説明

リード線コネクタの自動接続装置

【発明の詳細な説明】
〔産業上の利用分野〕
本発明は,リード線コネクタを外部端子と自動的に接続することができるリード線コネクタの自動接続装置に関する。
〔従来技術〕
例えば自動車用の各種電気部品には,相手方の電気部品の端子と接続される,リード線コネクタが設けられている。
即ち,第11図に示すごとく,上記電気部品89には,リード線コネクタ8が設けられている。該リード線コネクタ8は,リード線80とコネクタ82と両者を連結する連結部81とよりなる。また,該コネクタ82内には内部端子83を有する(後述第9A図,第9B図参照)。なお,第11図において,符号85は他のリード線,86はそのターミナルである。
しかして,上記リード線コネクタ8は,上記電気部品89内などの電気的性能検査を行うために,生産ライン内において,検査装置の外部端子と接続しなければならない。
従来,上記の接続は,第12図に示すごとく,検査台90上に電気部品89(被検査体であるため,ワークと称することもある)を載せ,リード線コネクタ8のコネクタ82内にある内部端子83と,検査治具90上の外部端子台91の外部端子911とを,作業者が人手により接続していた。また,他のリード線85のターミナル86も,他方の端子台92に人手により接続していた。
しかして,上記の接続後においては,検査治具90より外部端子台91,リード線コネクタ8,電気部品89,リード線85,端子台92の間に電流を通じて各種の試験を行う。
検査の後は,再び作業者が人手で,リード線コネクタ8と外部端子911,リード線85と端子台92との各接続台92を外す。そして,更に電気部品89を治具90上から取り出す。
また,上記電気検査内容としては,内部端子等の接触確認のための導通チエック,電気部品89等の抵抗測定及び耐圧試験,レアーショート試験などがある。
〔解決しようとする課題〕
しかしながら,上記従来法においては,各電気部品に接続されているリード線コネクタ毎に,上記の如く,人手による接続を行うために,多大の時間を要する。また,リード線コネクタ8も,電気部品89の種類によって2〜5個も取り付いており,上記の接続には多大の人工を要する。また,そのためにコスト高となる。
本発明はかかる従来の問題点に鑑み,リード線コネクタと外部端子とを自動的に接続することができる,リード線コネクタの自動接続装置を提供しようとするものである。
〔課題の解決手段〕
本発明は,リード線コネクタの内部端子と,該内部端子と接続すべき外部端子とを自動的に接続するための自動接続装置であって, 該自動接続装置は,コネクタ受台と,該コネクタ受台上に上記リード線コネクタを上記外部端子に対してセンタリングすると共にリード線軸心を回転中心とした上記内部端子の回転角度が上記外部端子に対して嵌着可能な所定の方向となるよう位置決めするセンタリング装置と,外部端子を配設し上記コネクタ受台に近接,離隔可能な移動手段を設けた外部端子接続装置とよりなり, 上記センタリング装置は上下動可能に設けられリード線コネクタをセンタリングするためのセンタリングプレートと,上記内部端子が上記所定の回転方向にあるか否かを検知する検知手段を備え,リード線コネクタを押さえ板により上記コネクタ受台に弾性的に押圧,保持すると共に上記押さえ板をリード線軸心と垂直方向にスライドさせることによりリード線コネクタを所望の回転方向に回転させて位置決めする押さえ装置とを有しており,上記回転方向検知手段は,上記内部端子の回転方向に伴って変化するリード線コネクタの接続部のコネクタ受台上の高さにより内部端子の回転方向を検知することを特徴とするリード線コネクタの自動接続装置にある。
本発明において,上記コネクタ受台は,コネクタ接続時においてリード線コネクタの先端部即ち,コネクタを載置する台である。
上記センタリング装置は,コネクタ受台上に置いたリード線コネクタのコネクタを外部端子と対抗させ(センタリング)が,かつコネクタと外部端子とが接続できる方向にコネクタの回転方向を位置決めするための装置である(後述する第9A図,第10A図に示すように,コネクタの内部端子には外部端子と嵌合可能な方向性のあるものが多い)。
該センタリング装置は,上下方向に移動して上記センタリングを行うセンタリングプレートを有する。
また,該センタリング装置は,上記コネクタの回転方向を所定の回転方向とし,且つ接続時にコネクタを固定しておくための押さえ部とを有する。そして,上記押さえ部は,実施例に示すように,上記内部端子が上記所定の回転方向にあるか否かを検知する検知手段を備える。即ち,対象とするリード線コネクタには,内部端子の回転方向に伴って高さ(幅)が変化するコネクタの付属部を形成し,リード線コネクタを押さえ板により上記コネクタ受台に弾性的に押圧,保持する。そして,押さえ部は,内部端子が所定の回転方向にない場合には,上記押さえ板を弾性的に押圧しつつ横にスライドさせることによりリード線コネクタを所望の回転方向に回転させてコネクタを位置決めする。
