説明

レゾネータ

【課題】軽量化及び低コスト化が可能で所望の性能を確実に得ることができるレゾネータを提供する。
【解決手段】本体部35の外縁部から係止部36を屈曲可能に延設する。係止部36を本体部35に対して屈曲して本体部35の外縁部と連続する連接部49をホイール11のリム面26に圧接させた状態でリム面26に対向する突出部34に端部側を保持してリム面26と本体部35との間に副気室38を区画させる。本体部35に、副気室38と空気室25とを連通する連通部37を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤとこのタイヤが取り付けられたホイールとの間の空気室に配置されて騒音を低減するレゾネータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製のホイールにゴム製のタイヤを装着した車輪について、路面からタイヤに伝わるランダムな振動がホイールとタイヤとの間の空気室の空気を振動させ、空気室の気柱共鳴周波数付近で共鳴現象(空洞共鳴)を生じさせ、共鳴音である騒音が発生する現象が知られている。そして、この騒音を低減するため、連通部を介して空気室に連通する副気室をホイールに形成し、この連通部及び副気室でヘルムホルツレゾネータとして機能するレゾネータ(共鳴器)を構成し、騒音の軽減を図った構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この引用文献1の構成は、いわゆるランフラットタイヤであり、金属製のホイールのリム面に対して、一枚の金属プレートを変形させて形成した支持部がゴム製の脚部により支持された支持体を備え、支持部に対して蓋部材が取り付けられてこれら支持部と蓋部材との間に副気室が区画されているとともに、この副気室が、支持部に設けられた連通部である連通孔を介して空気室と連通するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−148978号公報 (第5−8頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のレゾネータでは、構成部品の点数が多いため、部品コスト、重量及び組み付け工数などが増加するという問題点を有している。
【0005】
この点、例えば内部に副気室を区画する中空状のレゾネータをブロー成形などにより樹脂成形することも考えられる。しかしながら、ヘルムホルツレゾネータにおいては、副気室の容量、連通部の長さや断面積などによって共鳴周波数が設定されるため、板厚などの寸法精度の管理が容易でないブロー成形で形成した場合、意図した性能を得ることが容易でなく、後加工などが必要となり、工数が増加するとともに、副気室を内部に区画するので、重量が重くなる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、軽量化及び低コスト化が可能で所望の性能を確実に得ることができるレゾネータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載のレゾネータは、タイヤとこのタイヤが取り付けられたホイールとの間の空気室に配置されて騒音を低減するレゾネータであって、本体部と、この本体部の外縁部から屈曲可能に延設され、この本体部に対して屈曲されてこの本体部の外縁部と連続する部分がホイールのリム面に圧接された状態でこのリム面に対向する保持部に端部側が保持されることによりこのリム面と前記本体部との間に副気室を区画させる係止部と、前記本体部に設けられ、前記副気室と前記空気室とを連通する連通部とを具備したものである。
【0008】
請求項2記載のレゾネータは、請求項1記載のレゾネータにおいて、係止部は、本体部の外縁部と連続する部分から保持部に保持される端部側までの距離が、ホイールのリム面と保持部との距離以上に形成されているものである。
【0009】
請求項3記載のレゾネータは、請求項1または2記載のレゾネータにおいて、係止部は、本体部の外縁部と連続する部分に突出しホイールのリム面に対して弾性的に圧接される弁体を備えているものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載のレゾネータによれば、本体部の外縁部から延設した係止部を本体部に対して屈曲させ、この本体部の外縁部と連続する部分をホイールのリム面に圧接した状態で端部側を保持部に保持することで本体部とホイールのリム面との間に副気室を区画するので、例えば内部に副気室を形成する場合と比較して軽量化が可能になるとともに、部品点数の削減に伴う部品コストや組み付け工数の削減による低コスト化が可能となり、かつ、レゾネータを例えば合成樹脂を用いた射出成形により形成することが可能になり、寸法精度を向上できるので、所望の性能を確実に得ることができる。
【0011】
請求項2記載のレゾネータによれば、請求項1記載のレゾネータの効果に加え、係止部の本体部の外縁部と連続する部分から保持部に保持される端部側までの距離を、ホイールのリム面と保持部との距離以上とすることにより、ホイールの回転に伴い遠心力が作用して保持部に対して係止部の端部側が圧接されると、その反力が係止部の本体部と連続する部分に作用するので、この係止部の本体部と連続する部分がリム面に対して、より確実に圧接されるため、ホイールに対する固着強度及び性能をより向上できる。
