説明

ループ状支持ストラット要素を備えた塞栓フィルターフレーム

【課題】縦方向の追従性が改善され、容器壁に対するシールが改善され、デリバリプロファイルが小さく、フレーム及びつなぎ留め要素により占められる展開長さを短くできる塞栓フィルターを提供する。
【解決手段】本発明は1つの態様は、塞栓フィルターであって、
縦軸を有する支持ワイヤと;
取付け点で前記支持ワイヤに取付けた複数の支持ストラットを備えた塞栓フィルターフレームと;を備え、
前記フレームが、拘束された供給状態と非引張り展開状態を有し;
前記塞栓フィルターが、遠位及び近位端を有し;
前記フレームが、非引張り展開状態にあるときに、フィルター開口を有し;
前記フィルターの開口が、支持ワイヤ縦軸に実質的に直交する平面を規定し;
前記ストラット取付け点が、前記フィルター開口の平面から遠位に位置している、塞栓フィルターである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脈管構造及び、特に、塞栓フィルター要素を支持するのに使用される自己拡張フレームにおける配置用塞栓フィルター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
塞栓保護は、インターベンショナル(すなわち、経カテーテル)及び外科手術と関連した塞栓合併症の危険を減少しようとする高まりつつある臨床的重要性の概念である。治療的血管の処置において、塞栓片(例えば、血栓、凝塊、じゅく状斑等)が遊離すると、下流の脈管構造の潅流を妨げ、細胞性虚血及び/又は死を生じる。不利な塞栓合併症に最も一般的に関連する治療的血管処置には、補助ステント留置をともなうか又はともなわない頸動脈血管形成;及び退化伏在静脈グラフトの血管再開通などがある。さらに、補助ステント留置をともなうか又はともなわない経皮経管冠動脈形成術(PTCA)、外科冠動脈バイパス移植、経皮腎動脈血管再開通及び血管内大動脈瘤修復も、じゅく状塞栓に起因する合併症と関連している。したがって、塞栓片を捕捉し且つ除去する塞栓保護装置を使用すると、塞栓合併症の発生を減少により患者の転帰を改善できることがある。
【0003】
塞栓保護装置は、典型的には凝血又はプラークのソースと下流の脈管構造との間の介在バリヤーとしての役割を果たす。塞栓保護の非常に数多くの装置及び方法が、経皮介在処置とともに補助的に使用されてきた。これらの方法は、異なるけれども、管腔内デリバリ;柔軟性;追跡性;狭窄損傷のクロシングを可能とする小デリバリプロファイル;通常の介在の実行との寸法的な適合性;フロー摂動を最小にする能力;凝血抵抗性;管腔断面全体に対するバリヤーの追従性(不規則であっても);及び塞栓保護装置及び捕捉された粒状物を安全に除去する手段を含む、多数の所望の特徴を有している。塞栓保護をおこなうのに2つの一般的な方法がある:閉塞バルーンを用いる方法;及び塞栓フィルターを用いる方法。塞栓フィルターの使用は、装置に対して下流の脈管構造の連続灌流が可能となるので、塞栓保護をおこなう所望の手段である。
【0004】
閉塞バルーン法は、従来技術により教示されており、病変に対して遠位の脈管構造への血液流が、介在位置の下流に位置している閉塞バルーンのインフレーションによりブロックされる装置を備えている。治療の後に、病変部位と閉塞バルーンとの間の管腔内コンパートメントを吸引して、介在処置中に遊離した可能性のある血栓又はじゅく状片を排出する。閉塞バルーン法の主な欠点は、作動中、遠位の血液流が完全に妨げられ、虚血性疼痛、遠うっ血/血栓、及び処置した血管部分を介してのコントラストウォッシュアウトによる蛍光透視可視化の困難を生じることがあることが原因である。
【0005】
米国特許第4,723,549号(Wholey等)に記載されている従来のシステムは、治療用カテーテル(例えば、血管形成バルーン)と一体遠位塞栓フィルターとを組み合わせたものである。血管形成バルーンカテーテル等のカテーテルの遠位端に多孔質フィルター又は塞栓バリヤーを組み込むことにより、介在処置中に遊離した粒状物を、塞栓に関与する同じ治療装置により捕捉し且つ除去することができる。一つの公知の装置は、バルーンカテーテルの末端上に拡張バルーンに対して遠位に位置させた折り畳みフィルター装置を備えている。このフィルターは、拡張バルーンの方向に軸方向に延びているカテーテルの周囲に固定して複数の弾力性リブを備えている。フィルター材料は、リブ及びリブ間に固定されている。フィルターは、フィルターバルーンを膨らませてカップ状トラップ形成するときに展開する。しかしながら、フィルターは、内部容器壁の周囲に必ずしもシールしない。したがって、粒子が、フィルターと容器壁との間を通過する。また、装置は、縦方向の追従性も欠いている。したがって、カテーテルが不注意で移動すると、フィルターが縦方向に平行移動し、容器壁の損傷が生じ、塞栓片が遊離されることがある。
【0006】
他の従来のシステムでは、ガイドワイヤと塞栓フィルターとを組み合わせている。塞栓フィルターは、血管内血液濾過のために、ガイドワイヤシステムの遠位端に直接組み込まれている。外科的処置及び介在処置のプラクティスの現在の傾向を前提として、これらの装置は、可能性のある用途において最も用途が広い可能性がある。これらのシステムの代表的なものは、機械的に多孔質フィルター要素を支持するガイドワイヤに取付けられたフィルターフレームである。このフィルターフレームは、放射状に配向したストラット、一つ以上の円形フープ又は予備付形バスケット形態を容器に配置して備えていることがある。フィルター要素は、典型的には高分子又は金属メッシュネットをフィルターフレーム及び/又はガイドワイヤに取付けて備えている。作動中、容器を介して流れる血液は、メッシュフィルター要素を強制的に通過させられることにより、フィルターに塞栓材料が捕捉される。
【0007】
この種の初期の装置は、当該技術分野、例えば、米国特許第5,695,519号(Summers等)に記載されており、塞栓を取り込み、保持するための中空ガイドワイヤに取り付けて取り外し可能な血管内フィルターを備えている。このフィルターは、フィルターから中空チューブに延びそこを貫通し、近位端まで延びている作動ワイヤを操作することにより展開することができる。容器内での配置の間、フィルター材料は、完全には拘束されず、装置が凝血塊を通り、通り越して配置されると、フィルター材料に凝血物質がひっかかり、展開前に塞栓が自由に動く恐れがある。また、この装置は、縦方向の追従性を欠いている。
【0008】
従来の装置の別の例である米国特許第5,814,064号(Daniel等)に教示されている装置では、塞栓捕捉装置をガイドワイヤの遠位端に取り付けて使用している。フィルター材料を、ガイドワイヤの遠位部に連結し、ガイドワイヤの長さ部を走っている内腔と連通している流体活性化拡張性部材により容器の内腔にわたって拡張させる。位置決め中、装置が凝血塊を通り、越えて通過すると、フィルター材料が、凝血塊と相互作用して塞栓を生成することがある。また、この装置は、縦方向の追従性を欠いている。
【0009】
浮遊片及びフィルターにおける塞栓を集めるためにボディベッセルに展開するようにされている米国特許第6,152,946号(Broome等)に教示されている別の装置は、折り畳み可能な近接してテーパーを付けたフレームを、折り畳んだ装入プロファイルと拡張された展開プロファイルとの間にフィルターを支持するようにして備えている。テーパーを付けた折り畳み可能なフレームは、拡張され且つ展開されたプロファイルでボディベッセルの壁に延びる大きさの口と、フィルターフレームを支持ワイヤに取付け且つ固定する、実質的に縦のストラットとを備えている。この装置も、実質的に縦方向の追従性を欠いている。この装置は、テーパーを付けたフレームの縦方向に配向したストラット構成であるため、長さが長いというさらなる欠点がある。長さが長いために、曲がった組織内にフィルターをナビゲートし、配置することが複雑となる。
【0010】
