説明

レポート作成システム

【課題】読影レポートへの医用画像のリンク付けの必要性をチェックすることで、医用画像のリンク付けを忘失してしまうことを防止するレポート作成システムを提供する。
【解決手段】作成されている読影レポートに入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと過去の読影レポートのリンク付きセンテンスの各フレーズの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する。そして、所定以上の類似度が算出された組の一方にリンク付けされている医用画像の他方へのリンク付けの必要性を示唆するメッセージを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力されたフレーズに医用画像をリンク付けするレポート作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療行為は、専門分野が細分化されているため、X線CT装置やMRI装置等の画像診断装置で撮影した医用画像の読影を専門医に依頼することが広く行われる。専門医たる読影医は、依頼された読影対象の医用画像をモニタに表示させて読影し、その読影結果を読影レポートにまとめる。
【0003】
近年の電子化により読影レポートも電子化されており、読影レポートを電子データとして作成するレポート作成システムも提供されている。読影医は、レポート作成システムに備えられたキーボードを用いて文字データを入力し、読影レポートを作成する。
【0004】
読影レポートには、読影結果を支持する読影対象と過去の医用画像をリンク付けすることが一般的である。レポート作成システムは、以下の5段階の作業が読影医によって入力されることにより、読影レポートに入力した特定のフレーズに読影対象と過去の医用画像を示すリンク設定情報を付す。
【0005】
(1)キーボードを用いて、リンク付けを行うフレーズを含むテキストを読影レポートに入力する。(2)マウスを用いて、リンク付けを行う範囲を選択する。(3)マウスを用いて、リンク付けを行う医用画像上にカーソルを移動させる。(4)マウスを用いて、リンク付けを行う医用画像をドラッグする。(5)マウスを用いて、リンク付けを行う医用画像をドラッグしたまま選択範囲上に移動し、ドロップする。
【0006】
このように、レポート作成システムを用いたリンク付けの操作は手間がかかり、読影医は、このリンク付け作業を忘失しがちであった。読影結果を支持する医用画像がリンク付けされていない読影レポートは、その質が著しく失われたものとなる。
【0007】
【特許文献1】特開2005−301453号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、読影レポートへの医用画像のリンク付けの必要性をチェックすることで、医用画像のリンク付けを忘失してしまうことを防止するレポート作成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する請求項1記載の発明に係るレポート作成システムは、医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された場合に、当該類似度の算出の対象となった前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズにリンク付けされている医用画像を、当該類似度の算出の対象となった前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズへリンク付けする必要性を示唆するメッセージを前記表示手段に表示させる報知制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【0010】
リンク付けの入力操作を受けて、予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された組の一方にリンク付けされている前記医用画像を他方のフレーズにリンク付けするリンク設定手段を更に備えるようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0011】
前記解析手段は、前記作成画面に表示されている前記読影レポートの保存操作を受けて、前記関連性を判断し、前記類似度を算出するようにしてもよい(請求項3記載の発明に相当)。
【0012】
また、上記課題を解決する請求項4記載の発明に係るレポート作成システムは、医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された場合に、当該類似度の算出の対象となった前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズにリンク付けされている医用画像を、当該類似度の算出の対象となった前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズへリンク付けするリンク付け設定手段と、を備えること、を特徴とする。
【0013】
また、上記課題を解決する請求項5記載の発明に係るレポート作成システムは、医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズに医用画像をリンク付けさせる必要性を示唆するメッセージを前記表示手段に表示させる報知制御手段と、を備えること、を特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決する請求項6記載の発明に係るレポート作成システムは、医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズに医用画像をリンク付けするリンク付け設定手段と、を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、読影レポートに読影結果の証拠となる医用画像がリンク付けされているかチェックすることができ、リンク付けがされていない場合にはその旨のメッセージを表示するので、医用画像のリンク付けを忘失することがなく、質の高い読影レポートを作成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明に係るレポート作成システムの好適な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
