説明

リモートコントロール装置及びその送信器と受信器

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は車両のドアの開閉やガレージ開閉等種々の遠隔装置を行うリモートコントロール装置に関し、特にその暗証コードの登録に特徴を有するリモートコントロール装置及びその送信器と受信器に関するものである。
〔従来の技術〕
従来車両のドアを開閉する際にキーに代えて送信器を用いて開閉するリモートコントロール装置が実用化がされている。このようなリモートコントロール装置では、運転者が車外より送信器を操作すると送信器より所定のコード信号が送出され、車体の受信器により受信される。そしてこのコード信号が所定のコードと一致する場合には車両のドアを開閉するようにしている。そして送信器から送出されるコードは常に同一の信号となっている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかるにこのような従来のコモートコントーロール装置によれば、送信器の製造の際はんだブリッジを形成したり又は所定のパターンを切断することにより、各送信器毎に固有の暗証コードを設定するようにしている。しかしこのように製造時にあらかじめ暗証コードを記録する方法では、コード設定が手間がかかるだけでなく、使用者が送信器を紛失した場合には同一のコード番号を有する送信器を提供する必要があり、管理が複雑になるという欠点があった。
本発明はこのような従来のリモートコントロール装置の問題点に鑑みてなされたものであって、リモートコントロール装置の送受信器に暗証コードを容易に設定できるようにすることを技術的課題とする。
〔課題を解決するための手段〕
本願の請求項1の発明は、コード信号を送出する送信器1と、送信器からのコード信号を判別してその一致時に制御信号を出力する受信器6と、を有するリモートコントロール装置の送信器において、電源2と、電源の投入時に乱数による暗証コードを発生させる暗証コード発生手段3と、暗証コード発生手段により発生した暗証コードを保持する暗証コード保持手段4と、電源の投入後に送信スイッチが押下されたことに応答して、暗証コード保持手段により保持された所定の暗証コードを送信する送信手段5と、を有することを特徴とするものである。
本願の請求項2の発明は、コード信号を送出する送信器1と、送信器からのコード信号を判別してその一致時に制御信号を出力する受信器6と、を有するリモートコントロール装置の受信器において、 送信器から与えられるコード信号を復調する受信手段7と、電源投入時に受信手段が暗証コードを受信したことに応答して当該暗証コードを保持する暗証コード保持手段8と、受信手段がその後に受信した暗証コードと暗証コード保持手段に保持された暗証コードとの一致を判別する一致判別手段9と、を有することを特徴とするものである。
本願の請求項3の発明は、請求項1記載の送信器と、請求項2記載の受信器を有することを特徴とするものである。
〔作用〕
このような特徴を有する本発明によれば、送信器は電源の投入時に暗証コード発生手段により発生した暗証コードをその送信器に固有のコードとして保持しており、送信スイッチの押下毎にその暗証コードを送信手段より送出するようにしている。又受信器も電源投入後に送信器より与えられたコード信号を暗証コードとして保持しており、その後同一の暗証コードが与えられたときに一致を判別し、一致時に制御信号を出力するようにしている。
〔実施例〕
第2図は本発明の一実施例による送信器1の構成を示すブロック図である。本図において送信器1はCPUとメモリ及び入出力インターフェースを有するマイクロコンピュータ11によって構成されており、電源である電池12がこのマイクロコンピュータ11に接続される。マイクロコンピュータ11内のメモリ13には図中にハッチングで示すように、発生した暗証コードを登録する複数の領域が形成されている。又電池12とマイクロコンピュータ11の入力端にはコード信号の送信時に指示を与える送信スイッチ14が接続されている。マイクロコンピュータ11は送信スイッチ14が投入されたときに登録されている暗証コードを送信手段5を構成する送信回路15を介して送信するものである。
次に受信器6の構成について説明する。受信器6は第3図3図に示すように車両のバッテリー21にイグニッションスイッチ22を介して受信回路23及びモータ駆動回路24が接続され、又バッテリー21に直接受信器のマイクロコンピュータ25が接続される。マイクロコンピュータ25は送信器1と同様にCPUとメモリ及び入出力インターフェースから成り立っている。さて受信回路23は送信器1からの赤外線又は電波により変調された暗証コード信号を受信して復調する受信手段7であって、その出力はマイクロコンピュータ25に与えられる。又暗証コードを書換えるときに押下されるコード書換スイッチ26が接続される。マイクコンピュータ25はメモリ内に暗証コードを保持すると共に、与えられた暗証コードが保持している暗証コードと一致する場合には一致信号をモータ駆動回路24に与えるものである。モータ駆動回路24はロック/アンロックモータ27が接続されており、車両のドアがロック又はアンロック状態により車両のドアをロック又はアンロックするものである。
次に本実施例の動作について説明する。第4図は送信器の動作を示すフローチャートである。送信器1は電池が接続されると動作を開始しステップ31に進んで乱数を発生する。そしてステップ32に進んで送信スイッチ14の押下を持ち受ける。最初の動作時には送信スイッチ14は乱数を保持するスイッチとして用いられ、このスイッチを押下するとステップ33に進んで発生した乱数を暗証コードとしてメモリの複数の領域に保持する。ここでマイクロコンピュータ11はステップ31,32において電池12が接続されたときに暗証コードを発生する暗証コード発生手段3の機能を達成しており、ステップ33では発生した暗証コードを保持する暗証コード保持手段4の機能を達成している。さてステップ34に進んで複数の暗証コードが記録されている領域を読出して多数決処理を行う。多数決処理はこれらの暗証コードの多数を判別して全ての領域を同一の暗証キョードとすることにより常に暗証コードを同一に保つようにする。そして多数決で決定された暗証コードとメモリの暗証記憶領域に書込み(ステップ35)、ステップ36に進んで送信スイッチ14が押下されたかどうかをチェックする。このスイッチが押下されていなければステップ34に戻って同様の処理を繰り返し、押下されれば保持されている暗証コードを読出して送信する。こうすれば送信器の製造時に各送信器毎にパターンを剥離したりはんだブリッジ等によって暗証コードを設定する必要がなく、各送信器についてランダムなコードを登録することができる。
