説明

レンズユニットおよび光学機器

【課題】移動するレンズの位置決め精度を高くする。
【解決手段】レンズユニットであって、レンズを保持するレンズ保持部と、レンズの光軸方向と平行に延伸し、レンズ保持部を案内する案内軸とを備え、レンズ保持部および案内軸のいずれか一方は、光軸方向に垂直な断面が一対の円形状が外接した形状となる規制部を有し、レンズ保持部および案内軸の他方は、規制部の一対の円形状の両方に当接する当接部を有する。上記レンズユニットにおいて、案内軸は一対の丸棒が並置されることにより形成され、規制部は一対の丸棒の外周面により形成されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズユニットおよび光学機器に関する。
【背景技術】
【0002】
移動するレンズをシャフトにより案内する装置がある(特許文献1参照)。
[特許文献1]実用新案登録第2585804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
シャフトとシャフトが挿通された穴との間隙を測定することは難しい。このため、金型等を調整して高精度な製品を歩留りよく製造することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第一態様として、レンズを保持するレンズ保持部と、レンズの光軸方向と平行に延伸し、レンズ保持部を案内する案内軸とを備え、レンズ保持部および案内軸のいずれか一方は、光軸方向に垂直な断面が一対の円形状が外接した形状となる規制部を有し、レンズ保持部および案内軸の他方は、規制部の一対の円形状の両方に当接する当接部を有するレンズユニットが提供される。
【0005】
本発明の第二態様として、上記レンズユニットと、レンズ保持部を駆動する駆動部とを備え、駆動部の駆動力により案内軸に案内されたレンズ保持部が移動する光学機器が提供される。
【0006】
上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。これら特徴群のサブコンビネーションもまた発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】一眼レフカメラ100の模式的断面図である。
【図2】レンズユニット200の部分的斜視図である。
【図3】レンズユニット200の部分的斜視図である。
【図4】レンズユニット200の部分的斜視図である。
【図5】案内機構401の模式的断面図である。
【図6】レンズユニット200の部分的斜視図である。
【図7】案内機構402の模式的断面図である。
【図8】レンズユニット200の部分的斜視図である。
【図9】案内機構403の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、光学機器の一種である一眼レフカメラ100の模式的断面図である。一眼レフカメラ100は、レンズユニット200およびカメラボディ300を含む。
【0010】
なお、以降の説明においては、カメラボディ300に装着したレンズユニット200における物体側を「前」または「先」と記載する。また、同じく、レンズユニット200における像側を「後」または「背面」と記載する。
【0011】
レンズユニット200は、固定筒210、レンズ220、230、240、鏡筒側制御部250および鏡筒側マウント部260を有する。固定筒210の一端には、鏡筒側マウント部260が設けられる。鏡筒側マウント部260は、カメラボディ300のボディ側マウント部360と嵌合して、レンズユニット200をカメラボディ300に結合する。
【0012】
鏡筒側マウント部260およびボディ側マウント部360の結合は特定の操作により解除できる。よって、カメラボディ300には、同じ規格の鏡筒側マウント部260を有する他のレンズユニット200を交換して装着できる。
【0013】
レンズ220、230、240は、固定筒210の内側において光軸Xに沿って配列されて光学系を形成する。光学系を変倍または合焦する場合に、レンズ220、230、240の一部または全部が光軸Xと平行な方向に移動する。なお、レンズ220、230、240の各々は、複数のレンズを組み合わせたレンズ群である場合もある。
【0014】
鏡筒側制御部250は、レンズユニット200自体の制御を司ると共に、カメラボディ300のボディ側制御部322との通信も担う。これにより、カメラボディ300に装着されたレンズユニット200は、カメラボディ300と連携して動作する。