図1は、レポート作成システム1のネットワーク構成を示す図である。
【0018】
レポート作成システム1は、読影医により入力された文字データを読影レポートに配列する。読影医が医用画像を読影して読影レポートを作成するために使用される。また、レポート作成システム1は、入力された文字データで構成されるフレーズに医用画像をリンク付けする。医用画像は、X線CT装置やMRI装置等の医用画像診断装置で被検体内が撮影されて得られた画像データである。読影レポートは、文字データが配列された文書データである。文字データには、文字のほか、記号や数字等のデータも含まれる。リンク付けとは、医用画像とフレーズ等の文字データ群とを結びつける処理である。
【0019】
このレポート作成システム1は、レポート作成装置3とレポート保管装置2と画像保管装置4とをネットワークNで接続して構成されている。
【0020】
レポート作成装置3は、読影対象となる医用画像を表示し、読影医の入力操作に対応して読影結果をまとめた読影レポートを作成する。レポート保管装置2は、過去に作成された読影レポートを保管する。画像保管装置4は、医用画像を保管する。以下、作成中の読影レポートを区別する際は作成レポートといい、過去に作成された読影レポートを区別する際は過去レポートという。
【0021】
このレポート作成システム1では、読影対象となる医用画像がレポート作成装置3で表示される。読影対象となる医用画像は、画像保管装置4からレポート作成装置3に送信される。読影医は、表示された医用画像を読影して読影結果を表すテキストをレポート作成装置3に入力する。レポート作成装置3は、入力された文字データを作成レポートに配列し、配列結果を表示する。作成レポートの保存操作が入力されると、レポート作成装置3は、作成レポートをレポート保管装置2に送信する。レポート保管装置2は、受信した作成レポートを保管する。
【0022】
ここで、読影レポートには、過去の医用画像と読影対象の医用画像とが比較対照としてリンク付けされることが一般的である。同一の意味内容を有する過去レポートのリンク付きセンテンスには、この比較対照となりうる過去の医用画像がリンク付けされている可能性が高い。リンク付きセンテンスとは、医用画像がリンク付けされたフレーズを含むセンテンスをいう。
【0023】
このレポート作成システム1では、作成レポートに配列されているセンテンスと、過去レポートに配列されているリンク付きセンテンスとの意味内容を解析し、双方の類似性を判断する。そして、所定以上の類似性が認められれば、このリンク付きセンテンスとの類似性を有するセンテンスにリンク付けがなされているかチェックする。リンク付けがされていなければ、リンク付けを促し、過去レポートに配列されているリンク付きセンテンスの少なくとも1フレーズにリンク付けされている医用画像を、作成レポートのセンテンスに含まれる少なくとも1フレーズへリンク付けする。
【0024】
図2は、レポート作成装置3の外観を示す外観図である。
【0025】
レポート作成装置3は、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等のモニタ31及びモニタ32と、キーボード33やマウス34等の入力デバイスと、ワークステーション装置35とで構成されている。
【0026】
ワークステーション装置35をはじめとして、レポート保管装置2や画像保管装置4は、それぞれコンピュータで構成される。それぞれ内部に演算制御部(CPU:Central Processing Unit)、主記憶部(RAM:Random Access Memory)、外部記憶部(HDD:Hard Disk Drive)、通信コントローラを備え、共通線で接続して相互にデータ入出力可能としている。
【0027】
演算制御部は、プログラムを解読及び実行して、データの演算及び装置の制御をする。主記憶部は、演算制御部のワークエリアであり、プログラムが展開され、演算結果や読み出されたデータの一時記憶をする。外部記憶部は、OS(オペレーティングシステム)及び読影レポート作成のための各自のプログラムが記憶されている。通信コントローラは、ネットワークNと直接接続し、例えばWWW(ワールド・ワイド・ウェブ)やTCP/IPプロトコル等のデータ通信制御によりネットワークNを介して行なうデータ通信を制御する。ネットワークNは、電子データの伝送が可能な電子通信回線であり、例えば電話回線網、ISDN、FDDI、専用線、移動体通信網、通信衛星回線、CATV、LAN等、又はこれらの複合が採用される。
【0028】
モニタ31は、レポート作成画面に作成レポートを表示する。文字データが入力されると、入力された文字データが配列された結果がレポート作成画面に表示される。読影対象となる医用画像は、モニタ32に表示される。
【0029】
文字データの入力操作は、キーボード33を用いて入力される。キーボード33には、各種文字データが対応づけされたキーが配列されている。読影医が各キーを押下することで、押下されたキーに対応した文字データが入力される。レポート作成画面には、作成レポートの保存処理を実行させるための保存ボタンが表示されている。マウス34でカーソルを保存ボタンに合わせて押下することで、作成レポートの保存処理が実行される。
【0030】