上記センタリングプレートは,実施例に示すごとく,リード線コネクタをセンタリングさせるためのフォーク状(2又状)の先端部を有する。また,該センタリング装置における,前記上下方向,横方向の移動は,油圧式,空気圧式のシリンダ或いはステップモータ等を用いたアクチュエータにより行う。
また,外部端子接続装置は,上記コネクタの内部端子に接続する外部端子を有する。該外部端子は,通常は検査のために,前記検査装置に固定されている。しかし,該外部端子は検査用以外の端子,つまり他の電気部品の端子であっても良い。この場合は,該外部端子は,検査時とは異なり,前記リード線コネクタの内部端子の接続されたまま取り去られる。つまり,外部端子は,外部端子接続装置に固定されていない。
〔作 用〕
本発明の自動接続装置においては,まずコネクタ受台上にリード線コネクタの先端部分を載置し,次いでセンタリング装置のセンタリングプレートを下降させ,該センタリングプレートによってリード線コネクタの外部端子に対するセンタリング,即ちコネクタを外部端子と対向させる。そして,センタリング装置の押さえ装置により,回転方向検知手段を介してコネクタの内部端子と外部端子とが互いに接続できる状態にあるか否かを確認し,内部端子が所定の回転方向にない場合には,リード線コネクタの内部端子が外部端子と嵌着可能なよう押さえ板を操作し,コネクタを所定の位置に回転させる。
その後,外部端子接続装置をコネクタに対して相対移動させて,上記内部端子外部端子とを嵌合させ接続する。そして,接続後前記電気検査などを行う。
検査終了後は,外部端子接続装置とコネクタとの接続を外し,次いでコネクタ受台によりコネクタを取り去る。そして,再び上記と同様に他のコネクタの検査を行なう。
〔効 果〕
上記のごとく,本発明によれば,リード線コネクタと外部端子とを自動的に接続することができるリード線コネクタの自動接続装置を提供することができる。
〔実施例〕
本発明の実施例にかかる,リード線コネクタの自動接続装置につき,第1図〜第10B図を用いて説明する。
本例装置の全体構成は第1図に示すごとく,コネクタ受台3と,該コネクタ受台3にリード線コネクタ8をセンタリングすると共に位置決めするためのセンタリング装置1と,外部端子50を配設した外部端子接続装置5とよりなる。また,上記センタリング装置1は,上下動可能に設けたセンタリングプレート10と,リード線コネクタ8をコネクタ受台3上において所定位置に位置決めする押え装置2とを有する。
しかして,上記センタリング装置1においては,懸架台16上に油圧式のシリンダ15を設け,該シリンダ15の上下には上下方向調整部151を介してレール13を設ける。また,該レール13は,上記懸架台16に対して上下動可能に設けたガイドポール161によっても支持されている。上記レール13の下側には,レールガイド12が摺動可能に取付けられ,該レールガイド12にはセンタリングプレート10が懸垂してある。該センタリングプレート10は,第8図8図に示すごとく,下方にU字状フォーク101を有する。また,センタリングプレート10の上端左方にはテーパ状のカム115が設けられ,該カム115は後述する押え装置2のカムフォロア26に対向している。上記レールガイド12は,左右方向移動可能に,油圧式のシリンダ14に連結する。
なお,上記押え装置2は,第1図に示すごとく,カムフォロア26と,その下方に順次連結したロッド24,レール台23,及び押え板21を有する。第2図は,該押え装置を,側面(第1図の左方)から見た状態を示している。同図より知られるごとく,押え装置2は,前記レール13に懸垂され,前記カムフォロア26を設けたプレート261と懸垂台241との間にはコイルバネ25を介在させる。そして,上記プレート261と,上記レール台23との間には,上記コイルバネ25,懸垂台241を貫通してロッド24を設ける。即ち,レール台23は,ロッド24を介して,コイルバネ25によって弾性的に,前記プレート261に吊り下げられている。
しかして,上記レール台23には,第2図に示すごとく,油圧式のシリンダ20を設け,該シリンダ20のロッド201には,レール台23の下側を移動するようレールガイド210を連結する。該レールガイド210には,ロッド212を介して押え板21を懸垂する。それ故,シリンダ20を作動させてロッド201を進退させることにより,押さえ板21は同図の左右方向に移動する。
また,レールガイド210と押え板21との間には,コイルバネ211を介設する。そして,上記ロッド212の上方には,近接スイッチ22を配設する(第6図,第7図参照)
また,前記コネクタ受台3は,第2図に示すごとく,押え装置2の下方に設けられ,リード線コネクタ8のコネクタ81を受ける凹部31を有する。
