説明

ルーバー用ブラケット

【課題】取り扱いやすく、羽板を簡単にかつ正確に取り付けることができ、しかも、汎用性が高く、安価に製造することができるという、非常に利用価値の高いブラケットを提供する。
【解決手段】本発明に係るブラケット1は、平板状のベース2と、ベース2から垂直方向へ立設させた四つの腕部3(3a〜3d)とによって構成され、腕部3はいずれも、第1プレート4(4a〜4d)及び第2プレート5(5a〜5d)とが接合された形状となっており、第1プレート4と第2プレート5の角部6a〜6dが、ベース2の表面に描かれる仮想長方形の四つの角と一致するような位置関係をもって腕部3が配置されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の窓等の外側にルーバーを構成する羽板を取り付ける際に好適に用いることができるほか、様々な用途に用いることができる汎用性の高いブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
建物内へ差し込む直射日光の量や通風量を加減しようとする際、窓、天窓、その他の開口部の外側に、複数枚の羽板を横方向又は縦方向へ並べて固定することによって、ルーバーを施工するということが行われている。
【0003】
ルーバーを構成する羽板を取り付ける際には、窓枠等に対して羽板を直接当てて、単に釘を打ち付けて固定するという初歩的な方法のほか、L字金具や、ルーバー専用のブラケットを用いて羽板をビス止めしていくという方法、或いは、複数の羽板が枠材に対して組まれた既成のルーバーを窓枠に固定するという方法など、様々な方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−295167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、既成のルーバーは自由度が全くなく、施工対象の各種条件、施工主の希望等に応じて諸元を変更することができないという問題があり、一方、L字金具を用いて羽板を一枚ずつ取り付けようとすると、非常に手間がかかるほか、位置ずれが生じやすく、十分に注意したにも拘わらず、羽板の間隔が均一でなくなってしまったり、一部が傾いでしまったりすることが多く、仕上がりの美観を損ねてしまうという問題がある。
【0006】
また、従来のルーバー用のブラケットは、取り扱いが難しいものが多く、きれいに仕上げるためには、施工者において相応の技術が要求されるという問題があるほか、汎用性が低いため、安価に製造できない、といった問題がある。
【0007】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決すべくなされたものであって、取り扱いやすく、羽板を簡単にかつ正確に取り付けることができ、しかも、汎用性が高く、安価に製造することができるという、非常に利用価値の高いブラケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るブラケットは、平板状のベースと、このベースから垂直方向へ立設させた四つの腕部とによって構成され、腕部はいずれも、第1プレート及び第2プレートとが接合された形状となっており、第1プレートと第2プレートの角部が、ベースの表面に描かれる仮想長方形の四つの角と一致するような位置関係をもって配置されていることを特徴としている。
【0009】
尚、第1プレートは相互に平行となるような向きに固定され、第2プレートは相互に平行となるような向きに、かつ、第1プレートと直交する向きに固定されていることが好ましく、また、第1プレート、及び、第2プレートの各先端部付近には、貫通孔、及び/又は、係止用突条がそれぞれ形成されていることが好ましい。
【0010】
更に、第1プレート、及び、第2プレートの各基端部付近には、段部がそれぞれ形成されていることが好ましい。また、ベースは、裏面が凹状に湾曲し、中央部分が外縁部分よりも窪んだ形状となっていることが好ましい。
【0011】
ベースには、縦長或いは横長のビス穴が複数形成され、その中には、外縁まで達する切欠が形成され、部分的に開放された形のビス穴が含まれていることが好ましい。また、ビス穴は、第1プレートの間に羽板を装着した場合において、当該羽板とは重ならないベース上の位置に形成され、かつ、第2プレートの間に羽板を装着した場合において、当該羽板とは重ならないベース上の位置にも形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るブラケットは、施工対象に対して羽板を簡単に、正確に、かつ、強固に取り付けることができるという効果を期待できる。