レフィル容器
【課題】落下による衝撃への緩衝効果が大きく、衝撃が加わっても、特に、易屈曲部を設けた側壁方向からの衝撃が加わった場合においても、固形粉末化粧料を収納した中皿へ衝撃が伝わらず、従って、固形粉末化粧料の崩れが起こり難いレフィル容器を提供すること。
【解決手段】本体と蓋体とを有する、本体に側壁欠損部を設けることにより、易屈曲部を形成したレフィル容器において、側壁欠損部を設けた辺側に谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状のフランジを付設する。
【解決手段】本体と蓋体とを有する、本体に側壁欠損部を設けることにより、易屈曲部を形成したレフィル容器において、側壁欠損部を設けた辺側に谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状のフランジを付設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下による衝撃を与えても、収納した中皿内の固形粉末化粧料に割れが生じにくいレフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンデーションのような粉末化粧料は、打型や湿式充填等の方法で固形化した状態で中皿に充填し、それを化粧容器に装着して使用するが、化粧容器が中皿を装着しない状態で販売される場合や、化粧容器に装着した中皿内の固形粉末化粧料を使い切った場合に対応するため、固形粉末化粧料を充填した中皿のみを、いわゆる「レフィル」として、レフィル容器に収納して流通することが行われる。そして、この固形粉末化粧料、特に、打型により固形化した化粧料は、衝撃により破損し易いため、レフィル容器として緩衝性のあるものが使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中皿内の固形粉末化粧料の露出面を覆うよう中皿に装着される構成で、装着状態において前記露出面を保護する蓋部と、前記装着状態において前記中皿の底面が露出された状態で該中皿を保持する保持部とを有する装着部と、前記中皿と係合して離脱を防止する係合部と、前記保持部の外周位置に、該保持部から連続して折り返すように形成された折り返し部とを具備するレフィル容器であって、前記折り返し部の端部に、該端部より突出する突出部を設けたレフィル容器が開示されている。
そして、折り返し部の端部に突出部を設けたことにより、レフィル容器に前記露出面と対向する方向に外力が印加されても、この突出部を支点として装着部及び/或は折り返し部が弾性変形し、外力を吸収することで中皿内に充填された固形粉末化粧料を確実に保護することができる、と説明されている。
【0004】
しかし、昨今、固形粉末化粧料として、より柔らかく、ソフトなものへのニーズが高まっており、特許文献1に記載された如き、従来のレフィル容器では固形粉末化粧料の破損を防止することは難しくなっている。
特に、特許文献1に記載されたものを含め、従来のレフィル容器では、レフィル容器を屈曲させて、レフィル容器から中皿を取り出す操作を容易かつ確実に行わせるために、レフィル容器に、例えば、平行する2辺の側壁の一部を欠損させた側壁欠損部を設けることにより、易屈曲部を形成することが行われるが、この側壁欠損部付近の側壁の構造上、弾性変形して外力を吸収することが難しいため、側壁欠損部を設けた側壁方向からの衝撃が加えられた場合には、中皿にも衝撃が伝わり易く、衝撃が加わった部位からの固形粉末化粧料の崩れが起こり易い。そしてその固形粉末化粧料が柔らかく、ソフトなものである場合には、その頻度が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−218032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、落下による衝撃への緩衝効果が大きく、衝撃が加わっても、特に、側壁欠損部を設けた側壁方向からの衝撃が加わった場合においても、固形粉末化粧料を収納した中皿へ衝撃が伝わり難く、従って、固形粉末化粧料の崩れが起こり難いレフィル容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、本体と蓋体の各々の下端周縁に、特定形状のフランジを付設することにより、前記課題を解決した。
即ち本発明は、方形の底面の周縁に該周縁から立ち上がり折り返して垂下する本体側壁を有する本体と方形の蓋面の周縁に該周縁から垂下する蓋体側壁を有する蓋体とからなり、本体の4辺の内の少なくとも1組の平行な2辺を含む2〜4辺の本体側壁の各々のほぼ中央部の一部を欠損させた側壁欠損部を設けることにより、本体に易屈曲部を形成したレフィル容器において、本体側壁の外側の下端周縁と蓋体側壁の下端周縁との各々に外側につば状に延伸したフランジを付設し、該フランジの内の側壁欠損部を設けた辺側に付設したフランジの形状を谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状とし、且つ、本体の底面と蓋体の蓋面とに垂直な方向における本体と蓋体の投影外形形状をほぼ同一としたレフィル容器である。
なお、方形は、従来品の場合と同様に、四隅の角を丸くしたものを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、極めて簡単な構造で、落下による衝撃への緩衝効果が大きく、衝撃が加わっても、特に、側壁欠損部を設けた側壁方向からの衝撃が加わった場合においても、固形粉末化粧料を収納した中皿へ衝撃が伝わらず、従って、固形粉末化粧料の崩れが起こり難いレフィル容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のレフィル容器の本体の平面図である。