国際公開第98/33443号(PCTWO98/33443)にみられる別の例の塞栓フィルターシステムは、中央ガイドワイヤのケーブル又はスパインにフィルター材料を固定して有している。ガイドワイヤ内の移動可能なコア又は繊維を使用して、ケーブル又はスパインを、ガイドワイヤにほぼ平行な状態から、ガイドワイヤにほぼ垂直な状態に変えることができる。しかしながら、フィルターは、内部容器壁周囲にシールしないことがある。したがって、粒子が、フィルターと容器壁全体との間を通過することがある。この傘型装置は、展開されたときに浅く、除去のために閉じたときに粒子が逃げてしまう可能性がある。
【0011】
要するに、従来の装置に関連する欠点には、縦方向の追従性の不足、フレームの展開長さが長いこと、関連するつなぎ留め要素、並びに不十分なアポジション及び容器壁に対するシールなどがある。縦方向の追従性がないと、フィルターカテーテル又は支持ワイヤが不注意により移動すると、展開されたフィルターが移動し、容器壁の損傷及び/又はイントロジェニック血管外傷、又は極端な場合には、塞栓片が遊離することがある。展開長さが長いと、血管側枝に隣接又はきつく曲がった容器内にフィルターを適切に展開できなくなる。フィルターのアポジション及び容器壁に対するシールが不適切であると、塞栓が通過する望ましくない影響が生じる。
【0012】
フィルターのアポジション及び容器壁に対するシールを確実にするために、過度の血管外傷を誘発せずに、容器壁に対するフィルターによりかかる半径方向力を最適化しなければならない。フィルターによりかかる半径方向力を増加するのに使用される典型的な方法には、例えば、フィルター支持フレーム、特にフレームのつなぎ留め要素の断面積(慣性モーメント及びしたがって、剛さ)を増加することなどがある。半径方向力は、追加の支持部材を組み込むか、又は展開される容器の直径に対するフィルターフレームの「弛緩」又は展開直径を増加させることにより増加させることができる。これらの方法は、典型的には縦方向の追従性を低下させ、圧縮デリバリプロファイルに付加され、場合によっては、展開長さが増加する望ましくない副次的な悪影響を及ぼす。半径方向力(例えば、より剛い支持フレーム)を増加するのに使用されるある方法では、より大きな壁厚、より大きなプロファイルのデリバリカテーテルを必要とするさらなる欠点がある。剛いフレーム(デリバリカテーテル内に拘束されている)により加えられる増加した圧力に適応するために、同等に厚くしたカテーテル壁が必要であり、デリバリプロファイルが悪くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第4723549号
【特許文献2】米国特許第5695519号
【特許文献3】米国特許第5814064号
【特許文献4】米国特許第6152946号
【特許文献5】国際公開第98/33443号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明によれば、ループ状支持ストラットを備えた改善された塞栓フィルターフレームが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は以下の構成を有している。
(1)塞栓フィルターであって、
縦軸を有する支持ワイヤと;
取付け点で前記支持ワイヤに取付けた複数の支持ストラットを備えた塞栓フィルターフレームと;を備え、
前記フレームが、拘束された供給状態と非引張り展開状態を有し;
前記塞栓フィルターが、遠位及び近位端を有し;
前記フレームが、非引張り展開状態にあるときに、フィルター開口を有し;
前記フィルターの開口が、支持ワイヤ縦軸に実質的に直交する平面を規定し;
前記ストラット取付け点が、前記フィルター開口の平面から遠位に位置している、
塞栓フィルター。
(2)少なくとも3つのループ状支持ストラットをさらに備えている、(1)に記載の塞栓フィルター。
(3)2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、(1)に記載の塞栓フィルター。
(4)塞栓フィルターであって、
支持ワイヤと;
前記支持ワイヤに取付けられた複数のストラットを備えた塞栓フィルターフレームと;
を備え、
前記ストラットが、拘束された供給状態と非引張り展開状態を有し;
前記ストラットが、拘束された供給状態にあるときには実質的に直線的形態を有し、非引張り展開状態にあるときには実質的にループ状形態であり;
前記ストラットが、展開中、直線形態からループ状形態に変形するようになっている、塞栓フィルター。
(5)少なくとも3つのループ状支持ストラットをさらに備えた、(4)に記載の塞栓フィルター。
(6)2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、(4)に記載の塞栓フィルター。
(7)塞栓フィルターであって、
最大総変位を有する移動可能支持ワイヤと;
複数のループ状支持ストラットと未拘束直径を有するフレームと;
を備え、
前記フレーム未拘束直径を支持ワイヤ総変位により割って得た比が約2を超える、塞栓フィルター。
(8)2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、(7)に記載の塞栓フィルター。
(9)塞栓フィルターであって、
複数のループ状支持ストラットを備え、展開長さ及び未拘束直径を有するフレームと;
を備え、
前記フレーム展開長さを前記フレーム未拘束直径により割って得た値が、約0.5〜約1である、塞栓フィルター。
(10)2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、(9)に記載の塞栓フィルター。
(11)塞栓フィルターであって、
複数のループ状支持ストラット、拘束供給長さ及び未拘束長さを有するフレームを、備え、
前記フレーム拘束供給長さを前記未拘束フレーム長さにより割ることにより得た値が、約2〜約3である、塞栓フィルター。
(12)2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、(11)に記載の塞栓フィルター。
(13)管腔内フィルターアセンブリであって、
フィルター要素と;
支持ワイヤと;
前記フィルター要素を前記支持ワイヤに取付けている少なくとも2つの「S」字支持ストラットを備えたフィルターフレームと、
を備えた管腔内フィルターアセンブリ。
(14)前記フィルターフレームが、前記支持ワイヤに摺動可能に取付けられている、(13)に記載の管腔内フィルターアセンブリ。
(15)管腔内フィルターアセンブリであって、
支持ワイヤと;
前記支持ワイヤ付近に取付け且つそれと相対的に移動させるようにしたカラーを備えたフィルターフレームと;
前記フィルターフレームに対して遠位の前記支持ワイヤに取付けた第一ストップと;
前記フィルターフレームに近位の前記支持ワイヤに取付けた第二ストップと;
を備え、
前記支持ワイヤに沿った前記フィルターフレームの移動が、前記第一及び第二ストップにより拘束されている、管腔内フィルターアセンブリ。
(16)前記フィルターフレームが少なくとも2つのループ状支持ストラットを備えている、(15)に記載の管腔内フィルターアセンブリ。
【0016】
本発明のフレーム構成により、縦方向の追従性が改善され、容器壁に対するシールが改善され、デリバリプロファイルが小さく、フレーム及びつなぎ留め要素により占められる展開長さを短くできる。
【0017】