次に,外部端子接続装置5は,第1図に示すごとく,可動装置4の油圧式シリンダ41のロッド410に,プレート53を介して水平方向移動可能に接続されている。また,外部端子接続装置5は,該可動装置4に設けたレール47に支承されている。そして,該可動装置4の先端部には,リード線コネクタ8のコネクタ82を挟持するための1対のチャックレバー43,43を有する。該チャックレバー43,43は,第3図,第5図に示すごとく,軸ピン42,42に回動可能に支承され,その先端部にチャック44,44を有する。そして,一方のチャック44は,同図に示すごとく,コネクタ部を係止するための係止爪441を有する。
また,前記外部端子接続装置5は,第1図,第3図,第4図に示つごとく,プレート53の上下に設けたフレーム531,531と,該フレーム531,531の間に4個のガイド51を介して中央部に配設した外部端子50とよりなる。
外部端子50は上下一対の舌部501,502よりなり,検出用リード線505に電気的に接続してある。また,前記フレーム531と,外部端子50を設けた端子台505との間には,それぞれコイルバネ52,52を設け,外部端子50を弾性的に,上下方向に支承する。また,外部端子50と上記端子台505,505との間は,電気絶縁体507,508を介設する。
次に,作用効果につき説明する。
本装置を用いて,リード線コネクタ8の電気的性能検査を行なうに当たっては,まず被検査体であるリード線コネクタ8を第1図〜第3図に示すごとく,コネクタ受台3の凹部31上に置く。そして,センタリング装置1のシリンダ15によってレール13を下げることにより,センタリングプレート10を下降させる。そして,該センタリングプレート10の先端のフォーク101(第8図)により,リード線コネクタ8のリード線80を挟み,次いでシリンダ14によりレールガイド12を第1図の左方に移動する。これにより,フォーク101に挟まれたリード線コネクタ8は,同図の左方に持ち運ばれ接続位置に置かれる。
ついで,リード線コネクタ8と外部端子50との接続操作に入るが,リード線コネクタ8は第9A図〜第10B図に示すごとく,リード線80とコネクタ82との間に接続部81を有し,かつ該コネクタ82内に内部端子83を有する。そして,内部端子83は一文字状の断面形状を有している。それ故,外部端子接続装置5の外部端子50の接続させるためには,この内部端子83の方向を第10A図に示すごとく,横一文字状態とする必要がある。
しかして,リード線コネクタ8は,第9A図,第9B図に示すごとく,内部端子83が縦一文字状態にあるときには,その接続部81の幅(高さ)が長い。一方,第10A図,第10B図に示すごとく内部端子83が横一文字状態のときには接続部81の幅(高さ)が小さい。そこで,この差異を利用して,コネクタ受台3上のコネクタ内部端子83が適正位置(横一文字状)にあるかないかを,第6図及び第7図に示すごとく,内部端子の回転方向検知手段としての近接センサー22を用いて内部端子の回転方向を検査する。
この位置検査は,第1図,第6図,第7図に示すごとく,前記センタリング装置1に設けた押え装置2の下降させることにより行なう。即ち,押え装置2は,一旦,前記センタリングプレート10の下降の際に,レール13によって一緒に下降する。そして,センタリングプレート10が左方向に移動したとき,その上方に設けたカム115が,押え装置2上方のカムフォロア26を押すことにより,押え装置2が更に下がる。そして,その下端の押え板21をリード線コネクタ8の接続部81に当接させることにより,位置検査を行なう。
即ち,リード線コネクタ8が,第6図に示すごとく,その内部端子83を縦一文字状態として置かれているときには,接続部81の幅(高さ)が大きい。そのため,第2図R>図に示すコネクタ受台の凹部31の押え板21との間の間隙が大きく,ロッド212が充分に下降しない。そのため,近接センサー22がオンとならず,「接続不可」の表示がなされる。
そして,この場合には,第2図に示すように,ロッド201を僅かだけ進退させることにより,押さえ板21を若干の距離だけ左右方向に移動させる。その結果,接続部81は,90度だけ回転し,内部端子83は所定の方向を向き,次に述べる接続可の状態となり,次にチャック44,44によりコネクタ部を係止して,外部端子50とコネクタ82を嵌合させる。
一方,第7図に示すごとく,内部端子83が横一文字状態に置かれているときには,接続部81の幅高さが小さいため,第2図に示すロッド212が充分下降し,近接センサー22がオンとなり,コネクタが接続可能状態となる。
そこで,上記近接センサー22のON信号を得て,第5図に示すごとく,チャックレバー43が軸ピン42を中心に回動し,チャック44,44が,コネクタ82を左右により挟持固定する。また,これにより,一方のチャック44の係止爪441により,コネクタ82の後部が係止され,外部端子50との接続時にコネクタ82が後退しないように保持する。
