説明

ルアー

【課題】従来の環状の釣糸係止部を備えたルアーにおけるルアーアクションの制限を解消し、ほぼ一点でのテーブルターンや、障害物への接触を必要としない、任意の位置、タイミングでのヒラ打ちアクションを容易に可能とするルアーを提供する。
【解決手段】ルアーボディ長手方向の左右中心線上に湾曲頂点を有する湾曲部を有し、ルアーボディ長手方向の両側面に設けられた一対の固定部と、釣糸の遊動可能範囲を制限する一対の遊動制限部とを備えた線材によって形成される釣糸係止部に、釣糸が遊動可能に係止される。これにより、釣糸を継続的に真直ぐ引張る際にはルアーは直進を行うが、釣糸を瞬間的に引張って緩める竿の操作を連続して加えた際には、張力を加える力点の位置が左右側面を交互に入れ替わるため、ルアーはその場での右回転、左回転を反復して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は魚釣りに使用するルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、肉食性の魚を釣る道具としてルアーが用いられており、使用する水深や
目的とするルアーアクションに応じて多種多様な工夫を施されたルアーが製造・販売
されている。
【0003】
一般的なルアーの多くは、ルアーボディ長手方向の左右中心線上を通るようにして
頭部の先端付近に設けられた、環状の釣糸係止部を備えており、そこに結んだ釣糸に
よって引っ張られる方向へと、直進するものである。
【0004】
そして、これにボディ形状の変化や、水の抵抗を受けるリップ・ウィング・カップ・
ペラといった付属物の装着などの工夫を加えることによって、多様なルアーアクショ
ンを可能とする。
【0005】
一般的なルアーは上述した環状の釣糸係止部を備えているが、一部には、ルアーボ
ディに対して縦方向に釣糸が遊動可能な釣糸係止部(特許文献1参照)と、横方向に
釣糸が遊動可能な釣糸係止部(非特許文献1参照)を備えているものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3067641号
【非特許文献】
【0007】

【非特許文献1】「トップ堂No.24」,株式会社エイ出版社,2006年3月1日発行,p.94
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたルアーで
は、釣糸を引張ることによってルアーに加えられる張力が一点にしか働かないため、
理想的なルアーアクションを求めるうえで制限が生じるという問題があった。
【0009】
例えば、水面に浮かぶタイプのペンシルベイト型ルアーは、釣糸を継続的に真直ぐ
引張ると、釣糸に引張られた方向へ直進する。そして、釣糸を瞬間的に引張った後す
ぐに緩めるトゥイッチという釣竿の操作を連続して行うことによって、左右へ交互に
頭部を振りながら前進する、いわゆる首振りアクションを行う。
【0010】
この首振りアクションを具体的に説明すると、釣糸に引張られる方向へ直進しよう
としたペンシルベイト型ルアーは、瞬間的に釣糸を緩められることによって直進性を
失い、慣性の働きによって左右どちらかへ曲がりながら水面上をスライドする。次に、
そうして左右どちらかへ頭部を向けて静止したペンシルベイト型ルアーに、再び釣糸
を瞬間的に引張った後すぐに緩めるトゥイッチを加えることによって、ペンシルベイ
ト型ルアーは釣糸に引張られる方向へ直進しようと頭部を正面へ向き直そうとするが、
釣糸を緩められるために、また直進性を失い、慣性の働きによって、静止していたと
きの頭部の向きとは反対方向へ曲がりながらスライドする。これを繰り返すことによ
って、左右へ交互に頭部を振りながら前進する首振りアクションとなる。
【0011】
この首振りアクションにおいて、左右へのスライドと前方への移動距離とを抑え、
ペンシルベイト型ルアーをほぼ一点に留まったまま首振りさせるアクションを特にテ
ーブルターンと呼ぶ。
【0012】
しかし、上述したようなペンシルベイト型ルアーをほぼ一点に留める理想的なテー
ブルターンを実現させるには、従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたルアーでは、