より具体的には、従来の方法、例えば、L字金具を用いて羽板を取り付けようとする場合には、窓枠にL字金具を取り付けた後、その上に載せた羽板が安定しないことがあり、作業者は、最終的な固定作業を行うまでの間、位置ずれや脱落が生じないように、片手で押さえておくか、他の作業者に押さえてもらう必要があったが、本発明のブラケットを用いる場合、羽板を仮付けした際、第1プレート或いは第2プレートによって上下方向(或いは左右方向)から挟み込まれる形となるため、安定的に保持され、位置ずれ、脱落などを心配する必要がなく、作業者は、羽板から手を離して、次の工程の準備を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係るブラケットは、厚さが異なる2種類の羽板に対応することができ、汎用性が高いという利点がある。
【0014】
第1プレート、及び、第2プレートの各基端部付近に、段部を形成した場合には、羽板をそのまま装着する場合であっても、また、金属補強材を装着した羽板を装着する場合であっても、腕部の間において、ガタつき等を生じさせることなく好適に挟持させることができる。
【0015】
また、ベースの裏面が凹状に湾曲し、中央部分が外縁部分よりも窪んだ形状となるように構成した場合、ベースの中央部付近のビス穴にビスをねじ込んで強く締め付けると、湾曲状態のベースが変形し、腕部が内側方向へ僅かに傾斜することになり、締め付け力が大きくなって、仮付けした羽板を安定的に保持させることができ、位置ずれ、脱落などの問題を回避することができる。
【0016】
ベースに形成するビス穴を縦長或いは横長とした場合、設置対象面にブラケットをビスによって仮止めした後に、縦方向及び横方向へ取付位置の微調整を行うことができる。
【0017】
また、ビス穴の一つとして、外縁まで達する切欠を有し、部分的に開放された形のものを形成した場合には、予め施工対象面の所定の位置に半分ほどの深さだけねじ込んでおいたビスにブラケットを引っ掛けて、とりあえず羽板の重量を預けておいて、他のビス穴にビスをねじ込んで仮留めし、最後に取り付け位置を微調整してからそれらのビスをしっかりと締め付けて固定する、という取付方法を実施することができる。
【0018】
また、第1プレートの間に羽板を装着した場合において、当該羽板とは重ならないベース上の位置にビス穴を形成し、かつ、第2プレートの間に羽板を装着した場合において、当該羽板とは重ならないベース上の位置にもビス穴を形成した場合には、先にブラケットを羽板に対して取り付けて一体化し、その後、羽板に取り付けられた状態のブラケットを窓枠等に対してビス止めすることにより、羽板を施工対象面に取り付けるという施工方法にも用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明に係るブラケット1の側面図である。
【図2】図2は、図1のブラケット1の構成部分のうち、ベース2を省略し、腕部3a〜3dのみを表示した図である。
【図3】図3は、図1のブラケット1の正面図である。
【図4】図4は、図1のブラケット1の底面図である。
【図5】図5は、図1のブラケット1に羽板25又は羽板50を取り付けた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るブラケットは、平板状のベースと、このベースから垂直方向へ立設させた四つの腕部とによって構成され、腕部はいずれも、第1プレート及び第2プレートとが接合された形状となっており、第1プレートと第2プレートの角部が、ベースの表面に描かれる仮想長方形の四つの角と一致するような位置関係をもって配置されていることを特徴とするものであり、羽板を窓枠等に取り付ける際において好適に用いることができるほか、他の部材の取り付けにも用いることができるものである。以下、本発明に係るブラケットの詳細な構造及び使用方法等を、本発明の実施例1として詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明に係るブラケット1の斜視図である。このブラケット1は、透明なポリカーボネート樹脂の原料を型内へ充填すること(射出成形)により、全体が一体的に成形されてなるものであり、図1に示すように、基本的には、平板状のベース2と、このベース2から垂直方向へ立設させた四つの腕部3(3a〜3d)とによって構成されている。各腕部3は、断面(長手方向と直交する方向の断面)の基本形状が「L字型」を呈するように、板状材を長手方向の中心線に沿って90°折り曲げたような形状となっている。
【0022】
