レビュープログラムおよびレビューシステム
【課題】使い勝手のよいレビュープログラムおよびレビューシステムを提供する。
【解決手段】サーバと、サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムのサーバにおいて実行されるレビュープログラムであって、レビューの対象となるレビュー対象文書の少なくとも一部に対する指摘事項が含まれる指摘情報を、複数の端末から通信回線を介してサーバに受信させる受信工程と、受信工程においてサーバにより受信された、レビュー対象文書に対する指摘情報に基づいて、サーバに所定の書式を有するレビュー結果報告書を作成させる報告書作成工程とを含むレビュープログラム。
【解決手段】サーバと、サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムのサーバにおいて実行されるレビュープログラムであって、レビューの対象となるレビュー対象文書の少なくとも一部に対する指摘事項が含まれる指摘情報を、複数の端末から通信回線を介してサーバに受信させる受信工程と、受信工程においてサーバにより受信された、レビュー対象文書に対する指摘情報に基づいて、サーバに所定の書式を有するレビュー結果報告書を作成させる報告書作成工程とを含むレビュープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レビュープログラムおよびレビューシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザが会議形式でレビュー対象文書のレビューを行えるレビューシステムが知られている。例えば特許文献1には、LANやWAN等の通信回線を介して相互に通信可能な複数のレビュー端末を有するレビューシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−59302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレビューシステムは、レビュー結果をまとめた報告書の作成に時間を要してしまうため、使い勝手が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、サーバと、サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムのサーバにおいて実行されるレビュープログラムであって、レビューの対象となるレビュー対象文書の少なくとも一部に対する指摘事項が含まれる指摘情報を、複数の端末から通信回線を介してサーバに受信させる受信工程と、受信工程においてサーバにより受信された、レビュー対象文書に対する指摘情報に基づいて、サーバに所定の書式を有するレビュー結果報告書を作成させる報告書作成工程とを含むことを特徴とするレビュープログラムである。
請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレビュープログラムを有するサーバと、サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使い勝手のよいレビューシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】レビューシステム1が有するレビュー端末100の構成を示すブロック図である。
【図3】主催者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。
【図4】参加者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。
【図5】図3および図4において呼び出される処理のフローチャートである。
【図6】表示装置150に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】指摘情報の入力画面の一例を示す図である。
【図8】図3および図4において呼び出される処理のフローチャートである。
【図9】図3および図4において呼び出される処理のフローチャートである。
【図10】文書表示領域13の一表示例を示す図である。
【図11】主催者端末が出力可能な報告書の様式の一例を示す図である。
【図12】図3において呼び出される処理のフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図14】指摘情報に含める図を描画する画面の一例を示す図である。
【図15】指摘情報を集計し可視化した画面の一例を示す図である。
【図16】再レビュー機能を説明するための図である。
【図17】再レビュー時にDRAM130に格納されるデータを示す図である。
【図18】再レビュー機能を実現するための処理のフローチャートである。
【図19】レビュー対象文書を画像データに変換する処理のフローチャートである。
【図20】実際のレビューの進め方について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用したレビューシステムについて説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。レビューシステム1は、ネットワーク200を介して相互に接続された複数のレビュー端末100を有している。ネットワーク200は、周知のプロトコルにより構成されるLANやWAN等である。
【0010】
図2は、レビューシステム1が有するレビュー端末100の構成を示すブロック図である。レビュー端末100は、CPUおよびその周辺回路を含む制御回路110と、制御回路110により制御されるフラッシュメモリ120、DRAM130、HDD140、表示装置150、入力装置160、およびネットワークインタフェース(I/F)170とから構成される。
【0011】
制御回路110は、フラッシュメモリ120またはHDD140に予め格納されている所定のレビュープログラムを読み込んで実行することにより、レビュー端末100を制御する。フラッシュメモリ120は不揮発性の記憶媒体であり、DRAM130は揮発性の記憶媒体である。上記のレビュープログラムはDRAM130を一時的な記憶領域として利用する。HDD140には、後述するレビュー対象文書等が格納されている。表示装置150は例えば液晶ディスプレイ等の、表示画面を有する表示装置である。入力装置160は例えばキーボードやマウス等の入力装置である。ネットワークI/F170は、ネットワーク200を介して通信を行うためのインタフェースである。制御回路110はネットワークI/F170を介して、ネットワーク200により相互に接続されたレビュー端末100同士でデータ通信を行う。
【0012】
以上のように構成されたレビューシステム1により、本システムの利用者は、作成した文書のレビューを行うことができる。以下、本実施形態のレビューシステム1により行われるレビューについて簡単に説明する。
【0013】
本実施形態のレビューシステム1により行われるレビューとは、レビューの対象となる文書について、その文書の作成者とは異なる者がその内容を確認し、当該文書の問題点や修正すべき点等を指摘する作業のことである。以下の説明では、レビューに参加する者のうち、レビューを取り纏める者をレビュー主催者あるいは単に主催者と呼び、それ以外の者をレビュー参加者あるいは単に参加者と呼ぶ。レビュー主催者はレビューにおいて1人だけ存在し、レビュー参加者は1人以上存在する。また、レビューの対象とする文書ファイルをレビュー対象文書と称する。レビュー対象文書は、各種のアプリケーションソフトウェアにより作成可能な任意の文書ファイルとすることができる。例えば、プログラムのソースコード等のテキストファイルや、ワードプロセッサ、スプレッドシート、プレゼンテーションソフト等の各種のアプリケーションソフトウェアにより作成される文書ファイルをレビュー対象文書とすることができる。なお、レビュー対象文書の作成者は各文書毎に1人以上存在し、主催者や参加者であることもあればそれ以外の者であることもある。
【0014】
主催者および参加者は、それぞれに割り当てられたレビュー端末100を用いてレビューを行う。以下の説明において、主催者の利用するレビュー端末100を主催者端末と呼び、参加者の利用するレビュー端末100を参加者端末と呼ぶ。なお、本実施形態では、レビュー端末100は主催者端末になることも参加者端末になることもできる汎用的な端末としたが、主催者端末と参加者端末がそれぞれ異なる構成を備えた専用の端末であるとしてもよい。
【0015】
レビューの流れを簡単に説明すると、まずレビュー主催者は主催者端末にレビューを開催するために必要な情報を入力する。主催者端末はこれに応じて、参加者端末の接続を待ち受ける状態となる。次に、レビュー参加者は参加者端末を操作して主催者端末に接続する。これにより、主催者端末から参加者端末に対してレビュー対象文書が送信され、参加者端末においてレビュー対象文書が表示される。レビュー参加者およびレビュー主催者は、参加者端末および主催者端末を用いて各レビュー対象文書を閲覧し、必要に応じて、当該文書に対する指摘を表す指摘情報を参加者端末に入力する。参加者端末に入力された指摘情報は主催者端末を介して他の参加者端末に送信される。また、主催者端末に入力された指摘情報は、他の参加者端末に送信される。主催者端末および参加者端末は、入力された指摘情報および他のレビュー端末100から受信した指摘情報を表示装置150の表示画面に表示する。このように、1つのレビュー端末100において入力された指摘情報は、全てのレビュー端末100において共有され、また表示される。最後に、主催者端末にレビューの終了指示が入力されると、主催者端末は今回行われたレビューの結果を所定の形式で表示画面等に出力する。
【0016】
以下、上述したレビューの具体的な処理内容について説明する。
【0017】
(主催者端末が実行するレビュー処理の説明)
図3は、主催者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。まずステップS100では、主催者が入力装置160を操作し、制御回路110にレビューの開催に必要な情報が入力される。本実施形態において、ステップS100で入力される情報には、レビュー名情報、参加メンバー情報、対象文書情報、および検出目標情報が、少なくとも含まれる。
【0018】
レビュー名情報は、今回開始するレビューに付された名称を表す文字列であり、主催者が任意に設定する。参加メンバー情報は、今回開始するレビューに参加可能な参加者を識別するための情報であり、参加者IDと参加者パスワードとの組を1つ以上含んでいる。制御回路110は、この参加者IDと参加者パスワードを用いて参加者を認証する。対象文書情報は、レビュー対象文書を表す情報であり、レビュー対象文書の名称および内容の組を1つ以上含んでいる。主催者は、予めHDD140に記憶されている文書ファイルから、レビュー対象とする文書ファイルを選択することにより、対象文書情報を入力する。検出目標情報は、今回のレビューにおいて入力される指摘情報の目標件数を表す。例えば検出目標情報が10件に設定された場合、今回のレビューでは少なくとも10件の検出情報が入力されるべきである、とレビュー主催者が考えていることを意味する。制御回路110は、ステップS100で入力されたこれらの必要な情報を、DRAM130に記憶させておく。
【0019】
ステップS110では、制御回路110が、主催者による入力装置160の操作およびネットワーク200を介した参加者端末からのデータ受信の待ち合わせを行う。そして、入力装置160に対して行われた操作や参加者端末から受信したデータの種類に応じた処理を、ステップS120〜S180の各々において実行する。
【0020】
ステップS110において主催者により指摘入力操作が為された場合、ステップS120に進み、制御回路110は後述する指摘入力処理A(図8)を実行する。他方、ステップS110において参加者端末から指摘データを受信した場合にはステップS130に進み、制御回路110は後述する指摘受信処理A(図8)を実行する。ステップS120またはステップS130を実行した制御回路110は、引き続きステップS140に進み、ステップS120において入力された指摘やステップS130において受信した指摘データを表示画面に反映させる。
【0021】