【0015】
カメラボディ300においては、ボディ側マウント部360を挟んでレンズユニット200の反対側にミラーユニット380が配される。ミラーユニット380の上方にはフォーカシングスクリーン346が水平に配される。
【0016】
フォーカシングスクリーン346の更に上方にはペンタプリズム344が、ペンタプリズム344の後方にはファインダ光学系342が、それぞれ配される。ファインダ光学系342の後端は、ファインダ340としてカメラボディ300の背面に露出する。
【0017】
カメラボディ300において、ミラーユニット380の後方には、フォーカルプレンシャッタ310、光学フィルタ372および撮像素子370が順次配される。フォーカルプレンシャッタ310は開閉して、入射拘束を撮像素子370に導入または遮断する。
【0018】
光学フィルタ372は、撮像素子370の直前に設置され、入射光束から可視帯域外の成分を除去する。また、光学フィルタ372は、撮像素子370の表面を保護する。更に、光学フィルタ372は、ローパスフィルタとして入射光束の空間周波数を減じてモアレの発生を抑制する。
【0019】
撮像素子370は、光学フィルタ372の後方に配される。撮像素子370は、CCDセンサ、CMOSセンサなどの光電変換素子により形成される。
【0020】
撮像素子370の更に背後には、基板320、表示部330が順次配される。基板320には、ボディ側制御部322、画像処理部324等が実装される。表示部330は、液晶表示板等により形成され、カメラボディ300の背面に露出する。
【0021】
ミラーユニット380は、メインミラー保持枠381およびメインミラー382を有する。メインミラー保持枠381は、メインミラー382を保持しつつ、メインミラー回動軸383により軸支される。これにより、メインミラー保持枠381は、位置決めピン384に当接する位置と、ストッパ388に当接する位置との間を回動する。
【0022】
ミラーユニット380は、サブミラー保持枠385およびサブミラー386も有する。サブミラー保持枠385は、サブミラー386を保持しつつ、サブミラー回動軸387によりメインミラー保持枠381から軸支される。
【0023】
これにより、サブミラー386は、メインミラー保持枠381に対して回動する。メインミラー保持枠381が回動する場合、サブミラー386およびサブミラー保持枠385はメインミラー保持枠381と共に移動しつつ、メインミラー保持枠381に対して回動する。
【0024】
図示のミラーユニット380においては、メインミラー保持枠381の前端が降下して位置決めピン384に当接している。これにより、メインミラー382は、レンズユニット200を通じて入射した入射光束の光路を斜めに横切る観察位置に位置決めされる。
【0025】
観察位置にあるメインミラー382に入射した被写体光の一部は、メインミラー382の一部に形成されたハーフミラー領域を透過してサブミラー386に入射する。サブミラー386に入射した被写体光の一部は、合焦光学系390に向かって反射され、やがて、合焦位置センサ392に入射する。
【0026】
合焦位置センサ392は、レンズユニット200の光学系におけるデフォーカス量を検出して、ボディ側制御部322に通知する。ボディ側制御部322は、鏡筒側制御部250と通信して、検知されたデフォーカス量を打ち消すように、レンズ220、230、240のいずれかを移動させる。こうして、レンズユニット200は、撮像素子370の撮像面に被写体像を結ぶべく合焦する。
【0027】
また、観察位置にあるメインミラー382は、入射光束の大半をフォーカシングスクリーン346に向かって反射する。フォーカシングスクリーン346は、撮像素子370の撮像面と光学的に共役な位置に配され、レンズユニット200の光学系が形成した被写体像を可視化する。
【0028】
フォーカシングスクリーン346に結ばれた被写体像は、ペンタプリズム344およびファインダ光学系342を通じてファインダ340から観察される。ペンタプリズム344を通じた被写体像は、ファインダ340から正立正像として観察される。
【0029】
ペンタプリズム344から射出される光束の一部は、ファインダ光学系342の上方に配された測光センサ350に受光される。カメラボディ300のレリーズボタンが半押し状態になると、測光センサ350は、入射した光束の一部から被写体輝度を検出する。