【0012】
請求項3記載のレゾネータによれば、請求項1または2記載のレゾネータの効果に加え、係止部の本体部の外縁部と連続する部分に、ホイールのリム面に対して弾性的に圧接される弁体を突出させることにより、ホイールのリム面の精度を必要以上に向上させることなく、係止部の本体部の外縁部と連続する部分を、弁体を介してリム面に確実に圧接させた状態で保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のレゾネータの第1の実施の形態のホイールへの取り付け状態を示す縦断面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図3】同上レゾネータをホイールに取り付ける直前の状態を示す縦断面図である。
【図4】同上レゾネータの斜視図である。
【図5】同上レゾネータを取り付けたホイールを示す斜視図である。
【図6】本発明のレゾネータの第2の実施の形態のホイールへの取り付け状態の一部を拡大して示す縦断面図である。
【図7】同上レゾネータの一部を拡大して示す縦断面図である。
【図8】本発明のレゾネータの第3の実施の形態の一部を示す縦断面図である。
【図9】本発明のレゾネータの第4の実施の形態の一部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のレゾネータの第1の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0015】
図1ないし図5において、10はホイール装置で、このホイール装置10は、金属製のホイール11と、このホイール11に取り付けられた例えば複数(4つ)のレゾネータ12とを備えたレゾネータホイールとも呼び得るもので、このホイール装置10にゴム製の図示しないタイヤを装着することにより、自動車の車輪が構成されている。
【0016】
そして、このホイール11は、リム部16と、このリム部16の内側に位置するハブ部17と、これらリム部16とハブ部17とを連結するディスク部18とを備えている。そして、リム部16には、ホイール11の幅方向の両端部に沿って形成されたビードシート部21と、これらビードシート部21のさらに外端側からホイール11の径方向の外側に突設されたリムフランジ部22と、ビードシート部21同士の間に位置してホイール11の径方向の内側に向かって凹設されたウェル部23とが設けられている。そして、ビードシート部21に、タイヤのビード部を装着することにより、ホイール11のリム部16とタイヤとに囲まれて、環状の密閉空間である所定の容積の空気室25が構成されている。なお、リム部16のウェル部23は、タイヤをリム部16に組み付ける際に、タイヤのビード部を一旦落とし込むために設けられている。また、このウェル部23の底部であるリム面26には、各レゾネータ12が取り付けられる。
【0017】
そして、このウェル部23の両側、すなわちビードシート部21,21の背面側、換言すればビードシート部21,21のリム面26側には、ホイール側嵌合部としての溝部28が切り欠き形成されている。これら溝部28,28は、リム面26の両側からホイール11の径方向に沿って立ち上げられた側部保持面としての側面31,31と、これら側面31,31からリム面26に対向するように折り返された保持面32,32とを備えてコ字状に形成されており、例えばホイール11の全周に亘って連続している。すなわち、保持面32,32は、リム面26に対して離間された位置でこのリム面26に対向している。したがって、ビードシート部21,21の内縁部は、幅方向の中央側に向けて突出した保持部としての突出部34,34となっている。すなわち、これら突出部34,34の背面側が、レゾネータ12を保持する保持面32,32となっている。
【0018】
また、各レゾネータ12は、ホイールレゾネータとも呼び得るもので、ポリプロピレンなどの合成樹脂を用いて例えば射出成形により一体成形され、本体部35と、この本体部35の外縁部両側からフランジ状に突出する嵌合アームである係止部36と、本体部35に円筒状に突設された連通部37とが設けられている。そして、各レゾネータ12は、係止部36がホイール11の溝部28に嵌合保持されることにより、ホイール11に対して固定され、このホイール11のリム面26と本体部35との間に副気室38を区画している。
【0019】
本体部35は、例えば四角形(長方形)平板状の天面部41と、この天面部41の長手方向両端に延設された板状の(一方及び他方の)端面部42,42と、これら端面部42,42から延設された板状の(一方及び他方の)延設部43,43と、天面部41の幅方向両側に延設された板状の(一方及び他方の)側面部44,44とを一体に有している。そして、天面部41に対して、端面部42,42及び側面部44,44が厚さ方向、すなわちホイール11側に向けて傾斜することにより、本体部35は端面部42,42及び側面部44,44により周囲が囲まれる空間部45を背面側に区画するように湾曲している。また、この本体部35の背面側、すなわちリム面26側には、天面部41から端面部42,42に亘って、補強用の補強部であるリブ46一体に設けられている。さらに、この本体部35は、ホイール11の周方向に沿う方向を長手方向としてホイール11に取り付けられる。