容器壁に対するアポジション及びシールを改善するために、本発明によれば、「ループ状」の支持ストラットを備えたフィルター支持フレームを組み込む。「ループ状」ストラット構成により、上記した望ましくない悪影響を生じることなく、容器壁に付与される半径方向力を高められる。また、ループ状ストラット構成により、曲がりくねった血管組織において展開するときに、フィルターフレームの付加が容易となる。引張り又は圧縮デリバリ状態にあるときには、本発明のループ状支持ストラットは、実質的に縦の構成をとり、最小の半径方向力をカテーテル壁に付与する。したがって、カテーテル壁又は半径方向の拘束の厚さを最小限として、可撓性を増加し、カテーテルプロファイルを減少させ、挿入追跡性を高めることができる。展開操作中、ループ状支持ストラットは、ループ状形態をとる。一旦展開されてループ状形態となると、支持ストラットは、高度の半径方向力を容器壁に加え、アポジション及びシール性が高まる。また、ループ状支持ストラットにより、従来の設計よりも高度の縦方向追従性が得られる。さらに、ループ状支持ストラットの全長が、フィルター要素に極めて近接して位置され、フィルター媒体支持要素の総展開長さが最小限となる。
【0018】
本発明の重要な利点の中に、本発明の展開装置の「縦方向」剛さが小さいことが含まれる。すなわち、展開された状態において、装置は、縦方向において柔軟且つ弾性がある。その結果、支持ワイヤ又はカテーテルの縦方向の小さなずれは、ガイドワイヤ操作中、フィルターフレーム及び容器壁には移らない。
【0019】
本発明の別の有益な特徴に、ループ状ストラット、及び本発明の支持ストラットを支持ワイヤに接続している中央カラーは、実質的にフィルター開口面内に位置し、必要に応じて、フィルターフレーム要素自体の内部にさえ配置させることができることがある。これにより、フィルター支持フレームの総展開長さを減少させ、フィルターを処置部位に非常に近接させて配置できるようにすることにより、本発明の塞栓フィルターの有用性を改善することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ループ状支持ストラットを備えた改善された塞栓フィルターフレームが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】支持フレームが3つのループ状支持ストラットを有する、本発明の塞栓フィルターの4分の3等角図である。
【図2】図1の支持フレームの部分拡大図である。
【図3A】未拘束直径の支持フレームを示す、図1の塞栓フィルターの端面図である。
【図3B】支持ストラットにおける曲げ角を定義している、本発明のループ状支持ストラットの部分側面図である。
【図3C】支持ストラットにおける「S」字状を定義している、本発明のループ状支持ストラットの部分側面図である。
【図4】容器内に展開した状態の本発明の塞栓フィルターの4分の3等角図である。
【図5A】フィルター開口面を定義している、本発明の塞栓フィルターの部分4分の3等角図である。
【図5B】展開状態の直径及びオフセットストラットアタッチメント点を示す、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図5C】展開状態の直径及びオフセットストラットアタッチメント点を示す、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図5D】展開状態の直径及びオフセットストラットアタッチメント点を示す、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図6A】展開状態の直径及び全長を定義している、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図6B】展開状態の直径及び全長を定義している、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図6C】展開状態の直径及び長さを定義している、本発明の塞栓フィルターフレームの側面図である。
【図6D】展開状態の直径及び長さを定義している、本発明の塞栓フィルターフレームの側面図である。
【図7A】引張り及び伸長の種々の段階を示す、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図7B】引張り及び伸長の種々の段階を示す、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図7C】引張り及び伸長の種々の段階を示す、本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図7D】シース内に拘束された本発明の塞栓フィルターの側面図である。
【図8A】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターの一実施態様の端面図である。
【図8B】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターの一実施態様の側面図である。
【図9A】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターのさらなる実施態様の端面図である。
【図9B】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターのさらなる実施態様の側面図である。
【図10A】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターの別の実施態様の端面図である。
【図10B】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターの別の実施態様の側面図である。
【図11A】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターのさらに別の実施態様の端面図である。
【図11B】2つの直交軸に沿ってみたときに、ループ状を有する3つの支持ストラットを示す、本発明の塞栓フィルターのさらに別の実施態様の側面図である。
【図12A】3つのループ状支持ストラットを示す本発明の塞栓フィルターの実施態様の端面図である。
【図12B】4つのループ状支持ストラットを示す本発明の塞栓フィルターの実施態様の端面図である。
【図12C】5つのループ状支持ストラットを示す本発明の塞栓フィルターの実施態様の端面図である。
【図12D】6つのループ状支持ストラッを示す本発明の塞栓フィルターの実施態様の端面図である。
【図12E】7つのループ状支持ストラットを示す本発明の塞栓フィルターの実施態様の端面図である。
【図12F】8つのループ状支持ストラットを示す本発明の塞栓フィルターの実施態様の端面図である。
【図13】容器壁の圧縮により生じる増加した半径方向力を示す、本発明の塞栓フィルターフレームの縦断面図である。
【図14】フレームが、頂部が平面で切断されたフィルター膜支持部を備えた、本発明の塞栓フィルター装置の側面図である。
【図15】例1による本発明の6ストラット塞栓フィルターフレームを加工するのに使用されるカットアウト前駆体チューブの4分の3等角図である。
【図16】拡張して本発明の6ストラット塞栓フィルターフレームを形成した図15の前駆体チューブの4分の3等角図である。
【図17】例1による本発明の6ストラット塞栓フィルターフレームを加工するのに使用される拡張及び逆転前駆体チューブの側面図である。
【図18A】フィルターフレームと支持ワイヤとの間に摺動可能なアタッチメントを有する、本発明の塞栓フィルター装置の別の実施態様の縦断面図である。
【図18B】フィルターフレームと支持ワイヤとの間に摺動可能なアタッチメントを有する、本発明の塞栓フィルター装置の別の実施態様の縦断面図である。
【図18C】フィルターフレームと支持ワイヤとの間に摺動可能なアタッチメントを有する、本発明の塞栓フィルター装置の別の実施態様の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の塞栓フィルターの向上した特徴及び他の特性は、以下の記載を参照することにより、よりよく理解されるであろう。
【0023】
本発明の作用は、以下の説明を添付図面に関連して考慮したときに明らかとなろう。
【0024】
