲台本体12内の所定の回路に伝送されるようになっている。
【0029】
また、雲台本体12とテレビカメラ18のカメラ本体40、及び、雲台本体12とレンズ装置42との間も所定のコネクタに連結されたケーブルで接続されており、雲台本体12に伝送されたカメラ本体40に対する制御信号は、雲台本体12からカメラ本体40に伝送され、雲台本体12に伝送されたレンズ装置42に対する制御信号は、雲台本体12からレンズ装置42に伝送される。そして、各々の装置に内蔵された制御部によって、与えられた制御信号に対応した制御が行われる。尚、カメラ本体40に対する制御信号には、ゲインやホワイトバランス等の映像信号処理に関する制御信号等があり、レンズ装置42に対する制御信号には、ズームやフォーカス等のレンズ制御に関する制御信号等がある。
【0030】
また、レンズ装置42に取り付けられた各接触センサ50と雲台本体12との間もケーブルにより接続され、各接触センサ50の出力信号が雲台本体12内の所定の回路に伝送されるようになっている。
【0031】
図3は、雲台本体12に搭載されたパン/チルト制御に関連する回路構成を示したブロック図である。同図に示すように雲台本体12には雲台CPU60、パン/チルト駆動回路62、パン用モータ64、チルト用モータ66、リレースイッチ68、ランプ70、ランプ駆動回路72等が搭載されている。
【0032】
雲台CPU60は、コントローラ74から送信される各種信号を受信し、そのうちパン/チルト動作に関する制御信号(パン/チルト制御信号)に従ってパン用モータ64及びチルト用モータ66を駆動するための駆動信号をパン/チルト駆動回路62に与える。これによって、コントローラ74でのオペレータの操作に従ってテレビカメラ18がパン/チルト動作する。
【0033】
また、雲台CPU60は、上述のようにレンズ装置42に取り付けられた各接触センサ50の出力信号を逐次取得しており、いずれかの接触センサ50から取得した出力信号がオン信号となっているか否かを判断する。即ち、いずれかの接触センサ50が何らかの障害物に接触したか否かを検出している。
【0034】
全ての接触センサ50からオフ信号が出力されている場合、即ち、全ての接触センサ50が障害物に接触していない場合には、リレースイッチ68に信号を出力せず、リレースイッチ68の接点をオフにする。このとき、パン/チルト駆動回路62は、上述のように雲台CPU60から与えられる駆動信号に従ってパン用モータ64及びチルト用モータ66を駆動する。これによって、コントローラ74でのオペレータの操作に従ってテレビカメラ18がパン/チルト動作する。
【0035】
一方、いずれかの接触センサ50からオン信号が出力された場合、即ち、いずれかの接触センサ50が何らかの障害物に接触した場合、雲台CPU60はリレースイッチ68に信号(電流)を出力し、リレースイッチ68の接点をオンにする。このとき、パン/チルト駆動回路62は、コントローラ74からの駆動信号にかかわらず、パン用モータ64及びチルト用モータ66の駆動を禁止(停止)する。これによって、接触センサ50によって近接物が存在することが検出された場合に、テレビカメラ18のパン/チルト動作が禁止され、障害物との強い衝撃によるレンズ装置42等の損傷が防止される。
【0036】
尚、パン用モータ64及びチルト用モータ66の駆動を禁止した場合であっても雲台本体12におけるパン/チルト制御以外の処理は行われており、コントローラ74から伝送されたカメラ本体40やレンズ装置42への制御信号の伝送等は通常通り行われる。
【0037】
また、雲台CPU60は、全ての接触センサ50からオフ信号が出力されている場合にはランプ駆動回路72を介してランプ70を消灯させ、上述のようにいずれかの接触センサ50からオン信号が出力されてパン用モータ64及びチルト用モータ66の駆動を禁止した場合には、ランプ駆動回路72を介してランプ70を点灯させる。ランプ70は、例えば、図2に示すように雲台本体12の側面のインジケータ部76の上面に設けられており、例えば、赤色に点灯する。この表示によって、オペレータはテレビカメラ18のパン/チルト動作が禁止されていることを容易に認識することができる。尚、パン/チルト動作が禁止されていないときにランプ70が点灯し、パン/チルト動作が禁止されているときにランプ70が消灯するようにしてもよい。また、ランプ70はどの位置に設けても良く、例えば、コントローラ74やコントローラ74とリモコン雲台を接続する中継機器などに設けてもよい。