【図2】本発明のレフィル容器の本体の側面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】本発明のレフィル容器の蓋体の平面図である。
【図5】本発明のレフィル容器の蓋体の側面図である。
【図6】図4におけるB−B線断面図である。
【図7】本発明のレフィル容器の斜視図である。
【図8】本発明のレフィル容器の別の実施態様の平面図である。
【図9】本発明のレフィル容器の別の実施態様の平面図である。
【図10】比較用レフィル容器の本体の平面図である。
【図11】比較用レフィル容器の本体の側面図である。
【図12】図10におけるC−C線断面図である。
【図13】比較用レフィル容器の蓋体の平面図である。
【図14】比較用レフィル容器の蓋体の側面図である。
【図15】図13におけるD−D線断面図である。
【図16】比較用レフィル容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のレフィル容器を、その1例を示す図1〜7により説明する。
図1〜3は、本発明のレフィル容器の本体2に係る図であり、図1は平面図、図2は側面図、図3は図1におけるA−A線断面図である。
本体2は、長方形の底面2aの周縁から立ち上がり、折り返して垂下して、本体側壁3a、3b、3c、3dを形成しており、それらの本体側壁により、中皿を収納・保持するようになっている。
本体側壁の内の、平行する2辺の本体側壁3a、3cのほぼ中央部には、側壁の一部を欠損させた側壁欠損部3xを設けており、それにより、易屈曲部8を形成している。なお、易屈曲部8は、通常底面2aに部分的な接着で固定されている中皿を本体から分離する際に、本体側壁3b、3dの側から力を加えることにより山形に折れて、中皿の分離を容易にする。
本体側壁3a、3b、3c、3dの下端周縁には、外側につば状に延伸した本体フランジ4a、4b、4c、4dを付設している。
【0011】
側壁欠損部を設けない2辺に付設した本体フランジ4b、4dは、本体側壁3b、3dの下端周縁と平行した一定幅形状を有しており、側壁欠損部を設けた2辺に付設した本体フランジ4a、4cは、谷部分が側壁欠損部3xに近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状を有している。
尚、本発明において、山部分の頂点とは、側壁に平行な接線とフランジとが接する点を意味し、図1で説明すれば、本体側壁3cに平行な接線Tと本体フランジ4cの端部上にある山部分とが接する2つの点1Pである。図示しないが、本体フランジ4aも同様であり、従って、本体フランジ4a、4cは、各々、2つの山部分の頂点を有している。
側壁欠損部を設けた2辺側の本体側壁3a、3cの外側は底面2aの水平位置と同じ位置まで垂下しており、従ってその下端から外方に延伸する本体フランジ4a、4cは、両端部の下方に屈曲した部分を除いては、底面2aと略同じ水平位置にある。一方、側壁欠損部を設けない2辺側の本体側壁3b、3dの外側は底面2aの水平位置より下方まで垂下しており、従ってその下端から外方に延伸する本体フランジ4b、4dは、底面2aより下の水平位置にある。
【0012】
図4〜6は、本発明のレフィル容器の蓋体5に係る図であり、図4は平面図、図5は側面図、図6は図4におけるB−B線断面図である。
蓋体5は、長方形の蓋面5aの周縁から垂下して、蓋体側壁6a、6b、6c、6dを形成しており、それらの蓋体側壁が本体側壁の外側に密接することにより、本体2に蓋体5が冠着するようになっている。
蓋体側壁6a、6b、6c、6dの下端周縁には、外側につば状に延伸した蓋体フランジ7a、7b、7c、7dを付設している。
【0013】
本体2と蓋体5とは、本体2の底面2aと蓋体5の蓋面5aとに垂直な方向における投影形状がほぼ同一となる形状を有しており、従って、本体フランジ4a、4cと蓋体フランジ7a、7cとは、ほぼ同じ形状であり、本体フランジ4b、4dと蓋体フランジ7b、7dとは、ほぼ同じ形状である。
従って、図4に示すように、蓋体フランジ7cは、接線Tと接する2つの山部分の頂点2Pを有しており、図示しないが、蓋体フランジ7aも同様である。
【0014】
図7は、本体2に中皿(図示せず)を収納して蓋体5を冠着した状態でのレフィル容器1の斜視図であり、本体2と蓋体5とは、嵌合係止部9で固定されている。
本体フランジと蓋体フランジの内、側壁欠損部を設けた2辺側の本体フランジ4a、4cと蓋体フランジ7a、7cとは、両端部を除いて密着しているが、側壁欠損部を設けない2辺側の本体フランジ4b、4dは、底面2aより下の水平位置にあるため、本体フランジ4b、4dと蓋体フランジ7b、7dとの間には上下方向の差(図7のH)ができている。
【0015】
本発明のレフィル容器1は、通常、本体フランジ4a、4b、4c、4dを除いた本体の寸法(平面図における寸法)が、縦54〜62mm、横48〜56mmのものであるが、十分な衝撃緩衝作用を得るには、一定幅形状を有する本体フランジ4b、4d及び蓋体フランジ7b、7dの幅(図1のW1)としては、3.0〜5.0mmが好ましく、波型形状を有する本体フランジ4a、4c及び蓋体フランジ7a、7dの幅としては、最大幅(図1のW2)が3.0〜6.0mmで、最大幅と最小幅(図1のW3)との差が1.0〜3.0mmであるのが好ましい。