本発明の第一実施態様を、図1に示す。すなわち、図1は、本発明の未拘束非引張り状態の塞栓フィルターアセンブリ30を示す。フィルターアセンブリ30は、2つの異なる部分、フィルター支持部32及び一連のループ状ストラット又はテザー34を有するフレーム31を備えている。各ループ状ストラット34を、中央カラー46に付け、その後、取付け点38で支持ワイヤ36に取付ける。複数のストラット34が、外側に放射状に広がり、フレームのフィルター支持部32に取付けられる。フィルター支持部32に、フィルター要素40を取付ける。また、縦軸42も示されており、これは、支持ワイヤ36と実質的に一致している。
【0025】
本発明の塞栓フィルターフレームは、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上のループ状支持ストラットを有することができる。支持ストラット数により、フィルター膜開口60のプロファイル及び形状が決まる。例えば、明瞭化のために3つの支持ストラットしか示していない図1のフレーム形態は、典型的にはフィルター支持部32のプロファイルに従う3つの「スカラップ」41を有するフィルター開口が形成される。追加の支持ストラットを組み込むことにより、各スカラップ41の大きさ又はサイズが減少し、フィルター開口が、面内の円により近くなる。好ましい実施態様によれば、6つのループ状支持ストラットを、本発明のフレームに組み込む。フィルター要素をトリミングして、スカロップの輪郭に一致させて、流体の流れが曲がったり、ばらばらになったり、又は塞栓が不注意で通過するのを回避することができる。
【0026】
フィルター要素の遠位端35は、好ましくは支持ワイヤ36の周囲に摺動可能アタッチメントを備えて、フィルター要素が、圧縮寸法と展開寸法との間で支持ワイヤ36に対しての位置を変更できるようにすることが好ましい。さらに、遠位端35と支持要素との間の摺動可能界面により、フィルター要素が、フィルターアセンブリが本明細書に記載の縦方向コンプライアンスを受けたときでさえ、常に容器において完全に延びた状態のままとすることができる。別法として、又はさらに、フィルター要素は、フィルターフレームの位置に対して異なる遠位端位置を収容できる弾性材料から形成できる。
【0027】
図2に、本発明の塞栓フィルター30の未拘束ループ状支持ストラットの拡大図を示す。フィルター支持部32と3つのループ状支持ストラット34を備えたフレーム31が示されている。また、支持ワイヤ36、中央カラー46、ワイヤアタッチメント点38を支持するためのカラー及びフィルター要素40も、示されている。図示されているのは、ループ状支持ストラット34が実質的に「S」字状である好ましい実施態様である。
【0028】
図3Aは、図1及び図2の未拘束塞栓フィルターアセンブリ30を示す。図では、3つの好ましいS字形ループ状支持ストラット34が、中央カラー46から放射状に延びている。支持ストラット34は、フィルター支持部32から延び、そこに取付けられている。フィルター支持部32には、フィルター要素40が取付けられている。未拘束状態で示されている塞栓フィルター30は、未拘束直径44を有している。
【0029】
図2には、3つのループ状支持ストラット34と、支持ワイヤ36と、中央カラー46と、ワイヤアタッチメント点38を支持するためのカラーと、フィルター要素40が示されている。アタッチメント点38は、支持ワイヤ36と中央カラー46との間に剛性確保固定点を有するか、又は支持ワイヤ36と中央カラー46との間に摺動可能界面を有することができ、それにより、フィルターフレームから支持ワイヤの縦方向又は回転運動を切り離すことができる。支持ストラット34は、放射状に延び、フィルター支持部32に取付けられている。フィルター支持部32には、フィルター要素40が取付けられている。「フィルター支持部」は、フィルター要素40に少なくとも部分的に取付けられているフィルターフレームの部分として定義される。「支持ストラット」は、フィルター支持部を支持し、一般的にフィルター要素40に直接取付けられていないフィルターフレームの部分として定義される。
【0030】
「ループ状支持ストラット」を、さらに図3Bに示す。図では、支持ストラット34が、フィルター要素には取付けられておらず、支持ワイヤ又は縦軸42を中心として拘束されている。図示されているように支持ストラット34を通って描かれている基準軸47は、支持ストラットにおける曲がり又はループの大きさに近似している。軸47は、縦軸42に対する角度48を規定している。また、縦軸42に対する90度角を規定している基準軸49も示している。図では、縦軸42に対するループ状支持ストラット角48が90度を超える。したがって、「ループ状ストラット」は、フィルター要素に取付けられていない部分を有するフィルターフレーム支持ストラットであり、取付けられていない部分に沿って90度に等しいか、又は90度を超える少なくとも一つの曲がりを有しているストラットとして定義される。ループ状角は、いずれかの軸を中心としてみて、測定することができる。
【0031】
「S」字状のループ状塞栓フィルターフレーム支持ストラットを、図3Cに示す。図では、支持ストラット34が、フィルター要素に取付けられておらず、且つ縦軸42を中心として拘束されている。また、縦軸42に平行な軸37も示されている。図示されているように支持ストラット34を通過して描かれている基準軸47は、支持ストラットにおける曲がり又はループの大きさに近似している。軸47は、縦軸42に対する角度48を規定している。2つの対向する曲げ角度48も示されており、それらの各々は、少なくとも約90度である。「「S」字を有する支持ストラット」は、フィルター要素には取付けられていない部分を有するフィルターフレーム支持ストラットで、取付けられていない部分にそって約90度を超える少なくとも2つの対向する曲げ角度を有するストラットとして定義される。角度48は、いずれかの軸を中心としてみて、測定できる。
【0032】
「縦方向コンプライアンス」の様子を、さらに図4に示す。弾性容器50(縦断面が示されている)内に配置された本発明の塞栓フィルターアセンブリ30が示されている。容器50は、装置の未拘束直径よりもわずかに小さい(例えば、約90%)内直径を規定している。これは、図3Aにおいて、直径44として示されている。したがって、「小さい」容器により、配置されたフィルターに対して半径方向の拘束がかかり、フィルターが完全な未拘束直径に拡張するのを防止できる。このプロセスにおいて、フィルターと容器壁との間の締まりばめが得られる。したがって、容器により拘束されたときに、ループ状支持ストラット34により、容器壁50に対して半径方向又は拡張力52がかかり、シール領域54が形成される。また、この半径方向、拡張力52は、容器壁に対してかかる「フープ応力」又は「半径方向力」とも称される。
【0033】
本明細書において使用される用語「未拘束直径」は、テーブルトップに自己配置したときの本発明の装置を意味する。この形態では、未拘束且つ未引張り状態にある。また、この状態は、本明細書において「引張られていない」又は「非引張り」状態とも称する。
【0034】
展開されると、中央カラーに又は中央カラーを中心としてしっかりと固定されているとき、支持ワイヤ36は、大きな崩壊又はシール領域54に変換されることなく、方向56又は58に縦軸42に沿ってわずかに移動することができる。したがって、ループ状支持ストラット34により、フィルター要素を小さな支持ワイヤ変位から効果的に分離するある程度の「縦方向コンプライアンス」が得られる。未拘束直径約6mm(0.24”)を有する本発明の装置は、大きな崩壊又はシール領域54に変換することなく、約+/−0.8mm(+/−0.03”)又はそれ以上の方向56又は58における支持ワイヤ変位が許容できる。したがって、支持ワイヤは、シール領域54の崩壊を生じる前に、「最大総変位」を有する。
【0035】
