説明

ルアー用フロート

【課題】探るタナを上げる方向に変えることができ、手持ちのルアーの使用範囲を広げることのできる新規な物品であるルアー用フロートを提供する。
【解決手段】水の比重よりも軽い材質により形成され、ルアー10に貼着されることを特徴とするルアー用フロート20。このルアー用フロート20を用いれば、手持ちのルアー10のタナを上げる方向に変えることができる。なお、ルアー用フロート20の形状を半球形状として、水の抵抗を少なくするのが好適である。また、ルアー用フロート20の形状を板形状として、ルアー10の直進安定性を向上させることも好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣りのルアーに用いられるルアー用フロートに関するものであり、詳しくは、ルアーの浮力を調節することができるルアー用フロートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
釣りには、様々な手法の釣りがあるが、中には、ルアーを用いたルアーフィッシングがある。そして、ルアーフィッシングでは、狙う魚の種類や、季節、その日の天候等に応じて、プラグやスプーン等の様々なタイプのルアーが用いられている。
【0003】
ところで、ルアーの種類としては、形状や泳ぎ方の違いによる分け方ばかりでなく、水に対する重さの違い(浮力の違い)による分け方があり、浮力の違いによる分け方によれば、浅いタナ(水深)を探る「軽いルアー」と深いタナを探る「重いルアー」とに大別することができる。
【0004】
また、ルアーにオモリを付加すれば探るタナを下げることができ、ルアーにオモリを付加して探るタナを変えることは、一般的になされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
軽いルアーであれば、オモリを付加せずに浅いタナを探ったり、オモリを付加して深いタナを探ったりすることができ、広い範囲で使用することができる。しかしながら、重いルアーでは、オモリを付加することでより深いタナが探れるようになるだけであり、当初の設定よりも浅いタナを探れるようにすることはできない。
【0006】
ここで、手持ちのルアーが少なく、重いルアーだけであったり、根掛りによって軽いルアーを紛失してしまい、残されたルアーが重いルアーだけになってしまった場合等、手持ちのルアーでは浅いタナを探ることができない場合がある。また、ルアーを購入する際に、特に初心者では、自分好みの形や色のルアーを選ぶのが通常であり、購入したルアーが重いルアーであり、浅いタナを探るには適さない場合がある。よって、重いルアーでも浅いタナを探れるようにすること、換言すれば、探るタナを上げる方向に変えられるようにすること、が望まれる。
【0007】
一方、軽いルアーであっても、水面スレスレ等、より浅いタナを探れるようにしたい場合もある。よって、探るタナを上げる方向に変えることができれば、手持ちのルアーの使用範囲が広がることから有益である。
【0008】
本発明は、上記実情を鑑みてなされたものであり、探るタナを上げる方向に変えることができ、手持ちのルアーの使用範囲を広げることのできる新規な物品であるルアー用フロートの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明の採った主要な手段は、
「水の比重よりも軽い材質により形成され、ルアーに貼着されることを特徴とするルアー用フロート」
である。
【0010】
そもそも本発明のルアー用フロートの適用対象となるルアーは、水中を泳がせるルアーであり、水の比重よりも若干重い材質により形成されたものである。このようなルアーに、水の比重よりも軽い材質により形成された本発明のルアー用フロートを貼着すれば、当初のルアーよりも浮力を高めて、探るタナを上げる方向に変えることができる。
【0011】
よって、本発明のルアー用フロートを用いれば、手持ちのルアーにおいて、探るタナを上げる方向に変えることができ、手持ちのルアーの使用範囲を広げることができる。
【0012】
ところで、一つのルアーによって、水面から水底まで小刻みにタナを探ろうとする場合、従前の如く軽いルアーにオモリを段階的に付加して、探るタナを徐々に深くしていこうとすると、不慣れな場合には、いきなり大きなオモリを付加してルアーを水底に着底させてしまい、根掛りしてルアーを紛失してしまうといった不具合が生じる虞がある。よって、この点で、タナを下げる方向に変更することは望ましくない。
【0013】
これに対して、本発明のルアー用フロートを用いて探るタナを上げる方向に徐々に変更することとすれば、無用に大きな浮力が得られるルアー用フロートを誤って用いたとしても、ルアーは意に反して浮くだけであり、ルアーが根掛りして紛失してしまうことはない。よって、この点で、本発明のルアー用フロートを用いてタナを上げるといった手法は、オモリを付加してタナを下げる手法に比して有利である。
【0014】