【0020】
各延設部43は、天面部41と略平行な平板状に形成されており、レゾネータ12をホイール11に組み付けた状態でリム面26に沿っている。換言すれば、これら延設部43は、リム面26に対して面接触している。
【0021】
リブ46は、一方の端面部42、天面部41及び他方の端面部42に亘って連続して長手状となっている。また、リブ46は、本体部35の長手方向に離間されて複数設けられている。なお、リブ46に代えて、補強部としてビードを設けてもよいし、本体部35を厚肉に形成してもよい。
【0022】
また、係止部36には、本体部35の外縁部両側、すなわち側面部44,44と延設部43,43との両側に亘って連続した、長尺板状の(一方及び他方の)係止部本体48,48と、これら係止部本体48,48と側面部44,44及び端面部42,42の両側とが連続する部分に線状に形成された連接部49,49とが設けられている。換言すれば、係止部36は、係止部本体48,48と側面部44,44及び延設部43,43の両側とが、連接部49,49を介して連続している。
【0023】
各係止部本体48は、本体部35の外縁部両側に対して、基端側である各連接部49からリム面26に対して離反する方向へと屈曲されている。また、各係止部本体48は、背面51側が各連接部49から外縁部52側へと徐々に傾斜することで各連接部49から先端側である外縁部52側へと徐々に厚さ寸法が大きくなる被保持部53を備え、この被保持部53の先端部に、係止突出部54が突設されている。
【0024】
各被保持部53は、弾性変形可能に設けられ、各レゾネータ12をホイール11に取り付ける際に溝部28,28に嵌合して突出部34,34により弾性的に保持される部分であり、各保持面32により保持される被保持面53aと、この被保持面53aに対して係止突出部54と反対側に連続する滑り部としての湾曲部53bとなっている。
【0025】
被保持面53aは、被保持部53の先端部を構成する部分であり、この被保持面53aと各連接部49との間の距離L1は、リム面26と保持面32,32との距離L2以上に設定されている(L1≧L2)。したがって、係止部36は、係止部本体48,48がリム面26に対して連接部49,49にて圧接されるように、すなわち、リム面26と保持面32,32との間にテンションを付与した状態で弾性的に挟持されるように構成されている。
【0026】
また、湾曲部53bは、断面円弧状に湾曲しており、レゾネータ12をホイール11に取り付ける際に突出部34の角部と滑りながら接触することで被保持部53を溝部28への挿入を補助する部分である。
【0027】
また、各係止突出部54は、係止部本体48の厚さ方向、すなわち各被保持部53の被保持面53aに対して交差(直交)する方向に沿って延びており、背面側が各被保持部53の被保持面53aに連続し各突出部34の先端部に当接する平面状の当接面54aとなっている。そして、この当接面54aと被保持部53の被保持面53aとにより、被保持部53と係止突出部54との間が、レゾネータ12の長手方向に沿って連続する溝状のレゾネータ側嵌合部55となっている。
【0028】
また、各連接部49は、リム面26に対して長手方向に沿って線状に圧接される(線接触する)被圧接部であるとともに、各係止部本体48を本体部35に対して弾性的に屈曲させるヒンジ部となっている。
【0029】
また、連通部37は、空気室25と副気室38とを連通するものであり、本体部35の天面部41の中央部に設けられており、中央部に円形状の開口部57を有している。この開口部57は、天面部41を厚さ方向に貫通して設けられている。
【0030】
そして、空気室25を主気室として、副気室38の容量(体積)や連通部37の長さなどは、ヘルムホルツレゾネータの共鳴周波数を求める次の式を満たすように設定される。
【0031】
fo=C/2π×√(S/V(L+α×√S))
fo〔Hz〕:空気室25の共鳴周波数
C〔m/s〕:空気室25内部の音速
S〔m〕:レゾネータ12の連通部37の開口部57の断面積
V〔m〕:レゾネータ12の副気室38の容量
L〔m〕:レゾネータ12の連通部37の長さ
α:補正係数
【0032】
なお、この共鳴周波数foは、空気室25の共鳴周波数に合わせて設定されるが、空気室25に備えられる複数のレゾネータ12について、全てのレゾネータ12を同一の設定とする他、空気室25に複数の共鳴周波数が認められる場合は、それぞれ空気室25の共鳴周波数に設定した互いに異なる設定のレゾネータ12を用いても良く、あるいは、空気室25の複数の共鳴周波数の平均値に設定することもできる。
【0033】