ステップS110において参加者端末から接続要求を受信した場合、ステップS150に進み、制御回路110は後述する接続受け入れ処理(図5)を実行する。ステップS110において主催者により表示位置同期操作が為された場合にはステップS160に進み、制御回路110は後述する表示位置同期処理A(図9)を実行する。ステップS110において参加者端末から表示位置要求を受信した場合、ステップS170に進み、制御回路110は後述する表示位置要求受信処理A(図9)を実行する。ステップS110において主催者により終了操作が為された場合、ステップS180に進み、制御回路110は後述するレビュー終了処理(図12)を実行し、図3の処理を終了する。
【0022】
(参加者端末が実行するレビュー処理の説明)
図4は、参加者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。まずステップS200では、制御回路110が後述する接続処理(図5)を実行し、主催者端末に接続する。ステップS110では、制御回路110が、参加者による入力装置160の操作およびネットワーク200を介した主催者端末からのデータ受信の待ち合わせを行う。そして、入力装置160に対して行われた操作や主催者端末から受信したデータの種類に応じた処理を、ステップS220〜S270の各々において実行する。
【0023】
ステップS110において参加者により指摘入力操作が為された場合、ステップS220に進み、制御回路110は後述する指摘入力処理B(図8)を実行する。他方、ステップS210において主催者端末から指摘データを受信した場合にはステップS230に進み、制御回路110は後述する指摘受信処理B(図8)を実行する。ステップS230を実行した制御回路110は、引き続きステップS240に進み、ステップS230において受信した指摘データを表示画面に反映させる。
【0024】
ステップS210において参加者により表示位置同期操作が為された場合にはステップS250に進み、制御回路110は後述する表示位置同期処理B(図9)を実行する。ステップS210において主催者端末から表示位置要求を受信した場合、ステップS260に進み、制御回路110は後述する表示位置要求受信処理B(図9)を実行する。ステップS210において主催者端末からレビューの終了指示を受信した場合、ステップS270に進み、制御回路110は主催者端末との接続を切断し、図4の処理を終了する。
【0025】
(接続受け入れ処理および接続処理の説明)
図5は、図3および図4において呼び出される接続受け入れ処理および接続処理のフローチャートである。図5の左側には主催者端末の制御回路110により実行される接続受け入れ処理が、図5の右側には参加者端末の制御回路110により実行される接続処理が、それぞれ示されている。また、図5において破線で示される矢印は、端末間のデータ通信によるデータの授受を表している。以下、まず接続受け入れ処理について説明し、その後に接続処理を説明する。
【0026】
接続受け入れ処理が呼び出されると、まずステップS310で制御回路110が、参加者端末から参加者IDおよび参加者パスワードを受信する。ステップS320では制御回路110が、ステップS310で受信した参加者IDおよび参加者パスワードを用いて、参加者の認証を行う。具体的には、DRAM130に記憶されている参加メンバー情報から、受信した参加者IDと参加者パスワードとの組に一致するものを検索する。そして、一致するものが見つかれば、認証に成功したとみなし、参加者端末に認証成功を表す情報を送信してステップS340に進む。他方、一致するものが見つからなかった場合には、参加者端末に認証失敗をあらわす情報を送信してステップS330に進む。ステップS330では制御回路110が参加者端末の接続を切断し、図5の処理を終了する。
【0027】
ステップS340では制御回路110が、今回接続された参加者端末を識別するための情報(例えば参加者端末のネットワークアドレスや参加者IDなど)をDRAM130に記憶する。以下、この情報を端末識別情報と称する。ここで記憶された端末識別情報は、参加者端末が切断したときに消去される。ステップS350では、制御回路110が、DRAM130に記憶されている対象文書情報を今回接続された参加者端末に送信する。ステップS360では制御回路110が、DRAM130に記憶されている指摘情報(後に詳述する)を、今回接続された参加者端末に送信する。
【0028】
次に、図5の右側に示した、参加者端末により実行される接続処理を説明する。参加者端末の制御回路110は、まずステップS400において、接続先の主催者端末を特定する。例えば、参加者に入力装置160を操作させて主催者端末のネットワークアドレスを入力させる。ステップS410では、入力装置160から制御回路110に、参加者の参加者IDおよび参加者パスワードが入力される。ステップS420では制御回路110が、ステップS400で特定された主催者端末へ、ネットワーク200を介して接続を試みる。ステップS430では制御回路110が、ステップS410で入力された参加者IDおよび参加者パスワードを、主催者端末に送信する(ステップS310に対応)。
【0029】
ステップS440では制御回路110が、ステップS430において送信した参加者IDおよび参加者パスワードによる認証が成功したか否かを判定する。この判定は、主催者端末から受信した認証結果を表す情報に基づいて行われる。認証が失敗していた場合は図5の処理を終了する。他方、認証に成功した場合にはステップS450に進む。
【0030】
ステップS450では制御回路110が、主催者端末から送信される対象文書情報を受信する(ステップS350に対応)。ステップS460では制御回路110が、主催者端末から送信される指摘情報を受信する(ステップS360に対応)。ステップS450およびステップS460で受信されたこれらの情報は、参加者端末のDRAM130に記憶される。ステップS470では制御回路110が、ステップS450およびステップS460において受信したこれらの情報に基づいて、表示装置150の表示画面の内容を更新する(後に詳述)。
【0031】
(レビュー中の表示画面の説明)
接続の待ち受けを開始した主催者端末の表示装置150、および、主催者端末への接続を完了した参加者端末の表示装置150には、例えば図6に示す画面が表示される。この画面は大きく分けて、左上、左下、右側の3つの領域に分かれている。画面左上の文書一覧領域11には、レビュー対象文書の一覧が表示されている。画面左下の参加者一覧領域12には、レビューの主催者および参加者の一覧が表示されている。画面右側の文書表示領域13には、1つのレビュー対象文書について、その内容が表示されている。
【0032】
なお、これら3つの領域(文書一覧領域11、参加者一覧領域12、および文書表示領域13)は、その表示/非表示を切り替えることや、表示位置を変更することが可能であり、図6に示した画面はその表示態様の一例を示すものに過ぎない。
【0033】
主催者および参加者は、文書一覧領域11から、文書表示領域13に表示させたい文書を選択することができる。文書を選択すると、文書表示領域13に当該文書の内容が表示される。主催者および参加者は、文書表示領域13を視認することにより、当該文書の内容を確認する。例えば当該文書が文書表示領域13に収まりきらない大きさの場合には、所定のスクロール操作を行うことができる。また、当該文書が複数のページから構成されている場合には、所定のページ切り替え操作により、他のページに表示を切り替えることができる。
【0034】
レビュー端末100には、文書表示領域13の表示内容(表示位置)を、他のレビュー端末100の文書表示領域13と同期させる機能が用意されている。特定の端末において、参加者一覧領域12に各参加者/主催者毎に設けられた同期ボタン14が押下されると、当該端末における文書表示領域13の表示内容(表示位置)が、同期ボタン14に対応する参加者/主催者の端末の表示内容(表示位置)に同期される。例えば、ある参加者が特定のレビュー対象文書の3ページ目を表示中に、主催者端末においてその参加者に対応する同期ボタン14が押下されると、主催者端末の文書表示領域13には、当該文書の3ページ目が表示される。
【0035】
また、この同期機能は、継続的に機能させることも可能である。特定の端末において、参加者一覧領域12に各参加者/主催者毎に設けられた自動同期チェックボックス15にチェックが入れられると、当該端末における文書表示領域13の表示内容(表示位置)が、自動同期チェックボックス15に対応する参加者/主催者の端末の表示内容(表示位置)に、自動的に同期される。なお、文書表示領域13に複数のレビュー対象文書を同時に表示させることや、文書表示領域13を複数の部分に分割し、1つのレビュー対象文書の複数箇所を並列に表示させることも可能である。このような場合、文書表示領域13の表示内容全てを端末間で同期させてもよいし、いずれか1つのレビュー対象文書やその1箇所のみを端末間で同期させてもよい。
【0036】
自動同期チェックボックス15にチェックが入れられている場合、制御回路110は図3および図4に示した処理を実行する際、ステップS110およびステップS210において、定期的にステップS160およびステップS250の処理を呼び出して実行する。これにより、各端末間の表示位置が定期的に同期される。
【0037】
文書中に問題点等を発見した場合、主催者および参加者は、文書表示領域13において、問題点等が含まれる範囲を選択し、当該範囲に紐付けられた指摘情報を入力することができる。前述したように、指摘情報とは当該文書に対する指摘を表す情報である。例えばプログラムコード等のテキストファイルであれば、行単位や文字単位での範囲選択を行うことができる。また、画像ファイル等であれば、任意の大きさの矩形で範囲選択を行うことができる。
【0038】
図7は、指摘情報の入力画面の一例を示す図である。指摘情報には、指摘内容を表す文章21(以下、単に指摘内容21と称する)が少なくとも含まれる。主催者および参加者は、入力装置160を用いてこの情報を入力する。また、制御回路110は、入力された指摘情報に、更にその指摘情報を入力した参加者または主催者の名前と、指摘情報を入力した日時と、指摘を行ったレビュー対象文書のファイル名と、当該指摘情報に紐付けられた範囲と、を少なくとも追加する。
【0039】
次に、実際のレビューの進め方について説明する。まず図20(a)に示すように、複数のレビュー対象文書からいずれか1つのレビュー対象文書を選択して文書表示領域に表示させる。ここで選択されたレビュー対象文書を、仮にレビュー対象文書Aと称する。次に、このレビュー対象文書Aの内容を閲覧し、問題がないようであれば、その範囲について指摘事項がないことを表す情報(後に詳述)を入力する。換言すれば、当該範囲がレビュー済みであることを表す情報を入力する。これにより、図20(b)に示すように、レビュー対象文書Aは、その一部(範囲90)がレビュー済みの状態となる。
【0040】
参加者および主催者は更にレビュー対象文書Aの内容の閲覧を継続し、問題が見つかった場合には、その範囲について指摘情報を入力する。これにより、図20(c)に示すように、当該範囲91に指摘情報が関連付けられる。このように、指摘事項がないことを表す情報が入力された範囲90と、指摘情報が関連付けられた範囲91とを合わせた範囲が、当該文書のレビュー済み範囲となる。このようにして、レビュー対象文書Aの全ての範囲についてレビュー済みとなるまで、レビュー対象文書Aのレビューを継続する。
【0041】
なお、レビュー対象文書Aのレビュー中に、他のレビュー対象文書の閲覧に移ることもある。これは、レビュー対象文書Aにおいて発見された問題が、他のレビュー対象文書にも影響を及ぼすものである場合があるためである。
【0042】
以下、指摘情報を扱う指摘入出力処理(図3および図4のフローチャートから呼び出される処理)について詳述する。
【0043】
(指摘入出力処理の説明)
図8は、図3および図4において呼び出される指摘入力処理A、指摘入力処理B、指摘受信処理A、および指摘受信処理Bのフローチャートである。図8において破線で示される矢印は、端末間のデータ通信によるデータの授受を表している。以下、各処理を順に説明する。
【0044】
指摘入力処理Aにおいて、主催者端末の制御回路110はまずステップS510で、入力装置160により主催者から入力された指摘情報に上述した各情報(指摘情報を入力した主催者の名前等)を追加して、当該指摘情報をDRAM130に記憶させる。ステップS520では制御回路110が、DRAM130に記憶されている端末識別情報に基づき、全ての参加者端末に当該指摘情報を送信する。
【0045】