上述した手段において、
「半球形状であることを特徴とするルアー用フロート」
とするのが好適である。
【0015】
半球形状とすれば、ルアー用フロート自体が水の抵抗を受け難くなる。よって、ルアー用フロートを貼着しても、ルアー本来の動きに影響を与え難くすることができる。
【0016】
また、半球形状の底面をルアーに貼着する貼着面とすることで、ルアー用フロート全体に対して広い貼着面を確保することができ、ルアー用フロートをルアーに堅固に貼着することができる。
【0017】
また、上述した手段において、
「板形状であることを特徴とするルアー用フロート」
とするのも好適である。
【0018】
ルアーが、プラグ等の魚に模した形態のルアーである場合に、板形状のルアー用フロートをルアーの上部に貼着することで、魚の背びれのように見せることができ、ルアー用フロートをルアーに、外観上、違和感なく用いることができる。
【0019】
また、ルアーの軸線に沿って板形状のルアー用フロートを貼着することで、ルアーの直進安定性を向上させることができる。
【0020】
一方、ルアーの軸線に対して僅かに傾斜させて板形状のルアー用フロートを貼着することで、ルアーを旋回させることもできる。旋回するルアーを用いると、藻場や礫場等の根掛りし易いポイントの向こう側にルアーを投入しても、根掛りし易いポイントを迂回するようにルアーを泳がせることができる。
【0021】
また、ルアーの軸線に対して大きく傾斜させたり、垂直な状態で板形状のルアー用フロートを貼着して、ルアー用フロートが大きな水の抵抗を受けるようにしてもよい。このようにすれば、ルアー本来の動きを大きく変えることができ、一つのルアーでもって様々な動き方をするルアーを実現することができる。
【発明の効果】
【0022】
上述した通り、本発明によれば、探るタナを上げる方向に変えることができ、手持ちのルアーの使用範囲を広げることのできる新規な物品であるルアー用フロートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るルアー用フロートの一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係るルアー用フロートの別例を示す説明図である。
【図3】板形状のルアー用フロートの好適な例を示す図であり、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は平面図である。
【図4】複数種類のルアー用フロートを取り扱う状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るルアー用フロートの実施形態としての一例を、以下、図面に従って詳細に説明する。
【0025】
図1に、本発明に係るルアー用フロート20の一例、及び、このルアー用フロート20の使用態様を示す。
【0026】
ルアー用フロート20は、発泡スチロール樹脂等、水の比重よりも軽い材質によって形成されたものであり、ルアー10に貼着することでルアー10の浮力を高めることができるものである。
【0027】
ここで、本例では、ルアー用フロート20の全体形状を半球形状としてあり、水の抵抗を受け難く、ルアー10に貼着しても、ルアー用フロート20が受ける水の抵抗によってルアー10本来の動きが大きく変わるといったような不具合が生じ難くしてある。また、全体形状を半球形状とし、底面をルアー10に貼着する貼着面21とすることで、広い貼着面21を確保することができる。よって、ルアー用フロート20をルアー10に堅固に貼着することができる。
【0028】
なお、ルアー10への貼着については、接着剤や粘着剤を用いてもよく、両面テープを用いてもよい。ここで、ルアー用フロート20の貼着面21に接着剤や粘着剤を予め塗布した上で、この貼着面21を剥離シートで被覆しておくと、剥離シートを剥がすだけで使用することができることから好適である。
【0029】
ルアー用フロート20をルアー10に貼着する場合、ルアー10の重心Gのほぼ真上に貼着すると(矢印A参照)、水中におけるルアー10の姿勢が大きく変わらず、ルアー10に本来通りの動きをさせることができる。ここで、浮力が不足する場合には、ルアー用フロート20を追加して貼着したり(矢印B参照)、図示は省略するが、大きなルアー用フロート20に付け替えればよい。
【0030】
また、本例では、ルアー10として、プラグ、特に、ミノーやクランクベイド等、魚を模したルアー本体11に針12を付けたものを採用している。このようなルアー10は、先端部分にリップ11aが設けられており、リーリング(リトリーブ)すると潜るように動作する。よって、このようなルアー10では、ルアー用フロート20の取付け位置を工夫することで、ルアー10に本来とは異なる動き方をさせることができる。
【0031】
