説明

レンズ保持機構、及びレンズ枠体

【課題】組付けが容易で、且つ使用時におけるアライメント精度が高いレンズ保持機構を提供する。
【解決手段】レンズ保持機構は、レンズ50,52,90を径方向から保持し、レンズの径方向に弾性を有する環状のレンズ枠体54と、レンズ枠体54の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、レンズが嵌め合わされたレンズ枠体54を収容する鏡筒48,88と、を備える。そして、鏡筒48,88とレンズ枠体54との間には常温において隙間が設けられており、常温よりも低い使用温度まで冷却されたとき、鏡筒48,88とレンズ枠体54とが締まり嵌めされてレンズ50,52,90がアライメントされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ保持機構、及びレンズ枠体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鏡筒内でレンズを保持する機構として、弾性を有するラジアル梁を介してレンズを径方向から保持するレンズ保持機構がある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開昭58−178306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発明者は、極低温下(−170Kレベル)で使用する天体観測用のカメラに搭載するレンズ保持機構を開発している。このようなレンズ保持機構では、使用時において高いアライメント精度が要求される一方、組付け時においては高い作業性が要求される。しかしながら、ラジアル梁を介して単にレンズを保持する従来のレンズ保持機構では、これらの要求を十分に満たすことができない虞があり、これに代わる新たな機構が必要であった。
【0004】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、組付けが容易で、且つ使用時におけるアライメント精度が高いレンズ保持機構、及びこのレンズ保持機構に好適に用いられるレンズ枠体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るレンズ保持機構は、レンズを径方向から保持し、レンズの径方向に弾性を有する環状のレンズ枠体と、レンズ枠体の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、レンズが嵌め合わされたレンズ枠体を収容する鏡筒と、を備える。そして、鏡筒とレンズ枠体との間には常温において隙間が設けられており、常温よりも低い使用温度まで冷却されたとき、鏡筒とレンズ枠体とが締まり嵌めされてレンズがアライメントされる、ことを特徴とする。
【0006】
このレンズ保持機構では、常温において鏡筒とレンズ枠体との間に隙間が設けられているため、組付けが容易となる。また、使用時においては、鏡筒とレンズ枠体の線膨張係数差を利用して、鏡筒とレンズ枠体とが締まり嵌めされてレンズがアライメントされるため、使用時におけるアライメント精度が高い。また、レンズ枠体はレンズの径方向に弾性を有するため、レンズの径方向に働く力を吸収して、使用時における径方向の力によるレンズの歪を緩和することができる。
【0007】
ここで、レンズの線膨張係数は、レンズ枠体の線膨張係数以下である、ことを特徴としてもよい。このようにすれば、レンズとレンズ枠体とが締まり嵌めされてレンズがアライメントされるため、使用時におけるアライメント精度が高い。
【0008】
レンズはSiO又はZnSから形成されており、レンズ枠体はTi合金又はCu合金から形成されており、鏡筒はAl合金から形成されている、ことを特徴としてもよい。
【0009】
レンズ保持機構は、レンズを光軸方向に押えて位置決めし、光軸方向に弾性を有する押え環を備える、ことを特徴としてもよい。このようにすれば、押え環によりレンズの光軸方向の位置決めが可能となり、振動環境下においても破損なくレンズを保持することができる。また、押え環はレンズの光軸方向に弾性を有するため、レンズの光軸方向に働く力を吸収して、使用時における光軸方向の力によるレンズの歪を緩和することができる。
【0010】
本発明にかかるレンズ枠体は、レンズを径方向から保持する環状のレンズ枠体である。このレンズ枠体は、レンズに当接する内周面と、内周面を取り囲む外周面と、内周面と外周面との間に設けられた肉部と、レンズ枠体の周方向に複数設けられており、肉部の一側面と他側面とを繋ぐ貫通孔と、を備えることを特徴とする。
【0011】
このレンズ枠体によれば、周方向に複数設けられた貫通孔により、径方向への弾性を奏し得る。
【0012】
ここで、上記したレンズ保持機構と、レンズ保持機構により保持されるレンズと、レンズを通して入射した光を検出する検出器と、検出器及びレンズ保持機構を冷却する冷却機と、を備えることで、カメラを構成することができる。このカメラによれば、冷却機の冷却作用を利用して、検出器の性能を発揮させると共に、レンズ保持機構によるレンズのアライメントが可能になる。
【発明の効果】
【0013】