また、前記のように、側壁欠損部を設けない2辺側の本体フランジ4b、4dを、底面2aの水平位置より下方に位置させる場合の、上下方向の差(水平位置の差:図7のH)は、1.0〜4.0mmとするのが好ましい。
【0016】
本発明のレフィル容器においては、落下等により側面から外力を受けても、本体フランジ及び蓋体フランジが弾性変形することにより外力を吸収して、中皿へ衝撃が伝わることを緩衝するが、特に、側壁欠損部3xを設けた側に、谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状のフランジを設けることにより、側壁欠損部を介して中皿へ衝撃が伝わることを防止することができる。
【0017】
又、本体の側壁欠損部を設けない2辺側の本体フランジ4b、4dを底面2aの水平位置より下方に位置させることにより、水平に保った状態で落下した場合でも、当該部分のフランジが弾性変形するのみで、本体の底面、ひいては、中皿の底部に外力が伝わることが防止される。更に、図7に示したように、本体フランジ4b、4dと蓋体フランジ7b、7dとの間には空隙があるため、中皿を取り出すために本体と蓋体とを離すことが容易となる、という副次的な効果もある。
【0018】
尚、本発明のレフィル容器は、本体の4辺の内の少なくとも1組の平行な2辺を含む2〜4辺の本体側壁の各々に側壁欠損部を設けたものであり、図1〜7に示した例のように1組の平行な2辺に側壁欠損部を設けた態様だけでなく、4辺の内の3辺に側壁欠損部を設けた態様や、4辺全てに側壁欠損部を設けた態様も含むものである。
而して、側壁欠損部を設けた辺に付設したフランジは、波型形状を有するものとする。
一方、側壁欠損部を設けない辺を有する態様の場合の、当該辺に付設したフランジの形状は、図1〜7に示した例では、フランジ4b、4dのように、本体側壁3b、3dの外側の下端周縁と平行した一定幅形状としているが、側壁欠損部を設けた辺側に付設したフランジ3a、3cと同様の、谷部分が本体側壁の中央部に近接した波型形状としても差し支えない。
【0019】
図8は、4辺全てに側壁欠損部を設け、従って、全てのフランジが波型形状を有する態様における、本体の平面図である。本体側壁3a、3b、3c、3dの全てのほぼ中央部に、側壁欠損部3xを設けており、それにより、縦横2つの易屈曲部8を形成している。従って、本体側壁3a、3cの側から力を加えても、逆に本体側壁3b、3dの側から力を加えても、易屈曲部8で山形に折れて、中皿の分離を容易にすることができる。
【0020】
また、緩衝効果とは直接関係しないが、別の実施態様として、図9に示すように、本体2のフランジの四隅(本体フランジ4aと4bの境界付近、本体フランジ4bと4cの境界付近、本体フランジ4cと4dの境界付近、及び、本体フランジ4dと4aの境界付近)にリブ10を設け、そのリブにて浮かせることにより、工場での製造工程においてカートナーに掛かり易くする効果を得ることもできる。
尚、図9はリブ10を設けている以外は、図1と同様であるので、符号の記載は省略している。
【0021】
又、前記したように、図1〜7に示した例においては、本体フランジ4b、4dを底面2aより下の水平位置に位置させているが、必ずしもその必要はなく、本体側壁3a、3b、3c、3dの外側をいずれの部位においても、底面2aと略同じ水平位置まで垂下させ、従って、本体フランジ4a、4b、4c、4dの全てを底面2aと同一の水平位置に存在させても差し支えない。
【0022】
本発明のレフィル容器は、厚さ0.2〜0.6mm程度の熱可塑性樹脂のシートを加熱軟化させて、真空成形、圧空成形、プレス成形等の方法で熱成形することにより製造するのが適当である。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸等の生分解性プラスチックを例示することができる。
【0023】
本発明のレフィル容器は、アルミニウム、ステンレス等の金属板をプレス加工したものや、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−スチレン共重合体等の樹脂を射出成形したものの、いずれの中皿にも使用することができる。
【0024】
実施例1
表1に示す各成分からなるパウダーファンデーションを調製した。
調製は、粉体成分(1)〜(7)をヘンシェルミキサーにて均一混合し、これに防腐剤(8)、油剤成分(9)〜(11)、およびシリコーンエラストマーの水分散液(12)の混合物を加えて再び均一になるまで混合し、得られた混合物を熱風乾燥機に入れ、50℃、4時間乾燥後、これを中皿に充填しプレス成型する方法により行った。
【0025】
【表1】
【0026】
厚さ0.3mmのポリエチレンテレフタレートシートを真空成形法により熱成形して得られた、図1〜7に示した形状のレフィル容器に、上記で得られた固形粉末化粧料を充填したアルミニウム製の中皿(質量9.5g)を収納し、落下試験を行った。
図1〜3に示した本体は、フランジを除いた部分の外径が、縦方向57.8mm、横方向51.3mmであり、本体外壁の内周、即ち中皿を収納する部分の内径が、縦方向52.3mm、横方向45.8mmである。本体フランジ4b、4dは幅(図1のW1)が3.5mmであり、本体フランジ4a、4cは最大幅(図1のW2)が3.5mmで、最小幅(図1のW3)が2.0mmである。
【0027】
本体側壁3a、3b、3c、3dの底面2aからの高さは、7.0mmであり、本体フランジ4b、4dの水平位置は、底面2aの水平位置より2.0mm下方であり、本体フランジ4a、4cの両端の下方に屈曲した部分を除く部分の水平位置は、底面2aの水平位置と同じである。