図2は、図1のブラケット1の構成部分のうち、ベース2を省略し、腕部3a〜3dのみを表示した図である。図示されているように、四つの腕部3a〜3dは、いずれも同一の大きさ、形状となっている。また、四つの腕部3a〜3dは、それぞれ突出方向(図1に示すベース2に対する垂直方向)へ細長く延在する矩形状の第1プレート4(4a〜4d)、及び、第2プレート5(5a〜5d)とが、断面形状が「L字型」となるように直角に接合された形状となっている。
【0023】
これらの腕部3a〜3dは、隣接する角部6a〜6d(各腕部3における第1プレート4と第2プレート5の接合峰線)同士を仮想線で結んだとき、それらの仮想線をベース2の表面に投影した際に描かれる線図形が長方形(図3の破線Kによる長方形参照)となるような位置関係をもって、ベース2(図1参照)に対して配置されている。換言すれば、腕部3a〜3dは、各角部6a〜6dが、ベース2の表面に描かれる仮想長方形の四つの角と一致するような位置関係をもって配置されている、ということになる。また、各角部6a〜6dはいずれも四つの腕部3a〜3dで囲まれる領域の内側を指向し、反対側の谷部7a〜7dはいずれも外側を指向するような向きとなっている。
【0024】
更に、各腕部3a〜3dの第1プレート4a〜4dは、相互に平行となるような向き(図1、図2において水平となるよう)に、また、第2プレート5a〜5dは、それぞれ相互に平行となるような向き(図1、図2において鉛直となる向き)であって、第1プレート4a〜4dと直交する向きに固定されている。
【0025】
また、第1プレート4a〜4d、及び、第2プレート5a〜5dの各先端部付近(長手方向の中間位置よりも先端部側の位置)には、貫通孔8(8ax〜8dx,8ay〜8dy)がそれぞれ一つずつ形成されるとともに、係止用突条9がそれぞれ形成されている。一方、第1プレート4a〜4d、及び、第2プレート5a〜5dの各基端部付近(長手方向の中間位置よりも基端部側の位置)には、第1段部10a〜10dと、第2段部11a〜11dとがそれぞれ形成されている。
【0026】
ベース2は、図1に示すように、表面側に多数の補強用リブ12が形成されている。また、図示しない裏面側にも、表面側と同様に多数の補強用リブが形成されている。尚、ベース2の裏面は、僅かに凹状に湾曲しており、中央部分が、外縁部分(腕部3の基端近傍部分)よりも窪んだ形状となっている。更に、ベース2には、図3(図1に示したブラケット1の正面図)に示すように、表面から裏面まで貫通するビス穴13a〜13jが形成されている。
【0027】
ビス穴13a〜13jのうち、円形のビス穴13b,13d,13g,13iは、羽板に対して、ブラケット1を予め固定する(ルーバーの設置対象面に取り付ける前に、ブラケット1と羽板とを一体化させる)ためのものである。これらの円形のビス穴13b,13d,13g,13iはいずれも、中央部付近の領域(図3の破線Kによる長方形の内側の領域)に配置されている。
【0028】
上記以外のビス穴13a,13c,13e,13f,13h,13jは、円形ではなく、図3に示すように、縦長或いは横長(長径が短径の約2倍の大きさ)となっており、設置対象面にブラケット1をビスによって仮止めした後に、縦方向及び横方向へ取付位置の微調整を行えるようになっている。尚、ビス穴13h,13jには、ベース2の外縁まで達する切欠14,14が形成されており、部分的に開放された形となっている。また、切欠14が形成されているビス穴13jの反対側(ベース2の中央部を挟んで反対側)のビス穴13aの外側近傍には、ベース2の左右方向(図3における左右方向)の中間位置に、位置合わせのための「V字形」の切込15が形成されている。同様に、切欠14が形成されているビス穴13hの反対側のビス穴13cの外側近傍には、ベース2の上下方向(図3における上下方向)の中間位置に、位置合わせ用の「V字形」の切込15が形成されている。
【0029】
図4は、図1に示したブラケット1の底面図である。本実施例においては、ベース2のリブ表面12aから、円形のビス穴13i(及び、図3に示したビス穴13b,13d,13g)の座面16までの寸法は6.5mmに設定されている。ベース2のリブ表面12aから、第2段部11(11b)の肩部までの寸法も6.5mmに設定されている。また、座面16及び第2段部11(11b)の肩部から、腕部3(3b)の先端までの寸法(図4に示す寸法H1)は44mmに設定されている。
【0030】
腕部3(3b)の第2プレート5(5b)の主要部分における厚さ寸法(図4に示す寸法T1)は2.25mm、第1段部10(10b)における厚さ寸法は2.75mm、第2段部11(11b)における厚さ寸法は4.25mmに設定されている。第1プレート4の主要部分及び第2段部11における厚さ寸法は、第2プレート5の主要部分及び第2段部11における厚さ寸法とそれぞれ同じであるが、第1プレート4の第1段部10における厚さ寸法は、第2プレート5の第1段部10における厚さ寸法よりも僅かに厚く、3mmに設定されている。