ワークステーション装置35は、モニタ31とモニタ32を制御し、医用画像やレポート作成画面を表示させる。また、ワークステーション装置35は、キーボード33やマウス34を用いた操作に対応して、文字データの入力処理、作成レポートの保存処理、及び医用画像のリンク付け処理を実行する。
【0031】
図3は、ワークステーション装置35の構成を示す構成図である。
【0032】
ワークステーション装置35は、テキスト作成部351と、リンク設定部352と、過去レポート検索部353と、過去レポート保存部354と、構造化処理部355と、解析部356と、報知制御部357とを備える。これら構成は、専用の回路で構成されていても、コンピュータによるプログラムの実行により実現されていてもよい。
【0033】
テキスト作成部351は、キーボード33を操作することで入力された文字データを作成レポートに配列する。リンク設定部352は、作成レポートに含まれているフレーズに医用画像のリンクを設定する。
【0034】
図4は、このテキスト作成部351及びリンク設定部352により作成される読影レポートのデータ構成を示す模式図である。
【0035】
読影レポートには、レポート情報51とテキストが記録されている。テキストは、HTML方式やXML方式等の規則に応じて配列されている。レポート情報51は、レポートを特定する情報であり、患者ID、検査種別情報、検査部位情報が含まれている。検査種別情報は、X線CTやMRI等の読影対象となる医用画像の撮影方法の種類を示す。検査部位情報は、頭部や腹部等の検査された被検体の部位を示す。テキストは、テキストの種別を定義する種別タグ52で囲まれている。読影レポートには、診断名を意味する種別タグ52や所見を意味する種別タグ52が付されている。テキスト作成部351は、この種別タグ52で囲まれた領域に文字データを配列していく。
【0036】
また、読影レポートには、リンク設定情報53が記録される。このリンク設定情報53は、リンク付けがされていることを示し、リンクタグで表される。このリンクタグには、リンク付けがされている医用画像の保管先アドレス54が記録される。また、リンク設定情報53は、リンクタグでフレーズを囲むことにより記録される。このリンクタグで囲まれたフレーズがリンク付けされた範囲である。
【0037】
リンク設定部352は、作成レポートのセンテンスにリンクを設定する。リンクを設定するセンテンスは、作成レポート中のセンテンスのうち、過去レポートのリンク付きセンテンスに類似するセンテンスである。詳細には、このセンテンスの少なくとも1以上のフレーズをリンクタグで囲み、リンク付きセンテンスに含まれるフレーズにリンク付けされていた医用画像の保管先アドレス54をリンクタグに記録する。
【0038】
過去レポート検索部353は、レポート保管装置2から過去レポートを検索する。検索対象は、作成レポートと同一のレポート情報51が含まれている過去レポートである。過去レポート検索部353は、作成レポートからレポート情報51を読み出し、検索及び送信要求にこのレポート情報51を付帯させてレポート保管装置2に送信する。
【0039】
過去レポート保存部354は、レポート保管装置2から受信した過去レポートを一時的に保存する。
【0040】
構造化処理部355は、作成レポートに含まれている各センテンスと過去レポートの各リンク付きセンテンスを構造化する。作成レポートの各センテンスと過去レポートの各リンク付きセンテンスの類似性を解析する前処理である。構造化は、センテンスの意味内容を構造によって明示する処理である。具体的には、構造化処理部355は、意味内容の一要素を構成するフレーズ単位でセンテンスを切り分けて、各フレーズの要素種別を識別可能に再度構成し直す。
【0041】
図5は、センテンスの構造化の一具体例を示す図である。
【0042】
例えば、読影レポートの所見欄を示す種別タグ52で囲まれたテキスト中に「左側頭葉に限局性の血流低下を認めます。」とのセンテンスが含まれているものとする。このセンテンスを構造化する場合、構造化処理部355は、前のセンテンスの読点とこのセンテンスの読点を探し、読点で囲まれた当該センテンスを抽出する。リンク付きセンテンスの抽出では、過去レポートからリンクタグを探索する。そして、リンク設定情報53が見つかると、リンクタグで囲まれたフレーズを含み、かつ読点で囲まれた文字データ群をリンク付きセンテンスとして抽出する。
【0043】
作成レポートのセンテンスまたは過去レポートのリンク付きセンテンスを抽出すると、構造化処理部355は、抽出したセンテンスを「左側頭葉」と「限局性」と「血流低下」と「認めます」の各フレーズに分解する。
【0044】
そして、抽出したセンテンス自体に種別タグ52で示されるテキストの種類を表した「所見」というフレーズを付す。そして、この「所見」にセンテンスの種類を識別する記述種類識別情報61を付す。更に、構造化処理部355は、「左側頭葉」のフレーズに対して、部位単語を示す部位要素識別情報62を付す。「限局性」のフレーズに対しては、修飾単語を識別する修飾要素識別情報65を付す。「血流低下」のフレーズに対しては、所見単語を識別する所見要素識別情報63を付す。「認めます」のフレーズに対しては、このフレーズを「断定」というフレーズに変換し、この「断定」というフレーズに確定度を識別する確定度要素識別情報64を付す。
【0045】
各フレーズに各要素識別情報を付すと、それらフレーズとそのフレーズの要素識別情報との対を一纏めにして、リンク付きセンテンス又はセンテンスを特定するセンテンスナンバーを付しておく。センテンスナンバーは、センテンス又はリンク付きセンテンスが現れた読影レポート中の順位である。
【0046】
なお、例えば、「左側頭葉及び左後頭葉に血流低下を認めます。」のように、1センテンスに複数の部位要素を含む場合には、それぞれの部位要素を主語とした複数のセンテンスとして扱って、それぞれを構造化する。
【0047】
フレーズ単位への分解と要素識別情報の付加は、フレーズ辞書データを参照して行う。図6は、フレーズ辞書データ355aを示すデータ構成図である。