【0028】
落下試験は、各々5個のサンプルについて、次の方法で行った。サンプルを受け止める床材にはPタイル(塩化ビニリデン)を使用した。
縦側面方向:側壁欠損部を設けない2辺の内のいずれか1辺を下にして、20 cmの高さから落下させることを、割れが生じるまで(但し、40回を限度 とする)繰り返して行い、割れの生じるまでの落下回数を記録した。
横側面方向:側壁欠損部を設けた2辺の内のいずれか1辺を下にして、20c mの高さから落下させることを、割れが生じるまで(但し、40回を限度と する)繰り返して行い、割れの生じるまでの落下回数を記録した。
正立方向:水平の状態で、40cmの高さからの落下させることを、割れが生 じるまで(但し、20回を限度とする)繰り返して行い、割れの生じるまで の落下回数を記録した。
その結果は、表2に記載した通りである。なお、例えば「40+」は、40回繰り返し落下させても、割れが生じなかったことを示す。
【0029】
比較例1
厚さ0.3mmのポリエチレンテレフタレートシートを真空成形法により熱成形して得られた、図10〜16に示した形状の比較用レフィル容器(従来一般に使用されているもの)について、実施例1にて行った方法と同様の落下試験を行った。
図10〜16に示した形状のレフィル容器は、本体フランジ14a、14cの形状が、図1〜7に示した形状のレフィル容器の本体フランジ4a、4cの形状と異なって、中央が僅かに側壁欠損部方向に切れ込んでいる以外は幅(図10のW2)が3.5mmの一定幅形状となっている点、本体フランジ14a、14b、14c、14dは全て底面12aと同じ水平位置にある点、及び、本体フランジ14a、14b、14c、14dの形状と蓋体フランジ17a、17b、17c、17dの形状とを、四隅及び側壁欠損部方向に切れ込んでいる部分において少しずれる形として、開け易くしている点以外は、全て図1〜7に示した形状のレフィル容器と同じ形状を有している。
試験結果は、表2に記載した通りである。
【0030】
【表2】
【0031】
表2において明らかなように、縦側面方向の落下に対しては、フランジの形状が同じであるため、実施例1と比較例1とは略同じ結果となっているが、横側面方向の落下に対しては、比較例1では割れが発生する回数が平均値で11と、早い回数で割れが発生するのに対し、実施例1では40回の落下でも割れが発生しないサンプルが3個もあって平均値が35回以上となっており、3倍以上の緩衝効果があった。また、正立方向の落下に対しても、効果の差が発揮されている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のレフィル容器は、落下による衝撃への緩衝効果が大きく、衝撃が加わっても、特に、易屈曲部を設けた側壁方向からの衝撃が加わった場合においても、固形粉末化粧料を収納した中皿へ衝撃が伝わらず、従って、固形粉末化粧料の崩れが起こり難いものであり、より柔らかく、ソフトなものが求められる傾向にある、ファンデーションのような粉末化粧料のレフィル容器として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0033】
1、11 レフィル容器
2、12 本体
2a、12a 底面
3a、3b、3c、3d、13a、13b、13c、13d 本体側壁
4a、4b、4c、4d、14a、14b、14c、14d 本体フランジ
3x、13x 側壁欠損部
5、15 蓋体
5a、15a 蓋面
6a、6b、6c、6d、16a、16b、16c、16d 蓋体側壁
7a、7b、7c、7d、17a、17b、17c、17d 蓋体フランジ
8 屈曲部
9 嵌合係止部
10 リブ
T 接線
1P、2P 頂点
【技術分野】
【0001】
本発明は、落下による衝撃を与えても、収納した中皿内の固形粉末化粧料に割れが生じにくいレフィル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ファンデーションのような粉末化粧料は、打型や湿式充填等の方法で固形化した状態で中皿に充填し、それを化粧容器に装着して使用するが、化粧容器が中皿を装着しない状態で販売される場合や、化粧容器に装着した中皿内の固形粉末化粧料を使い切った場合に対応するため、固形粉末化粧料を充填した中皿のみを、いわゆる「レフィル」として、レフィル容器に収納して流通することが行われる。そして、この固形粉末化粧料、特に、打型により固形化した化粧料は、衝撃により破損し易いため、レフィル容器として緩衝性のあるものが使用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中皿内の固形粉末化粧料の露出面を覆うよう中皿に装着される構成で、装着状態において前記露出面を保護する蓋部と、前記装着状態において前記中皿の底面が露出された状態で該中皿を保持する保持部とを有する装着部と、前記中皿と係合して離脱を防止する係合部と、前記保持部の外周位置に、該保持部から連続して折り返すように形成された折り返し部とを具備するレフィル容器であって、前記折り返し部の端部に、該端部より突出する突出部を設けたレフィル容器が開示されている。
そして、折り返し部の端部に突出部を設けたことにより、レフィル容器に前記露出面と対向する方向に外力が印加されても、この突出部を支点として装着部及び/或は折り返し部が弾性変形し、外力を吸収することで中皿内に充填された固形粉末化粧料を確実に保護することができる、と説明されている。
【0004】