【0031】
このブラケット1は、四つの腕部3の間隔寸法が、縦方向と横方向(図3参照)とで異なっているという点に、一つの特徴がある。具体的には、図3における縦方向についての間隔寸法、つまり、腕部3aの第1プレート4aと、腕部3bとの第1プレート4bとの間の寸法(図3に示す寸法W1)、及び、腕部3cの第1プレート4cと、腕部3dの第1プレート4dとの間の寸法(図3に示す寸法W3)は、いずれも27mmに設定されている。但し、第1段部10(図2、図4参照)の位置では、第1プレート4の厚みが増している分だけ僅かに狭くなっている(25.5mm)。
【0032】
一方、図3における横方向についての間隔寸法、つまり、腕部3aの第2プレート5aと、腕部3dの第2プレート5dとの間の寸法(図3に示す寸法W4)、及び、腕部3bの第2プレート5bと、腕部3cの第2プレート5cとの間の寸法(図3に示す寸法W2)は、いずれも52mmに設定されている。但し、第1段部10の位置では、第2プレート5の厚みが増している分だけ僅かに狭くなっている(51mm)。
【0033】
本実施例のブラケット1は、上記のような構成に係るものであるところ、施工対象に対して羽板を簡単に、正確に、かつ、強固に取り付けることができるという効果を期待できるほか、厚さが異なる2種類の羽板に対応することができ、汎用性が高いという効果をも期待することができる。以下、このブラケット1を用いて施工対象へ羽板を取り付ける方法について説明する。
【0034】
このブラケット1は、ベース2の裏面2b(図4参照)を施工対象面に当接し、ビス止めするとともに、四つの腕部3の対向する第1プレート4の間、或いは、第2プレート5の間に、羽板を挟み込ませ、ビス止め或いはボルト止めしてブラケット1に羽板を固定し、一体化させることによって、羽板を施工対象面に対し、簡単に正確に取り付けることができる、というものである。
【0035】
上述の通り、このブラケット1においては、羽板を挟み込ませる腕部3の間隔寸法が、縦方向と横方向とで異なっている(図3のW1,W3とW2,W4)。従って、それらの間隔寸法に応じて、厚さ寸法が異なる2種類の羽板(厚さ25mmの羽板(羽板25)、及び、厚さ50mmの羽板(羽板50)を適用対象とすることができる。
【0036】
例えば、垂直な窓枠に対し、厚さ25mmの羽板を横向きにして取り付けようとする場合、図3に示す向き(第1プレート4a〜4dが水平となる向き)でブラケット1を窓枠にビス止めし、図5(1)に示すように、第1プレート4aと第1プレート4bとの間、及び、第1プレート4cと第1プレート4dとの間に、羽板25を差し込んで、第1プレート4a〜4dによって挟持させる(仮付け)。そして、図2に示す貫通孔8ax〜8dxから、羽板25の内部へ向かってビスをねじ込み(或いは、ボルトを挿通させ、ナットを締め付けて)、ブラケット1に対して羽板25を固定する。
【0037】
また、厚さ50mmの羽板50を横向きに取り付ける場合には、図3に示す状態から90°回転させた向きでブラケット1を窓枠にビス止めし、図5(2)に示すように、第2プレート5aと第2プレート5bとの間、及び、第2プレート5cと第2プレート5dとの間に、羽板50を差し込んで、第2プレート5a〜5dによって挟持させる(仮付け)。そして、図2に示す貫通孔8ay〜8dyから、羽板50の内部へ向かってビスをねじ込み、ブラケット1に対して羽板50を固定する。
【0038】
従来の方法、例えば、L字金具を用いて羽板を取り付けようとする場合には、窓枠にL字金具を取り付けた後、その上に載せた羽板が安定しないことがあり、作業者は、最終的な固定作業を行うまでの間、位置ずれや脱落が生じないように、片手で押さえておくか、他の作業者に押さえてもらう必要があったが、本実施例のブラケット1を用いる場合、仮付けした羽板25(50)は、第1プレート4a〜4d(第2プレート5a〜5d)によって上下方向から挟み込まれる形となるため、安定的に保持され、位置ずれ、脱落などを心配する必要はない。従って作業者は、羽板25,50から手を離して、次の工程の準備を行うことができる。
【0039】
尚、ブラケット1を窓枠等にビス止めする際、羽板25(50)を装着した際に重なる位置に形成されているビス穴13c,13e,13f,13h(13a,13e,13f,13j)からビスをねじ込んだ場合、施工後においてビス頭を隠すことができるので、美観性を向上させることができる。
【0040】
また、羽板25(50)として、特開2006−192741号公報、或いは、特開2006−305981号公報に記載されているような、表面に多数の凹凸条が設けられた板材を用いる場合、第1プレート4a〜4d(第2プレート5a〜5d)の間に差し込んで仮付けする際、係止用突条9(図2参照)が、板材の凹凸条と好適に関わり合い、より安定的に保持させることができる。