【0030】
ボディ側制御部322は、検出された被写体輝度に応じて、絞り値、シャッタ速度、ISO感度等の撮像条件を算出する。これにより、一眼レフカメラ100は、適切な撮影条件で被写体を撮影できる状態になる。
【0031】
一眼レフカメラ100においてレリーズボタンが押された場合、メインミラー保持枠381はメインミラー382と共に図中時計回りに回動し、ストッパ388に当接して、退避位置に略水平に停止する。これにより、メインミラー382は、レンズユニット200の光学系を通じて入射光束の光路から退避する。
【0032】
メインミラー382が撮影位置に向かって回動する場合、サブミラー保持枠385も、メインミラー保持枠381と共に上昇すると共に、サブミラー回動軸387の回りに回動して、撮影位置において略水平に停止する。これにより、サブミラー386も入射光束の光路から退避する。
【0033】
メインミラー382およびサブミラー386が撮影位置に移動すると、カメラボディ300においては続いてフォーカルプレンシャッタ310が開く。これにより、レンズユニット200の光学系を通じて入射した像光は、光学フィルタ372を通過した後に撮像素子370に受光される。撮影後には、フォーカルプレンシャッタ310の後膜が閉じ、メインミラー382およびサブミラー386は再び回動して観察位置に復帰する。
【0034】
図2は、レンズユニット200の内部構造を部分的に示す斜視図である。図2には、操作環等の外装部材を取り外したレンズユニット200における、前フランジ214および後フランジ216とカム環290とが示される。
【0035】
前フランジ214および後フランジ216は互いに個別に成形され、レンズユニット200の前端近傍および後端近傍に配される。前フランジ214および後フランジ216は、レンズユニット200に対する入射光束の光路を通す開口をそれぞれ有する。
【0036】
前フランジ214は、二対の丸棒部材272の前端を開口の周上で等間隔に保持しつつ、レンズユニット200の固定筒210に対して固定される。後フランジ216も、丸棒部材272の後端を開口の周上で等間隔に保持しつつ、レンズユニット200の固定筒210に対して固定される。よって、丸棒部材272は、レンズユニット200の内部において、それぞれ光軸Xと平行に保持される。
【0037】
カム環290は、光軸Xと平行に配された円筒状の部材であり、一対の前フランジ214および後フランジ216の間に配される。カム環290は、光軸Xの回りに回動可能に支持され、例えば、レンズユニット200に外装部材として取り付けられた操作環と連動して回転する。
【0038】
また、カム環290は、カム環290自体の長手方向における位置が周方向に沿って変化するカム溝292を有する。カム溝292には、カムフォロア238が、カム環290の径方向に挿通される。
【0039】
図3は、レンズユニット200の部分的斜視図である。図3は、図2に示した状態のレンズユニット200から、更にカム環290を取り外した状態を示す。前フランジ214および後フランジ216は、中間筒218により連結されて互いに固定される。
【0040】
中間筒218は、一対の嵌めあい面211を外周面両端に有する。嵌めあい面211の外径は、中間筒218の他の部分の外径よりも大きく、カム環290の内径に略等しい。よって、中間筒218の外側にカム環290を装着した場合、カム環290は、光軸X方向の両端で支持され、前フランジ214および後フランジ216の間で円滑に回転する。
【0041】
また、中間筒218は、光軸Xと平行な直進溝212を周面に有する。直進溝212には、カムフォロア238が挿通される。即ち、レンズユニット200において、カムフォロア238は、直進溝212およびカム溝292の双方に挿通される。よって、カム環290が中間筒218に対して、光軸Xの回りを回転した場合、カムフォロア238は、光軸Xと平行な方向の駆動力を受けて、直進溝212に沿って駆動される。
【0042】
図4は、案内機構401を含むレンズユニット200の部分的斜視図である。図4は、図3に示した状態のレンズユニット200から、更に中間筒218を取り外した状態を示す図でもある。
【0043】
また、図4は、光軸X方向について後フランジ216側からレンズユニット200を見た様子を示す。これにより、前フランジ214と同様に、後フランジ216が丸棒部材272を保持している様子が判る。
