説明

レクタングラー型寝袋

【課題】 レギュラーサイズおよびキングサイズの両サイズに変形可能で、かつ、大きさを共通する寝袋同士で連結が可能なレクタングラー型寝袋を提供する。
【解決手段】 連接が可能な第1の連接手段(14)および第2の連接手段(15)により、矩形の布地が2つ折りの状態で一端開放となるレクタングラー型寝袋であり、第1の連接手段(14)がある側部に、ガセット(13)が設けられ、連接が可能な第3の連接手段(21)および第4の連接手段(22)をガセット(13)の外側部および第2の連接手段(15)がある側部とに設け、ガセット(13)は通常は内部に収容され、ガセット(13)を第1の連接手段(14)がある側部から外側に展開し、第3の連接手段(21)および第4の連接手段(22)を連接することにより、開口幅を拡張できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レクタングラー型寝袋に関し、特に、展開した状態で2つ重ねに連結して使用可能なレクタングラー型寝袋に関する。
【背景技術】
【0002】
寝袋には、大別してレクタングラー型寝袋とマミー型寝袋との2種類がある。いずれの寝袋の布材も、それぞれの形状に裁断された表地と裏地の間に中綿を入れ、縫い合わせて形成する。マミー型寝袋は、使用する人が足から入って、頭や顔を出すことが可能なように、頭側孔および該孔から足側に伸長する1組ないしは2組のスライドファスナを設けて、足側部が細い袋状に縫い合わせて形成する。一方、レクタングラー型寝袋は、前記布材を矩形に形成して、2つ折りの状態で一端(頭側端部)が開放の矩形袋状となるように、開放状態で、足側端部中央から両側部への3辺近傍に1組のスライドファスナを設ける。
【0003】
レクタングラー型寝袋は、開口端部から足側端部までの長さが約190cmで、開口幅が約84cmの大きさが標準(レギュラーサイズ)である。しかし、使用する人の体格に合わせて、開口端部から足側端部までの長さが約200cmで、開口幅が約100cmの大きさのものもある(キングサイズ)。
【0004】
例えば、体格の小さい人がキングサイズのレクタングラー型寝袋に入ると全体に余分な隙間ができて、内部が温まりにくく、暖まった空気も逃げやすいという問題がある。一方、季節により寝袋に入る時の衣類の厚さが異なるため、普段はレギュラーサイズの寝袋で充分な人が、キングサイズの寝袋が必要となる場合も生じる。従って、2種類のレクタングラー型寝袋を装備しなければならない不合理を解消するために、レギュラーサイズおよびキングサイズの相互に変形可能なレクタングラー型寝袋が求められている。
【0005】
また、近年は、大型のテントの中や、オートキャンプのように充分な広さの車内などで使用される機会が多くなってきたため、複数人が同時に使用できるように、2つのレクタングラー型寝袋を、開放状態で裏地が向き合わされた状態で重ねて、それぞれのスライドファスナを連接させることにより、レクタングラー型寝袋を連結して使用される場合がある。構造的にマミー型寝袋ではこのような連結はできないが、大きさおよびスライドファスナの種類を共通化することにより、レクタングラー型寝袋ではかかる連結が可能となる。
【0006】
特許第2574633号公報には、このような連結機能を高めたレクタングラー型寝袋が記載されている。
【0007】
しかし、サイズの異なるレクタングラー型寝袋では、布材自体の大きさもスライドファスナの長さも異なるため、両者を連結することは困難である。従って、レギュラーサイズのレクタングラー型寝袋同士およびキングサイズのレクタングラー型寝袋同士の連結はそれぞれ可能でも、異なるサイズのレクタングラー型寝袋同士の連結ができないという問題があった。
【0008】
そのため、すでにレクタングラー型寝袋を所有していて、さらに連結用のレクタングラー型寝袋を購入する場合には、所有している寝袋のサイズに合わせる必要があり、例えば、レギュラーサイズとキングサイズの2種類を購入しても、かかる連結を行うことができず、一方、サイズを揃えてしまうと、2つの寝袋を所有していても、状況に応じたサイズの変更に対応できないという問題があった。
【0009】
【特許文献1】特許第2574633号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、レギュラーサイズおよびキングサイズの両サイズに変形可能で、かつ、大きさを共通する寝袋同士で連結が可能なレクタングラー型寝袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のレクタングラー型寝袋は、連接が可能な第1の連接手段および第2の連接手段により、矩形の布地が2つ折りの状態で一端開放となるレクタングラー型寝袋であり、第1の連接手段がある側部に、ガセットが設けられ、連接が可能な第3の連接手段および第4の連接手段を該ガセットの外側部および第2の連接手段がある側部とに設け、該ガセットは通常は内部に収容され、該ガセットを第1の連接手段がある側部から外側に展開し、第3の連接手段および第4の連接手段を連接することにより、開口幅を拡張できる。
【0012】
さらに、前記各連接手段がスライドファスナであることが好ましい。
【0013】
さらに、2つの前記レクタングラー型寝袋を開放状態で裏地が向き合わされた状態で重ねて、相互の第1の連接手段と第2の連接手段とを連接することが可能であり、かつ、相互の第3の連接手段と第4の連接手段とを連接することが可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、レギュラーサイズおよびキングサイズの両サイズに変形可能で、同じ大きさの寝袋であれば相互に連結が可能なレクタングラー型寝袋が提供され、1つないしは2つの寝袋により多様なニーズに応えることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施例のレクタングラー型寝袋を示す平面図である。図2は、レギュラーサイズでの使用状態を示す平面図であり、図3は、図2のIII-III断面図である。図4は、キングサイズでの使用状態を示す平面図であり、図5は、図4のV-V断面図である。
【0016】