【0048】
構造化処理部355は、フレーズ辞書データ355aを予め記憶している。フレーズ辞書データ355aには、部位要素に属するフレーズと、所見要素に属するフレーズと、確定度要素に属するフレーズと、修飾要素に属するフレーズが多数記録されている。確定度要素に属する各フレーズには、そのフレーズが意味する読影医の判断の確信度合いに応じて「断定」や「弱断定」等の変換用フレーズ66が関連づけられている。
【0049】
構造化処理部355は、フレーズ辞書データ355aに記録されている各フレーズを順次読み出し、読み出したフレーズをセンテンスやリンク付きセンテンスの先頭から1文字ずつシフトさせながら当てはめていき、当てはめたフレーズと当てはめた箇所とを照合していく。当てはめた箇所と当てはめたフレーズのデータが一致すれば、一致した箇所のデータを取り出すことでセンテンスを一度分解する。そして、取り出したデータをフレーズとして扱い、フレーズ辞書データ355aから読み出したフレーズが属する要素種別の要素識別情報を付す。
【0050】
確定度要素に属するフレーズが取り出された場合には、取り出したフレーズを、フレーズ辞書データ355aから読み出したフレーズに関連づけられている変換用フレーズ66に変換した後、この読み出したフレーズが属する確定度要素識別情報64を付す。
【0051】
解析部356は、作成レポートの各センテンスと過去レポートのリンク付きセンテンスを解析して、両センテンスの類似度81(図7参照)を算出する。この解析は、構造化処理部355で構造化されたセンテンス及びリンク付きセンテンスを用いる。そして、解析部356は、予め用意されている閾値以上の類似度81が算出されたセンテンスとリンク付きセンテンスの組を特定する。
【0052】
解析では、同一要素種別のフレーズ同士を比較してその概念の関連性を判断し、各フレーズに対する判断結果から両センテンスの類似度81を算出する。各フレーズの関連性の判断では、関連度83(図7参照)を算出する。センテンスの類似度81の算出では、各フレーズの関連度83に要素ごとの重み付けを行ってから総計する。関連性の高いフレーズ群で構成されているセンテンス同士は、似たような意味内容を表す傾向がみられるためである。
【0053】
図7は、関連度83及び類似度81の算出の一具体例を示す図である。
【0054】
例えば、図7に示すように、作成レポートの所見欄に記載されている「肺に限局性の陰影が認められます。」とのセンテンスは、構造化処理部355によって、記述種類識別情報61が付帯した「所見」のフレーズと、部位要素識別情報62が付帯した「肺」のフレーズと、所見要素識別情報63が付帯した「陰影」のフレーズと、確定度要素識別情報64が付帯した「断定」という語に変換されたフレーズと、修飾要素識別情報65が付帯した「限局性」のフレーズとに再構成されている。
【0055】
また、過去レポートの所見欄に記載されている「肺尖区には、スリガラス状の陰が認められます。」とのリンク付きセンテンスは、構造化処理部355によって、記述種類識別情報61が付された「所見」のフレーズと、部位要素識別情報62が付帯した「肺尖区」のフレーズと、所見要素識別情報63が付帯した「スリガラス状の陰」のフレーズと、確定度要素識別情報64が付帯した「断定」という語に変換されたフレーズとに再構成されている。
【0056】
解析部356は、構造化されたセンテンスとリンク付きセンテンスのデータを読み出し、記述種類識別情報61が付されたフレーズ同士、及び同一の要素識別情報が付されたフレーズ同士を比較する。片方にない要素は比較対照とはならない。具体的には、記述種類識別情報61が付されたフレーズ同士と、部位要素識別情報62が付されたフレーズ同士と、所見要素識別情報63が付されたフレーズ同士と、確定度要素識別情報64が付帯したフレーズ同士とを、それぞれ比較する。また、片方に修飾要素識別情報65が付帯したフレーズがなければ、修飾要素についての比較は行わない。
【0057】
この例によると、記述種類識別情報61が付されたフレーズは、ともに「所見」であり、このフレーズのデータは完全一致するため、同一を示す関連度83である1ポイントを記述種類識別情報61又は「所見」のフレーズに関連づけて記憶する。部位要素識別情報62が付されたフレーズは、「肺」と「肺尖区」であり、完全一致していないため、解析部356は、後述するオントロジー階層定義データ356aを参照して関連度83を算出する。オントロジー階層定義データ356aは、解析部356に予め記憶されている。また、所見要素識別情報63が付されたフレーズは、「陰影」と「スリガラス状の陰」であり、完全一致していないため、解析部356は、予め記憶しているオントロジー階層定義データを参照して関連度83を算出する。確定度要素識別情報64が付されたフレーズは、ともに「断定」であり、このフレーズのデータは完全一致するため、同一を示す関連度83である1ポイントを確定度要素識別情報64又は「断定」のフレーズに関連づけて記憶する。
【0058】
図8は、オントロジー階層定義データ356aを示す模式図である。オントロジー階層定義データ356aは、各種フレーズをその概念の広さを基準に下位概念から上位概念まで枝構造で階層化したものである。
【0059】
例えば、肺と肺野と肺尖区と中葉区とが階層状に結びつけられている。肺と肺野は、類義語であり、オントロジー階層定義データ356aにおいて類義語を示す枝71で直接結びつけられている。また、肺又は肺野と肺尖区は、隣接する階層で区別された上位概念と下位概念との関係にあり、オントロジー階層定義データ356aにおいて上位下位を示す枝72で直接結びつけられている。また、肺又は肺野と中葉区は、隣接する階層で区別された上位概念と下位概念との関係にあり、オントロジー階層定義データ356aにおいて上位下位を示す枝72で直接結びつけられている。
【0060】
