説明

レイヤリング用グローブおよびグローブ

【課題】長時間使用時や過酷な使用時における防水性を向上させ、かつ手からの汗を吸汗して外部に放出し、グローブ内の蒸れ感を抑制可能としたレイヤリング用グローブを提供する。
【解決手段】最外に着用されるアウターグローブと、前記アウターグローブの下に着用されるミドルグローブと、を有するレイヤリング用グローブであって、前記ミドルグローブは、肌からの水分を吸収する吸水性層と、アウターグローブ側からの水分の侵入を防止するために設けられた撥水性層と、当該ミドルグローブの生地の水分をアウターグローブ側へ放出する透湿性層とを有する生地を有し、前記アウターグローブは、外部からの水分の侵入を防止するために設けられた防水性層と、前記ミドルグローブから放出された水分を外部に放出する透湿性層とを有する生地を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最外に着用されるアウターグローブとアウターグローブの下に着用されるミドルグローブとを有するレイヤリング用グローブ、およびそのグローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、完全防水性を謳ったグローブが知られている。このようなグローブとして、例えば、表地、インサート、スポンジ、綿、ライナーの順に重ねたグローブ生地がある。このインナーとして、防水性のプラスチックフィルムが用いられる。また、Out Dry(登録商標)のグローブが知られている。これは、防水性かつ通気性に優れた皮膜をグローブシェルの内側に直接接着しているものである。また、縫製で生じる穴(縫い目)にシームテープを貼り付けて防水性を強化したグローブもある。
【0003】
しかしながら、これらグローブを1着のみ着用した場合、長時間の使用や過酷な使用をした場合に、グローブの指の付け根などの溶着部が破れたり、指や掌部が摩耗して防水機能が低下し浸水してしまうことが問題視されている。つまり、完全防水性をうたっているものの、長時間使用において防水性の低下が避けられないものであり、耐久性に問題があった。例えば、過酷な使用を繰り返すと、インサートの防水性プラスチックフィルムが破裂したり内部摩耗により破れてしまう。また、Out Dry(登録商標)の皮膜やシームテープの補強も、過酷な使用を繰り返すと、破裂したり内部摩耗により破れてしまう。
【0004】
上記問題の対策として、破裂や摩耗に強い素材を使用することも考えられるが、この場合、握り動作などの操作性が極端に悪くなり、またグローブ内の環境の問題(蒸れ)が顕著になってくる。すなわち、現状のグローブにおいては、長時間使用および過酷な使用において完全な防水性とグローブ内環境の快適性を両立させることは非常に困難である。
【0005】
また、手袋の上に着用する防水用手袋が知られている(特許文献1)。これは、二輪自動車のハンドル操作性を損なわないようにするために、雨等の際には、通常の手袋(合成皮革、本革)の上に防水用手袋(高強度プラスチックフィルム材)を着用するというものである。防水用手袋は、2輪自動車の操作性を邪魔しない程度に柔軟性の高い素材(生地)であることが要求され、過酷な使用環境では直ぐに破れてしまう。また、二輪自動車の手袋は、ハンドル操作性を重視しているため皮革素材を使用するケースが多く、汗放出機能が弱く、さらに防水性のプラスチックフィルムで覆われるため、手袋内でさらに蒸れることになる。
【0006】
また、アウター手袋のすべりを防止するとともに、アウター手袋と一体感をもたせることにより作業性や運動性を向上させたインナー手袋が知られている(特許文献2)。このインナー手袋は、少なくとも掌側に、ゴム系または樹脂系の塗料ですべり止め模様を形成しているものであって、アウター手袋の防水性改善に着目したものではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−32111号公報