しかし、昨今、固形粉末化粧料として、より柔らかく、ソフトなものへのニーズが高まっており、特許文献1に記載された如き、従来のレフィル容器では固形粉末化粧料の破損を防止することは難しくなっている。
特に、特許文献1に記載されたものを含め、従来のレフィル容器では、レフィル容器を屈曲させて、レフィル容器から中皿を取り出す操作を容易かつ確実に行わせるために、レフィル容器に、例えば、平行する2辺の側壁の一部を欠損させた側壁欠損部を設けることにより、易屈曲部を形成することが行われるが、この側壁欠損部付近の側壁の構造上、弾性変形して外力を吸収することが難しいため、側壁欠損部を設けた側壁方向からの衝撃が加えられた場合には、中皿にも衝撃が伝わり易く、衝撃が加わった部位からの固形粉末化粧料の崩れが起こり易い。そしてその固形粉末化粧料が柔らかく、ソフトなものである場合には、その頻度が高くなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−218032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、落下による衝撃への緩衝効果が大きく、衝撃が加わっても、特に、側壁欠損部を設けた側壁方向からの衝撃が加わった場合においても、固形粉末化粧料を収納した中皿へ衝撃が伝わり難く、従って、固形粉末化粧料の崩れが起こり難いレフィル容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、本体と蓋体の各々の下端周縁に、特定形状のフランジを付設することにより、前記課題を解決した。
即ち本発明は、方形の底面の周縁に該周縁から立ち上がり折り返して垂下する本体側壁を有する本体と方形の蓋面の周縁に該周縁から垂下する蓋体側壁を有する蓋体とからなり、本体の4辺の内の少なくとも1組の平行な2辺を含む2〜4辺の本体側壁の各々のほぼ中央部の一部を欠損させた側壁欠損部を設けることにより、本体に易屈曲部を形成したレフィル容器において、本体側壁の外側の下端周縁と蓋体側壁の下端周縁との各々に外側につば状に延伸したフランジを付設し、該フランジの内の側壁欠損部を設けた辺側に付設したフランジの形状を谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状とし、且つ、本体の底面と蓋体の蓋面とに垂直な方向における本体と蓋体の投影外形形状をほぼ同一としたレフィル容器である。
なお、方形は、従来品の場合と同様に、四隅の角を丸くしたものを意味する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、極めて簡単な構造で、落下による衝撃への緩衝効果が大きく、衝撃が加わっても、特に、側壁欠損部を設けた側壁方向からの衝撃が加わった場合においても、固形粉末化粧料を収納した中皿へ衝撃が伝わらず、従って、固形粉末化粧料の崩れが起こり難いレフィル容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明のレフィル容器の本体の平面図である。
【図2】本発明のレフィル容器の本体の側面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【図4】本発明のレフィル容器の蓋体の平面図である。
【図5】本発明のレフィル容器の蓋体の側面図である。
【図6】図4におけるB−B線断面図である。
【図7】本発明のレフィル容器の斜視図である。
【図8】本発明のレフィル容器の別の実施態様の平面図である。
【図9】本発明のレフィル容器の別の実施態様の平面図である。
【図10】比較用レフィル容器の本体の平面図である。
【図11】比較用レフィル容器の本体の側面図である。
【図12】図10におけるC−C線断面図である。
【図13】比較用レフィル容器の蓋体の平面図である。
【図14】比較用レフィル容器の蓋体の側面図である。
【図15】図13におけるD−D線断面図である。
【図16】比較用レフィル容器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のレフィル容器を、その1例を示す図1〜7により説明する。
図1〜3は、本発明のレフィル容器の本体2に係る図であり、図1は平面図、図2は側面図、図3は図1におけるA−A線断面図である。
本体2は、長方形の底面2aの周縁から立ち上がり、折り返して垂下して、本体側壁3a、3b、3c、3dを形成しており、それらの本体側壁により、中皿を収納・保持するようになっている。
本体側壁の内の、平行する2辺の本体側壁3a、3cのほぼ中央部には、側壁の一部を欠損させた側壁欠損部3xを設けており、それにより、易屈曲部8を形成している。なお、易屈曲部8は、通常底面2aに部分的な接着で固定されている中皿を本体から分離する際に、本体側壁3b、3dの側から力を加えることにより山形に折れて、中皿の分離を容易にする。
本体側壁3a、3b、3c、3dの下端周縁には、外側につば状に延伸した本体フランジ4a、4b、4c、4dを付設している。
【0011】
側壁欠損部を設けない2辺に付設した本体フランジ4b、4dは、本体側壁3b、3dの下端周縁と平行した一定幅形状を有しており、側壁欠損部を設けた2辺に付設した本体フランジ4a、4cは、谷部分が側壁欠損部3xに近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状を有している。