解析部356は、2つのフレーズの関連度83を算出するために、2つのフレーズがいくつの上位下位を示す枝72で隔てられているかカウントする。肺と肺野であれば、類義語を示す枝71のみで結びつき、上位下位を示す枝72は2つのフレーズとの間に存在しないため、カウント値は0である。肺と肺尖区であれば、1本の上位下位を示す枝72で隔てられているため、カウント値は1である。肺尖区と中葉区であれば、肺を介して2本の上位下位を示す枝72で隔てられているため、カウント値は2である。
【0061】
解析部356は、2つのフレーズが完全一致しない場合、この2つのフレーズが持つ概念の離れ具合によって両フレーズの関連度83を決定する。具体的には、解析部356は、関連度83の初期値を1ポイントとして、カウント値の数だけ、半減させていく。カウント値が0であれば、類義語であるために関連度83は、同一と同様の1ポイントである。カウント値が1であれば、関連度83は0.5ポイントであり、カウント値が2であれば、関連度83は0.25ポイントである。
【0062】
従って、部位要素識別情報62が付されたフレーズが「肺」と「肺尖区」であれば、オントロジー階層定義データ356aを参照すると、両フレーズの概念の離れ具合はカウント値1となり、解析部356は、部位要素識別情報62又は「肺」と「肺尖区」に関連づけて0.5ポイントを記憶する。また、所見要素識別情報63が付されたフレーズが「陰影」と「スリガラス状の陰」であれば、オントロジー階層定義データ356aを参照すると、両フレーズの概念の離れ具合はカウント値1となり、解析部356は、所見要素識別情報63又は「陰」と「スリガラス状の陰影」に関連づけて0.5ポイントを記憶する。比較対照とならなかった修飾要素については関連度83は0ポイントである。
【0063】
各フレーズの関連度83が算出されると、各関連度83に重み付けを行ってから総計することで、センテンスの類似度81を算出する。解析部356は、各フレーズの要素種別ごとに重み付け値82を予め記憶している。
【0064】
例えば、部位要素と所見要素に対する重み付け値82である「2」と、記述種類要素と確定度要素に対する重み付け値82である「1」を記憶している。図7に示す例によると、記述種類識別情報61と確定度要素識別情報64に関連づけられた関連度83である1ポイントはそのままとし、部位要素識別情報62と所見要素識別情報63に関連づけられている関連度83である0.5ポイントには、重み付け値82である「2」を乗じる。そして、重み付けた後に各関連度83を総計することで、比較対照となった作成レポートのセンテンスと過去レポートのリンク付きセンテンスとの類似度81は、4ポイントとなる。
【0065】
解析部356は、予め例えば「3ポイント」のような閾値を記憶している。類似度81を算出すると、解析部356は、この閾値と類似度81とを比較することで、類似度81が閾値以上であるセンテンスとリンク付きセンテンスを特定する。
【0066】
報知制御部357は、類似度81が閾値以上であるセンテンスが作成レポートに存在すると、そのセンテンスへのリンク付けの必要性を報知するメッセージ91をモニタ31に表示させる。
【0067】
図9は、モニタ31に表示されるメッセージ91を示す模式図である。
【0068】
報知制御部357は、例えば、「“左側頭葉”に対して、過去の医用画像と今回の医用画像のリンク付けを行ってください」というメッセージ91が表示させる。更に、この文字列で表されたメッセージ91の隣に過去の医用画像のサムネイル過去画像92と自動リンク付けボタン93を表示させる。
【0069】
この報知制御部357は、表示させる文字列を予め記憶しており、類似度81が閾値以上であるセンテンスの部位を表すフレーズをこの文字列に当てはめてメッセージ91を作成する。また、この報知制御部357は、類似度81が閾値以上であるリンク付きメッセージ91に付帯したリンク設定情報53から医用画像の保管先アドレス54を読み出し、読み出した保管先アドレス54に存在する医用画像を画像保管装置4から取得する。
【0070】
このモニタ31に表示されたメッセージ91に対応して、術者がリンク付け操作を行うと、リンク設定部352がリンク付けの処理を行う。表示された過去の医用画像の選択範囲へのドラッグ操作や、自動リンク付けボタン93の押下に対応する。自動リンク付けボタン93が押下されると、リンク設定部352は、類似度81が閾値以上であるリンク付きセンテンスに付帯するリンク設定情報53から保管先アドレス54を読み出し、このリンク付きセンテンスに類似するセンテンスの部位要素を示すフレーズに対して、読み出した保管先アドレス54を記録したリンク設定情報53を付す。
【0071】
図10は、このようなレポート作成システム1のリンク付け処理の動作を示すフローチャートである。
【0072】
まず、テキスト作成部351は、モニタ32に読影対象の医用画像を表示させ(S01)、モニタ31にレポート作成画面を表示させる(S02)。キーボード33に配列されたキーが押下されると(S03,Yes)、テキスト作成部351は、押下されたキーに対応する文字データを作成レポートに配列し、モニタ32にその配列結果を表示させる(S04)。
【0073】
マウス34を操作してカーソルを保存ボタンに位置させてクリックすることにより、作成レポートの保存操作が行われると(S05,Yes)、レポート作成システム1は、リンク付けのチェック及びリンク付け処理を開始する。
【0074】
まず、保存操作が行われると、過去レポート検索部353は、作成レポートからレポート情報51を読み出し(S06)、レポート情報51とともに過去レポートの検索及び送信の要求コマンドをレポート保管装置2に送信する(S07)。
【0075】
レポート保管装置2では、受信したレポート情報51に含まれている患者IDと検査種別情報と検査部位情報と同一の情報を含んでいる過去レポートを検索し、該当する過去レポートをレポート作成装置3へ送信する。該当する過去レポートが複数存在する場合には、過去レポートに記録されている検査日付を基準に最新の過去レポートを送信する。