次に、参加者端末の制御回路110が実行する指摘入力処理Bについて説明する。まずステップS610において制御回路110は、入力装置160により参加者から入力された指摘情報に、上述した各情報(指摘情報を入力した参加者の名前等)を追加した上で当該指摘情報を主催者端末に送信する。
【0046】
次に、主催者端末の制御回路110が実行する指摘受信処理Aについて説明する。まずステップS540において制御回路110は、受信した指摘情報をDRAM130に記憶させる。ステップS550では制御回路110が、DRAM130に記憶した指摘情報を全ての参加者端末に対して送信する。
【0047】
次に、参加者端末の制御回路110が実行する指摘受信処理Bについて説明する。ステップS640では制御回路110が、受信した指摘情報をDRAM130に記憶させる。
【0048】
以上のように、各端末が指摘入力処理A、指摘入力処理B、指摘受信処理A、および指摘受信処理Bを実行することにより、特定の端末において入力された指摘情報が他の全ての端末に共有される。
【0049】
なお、レビュー対象文書全体のうち、レビューが済んだ箇所については、指摘事項の有無に関わらず、主催者端末および参加者端末に対し、当該箇所のレビューが完了したことを表す情報を入力することができる。以下、この情報をレビュー済み情報と称する。制御回路110は、入力されたレビュー済み情報を、上述した指摘情報と同様に全ての端末で共有する。制御回路110は各レビュー対象文書について、レビュー済み情報によって当該文書のレビュー済み範囲を管理する。レビュー済み範囲とは、レビュー済み情報によりレビューが完了していることが表された範囲のことである。つまり、レビュー済み情報が存在しない(紐付けられていない)範囲が残っている場合、その文書に対するレビューが完了していないということを意味する。制御回路110は、各レビュー対象文書について、当該文書全体に対するレビュー済み範囲の割合を演算し、表示装置150の表示画面のうち文書一覧領域11に表示する。主催者および参加者は、この表示を視認することにより、各レビュー対象文書について、どの程度レビューが完了したかを認識することが可能である。
【0050】
(表示更新処理の説明)
図9は、図3および図4において呼び出される表示位置同期処理A、表示位置同期処理B、表示位置要求受信処理A、および表示位置要求受信処理Bのフローチャートである。表示位置同期処理Aおよび表示位置要求受信処理Aは主催者端末の制御回路110により実行され、表示位置同期処理Bおよび表示位置要求受信処理Bは参加者端末の制御回路110により実行される。また、図9において破線で示される矢印は、端末間のデータ通信によるデータの授受を表している。
【0051】
まず、主催者端末において実行される表示位置同期処理Aについて説明する。ステップS710では制御回路110が、表示位置を同期する相手の参加者端末100に対して表示位置要求を送信する。表示位置要求は、対象のレビュー端末100の文書表示領域13の現在の表示位置を要求するデータである。ステップS720では制御回路110が、ステップS710で送信した表示位置要求への返答として送信される表示位置情報を受信する。ステップS730では制御回路110が、文書表示領域13の表示位置を、ステップS720で受信した表示位置情報に基づいて更新する。
【0052】
次に、参加者端末において実行される表示位置同期処理Bについて説明する。ステップS740では制御回路110が、表示位置を同期する相手の参加者端末100を要求先とする表示位置要求を、主催者端末に送信する。ステップS750では制御回路110が、ステップS740で送信した表示位置要求への返答として送信される表示位置情報を受信する。ステップS760では制御回路110が、文書表示領域13の表示位置を、ステップS750で受信した表示位置情報に基づいて更新する。
【0053】
次に、主催者端末において実行される表示位置要求受信処理Aについて説明する。この処理は、主催者端末の制御回路110が参加者端末から表示位置要求を受信した場合に実行される処理である。ステップS770において制御回路110は、受信した表示位置要求の要求先が主催者端末(すなわち自端末)であるか、あるいは他の参加者端末であるかを判定する。主催者端末が要求先であった場合にはステップS771に進み、要求元の参加者端末に対して、主催者端末(すなわち自端末)の現在の表示位置を表す表示位置情報を送信する。他方、要求先が他の参加者端末であった場合にはステップS772に進む。
【0054】
ステップS772では制御回路110が、要求先の参加者端末へ表示位置要求を送信する。ステップS773では制御回路110が、ステップS772で送信した表示位置要求への返答として送信される表示位置情報を受信する。ステップS774では制御回路110が、ステップS773で受信した表示位置情報を、要求元の参加者端末に送信する。
【0055】
次に、参加者端末において実行される表示位置要求受信処理Bについて説明する。この処理は、参加者端末の制御回路110が主催者端末から表示位置要求を受信した場合に実行される処理である。ステップS775において制御回路110は、主催者端末に自端末の現在の表示位置を表す表示位置情報を送信する。
【0056】
なお、文書表示領域13の表示内容を更新する際、DRAM130に記憶されている指摘情報やレビュー済み情報に基づいて、指摘が存在する範囲やレビュー済みの範囲を強調表示する。このとき、指摘情報の内容を文書表示領域13に重畳してポップアップ表示してもよい。例えば図10に示すように、レビュー済みのページに「レビュー済み」のウォーターマーク(すかし文字)を重畳表示したり、指摘情報が存在する範囲を周囲とは異なる色で表示したりすることができる。また、指摘情報が存在する範囲にマウスカーソルを重ねることで、マウスカーソルの位置にその指摘情報の内容の概略をポップアップ表示することができる。
【0057】
(レビュー終了処理の説明)
主催者は、入力装置160を用いて、主催者端末にレビュー終了指示を入力することが可能である。レビュー終了指示が入力された主催者端末は、所定のレビュー終了処理を実行する。レビュー終了後は、主催者端末において、今回行われたレビューの結果を所定の書式を有する報告書の形で出力することが可能である。
【0058】
図11に、主催者端末が出力可能な報告書の様式の一例を示す。このように、レビュー結果の報告書には、レビューが行われた日時および期間、レビューへの参加者の一覧(主催者を含む)、レビュー中に各端末から入力された指摘情報に含まれる種々の情報(例えば指摘範囲や指摘文章、指摘情報を入力した参加者名等)を含めることが可能である。また、制御回路110が実行するレビュープログラムは、各レビュー対象文書について、レビュー済み範囲の割合を示すことが可能に構成されている。主催者端末を含む各レビュー端末100のDRAM130には、各レビュー端末100において入力された全ての指摘情報やレビュー済み情報が格納されているので、これらのレビュー済み情報に関連付けられた範囲を集計すれば、各レビュー対象文書のレビュー済み範囲の割合を演算することが可能である。例えばレビュー対象文書がテキストファイルであれば、レビュー済み範囲が行単位で入力されているので、当該テキストファイルの全行数に対するレビュー済み範囲の割合を演算すればよい。更に、実際に入力された指摘情報の個数から、レビュー開始時に設定された検出目標情報の充足率を示すことも可能である。例えば検出目標情報が10件に設定され、指摘情報が8件入力されていれば、充足率は80%となる。この報告書は、例えば不図示のプリンタ等により印刷したり、所定の文書ファイルとしてHDD140に記憶させたりすることが可能である。
【0059】
図12は、図3において呼び出されるレビュー終了処理のフローチャートである。まずステップS800では制御回路110が、全ての参加者端末にレビュー終了指示を送信する。ステップS810では制御回路110が、全ての参加者端末との接続を切断する。
【0060】
上述した第1の実施の形態によるレビューシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)主催者端末の制御回路110が、レビューの結果(指摘情報を含む種々の情報)を所定の書式の報告書として出力するようにした。このようにしたので、レビューの結果を手動でまとめる必要がなく、使い勝手のよいレビューシステムを提供することができる。
【0061】
(2)複数のレビュー端末100において、文書表示領域13の表示位置を同期させることができる。このようにしたので、多数の参加者により行われるレビューを円滑に進めることが可能となる。また、レビュー中に離席した場合や途中からレビューに参加した場合であっても、速やかに現在進行中のレビューに参加することができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
図13は、第2の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。レビューシステム1が複数のレビュー端末100により構成されていたのに対し、本実施形態のレビューシステム2は、サーバ300と、ネットワーク200を介してサーバ300に接続された複数のレビュー端末100とから構成されている。サーバ300はレビュー端末100と同様に、制御回路やDRAM、HDD等の各部を有し、所定のレビュープログラムを実行するが、それらの各構成要素はいずれも図2に示したものと同様であるため説明を省略する。
【0063】
サーバ300は、主催者により操作されないことを除き、第1の実施の形態における主催者端末と同様の役割を担う。レビューの主催者は、いずれかのレビュー端末100を操作して、サーバ300に対して新規レビューの登録を行うよう指示する。またこのとき、レビュー端末100からサーバ300に対して、レビューの開始に必要な情報が送信される。サーバ300はこの指示および情報に応じて、第1の実施の形態における主催者端末のように、接続の待ち受けを開始する。
【0064】
各参加者は、第1の実施の形態で主催者端末に接続していたように、サーバ300に接続する。また、各レビュー端末100に入力された指摘情報はサーバ300に送信される。サーバ300は主催者端末のように、各レビュー端末100からの接続を受け付けて認証を行うと共に、対象文書情報や指摘情報を各レビュー端末100に配信する。各レビュー端末100は、表示位置の同期等に際しても、いったんサーバ300を介して他の端末の表示位置情報等を取得する。
【0065】
主催者がいずれかのレビュー端末100からレビュー終了指示をサーバ300に送信すると、サーバ300は主催者端末のように報告書を作成して主催者が利用しているレビュー端末100に送信する。
【0066】
上述した第2の実施の形態によるレビューシステムによれば、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0067】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0068】
(変形例1)
指摘情報に、上述した実施形態で示した例に加えて、更に複数の情報が含まれるようにしてもよい。例えば、プログラムコードのレビュー向けに、予め定めておいた開発工程(要件定義、基本設計、詳細設計等)から、当該指摘により表される問題点が生じたと考えられる工程(原因工程)を表す情報を指摘情報に含めるようにしてもよい。ここで要件定義とは、開発するシステムに要求される(顧客が必要としている)機能を定義する工程であり、基本設計とはシステムの基本的な設計を行う工程である。基本設計では、要件定義を元に、どのようなシステムを開発すればそれを満たすことができるかを検討し、実装すべき機能、画面や帳票など、操作や入出力に関する事項、生成・保管されるデータの概要など、システムの基礎的な仕様をまとめる。また、詳細設計とは、基本設計で定められた機能や操作・表示方法などに基づき、システムとしてそれをどう実現するかを具体的に定める工程のことを指す。このように、各指摘情報に対してその原因工程を入力させることで、その指摘情報により表される問題点等を、どの工程に遡って修正するかを、後から容易に判断することができるようになる。
【0069】
また、指摘情報に、文章だけではなく画像データ等を含めてもよい。例えば図14に示すように、表示装置150の表示画面に描画領域を表示し、参加者や主催者が入力装置160(例えばマウス等のポインティングデバイスが望ましい)を用いて図を描画可能にし、描画された図の画像データを指摘情報に含めるようにしてもよい。