釣糸で引張られる方向へ直進するという性質上、ほぼ一点に留めることは困難であり、
繊細な竿さばきと釣り人の高い技量が必要であった。
【0013】
また、例えば、ルアーのボディ形状、またはリップによって形成された水流抵抗面
に水の抵抗を受け、釣糸を継続的に真直ぐ引張ると、常に一定の規則的な振動アクシ
ョンを伴って直進するルアーとして、バイブレーション型ルアー、クランクベイト型
ルアーがある。
【0014】
これらバイブレーション型ルアー、クランクベイト型ルアーは、釣糸を引いた瞬間
からルアーが振動アクションを始めるという、泳ぎ出しの速さが求められるため、も
っとも効率良く水流の抵抗を受けるように水流抵抗面を釣糸係止部付近に配置してい
る。
【0015】
しかし、それによって、従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたルアーでは、釣
糸によって張力を加えられると同時に常に水流抵抗面による大きな抵抗が発生するた
め、一定の規則的な振動アクション中に、釣糸を瞬間的に引張った後すぐに緩めるト
ゥイッチによってルアーの遊泳姿勢を崩させることは困難となる。
【0016】
そのため、バイブレーション型ルアー、クランクベイト型ルアーにおけるルアーア
クションの一つとして、一定の規則的な振動アクション中に遊泳姿勢を崩し、ルアー
ボディを横方向に翻させることで魚にアピールする、いわゆるヒラ打ちアクションが
あるが、従来のバイブレーション型ルアー、クランクベイト型ルアーにおいては、上
記の理由により、このヒラ打ちアクションを加えるには、水中にある岩や水草といっ
た障害物に接触させて遊泳姿勢を崩すという方法が一般的となっており、釣糸を瞬間
的に引張った後すぐに緩めるトゥイッチによって、障害物に接触させることなく、任
意の位置、タイミングでのヒラ打ちアクションを行わせることは困難とされていた。
【0017】
また、一部のルアーには、一般的な環状の釣糸係止部とは別に、図19に示す釣糸
が縦方向に遊動可能な釣糸係止部を備えたルアーと、図20、図21に示す釣糸が横
方向に遊動可能な釣糸係止部を備えたルアーとが採用されている。
【0018】
しかしながら、図19に示す釣糸が縦方向に遊動可能な釣糸係止部102を備えた
ルアーは、上述したペンシルベイト型ルアーのテーブルターンや、バイブレーション
型ルアー、クランクベイト型ルアーのヒラ打ちアクションといった、ルアーの横方向
の動きにおける問題点の解消には、効果を持たない。
【0019】
また、図20に示す釣糸が横方向に遊動可能な釣糸係止部202を備えたルアーは、
ルアーボディ長手方向の左右中心線上に釣糸が継続して留まらず、左右のどちらか一
方に遊動することで、釣人の竿の操作で制御できない予測不能のイレギュラーアクシ
ョンを実現するものであり、上述したような問題点の解消においては、効果を持たな
い。
【0020】
また、図20、図21に示す釣糸が横方向に遊動可能な釣糸係止部202を備えた
ルアーは、釣糸の張力が加えられる力点の位置が点D、点Eの二点の位置となるため、
例えば図26、図29、図32に示すような、ルアーボディ長手方向の左右中心線M
上に従来の一般的な環状の釣糸係止部302を備えたペンシルベイト型ルアー、バイ
ブレーション型ルアー、クランクベイト型ルアーのそれぞれに、図22、図23、図
24のように、従来の環状の釣糸係止部302と変更して、この横方向左右二点の力
点間を釣糸が遊動可能な釣糸係止部202を備えさせる場合、ルアーボディ長手方向
の左右中心線M上に釣糸が継続して留まらず、左右のどちらか一方に遊動してしまう
ために、ルアーボディ長手方向の左右中心線M上に従来の環状の釣糸係止部302を
備えたペンシルベイト型ルアー、バイブレーション型ルアー、クランクベイト型ルア
ーにおける直進時のルアーアクションが損なわれてしまう。
【0021】
本発明は,上記のような問題に鑑みてなされたものであり、釣糸による張力が加えら
れる力点の位置をルアー頭部付近の一点に限定することなく、ルアーボディ長手方向
の左右中心線上にある一点と、左右側面に設けた二点との三点とし、三点間を釣糸が