そして、このレゾネータ12をホイール11に組み付ける際には、図3に示すように、ホイール11の突出部34,34に対して連接部49,49の近傍の位置で係止部36の係止部本体48,48の背面51,51側を当接させるようにレゾネータ12をウェル部23(図5)に対向させた状態から、このレゾネータ12をリム面26に向けて押し込んで挿入することにより、突出部34,34によって係止部36の係止部本体48,48が、背面51,51が突出部34,34に対して下方に摺接しつつ、本体部35に対して連接部49,49から屈曲され、連接部49,49がリム面26に当接する位置で、突出部34,34の下端側の角部に対して湾曲部53b,53bが滑りながら接触することで被保持部53,53を溝部28,28内へと導き(突出部34,34をレゾネータ側嵌合部55,55へと相対的に導き)、溝部28,28に対して被保持部53,53が挿入嵌合するとともにレゾネータ側嵌合部55,55に突出部34,34が嵌合し、被保持部53,53の被保持面53a,53aが保持面32,32と当接し、かつ、係止突出部54,54の当接面54a,54aが突出部34,34に当接した位置でレゾネータ12が固定される(図1)。
【0034】
この状態では、各連接部49と各被保持部53の被保持面53aとの間の距離L1が、リム面26と保持面32,32との距離L2以上に設定されていることにより、係止部36は、係止部本体48,48の被保持部53,53の被保持面53a,53aにテンションが付与された状態で係止部本体48,48がリム面26に対して連接部49,49にて圧接される。そして、本体部35の延設部43,43がリム面26に対して面接触し、端面部42,42及び側面部44,44がリム面26に対して立ち上がった状態となることにより、天面部41、端面部42,42及び側面部44,44とリム面26との間に、副気室38が区画される。すなわち、この副気室38は、長手方向の両端が延設部43,43とリム面26との圧接によって区画され、幅方向の両側が連接部49,49によりリム面26に対して区画されており、連通部37を介して空気室25と連通する。換言すれば、副気室38は、本体部35の外縁部全体で気密保持される。
【0035】
このように、本実施の形態によれば、本体部35の外縁部から延設した係止部36の各係止部本体48を本体部35に対して屈曲させ、この本体部35の外縁部と連続する部分である連接部49をホイール11のリム面26に圧接した状態で各係止部本体48の端部側の被保持面53aを各突出部34に保持することで本体部35とホイール11のリム面26との間に副気室38を区画するので、例えば内部に副気室を形成する場合と比較して、副気室38の底部となる部分が不要になるなど、レゾネータ12の軽量化が可能になる。
【0036】
また、副気室38の底部を覆うための部材なども別途不要となるため、部品点数の削減に伴う部品コストや組み付け工数の削減による低コスト化が可能となるとともに、例えば合成樹脂を用いた射出成形により形成することが可能になり、成形後の後加工なども殆ど不要となり、かつ、例えばブロー成形などにより成形する場合と比較して寸法精度を向上できるので、副気室38内の容量を精度よく保つことができ、所望の性能を確実に得ることができ、消音性能を損なうことがない。
【0037】
しかも、係止部36の本体部35の外縁部と連続する部分である連接部49から各突出部34に保持される端部側の被保持面53aまでの距離L1を、ホイール11のリム面26と突出部34との距離L2以上とすることにより、係止部36の被保持面53aにテンションを付与した状態で連接部49をリム面26に密着させることができる。そして、ホイール11の回転に伴いレゾネータ12に遠心力が作用して各突出部34に対して係止部36の被保持面53aが圧接されると、その反力が係止部36の連接部49に作用するので、係止部36の連接部49がリム面26に対して、より確実に圧接されるため、レゾネータ12のホイール11に対する固着強度及び性能をより向上できる。
【0038】
また、レゾネータ12に補強用のリブ46を設けることにより、レゾネータ12をホイール11に対して組み付けた後のレゾネータ12の変形を防止でき、副気室38を確保できるとともに、レゾネータ12の剛性が向上し、リム面26に対して圧接する方向への力が作用して、副気室38の気密性をより向上できる。
【0039】
さらに、連通部37を天面部41の中央部に設けることにより、ホイール11の回転に伴いレゾネータ12が回転すると、遠心力により連通部37の開口部57から液体を容易に排出できる。すなわち、ホイール11が回転する遠心力を受けると、副気室38内の液体は天面部41に付着する。さらに、天面部41は、幅方向の中央部が膨出しているため、液体が中央側に集められて、副気室38の外部の空気室25に円滑に迅速に排出される。このようにして、副気室38内に侵入した液体を効率良く迅速確実に排出でき、副気室38の容積の変化などによる共鳴の特性の変化を抑制し、安定した消音性能を実現できる。
【0040】
そして、本実施の形態のレゾネータ12を備えたホイール11にタイヤを装着した車輪は、空気室25に連通する連通部37及び副気室38を備えたレゾネータ12がヘルムホルツレゾネータとして機能し、走行時に路面からタイヤに伝わる振動による空気室25の空気の振動によって生じる気柱共鳴周波数付近での共鳴現象による共鳴音である騒音を安定して低減できる。
【0041】
次に、第2の実施の形態を図6及び図7を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0042】
この第2の実施の形態は、上記の第1の実施の形態の各連接部49に弁体59が突設されているものである。
【0043】