尚、本発明において、山部分の頂点とは、側壁に平行な接線とフランジとが接する点を意味し、図1で説明すれば、本体側壁3cに平行な接線Tと本体フランジ4cの端部上にある山部分とが接する2つの点1Pである。図示しないが、本体フランジ4aも同様であり、従って、本体フランジ4a、4cは、各々、2つの山部分の頂点を有している。
側壁欠損部を設けた2辺側の本体側壁3a、3cの外側は底面2aの水平位置と同じ位置まで垂下しており、従ってその下端から外方に延伸する本体フランジ4a、4cは、両端部の下方に屈曲した部分を除いては、底面2aと略同じ水平位置にある。一方、側壁欠損部を設けない2辺側の本体側壁3b、3dの外側は底面2aの水平位置より下方まで垂下しており、従ってその下端から外方に延伸する本体フランジ4b、4dは、底面2aより下の水平位置にある。
【0012】
図4〜6は、本発明のレフィル容器の蓋体5に係る図であり、図4は平面図、図5は側面図、図6は図4におけるB−B線断面図である。
蓋体5は、長方形の蓋面5aの周縁から垂下して、蓋体側壁6a、6b、6c、6dを形成しており、それらの蓋体側壁が本体側壁の外側に密接することにより、本体2に蓋体5が冠着するようになっている。
蓋体側壁6a、6b、6c、6dの下端周縁には、外側につば状に延伸した蓋体フランジ7a、7b、7c、7dを付設している。
【0013】
本体2と蓋体5とは、本体2の底面2aと蓋体5の蓋面5aとに垂直な方向における投影形状がほぼ同一となる形状を有しており、従って、本体フランジ4a、4cと蓋体フランジ7a、7cとは、ほぼ同じ形状であり、本体フランジ4b、4dと蓋体フランジ7b、7dとは、ほぼ同じ形状である。
従って、図4に示すように、蓋体フランジ7cは、接線Tと接する2つの山部分の頂点2Pを有しており、図示しないが、蓋体フランジ7aも同様である。
【0014】
図7は、本体2に中皿(図示せず)を収納して蓋体5を冠着した状態でのレフィル容器1の斜視図であり、本体2と蓋体5とは、嵌合係止部9で固定されている。
本体フランジと蓋体フランジの内、側壁欠損部を設けた2辺側の本体フランジ4a、4cと蓋体フランジ7a、7cとは、両端部を除いて密着しているが、側壁欠損部を設けない2辺側の本体フランジ4b、4dは、底面2aより下の水平位置にあるため、本体フランジ4b、4dと蓋体フランジ7b、7dとの間には上下方向の差(図7のH)ができている。
【0015】
本発明のレフィル容器1は、通常、本体フランジ4a、4b、4c、4dを除いた本体の寸法(平面図における寸法)が、縦54〜62mm、横48〜56mmのものであるが、十分な衝撃緩衝作用を得るには、一定幅形状を有する本体フランジ4b、4d及び蓋体フランジ7b、7dの幅(図1のW1)としては、3.0〜5.0mmが好ましく、波型形状を有する本体フランジ4a、4c及び蓋体フランジ7a、7dの幅としては、最大幅(図1のW2)が3.0〜6.0mmで、最大幅と最小幅(図1のW3)との差が1.0〜3.0mmであるのが好ましい。
また、前記のように、側壁欠損部を設けない2辺側の本体フランジ4b、4dを、底面2aの水平位置より下方に位置させる場合の、上下方向の差(水平位置の差:図7のH)は、1.0〜4.0mmとするのが好ましい。
【0016】
本発明のレフィル容器においては、落下等により側面から外力を受けても、本体フランジ及び蓋体フランジが弾性変形することにより外力を吸収して、中皿へ衝撃が伝わることを緩衝するが、特に、側壁欠損部3xを設けた側に、谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状のフランジを設けることにより、側壁欠損部を介して中皿へ衝撃が伝わることを防止することができる。
【0017】
又、本体の側壁欠損部を設けない2辺側の本体フランジ4b、4dを底面2aの水平位置より下方に位置させることにより、水平に保った状態で落下した場合でも、当該部分のフランジが弾性変形するのみで、本体の底面、ひいては、中皿の底部に外力が伝わることが防止される。更に、図7に示したように、本体フランジ4b、4dと蓋体フランジ7b、7dとの間には空隙があるため、中皿を取り出すために本体と蓋体とを離すことが容易となる、という副次的な効果もある。
【0018】
尚、本発明のレフィル容器は、本体の4辺の内の少なくとも1組の平行な2辺を含む2〜4辺の本体側壁の各々に側壁欠損部を設けたものであり、図1〜7に示した例のように1組の平行な2辺に側壁欠損部を設けた態様だけでなく、4辺の内の3辺に側壁欠損部を設けた態様や、4辺全てに側壁欠損部を設けた態様も含むものである。
而して、側壁欠損部を設けた辺に付設したフランジは、波型形状を有するものとする。
一方、側壁欠損部を設けない辺を有する態様の場合の、当該辺に付設したフランジの形状は、図1〜7に示した例では、フランジ4b、4dのように、本体側壁3b、3dの外側の下端周縁と平行した一定幅形状としているが、側壁欠損部を設けた辺側に付設したフランジ3a、3cと同様の、谷部分が本体側壁の中央部に近接した波型形状としても差し支えない。
【0019】
図8は、4辺全てに側壁欠損部を設け、従って、全てのフランジが波型形状を有する態様における、本体の平面図である。本体側壁3a、3b、3c、3dの全てのほぼ中央部に、側壁欠損部3xを設けており、それにより、縦横2つの易屈曲部8を形成している。従って、本体側壁3a、3cの側から力を加えても、逆に本体側壁3b、3dの側から力を加えても、易屈曲部8で山形に折れて、中皿の分離を容易にすることができる。
【0020】
また、緩衝効果とは直接関係しないが、別の実施態様として、図9に示すように、本体2のフランジの四隅(本体フランジ4aと4bの境界付近、本体フランジ4bと4cの境界付近、本体フランジ4cと4dの境界付近、及び、本体フランジ4dと4aの境界付近)にリブ10を設け、そのリブにて浮かせることにより、工場での製造工程においてカートナーに掛かり易くする効果を得ることもできる。