遊動可能とすることで、ルアーアクションの制限を解消し、従来の力点が一点しかな
い環状の釣糸係止部を備えたルアーにおける直進時のルアーアクションは損なうこと
なく、ほぼ一点に留まってのテーブルターンと、障害物への接触を必要としない、任
意の位置、タイミングでのヒラ打ちアクションとを容易に可能とする、釣糸係止部を
備えたルアーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記した目的を有効に達成するために、本発明によるルアーは、
ルアーボディと、
ルアーボディに設けられている釣鉤係止部と釣鉤と、
を備えたルアーにおいて、
釣糸を遊動可能に係止する釣糸係止部を備え、該釣糸係止部は、ルアーボディ長手方
向の左右中心線上に湾曲頂点を有する湾曲部と、ルアーボディ長手方向の両側面に設
けられた一対の固定部とを備えた線材によって形成されていることを特徴としたルア
ーである。
【0023】
また、本発明によるルアーにおける、前記釣糸係止部は、前記ルアーボディの長手
方向の両側面の一部、及び頭部と対向することを特徴としたルアーである。
【0024】
また、本発明によるルアーにおける、前記釣糸係止部は、前記ルアーボディの長手
方向の両側面の一部、及び背部と対向することを特徴としたルアーである。
【0025】
また、本発明によるルアーにおける、前記釣糸係止部のルアーボディの長手方向の
左右中心線上に位置する湾曲頂点は、湾曲部が形成する仮想平面と交差する凸部を有
することを特徴としたルアーである。
【発明の効果】
【0026】
本発明のルアーによれば、釣糸を継続的に真直ぐ引張る場合は、釣糸による張力が
働く力点の位置が、前記釣糸係止部の湾曲部における、ルアーボディ長手方向の左右
中心線上に位置する湾曲頂点となるため、ルアーには直進する力が生じる。
【0027】
また、竿で釣糸を瞬間的に引張った後すぐに緩める操作である、トゥイッチを行う
ことによって、
ルアーボディが右へ頭部を向けた場合は、前記釣糸係止部における左側面の力点の位
置に、
ルアーボディが左へ頭部を向けた場合は、前記釣糸係止部における右側面の力点の位
置に、
釣糸による張力が加えられることで、ボディ中央付近を軸として釣糸に引張られた方
向へルアーボディが回転する。
【0028】
こうして、釣糸を継続的に真直ぐ引張る場合は、張力の加わる力点の位置が前記釣
糸係止部の湾曲部における、ルアーボディ長手方向の左右中心線上に位置する湾曲頂
点となり、ルアーが直進性を得ることができるため、ルアーのボディ形状や付属物の
装着による水流の抵抗をルアーボディ正面から受けることで、従来の力点が一点しか
ない環状の釣糸係止部を備えたルアーにおける直進時のルアーアクションは損なうこ
となく、また、トゥイッチを加える場合は、張力の加わる力点が前記湾曲部の頂点か
ら、左側面の力点の位置、右側面の力点の位置に交互に移動するため、ルアーのボデ
ィ形状や付属物の装着による水流の抵抗をルアーボディ正面から受けることなく、受
け流すことによって、その場でのボディの回転運動を可能とし、ほぼ一点に留まって
のテーブルターンと、障害物への接触を必要としない、任意の位置、タイミングでの
ヒラ打ちアクションとを容易に可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明ルアーのペンシルベイト型ルアーの斜視図
【図2】本発明ルアーのペンシルベイト型ルアーの頭部拡大図
【図3】本発明ルアーのペンシルベイト型ルアーの直進する状態の平面図
【図4】本発明ルアーのペンシルベイト型ルアーのルアーボディ左方向へ回転 する状態の平面図
【図5】本発明ルアーのペンシルベイト型ルアーのルアーボディ右方向へ回転 する状態の平面図
【図6】本発明ルアーのバイブレーション型ルアーの斜視図
【図7】本発明ルアーのバイブレーション型ルアーの頭部拡大図
【図8】本発明ルアーのバイブレーション型ルアーの振動を伴って直進する状態の平 面図
【図9】本発明ルアーのバイブレーション型ルアーのルアーボディ左方向へ回転する 状態の平面図
【図10】本発明ルアーのバイブレーション型ルアーのルアーボディ右方向へ回転す る状態の平面図