【0038】
以上のようにパン/チルト動作を禁止する機能が効果的に作用する一例として、図4のようにリモコン雲台10の前方に自立型のプロンプター装置80を配置して撮影を行う場合が挙げられる。同図に示すプロンプター装置80は、昇降機構を備えたキャスタ付きの支持台84によってプロンプター装置本体部82が支持されており、上記リモコン雲台10とは非連結の状態でリモコン雲台10の前方に配置される。プロンプター装置本体部82には、略45度に傾斜したハーフミラー86が前方及び後方が開口された筐体88によって保持されると共に、ハーフミラー86の下方には、ハーフミラー86に投影する原稿を表示する液晶モニタ90が保持されている。
【0039】
このようなプロンプター装置80を撮影に使用する場合、ハーフミラー86はリモコン雲台10に支持されたテレビカメラ18の光軸の高さに合わせてテレビカメラ18の前方に配置される。その際、リモコン雲台10によりテレビカメラ18をパン/チルト動作させると、レンズ装置42の先端部がプロンプター装置本体部82の筐体88等に衝突してプロンプター装置80やレンズ装置42の損傷を招くおそれがある。そこで、このようなプロンプター装置80を使用する場合には、上述のようにレンズ装置42の先端部に取り付けられた接触センサ50のピン50Bがプロンプター装置本体部82の筐体88の背面部分に接触するように(接触センサ50からオン信号が出力された状態となるように)プロンプター装置80とリモコン雲台10とを予め近接させて配置しておく。このようにすることによって、リモコン雲台10ではパン/チルト動作が事前に禁止されるため、テレビカメラ18のパン/チルト動作による装置の損傷が未然に防止される。
【0040】
尚、必ずしも、プロンプター装置本体部82に接触センサ50が接触するようにリモコン雲台10とプロンプター装置80を配置する必要はない。また、図4及び図5のようにプロンプター装置本体部82の筐体88の背面側において、ハーフミラー86を臨む開口92の周辺部、即ち、レンズ装置42の各接触センサ50のピン50Bが当接する位置に緩衝材94を設置して突出させておくとよい。これによって、緩衝材94と接触センサ50以外の部分が接触するのを防止すると共に、接触センサ50がプロンプター装置本体部82に接触した際の衝撃を緩和することができる。
【0041】
次に、リモコン雲台10におけるテレビカメラ18のパン/チルト動作を禁止する機能についての他の実施の形態について説明する。上記実施の形態では、障害物との接触(近接物の存在の有無)を検出する接触センサ50をレンズ装置42の先端に取り付けた場合について説明したが、これに限らない。例えば、リモコン雲台10を使用する場所で、リモコン雲台10(及びテレビカメラ18)が接触するおそれがある物体側に近接物の存在の有無を検出するセンサを設けてもよい。そのセンサの出力信号を雲台本体12を雲台CPU60が取得し、センサからの出力信号により近接物が存在すると検出された場合、即ち、テレビカメラ18が近接したことが検出された場合には、上記実施の形態と同様に、テレビカメラ18のパン/チルト動作を禁止すると共に、インジケータ部76のランプ70を点灯させるようにする。
【0042】
例えば、図6に示すように、図4と同様に自立型のプロンプター装置80をリモコン雲台10の前方に配置して使用する場合にプロンプター装置本体部82の筐体88の背面側に接触センサ100を設置しておく。尚、接触センサ100は、上記接触センサ50と同様に近接物の存在の有無を検出するセンサであればどのようなものでもよい。そして、その接触センサ100の出力信号を雲台本体12内部の雲台CPU60で読み取れるようにしておく。同図では、接触センサ100は雲台取付台16の所定のコネクタにケーブルにより接続され、雲台取付台16を介して雲台本体12の雲台CPU60に伝送されるようになっている。これによれば、テレビカメラ18の先端をプロンプター装置80の接触センサ100に接触させた状態でリモコン雲台10及びプロンプター装置80を配置しておくことによって、テレビカメラ18のパン/チルト動作が禁止され、未然に装置の損傷を防止することができる。
【0043】