【0044】
レンズユニット200から中間筒218を取り外すと、一対の前フランジ214および後フランジ216の間で、互いに平行に、且つ、光軸Xに対して平行に配された二対の丸棒部材272が現れる。対になった丸棒部材272の各々は、それぞれ案内軸270を形成する。案内軸270としての丸棒部材272の対は、前フランジ214および後フランジ216の周方向について等間隔に配される。
【0045】
前フランジ214および後フランジ216の間であって、一対の案内軸270の間には、レンズ230を保持したレンズ保持枠232が配される。レンズ保持枠232は、鋼球保持部231、234とカムフォロア238とを有する。
【0046】
図中上側に位置する鋼球保持部234は、2個の鋼球280を保持する。鋼球280の各々は、抜け止め部236により押さえられて、鋼球保持部234からの抜け落ちを防止される。
【0047】
なお、鋼球280の各々は、鋼球保持部234から抜け止め部236を脱着することにより交換できる。よって、径の異なる複数の鋼球280を用意して交換することにより、案内軸270および鋼球280の隙間を調整できる。
【0048】
鋼球保持部234において、2個の鋼球280は、案内軸270の延伸方向に沿って配され、それぞれ案内軸270に接して個別に案内機構401を形成する。これにより、レンズ保持枠232は、案内軸270の軸方向に離間した一対の接触点において、案内軸270から位置決めされる。
【0049】
よって、レンズ保持枠232の案内軸270に対する傾きが規定され、レンズ保持枠232に保持されたレンズ230の光軸Xが、案内軸270と平行になる。また、鋼球保持部234に保持された一対の鋼球280を異径のものと交換することにより、レンズ保持枠232の案内軸270に対する傾きを調整できる。
【0050】
また、レンズ保持枠232は、図中下側に、1個の鋼球280を保持した鋼球保持部231を有する。鋼球280は、抜け止め部233により鋼球保持部231から抜け落ちないように保持される。また、抜け止め部233を鋼球保持部231脱着することにより、鋼球280を交換できる。
【0051】
鋼球保持部231に保持された鋼球280は、図中下側の案内軸270に接する。これにより、案内機構401が形成され、レンズ保持枠232は案内軸270からも位置決めされる。このように、レンズ230の周方向に複数の案内軸270を配してレンズ保持枠232を案内することにより、中間筒218を含む固定筒210に対してレンズ230が位置決めされる。
【0052】
更に、鋼球280の各々は、案内軸270に沿って移動する。これにより、レンズ230は、光軸Xを案内軸270と平行に保ったまま、案内軸270に案内されて移動する。
【0053】
カムフォロア238の下端は、レンズ保持枠232に対して結合される。既に説明したように、カム環290が前フランジ214および後フランジ216および中間筒218に対して回転した場合、カムフォロア238は光軸Xと平行な方向に駆動される。よって、カムフォロア238に結合されたレンズ保持枠232も、光軸Xと平行な方向に駆動される。
【0054】
また、カムフォロア238は、レンズ230の周方向について鋼球保持部234の近傍に配される。これにより、駆動されたカムフォロア238は、レンズ保持枠232を効率よく移動させる。
【0055】
図5は、案内機構401の模式的断面図である。図1から図4までと共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0056】
レンズ保持枠232の外周側に形成された鋼球保持部231、234は、それぞれ鋼球280を収容する。鋼球保持部231、234は、鋼球280の外径よりも小さな内径の開口を有する抜け止め部233、236により封止される。これにより、鋼球280が鋼球保持部231、234から脱落することが防止される。
【0057】
また、鋼球保持部231の内部は、鋼球280に対する摩擦が小さい材料により覆われる。これにより、鋼球保持部231に保持された鋼球280は円滑に回転する。
【0058】
案内軸270は、一対の丸棒部材272により形成される。一対の丸棒部材272は互いに外接して、一対の円弧を含む断面形状を有する溝状の規制部を形成する。鋼球280は、一対の丸棒部材272が形成する規制部の内側において、一対の円弧のそれぞれに当接する。これにより、規制部を形成する案内軸270と、規制部に当接する鋼球280との位置関係が決定される。