【0070】
その他、指摘情報には、当該指摘に関するあらゆる情報を付け加えることが可能である。それらの情報は、報告書に出力するための情報であってもよいし、表示画面に表示する際に用いられる情報(例えば当該指摘の表示色等)であってもよい。指摘情報に付加される各情報は、予め用意されたいくつかの選択肢から選択される情報であってもよいし、参加者および主催者により自由に入力される数値や文字列であってもよい。
【0071】
(変形例2)
レビュー結果を、報告書以外の形で出力可能にしてもよい。例えば、指摘情報に変形例1で説明した当該指摘の原因工程や、当該指摘に対応するレビュー対象文書の作成者等で集計し、その結果をグラフや表の形でプリンタ等に印刷したり、表示装置150の表示画面に表示したりできるようにしてもよい。一例として図15に示したように、棒グラフや円グラフ、レーダーチャート等の種々の方法で、指摘情報を可視化することが可能である。
【0072】
(変形例3)
上述したレビュープログラムに、一度完了したレビューの結果に基づく再レビュー機能を設けてもよい。この再レビュー機能とは、1回目のレビューにおいて問題点等が指摘された箇所が、正しく修正され、上記の問題点が取り除かれているかを確認するためのレビューを実施することを支援する機能である。
【0073】
例えば図16(a)に示すように、1回目のレビューではレビュー対象文書Aについてレビューを行い、複数の指摘情報を含むレビュー結果Aが得られたとする。その後、図16(b)に示す様に、レビュー結果Aに基づいてレビュー対象文書Aが修正され、レビュー結果Aの各指摘情報により指摘された問題点が解消されたレビュー対象文書Bが作成される。
【0074】
図18は、再レビュー機能を実現するための処理のフローチャートである。まずステップS900において、主催者端末の制御回路110は、主催者が主催者端末の入力装置160を用いて入力した、前回のレビュー結果に基づく再レビュー指示を受け付ける。この指示に応じて主催者端末の制御回路110は、ステップS910においてレビュー対象文書Aとレビュー対象文書Bとを比較し、DRAM130に図17に示す各データを格納する。具体的には、レビュー対象文書Aとレビュー対象文書Bとを比較することにより、前回のレビュー結果Aに含まれる各指摘情報について、その指摘範囲がレビュー対象文書Bのどの範囲に相当するかを決定する。
【0075】
ステップS920では制御回路110が、ステップS910において行った比較の結果と前回のレビュー結果Aとから、前回の指摘範囲(レビュー対象文書Aにおける指摘範囲)と今回の指摘範囲(レビュー対象文書Bにおける指摘範囲)とを対応付けたレビュー結果マップ(図17)を作成する。ステップS930で主催者端末の制御回路110は、このレビュー結果マップを全ての参加者端末に送信し、全端末で共有する。
【0076】
主催者端末および参加者端末の制御回路110は、このようにして実行される新たなレビュー(2回目のレビュー)において、図17に示したレビュー結果マップを表示画面に表示する。主催者または参加者がこのレビュー結果マップに含まれるいずれかの行を選択すると、制御回路110は文書表示領域13にレビュー対象文書Bを表示する。このとき、表示位置はレビュー結果マップ中の今回指摘範囲(レビュー対象文書Bにおける指摘範囲)となる。つまり、主催者および参加者はレビュー対象文書Bにおいて、前回指摘を受けた箇所に素早くジャンプし、前回指摘された問題点等が解消しているか否かを容易に判断することができる。
【0077】
(変形例4)
プログラムのソースコード等のテキストファイルをレビュー対象文書とする場合、レビューを行いやすくするための種々の支援機能を設けることが望ましい。例えば、多数のレビュー対象文書から特定のキーワードを一括検索する、いわゆるGrep検索機能や、その検索結果から各レビュー対象文書における当該キーワードの出現箇所にジャンプする、いわゆるタグジャンプ機能をレビュー端末100に設けてもよい。このような機能の実装方法については周知であるため、制御回路110の具体的な処理内容については省略する。
【0078】
(変形例5)
特定の種類のワードプロセッサ文書やスプレッドシート文書等は、構造が複雑であったり、あるいはプロプライエタリなソフトウェアで扱う事を前提にしているためその内部構造が公開されていなかったりするために、表示装置150の表示画面にその内容を表示することが困難である。そこで、図19のフローチャートに示すように外部プログラムを制御し、当該レビュー対象文書を画像として扱う事で、上述した実施形態でこのような文書をレビュー対象とすることが可能となる。
【0079】
図19では、上述した実施形態において各レビュー端末100で実行されるレビュープログラムに加えて、更に仮想プリンタプログラムと、当該レビュー対象文書を扱う外部プログラムとにおいて実行される処理を示している。この外部プログラムは、例えばワードプロセッサソフトやスプレッドシートソフト等、上述したレビュー対象文書を扱う事ができるプログラムである。また仮想プリンタプログラムは、オペレーティングシステム(OS)上でプリンタとして認識されるプログラムであり、このプリンタで印刷を行うと、印刷結果が画像データとして出力されるようなプログラムである。このような仮想プリンタプログラムは周知であるので説明を省略する。
【0080】
レビュープログラムは、上述したレビュー対象文書を扱う場合、まずステップS1000において、外部プログラムに対しレビュー対象文書の印刷指示を出力する。このときの印刷先は、上記の仮想プリンタプログラムを指定する。外部プログラムはステップS1020においてこの印刷指示を受け付けて、当該レビュー対象文書を仮想プリンタプログラムにより印刷するため、ステップS1030において仮想プリンタプログラムに印刷データを出力する。仮想プリンタプログラムはこの印刷データをステップS1040で受け付け、ステップS1050で印刷データを画像データに変換してレビュープログラムに出力する。レビュープログラムはステップS1010でこの画像データを取得し、この画像データを当該レビュー対象文書として扱う。例えば、文書表示領域にこの画像データを表示し、参加者および主催者が入力装置160を用いてこの画像データ上で矩形領域を選択して指摘情報を入力すると、当該矩形領域を指摘範囲として指摘情報を受け付ける。また、レビュー対象文書が複数のページから構成される文書の場合には、各ページを画像データに変換して扱う。このように構成することで、取り扱いが困難な種類の文書ファイルを、レビュー対象文書として正しく取り扱うことが可能となり、レビューシステムの利便性が向上する。
【0081】
なお、図19では、レビュープログラムと仮想プリンタプログラムとは独立したプログラムとして図示したが、これらが1つのプログラムにより構成されるようにしてもよい。例えば、レビュープログラムに含まれる1つのモジュールとして、図19に示した仮想プリンタプログラム相当のプログラムが含まれるようにしてもよい。
【0082】
(変形例6)
上述した各実施形態において、レビュープログラムが、レビュー端末100間でコミュニケーションを取るための種々の通信機能を有していてもよい。例えば、いわゆる文字チャット機能やボイスチャット機能、ホワイトボード共有機能等をレビュープログラムに設けてもよい。
【0083】
(変形例7)
第1の実施の形態や上述の各変形例において説明した各種の機能は、第2の実施の形態において、サーバ300とレビュー端末100のいずれで実行されるようにしてもよい。具体的には、レビュー報告書の出力(印刷や表示など)処理や変形例2で説明した指摘情報の集計(可視化)処理、変形例3で説明した再レビュー機能を実現するための処理、変形例4で説明した支援機能、変形例5で説明した仮想プリンタプログラムや外部プログラム、変形例6で説明した通信機能などをサーバ300で実行するように構成してもよい。また、これらの処理に必要なデータがサーバ300からレビュー端末100に送信されるようにし、レビュー端末100においてこれらの処理が実行されるようにしてもよい。上記の各処理は、その他レビュー端末100とサーバ300のあらゆる組み合わせで実行させることが可能である。
【0084】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1、2…レビューシステム、100…レビュー端末、200…ネットワーク、300…サーバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、レビュープログラムおよびレビューシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のユーザが会議形式でレビュー対象文書のレビューを行えるレビューシステムが知られている。例えば特許文献1には、LANやWAN等の通信回線を介して相互に通信可能な複数のレビュー端末を有するレビューシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−59302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のレビューシステムは、レビュー結果をまとめた報告書の作成に時間を要してしまうため、使い勝手が悪いという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、サーバと、サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムのサーバにおいて実行されるレビュープログラムであって、レビューの対象となるレビュー対象文書の少なくとも一部に対する指摘事項が含まれる指摘情報を、複数の端末から通信回線を介してサーバに受信させる受信工程と、受信工程においてサーバにより受信された、レビュー対象文書に対する指摘情報に基づいて、サーバに所定の書式を有するレビュー結果報告書を作成させる報告書作成工程とを含むことを特徴とするレビュープログラムである。
請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれか一項に記載のレビュープログラムを有するサーバと、サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、使い勝手のよいレビューシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】レビューシステム1が有するレビュー端末100の構成を示すブロック図である。
【図3】主催者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。
【図4】参加者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。
【図5】図3および図4において呼び出される処理のフローチャートである。
【図6】表示装置150に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】指摘情報の入力画面の一例を示す図である。
【図8】図3および図4において呼び出される処理のフローチャートである。
【図9】図3および図4において呼び出される処理のフローチャートである。
【図10】文書表示領域13の一表示例を示す図である。
【図11】主催者端末が出力可能な報告書の様式の一例を示す図である。
【図12】図3において呼び出される処理のフローチャートである。
【図13】第2の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。
【図14】指摘情報に含める図を描画する画面の一例を示す図である。
【図15】指摘情報を集計し可視化した画面の一例を示す図である。
【図16】再レビュー機能を説明するための図である。
【図17】再レビュー時にDRAM130に格納されるデータを示す図である。
【図18】再レビュー機能を実現するための処理のフローチャートである。
【図19】レビュー対象文書を画像データに変換する処理のフローチャートである。
【図20】実際のレビューの進め方について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を適用したレビューシステムについて説明する。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。レビューシステム1は、ネットワーク200を介して相互に接続された複数のレビュー端末100を有している。ネットワーク200は、周知のプロトコルにより構成されるLANやWAN等である。