尚、図9はリブ10を設けている以外は、図1と同様であるので、符号の記載は省略している。
【0021】
又、前記したように、図1〜7に示した例においては、本体フランジ4b、4dを底面2aより下の水平位置に位置させているが、必ずしもその必要はなく、本体側壁3a、3b、3c、3dの外側をいずれの部位においても、底面2aと略同じ水平位置まで垂下させ、従って、本体フランジ4a、4b、4c、4dの全てを底面2aと同一の水平位置に存在させても差し支えない。
【0022】
本発明のレフィル容器は、厚さ0.2〜0.6mm程度の熱可塑性樹脂のシートを加熱軟化させて、真空成形、圧空成形、プレス成形等の方法で熱成形することにより製造するのが適当である。
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸等の生分解性プラスチックを例示することができる。
【0023】
本発明のレフィル容器は、アルミニウム、ステンレス等の金属板をプレス加工したものや、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル−スチレン共重合体等の樹脂を射出成形したものの、いずれの中皿にも使用することができる。
【0024】
実施例1
表1に示す各成分からなるパウダーファンデーションを調製した。
調製は、粉体成分(1)〜(7)をヘンシェルミキサーにて均一混合し、これに防腐剤(8)、油剤成分(9)〜(11)、およびシリコーンエラストマーの水分散液(12)の混合物を加えて再び均一になるまで混合し、得られた混合物を熱風乾燥機に入れ、50℃、4時間乾燥後、これを中皿に充填しプレス成型する方法により行った。
【0025】
【表1】
【0026】
厚さ0.3mmのポリエチレンテレフタレートシートを真空成形法により熱成形して得られた、図1〜7に示した形状のレフィル容器に、上記で得られた固形粉末化粧料を充填したアルミニウム製の中皿(質量9.5g)を収納し、落下試験を行った。
図1〜3に示した本体は、フランジを除いた部分の外径が、縦方向57.8mm、横方向51.3mmであり、本体外壁の内周、即ち中皿を収納する部分の内径が、縦方向52.3mm、横方向45.8mmである。本体フランジ4b、4dは幅(図1のW1)が3.5mmであり、本体フランジ4a、4cは最大幅(図1のW2)が3.5mmで、最小幅(図1のW3)が2.0mmである。
【0027】
本体側壁3a、3b、3c、3dの底面2aからの高さは、7.0mmであり、本体フランジ4b、4dの水平位置は、底面2aの水平位置より2.0mm下方であり、本体フランジ4a、4cの両端の下方に屈曲した部分を除く部分の水平位置は、底面2aの水平位置と同じである。
【0028】
落下試験は、各々5個のサンプルについて、次の方法で行った。サンプルを受け止める床材にはPタイル(塩化ビニリデン)を使用した。
縦側面方向:側壁欠損部を設けない2辺の内のいずれか1辺を下にして、20 cmの高さから落下させることを、割れが生じるまで(但し、40回を限度 とする)繰り返して行い、割れの生じるまでの落下回数を記録した。
横側面方向:側壁欠損部を設けた2辺の内のいずれか1辺を下にして、20c mの高さから落下させることを、割れが生じるまで(但し、40回を限度と する)繰り返して行い、割れの生じるまでの落下回数を記録した。
正立方向:水平の状態で、40cmの高さからの落下させることを、割れが生 じるまで(但し、20回を限度とする)繰り返して行い、割れの生じるまで の落下回数を記録した。
その結果は、表2に記載した通りである。なお、例えば「40+」は、40回繰り返し落下させても、割れが生じなかったことを示す。
【0029】
比較例1
厚さ0.3mmのポリエチレンテレフタレートシートを真空成形法により熱成形して得られた、図10〜16に示した形状の比較用レフィル容器(従来一般に使用されているもの)について、実施例1にて行った方法と同様の落下試験を行った。
図10〜16に示した形状のレフィル容器は、本体フランジ14a、14cの形状が、図1〜7に示した形状のレフィル容器の本体フランジ4a、4cの形状と異なって、中央が僅かに側壁欠損部方向に切れ込んでいる以外は幅(図10のW2)が3.5mmの一定幅形状となっている点、本体フランジ14a、14b、14c、14dは全て底面12aと同じ水平位置にある点、及び、本体フランジ14a、14b、14c、14dの形状と蓋体フランジ17a、17b、17c、17dの形状とを、四隅及び側壁欠損部方向に切れ込んでいる部分において少しずれる形として、開け易くしている点以外は、全て図1〜7に示した形状のレフィル容器と同じ形状を有している。
試験結果は、表2に記載した通りである。
【0030】
【表2】
【0031】
表2において明らかなように、縦側面方向の落下に対しては、フランジの形状が同じであるため、実施例1と比較例1とは略同じ結果となっているが、横側面方向の落下に対しては、比較例1では割れが発生する回数が平均値で11と、早い回数で割れが発生するのに対し、実施例1では40回の落下でも割れが発生しないサンプルが3個もあって平均値が35回以上となっており、3倍以上の緩衝効果があった。また、正立方向の落下に対しても、効果の差が発揮されている。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明のレフィル容器は、落下による衝撃への緩衝効果が大きく、衝撃が加わっても、特に、易屈曲部を設けた側壁方向からの衝撃が加わった場合においても、固形粉末化粧料を収納した中皿へ衝撃が伝わらず、従って、固形粉末化粧料の崩れが起こり難いものであり、より柔らかく、ソフトなものが求められる傾向にある、ファンデーションのような粉末化粧料のレフィル容器として好適に用いられる。