【0076】
レポート保管装置2から過去レポートを受信すると、過去レポート保存部354は、受信した過去レポートを保存する(S08)。
【0077】
構造化処理部355は、受信した過去レポートから全てのリンク付きセンテンスを抽出する(S09)。また、構造化処理部355は、作成レポートに含まれる全てのセンテンスを抽出する(S10)。
【0078】
まず、構造化処理部355は、過去レポートに記録されたリンク設定情報53を探索する。更に、このリンク設定情報53によりリンク付けがなされたフレーズの直近に存在する前後の読点データを探索する。前後の読点データが見つかると、この読点データで囲まれた文字データ群をリンク付きセンテンスとして取り出す。
【0079】
このリンク設定情報53の探索からリンク付きセンテンスの取り出しまでを過去レポートの文章の先頭から終わりまで行い、リンク設定情報53が見つかるごとにリンク付きセンテンスの取り出しを行う。取り出しの際には、取り出すリンク付きセンテンスを囲む種別タグ52の種類を読み出す。取り出されたリンク付きセンテンスには、読み出した種別タグ52の種類を表すフレーズと記述種類識別情報61を付し、過去レポート中の出現順位であるセンテンスナンバーを関連づけしておく。
【0080】
また、構造化処理部355は、作成レポートから、文章構成上で隣接している2点の読点データを文章先頭から順に探索する。2点の読点データが見つかると、この読点データで囲まれた文字データ群をセンテンスとして取り出す。
【0081】
この読点データの探索を作成レポートの最初から終わりまで行い、2点の読点データが特定されるごとにセンテンスの取り出しを行う。取り出しの際には、取り出すセンテンスを囲む種別タグ52の種類を読み出す。そして、取り出されたセンテンスには、読み出した種別タグ52の種類を表すフレーズと記述種類識別情報61を付し、作成レポート中の出現順位であるセンテンスナンバーを関連づけしておく。
【0082】
全てのリンク付きセンテンス及びセンテンスが抽出されると(S09,S10)、構造化処理部355は、各リンク付きセンテンスと各センテンスのそれぞれを構造化していく(S11)。
【0083】
まず、構造化処理部355は、フレーズ辞書データ355aに記録されている最初のフレーズを読み出し、読み出したフレーズをリンク付きセンテンス又はセンテンスの文頭に当てはめて照合を行う。当てはめた箇所とフレーズのデータが一致しなければ、マッチングする箇所を文末へ1文字ずつシフトしていき、読み出したフレーズとその箇所のデータの照合を行う。文頭までシフトし終わり、データの一致がなければ、次のフレーズをフレーズ辞書データ355aから順次読み出して当てはめと照合を繰り返す。
【0084】
読み出したフレーズと当てはめた箇所のデータが一致していれば、その箇所のデータを1フレーズとして取り出し、取り出したフレーズにフレーズ辞書データ355aから読み出したフレーズが属する要素識別情報を付す。フレーズ辞書データ355aから読み出したフレーズが確定要素に属する場合は、取り出したフレーズを、読み出したフレーズに関連づけられている変換用のフレーズに変換した上で、確定度要素識別情報64を付す。
【0085】
このフレーズの取り出し及びフレーズのセンテンス上の要素の種別を識別する処理は、照合箇所が文末に到達した場合、又はフレーズ辞書データ355a中の全てのフレーズを照合に用いた場合に終了する。このフレーズの取り出し及び要素種別の識別処理を、抽出された全てのリンク付きセンテンス及びセンテンスについて行う。
【0086】
抽出された全てのリンク付きセンテンス及びセンテンスが構造化されると(S11)、解析部356は、各組み合わせのリンク付きセンテンスとセンテンスに含まれる同一要素のフレーズ同士の関連度83を算出する(S12)。
【0087】
まず、解析部356は、一の組み合わせであるリンク付きセンテンスとセンテンスを比較対照として、比較対照となっているリンク付きセンテンスとセンテンスの各センテンスナンバーを組み合わせた比較対照情報を生成しておく。
【0088】
そして、記述種別識別情報が付与されているフレーズ同士、部位要素識別情報62付与されているフレーズ同士、所見要素識別情報63が付与されているフレーズ同士、及び確定度要素識別情報64が付与されているフレーズ同士の比較を行い、完全一致していれば、比較した要素に対する関連度83を同一を示す値とし、生成した比較対照情報と関連づける。
【0089】
比較しているフレーズ同士が完全一致していなければ、解析部356は、オントロジー階層定義データ356aに比較しているフレーズをそれぞれ当てはめる。そして、当てはめたフレーズが何本の上位下位を示す枝72で隔てられているかカウントする。比較しているフレーズの概念の離れ具合をカウントすると、同一を示す関連度83と同じ値である初期値をカウント値が示す回数だけ半減させ、最終的な値をこの比較対象となった両フレーズが属する要素の関連度83とする。
【0090】
解析部356は、この比較対照情報の生成及び関連度83の算出を、全てのリンク付きセンテンスとセンテンスの組み合わせに対して行う。
【0091】
関連度83が算出されると、解析部356は、リンク付きセンテンスとセンテンスとの類似度81を算出する(S13)。
【0092】
解析部356は、予め、記述種類、部位要素、所見要素、及び確定度要素のそれぞれに対する重み付け値82を予め記憶している。解析部356は、1の比較対照情報に関連づけられている記述種類の関連度83に記述種類の重み付け値82を乗じ、部位要素の関連度83に部位要素の重み付け値82を乗じ、所見要素の関連度83に所見要素の重み付け値82を乗じ、確定度要素の関連度83に確定度要素の重み付け値82を乗じる。そして、得られた各値を総計して、比較対照情報が表すリンク付きセンテンスとセンテンスとの類似度81とする。
【0093】