本発明によれば、組付けが容易で、且つ使用時におけるアライメント精度が高いレンズ保持機構、及びこのレンズ保持機構に好適に用いられるレンズ枠体を提供することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係るレンズ保持機構を備えたカメラの構成を示す断面図である。このカメラ1は、極低温下(−170Kレベル)で使用する天体観測用のカメラである。図1に示すように、カメラ1は検出器10を備えている。この検出器10は、2μm帯の赤外線を検出するCCD(Charge Coupled Device)等の検出器である。この検出器10は、プリント基板12に固定されている。この検出器10が固定されたプリント基板12は、リアケーシング14に収容されている。
【0016】
検出器10は、熱パス16を通して冷却機18のコールドチップ20に熱的に接続されている。このコールドチップ20は、シリンダ22を介してカメラ本体の外部に設けられた冷却機18に接続されている。冷却機18は、検出器10を65K(ケルビン)程度の温度まで冷却して、検出器10の性能を発揮させる。また、冷却機18は、後述するレンズ部42を170K程度の温度まで冷却して、レンズのアライメントを可能にする。
【0017】
この検出器10の前段には、冷フィルタ24が設けられている。冷フィルタ24は、120K程度の温度まで冷却され、1.6μm〜2.3μm波長帯のワイドバンドの波長選択を行う。この冷フィルタ24は、フィルタ筒26により保持されている。
【0018】
断熱筒28は、フィルタ筒26を囲むように同軸的に設けられている。この断熱筒28は、フィルタ筒26の基端部に設けられた外向きフランジ26aを介して、フィルタ筒26を保持する。そして、このようにフィルタ筒26を保持した断熱筒28が、リアハウジング14に固定されている。断熱筒28は、例えばチタン等の熱伝導性の低い材料から形成されており、カメラ1の後段部から前段部への熱の伝達を抑制する。
【0019】
冷フィルタ24の前段には、フィルタ切替装置30が設けられている。フィルタ切替装置30は、異なる波長選択性を有する複数のフィルタ32を保持したフィルタホイール34と、フィルタホイール34を収容するフィルタホイールハウジング36とを有する。各フィルタ32は、1.6μm〜2.3μm波長帯内に含まれるナロウバンドの波長選択性を有する。フィルタホイール34は、ベアリング38に保持された取付軸40を回転させることで、所望のフィルタ32を光軸X上に切替配置可能になっている。
【0020】
このフィルタ切替装置30の前段に、レンズ部42が設けられている。レンズ部42は、第1レンズ部44と第2レンズ部46とを有している。第1レンズ部44は、カメラ構体(鏡筒)48と、このカメラ構体48内に収容される第1及び第2レンズ50,52と、これらレンズ50,52を保持するレンズ枠体54と、を含んでいる。
【0021】
第1レンズ50は、2つの凸面を有するレンズである。第2レンズ52は、2つの凹面を有するレンズである。これら第1及び第2レンズ50,52は、入射する光に対し光学的に作用して、検出器10に向けて光を案内する。第1及び第2レンズ50,52の各々は、円環状のレンズ枠体54に嵌め合わされ、径方向から保持されている。
【0022】
レンズ枠体54は、図2及び図3に示すように、レンズ50(52)に当接する内周面56と、内周面56を取り囲む外周面58と、内周面56と外周面58との間に設けられた肉部60と、を有する。そして、肉部60には径方向に3段の貫通孔列が設けられている。各貫通孔列は、肉部60の一側面と他側面とを繋ぐ貫通孔62を複数含んでいる。これら貫通孔62は、レンズ枠体54の周方向に所定間隔をおいて規則的に配置されている。なお、外側の貫通孔列と内側の貫通孔列とは、貫通孔62を配置する位相が一致しており、中央の貫通孔列は貫通孔62を配置する位相がこれらとズレている。これにより、レンズ枠体54はレンズの径方向に弾性を有している。
【0023】
カメラ構体48は、前端及び後端のそれぞれに外向きフランジ64,66を有している。後端の外向きフランジ64は、フィルタホイールハウジング36の一部を構成している。カメラ構体48の後端における内周面上には、周方向に設けられた突条68が設けられている。カメラ構体48の前端における内周面上には、段部70が設けられている。この段部70の内周面上には雌ネジが刻設されており、外周に雄ネジが刻設された環状のネジ押え72が噛合されるようになっている。
【0024】
レンズ枠体54に保持された第1レンズ50は、検出器10側の一側がカメラ構体48の突条68に押し当てられ、光軸X方向に位置決めされる。レンズ枠体54に保持された第2レンズ52は、レンズ枠体54に保持された第1レンズ50の前段に配置される。そして、第1レンズ50と第2レンズ52との間に、断面略コ字形の環状スペーサ74が配置されている。これにより、第1レンズ50と第2レンズ52とが光軸X方向に所定間隙を開けて配置される。
【0025】
レンズ枠体54に保持された第2レンズ52の前段には、断面略L字形の環状スペーサ76が設けられている。そして、環状スペーサ76とネジ押え72との間には、第1及び第2レンズ50,52を光軸X方向に押えて位置決めする押え環78が設けられている。
【0026】