縦方向コンプライアンスは、支持ワイヤにしっかりと固定したときに(容器壁に対してシール領域を崩壊又は変換することなく)、未拘束直径を最大総支持ワイヤ変位で割って得た比として表すこともできる。この比を求めるために、本発明の装置を、フィルターの未拘束直径の約80%を有する透明弾性チューブ内に配置することができる。次に、最大総支持ワイヤ変位(シール領域を崩壊又は移動することなく)の近似値を求める。本発明の装置は、未拘束直径を支持ワイヤの最大総変位により割って得た比が約6以下である。好ましくは、本発明の塞栓フィルターは、未拘束直径の最大支持ワイヤ変位に対する比が約5、約4、約3、約2.5、約2、約1.5、約1.2又は約1である。
【0036】
本発明において縦方向コンプライアンスを定量化するのに比較的容易な試験は、壁厚が小さく約0.25mm(0.01”)であり、内直径が未拘束フィルター装置の約80%であるシリコーンチューブ(例えば、テキサス州ウェザーフォードにあるJAMAK Healthcare Technologies社から入手可能)内にフィルター装置を配置することである。装置と容器との間の20%締まりばめにより装置が移動するのが防止され、十分なシールが得られることから、80%拘束直径を使用することが好ましい。配置し且つ体温(約37℃)では、装置が取付けられる支持ワイヤが縦方向に操作できる。支持ワイヤがシリコーンチューブに対してフィルターフレームを移動することなく変位させる(縦方向)ことができる最大距離を、「縦方向コンプライアンス」として記録される。
【0037】
また、本発明は、図5A〜図5Dに示すように、展開長さが短いという有利な特徴を有する。本発明の短い展開距離は、ループ状ストラットと、支持ストラットをフィルター開口の面内に実質的に配置されている支持ワイヤに接続している中央カラーによるものである。特定の用途の必要に応じて、ループ状ストラットを、開口のわずかに上流に、又は開口のわずかに下流にフィルターフレーム要素自体の内部に向くように、フィルター要素の開口の面内に直接展開されるように構成できる。図5Aに、近位端43及び遠位端45を有する未拘束状態の本発明の塞栓フィルター30を示す。フィルター要素40は、x軸62及びy軸64を有する面を規定するフィルター「開口」60を有している。スカロップ41を備えたフィルター開口について、開口軸62及び64を、スカロップ41の最近位端に位置させる。図示されている開口面は、支持ワイヤ36及び縦軸42に直交している。したがって、2つの軸62、64は、フィルター開口60の面を規定している。本発明のループ状ストラット34は、しっかりと固定されるか又は摺動可能な手段を介して支持ワイヤ36のアタッチメント点38で取付けられた中央カラー46上に接合されている。
【0038】
図5Bに、フィルター開口60、y軸64及び縦軸42を有するフィルター要素40を示す。軸64は、フィルター開口の面の「側面図」である。軸42及び64は、点70で交差する。したがって、点70は、フィルター開口の面上にある。明確にするために、縦軸42上の点又は位置は、点が矢印で示されている縦方向72におけるフィルター要素内にある場合、フィルター開口の面から「遠位オフセット」しているとみなされる。逆に、縦軸42上の点又は位置は、点が矢印で示されている縦方向74におけるフィルター要素の外側にある場合、フィルター開口の面から「近位オフセット」しているとみなされる。
【0039】
図5Cは、ループ状支持ストラット34と、支持ワイヤにしっかりと固定され且つフィルター開口64の面から遠位オフセットしている支持ワイヤアタッチメント点38を有する本発明の中央カラー46を示す。図では、支持ワイヤアタッチメント点38が、遠位方向72におけるフィルター要素40内に位置している。アタッチメント点のオフセットの大きさは、要素80として示されている。
【0040】
図5Dは、ループ状支持ストラット34と、支持ワイヤにしっかりと固定され且つフィルター開口64の面から近位オフセットしている支持ワイヤアタッチメント点38を有する本発明の中央カラー46を示す。図では、支持ワイヤアタッチメント点38が、近位方向74におけるフィルター要素40の外に位置している。アタッチメント点のオフセットの大きさは、アイテム82として示されている。
【0041】
支持ワイヤアタッチメント点とフィルター開口64の面との間のオフセットの方向とともに、オフセットの相対的大きさは、ストラットアタッチメント点オフセットを未拘束直径44により割って得られた「オフセット比」により表すことができる。例えば、ストラットアタッチメント点オフセット4mm及び未拘束直径10mmを有するフィルターの比は、0.4である。この比を、フィルター開口の面に遠位オフセット又は近位オフセットした支持ワイヤアタッチメント点に対するストラットについて適用できる。比が「ゼロ」であることは、オフセットなしである。換言すれば、アタッチメント点が、フィルター開口の面にある。
【0042】
本発明の塞栓フィルターの遠位オフセット比(アタッチメント点オフセットを未拘束直径により割って得た)は、約0〜約1であることができ、好ましくは約0〜約0.7、最も好ましくは約0.2〜約0.5である。これらの遠位オフセット比は、フィルター要素内に配置された支持ワイヤアタッチメントに対するストラット/カラーに反映される。同様に、本発明の塞栓フィルターは、近位オフセット比を有することができ、フィルター要素の外側に配置された支持ワイヤアタッチメントに対するストラット/カラーに反映される。これらの構成において、本発明の塞栓フィルターのオフセット比(アタッチメント点オフセットを未拘束直径により割って得た)は、約0〜約1の範囲であることができる。
【0043】
本発明の装置は、中央カラー対支持ワイヤアタッチメント点とは顕著に異なるストラット対中央カラーアタッチメント点で構成できる。これらの構成では、次に、両方のアタッチメント点を、ストラットに最も近接している支持ワイヤ上の点に近似させる。
【0044】
本発明のループ状支持ストラットにより、短展開長さが可能となるため、曲がりくねった容器内でのナビゲーションが向上し、血管側枝付近の展開が可能である。「短展開長さ」の特徴を定量化するために、装置を、以下で定義する5つの比のうちの少なくとも一つにより定義する必要がある。
【0045】
フィルターの配置長さは、展開長さを、フィルターの未拘束直径により割って得た第一比により表すことができる。図6Aに、フィルター要素40、ループ状ストラット34、ストラット/カラー対支持ワイヤアタッチメント点38(フィルター要素の外側に位置)及び未拘束直径44を備えた本発明の塞栓フィルター30を示す。図では、ループ状ストラット34及びアタッチメント点38を含む展開長さ84が示されている。
【0046】
図6Bは、フィルター要素40、ループ状ストラット34a、ストラット/カラー対支持ワイヤアタッチメント点38(フィルター要素内に位置)及び未拘束直径44を備えている本発明の塞栓フィルター30を示す。図では、フィルター要素の対向端を基準とし、ループ状ストラット34a又はアタッチメント点38を含まない配置長さ86が示されている。
【0047】
本発明の塞栓フィルターは、展開長さ84、86をフィルター未拘束直径44により割って得た比が約0.5〜約7、好ましくは約1〜約5、最も好ましくは約2〜約4であることができる。
【0048】
フィルター展開長さ又はフットプリントの同様なものが、フレームの展開長さ(フィルター要素を含まない)をフレームの未拘束直径により割って得た第二比で表される。図6Cは、フィルター支持部32及びループ状ストラット34、ストラット/カラー対支持ワイヤアタッチメント点38(フィルター要素40の外側に位置)及び未拘束フレーム直径44を備えた本発明の塞栓フィルターフレームを示す。図では、フィルター要素40を含まないフレーム展開長さ87が示されている。
【0049】
図6Dは、フィルター支持部32とループ状ストラット34、ストラット/カラー対支持ワイヤアタッチメント点38(フィルター要素40内に位置)及び未拘束直径44を備えている本発明の塞栓フィルターフレームである。図では、フィルター要素40を含まないフレーム展開長さ88が示されている。
【0050】