【特許文献2】特開2000−64110号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、従来の完全防水ではあるが耐久性が弱いグローブとは根本的に異なった発想に基づいて開発されたものである。すなわち、本発明は、耐久性のある完全防水ではないが、防水性の劣化を補うべく複数のレイヤーで水の浸入を防止するものである。そして、本発明は、アウターグローブとミドルグローブとを重ねて着用することで、長時間使用時や過酷な使用時における防水性を向上させ、かつ撥水性のアンダーグローブと吸水性のミドルグローブとを重ねて着用することで、手からの汗を吸汗し、ミドルグローブおよびアウターグローブの透湿性能によって汗を好適に放出して、グローブ内の蒸れ感を抑制可能としたレイヤリング用グローブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、最外に着用されるアウターグローブと、前記アウターグローブの下に着用されるミドルグローブと、を有するレイヤリング用グローブであって、
前記ミドルグローブを構成する生地は、肌からの水分を吸収する吸水性層と、アウターグローブ側からの水分の侵入を防止するために設けられた撥水性層と、当該ミドルグローブの生地の水分をアウターグローブ側へ放出する透湿性層とを有し、
前記アウターグローブを構成する生地は、外部からの水分の侵入を防止するために設けられた防水性層と、前記ミドルグローブから放出された水分を外部に放出する透湿性層とを有する、レイヤリング用グローブである。
【0010】
この構成によれば、アウターグローブとミドルグローブとを重ねて着用することで、長時間使用時や過酷な使用時における水分浸入防水機能を向上させ(ミドルグローブの撥水性層で補完させ)ることができる。また、肌からの汗(水分)をミドルグローブの吸水性層で一旦吸水し、この水分をミドルグローブおよびアウターグローブの透湿性層の機能によって好適に放出できるため、グローブ内の蒸れ感を抑制して、グローブ内環境を快適にできる。本発明によれば、アウターグローブの防水性を耐久性のある完全なものにするよりも、撥水性機能のミドルグローブで水の浸入を防止し、防水性を補完させている。耐久性のある防水性生地を用いると、厚い生地になるが、本発明によれば、防水レイヤーと撥水レイヤーの2枚の重ね着用により、運動性を損なうことなく、長時間使用時、過酷な使用時(例えば、登山等)において、アウターグローブの防水力が低下したとしてもミドルグローブで水分の浸入を阻止し、かつアウターグローブの透湿性層によってアウターグローブの内側(下側)に浸入した水分を戻すことができる。また、手からの汗などの水分(水滴、水蒸気)は、ミドルグローブの吸水性層に移り拡散され、透湿性生地(層)によって、湿分(水蒸気)がミドルグローブからアウターグローブ(透湿性層)を介して外部に放出される。
【0011】
また、従来であれば、アウターグローブを脱いだら、肌が濡れてしまっていたが、本発明によれば、アウターグローブを脱いでも、ミドルグローブの撥水性層の効果によって、水分(雨、雪)の浸入を阻止できて、ミドルグローブのみで行動できる。
【0012】
本発明において、アウターグローブは、防水性層と透湿性層とが異なる生地で構成されていてもよいが、両方機能を兼ね備えた生地で構成されていてもよい。また、ミドルグローブは、撥水性層と透湿性層とが異なる生地で構成されていてもよいが、両方機能を兼ね備えた生地で構成されていてもよい。また、ミドルグローブの下にアンダーグローブを着用していてもよく着用していなくてもよい。
【0013】
また、上記発明の一実施形態として、前記レイヤリング用グローブは、肌に直接着用されるアンダーグローブをさらに有し、前記アンダーグローブの上に前記ミドルグローブが直接着用され、前記アンダーグローブを構成する生地は、撥水性を有し、前記ミドルグローブの前記吸水性層は、前記アンダーグローブの前記撥水性の生地を通過した肌からの水分を吸収する。
【0014】
この構成では、肌に直接着用されるアンダーグローブを着用し、その上にミドルグローブが直接着用される。このアンダーグローブが撥水性を有する生地を有して構成されていることで、肌からの汗(水分)をアンダーグローブの生地(生地隙間)から上のミドルグローブの吸水性層に移り拡散され、透湿性生地(層)によって、湿分(水蒸気)がミドルグローブからアウターグローブ(透湿性層)を介して外部に放出される。すなわち、撥水性のアンダーグローブと吸水性のミドルグローブとを重ねて着用することで、手からの汗を吸汗し、ミドルグローブおよびアウターグローブの透湿性能によって汗を好適に放出して、グローブ内の蒸れ感を抑制して、グローブ内環境を快適にできる。
【0015】