【0041】
羽板25を縦向きにして取り付ける場合には、ブラケット1を図3に示す状態から90°回転させた向きで窓枠にビス止めし、上述した手順と同様の手順を実施する。また、羽板50を縦向きにして取り付ける場合には、ブラケット1を図3に示す向きで窓枠にビス止めし、同様の手順を実施する。
【0042】
尚、上述したように、ベース2の裏面2bは、僅かに凹状に湾曲しており、中央部分が、腕部3近傍の部分よりも窪んだ形状となっている。従って、ブラケット1を窓枠等にビス止めする際に、ベース2の中央部付近のビス穴13e又はビス穴13fにビスをねじ込んで強く締め付けると、湾曲状態のベース2が、平坦な窓枠に押し付けられて、裏面2bが平らな状態となるまで変形することになる。このとき、ベース2から垂直方向へ突出する腕部3a〜3dは、ベース2の変形に伴って、先端側が内側方向へ僅かに傾斜することになり、隣接する腕部3同士の間隔は、先端側において若干狭くなる。
【0043】
このため、ベース2を変形させなかった場合と比べ、差し込まれた羽板25(50)を締め付ける腕部3の力が大きくなり、羽板25と第1プレート4a〜4dの間(羽板50と第2プレート5a〜5dとの間)に作用する摩擦力が増大することになる。その結果、羽板25(50)を縦向きにして取り付ける場合であっても、羽板25(50)の仮付けの際、それらを安定的に保持させることができ、位置ずれ、脱落などの問題を回避することができる。
【0044】
また、このブラケット1は、先に羽板25(50)に対して取り付けて一体化し、その後、羽板25(50)に取り付けられた状態のブラケット1を窓枠等に対してビス止めすることにより、羽板25(50)を施工対象面に取り付けるという施工方法にも用いることができる。具体的には、まず、図5に示すように、羽板25(50)に対してブラケット1を取り付ける。次に、ベース2の裏面2b側から、円形のビス穴13b,13d,13g,13i内、及び、羽板25(50)内へビスをねじ込んで、ブラケット1と羽板25(50)を一体化する。
【0045】
そして、施工対象面にブラケット1の裏面2bを押し当てて、ブラケット1のビス穴13のうち、装着した羽板25(50)とは重なっていないビス穴13a,13j(13c,13h)にビスをねじ込んでブラケット1及び羽板25(50)を施工対象面に固定する。このように、先にブラケット1と羽板25(50)を一体化してから、施工対象面に取り付けることができるのは、ブラケット1に羽板25(50)を装着した場合に、羽板25(50)とは重ならない位置にビス穴13が形成されているためである。
【0046】
尚、それらのビス穴13のうち、ビス穴13j(13h)は、ベース2の外縁まで達する切欠14を有しており、部分的に開放された形となっているため、まず、施工対象面の所定の位置に、ビスを半分ほどの深さだけねじ込み、施工対象面から半分突出させた当該ビスを、切欠14からビス穴13j(13h)内へ進入させて、ブラケット1を当該ビスに引っ掛けて、とりあえず羽板25(50)の重量を当該ビスに預けておいて、もう一方のビス穴13a(13c)にビスをねじ込んで仮留めし、最後に取り付け位置を微調整してからそれらのビスをしっかりと締め付けて固定する、という取付方法を実施することもできる。
【0047】
また、本実施例のブラケット1においては、上述したように、第1プレート4、及び、第2プレート5の各基端部付近には、第1段部10と、第2段部11とがそれぞれ形成されている(図2、図4参照)。この第1段部10と第2段部11の役割について説明すると、第1段部10が形成されているところでは、第1プレート4(第2プレート5)の離間寸法は、25.5mm(51mm)に設定されており、それよりも先端側(ベース2とは反対側)の部分では、27mm(52mm)に設定されているため、厚さ寸法が25mm(50mm)の羽板25(50)を差し込んだ場合、羽板25(50)の最奥部は第2段部11の肩部分に当接するまで進入し、第1段部10間に保持されることになる。この場合、第1段部10と、保持される羽板25(50)の最奥部との間に形成される「遊び」は、ほんの僅かな大きさとなり、羽板25(50)はガタつくことなく好適に保持されることになる。
【0048】
ところで、ルーバーを構成する羽板25(50)が比較的長い寸法に設定される場合には、剛性が不足し、適宜補強を行う必要が生じることがある。補強手段の一つとして、厚さ1mm程度の金属板を、断面が「コの字型」となるように折り曲げて形成したものがあり、これを羽板25(50)の一辺側に装着すれば、簡単に剛性を増大させ、補強することができる。
【0049】