【0010】
図2は、レビューシステム1が有するレビュー端末100の構成を示すブロック図である。レビュー端末100は、CPUおよびその周辺回路を含む制御回路110と、制御回路110により制御されるフラッシュメモリ120、DRAM130、HDD140、表示装置150、入力装置160、およびネットワークインタフェース(I/F)170とから構成される。
【0011】
制御回路110は、フラッシュメモリ120またはHDD140に予め格納されている所定のレビュープログラムを読み込んで実行することにより、レビュー端末100を制御する。フラッシュメモリ120は不揮発性の記憶媒体であり、DRAM130は揮発性の記憶媒体である。上記のレビュープログラムはDRAM130を一時的な記憶領域として利用する。HDD140には、後述するレビュー対象文書等が格納されている。表示装置150は例えば液晶ディスプレイ等の、表示画面を有する表示装置である。入力装置160は例えばキーボードやマウス等の入力装置である。ネットワークI/F170は、ネットワーク200を介して通信を行うためのインタフェースである。制御回路110はネットワークI/F170を介して、ネットワーク200により相互に接続されたレビュー端末100同士でデータ通信を行う。
【0012】
以上のように構成されたレビューシステム1により、本システムの利用者は、作成した文書のレビューを行うことができる。以下、本実施形態のレビューシステム1により行われるレビューについて簡単に説明する。
【0013】
本実施形態のレビューシステム1により行われるレビューとは、レビューの対象となる文書について、その文書の作成者とは異なる者がその内容を確認し、当該文書の問題点や修正すべき点等を指摘する作業のことである。以下の説明では、レビューに参加する者のうち、レビューを取り纏める者をレビュー主催者あるいは単に主催者と呼び、それ以外の者をレビュー参加者あるいは単に参加者と呼ぶ。レビュー主催者はレビューにおいて1人だけ存在し、レビュー参加者は1人以上存在する。また、レビューの対象とする文書ファイルをレビュー対象文書と称する。レビュー対象文書は、各種のアプリケーションソフトウェアにより作成可能な任意の文書ファイルとすることができる。例えば、プログラムのソースコード等のテキストファイルや、ワードプロセッサ、スプレッドシート、プレゼンテーションソフト等の各種のアプリケーションソフトウェアにより作成される文書ファイルをレビュー対象文書とすることができる。なお、レビュー対象文書の作成者は各文書毎に1人以上存在し、主催者や参加者であることもあればそれ以外の者であることもある。
【0014】
主催者および参加者は、それぞれに割り当てられたレビュー端末100を用いてレビューを行う。以下の説明において、主催者の利用するレビュー端末100を主催者端末と呼び、参加者の利用するレビュー端末100を参加者端末と呼ぶ。なお、本実施形態では、レビュー端末100は主催者端末になることも参加者端末になることもできる汎用的な端末としたが、主催者端末と参加者端末がそれぞれ異なる構成を備えた専用の端末であるとしてもよい。
【0015】
レビューの流れを簡単に説明すると、まずレビュー主催者は主催者端末にレビューを開催するために必要な情報を入力する。主催者端末はこれに応じて、参加者端末の接続を待ち受ける状態となる。次に、レビュー参加者は参加者端末を操作して主催者端末に接続する。これにより、主催者端末から参加者端末に対してレビュー対象文書が送信され、参加者端末においてレビュー対象文書が表示される。レビュー参加者およびレビュー主催者は、参加者端末および主催者端末を用いて各レビュー対象文書を閲覧し、必要に応じて、当該文書に対する指摘を表す指摘情報を参加者端末に入力する。参加者端末に入力された指摘情報は主催者端末を介して他の参加者端末に送信される。また、主催者端末に入力された指摘情報は、他の参加者端末に送信される。主催者端末および参加者端末は、入力された指摘情報および他のレビュー端末100から受信した指摘情報を表示装置150の表示画面に表示する。このように、1つのレビュー端末100において入力された指摘情報は、全てのレビュー端末100において共有され、また表示される。最後に、主催者端末にレビューの終了指示が入力されると、主催者端末は今回行われたレビューの結果を所定の形式で表示画面等に出力する。
【0016】
以下、上述したレビューの具体的な処理内容について説明する。
【0017】
(主催者端末が実行するレビュー処理の説明)
図3は、主催者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。まずステップS100では、主催者が入力装置160を操作し、制御回路110にレビューの開催に必要な情報が入力される。本実施形態において、ステップS100で入力される情報には、レビュー名情報、参加メンバー情報、対象文書情報、および検出目標情報が、少なくとも含まれる。
【0018】
レビュー名情報は、今回開始するレビューに付された名称を表す文字列であり、主催者が任意に設定する。参加メンバー情報は、今回開始するレビューに参加可能な参加者を識別するための情報であり、参加者IDと参加者パスワードとの組を1つ以上含んでいる。制御回路110は、この参加者IDと参加者パスワードを用いて参加者を認証する。対象文書情報は、レビュー対象文書を表す情報であり、レビュー対象文書の名称および内容の組を1つ以上含んでいる。主催者は、予めHDD140に記憶されている文書ファイルから、レビュー対象とする文書ファイルを選択することにより、対象文書情報を入力する。検出目標情報は、今回のレビューにおいて入力される指摘情報の目標件数を表す。例えば検出目標情報が10件に設定された場合、今回のレビューでは少なくとも10件の検出情報が入力されるべきである、とレビュー主催者が考えていることを意味する。制御回路110は、ステップS100で入力されたこれらの必要な情報を、DRAM130に記憶させておく。
【0019】
ステップS110では、制御回路110が、主催者による入力装置160の操作およびネットワーク200を介した参加者端末からのデータ受信の待ち合わせを行う。そして、入力装置160に対して行われた操作や参加者端末から受信したデータの種類に応じた処理を、ステップS120〜S180の各々において実行する。
【0020】
ステップS110において主催者により指摘入力操作が為された場合、ステップS120に進み、制御回路110は後述する指摘入力処理A(図8)を実行する。他方、ステップS110において参加者端末から指摘データを受信した場合にはステップS130に進み、制御回路110は後述する指摘受信処理A(図8)を実行する。ステップS120またはステップS130を実行した制御回路110は、引き続きステップS140に進み、ステップS120において入力された指摘やステップS130において受信した指摘データを表示画面に反映させる。
【0021】
ステップS110において参加者端末から接続要求を受信した場合、ステップS150に進み、制御回路110は後述する接続受け入れ処理(図5)を実行する。ステップS110において主催者により表示位置同期操作が為された場合にはステップS160に進み、制御回路110は後述する表示位置同期処理A(図9)を実行する。ステップS110において参加者端末から表示位置要求を受信した場合、ステップS170に進み、制御回路110は後述する表示位置要求受信処理A(図9)を実行する。ステップS110において主催者により終了操作が為された場合、ステップS180に進み、制御回路110は後述するレビュー終了処理(図12)を実行し、図3の処理を終了する。
【0022】
(参加者端末が実行するレビュー処理の説明)
図4は、参加者端末により実行されるレビュー処理のフローチャートである。まずステップS200では、制御回路110が後述する接続処理(図5)を実行し、主催者端末に接続する。ステップS110では、制御回路110が、参加者による入力装置160の操作およびネットワーク200を介した主催者端末からのデータ受信の待ち合わせを行う。そして、入力装置160に対して行われた操作や主催者端末から受信したデータの種類に応じた処理を、ステップS220〜S270の各々において実行する。
【0023】
ステップS110において参加者により指摘入力操作が為された場合、ステップS220に進み、制御回路110は後述する指摘入力処理B(図8)を実行する。他方、ステップS210において主催者端末から指摘データを受信した場合にはステップS230に進み、制御回路110は後述する指摘受信処理B(図8)を実行する。ステップS230を実行した制御回路110は、引き続きステップS240に進み、ステップS230において受信した指摘データを表示画面に反映させる。
【0024】
ステップS210において参加者により表示位置同期操作が為された場合にはステップS250に進み、制御回路110は後述する表示位置同期処理B(図9)を実行する。ステップS210において主催者端末から表示位置要求を受信した場合、ステップS260に進み、制御回路110は後述する表示位置要求受信処理B(図9)を実行する。ステップS210において主催者端末からレビューの終了指示を受信した場合、ステップS270に進み、制御回路110は主催者端末との接続を切断し、図4の処理を終了する。
【0025】
(接続受け入れ処理および接続処理の説明)
図5は、図3および図4において呼び出される接続受け入れ処理および接続処理のフローチャートである。図5の左側には主催者端末の制御回路110により実行される接続受け入れ処理が、図5の右側には参加者端末の制御回路110により実行される接続処理が、それぞれ示されている。また、図5において破線で示される矢印は、端末間のデータ通信によるデータの授受を表している。以下、まず接続受け入れ処理について説明し、その後に接続処理を説明する。
【0026】
接続受け入れ処理が呼び出されると、まずステップS310で制御回路110が、参加者端末から参加者IDおよび参加者パスワードを受信する。ステップS320では制御回路110が、ステップS310で受信した参加者IDおよび参加者パスワードを用いて、参加者の認証を行う。具体的には、DRAM130に記憶されている参加メンバー情報から、受信した参加者IDと参加者パスワードとの組に一致するものを検索する。そして、一致するものが見つかれば、認証に成功したとみなし、参加者端末に認証成功を表す情報を送信してステップS340に進む。他方、一致するものが見つからなかった場合には、参加者端末に認証失敗をあらわす情報を送信してステップS330に進む。ステップS330では制御回路110が参加者端末の接続を切断し、図5の処理を終了する。
【0027】
ステップS340では制御回路110が、今回接続された参加者端末を識別するための情報(例えば参加者端末のネットワークアドレスや参加者IDなど)をDRAM130に記憶する。以下、この情報を端末識別情報と称する。ここで記憶された端末識別情報は、参加者端末が切断したときに消去される。ステップS350では、制御回路110が、DRAM130に記憶されている対象文書情報を今回接続された参加者端末に送信する。ステップS360では制御回路110が、DRAM130に記憶されている指摘情報(後に詳述する)を、今回接続された参加者端末に送信する。
【0028】
次に、図5の右側に示した、参加者端末により実行される接続処理を説明する。参加者端末の制御回路110は、まずステップS400において、接続先の主催者端末を特定する。例えば、参加者に入力装置160を操作させて主催者端末のネットワークアドレスを入力させる。ステップS410では、入力装置160から制御回路110に、参加者の参加者IDおよび参加者パスワードが入力される。ステップS420では制御回路110が、ステップS400で特定された主催者端末へ、ネットワーク200を介して接続を試みる。ステップS430では制御回路110が、ステップS410で入力された参加者IDおよび参加者パスワードを、主催者端末に送信する(ステップS310に対応)。
【0029】
ステップS440では制御回路110が、ステップS430において送信した参加者IDおよび参加者パスワードによる認証が成功したか否かを判定する。この判定は、主催者端末から受信した認証結果を表す情報に基づいて行われる。認証が失敗していた場合は図5の処理を終了する。他方、認証に成功した場合にはステップS450に進む。