【図11】本発明ルアーのクランクベイト型ルアーの斜視図
【図12】本発明ルアーのクランクベイト型ルアーの頭部拡大図
【図13】本発明ルアーのクランクベイト型ルアーの頭部拡大側面図
【図14】本発明ルアーのクランクベイト型ルアーの振動を伴って直進する状態の平 面図
【図15】本発明ルアーのクランクベイト型ルアーのルアーボディ左方向へ回転する 状態の平面図
【図16】本発明ルアーのクランクベイト型ルアーのルアーボディ右方向へ回転する 状態の平面図
【図17】本発明ルアーのペラを備えた連結部材を採用した実施形態の側面図
【図18】本発明ルアーの釣糸係止部における一対の固定部を埋設した実施形態の斜 視図
【図19】釣糸が縦方向に遊動可能な釣糸係止部を備えたルアーの側面図
【図20】横方向左右二点の力点間を釣糸が遊動可能な釣糸係止部を備えたルアーの 一例の斜視図
【図21】横方向左右二点の力点間を釣糸が遊動可能な釣糸係止部を備えたルアーの 一例の斜視図
【図22】横方向左右二点の力点間を釣糸が遊動可能な釣糸係止部を備えたペンシル ベイト型ルアーの頭部拡大図
【図23】横方向左右二点の力点間を釣糸が遊動可能な釣糸係止部を備えたバイブレ ーション型ルアーの頭部拡大図
【図24】横方向左右二点の力点間を釣糸が遊動可能な釣糸係止部を備えたクランク ベイト型ルアーの頭部拡大図
【図25】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたペンシルベイト型ルアーの斜視 図
【図26】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたペンシルベイト型ルアーの頭部 拡大図
【図27】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたペンシルベイト型ルアーの直進 する状態の平面図
【図28】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたバイブレーション型ルアーの斜 視図
【図29】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたバイブレーション型ルアーの頭 部拡大図
【図30】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたバイブレーション型ルアーの振 動を伴って直進する状態の平面図
【図31】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたクランクベイト型ルアーの斜視 図
【図32】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたクランクベイト型ルアーの頭部 拡大図
【図33】従来の一般的な環状の釣糸係止部を備えたクランクベイト型ルアーの振動 を伴って直進する状態の平面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明のルアーの好ましい実施形態を説明する。なお、本
明細書において、ルアーボディ長手方向における前部を頭部、後部を尾部、上部を背
部、下部を腹部、左右を左右側面部として定められるものとする。
【0031】
図1、図2は、ペンシルベイト型における本発明ルアーの実施形態であり、ルアー
ボディ1と、ルアーボディ1に設けられている釣鉤係止部4と釣鉤3とを備えたルア
ーにおいて、釣糸を遊動可能に係止する釣糸係止部2を備え、該釣糸係止部2は、ル
アーボディ1長手方向の左右中心線M上に湾曲頂点2bを有する湾曲部2aと、ルア
ーボディ1長手方向の両側面に設けられた一対の固定部5とを備えた線材12によっ
て形成される。
【0032】
また、釣糸係止部2は、前記ルアーボディ1の長手方向の両側面の一部、及び頭部
と対向する。
【0033】
また、釣糸係止部2は、釣糸の遊動可能範囲を制限する一対の遊動制限部6を備え
ており、その位置は限定されるものではなく、ルアーボディ1長手方向の左右中心線
Mを境にした左右側面における、頭部寄り、尾部寄りなど、任意の位置に設定される
ものである。
【0034】
また、遊動制限部6の長手方向前方は、図3で示すように釣糸係止部2とルアーボ