本発明の塞栓フィルターは、フレーム展開長さ87、88をフレーム未拘束直径44により割って得た比が約0.1〜約7、好ましくは約0.3〜約2、最も好ましくは約0.5〜約1であることができる。
【0051】
本発明のループ状ストラットのさらなる利点に、図7A〜7Dに示すような塞栓フィルターのデリバリの面がある。本発明のループ状支持ストラットを引張ったときに、細長くなり、コンパクトで実質的に直線状の形態をとる。デリバリカテーテル又は他の拘束手段によりこの直線状態に拘束された状態では、支持ストラットによっては、半径方向拘束手段には相対的にほとんどの力が加わらないので、半径方向の拘束手段は極めて薄く及び/又はデリケートなものでよい。したがって、総デリバリプロファイル及び剛さが、従来の塞栓フィルター装置について必要とされるものよりも減少する。デリバリカテーテルの拘束が展開中に除去されると、本発明のストラットが自然にオープンし、ループ形態をとり、高度の力が容器壁にかかり、フィルター対容器壁シールが向上する。
【0052】
図7Aは、中央カラー46に取付けられたループ状ストラット34を有する本発明の塞栓フィルター30である。中央カラーは、支持ワイヤ36に取付けられている。支持ストラットは、外側に放射状に広がり、フィルター支持部32を有するフレームと一体(又は接合)とされている。フィルター要素40は、フィルター支持部32に取付けられている。
【0053】
張力90を支持ワイヤ36及びフィルター要素40にかけると、ループ状ストラット34が弾性的に変形して、図7Bに示す形態となる。さらに張力90をかけると、塞栓フィルター30とループ状ストラット34は、ループ状ストラットが、図7Cに示すような実質的に直線的又は真っ直ぐな形態となるまで長くなる。細長い状態では、塞栓フィルター30をデリバリカテーテルに挿入できるか、又はシースに引っ込ませることができる。図7Dは、本発明の細長塞栓フィルター30を示している。この細長塞栓フィルター30は、デリバリカテーテル92において拘束されている実質的に直線状の形態のループ状ストラット34を備えている。細長いループ状ストラットによりデリバリカテーテルに加えられた小さい力により、比較的薄いカテーテル壁94を使用するのが容易となる。拘束デリバリカテーテルをフィルター展開中に除去すると、本発明のループ状ストラットが自然にオープンし、自然にか、又は支持ワイヤ及び/又はデリバリカテーテルの操作により図4及び図7Aに示す形態をとる。
【0054】
容器内のデリバリの間、本発明の塞栓フィルターのストラット34は、図7Dに示すように「実質的に直線状」形態に拘束される。この実質的に直線状の形態では、中央支持カラー46(又はストラット対支持ワイヤアタッチメント点38)は、フィルター要素40の外側に位置している。また、中央支持カラー46は、細長く且つ実質的に直線状の支持ストラット34によりフィルター要素40から分離される。しかしながら、適切に展開されると、中央支持カラー46(又はストラット対支持ワイヤアタッチメント点38)は、図7Aに示すようにフィルター要素40内に位置する。したがって、中央支持カラー46(又はストラット対支持ワイヤアタッチメント点38)は、展開中フィルター要素に対して移動又は変形する。本発明の典型的なフィルターは、拘束されたフィルター要素96の長さの少なくとも1/2に等しい相対的な変形(支持カラー対フィルター要素)を受ける(図7Dに示すように)。
【0055】
また、図7Dには、本発明の塞栓フィルターの総拘束デリバリ長さ97が示されている。本発明の塞栓フィルターは、総拘束デリバリ長さ97を未拘束長さにより割って得られた第三比を有することができる。本発明では、この第三比は、約1、約2、約2.5、約3、約3.5又はそれ以上であることができる。未拘束長さは、長さ84(図6A)又は長さ86(図6B)により定義される。
【0056】
同様に、本発明の塞栓フィルターは、総拘束フレームデリバリ長さ98を未拘束フレーム長さにより割って得られた第四比を有することができる。本発明では、この第四比は、約2、約2.5、約3、約3.5又はそれ以上であることができる。未拘束フレーム長さは、長さ87(図6C)又は長さ88(図6D)により定義される。
【0057】
短展開長さに関する第五比は、ストラット拘束デリバリ長さをストラット未拘束展開長さにより割って得たものである。ストラット拘束デリバリ長さは、図7Dに示すように、フィルター支持部32を含まない、フレームのストラット部34の長さとして定義される。したがって、ストラット拘束デリバリ長さは、図7Dにおける総フレーム長さ98の一部分である。ストラット未拘束長さは、フィルター支持部32の長さを含まない、図6C及び図6Dに示すような未拘束ストラット34aの長さとして定義される。本発明のフィルターフレームは、ストラット拘束デリバリ長さをストラット未拘束展開長さにより割って得た比が約2、約3、約4、約5、約6、約7又はそれ以上であることができる。本発明のフィルターフレームは、好ましくは、ストラット拘束デリバリ長さをストラット未拘束展開長さにより割って得た比が約3、約3.5、約4、約4.5若しくは約5又はそれ以上である。ストラット拘束デリバリ長さをストラット未拘束展開長さにより割って得た比は、最も好ましくは、約3、約3.3、約3.6若しくは約4又はそれ以上である。
【0058】
本発明の塞栓フィルターは、種々の一般的な方法及びプロセスを用いて製造できる。例えば、ループ状ストラットを備えた塞栓フィルターフレームは、適切な弾性及び剛さを有する生体適合性材料から加工できる。例えば、ニチノール、ステンレス鋼、チタン及びポリマーを、適用可能な材料として用いることができる。ループ状ストラットを備えた前駆体フレームは、平面シート形態で加工でき、ロール状とし、それ自体に付着して本発明のフレームを形成してもよい。別法として、円筒状管を切断し、拡張するか、又は切断し、圧縮して本発明のフレームを形成してもよい。切断プロセスとして、レーザー、スタンピング、エッチング、ミルカッティング、ウオータージェット、放電加工又は他の好適なプロセスを挙げることができる。
【0059】
本発明のループ状ストラットとの関連で使用されるフィルター要素又は部材は、種々の一般的な材料、方法及びプロセスを用いて製造できる。好適な生体適合材料には、金属箔若しくはメッシュ、又は種々のポリマー、例えば、フルオロポリマー、例えば、ポリテトラフルオロエチレンから形成されたシート若しくはメッシュなどがあるが、これらには限定されない。フィルター部材は、成形、キャスト、フォーミングにより形成したり、又は種々の好適な材料を接合することにより加工できる。
【0060】
図8〜図12は、本発明のループ状ストラットの種々の別の実施態様を示す(しかしながら、これらには限定されない)。図8A及び図8Bは、好ましいループ状ストラットの形態34を有する塞栓フィルター30を示す。本発明の好ましいストラット34は、直交する2本の軸に沿ってみたときに、ループの形状又はプロファイルを有することができる。したがって、ストラット34は、2つの直交図の投影においてループ形態をとる。
【0061】
本発明の別のストラットの形態では、異なる軸の組み合わせに沿ってみたとき、又は単一の軸に沿ってみたとき、ループ状であることができる。例えば、図9A及び図9Bは、図8A及び図8Bと類似の図であるが、別のループ状ストラット形態を示しており、別のストラット34は、単一軸に沿ってみたときのみに実質的にループ状である。図では、ストラット34は、端面図(図9A)においてループ状であり、側面図(図9B)において実質的に直線状である。
【0062】
別法として、本発明のストラットは、端部からみたときには実質的に直線状であり、例えば、側面からみたときにはループ状であることができる。この形態を、図10A及び図10Bに示す。図10A及び図10Bは、端部(図10A)からみたときには実質的に直線状であり、側面(図10B)からみたときにはループ形態である別のストラット34を示す。
【0063】