また、従来であれば、アウターグローブを脱いだら、肌が濡れてしまっていたが、この実施形態によれば、アウターグローブを脱いでも、ミドルグローブおよびアンダーグローブの2重の撥水性層(2重の撥水レイヤー)の効果によって、水分(雨、雪)の浸入を阻止できて、ミドルグローブおよびアンダーグローブのみで行動できる。
【0016】
また、上記発明の一実施形態として、前記アウターグローブが前記ミドルグローブの上に直接着用されることが好ましい。ミドルグローブとアウターグローブとの間に第2のミドルグローブを着用することもできるが、グローブを4以上枚着用するよりも、3枚着用したほうが、薄く軽量となって、握り動作等の運動性に優れるため好ましい。
【0017】
また、上記発明の一実施形態として、前記アンダーグローブの生地は、撥水加工が施された編物あるいは予め撥水加工が施された糸で編まれた編物である。
【0018】
また、他の本発明は、上記のレイヤリング用グローブに用いられるアンダーグローブである。また、他の本発明は、上記のレイヤリング用グローブに用いられるミドルグローブである。また、他の本発明は、上記のレイヤリング用グローブに用いられるアウターグローブである。
【0019】
また、他の発明は、最外に着用されるアウターグローブの下に着用されるグローブであって、
前記グローブを構成する生地は、肌からの水分を吸収する吸水性層と、アウターグローブ側からの水分の侵入を防止するために設けられた撥水性層と、当該グローブの生地の水分をアウターグローブ側へ放出する透湿性層とを有する。
【0020】
また、上記発明の一実施形態として、前記グローブが、肌に直接着用されるアンダーグローブと前記アウターグローブとの間に着用され、前記アンダーグローブを構成する生地は、撥水性を有し、前記グローブの前記吸水性層は、前記アンダーグローブの前記撥水性の生地を通過した肌からの水分を吸収することが好ましい。
【0021】
また、上記発明の一実施形態として、前記アンダーグローブの上に前記グローブが直接着用され、前記アウターグローブを構成する生地が、外部からの水分の侵入を防止するために設けられた防水性層と、前記グローブから放出された水分を外部に放出する透湿性層とを有することが好ましい。生地は1枚生地でもよく複数生地からなる積層生地で構成されていてもよい。
【0022】
また、上記発明の一実施形態として、前記グローブは、肌に直接着用され、肌に直接接する側に、肌側撥水性層を有する。肌側撥水性層は、上述のアンダーグローブの機能を発揮する。グローブは、肌側撥水性層、吸水性層、撥水性層、透湿性層(あるいは透湿性層、撥水性層、これら両機能層)の生地として構成される。生地は1枚生地でもよく複数生地からなる積層生地で構成されていてもよい。
【0023】
また、他の発明のグローブは、肌からの水分を通過させる肌側撥水性層と、前記撥水性層を通過した水分を吸収する吸水性層と、外部からの水分の浸入を防止するために設けられた外側撥水性層と、前記吸水性層の水分を外部へ放出する透湿性層とを有する。上述のアンダーグローブとミドルグローブの機能を合わせたグローブである。このグローブは、肌側撥水性層、吸水性層、撥水性層、透湿性層(あるいは透湿性層、撥水性層、これら両機能層)の生地として構成される。生地は1枚生地でもよく複数生地からなる積層生地で構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】アンダーグローブの掌部と甲部の外観図である。
【図2】ミドルグローブの掌部と甲部の外観図である。
【図3】アウターグローブの掌部と甲部の外観図である。
【図4】重ねて着用した状態(レイヤリング)を説明するための図である。
【図5】重ねて着用した状態(レイヤリング)を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本実施形態のレイヤリング用グローブについて図1〜図4を用いて説明する。図1はアンダーグローブの掌部と甲部の外観図を示し、図2はミドルグローブの掌部と甲部の外観図を示し、図3はアウターグローブの掌部と甲部の外観図を示し、図4、5は、それらを重ねて着用した状態を示す。
【0026】
(アンダーグローブ)