【0030】
ステップS450では制御回路110が、主催者端末から送信される対象文書情報を受信する(ステップS350に対応)。ステップS460では制御回路110が、主催者端末から送信される指摘情報を受信する(ステップS360に対応)。ステップS450およびステップS460で受信されたこれらの情報は、参加者端末のDRAM130に記憶される。ステップS470では制御回路110が、ステップS450およびステップS460において受信したこれらの情報に基づいて、表示装置150の表示画面の内容を更新する(後に詳述)。
【0031】
(レビュー中の表示画面の説明)
接続の待ち受けを開始した主催者端末の表示装置150、および、主催者端末への接続を完了した参加者端末の表示装置150には、例えば図6に示す画面が表示される。この画面は大きく分けて、左上、左下、右側の3つの領域に分かれている。画面左上の文書一覧領域11には、レビュー対象文書の一覧が表示されている。画面左下の参加者一覧領域12には、レビューの主催者および参加者の一覧が表示されている。画面右側の文書表示領域13には、1つのレビュー対象文書について、その内容が表示されている。
【0032】
なお、これら3つの領域(文書一覧領域11、参加者一覧領域12、および文書表示領域13)は、その表示/非表示を切り替えることや、表示位置を変更することが可能であり、図6に示した画面はその表示態様の一例を示すものに過ぎない。
【0033】
主催者および参加者は、文書一覧領域11から、文書表示領域13に表示させたい文書を選択することができる。文書を選択すると、文書表示領域13に当該文書の内容が表示される。主催者および参加者は、文書表示領域13を視認することにより、当該文書の内容を確認する。例えば当該文書が文書表示領域13に収まりきらない大きさの場合には、所定のスクロール操作を行うことができる。また、当該文書が複数のページから構成されている場合には、所定のページ切り替え操作により、他のページに表示を切り替えることができる。
【0034】
レビュー端末100には、文書表示領域13の表示内容(表示位置)を、他のレビュー端末100の文書表示領域13と同期させる機能が用意されている。特定の端末において、参加者一覧領域12に各参加者/主催者毎に設けられた同期ボタン14が押下されると、当該端末における文書表示領域13の表示内容(表示位置)が、同期ボタン14に対応する参加者/主催者の端末の表示内容(表示位置)に同期される。例えば、ある参加者が特定のレビュー対象文書の3ページ目を表示中に、主催者端末においてその参加者に対応する同期ボタン14が押下されると、主催者端末の文書表示領域13には、当該文書の3ページ目が表示される。
【0035】
また、この同期機能は、継続的に機能させることも可能である。特定の端末において、参加者一覧領域12に各参加者/主催者毎に設けられた自動同期チェックボックス15にチェックが入れられると、当該端末における文書表示領域13の表示内容(表示位置)が、自動同期チェックボックス15に対応する参加者/主催者の端末の表示内容(表示位置)に、自動的に同期される。なお、文書表示領域13に複数のレビュー対象文書を同時に表示させることや、文書表示領域13を複数の部分に分割し、1つのレビュー対象文書の複数箇所を並列に表示させることも可能である。このような場合、文書表示領域13の表示内容全てを端末間で同期させてもよいし、いずれか1つのレビュー対象文書やその1箇所のみを端末間で同期させてもよい。
【0036】
自動同期チェックボックス15にチェックが入れられている場合、制御回路110は図3および図4に示した処理を実行する際、ステップS110およびステップS210において、定期的にステップS160およびステップS250の処理を呼び出して実行する。これにより、各端末間の表示位置が定期的に同期される。
【0037】
文書中に問題点等を発見した場合、主催者および参加者は、文書表示領域13において、問題点等が含まれる範囲を選択し、当該範囲に紐付けられた指摘情報を入力することができる。前述したように、指摘情報とは当該文書に対する指摘を表す情報である。例えばプログラムコード等のテキストファイルであれば、行単位や文字単位での範囲選択を行うことができる。また、画像ファイル等であれば、任意の大きさの矩形で範囲選択を行うことができる。
【0038】
図7は、指摘情報の入力画面の一例を示す図である。指摘情報には、指摘内容を表す文章21(以下、単に指摘内容21と称する)が少なくとも含まれる。主催者および参加者は、入力装置160を用いてこの情報を入力する。また、制御回路110は、入力された指摘情報に、更にその指摘情報を入力した参加者または主催者の名前と、指摘情報を入力した日時と、指摘を行ったレビュー対象文書のファイル名と、当該指摘情報に紐付けられた範囲と、を少なくとも追加する。
【0039】
次に、実際のレビューの進め方について説明する。まず図20(a)に示すように、複数のレビュー対象文書からいずれか1つのレビュー対象文書を選択して文書表示領域に表示させる。ここで選択されたレビュー対象文書を、仮にレビュー対象文書Aと称する。次に、このレビュー対象文書Aの内容を閲覧し、問題がないようであれば、その範囲について指摘事項がないことを表す情報(後に詳述)を入力する。換言すれば、当該範囲がレビュー済みであることを表す情報を入力する。これにより、図20(b)に示すように、レビュー対象文書Aは、その一部(範囲90)がレビュー済みの状態となる。
【0040】
参加者および主催者は更にレビュー対象文書Aの内容の閲覧を継続し、問題が見つかった場合には、その範囲について指摘情報を入力する。これにより、図20(c)に示すように、当該範囲91に指摘情報が関連付けられる。このように、指摘事項がないことを表す情報が入力された範囲90と、指摘情報が関連付けられた範囲91とを合わせた範囲が、当該文書のレビュー済み範囲となる。このようにして、レビュー対象文書Aの全ての範囲についてレビュー済みとなるまで、レビュー対象文書Aのレビューを継続する。
【0041】
なお、レビュー対象文書Aのレビュー中に、他のレビュー対象文書の閲覧に移ることもある。これは、レビュー対象文書Aにおいて発見された問題が、他のレビュー対象文書にも影響を及ぼすものである場合があるためである。
【0042】
以下、指摘情報を扱う指摘入出力処理(図3および図4のフローチャートから呼び出される処理)について詳述する。
【0043】
(指摘入出力処理の説明)
図8は、図3および図4において呼び出される指摘入力処理A、指摘入力処理B、指摘受信処理A、および指摘受信処理Bのフローチャートである。図8において破線で示される矢印は、端末間のデータ通信によるデータの授受を表している。以下、各処理を順に説明する。
【0044】
指摘入力処理Aにおいて、主催者端末の制御回路110はまずステップS510で、入力装置160により主催者から入力された指摘情報に上述した各情報(指摘情報を入力した主催者の名前等)を追加して、当該指摘情報をDRAM130に記憶させる。ステップS520では制御回路110が、DRAM130に記憶されている端末識別情報に基づき、全ての参加者端末に当該指摘情報を送信する。
【0045】
次に、参加者端末の制御回路110が実行する指摘入力処理Bについて説明する。まずステップS610において制御回路110は、入力装置160により参加者から入力された指摘情報に、上述した各情報(指摘情報を入力した参加者の名前等)を追加した上で当該指摘情報を主催者端末に送信する。
【0046】
次に、主催者端末の制御回路110が実行する指摘受信処理Aについて説明する。まずステップS540において制御回路110は、受信した指摘情報をDRAM130に記憶させる。ステップS550では制御回路110が、DRAM130に記憶した指摘情報を全ての参加者端末に対して送信する。
【0047】
次に、参加者端末の制御回路110が実行する指摘受信処理Bについて説明する。ステップS640では制御回路110が、受信した指摘情報をDRAM130に記憶させる。
【0048】
以上のように、各端末が指摘入力処理A、指摘入力処理B、指摘受信処理A、および指摘受信処理Bを実行することにより、特定の端末において入力された指摘情報が他の全ての端末に共有される。
【0049】
なお、レビュー対象文書全体のうち、レビューが済んだ箇所については、指摘事項の有無に関わらず、主催者端末および参加者端末に対し、当該箇所のレビューが完了したことを表す情報を入力することができる。以下、この情報をレビュー済み情報と称する。制御回路110は、入力されたレビュー済み情報を、上述した指摘情報と同様に全ての端末で共有する。制御回路110は各レビュー対象文書について、レビュー済み情報によって当該文書のレビュー済み範囲を管理する。レビュー済み範囲とは、レビュー済み情報によりレビューが完了していることが表された範囲のことである。つまり、レビュー済み情報が存在しない(紐付けられていない)範囲が残っている場合、その文書に対するレビューが完了していないということを意味する。制御回路110は、各レビュー対象文書について、当該文書全体に対するレビュー済み範囲の割合を演算し、表示装置150の表示画面のうち文書一覧領域11に表示する。主催者および参加者は、この表示を視認することにより、各レビュー対象文書について、どの程度レビューが完了したかを認識することが可能である。
【0050】
(表示更新処理の説明)
図9は、図3および図4において呼び出される表示位置同期処理A、表示位置同期処理B、表示位置要求受信処理A、および表示位置要求受信処理Bのフローチャートである。表示位置同期処理Aおよび表示位置要求受信処理Aは主催者端末の制御回路110により実行され、表示位置同期処理Bおよび表示位置要求受信処理Bは参加者端末の制御回路110により実行される。また、図9において破線で示される矢印は、端末間のデータ通信によるデータの授受を表している。
【0051】
まず、主催者端末において実行される表示位置同期処理Aについて説明する。ステップS710では制御回路110が、表示位置を同期する相手の参加者端末100に対して表示位置要求を送信する。表示位置要求は、対象のレビュー端末100の文書表示領域13の現在の表示位置を要求するデータである。ステップS720では制御回路110が、ステップS710で送信した表示位置要求への返答として送信される表示位置情報を受信する。ステップS730では制御回路110が、文書表示領域13の表示位置を、ステップS720で受信した表示位置情報に基づいて更新する。
【0052】
次に、参加者端末において実行される表示位置同期処理Bについて説明する。ステップS740では制御回路110が、表示位置を同期する相手の参加者端末100を要求先とする表示位置要求を、主催者端末に送信する。ステップS750では制御回路110が、ステップS740で送信した表示位置要求への返答として送信される表示位置情報を受信する。ステップS760では制御回路110が、文書表示領域13の表示位置を、ステップS750で受信した表示位置情報に基づいて更新する。
【0053】
次に、主催者端末において実行される表示位置要求受信処理Aについて説明する。この処理は、主催者端末の制御回路110が参加者端末から表示位置要求を受信した場合に実行される処理である。ステップS770において制御回路110は、受信した表示位置要求の要求先が主催者端末(すなわち自端末)であるか、あるいは他の参加者端末であるかを判定する。主催者端末が要求先であった場合にはステップS771に進み、要求元の参加者端末に対して、主催者端末(すなわち自端末)の現在の表示位置を表す表示位置情報を送信する。他方、要求先が他の参加者端末であった場合にはステップS772に進む。
【0054】
ステップS772では制御回路110が、要求先の参加者端末へ表示位置要求を送信する。ステップS773では制御回路110が、ステップS772で送信した表示位置要求への返答として送信される表示位置情報を受信する。ステップS774では制御回路110が、ステップS773で受信した表示位置情報を、要求元の参加者端末に送信する。
【0055】
次に、参加者端末において実行される表示位置要求受信処理Bについて説明する。この処理は、参加者端末の制御回路110が主催者端末から表示位置要求を受信した場合に実行される処理である。ステップS775において制御回路110は、主催者端末に自端末の現在の表示位置を表す表示位置情報を送信する。
【0056】