本発明のループ状支持ストラットは、約90度超(図3Cにより定義されている)、約120度超、約180度超、約240度超、又はそれ以上の曲げを設けて構成してもよい。例えば、約200度超の曲げを有する本発明のループ状ストラットを、図11Aに示す。図には、約200度以上の「らせん状」の曲げを有するループ状支持ストラット34を備えた塞栓フィルター30が示されている。また、ストラット34は、別の軸、この場合、図11Bに示すような側面図でみたときにループ状であってもよい。したがって、本発明のループ状支持ストラットは、異なる観測面に投影したときに異なる「ループ」形態を有することができる。
【0064】
図8〜図11に、3つのループ状支持ストラットを備えた塞栓フィルターを示す。このフィルターでは、支持ワイヤアタッチメント点38及び中央支持カラー46が、図5A及び図5Bについて上記したように、実質的にフィルター要素内にある。本発明の塞栓フィルターフレームは、2、3、4、5、6、7、8又はそれ以上のループ状支持ストラットを有することができる。種々の複数のストラットの形態が、図12A〜図12Fに示されている。
【0065】
図12Aは、3つのループ状ストラット34を備えた本発明の塞栓フィルターの端面図である。
【0066】
図12Bは、4つのループ状ストラット34を備えた本発明の塞栓フィルターの端面図である。
【0067】
図12Cは、5つのループ状ストラット34を備えた本発明の塞栓フィルターの端面図である。
【0068】
図12Dは、6つのループ状ストラット34を備えた本発明の塞栓フィルターの端面図である。
【0069】
図12Eは、7つのループ状ストラット34を備えた本発明の塞栓フィルターの端面図である。
【0070】
図12Fは、8つのループ状ストラット34を備えた本発明の塞栓フィルターの端面図である。
【0071】
本発明の塞栓フィルターフレームのさらなる機能的特徴を、図13に示す。図13は、ループ状支持ストラット34、フィルター要素支持体32に取付けられたフィルター要素40、中央カラー46及び支持ワイヤ36を備えた塞栓フィルター30を示す。小さい容器(すなわち、フィルターの弛緩した完全配置直径よりも小さい容器)内に展開したとき、圧縮負荷100がフレームに加わり、フレームにより容器に加えられた半径方向力に対抗する。圧縮負荷100により、フレーム部、この場合フィルター要素支持部32が、アイテム102により示されるように外側にたわむ。たわみ102により、フィルター要素40と容器壁との間のシールが改善され、塞栓が不注意で通過してしまうことを減少できる。容器壁にさらなる負荷をかけても、フィルターと容器との間の相対的な移動により生じる「血管外傷」の可能性及び曲がった血管の部分に展開したときの抵抗を減少させることができる。
【0072】
図14は、ループ状ストラット34及び簡略化されたフィルター支持部(図2に示す細長フィルター支持部32とは異なる)を備えたフレームの別の形態を示す。図には、支持ワイヤ36と、本発明の6つのループ状支持ストラット34の端部に直接取付けられたフィルター要素40が示されている。支持ストラット34は、フィルター要素40のアタッチメント点103に取付けられている。この実施態様におけるストラット34の長さ及び形状は、ストラット34をフィルター要素上の異なる点に接合できるようにしたり、ストラット34の部分的な長さに沿ってフィルター要素40を接合できるように異ならせることができる。
【0073】
本発明のフィルターフレームのさらなる特徴に、「ロッキングパイラー」又は「中心をはずれた固定クランプ」と類似の、拘束された直線状状態から、「固定」及び逆転した状態へのループ状ストラットの「自然」変形がある。逆転すると、ループ状ストラットは、安定な短い長さのループ状形態を維持する。拘束された直線状に戻すには、張力をかける必要がある。
【0074】
本発明に言及及び本発明に関しての用語「支持ワイヤ」(例えば、図1における要素36)は、中実又は中空支持ワイヤを有していてもよいし、又は他の管状物品であって、そこを通過して設けられた少なくとも一つの連続管腔を備えたものを有していてもよい。本発明で使用するのに好適な支持ワイヤには、ガイドワイヤなどがあるが、これには限定されない。
【0075】
本発明のフィルターは、種々の物品内に展開、例えば、動物用容器、カテーテル、パイプ、ダクト、流体管、チューブ、ホース、物質移動管、貯蔵容器、ポンプ、バルブ及び他の流体容器(これらには限定されない)内の濾過用途に使用されるように構成できる。濾過できる流体としては、ガス、液体、血漿及び流動性固体又は粒状混合物などがある。流体は、本発明のフィルターを横断して流れてもよいし、又はフィルターを、流体を通して引くか、さもなければ搬送してもよい。本発明のフィルターは、一般的に円形のプロファイル(端面からみたとき)には限定されず、展開したときに、楕円形、三角形、正方形、多角形又は他のプロファイルを有していてもよい。また、本発明のフィルターは、他の装置、例えば、診断、可視化、治療器具又は他のフィルターと組み合わせたり、「連動」させたり、又は連結させたりすることができる。また、本発明のストラットの形態を、非濾過装置、例えば、容器閉塞器、留置診断機器、治療機器又は可視化装置に組み込むこともできる。
【実施例】
【0076】
以下、本発明の装置及び製造方法を実施例により説明するが、本発明の範囲はこれらには限定されない。
【0077】
例1
図15に示すように、壁厚約0.09mmの0.9mmニチノールチューブ104(カリフォルニア州サンノゼにあるSMA社製)を、レーザー(イリノイ州ウァキガンにあるLaserage Technologies社)により切断して、単一の波形一体の6頂点リングのフレーム形態とした。フレームは、各遠位頂点に放射線不透過性マーカーハウジング106、並びに各近位頂点108から延び、未切断母材の「カラー」46における対向端で収束している係留又はストラット要素34を備えているものであった。次に、このフレームを、グリットブラスト機(モデルMB1000、カリフォルニア州バーバンクにあるComco社製)により、20ミクロンシリコンカーバイド媒体を用いて30psiで軽くグリットブラストした。次に、フレームを、機能サイズ約6mmとなるまで、徐々にテーパーマンドレルに滑りこませた。
【0078】
次に、フレーム及びマンドレルを、空気対流オーブン(英国シェフィールドにあるCarbolite社)により初期熱処理に付して初期テーパー(コニカル)形態に形状寸法を固定した。フレームを、周囲温度水で急冷し、マンドレルから取り出して、非反転フレームを得た。
【0079】
図16に、非反転フレーム110を示す。この非反転フレーム110は、支持ストラット34、中央カラー46、頂点108及び放射線不透過性マーカーハウジング106を備えている。頂点108に対して遠位のフレーム部は、フィルター要素支持部32を形成している。次に、フレームを、係留要素のそれら自体の反転をさせながらフレームの外側を拘束するように設計された第二マンドレル上に配置した。適切な形態に拘束されたら、ツーリング及びフレームを、第二熱処理に付して、最終フレーム形状寸法とし且つ適切な温度にニチノール移行させた。得られた反転フレームを、図17に示す。
【0080】
図17に、反転フレーム112を示す。この反転フレーム112は、6つのループ状支持ストラット34a、頂点108、放射線不透過性ハウジング106及び一体中央カラー46を備えている。頂点108に遠位のフレーム部は、フィルター要素支持部32を構成する。
【0081】
当業者には、フィルターフレーム材料(単一又は複数)、寸法、形状寸法及び/又は処理の差異は、全て、異なる望ましい性質の別の実施態様とすることができることは、理解できるところであろう。例えば、頂点108に対する中央カラー46の相対的な位置は、図5C及び図5Dにしたがって変更できる。
【0082】