リンク付きセンテンスとセンテンスの各組み合わせに対して類似度81が算出されると、解析部356は、予め記憶している閾値とこの類似度81とを比較する(S14)。比較の結果、閾値以上であった類似度81が存在すれば(S14,Yes)、報知制御部357は、リンク付けの必要性を示唆するメッセージ91とサムネイル過去画像92と自動リンク付けボタン93をモニタ31に表示させる(S15)。
【0094】
解析部356は、閾値以上であった類似度81が関連づけられた比較対照情報を報知制御部357に通知する。報知制御部357は、この通知された比較対照情報に含まれるセンテンスナンバーを読み出す。そして、このセンテンスナンバーが示す作成レポートのセンテンスから、部位要素識別情報62が付されたフレーズを抽出し、予め記憶しているメッセージ91のフォーマットに当てはめる。
【0095】
また、報知制御部357は、センテンスナンバーが示す過去レポートのリンク付きセンテンスからリンク設定情報53を読み出し、このリンク設定情報53に含まれている保存先アドレスに記憶されている医用画像を画像保管装置4から受信する。報知制御部357は、受信した医用画像をサムネイル化し、メッセージ91と自動リンク付けボタン93とともにモニタ31に表示させる。
【0096】
自動リンク付けボタン93が押下されると(S16,Yes)、リンク設定部352は、リンク付きセンテンスのフレーズにリンク付けされていた医用画像をセンテンスのフレーズにリンク付けする(S17)。
【0097】
リンク設定部352は、閾値以上となった類似度81が関連づけられた比較対照情報に含まれているリンク付きセンテンスのセンテンスナンバーを読み出す。リンク付きセンテンスのセンテンスナンバーを読み出すと、このセンテンスナンバーで表されるリンク付きセンテンスからリンク設定情報53を抽出する。また、比較対照情報に含まれている作成レポートのセンテンスナンバーを読み出し、作成レポートからリンク付けの対象となるセンテンスを特定する。そして、リンク設定部352は、センテンスナンバーで表される作成レポートのセンテンスから部位要素識別情報62が付されているフレーズを特定し、抽出したリンク設定情報53を記録する。
【0098】
さらに、リンク設定部352は、読影対象となっており、かつキー画像に設定されている医用画像の保存先アドレスを含んだリンク設定情報53をセンテンスのフレーズにリンク付けする(S18)。
【0099】
なお、自動リンク付けボタン93が押下せずに、モニタ32に表示されているキー画像とメッセージ91とともに表示されているサムネイル過去画像92とがドラッグ操作されると、リンク設定部352は、このドラッグされた医用画像をリンク付けするようにしてもよい。
【0100】
また、メッセージ91は、単に医用画像のリンク付けを示唆する文字列であってもよい。この場合、自動リンク付けボタン93は表示せず、一般的なドラッグアンドドロップによってリンク付け処理が行われるようにすればよい。
【0101】
また、読影対象としてモニタ32に表示された医用画像や、その医用画像と同一シリーズの画像群のうちのキー画像のリンク付けのみを示唆するメッセージ91を表示してもよい。この場合、リンク設定部352のS17の処理、即ち、リンク付きセンテンスに含まれるフレーズにリンク付けされた医用画像のリンク付け処理を排除することができる。リンク設定部352は、S16の処理の後、自動リンク付けボタン93が押下されれば、S18の処理、即ち読影対象となった医用画像のリンク付け処理を実行するようにすればよい。
【0102】
以上のように、本実施形態に係るレポート作成システム1では、作成レポートに入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと過去レポートのリンク付きセンテンスの各フレーズの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度81を算出する。そして、所定以上の類似度81が算出されると、算出対象となったセンテンスのフレーズに対する医用画像のリンク付けの必要性を示唆するメッセージ91をモニタ31に表示する。メッセージ91としては、単に医用画像のリンク付けの必要性を示唆したり、所定以上の類似度81が算出された組の一方にリンク付けされている医用画像の他方へのリンク付けの必要性を示唆したり、読影対象となった医用画像のリンク付けの必要性を示唆したりする。
【0103】
これにより、読影レポートに証拠となる医用画像がリンク付けされているかチェックすることができ、リンク付けがされていない場合にはその旨のメッセージ91を表示するので、医用画像のリンク付けを忘失することがなく、質の高い読影レポートを作成できる。
【0104】
また、自動リンク付けボタン93の押下等のリンク付けの操作を受けて、読影対象として表示されている医用画像や、所定以上の類似度81が算出された組の一方にリンク付けされている医用画像を、他方のセンテンスのフレーズにリンク付けする。これにより、煩わしいリンク付けの作業を省くことができ、読影レポートの作成作業を効率化することができる。
【0105】
また、解析部356による関連度83及び類似度81の算出は、作成レポートの保存操作を受けてから行う。これにより、文字データの入力中に逐次リンク付けのチェックが入るといったことはなくなり、読影結果を反映する文書の作成作業に集中することができる。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】レポート作成システムのネットワーク構成を示す図である。
【図2】レポート作成装置の外観を示す外観図である。
【図3】ワークステーション装置の構成を示す構成図である。
【図4】読影レポートのデータ構成を示す模式図である。
【図5】センテンスの構造化の一具体例を示す図である。
【図6】フレーズ辞書データを示すデータ構成図である。
【図7】類似度の解析の一具体例を示す図である。
【図8】オントロジー階層定義データを示す模式図である。