ディ1との間に、釣糸(図3では釣糸8と釣糸係止部2との連結部材であるスナップ
7)を係止した際に、円滑に遊動可能な程度の隙間をつくる。
【0035】
また、線材12の材料は、例えばステンレス鋼や超弾性ニッケルチタン合金、アル
ミニウム合金、マグネシウム合金、チタン合金、真鍮といった金属、またはプラスチ
ックを用いることが好ましいが、限定はしない。
【0036】
また、線材12の断面は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形のいずれかであ
る。
【0037】
上述したペンシルベイト型における本発明ルアーの実施形態は、図3に示すように、
ルアー本体が頭部を正面へ向けている場合、釣糸によって張力を加えられる力点は、
ルアーボディ1長手方向の左右中心線M上、湾曲部2aの湾曲頂点2bにある点Aの
位置となり、ルアーには、矢印で示す釣糸によって引張られる方向へ直進する力が生
じる。
【0038】
また、図4で示すように、ルアー本体が頭部をボディ右方向へ向けている場合は、
釣糸によって張力を加えられる力点は、ルアーボディ1左側面にある点Cの位置とな
り、ルアーには、ルアーボディ1中央付近にある軸を中心として、矢印で示す釣糸に
よって引張られる方向へ回転する力が生じる。
【0039】
また、図5で示すように、ルアー本体が頭部をボディ左方向へ向けている場合は、
釣糸によって張力を加えられる力点は、ルアーボディ1右側面にある点Bの位置とな
り、ルアーには、ルアーボディ1中央付近にある軸を中心として、矢印で示す釣糸に
よって引張られる方向へ回転する力が生じる。
【0040】
このように、釣糸が釣糸係止部2上を遊動可能となっていることで、釣糸による張
力が加えられる力点の位置が一点に限定されず、ルアーボディ1長手方向の左右中心
線M上、湾曲部2aの湾曲頂点2bに位置する点Aと、ルアーボディ1左側面に位置
する点C、ルアーボディ1右側面に位置する点Bとの三点の位置となるため、
ペンシルベイト型ルアーにおける本発明ルアーの実施形態は、図27に示すような従
来の力点が一点しかない環状の釣糸係止部302を備えたルアーにおける直進時のル
アーアクションを損なうことなく、釣糸を瞬間的に引張って緩めるトゥイッチによっ
て、左右へのスライドと前方への移動距離とを抑え、ほぼ一点に留まったままで首振
りアクションを行う、理想的なテーブルターンを容易に実現できる。
【0041】
(その他の実施形態)
また、上述した実施形態は、ペンシルベイト型における本発明ルアーの実施形態の
例であるため、ルアーのボディ形状、またはリップによって形成された水流抵抗面に
水の抵抗を受け、釣糸を継続的に真直ぐ引張ると常に一定の規則的な振動アクション
を伴って直進するルアーである、バイブレーション型ルアー、クランクベイト型ルア
ーにおける実施形態も例に挙げる。
【0042】
例えば、図6、図7はバイブレーション型における本発明ルアーの実施形態であり、
釣糸係止部2は、ルアーボディ1の長手方向の両側面の一部、及び背部と対向する。
【0043】
図28、図29に示す一般的な環状の釣糸係止部302を備えたバイブレーション
型ルアーには、釣糸で引張る際に、ルアーボディ101の形状によって背部に形成さ
れた水流抵抗面に水の抵抗を受けることによって、図30に示すように、ボディを左
右に小刻みに振る一定の規則的な振動アクションを伴いながら、矢印で示す釣糸によ
って引張られた方向へ直進する力が生じる。
【0044】
そこで、図6、図7にある、バイブレーション型における本発明ルアーの実施形態
には、図8に示すように、ルアー本体がルアーボディ1の形状によって背部に形成さ
れた水流抵抗面を正面へ向けている場合、釣糸によって張力が加えられる力点はルア
ーボディ1長手方向の左右中心線M上、湾曲部2aの湾曲頂点2bにある点Aの位置
となり、ルアーボディ1背部の水流抵抗面に水の抵抗を受けて、従来の一般的な環状
の釣糸係止部302を備えたバイブレーション型ルアーと同様に、ボディを左右に小
刻みに振る一定の規則的な振動アクションを伴いながら、矢印で示す釣糸によって引
張られる方向へ直進する力が生じる。