次に、フレーム(ここでは機能的サイズ及び好ましい形状寸法)に、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)粉末(例えば、FEP5101、デラウエア州ウィルミントンにあるDuPont社製)を薄くコーティングした。この場合、まず粉末を「クラウド」に混合した後、粉末をキッチンブレンダー(Hamilton Beach Blendmaster)中で攪拌し、フレームをブレンダーに約5秒間(FEPがフレームの表面上に堆積するのに十分な時間)降下して入れた。FEP粉末をコーティングしたフレームを、空気対流オーブン(Grieve Oven、イリノイ州ラウンドレイクにあるThe Grieve社製)中、320℃で約1分間保持した後、室温まで空冷した。
【0083】
10ワットCO2レーザーを用いて1層の薄ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜をレーザーせん孔することにより、典型的な濾過媒体を作製した。膜厚は、約0.0002“(0.005mm)であり、引張り強度は、第一方向では約49000psi(約340KPa)であり、第二方向(第一方向に対して垂直)では約17000psi(約120KPa)であった。引張強度の測定は、負荷速度200mm/分、ジョー間隔1”(2.5cm)で実施した。膜の密度は、約2.14g/cm3であった。レーザーパワー及びシャッター時間のパラメータを調整して、レーザーが、膜に均一な直径0.004”(0.1mm)の孔を連続して形成できるようにした。次に、孔パターンの形状寸法を調整して、パターン全体を通じて、孔サイズが均一で、孔間隔が均一で、強度が均一であるパターンを形成した。次に、この有孔パターンをそれ自体に重ね、局部加熱ソース(Weberはんだごて、EC2002M(カリフォルニア州サンタフェスプリングスにあるMcMaster Carr社製)を用いて熱シールして、円錐状のパターンとした。次に、円錐状フラットパターンを、はさみでトリミングし、反転させ、FEP粉末をコーティングしたNiTiフレームに取り付け、局部的に加熱させることにより結合させた(熱により、フレーム上のFEPコーティングが再融解し、フィルターサックの表面上を流れることにより、生体適合性熱可塑性接着がなされる)。
【0084】
次に、ガイドワイヤコンポーネントを、フレームのカラー端部に挿入し、少量の瞬間接着剤(Loctite401、コネチカット州ロッキーヒルにあるLoctitie社製)を適用し、乾燥して接着し、ガイドワイヤからフレームカラーの外径(OD)までスムーズに移行するようにした。当業者には、ガイドワイヤへのフィルターの取付けが、接着、溶接、はんだ付け、ろう付け、これらの組み合わせ又は多数の他の方法により可能であることが分かるであろう。
【0085】
得られた塞栓フィルターは、図1等に示し且つそれらに関連して説明したとおりである。
【0086】
本発明のさらなる実施態様を、図18A〜図18Cに示す。この実施態様によれば、フィルターアセンブリ30は、支持ワイヤ36に摺動可能に取付けられたフレーム31を備えている。この取付けは、種々の手段、例えば、支持ワイヤ36よりもわずかに大きいカラー46を設けて、カラーが使用中に支持ワイヤに対して移動できるようにすることによりおこなうことができる。ストップ114a、114bを、支持ワイヤ36上に設けて、フィルターアセンブリ30と支持ワイヤ36との間の相対的な移動範囲を制限する。このように構成されたフィルターアセンブリ30は、支持ワイヤに対して非常に優れた縦方向コンプライアンスを有しており、支持ワイヤは、縦方向又は回転移動をフィルターアセンブリに移行させることなく、ストップ114の間で自由に動くことができる。ストップ114に対するフィルターアセンブリ30のフルレンジの近位及び遠位移動を、図18B及び図18Cに示す。
【0087】
本発明の特定の実施態様を、本明細書において例示し、説明した。本発明は、このような例示及び説明には限定されない。また、変更及び修正、添付の特許請求の範囲内で本発明の一部分として組み込まれ且つ具体化できることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塞栓フィルターであって、
支持ワイヤと;
前記支持ワイヤに取付けられた複数のストラットを備えた塞栓フィルターフレームと;
を備え、
前記ストラットが、拘束された供給状態と非引張り展開状態を有し;
前記ストラットが、拘束された供給状態にあるときには直線的形態を有し、非引張り展開状態にあるときにはループ状形態であり;
前記ストラットが、展開中、直線形態からループ状形態に変形するようになっている、塞栓フィルター。
【請求項2】
少なくとも3つのループ状支持ストラットをさらに備えた、請求項に記載の塞栓フィルター。
【請求項3】
2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、請求項に記載の塞栓フィルター。
【請求項4】
塞栓フィルターであって、
最大総変位を有する移動可能支持ワイヤと;
複数のループ状支持ストラットと未拘束直径を有するフレームと;
を備え、
前記フレーム未拘束直径を支持ワイヤ総変位により割って得た比が2を超える、塞栓フィルター。
【請求項5】
2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、請求項に記載の塞栓フィルター。
【請求項6】
塞栓フィルターであって、
複数のループ状支持ストラットを備え、展開長さ及び未拘束直径を有するフレームと;
を備え、
前記フレーム展開長さを前記フレーム未拘束直径により割って得た値が、0.5〜1である、
塞栓フィルター。
【請求項7】
2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、請求項に記載の塞栓フィルター。
【請求項8】
塞栓フィルターであって、
複数のループ状支持ストラット、拘束供給長さ及び未拘束長さを有するフレームを、備え、
前記フレーム拘束供給長さを前記未拘束フレーム長さにより割ることにより得た値が、2〜3である、
塞栓フィルター。
【請求項9】
2つの直交図の投影において、少なくとも一つの支持ストラットがループ状形態をしている、請求項に記載の塞栓フィルター。
【請求項10】
管腔内フィルターアセンブリであって、
フィルター要素と;
支持ワイヤと;
前記フィルター要素を前記支持ワイヤに取付けている少なくとも2つの「S」字支持ストラットを備えたフィルターフレームと、
を備えた管腔内フィルターアセンブリ。
【請求項11】
前記フィルターフレームが、前記支持ワイヤに摺動可能に取付けられている、請求項10に記載の管腔内フィルターアセンブリ。
【請求項12】
管腔内フィルターアセンブリであって、
支持ワイヤと;
前記支持ワイヤ付近に取付け且つそれと相対的に移動させるようにしたカラーを備えたフィルターフレームと;
前記フィルターフレームに対して遠位の前記支持ワイヤに取付けた第一ストップと;
前記フィルターフレームに近位の前記支持ワイヤに取付けた第二ストップと;
を備え、
前記支持ワイヤに沿った前記フィルターフレームの移動が、前記第一及び第二ストップにより拘束されている、
管腔内フィルターアセンブリ。
【請求項13】
前記フィルターフレームが少なくとも2つのループ状支持ストラットを備えている、請求項12に記載の管腔内フィルターアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【公開番号】特開2012−196515(P2012−196515A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138703(P2012−138703)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【分割の表示】特願2009−285029(P2009−285029)の分割
【原出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(598123677)ゴア エンタープライズ ホールディングス,インコーポレイティド (279)
【Fターム(参考)】