各弁体59は、各連接部49の全体、あるいは一部から外側方下側(リム面26側)に向けてリップ状に突出するリップ部である。すなわち、各弁体59は、本体部35の各側面部44の天面部41と反対側から、この側面部44の面方向に沿う方向に向けて、各係止部本体48とは異なる方向へと突出している。
【0044】
なお、この弁体59は、レゾネータ12と同材質により一体成形してもよいし、多色成形(2色成形)などによりレゾネータ12と一体成形してもよいし、別部材により成形した後、レゾネータ12に組み付けてもよい。
【0045】
そして、このレゾネータ12をホイール11に取り付けると、溝部28,28に対して被保持部53,53が挿入嵌合するとともにレゾネータ側嵌合部55,55に突出部34,34が嵌合し、被保持部53,53の被保持面53a,53aが保持面32,32と当接し、係止突出部54,54の当接面54a,54aが突出部34,34に当接するとともに、弁体59がリム面26の形状に追従しつつ変形して寸法公差などを吸収し、係止部36が弁体59を介してリム面26に対して線状に圧接される。
【0046】
このように、本実施の形態によれば、係止部36の本体部35の外縁部と連続する部分である連接部49に、ホイール11のリム面26に対して弾性的に圧接される弁体59を突出させることにより、ホイール11のリム面26に対するレゾネータ12側の追従性が向上するので、ホイール11のリム面26の仕上げ精度を必要以上に高めることなく、係止部36の本体部35の外縁部と連続する部分を、弁体59を介してリム面26に確実に線状に圧接させた状態で保持できる。したがって、ホイール11の製造原価を低減でき、より低コスト化できる。
【0047】
なお、上記の各実施の形態において、例えば図8に示す第3の実施の形態のように、係止部36が各係止部本体48に係止突出部54を有しない構成とすることも可能である。この場合には、各係止部本体48の被保持部53を各溝部28に挿入して、この被保持部53の被保持面53a及び湾曲部53bを、それぞれ保持面32及び側面31によって保持することにより、係止部36の各係止部本体48を保持面32、側面31及びリム面26の三点で保持する状態となり、レゾネータ12がホイール11に固定される。この場合でも、上記の各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0048】
また、上記の第3の実施の形態に対して、上記の第2の実施の形態の弁体59を適用してもよい。
【0049】
さらに、上記の各実施の形態において、例えば図9に示す第4の実施の形態のように、連通部37は、天面部41に代えて、ホイール11のリム面26に接触する接触面となる一方の延設部43に亘って一方の端面部42から連続する半円筒状(トンネル状)などに設けてもよい。すなわち、連通部37は、空気室25と副気室38とを連通し、レゾネータ12の所望の共鳴周波数を生じさせることができれば、本体部35の任意の位置に任意の形状で設けることができる。
【0050】
そして、上記の各実施の形態において、係止部36は、本体部35(の側面部44,44及び延設部43,43)の側部に対して、例えば断面視でV字状に屈曲して連続するように設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、自動車の車輪の空気室に配置されて共鳴による騒音を低減するレゾネータに適用できる。
【符号の説明】
【0052】
11 ホイール
12 レゾネータ
25 空気室
26 リム面
34 保持部としての突出部
35 本体部
36 係止部
37 連通部
38 副気室
59 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤとこのタイヤが取り付けられたホイールとの間の空気室に配置されて騒音を低減するレゾネータであって、
本体部と、
この本体部の外縁部から屈曲可能に延設され、この本体部に対して屈曲されてこの本体部の外縁部と連続する部分がホイールのリム面に圧接された状態でこのリム面に対向する保持部に端部側が保持されることによりこのリム面と前記本体部との間に副気室を区画させる係止部と、
前記本体部に設けられ、前記副気室と前記空気室とを連通する連通部と
を具備したことを特徴とするレゾネータ。
【請求項2】
係止部は、本体部の外縁部と連続する部分から保持部に保持される端部側までの距離が、ホイールのリム面と保持部との距離以上に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載のレゾネータ。
【請求項3】
係止部は、本体部の外縁部と連続する部分に突出しホイールのリム面に対して弾性的に圧接される弁体を備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載のレゾネータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−107599(P2013−107599A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256491(P2011−256491)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)