厚さ25mm(50mm)の羽板25(50)の一辺側に厚さ1mmの「コの字型」金属補強材を装着した場合、その部分では、厚さが27mm(52mm)となる。本実施例のブラケット1においては、上述の通り、第1段部10よりも先端側の部分では第1プレート4(第2プレート5)の離間寸法は27mm(52mm)となっているので、ブラケット1に差し込んだ場合、羽板25(50)の一辺側に装着された金属補強材は、第1段部10の肩部分に当接するまで進入し、第1プレート4(第1段部10よりも先端側の部分)(第2プレート(第1段部10よりも先端側の部分))間において保持されることになる。この場合も、第1プレート4(第2プレート5)と、保持される羽板25(50)乃至は金属補強材との間に形成される「遊び」は、ほんの僅かな大きさとなり、羽板25(50)はガタつくことなく好適に保持されることになる。
【0050】
このように、本実施例のブラケット1は、腕部3の基端側に第1段部10及び第2段部11が形成されているため、羽板25(50)をそのまま使用する場合であっても、また、厚さ1mm程度の「コの字型」金属補強材を装着した羽板25(50)を用いる場合であっても、腕部3の間において、ガタつき等を生じさせることなく好適に挟持させることができる。
【符号の説明】
【0051】
1:ブラケット、
2:ベース、
2b:裏面、
3,3a〜3d:腕部、
4,4a〜4d:第1プレート、
5,5a〜5d:第2プレート、
6a〜6d:角部、
7a〜7d:谷部、
8,8ax〜8dx,8ay〜8dy:貫通孔、
9:係止用突条、
10,10a〜10d:第1段部、
11,11a〜11d:第2段部、
12:リブ、
12a:リブ表面、
13,13a〜13j:ビス穴、
14:切欠、
15:切込、
16:座面、
25,50:羽板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状のベースと、このベースから垂直方向へ立設させた四つの腕部とによって構成され、
前記腕部はいずれも、第1プレート及び第2プレートとが接合された形状となっており、前記第1プレートと第2プレートの角部が、前記ベースの表面に描かれる仮想長方形の四つの角と一致するような位置関係をもって配置されていることを特徴とするブラケット。
【請求項2】
前記第1プレートは相互に平行となるような向きに固定され、前記第2プレートは相互に平行となるような向きに、かつ、前記第1プレートと直交する向きに固定されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラケット。
【請求項3】
前記第1プレート、及び、第2プレートの各先端部付近に、貫通孔がそれぞれ形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラケット。
【請求項4】
前記第1プレート、及び、第2プレートの各先端部付近には、係止用突条がそれぞれ形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラケット。
【請求項5】
前記第1プレート、及び、第2プレートの各基端部付近には、段部がそれぞれ形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラケット。
【請求項6】
前記ベースは、裏面が凹状に湾曲し、中央部分が外縁部分よりも窪んだ形状となっていることを特徴とする、請求項1に記載のブラケット。
【請求項7】
前記ベースには、縦長或いは横長のビス穴が複数形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラケット。
【請求項8】
外縁まで達する切欠が形成され、部分的に開放された形のビス穴が含まれていることを特徴とする、請求項7に記載のブラケット。
【請求項9】
前記第1プレートの間に羽板を装着した場合において、当該羽板とは重ならないベース上の位置にビス穴が形成され、かつ、前記第2プレートの間に羽板を装着した場合において、当該羽板とは重ならないベース上の位置にもビス穴が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のブラケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−255263(P2010−255263A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105774(P2009−105774)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(504470831)ハンディテクノ株式会社 (15)
【Fターム(参考)】