さて受信器側では第5図に示すように車両のバッテリー21が接続されれば暗証コードの登録モードに入る。そして動作を開始するとステップ41において暗証コードが受信されたかどうかをチェックする。暗証コードが受信されればステップ42に進んでメモリにその暗証コードを設定する。そしてステップ43において再び暗証コードが受信され又はコード書換スイッチ26が投入されたかどうかをチェックする。暗証コードが受信されればステップ43からステップ45に進んで保持されている暗証コードと一致するかどうかをチェックする。一致しなければステップ43,44に戻って同様の処理を繰り返し、一致する場合にはステップ46に進んでドアがロック中かどうかをチェックする。ドアがロックされている場合にはステップ47に進んでアンロック出力を出し、アンロック状態ではステップ48においてロック出力を夫々モータ駆動回路24に与える。又ステップ44においてコード書換スイッチ26が押下されていればステップ49に進んで暗証コードを受信を待ち受ける。暗証コードが受信されなければステップ43,44に戻って同様の処理を繰り返し、このとき送信器1より暗証コードを送出すればステップ50に進んで暗証コードの設定を書換えてステップ43に戻る。ここでマイクロコンピュータ25はステップ41,42において電源投入時に与えられる暗証コードを保持する暗証コード保持手段8の機能を達成しており、ステップ43,45において受信手段7より得られる受信信号と暗証コードとの一致を判別する一致判別手段9の機能を達成している。
尚本実施例では、送信器のメモリの複数の領域に暗証コードを書込み多数決を取ることによってその暗証コードを保持するようにしているが、確実にバッテリーによってバックアップできる場合にはこのような処理を行うことなく発生した乱数をそのまま暗証コードとして登録するようにしてもよい。
〔発明の効果〕
このように本発明によれば、送信器の製造時に送信器毎に異なったコードを登録する必要がなくなる。従ってコード設定の工程を省略することができ、製造価格を低減することができる。又暗証コードを設定するための部品やCPUポート等を必要とせず、構成を簡略化することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のリモートロントロール装置の機能的構成を示すブロック図、第2図は本発明の一実施例によるリモートコントロール装置の送信器の構成を示すブロック図、第3図は受信器の構成を示すブロック図、第4図は送信器,第5図は受信器の動作を示すフローチャートである。
1……送信器、2……電源、3……暗証コード発生手段、4……暗証コード保持手段、5……送信手段、6……受信器、7……受信手段、8……暗証コード保持手段、9……一致判別手段、11,25……マイクロコンピュータ、14……送信スイッチ、15……送信回路、27……ロック/アンロックモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】コード信号を送出する送信器と、前記送信器からのコード信号を判別してその一致時に制御信号を出力する受信器と、を有するリモートコントロール装置の送信器において、電源と、前記電源の投入時に乱数による暗証コードを発生させる暗証キョード発生手段と、前記暗証コード発生手段により発生した暗証コードを保持する暗証コード保持手段と、前記電源の投入後に送信スイッチが押下されたことに応答して、前記暗証コード保持手段により保持された所定の暗証コードを送信する送信手段と、を有することを特徴とするリモートコントロール装置の送信器。
【請求項2】コード信号を送出する送信器と、前記送信器からのコード信号を判別してその一致時に制御信号を出力する受信器と、を有するリモートコントロール装置の受信器において、前記送信器から与えられるコード信号を復調する受信手段と、電源投入時に前記受信手段が暗証コードを受信したことに応答して当該暗証コードを保持する暗証コード保持手段と、前記受信手段がその後に受信した暗証コードと前記暗証コード保持手段に保持された暗証コードとの一致を判別する一致判別手段と、を有することを特徴とするリモートコントロール装置の受信器。
【請求項3】請求項1記載の送信器と、請求項2記載の受信器を有することを特徴とするリモートコントロール装置。

【第1図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第5図】
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【特許番号】第2814616号
【登録日】平成10年(1998)8月14日
【発行日】平成10年(1998)10月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−274007
【出願日】平成1年(1989)10月20日
【公開番号】特開平3−135299
【公開日】平成3年(1991)6月10日
【審査請求日】平成8年(1996)7月11日
【前置審査】 前置審査
【出願人】(999999999)オムロン株式会社
【参考文献】
【文献】特開 平1−198897(JP,A)
【文献】特開 昭63−56099(JP,A)
【文献】特開 平1−137084(JP,A)
【文献】特開 平1−205792(JP,A)
【文献】特開 昭64−62760(JP,A)
【文献】特開 平1−173498(JP,A)
【文献】実開 昭63−173988(JP,U)
【文献】実開 平1−160788(JP,U)