【0045】
また、図9に示すように、ルアー本体がルアーボディ1背部の水流抵抗面をルアー
ボディ右方向へ向けている場合は、釣糸によって張力を加えられる力点はルアーボディ
1左側面にある点Cの位置となり、ルアーボディ1背部の水流抵抗面による水の抵抗
を受けないため、ルアーにはルアーボディ1中央付近にある軸を中心として、矢印で
示す釣糸に引張られる方向へ回転する力が生じる。
【0046】
また、図10に示すように、ルアー本体がルアーボディ1背部の水流抵抗面をルア
ーボディ左方向へ向けている場合は、釣糸によって張力を加えられる力点はルアーボ
ディ1右側面にある点Bの位置となり、ルアーボディ1背部の水流抵抗面による水の
抵抗を受けないため、ルアーにはルアーボディ1中央付近にある軸を中心として、矢
印で示す釣糸に引張られる方向へ回転する力が生じる。
【0047】
このように、釣糸が釣糸係止部2上を遊動可能となっていることで、釣糸による張
力が加えられる力点の位置が一点に限定されず、ルアーボディ1長手方向の左右中心
線M上、湾曲部2aの湾曲頂点2bに位置する点Aと、ルアーボディ1左側面に位置
する点C、ルアーボディ1右側面に位置する点Bとの三点の位置となるため、バイブ
レーション型における本発明ルアーは、図30に示すような従来の力点が一点しかな
い環状の釣糸係止部302を備えたバイブレーション型ルアーにおける、ボディを左
右に小刻みに振る一定の規則的な振動アクションを伴った直進時のルアーアクション
を損なうことなく、釣糸を瞬間的に引張って緩めるトゥイッチによって、障害物への
接触を必要とせずに、任意の位置、タイミングでのヒラ打ちアクションを容易に実現
できる。
【0048】
また、例えば、図11、図12はクランクベイト型における本発明ルアーの実施形
態であり、釣糸係止部2のルアーボディ1長手方向の左右中心線M上に位置する湾曲
部2aの湾曲頂点2bは、図13に示すように、湾曲部2aが形成する仮想平面Lと
交差する凸部2cを有する。
【0049】
図31、図32に示す一般的な環状の釣糸係止部302を備えたクランクベイト
型ルアーには、釣糸で引張る際に、リップ109によって形成された水流抵抗面に水
の抵抗を受けることによって、図33に示すように、ルアーボディを左右に小刻みに
振る一定の規則的な振動アクションを伴いながら、矢印で示す釣糸によって引張られ
る方向へ直進する力が生じる。
【0050】
そこで、図11、図12にある、クランクベイト型における本発明ルアーの実施形
態には、図14に示すように、ルアー本体がリップ9によって形成された水流抵抗面
を正面へ向けている場合、釣糸によって張力を加えられる力点はルアーボディ1長手
方向の左右中心線M上、湾曲部2aが形成する仮想平面13と交差する凸部2cを有
する湾曲頂点2bにある点Aの位置となり、リップ9によって形成された水流抵抗面
に水の抵抗を受けて、一般的な環状の釣糸係止部302を備えたクランクベイト型ル
アーと同様に、ルアーボディを左右に小刻みに振る一定の規則的な振動アクションを
伴いながら、矢印で示す釣糸によって引張られた方向へ直進する力が生じる。
【0051】
また、図15に示すように、ルアー本体がリップ9によって形成された水流抵抗面
をボディ右方向へ向けている場合は、釣糸によって張力を加えられる力点はボディ左
側面にある点Cの位置となり、リップ9によって形成された水流抵抗面による水の抵
抗を受けないため、ルアーにはボディ中央付近にある軸を中心として、矢印で示す釣
糸に引張られる方向へ回転する力が生じる。
【0052】
また、図16に示すように、ルアー本体がリップ9によって形成された水流抵抗面
をボディ左方向へ向けている場合は、釣糸によって張力を加えられる力点はボディ右
側面にある点Bの位置となり、リップ9によって形成された水流抵抗面による水の抵
抗を受けないため、ルアーにはボディ中央付近にある軸を中心として、矢印で示す釣
糸に引張られる方向へ回転する力が生じる。
【0053】
このように、釣糸が釣糸係止部2上を遊動可能となっていることで、釣糸による張
力が加えられる力点の位置が一点に限定されず、ルアーボディ1長手方向の左右中心