ついで,第1図,第2図に示すごとく,シリング41により,プレート53を介して外部端子接続装置5を右方に進め,外部端子50の下部501,502(第4図)の間に,コネクタ内部端子83を接続する。そして,種々の前記電気的性能検査を行なう。検査終了後は,前記と逆の操作を行い,内部端子83と外部端子5との接続を外す。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第10B図は実施例の自動接続装置を示し,第1図R>図はその全体正面図,第2図は押え装置の左側面図,第3図3図は可動装置の平面図,第4図は外部端子接続装置の平面図,第5図はチャックレバーの平面図,第6図及び第7図はコネクタの位置検査状態を示す側面図,第8図はセンタリングプレートの先端部を示す側面図,第9A図及び第9B図は内部端子が縦一文字状態のときのリード線コネクタの正面図及び側面図,第10A図及び第10B図は内部端子が横一文字状態のときのリード線コネクタの正面図及び側面図,第11図は電気部品の側面図,第12図は従来の検査方法を示す。
1……センタリング装置,
10……センタリングプレート,
2……押え装置,
21……押え板,
3……コネクタ受台,
4……可動装置,
43……チャックレバー,
44……チャック,
5……外部端子接続装置,
50……外部端子,
14,15,20,41……シリンダ,
8……リード線コネクタ,
81……接続部,
82……コネクタ,
83……内部端子,

【特許請求の範囲】
【請求項1】リード線コネクタの内部端子と,該内部端子と接続すべき外部端子とを自動的に接続するための自動接続装置であって,該自動接続装置は,コネクタ受台と,該コネクタ受台上に上記リード線コネクタを上記外部端子に対してセンタリングすると共にリード線軸心を回転中心とした上記内部端子の回転角度が上記外部端子に対して嵌着可能な所定の方向となるよう位置決めするセンタリング装置と,外部端子を配設し上記コネクタ受台に近接,離隔可能な移動手段を設けた外部端子接続装置とよりなり,上記センタリング装置は上下動可能に設けられリード線コネクタをセンタリングするためのセンタリングプレートと,上記内部端子が上記所定の回転方向にあるか否かを検知する検知手段を備え,リード線コネクタを押さえ板により上記コネクタ受台に弾性的に押圧,保持すると共に上記押さえ板をリード線軸心と垂直方向にスライドさせることによりリード線コネクタを所望の回転方向に回転させて位置決めする押さえ装置とを有しており,上記回転方向検知手段は,上記内部端子の回転方向に伴って変化するリード線コネクタの接続部のコネクタ受台上の高さにより内部端子の回転方向を検知することを特徴とするリード線コネクタの自動接続装置。

【第1図】
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【第8図】
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【第9A図】
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【第10A図】
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【第2図】
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【第3図】
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【第4図】
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【第9B図】
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【第5図】
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【第6図】
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【第7図】
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【第10B図】
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【第11図】
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【第12図】
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【特許番号】第2646740号
【登録日】平成9年(1997)5月9日
【発行日】平成9年(1997)8月27日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平1−86155
【出願日】平成1年(1989)4月5日
【公開番号】特開平2−265187
【公開日】平成2年(1990)10月29日
【出願人】(999999999)株式会社デンソー
【参考文献】
【文献】特開 昭55−64384(JP,A)
【文献】特開 昭60−131050(JP,A)
【文献】特開 昭59−135413(JP,A)