【0059】
なお、丸棒部材272および鋼球280は、寸法精度の高い材料が廉価に供給されている。特に鋼球280は、軸受けの部品として、種々の寸法を有するものが供給されている。よって、丸棒部材272および鋼球280により案内機構401を形成することにより、レンズ保持枠232を精度よく位置決めできる。
【0060】
また、鋼球280は、鋼球保持部234の内部で円滑に回転する。よって、案内機構401において高い位置決め精度を維持しつつ、レンズ保持枠232を案内軸270に沿って円滑に移動させることができる。
【0061】
図6は、図4および図5に示した案内機構401と共に、他の案内機構402を含むレンズユニット200の部分的斜視図である。図6において、図4および図5と共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0062】
図6は、図4と同様に、カム環290および中間筒218を取り外して、案内軸270とレンズ230およびレンズ保持枠232とが露出した状態を示す。図6において、図中上側の案内機構401は、図4に示したレンズユニット200と共通の構造を有する。これに対して、図6において、図中下側の案内機構402は、案内機構401と異なる構造を有する。
【0063】
即ち、案内機構402において、案内軸270は、単一の丸棒部材272により形成される。案内機構402の丸棒部材272は、両端を前フランジ214および後フランジ216に支持され、光軸Xと平行に配される。単一の丸棒部材272により形成された案内軸270は、一対の丸棒部材272により形成された案内軸270と、前フランジ214および後フランジ216の周方向について等間隔に配される。
【0064】
また、案内機構402において、一対の鋼球280は、レンズ保持枠232に周面に設けられた鋼球保持部235に保持される。また、鋼球280の各々は、抜け止め部237により押さえられて、鋼球保持部235からの抜け落ちを防止される。
【0065】
鋼球280は、鋼球保持部235から抜け止め部237を脱着することにより交換できる。よって、径の異なる複数の鋼球280を用意して交換することにより、案内軸270および鋼球280の隙間を調整できる。
【0066】
鋼球保持部235において、2個の鋼球280は、案内軸270の延伸方向に対して直交する方向に隣接して配される。単一の丸棒部材272により形成された案内軸270は、一対の鋼球280の双方に当接する。これにより、レンズ保持枠232は、案内軸270の軸方向に交差する方向について位置決めされる。
【0067】
図中上側の案内軸270に対しては、鋼球保持部234を含む案内機構401が、レンズ保持枠232を位置決めしている。よって、案内機構401、402が協働することにより、レンズ保持枠232は、光軸Xを案内軸270と平行に保ったまま案内軸270に案内されて移動できる。
【0068】
既に説明した通り、カムフォロア238の下端は、レンズ保持枠232に対して結合される。よって、カムフォロア238が駆動された場合、レンズ保持枠232は光軸Xと平行な方向に駆動される。
【0069】
図7は、案内機構402の模式的断面図である。レンズ保持枠232の図中下側において外周側に形成された鋼球保持部235は一対の鋼球280を収容する。鋼球保持部234は、鋼球280の外径よりも小さな内径の一対の開口を有する抜け止め部237により封止される。これにより、鋼球280が鋼球保持部235から脱落することが防止される。換言すれば、抜け止め部237を脱着することにより、鋼球280を交換することもできる。
【0070】
また、鋼球保持部235の内部は、鋼球280に対する摩擦が小さい材料により覆われる。これにより、鋼球保持部235に保持された鋼球280は円滑に回転する。
【0071】
鋼球保持部235に保持された鋼球280は、円形の断面の一点において相互に外接する。案内軸270を形成する単一の丸棒部材272の周面は、一対の鋼球280の双方に当接する。
【0072】
即ち、案内機構402においては、一対の鋼球280が互いに外接する一対の円形断面により規制部を形成する。また、規制部を形成する一対の円形断面の双方に当接する断面を有して当接部材を形成する丸棒部材272は、規制部に対して2点で接することにより、光軸Xと直交する方向の変位を規制される。