布材は、矩形で、表地(11)と裏地(12)とにより、断熱効果が得られる中綿を収容する。布材は、連接が可能な第1のスライドファスナ(14)および第2のスライドファスナ(15)により(両者で1組のスライドファスナを構成する)、2つ折りの状態でレギュラーサイズの開口幅を有する一端開放のレクタングラー型寝袋本体となる。スライダー(14a)は、第1のスライドファスナ(14)に設けても、第2のスライドファスナ(15)に設けてもよい。連接手段としては、スライドファスナでなくとも、面ファスナやボタン止めなど、公知の技術のいずれでもよい。
【0017】
第1のスライドファスナ(14)がある本体側部に、開放端から一方の側部途中までの長さを長辺とする布材からなるガセット(13)が設けられる。
【0018】
さらに、第3のスライドファスナ(21)を、ガセット(13)の外側部(本体に接続されていない側)に設け、第3のスライドファスナと組み合わされる第4のスライドファスナ(22)を、第2のスライドファスナ(15)がある本体側部近傍で第3のスライドファスナの設置位置に対応する部分に設ける。スライダー(21a)は、第3のスライドファスナ(21)に設けても、第4のスライドファスナ(22)に設けてもよい。第4のスライドファスナ(22)は、第2のスライドファスナ(15)と平行するように設ければよく、表地(11)の側であっても、裏地(12)の側であっても、いずれでもよい。
【0019】
ガセット(13)は、図1に示すように、展開した状態で2つの略三角形を対称に並置した形状であり、図4に示すように、中央部で縦に折り畳むことにより袋状の略三角形を形成する。通常の使用状態では、本体内部に全体が折り畳まれているが、ガセット(13)を本体から外側に引き出し、これを折り畳んで、第3のファスナおよび第4のファスナを連接することにより、開口端側に拡張部が形成される。
【0020】
すなわち、ガセット(13)の開口部における幅を約32cmとし、第3のスライドファスナ(21)と第4のスライドファスナ(22)を連接することにより、レギュラーサイズであった開口幅の84cmを、キングサイズである開口幅の100cmに拡張可能となる。
【0021】
図示した例では、ガセット(13)を略三角形にして、腰から上にあたる部分がラッパ状に膨らみ、開口幅をキングサイズとなるようにした。人は、大きい体型であっても、一般的体型の人との比較では、腰から下の差異は小さく、通常、腰から胸までの断面積の差異が大きいので、図示した例のように開口端寄りが広いラッパ形状とすれば充分である。しかし、例えばガセット(13)を約32cm×約190cmの縦長の矩形にして、通常のキングサイズのレクタングラー型寝袋の形状に変形可能としてもよい。また、ガセット(13)は、扇形状でもよい。
【0022】
図6は、2つのレクタングラー型寝袋の連結状態を示す平面図であり、図7は、図6のVII-VII断面図である。
【0023】
本発明の2つのレクタングラー型寝袋を、裏地が向き合うようにして、一方の寝袋の第1のスライドファスナ(14)と、他方の寝袋の第2のスライドファスナ(15)とを連接する。このように連結させることにより、2人以上の人が同時に使用可能となる。
【0024】
さらに、本発明のレクタングラー型同士の場合には、それぞれのガセット(13)を引き出して、一方の第3のスライドファスナ(21)を他方の第4のスライドファスナ(22)に連接することにより、両側に拡張部を形成することが可能であり、開口端の長さを200cmまで拡張することができる。体格の大きな大人同士や親子全員で同時に使用可能となる。
【0025】
なお、図示した実施例では、本発明のレクタングラー型寝袋を2つ連結させているが、従来のレギュラーサイズのレクタングラー型寝袋に、本発明のレクタングラー型寝袋を連結させることも可能である。この場合、ガセット(13)により拡張部を形成することはできないが、単独使用の場合には、上述の作用・効果を有するので、多様な状況に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例のレクタングラー型寝袋を示す平面図である。
【図2】図1に示したレクタングラー型寝袋をレギュラーサイズで使用した状態を示す平面図である。
【図3】図2のIII-III断面図である。
【図4】図1に示したレクタングラー型寝袋をキングサイズで使用した状態を示す平面図である。
【図5】図4のV-V断面図である。
【図6】図1に示したレクタングラー型寝袋を2つ、連結した状態を示す平面図である。
【図7】図6のVII-VII断面図である。
【符号の説明】
【0027】
11 表地
12 裏地
13 ガセット
14 第1のスライドファスナ
14a スライダー
15 第2のスライドファスナ
21 第3のスライドファスナ
21a スライダー
22 第4のスライドファスナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連接が可能な第1の連接手段および第2の連接手段により、矩形の布地が2つ折りの状態で一端開放となるレクタングラー型寝袋であり、第1の連接手段がある側部に、ガセットが設けられ、連接が可能な第3の連接手段および第4の連接手段を該ガセットの外側部および第2の連接手段がある側部とに設け、該ガセットは通常は内部に収容され、該ガセットを第1の連接手段がある側部から外側に展開し、第3の連接手段および第4の連接手段を連接することにより、開口幅を拡張できることを特徴とするレクタングラー型寝袋。
【請求項2】
前記各連接手段がスライドファスナである請求項1に記載のレクタングラー型寝袋。
【請求項3】
2つの前記レクタングラー型寝袋を開放状態で裏地が向き合わされた状態で重ねて、相互の第1の連接手段と第2の連接手段とを連接することが可能であり、かつ、相互の第3の連接手段と第4の連接手段とを連接することが可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のレクタングラー型寝袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−68063(P2006−68063A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−251609(P2004−251609)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(593107454)ザ・コールマン・カンパニー・インコーポレイテッド (44)
【氏名又は名称原語表記】THE COLEMAN COMPANY, INC.