【符号の説明】
【0033】
1、11 レフィル容器
2、12 本体
2a、12a 底面
3a、3b、3c、3d、13a、13b、13c、13d 本体側壁
4a、4b、4c、4d、14a、14b、14c、14d 本体フランジ
3x、13x 側壁欠損部
5、15 蓋体
5a、15a 蓋面
6a、6b、6c、6d、16a、16b、16c、16d 蓋体側壁
7a、7b、7c、7d、17a、17b、17c、17d 蓋体フランジ
8 屈曲部
9 嵌合係止部
10 リブ
T 接線
1P、2P 頂点
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の底面の周縁に該周縁から立ち上がり折り返して垂下する本体側壁を有する本体と方形の蓋面の周縁に該周縁から垂下する蓋体側壁を有する蓋体とからなり、本体の4辺の内の少なくとも1組の平行な2辺を含む2〜4辺の本体側壁の各々のほぼ中央部の一部を欠損させた側壁欠損部を設けることにより、本体に易屈曲部を形成したレフィル容器において、本体側壁の外側の下端周縁と蓋体側壁の下端周縁との各々に外側につば状に延伸したフランジを付設し、該フランジの内の側壁欠損部を設けた辺側に付設したフランジの形状を谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状とし、且つ、本体の底面と蓋体の蓋面とに垂直な方向における本体と蓋体の投影外形形状をほぼ同一としたレフィル容器。
【請求項2】
前記フランジにおいて、波型形状の部分における最大幅が3.0〜6.0mmで、最小幅との差が1.0〜3.0mmである、請求項1に記載のレフィル容器。
【請求項3】
本体の4辺の内の1組の平行な2辺(但し、側壁欠損部を設けない辺を有する場合には、必ず当該辺を含むものとする。)の本体側壁の外側を底面の水平位置より下まで垂下させることにより当該辺側のフランジを底面の水平位置より下方に位置させ、側壁欠損部を設けた辺側のフランジを両端部において下方に屈曲させて側壁欠損部を設けない辺側のフランジに連接させてなる、請求項1又は2に記載のレフィル容器。
【請求項4】
本体の4辺の内の1組の平行な2辺(但し、側壁欠損部を設けない辺を有する場合には、必ず当該辺を含むものとする。)の本体側壁の外側を底面の水平位置より下まで垂下させることにより当該辺側のフランジを底面の水平位置より1.0〜4.0mm下方に位置させてなる、請求項3に記載のレフィル容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレフィル容器に固形粉末化粧料を充填した中皿を収納してなる固形粉末化粧料レフィル。
【請求項1】
方形の底面の周縁に該周縁から立ち上がり折り返して垂下する本体側壁を有する本体と方形の蓋面の周縁に該周縁から垂下する蓋体側壁を有する蓋体とからなり、本体の4辺の内の少なくとも1組の平行な2辺を含む2〜4辺の本体側壁の各々のほぼ中央部の一部を欠損させた側壁欠損部を設けることにより、本体に易屈曲部を形成したレフィル容器において、本体側壁の外側の下端周縁と蓋体側壁の下端周縁との各々に外側につば状に延伸したフランジを付設し、該フランジの内の側壁欠損部を設けた辺側に付設したフランジの形状を谷部分が側壁欠損部に近接し、2つ以上の山部分の頂点を有する波型形状とし、且つ、本体の底面と蓋体の蓋面とに垂直な方向における本体と蓋体の投影外形形状をほぼ同一としたレフィル容器。
【請求項2】
前記フランジにおいて、波型形状の部分における最大幅が3.0〜6.0mmで、最小幅との差が1.0〜3.0mmである、請求項1に記載のレフィル容器。
【請求項3】
本体の4辺の内の1組の平行な2辺(但し、側壁欠損部を設けない辺を有する場合には、必ず当該辺を含むものとする。)の本体側壁の外側を底面の水平位置より下まで垂下させることにより当該辺側のフランジを底面の水平位置より下方に位置させ、側壁欠損部を設けた辺側のフランジを両端部において下方に屈曲させて側壁欠損部を設けない辺側のフランジに連接させてなる、請求項1又は2に記載のレフィル容器。
【請求項4】
本体の4辺の内の1組の平行な2辺(但し、側壁欠損部を設けない辺を有する場合には、必ず当該辺を含むものとする。)の本体側壁の外側を底面の水平位置より下まで垂下させることにより当該辺側のフランジを底面の水平位置より1.0〜4.0mm下方に位置させてなる、請求項3に記載のレフィル容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のレフィル容器に固形粉末化粧料を充填した中皿を収納してなる固形粉末化粧料レフィル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−234969(P2011−234969A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110261(P2010−110261)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
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