【図9】モニタに表示されるメッセージを示す模式図である。
【図10】レポート作成システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0107】
1 レポート作成システム
2 レポート保管装置
3 レポート作成装置
31 モニタ
32 モニタ
33 キーボード
34 マウス
35 ワークステーション装置
351 テキスト作成部
352 リンク設定部
353 過去レポート検索部
354 過去レポート保存部
355 構造化処理部
355a フレーズ辞書データ
356 解析部
356a オントロジー階層定義データ
357 報知制御部
4 画像保管装置
51 レポート情報
52 種別タグ
53 リンク設定情報
54 保管先アドレス
61 記述種類識別情報
62 部位要素識別情報
63 所見要素識別情報
64 確定度要素識別情報
65 修飾要素識別情報
66 変換用フレーズ
71 類義語を示す枝
72 上位下位を示す枝
81 類似度
82 重み付け値
83 関連度
91 メッセージ
92 サムネイル過去画像
93 自動リンク付けボタン
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、
少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、
入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、
前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、
予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された場合に、当該類似度の算出の対象となった前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズにリンク付けされている医用画像を、当該類似度の算出の対象となった前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズへリンク付けする必要性を示唆するメッセージを前記表示手段に表示させる報知制御手段と、
を備えること、
を特徴とするレポート作成システム。
【請求項2】
リンク付けの入力操作を受けて、予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された組の一方にリンク付けされている前記医用画像を他方のフレーズにリンク付けするリンク設定手段を更に備えること、
を特徴とする請求項1記載のレポート作成システム。
【請求項3】
前記解析手段は、前記読影レポートの保存操作を受けて、前記関連性を判断し、前記類似度を算出すること、
を特徴とする請求項1記載のレポート作成システム。
【請求項4】
医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、
少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、
入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、
前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、
予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された場合に、当該類似度の算出の対象となった前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズにリンク付けされている医用画像を、当該類似度の算出の対象となった前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズへリンク付けするリンク付け設定手段と、
を備えること、
を特徴とするレポート作成システム。
【請求項5】
医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、
少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、
入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、
前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、
予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズに医用画像をリンク付けさせる必要性を示唆するメッセージを前記表示手段に表示させる報知制御手段と、
を備えること、
を特徴とするレポート作成システム。
【請求項6】
医用画像を保管する画像保管装置を有し、または当該画像保管装置と接続され、表示手段にレポート作成画面を表示して読影レポートを作成するためのレポート作成システムであって、
少なくとも1つのフレーズに前記医用画像がリンク付けされたセンテンスを含む読影レポートを記憶する記憶手段と、
入力操作を受けて、前記レポート作成画面において少なくとも1つのフレーズを含むセンテンスを入力する入力手段と、
前記入力されたセンテンスに含まれる各フレーズと前記記憶手段に記憶された読影レポートに含まれるリンク付けされたフレーズを含むセンテンスの各フレーズとの関連性を判断し、判断結果から双方のセンテンスの類似度を算出する解析手段と、
予め定められた閾値以上の前記類似度が算出された前記入力されたセンテンスに含まれるフレーズに医用画像をリンク付けするリンク付け設定手段と、
を備えること、
を特徴とするレポート作成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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