例えば、ルアー用フロート20をルアー10の先端部分に付ければ(矢印C参照)、水中におけるルアー10の姿勢が本来の姿勢よりも上向きになる。よって、ルアー10の潜りを浅くすることができる。一方、ルアー用フロート20をルアー10の後端部分に付ければ(矢印D参照)、水中におけるルアー10の姿勢が本来の姿勢よりも下向きになる。よって、ルアー10の潜りを深くすることができる。
【0032】
次に、図2に、本発明に係るルアー用フロート20の別の例、及び、このルアー用フロート20の使用態様を示す。
【0033】
このルアー用フロート20は、全体形状を板形状としたものである。なお、発泡スチロール樹脂等、水の比重よりも軽い材質によって形成されており、ルアー10に貼着することでルアー10の浮力を高めることができるものであることは、前述の例と同様である。
【0034】
図2(a)に示すように、板形状のルアー用フロート20をルアー10の上部に貼着すると、ミノー等の魚を模したルアー10において、ルアー用フロート20を魚の背びれに見せることができ、外観上、違和感がないようにすることができる。
【0035】
また、ルアー用フロート20をルアー10の軸線Jに沿って取り付けることで、ルアー10の直進安定性を向上させることができる。
【0036】
一方、図2(b)に示すように、ルアー用フロート20をルアー10の軸線Jに対して傾斜させれば、リーリングによりルアー10を旋回させることができる。旋回するルアー10を用いることで、藻場等の根掛りし易いポイントを迂回するようにルアー10をリーリングすることができる。
【0037】
ここで、ルアー用フロート20を板形状とする場合には、図3に示すように、底面にて広い貼着面21を確保した上で、先端、後端及び上端を尖らせて全体を流線型にすると、ルアー10に堅固に貼着することができ、また、水の抵抗を受け難くすることができることから好適である。
【0038】
ところで、本発明に係るルアー用フロート20を販売する際等の取り扱いに際しては、個々のルアー用フロート20を個別に単体で取り扱ってもよいが、ルアー用フロート20自体が小さく軽いものであるため、紛失したり、他の釣用具の隙間等に紛れ込み易い。よって、例えば図4に示すように、多数のルアー用フロート20を1枚の剥離シート30に貼り付けて取り扱うこととするのがよい。
【0039】
図4に示す例では、半球形状のルアー用フロート20(a)、及び、板形状のルアー用フロート20(b)といったように、複数のタイプのルアー用フロート20(a,b)を1枚の剥離シート30に貼り付けてある。また、夫々のタイプのルアー用フロート20でも、小型のルアー用フロート20(S)、中型のルアー用フロート20(M)、及び、大型のルアー用フロート20(L)といったように、複数の大きさのルアー用フロート20(S,M,L)を設定してあり、これら複数のタイプ及び複数の大きさのルアー用フロート20を1枚の剥離シート30に貼り付けてある。
【0040】
ルアー用フロート20をこのように取り扱うことで、使用者は、その時々に応じて所望のルアー用フロート20を選択し、剥離シート30から剥がして手軽に使用することができる。
【0041】
以上、本発明に係るルアー用フロートの例を説明したが、本発明に係るルアー用フロートは上述の例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜の変更が可能である。
【0042】
例えば、形状としては、半球形状や板形状に限らず、種々の形状を採用することができる。また、色としては、白色や黄色、或いは蛍光色といったように明るい色を採用することで、キャスティングしたルアーを目視により確認し易くすることができる。一方、黒色、灰色、茶色や緑色等の暗い色を採用することで、ルアーに付けたルアー用フロートを目立ち難くすることができる。
【0043】
また、本発明に係るルアー用フロートは、ミノーやクランクベイド等のプラグに限らず、スプーン、エギ、ワーム等、様々なルアーに用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
10 ルアー
11 ルアー本体
11a リップ
12 針
20 ルアー用フロート
21 貼着面
30 剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の比重よりも軽い材質により形成され、ルアーに貼着されることを特徴とするルアー用フロート。
【請求項2】
半球形状であることを特徴とする請求項1に記載のルアー用フロート。
【請求項3】
板形状であることを特徴とする請求項1に記載のルアー用フロート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−187010(P2012−187010A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−51041(P2011−51041)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(311000030)
【Fターム(参考)】