なお、文書表示領域13の表示内容を更新する際、DRAM130に記憶されている指摘情報やレビュー済み情報に基づいて、指摘が存在する範囲やレビュー済みの範囲を強調表示する。このとき、指摘情報の内容を文書表示領域13に重畳してポップアップ表示してもよい。例えば図10に示すように、レビュー済みのページに「レビュー済み」のウォーターマーク(すかし文字)を重畳表示したり、指摘情報が存在する範囲を周囲とは異なる色で表示したりすることができる。また、指摘情報が存在する範囲にマウスカーソルを重ねることで、マウスカーソルの位置にその指摘情報の内容の概略をポップアップ表示することができる。
【0057】
(レビュー終了処理の説明)
主催者は、入力装置160を用いて、主催者端末にレビュー終了指示を入力することが可能である。レビュー終了指示が入力された主催者端末は、所定のレビュー終了処理を実行する。レビュー終了後は、主催者端末において、今回行われたレビューの結果を所定の書式を有する報告書の形で出力することが可能である。
【0058】
図11に、主催者端末が出力可能な報告書の様式の一例を示す。このように、レビュー結果の報告書には、レビューが行われた日時および期間、レビューへの参加者の一覧(主催者を含む)、レビュー中に各端末から入力された指摘情報に含まれる種々の情報(例えば指摘範囲や指摘文章、指摘情報を入力した参加者名等)を含めることが可能である。また、制御回路110が実行するレビュープログラムは、各レビュー対象文書について、レビュー済み範囲の割合を示すことが可能に構成されている。主催者端末を含む各レビュー端末100のDRAM130には、各レビュー端末100において入力された全ての指摘情報やレビュー済み情報が格納されているので、これらのレビュー済み情報に関連付けられた範囲を集計すれば、各レビュー対象文書のレビュー済み範囲の割合を演算することが可能である。例えばレビュー対象文書がテキストファイルであれば、レビュー済み範囲が行単位で入力されているので、当該テキストファイルの全行数に対するレビュー済み範囲の割合を演算すればよい。更に、実際に入力された指摘情報の個数から、レビュー開始時に設定された検出目標情報の充足率を示すことも可能である。例えば検出目標情報が10件に設定され、指摘情報が8件入力されていれば、充足率は80%となる。この報告書は、例えば不図示のプリンタ等により印刷したり、所定の文書ファイルとしてHDD140に記憶させたりすることが可能である。
【0059】
図12は、図3において呼び出されるレビュー終了処理のフローチャートである。まずステップS800では制御回路110が、全ての参加者端末にレビュー終了指示を送信する。ステップS810では制御回路110が、全ての参加者端末との接続を切断する。
【0060】
上述した第1の実施の形態によるレビューシステムによれば、次の作用効果が得られる。
(1)主催者端末の制御回路110が、レビューの結果(指摘情報を含む種々の情報)を所定の書式の報告書として出力するようにした。このようにしたので、レビューの結果を手動でまとめる必要がなく、使い勝手のよいレビューシステムを提供することができる。
【0061】
(2)複数のレビュー端末100において、文書表示領域13の表示位置を同期させることができる。このようにしたので、多数の参加者により行われるレビューを円滑に進めることが可能となる。また、レビュー中に離席した場合や途中からレビューに参加した場合であっても、速やかに現在進行中のレビューに参加することができる。
【0062】
(第2の実施の形態)
図13は、第2の実施の形態に係るレビューシステムの全体構成を示すブロック図である。レビューシステム1が複数のレビュー端末100により構成されていたのに対し、本実施形態のレビューシステム2は、サーバ300と、ネットワーク200を介してサーバ300に接続された複数のレビュー端末100とから構成されている。サーバ300はレビュー端末100と同様に、制御回路やDRAM、HDD等の各部を有し、所定のレビュープログラムを実行するが、それらの各構成要素はいずれも図2に示したものと同様であるため説明を省略する。
【0063】
サーバ300は、主催者により操作されないことを除き、第1の実施の形態における主催者端末と同様の役割を担う。レビューの主催者は、いずれかのレビュー端末100を操作して、サーバ300に対して新規レビューの登録を行うよう指示する。またこのとき、レビュー端末100からサーバ300に対して、レビューの開始に必要な情報が送信される。サーバ300はこの指示および情報に応じて、第1の実施の形態における主催者端末のように、接続の待ち受けを開始する。
【0064】
各参加者は、第1の実施の形態で主催者端末に接続していたように、サーバ300に接続する。また、各レビュー端末100に入力された指摘情報はサーバ300に送信される。サーバ300は主催者端末のように、各レビュー端末100からの接続を受け付けて認証を行うと共に、対象文書情報や指摘情報を各レビュー端末100に配信する。各レビュー端末100は、表示位置の同期等に際しても、いったんサーバ300を介して他の端末の表示位置情報等を取得する。
【0065】
主催者がいずれかのレビュー端末100からレビュー終了指示をサーバ300に送信すると、サーバ300は主催者端末のように報告書を作成して主催者が利用しているレビュー端末100に送信する。
【0066】
上述した第2の実施の形態によるレビューシステムによれば、第1の実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0067】
次のような変形も本発明の範囲内であり、変形例の一つ、もしくは複数を上述の実施形態と組み合わせることも可能である。
【0068】
(変形例1)
指摘情報に、上述した実施形態で示した例に加えて、更に複数の情報が含まれるようにしてもよい。例えば、プログラムコードのレビュー向けに、予め定めておいた開発工程(要件定義、基本設計、詳細設計等)から、当該指摘により表される問題点が生じたと考えられる工程(原因工程)を表す情報を指摘情報に含めるようにしてもよい。ここで要件定義とは、開発するシステムに要求される(顧客が必要としている)機能を定義する工程であり、基本設計とはシステムの基本的な設計を行う工程である。基本設計では、要件定義を元に、どのようなシステムを開発すればそれを満たすことができるかを検討し、実装すべき機能、画面や帳票など、操作や入出力に関する事項、生成・保管されるデータの概要など、システムの基礎的な仕様をまとめる。また、詳細設計とは、基本設計で定められた機能や操作・表示方法などに基づき、システムとしてそれをどう実現するかを具体的に定める工程のことを指す。このように、各指摘情報に対してその原因工程を入力させることで、その指摘情報により表される問題点等を、どの工程に遡って修正するかを、後から容易に判断することができるようになる。
【0069】
また、指摘情報に、文章だけではなく画像データ等を含めてもよい。例えば図14に示すように、表示装置150の表示画面に描画領域を表示し、参加者や主催者が入力装置160(例えばマウス等のポインティングデバイスが望ましい)を用いて図を描画可能にし、描画された図の画像データを指摘情報に含めるようにしてもよい。
【0070】
その他、指摘情報には、当該指摘に関するあらゆる情報を付け加えることが可能である。それらの情報は、報告書に出力するための情報であってもよいし、表示画面に表示する際に用いられる情報(例えば当該指摘の表示色等)であってもよい。指摘情報に付加される各情報は、予め用意されたいくつかの選択肢から選択される情報であってもよいし、参加者および主催者により自由に入力される数値や文字列であってもよい。
【0071】
(変形例2)
レビュー結果を、報告書以外の形で出力可能にしてもよい。例えば、指摘情報に変形例1で説明した当該指摘の原因工程や、当該指摘に対応するレビュー対象文書の作成者等で集計し、その結果をグラフや表の形でプリンタ等に印刷したり、表示装置150の表示画面に表示したりできるようにしてもよい。一例として図15に示したように、棒グラフや円グラフ、レーダーチャート等の種々の方法で、指摘情報を可視化することが可能である。
【0072】
(変形例3)
上述したレビュープログラムに、一度完了したレビューの結果に基づく再レビュー機能を設けてもよい。この再レビュー機能とは、1回目のレビューにおいて問題点等が指摘された箇所が、正しく修正され、上記の問題点が取り除かれているかを確認するためのレビューを実施することを支援する機能である。
【0073】
例えば図16(a)に示すように、1回目のレビューではレビュー対象文書Aについてレビューを行い、複数の指摘情報を含むレビュー結果Aが得られたとする。その後、図16(b)に示す様に、レビュー結果Aに基づいてレビュー対象文書Aが修正され、レビュー結果Aの各指摘情報により指摘された問題点が解消されたレビュー対象文書Bが作成される。
【0074】
図18は、再レビュー機能を実現するための処理のフローチャートである。まずステップS900において、主催者端末の制御回路110は、主催者が主催者端末の入力装置160を用いて入力した、前回のレビュー結果に基づく再レビュー指示を受け付ける。この指示に応じて主催者端末の制御回路110は、ステップS910においてレビュー対象文書Aとレビュー対象文書Bとを比較し、DRAM130に図17に示す各データを格納する。具体的には、レビュー対象文書Aとレビュー対象文書Bとを比較することにより、前回のレビュー結果Aに含まれる各指摘情報について、その指摘範囲がレビュー対象文書Bのどの範囲に相当するかを決定する。
【0075】
ステップS920では制御回路110が、ステップS910において行った比較の結果と前回のレビュー結果Aとから、前回の指摘範囲(レビュー対象文書Aにおける指摘範囲)と今回の指摘範囲(レビュー対象文書Bにおける指摘範囲)とを対応付けたレビュー結果マップ(図17)を作成する。ステップS930で主催者端末の制御回路110は、このレビュー結果マップを全ての参加者端末に送信し、全端末で共有する。
【0076】
主催者端末および参加者端末の制御回路110は、このようにして実行される新たなレビュー(2回目のレビュー)において、図17に示したレビュー結果マップを表示画面に表示する。主催者または参加者がこのレビュー結果マップに含まれるいずれかの行を選択すると、制御回路110は文書表示領域13にレビュー対象文書Bを表示する。このとき、表示位置はレビュー結果マップ中の今回指摘範囲(レビュー対象文書Bにおける指摘範囲)となる。つまり、主催者および参加者はレビュー対象文書Bにおいて、前回指摘を受けた箇所に素早くジャンプし、前回指摘された問題点等が解消しているか否かを容易に判断することができる。
【0077】
(変形例4)
プログラムのソースコード等のテキストファイルをレビュー対象文書とする場合、レビューを行いやすくするための種々の支援機能を設けることが望ましい。例えば、多数のレビュー対象文書から特定のキーワードを一括検索する、いわゆるGrep検索機能や、その検索結果から各レビュー対象文書における当該キーワードの出現箇所にジャンプする、いわゆるタグジャンプ機能をレビュー端末100に設けてもよい。このような機能の実装方法については周知であるため、制御回路110の具体的な処理内容については省略する。
【0078】
(変形例5)
特定の種類のワードプロセッサ文書やスプレッドシート文書等は、構造が複雑であったり、あるいはプロプライエタリなソフトウェアで扱う事を前提にしているためその内部構造が公開されていなかったりするために、表示装置150の表示画面にその内容を表示することが困難である。そこで、図19のフローチャートに示すように外部プログラムを制御し、当該レビュー対象文書を画像として扱う事で、上述した実施形態でこのような文書をレビュー対象とすることが可能となる。
【0079】
図19では、上述した実施形態において各レビュー端末100で実行されるレビュープログラムに加えて、更に仮想プリンタプログラムと、当該レビュー対象文書を扱う外部プログラムとにおいて実行される処理を示している。この外部プログラムは、例えばワードプロセッサソフトやスプレッドシートソフト等、上述したレビュー対象文書を扱う事ができるプログラムである。また仮想プリンタプログラムは、オペレーティングシステム(OS)上でプリンタとして認識されるプログラムであり、このプリンタで印刷を行うと、印刷結果が画像データとして出力されるようなプログラムである。このような仮想プリンタプログラムは周知であるので説明を省略する。
【0080】