線M上、湾曲部2aが形成する仮想平面13と交差する凸部2cを有する湾曲頂点2
bに位置する点Aと、ルアーボディ1左側面に位置する点C、ルアーボディ1右側面
に位置する点Bとの三点の位置となるため、クランクベイト型における本発明ルアー
は、図33に示すような従来の力点が一点しかない環状の釣糸係止部302を備えた
クランクベイト型ルアーにおける、ボディを左右に小刻みに振る一定の規則的な振動
アクションを伴った直進時のルアーアクションを損なうことなく、釣糸を瞬間的に引
張って緩めるトゥイッチによって、障害物への接触を必要とせずに、任意の位置、タ
イミングでのヒラ打ちアクションを容易に実現できる。
【0054】
以上、本発明ルアーを様々の実施形態と共に説明したが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。例えば図17に示すように、本発明ルアーの釣糸係止部2と釣糸
との連結部材10は、ペラ11といった付属物を備えた構成を採用することもできる。
【0055】
また、本発明ルアーの釣糸係止部2は、上述した様々の実施形態において、線材1
2を固定部5によってルアーボディ1表面に固定し、釣糸の遊動可能範囲を制限する
一対の遊動制限部6を備えているが、例えば図18に代表されるように、固定部5に
おいて線材12の一部をルアーボディ1内部に埋設して固定し、遊動制限部6を備え
ない形態としても良い。
【0056】
また、本発明ルアーにおけるルアーボディの型は、上述したトップウォーター型、
バイブレーション型、クランクベイト型に限られるものではない。
【0057】
また、本発明ルアーにおけるルアーボディは木、合成樹脂、金属、軟質ゴム、軟質
樹脂などの適宜の素材により形成される。
【符号の説明】
【0058】
1 ルアーボディ
2 本発明ルアーの釣糸係止部
2a 湾曲部
2b 湾曲頂点
2c 湾曲頂点2bが有する凸部
3 釣鉤
4 釣鉤係止部
5 固定部
6 遊動制限部
7 スナップ
8 釣糸
9 リップ
10 連結部材
11 ペラ
12 線材
M 左右中心線
L 湾曲部2aが形成する仮想平面
102 釣糸が縦方向に遊動可能な釣糸係止部
202 横方向左右二点の力点間を釣糸が遊動可能な釣糸係止部
302 従来の一般的な環状の釣糸係止部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルアーボディと、
ルアーボディに設けられている釣鉤係止部と釣鉤と、
を備えたルアーにおいて、
釣糸を遊動可能に係止する釣糸係止部を備え、該釣糸係止部は、ルアーボディ長手
方向の左右中心線上に湾曲頂点を有する湾曲部と、ルアーボディ長手方向の両側面
に設けられた一対の固定部とを備えた線材によって形成されていることを特徴とし
たルアー。
【請求項2】
前記釣糸係止部は、前記ルアーボディの長手方向の両側面の一部、
及び頭部と対向する請求項1記載のルアー。
【請求項3】
前記釣糸係止部は、前記ルアーボディの長手方向の両側面の一部、
及び背部と対向する請求項1記載のルアー。
【請求項4】
前記釣糸係止部のルアーボディの長手方向の左右中心線上に位置する湾曲頂点は、
湾曲部が形成する仮想平面と交差する凸部を有する請求項1記載のルアー。
【請求項5】
前記釣糸係止部を形成する線材の断面は、円形、楕円形、三角形、正方形、長方
形であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のルアー。
【請求項6】
前記釣糸係止部は、釣糸の遊動可能範囲を制限する一対の遊動制限部を備えてい
ることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のルアー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−205586(P2012−205586A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35381(P2012−35381)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(711002867)
【Fターム(参考)】