図1に示すアンダーグローブは、肌に直接着用される。アンダーグローブは、撥水性を有する生地で形成される。この生地は、撥水加工が施された編物あるいは予め撥水加工が施された糸で編まれた編物、または撥水加工が施された織物あるいは予め撥水加工が施された糸で織られた織物であり、織組織と編み組織が混在してあってもよい。糸は、特に制限されず、例えば、ナイロン、ポリエステルなどがあげられる。また、編織方法は特に制限されず、1種以上の方法で編まれていてもよく、織られていてもよい。編み方法としては、例えば、フライス編み、天竺編み、丸編み、メッシュ編み(レース編み)等があげられる。織り方法として、例えば、平織、綾織等があげられる。
【0027】
また、撥水性を有する生地は、グローブ全体に形成されていることが好ましいが、多量の汗が発汗する部位(手の平)に配置されていてもよい。また、生地表裏内部のすべてにわたり撥水性が発揮されることが好ましいが、これに制限されず、例えば、少なくとも生地の肌面側に撥水加工が施されていてもよい。糸の段階で、撥水加工が施されていてもよく、撥水加工された糸と撥水加工されていない糸の混合糸で生地を構成していてもよいが、撥水加工糸の比率の方が高くなるように組み合わせることが好ましい。撥水剤は、特に制限されず、例えば、フッ素系撥水剤、シリコン系撥水剤等が挙げられる。撥水加工の方法も特に制限されず、浸漬(ディッピング)、スプレーコーティング、プリント、転写等が挙げられる。アンダーグローブの織編組織は、粗い織目、粗い編目(隙間)を有しているほうが汗をミドルグローブ側に移動させやすい。この隙間の最大開口部面積として、例えば8mm以下が挙げられ、4mm以下が好ましい。一方、アンダーグローブ1枚着用時において、保温性の観点から例えば、3mm以下が好ましく、より好ましくは2mm以下の隙間である。隙間を設ける場合に、部分的にメッシュ部(貫通穴部)を形成するように生地を編むようにしてもよい。また、ストレッチ性の向上のために、ストレッチ糸が生地構成要素の一部に用いられていてもよい。
【0028】
(ミドルグローブ)
図2に示すミドルグローブは、肌からのあるいはアンダーグローブの撥水性生地を通過した肌からの水分(水蒸気、液滴)を吸収する吸水性層(あるいは吸収し、拡散させる吸収拡散性層)と、アウターグローブからの水分(雨等)の浸入を防止するために設けられた撥水性層と、当該ミドルグローブの生地の水分(水蒸気、湿分)をアウターグローブ側へ放出する透湿性層とを有する生地を有して構成される。一枚の生地が吸水性層と撥水性層と透湿性層とを有していてもよく、吸水性層生地と撥水性層生地と透湿性層生地との3枚の生地を積層してミドルグローブの生地を構成していてもよい。この積層加工は、例えば、接着剤、溶着、縫製等が挙げられる。
【0029】
吸水性層または吸収拡散層で吸水した汗は、撥水性生地のアンダーグローブによって遮られ肌側へは移動しない(実使用時おいて水分逆戻りを感じないものである)。さらに、吸水された水分は、透湿性層(生地)によってアウターグローブ側へ放出され、さらにアウターグローブを介してグローブ内の水分は外部へ放出されることになる。
【0030】
また、吸水性層または吸収拡散層の生地は、アンダーグローブの撥水性を有する生地に対応した位置に配置され、例えば、グローブ全体、多量に汗が発汗する部位(掌部、指の付け根等)等に配置される。また、透湿性層は、吸水性層あるいは吸収拡散層の生地に対応した位置に少なくとも配置されている。
【0031】
透湿性層は、撥水性層も兼ねた撥水透湿性素材または生地で構成されていることが好ましい。また、ミドルグローブは、吸水性層と撥水透湿性層の間に保温性層を有し、この保温性層は、起毛等の繊維生地を有して構成されていてよく、吸水性層が保温性を兼ね備えていてもよい。撥水透湿性層を構成する生地としては、例えば、ポリエステル単体、ポリエステルとポリウレタンの混合などが挙げられ、この生地を撥水加工または糸段階で撥水加工する。吸水性層を構成する生地としては、例えば、吸汗加工されたポリエステル、ナイロンなどが挙げられる。吸水性層または吸収拡散性層および保温性層を兼ねた生地としては、例えば、吸汗加工したポリエステルと未防縮のウールとを混合したコア層に吸汗加工したポリエステル(異形断面ポリエステル)でスパイラル状に交撚した立体ニ層構造の糸を用いた袋編み構造の生地などが挙げられる。また、ストレッチ性の向上のために、ストレッチ糸が生地構成要素の一部に用いられていてもよい。
【0032】