レビュープログラムは、上述したレビュー対象文書を扱う場合、まずステップS1000において、外部プログラムに対しレビュー対象文書の印刷指示を出力する。このときの印刷先は、上記の仮想プリンタプログラムを指定する。外部プログラムはステップS1020においてこの印刷指示を受け付けて、当該レビュー対象文書を仮想プリンタプログラムにより印刷するため、ステップS1030において仮想プリンタプログラムに印刷データを出力する。仮想プリンタプログラムはこの印刷データをステップS1040で受け付け、ステップS1050で印刷データを画像データに変換してレビュープログラムに出力する。レビュープログラムはステップS1010でこの画像データを取得し、この画像データを当該レビュー対象文書として扱う。例えば、文書表示領域にこの画像データを表示し、参加者および主催者が入力装置160を用いてこの画像データ上で矩形領域を選択して指摘情報を入力すると、当該矩形領域を指摘範囲として指摘情報を受け付ける。また、レビュー対象文書が複数のページから構成される文書の場合には、各ページを画像データに変換して扱う。このように構成することで、取り扱いが困難な種類の文書ファイルを、レビュー対象文書として正しく取り扱うことが可能となり、レビューシステムの利便性が向上する。
【0081】
なお、図19では、レビュープログラムと仮想プリンタプログラムとは独立したプログラムとして図示したが、これらが1つのプログラムにより構成されるようにしてもよい。例えば、レビュープログラムに含まれる1つのモジュールとして、図19に示した仮想プリンタプログラム相当のプログラムが含まれるようにしてもよい。
【0082】
(変形例6)
上述した各実施形態において、レビュープログラムが、レビュー端末100間でコミュニケーションを取るための種々の通信機能を有していてもよい。例えば、いわゆる文字チャット機能やボイスチャット機能、ホワイトボード共有機能等をレビュープログラムに設けてもよい。
【0083】
(変形例7)
第1の実施の形態や上述の各変形例において説明した各種の機能は、第2の実施の形態において、サーバ300とレビュー端末100のいずれで実行されるようにしてもよい。具体的には、レビュー報告書の出力(印刷や表示など)処理や変形例2で説明した指摘情報の集計(可視化)処理、変形例3で説明した再レビュー機能を実現するための処理、変形例4で説明した支援機能、変形例5で説明した仮想プリンタプログラムや外部プログラム、変形例6で説明した通信機能などをサーバ300で実行するように構成してもよい。また、これらの処理に必要なデータがサーバ300からレビュー端末100に送信されるようにし、レビュー端末100においてこれらの処理が実行されるようにしてもよい。上記の各処理は、その他レビュー端末100とサーバ300のあらゆる組み合わせで実行させることが可能である。
【0084】
本発明の特徴を損なわない限り、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1、2…レビューシステム、100…レビュー端末、200…ネットワーク、300…サーバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムの前記サーバにおいて実行されるレビュープログラムであって、
レビューの対象となるレビュー対象文書の少なくとも一部に対する指摘事項が含まれる指摘情報を、前記複数の端末から前記通信回線を介して前記サーバに受信させる受信工程と、
前記受信工程において前記サーバにより受信された、前記レビュー対象文書に対する前記指摘情報に基づいて、前記サーバに所定の書式を有するレビュー結果報告書を作成させる報告書作成工程とを含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のレビュープログラムにおいて、
前記指摘情報には前記指摘事項に関する複数の指摘項目が含まれ、
前記受信工程において前記サーバにより受信された複数の前記指摘情報を、前記複数の指摘項目のうちいずれかの指摘項目により前記サーバに集計させる集計工程と、
前記集計工程において前記サーバが集計した集計結果を前記サーバから出力させる集計結果出力工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレビュープログラムにおいて、
前記報告書作成工程において前記レビュー結果報告書を作成するために用いられた前記指摘情報に基づいて、前記サーバに前記レビュー対象文書の再レビューを行わせる再レビュー工程を更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記レビュー対象文書を前記複数の端末に表示するために前記サーバから送信させる文書送信工程と、
前記複数の端末のうちいずれかの端末から送信される、当該端末における前記レビュー対象文書の表示位置を表す表示位置情報を前記サーバに受信させる表示位置受信工程と、
前記複数の端末のうち前記表示位置情報を送信した端末とは異なる端末に、前記表示位置受信工程において受信された前記表示位置情報を前記サーバに送信させ、前記いずれかの端末の表示画面上における前記レビュー対象文書の表示位置と、前記異なる端末の表示画面上における前記レビュー対象文書の表示位置とを同期させる表示位置同期工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記指摘情報は、前記複数の端末において作成された画像データを含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記レビュー対象文書はテキストデータを含み、
前記テキストデータから所定のキーワードを前記サーバに検索させる検索工程と、
前記テキストデータにおける前記キーワードの出現位置の一覧を表示手段に表示させる検索結果表示工程と、
前記表示手段に表示された前記出現位置の一覧からいずれかの出現位置が選択されたことに応じて、当該出現位置の前後のテキストデータを前記表示手段に表示させる出現位置選択工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記サーバは、印刷データから出力イメージを表す画像データを作成可能な仮想プリンタプログラムと、前記レビュー対象文書を印刷可能な外部プログラムとが記憶された記憶手段を備え、
前記外部プログラムを実行し、前記外部プログラムが前記レビュー対象文書を前記仮想プリンタプログラムにより印刷するよう前記サーバを制御する印刷制御工程と、
前記仮想プリンタプログラムにより出力された画像データを、前記レビュー対象文書として表示手段に表示させる表示工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項8】
請求項2に記載のレビュープログラムにおいて、
前記集計工程は、所定の目標件数に対する前記指摘情報の個数の割合である充足率を演算する演算工程を更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のレビュープログラムを有するサーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステム。
【請求項1】
サーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステムの前記サーバにおいて実行されるレビュープログラムであって、
レビューの対象となるレビュー対象文書の少なくとも一部に対する指摘事項が含まれる指摘情報を、前記複数の端末から前記通信回線を介して前記サーバに受信させる受信工程と、
前記受信工程において前記サーバにより受信された、前記レビュー対象文書に対する前記指摘情報に基づいて、前記サーバに所定の書式を有するレビュー結果報告書を作成させる報告書作成工程とを含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のレビュープログラムにおいて、
前記指摘情報には前記指摘事項に関する複数の指摘項目が含まれ、
前記受信工程において前記サーバにより受信された複数の前記指摘情報を、前記複数の指摘項目のうちいずれかの指摘項目により前記サーバに集計させる集計工程と、
前記集計工程において前記サーバが集計した集計結果を前記サーバから出力させる集計結果出力工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のレビュープログラムにおいて、
前記報告書作成工程において前記レビュー結果報告書を作成するために用いられた前記指摘情報に基づいて、前記サーバに前記レビュー対象文書の再レビューを行わせる再レビュー工程を更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記レビュー対象文書を前記複数の端末に表示するために前記サーバから送信させる文書送信工程と、
前記複数の端末のうちいずれかの端末から送信される、当該端末における前記レビュー対象文書の表示位置を表す表示位置情報を前記サーバに受信させる表示位置受信工程と、
前記複数の端末のうち前記表示位置情報を送信した端末とは異なる端末に、前記表示位置受信工程において受信された前記表示位置情報を前記サーバに送信させ、前記いずれかの端末の表示画面上における前記レビュー対象文書の表示位置と、前記異なる端末の表示画面上における前記レビュー対象文書の表示位置とを同期させる表示位置同期工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記指摘情報は、前記複数の端末において作成された画像データを含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記レビュー対象文書はテキストデータを含み、
前記テキストデータから所定のキーワードを前記サーバに検索させる検索工程と、
前記テキストデータにおける前記キーワードの出現位置の一覧を表示手段に表示させる検索結果表示工程と、
前記表示手段に表示された前記出現位置の一覧からいずれかの出現位置が選択されたことに応じて、当該出現位置の前後のテキストデータを前記表示手段に表示させる出現位置選択工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のレビュープログラムにおいて、
前記サーバは、印刷データから出力イメージを表す画像データを作成可能な仮想プリンタプログラムと、前記レビュー対象文書を印刷可能な外部プログラムとが記憶された記憶手段を備え、
前記外部プログラムを実行し、前記外部プログラムが前記レビュー対象文書を前記仮想プリンタプログラムにより印刷するよう前記サーバを制御する印刷制御工程と、
前記仮想プリンタプログラムにより出力された画像データを、前記レビュー対象文書として表示手段に表示させる表示工程とを更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項8】
請求項2に記載のレビュープログラムにおいて、
前記集計工程は、所定の目標件数に対する前記指摘情報の個数の割合である充足率を演算する演算工程を更に含むことを特徴とするレビュープログラム。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のレビュープログラムを有するサーバと、前記サーバに通信回線を介して接続された複数の端末と、を有するレビューシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
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【図4】
【図5】
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【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−114337(P2013−114337A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257886(P2011−257886)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(507295196)株式会社クライム (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(507295196)株式会社クライム (2)
【Fターム(参考)】
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