尚、必ずしも、プロンプター装置本体部82に接触センサ100が接触するようにリモコン雲台10とプロンプター装置80を配置する必要はない。また、テレビカメラ18のレンズ装置42の先端外周部に緩衝材102を設置して突出させておくとよい。これによって、その緩衝材102と接触センサ100以外の部分が接触するのを防止すると共に、レンズ装置42の先端が接触センサ100に接触した際の衝撃を緩和することができる。
【0044】
また、他の実施の形態として、図4又は図6のような接触センサ50、100を用いる代わりにオペレータの手動操作によって、テレビカメラ18のパン/チルト動作を禁止させるスイッチを設けても良い。例えば図1等に示したリモコン雲台10の雲台本体12のインジケータ部76において、図7に示すようにその上面に上記ランプ70と共にテレビカメラ18のパン/チルト動作を許可又は禁止するオン/オフスイッチ110を設ける。尚、このオン/オフスイッチ110はどの場所に設けてもよく、例えばコントローラ74に設けてもよい。例えば、オン/オフスイッチ110をオフにした場合には、テレビカメラ18のパン/チルト動作が許容され、オン/オフスイッチ110をオンにした場合には、テレビカメラ18のパン/チルト動作が禁止される。
【0045】
図8は、オン/オフスイッチ110によってテレビカメラ18のパン/チルト動作を禁止できるようにした場合における雲台本体12での回路構成を示したブロック図である。尚、同図において、図3に示した構成要素と同一又は類似の構成要素には図3と同一符号を付し説明を省略する。図8においてオン/オフスイッチ110のオン/オフ状態が雲台CPU60によって読み取られるようになっている。雲台CPU60はオン/オフスイッチ110がオフ状態のときには、リレースイッチ68の接点をオフにしてパン/チルト駆動回路62に対してパン/チルト制御信号に基づくパン用モータ64及びチルト用モータ66の駆動を実行させる。また、ランプ駆動回路72を介してランプ70を消灯させる。
【0046】
一方、オン/オフスイッチ110がオン状態のときには、リレースイッチ68の接点をオンにしてパン/チルト駆動回路62に対してパン用モータ64及びチルト用モータ66の駆動を禁止させる。また、ランプ駆動回路72を介してランプ70を点灯させる。これによって、テレビカメラ18のパン/チルト動作によって何らかの障害物にテレビカメラ18等が接触する可能性があるときには手動によりパン/チルト動作を禁止させることができる。
【0047】
尚、図9に示すように雲台CPU60を介さずにオン/オフスイッチ110の状態をパン/チルト駆動回路62に直接入力して、オン/オフスイッチ110の状態に応じてパン/チルト駆動回路62がパン/チルト動作を禁止するか否か、及び、ランプ70を点灯させるか否かを直接判断し、その判断に従ってパン用モータ64、チルト用モータ66、及び、ランプ70を制御するようにしてもよい。
【0048】
また、オン/オフスイッチ110は、図4や図6に示した接触センサ50、100の代わりに設けるのではなく、図4や図6に示した接触センサ50、100(又は、近接物の有無を検出するセンサ)と共に設け、センサ又はオン/オフスイッチ110のいずれかにおいてテレビカメラ18のパン/チルト動作を禁止する状態となった場合に、テレビカメラ18のパン/チルト動作を禁止するようにしてもよい。
【0049】
以上の実施の形態において、図4や図6に示した接触センサ50、100やオン/オフスイッチ110に基づいてパン/チルト動作の許可と禁止を切り替える方法は上記実施の形態の方法に限らない。例えば、図10に示すように、パン/チルト駆動回路62からパン用モータ64とチルト用モータ66に電力を供給する電源ラインに雲台CPU60等からの信号によって接点が切り替えられるリレースイッチ200を設けておく。そして、パン/チルト動作を許可する場合には、リレースイッチ200のパン/チルト駆動回路62に接続された接点(接点1)をオンの状態(接点1、3を接続した状態)にして各モータ64、66への電力供給を可能にする。一方、パン/チルト動作を禁止する場合には、各モータ64、66の電源入力端子間を接続する接点(接点2)をオンの状態(接点2、3を接続した状態)にする。これによって、各モータ64、66の駆動が禁止されると共に、各モータ64、66の電源入力端子間がショートすることによって、各モータ64、66の駆動が素早く停止されると共に、保持トルクが高められる。
【0050】