図5では、ミドルグローブの吸水性層21がアンダーグローブ側、撥水透湿性層22がアウターグローブ側に配置されている。肌からの水分は、アンダーウエアの撥水性層11を通過し、吸水性層21で一旦吸水され、蒸気となって吸水性層21から撥水透湿性層22を通過し、アウターグローブの防水透湿性層31を通過して外部に放出する。外部の水分は、アウターグローブの防水性によって使用はじめは浸入しないが、防水性が低下したとき、ミドルグローブの撥水透湿性層22で水分を撥水させて水分の内部浸入を防止する。仮に、撥水透湿性層22を通過する水分があったとしても、吸水性層21で吸水させ、かつアンダーグローブの撥水性層11で水分の浸入を防止する。そして吸水性層21の水分は、上述のとおり蒸気となって吸水性層21から撥水透湿性層22を通過し、アウターグローブの防水透湿性層31を通過して外部に放出させることができる。
【0033】
また、ミドルグローブの機能としては、さらに、例えば、防寒性、防風性等が挙げられる。また、ミドルグローブを2枚のグローブとしてもよく、例えば、吸水性または吸汗拡散性を有する第1ミドルグローブを肌側に着用し、撥水透湿性を有する第2ミドルグローブをその上に重ねて着用することができる。
【0034】
ミドルグローブとアンダーグローブの2枚の着用をする場合、アウターグローブによる防水性機能がなくなるものの他の上記効果は損なわれないため、例えば、雨天時や風雪環境以外において、アウターグローブを着用せずに、ミドルグローブとアンダーグローブとを2枚着用することで十分に効果がある。従来であれば、素手で作業をすることになっていたが、本発明によれば、ミドルグローブ(およびアンダーグローブ)を着用して作業が可能となり、手が冷えて凍傷になる危険も回避できる。
【0035】
(アウターグローブ)
図3に示すアウターグローブは、外部からの水分の侵入を防止するために設けられた防水性層と、ミドルグローブから放出された水分を外部に放出する透湿性層とを有する生地を有して構成される。
【0036】
透湿性層の生地は、ミドルグローブの透湿性を有する生地に対応した位置に少なくとも配置され、例えば、グローブ全体、多量に汗が発汗する部位(掌部、指の付け根等)等に配置される。
【0037】
アウターグローブは、防水性および透湿性を兼ね備えた防水透湿性の素材または生地を有して構成されることが好ましい。また、他の機能として、例えば、耐久性、耐候性、防寒性、防風性、耐雨性等を有していることが好ましい。アウターグローブの外表面からの防水性は、完全である必要がなく、ミドルグローブとの重ね着用で従来よりも優れた防水性を発揮するものである。防水透湿性層を構成する生地としては、例えば、ポリカーボネート系ポリウレタン素材などがあげられる。また、アウターグローブは、保温性層を有し、この保温性層は、起毛等の合繊繊維生地を有して構成されていてもよく、他には、例えばウール、コットン等で構成されていてもよい。
【0038】
また、アンダーグローブ、ミドルグローブ、アウターグローブは、上記の機能を有するものに制限されず、使用目的に応じて機能を省略、別機能を追加可能である。
【0039】
また、アウターグローブ、ミドルグローブの糸材料、編織方法は特に制限されない。アウターグローブは、例えば、表面生地に強靭でストレット性に優れたツイル織り組織の生地を用いると好ましい。また、各種加工処理(例えば、撥水加工、UVカット加工、防水透湿加工、樹脂加工、抗菌防臭加工等)も適宜施されていてもよい。
【0040】
また、各グローブには、フィット性あるいは締め付け用にゴム素材や紐部材、開閉自在の留め具を用いてあってもよい。このような留め具としては、例えば、通常のボタン、点ファスナー(例えば、スナップボタン)、線ファスナー(例えば、ジッパー、チャック)または面ファスナー(例えば、マジックテープ(登録商標))が挙げられ、これらを単独でまたは2種類以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0041】
上記実施形態のミドルグローブの別例として、肌からの水分を通過させる肌側撥水性層と、この撥水性層を通過した水分を吸収する吸水性層と、外部からの水分の浸入を防止するために設けられた外側撥水性層と、吸水性層の水分を外部へ放出する透湿性層とを有する。上述のアンダーグローブとミドルグローブの機能を合わせたグローブである。このグローブは、肌側撥水性層、吸水性層、撥水性層、透湿性層(あるいは透湿性層、撥水性層、これら両機能層)の生地として構成される。生地は1枚生地でもよく複数生地からなる積層生地で構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 アンダーグローブ