【0073】
既に説明した通り、丸棒部材272および鋼球280は、寸法精度が高いものが廉価に供給されている。よって、丸棒部材272および鋼球280により、レンズ保持枠232を精度よく位置決めできる案内機構402を廉価に製造できる。
【0074】
また、鋼球280は、鋼球保持部234の内部で円滑に回転する。よって、案内機構402は、高い位置決め精度を維持しつつ、レンズ保持枠232を案内軸270に沿って円滑に移動させることができる。
【0075】
なお、案内機構402は、単一の丸棒部材272により案内軸270を形成するので、部品点数を削減してレンズユニット200を軽量化できる。また、一対の鋼球280と単一の丸棒部材272を組み合わせた案内機構402を、案内軸270の軸方向に一対設けることにより、レンズ保持枠232の案内軸270に対する傾きを規定する案内機構402を形成することもできる。
【0076】
図8は、他のレンズユニット201の部分的斜視図である。レンズユニット201は、下記に説明する部分を除くと、レンズユニット200と同じ構造を有する。よって、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0077】
レンズユニット201は、それぞれが一対の丸棒部材272を含む3組の案内軸270を備える。個々の案内軸270は、レンズユニット200における案内軸270と変わらない。また、3組の案内軸270は、前フランジ214および後フランジ216に周方向に等間隔に配される。
【0078】
上記のような3本の案内軸270に対して、レンズ保持枠232は、単一の鋼球280を保持する一対の鋼球保持部231と、一対の鋼球280を保持する単一の鋼球保持部234とにより案内軸270に対して当接する。これにより、レンズ保持枠232は、案内軸270の内側において、より安定に位置決めされる。
【0079】
なお、レンズユニット201に設けられた複数の案内機構401のうちの少なくともひとつが、他の構造を有するものであってもよい。即ち、例えば、案内機構401のひとつを、単一の丸棒部材272と一対の鋼球280とを含む案内機構402に変更してもよい。
【0080】
図9は、また他の案内機構403の模式的断面図である。案内機構403は、下記に説明する部分を除くと、他の案内機構401、402と同じ構造を有する。よって、共通の要素には同じ参照番号を付して重複する説明を省く。
【0081】
一対の丸棒部材272により形成された案内軸270を有する案内機構401においては、光軸Xと直交する断面上で、一対の丸棒部材272がレンズ230の周方向に隣接して配置された。この点、案内機構403においては、一対の丸棒部材272が、光軸Xと直交する断面上で、レンズ230の径方向に隣接して配される。
【0082】
隣接して配された案内軸270の図中側面には、一対の円弧により挟まれた規制部がそれぞれ形成させる。よって、これら規制部に鋼球280を当接させることにより、レンズ保持枠232を案内軸270に対して位置決めすることができる。ただし、案内機構403においてレンズ保持枠232が規制されるのは光軸Xと直交する方向への変位であり、案内軸270に沿って移動する変位は規制されない。
【0083】
このように、一対の丸棒部材272と一対の鋼球280とにより案内機構403を形成できる。案内機構403は、他の案内機構401、402と組み合わせてもよいし、案内機構403を複数組み合わせてレンズ保持枠232を位置決めし且つ移動させることもできる。
【0084】
なお、上記の例では、丸棒と球体とを組み合わせた案内機構401、402、403を示した。しかしながら、1本または一対の丸棒部材272により形成された案内軸270に対して、一対または1本の丸棒部材272により形成された当接部材を当接させて案内機構を形成することもできる。更に、ひとつのレンズユニット200、201において、これらの複数種類の案内機構401、402、403を混在させてもよい。
【0085】
また、上記の例では、直進溝212を有する中間筒218とカム溝292を有するカム環290との組み合わせにより形成された駆動機構を例示した。しかしながら、操作環の回転による駆動機構だけではなく、電動アクチュエータ、超音波アクチュエータ等を駆動力源とする駆動機構を組み合わせてもよい。
【0086】
