説明

リン酸回収用小便器

【課題】 尿中に含まれるリン酸の回収において、従来の回収方法では、大量のし尿の保管・運搬にかかる費用が大きいこと、都市部の下水汚泥には有害な重金属等が含まれ利用が容易ではないことなどが課題として存在している。
【解決手段】 尿中のリン酸を小便器においてリン酸に対し選択性の高い強塩基性イオン交換樹脂に吸着させることにより、従来方法より少量かつ濃縮した状態で取り出せる。イオン交換樹脂の再生によりリン酸を少ない手間で回収できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿中に含まれるリン酸を吸着及び回収することを目的とする男性用小便器に関する。
【背景技術】
【0002】
尿中に含まれるリン酸の回収は、タンク等の別容器に貯留したし尿から回収する方法(例えば、特許文献1参照)又は下水処理場の下水汚泥中から回収する方法などがある。
【特許文献1】 特許公開2004−358402
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上に述べた従来の回収方法では、大量のし尿の保管・運搬にかかる費用が大きいこと、都市部の下水汚泥には有害な重金属等が含まれ利用が容易ではないことなどが課題として存在している。
【0004】
本発明は、このような従来の方法が有していた課題を解決しようとするものであり、尿中に含まれるリン酸を効率的に回収することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、人体から排出されるリン酸を最も排出に近い位置で回収するものである。
【0006】
リン酸に対して選択性の高い強塩基性イオン交換樹脂を充填したカラムを小便器の小便受けの下部に設置し、排出された尿中のリン酸を吸着させる。
【0007】
リン酸の吸着が貫流点を迎える一定の時期にカラムを取り出し、イオン交換樹脂を食塩水により再生することによりリン酸を回収する。
【発明の効果】
【0008】
リン鉱石の埋蔵量減少の現状からすると、尿中のリンを有効に活用することが今後非常に重要となる。また、下水処理場に入る前にリンを除去することができ、閉鎖性水域のリン等の無機栄養塩類に起因する富栄養化を防止することも可能である。尿中には屎に含まれているような病原性の微生物は存在せず利用しやすいこともあげられる。
【0009】
本発明は、尿中のリン酸を小便器においてイオン交換樹脂に吸着させることにより、従来方法より少量かつ濃縮した状態で取り出せる。イオン交換樹脂の再生によりリン酸を少ない手間で回収できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を図1〜3に基づいて説明する。
【0011】
図1において、1は小便受けであり、人体から排出された尿は、ここを通じて2の脱着式カラムに流入する。
【0012】
図2において、3は尿中のリン酸を吸着する強塩基性イオン交換樹脂で、2の脱着式カラムに充填されている。4は尿を排除するための孔であり、5の布により覆われることによりイオン交換樹脂の漏出を防止している。
【0013】
便器に尿を排出した後、1の小便受けに洗浄用の水道水等を流さないようにする。理由としては、これらの液体に含まれる陰イオンがイオン交換樹脂の再生を行い、回収したリン酸が漏出してしまうためである。
【0014】
図3において、2の脱着式カラムを便器より取り外し、カラム内部のイオン交換樹脂を6のイオン交換樹脂再生用容器に移し、食塩水を注いでイオン交換樹脂を再生するとともに、7のリン酸回収容器で6の容器から漏出するリン酸含有溶液の回収を行う。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 便器断面図
【図2】 充填カラム断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿中に含まれるリン酸を吸着するために強塩基性イオン交換樹脂を充填した脱着式カラムを小便受けに設置した小便器。
【請求項2】
尿中のリン酸を吸着した前記カラム中の強塩基性イオン交換樹脂を食塩水で再生することによるリン酸の回収方法。

【図2】 イオン交換樹脂再生用容器断面図及びリン酸回収容器断面図
【符号の説明】
【0016】
1 小便受け
2 脱着式カラム
3 イオン交換樹脂
4 尿排除孔
5 布部
6 イオン交換樹脂再生用容器
7 リン酸回収容器
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−34490(P2009−34490A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2008−160976(P2008−160976)
【出願日】平成20年5月23日(2008.5.23)
【出願人】(508184491)
【Fターム(参考)】