また、上記実施の形態では、パン動作とチルト動作の両方を同時に許可又は禁止するようにしたが、個別に許可又は禁止するようにしてもよい。即ち、パン動作によって何らかの障害物にテレビカメラ18等が接触する可能性があるが、チルト動作しても障害物に接触しないときはパン動作のみ禁止するというようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、本発明が適用されたリモコン雲台の外観構成を示した正面図である。
【図2】図2は、本発明が適用されたリモコン雲台の外観構成を示した側面図である。
【図3】図3は、雲台本体に搭載されたパン/チルト制御に関連する回路構成を示したブロック図である。
【図4】図4は、自立型のプロンプター装置をリモコン雲台と組み合わせて使用する場合の外観構成を示した側面図である。
【図5】図5は、プロンプター装置本体部の背面側の緩衝材94を示した図である。
【図6】図6は、リモコン雲台におけるテレビカメラのパン/チルト動作を禁止する機能についての他の実施の形態を示したリモコン雲台及びプロンプター装置の側面図である。
【図7】図7は、テレビカメラのパン/チルト動作を禁止するスイッチが設けられた雲台本体のインジケータ部を示した上面図である。
【図8】図8は、オン/オフスイッチによってテレビカメラのパン/チルト動作を禁止できるようにした場合における雲台本体での回路構成を示したブロック図である。
【図9】図9は、オン/オフスイッチによってテレビカメラのパン/チルト動作を禁止できるようにした場合における雲台本体での回路構成の他の形態を示したブロック図である。
【図10】図10は、パン/チルト動作を禁止する回路構成の他の形態を示した図である。
【符号の説明】
【0052】
10…リモコン雲台、12…雲台本体、14…カメラ台、16…雲台取付台、18…テレビカメラ、20…パン軸、22…チルト軸、40…カメラ本体、42…レンズ装置、50、100…接触センサ、60…雲台CPU、62…パン/チルト駆動回路、64…パン用モータ、66…チルト用モータ、68…リレースイッチ、70…ランプ、72…ランプ駆動回路、74…コントローラ、76…インジケータ部、80…プロンプター装置、82…プロンプター装置本体部、84…支持台、86…ハーフミラー、90…液晶モニタ、94…緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを支持すると共に、該カメラをモータによって旋回動作させるリモコン雲台を備えたリモコン雲台システムにおいて、
前記リモコン雲台システムの電源を入れた状態で前記旋回動作を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とするリモコン雲台システム。
【請求項2】
前記禁止手段は、近接物が存在することを検出する検出手段を備え、該検出手段により近接物が存在することが検出された場合に前記旋回動作を禁止することを特徴とする請求項1のリモコン雲台システム。
【請求項3】
前記検出手段は、前記カメラに取り付けられることを特徴とする請求項2のリモコン雲台システム。
【請求項4】
前記検出手段は、前記リモコン雲台又は前記カメラに対して近接物となり得る物体に取る付けられることを特徴とする請求項2のリモコン雲台システム。
【請求項5】
前記近接物は、プロンプター装置であることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4のリモコン雲台システム。
【請求項6】
前記禁止手段は、手動操作による指示を入力する入力手段であって、前記旋回動作を禁止する指示の入力手段を備え、該入力手段により前記旋回動作を禁止する指示が与えられた場合に前記旋回動作を禁止することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1に記載のリモコン雲台システム。
【請求項7】
前記禁止手段により前記旋回動作が禁止されているか否かを示す表示手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1に記載のリモコン雲台システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−19730(P2007−19730A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−197680(P2005−197680)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】