更に、上記の例では光学機器として一眼レフカメラ100を例にあげた。しかしながら、ミラーレスカメラ、コンパクトカメラ、ビデオカメラ等の撮像装置の他、望遠鏡、顕微鏡、測量器等の他の光学機器においても、上記の案内機構401、402、403で光学部材を支持、案内することができる。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0088】
100 一眼レフカメラ、200、201 レンズユニット、210 固定筒、211 嵌めあい面、212 直進溝、214 前フランジ、216 後フランジ、218 中間筒、220、230、240 レンズ、231、234、235 鋼球保持部、232 レンズ保持枠、233、236、237 抜け止め部、238 カムフォロア、250 鏡筒側制御部、260 鏡筒側マウント部、270 案内軸、272 丸棒部材、280 鋼球、290 カム環、292 カム溝、300 カメラボディ、310 フォーカルプレンシャッタ、320 基板、322 ボディ側制御部、324 画像処理部、330 表示部、340 ファインダ、342 ファインダ光学系、344 ペンタプリズム、346 フォーカシングスクリーン、350 測光センサ、360 ボディ側マウント部、370 撮像素子、372 光学フィルタ、380 ミラーユニット、381 メインミラー保持枠、382 メインミラー、383 メインミラー回動軸、384 位置決めピン、385 サブミラー保持枠、386 サブミラー、387 サブミラー回動軸、388 ストッパ、390 合焦光学系、392 合焦位置センサ、401、402、403 案内機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持するレンズ保持部と、
レンズの光軸方向と平行に延伸し、前記レンズ保持部を案内する案内軸と
を備え、
前記レンズ保持部および前記案内軸のいずれか一方は、光軸方向に垂直な断面が一対の円形状が外接した形状となる規制部を有し、前記レンズ保持部および前記案内軸の他方は、前記規制部の前記一対の円形状の両方に当接する当接部を有するレンズユニット。
【請求項2】
前記当接部の前記光軸方向に垂直な断面の形状が円形である請求項1に記載のレンズユニット。
【請求項3】
前記案内軸は一対の丸棒が並置されることにより形成され、前記規制部は前記一対の丸棒の外周面により形成される請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項4】
前記当接部は、回転可能な球体により形成される請求項3に記載のレンズユニット。
【請求項5】
前記当接部は、前記案内軸の延伸方向に沿って配された複数の前記球体を含む請求項4に記載のレンズユニット。
【請求項6】
前記レンズ保持部は、前記球体を回転可能かつ着脱可能に受け入れる受け入れ部を有する請求項4または5に記載のレンズユニット。
【請求項7】
前記一対の丸棒の組がレンズの周方向に複数配され、前記組のそれぞれに対応して前記当接部が複数配される請求項3から6のいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項8】
前記一対の丸棒の組は、レンズの周方向に等間隔で複数配される請求項7に記載のレンズユニット。
【請求項9】
前記案内軸の両端をそれぞれ支持する、互いに別個に形成された一対の支持部材をさらに備える請求項1から8のいずれか一項に記載のレンズユニット。
【請求項10】
前記レンズ保持部は光軸方向に直交して配された一対の球体を有し、前記規制部は前記一対の球体の外周面により形成される請求項1または2に記載のレンズユニット。
【請求項11】
前記案内軸は丸棒より形成される請求項10に記載のレンズユニット。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載のレンズユニットと、
前記レンズ保持部を駆動する駆動部と
を備え、
前記駆動部の駆動力により、前記案内軸に案内された前記レンズ保持部が移動する光学機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−54189(P2013−54189A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191882(P2011−191882)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】