2 ミドルグローブ
3 アウターウェア
11 撥水性層
21 吸水性層
22 撥水透質性層
31 防水透湿性層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外に着用されるアウターグローブと、前記アウターグローブの下に着用されるミドルグローブと、を有するレイヤリング用グローブであって、
前記ミドルグローブを構成する生地は、肌からの水分を吸収する吸水性層と、アウターグローブ側からの水分の侵入を防止するために設けられた撥水性層と、当該ミドルグローブの生地の水分をアウターグローブ側へ放出する透湿性層とを有し、
前記アウターグローブを構成する生地は、外部からの水分の侵入を防止するために設けられた防水性層と、前記ミドルグローブから放出された水分を外部に放出する透湿性層とを有する、レイヤリング用グローブ。
【請求項2】
前記レイヤリング用グローブは、肌に直接着用されるアンダーグローブをさらに有し、
前記アンダーグローブの上に前記ミドルグローブが直接着用され、
前記アンダーグローブを構成する生地は、撥水性を有し、
前記ミドルグローブの前記吸水性層は、前記アンダーグローブの前記撥水性の生地を通過した肌からの水分を吸収する、請求項1に記載のレイヤリング用グローブ。
【請求項3】
前記アウターグローブが前記ミドルグローブの上に直接着用される、請求項1または2に記載のレイヤリング用グローブ。
【請求項4】
前記アンダーグローブの生地は、撥水加工が施された編物あるいは予め撥水加工が施された糸で編まれた編物である請求項1から3のいずれか1項に記載のレイヤリング用グローブ。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のレイヤリング用グローブに用いられるアンダーグローブ。
【請求項6】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のレイヤリング用グローブに用いられるミドルグローブ。
【請求項7】
前記請求項1〜4のいずれか1項に記載のレイヤリング用グローブに用いられるアウターグローブ。
【請求項8】
最外に着用されるアウターグローブの下に着用されるグローブであって、
前記グローブを構成する生地は、肌からの水分を吸収する吸水性層と、アウターグローブ側からの水分の侵入を防止するために設けられた撥水性層と、当該グローブの生地の水分をアウターグローブ側へ放出する透湿性層とを有する、グローブ。
【請求項9】
前記グローブが、肌に直接着用されるアンダーグローブと前記アウターグローブとの間に着用され、
前記アンダーグローブを構成する生地は、撥水性を有し、
前記グローブの前記吸水性層は、前記アンダーグローブの前記撥水性の生地を通過した肌からの水分を吸収する、請求項8に記載のグローブ。
【請求項10】
前記アンダーグローブの上に前記グローブが直接着用され、前記アウターグローブを構成する生地が、外部からの水分の侵入を防止するために設けられた防水性層と、前記グローブから放出された水分を外部に放出する透湿性層とを有する、請求項8または9に記載のグローブ。
【請求項11】
前記グローブは、肌に直接着用され、肌に直接接する側に、肌側撥水性層を有する、請求項8に記載のミドルグローブ。
【請求項12】
肌からの水分を通過させる肌側撥水性層と、
前記撥水性層を通過した水分を吸収する吸水性層と、
外部からの水分の浸入を防止するために設けられた外側撥水性層と、
前記吸水性層の水分を外部へ放出する透湿性層とを有するグローブ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−23780(P2013−23780A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159074(P2011−159074)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(504113190)株式会社finetrack (5)
【Fターム(参考)】