押え環78は、図4及び図5に示すように、カメラ構体48の内周面に当接する外周面80と、外周面80に取り囲まれる内周面82と、内周面82と外周面80との間に設けられた肉部84と、を有する。そして、肉部84には光軸X方向に4段の貫通孔列が設けられている。各貫通孔列は、外周面80と内周面82とを繋ぐ貫通孔86を複数含んでいる。これら貫通孔86は、押え環78の周方向に所定間隔をおいて規則的に配置されている。なお、1段目と3段目の貫通孔列は、貫通孔86を配置する位相が一致しており、2段目と4段目の貫通孔列は貫通孔86を配置する位相がこれらとズレている。これにより、押え環78はレンズの光軸X方向に弾性を有している。
【0027】
このようにして、カメラ構体48、レンズ枠体54、スペーサ74,76及び押え環78により、第1及び第2レンズ50,52を保持するレンズ保持機構が構成されている。
【0028】
ここで、カメラ構体48の線膨張係数は、レンズ枠体54の線膨張係数よりも大きい。そして、第1及び第2レンズ50,52の線膨張係数は、レンズ枠体54の線膨張係数以下である。これを満たすために、第1及び第2レンズ50,52はSiOから形成されている。例えば、293Kから150Kまで冷却したとき(以下、同様である)のSiOの線膨張係数は、248E−6(E−6は10−6を示す。)である。レンズ枠体54は、Ti合金又はCu合金から形成されている。例えば、Ti−6Al−4Vの線膨張係数は、1190E−6である。カメラ構体48は、Al合金から形成されている。例えば、A6061−T6の線膨張係数は、2908E−6である。
【0029】
なお、第1及び第2レンズ50,52の線膨張係数は、カメラ構体48の線膨張係数よりも大きくても小さくてもよい。レンズ50,52の線膨張係数がカメラ構体48の線膨張係数よりも小さい場合、冷却によってレンズ50,52はカメラ構体48に対して相対的に大きくなるが、その線膨張係数差を吸収するために押え環78が収縮する。一方、レンズ50,52の線膨張係数がカメラ構体48の線膨張係数よりも大きい場合、冷却によってレンズ50,52はカメラ構体48に対して相対的に小さくなるが、その線膨張係数差を吸収するために、常温で押え環78を予め収縮させておき、冷却することにより押え環78の収縮量を減らすことで、レンズ50,52の相対的な収縮分を補う。
【0030】
第2レンズ部46は、カメラ構体(鏡筒)88と、このカメラ構体88内に収容される第3レンズ90と、この第3レンズ90を保持するレンズ枠体54と、を含んでいる。第3レンズ90は、1つの凸面と1つの凹面を有するレンズである。この第3レンズ90は、入射する光に対し光学的に作用して、検出器10に向けて案内する。第3レンズ90は、円環状のレンズ枠体54に嵌め合わされ、径方向から保持されている。レンズ枠体54は、図2及び図3に示されるものと同様である。
【0031】
カメラ構体88は、後端に外向きフランジ92を有している。カメラ構体88は、外向きフランジ92を介して第1レンズ部44のカメラ構体48の外向きフランジ66に接続され、固定されている。カメラ構体88の内周面上には、第1、第2及び第3段部が設けられている。第1、第2及び第3段部の内径は、この順に大きくされている。第2段部の内周面上には雌ネジが刻設されており、外周に雄ネジが刻設された環状のネジ押え94が噛合されるようになっている。
【0032】
レンズ枠体54に保持された第3レンズ90は、第1段部に収容されている。そして、第3レンズ90とネジ押え94との間に、断面略L字形の環状スペーサ96が設けられている。カメラ構体88の内径は、第1レンズ部44のカメラ構体48の内径より大きく、これにより生じる段部に押え環78が配置されている。このようにして、環状スペーサ96と押え環78との間で、第3レンズ90が光軸X方向に位置決めされる。押え環78は、図4及び図5に示されるものと同様である。
【0033】
このようにして、カメラ構体88、レンズ枠体54、環状スペーサ96及び押え環78により、第3レンズ90を保持するレンズ保持機構が構成されている。
【0034】
ここで、カメラ構体88の線膨張係数は、レンズ枠体54の線膨張係数よりも大きい。そして、第3レンズ90の線膨張係数は、レンズ枠体54の線膨張係数以下である。これを満たすために、第3レンズ90はZnSから形成されている。例えば、ZnSの線膨張係数は、871E−6である。レンズ枠体54は、Ti合金又はCu合金から形成されている。例えば、Ti−6Al−4Vの線膨張係数は、1190E−6である。カメラ構体88は、Al合金から形成されている。例えば、A6061−T6の線膨張係数は、2908E−6である。
【0035】
なお、第3レンズ90の線膨張係数は、カメラ構体88の線膨張係数よりも大きくても小さくてもよい。レンズ90の線膨張係数がカメラ構体88の線膨張係数よりも小さい場合、冷却によってレンズ90はカメラ構体88に対して相対的に大きくなるが、その線膨張係数差を吸収するために押え環78が収縮する。一方、レンズ90の線膨張係数がカメラ構体88の線膨張係数よりも大きい場合、冷却によってレンズ90はカメラ構体88に対して相対的に小さくなるが、その線膨張係数差を吸収するために、常温で押え環78を予め収縮させておき、冷却することにより押え環78の収縮量を減らすことで、レンズ90の相対的な収縮分を補う。
【0036】
このようにして、第3レンズ90、第2レンズ52、第1レンズ50、フィルタ32、冷フィルタ24、及び検出器10が、光軸X上にこの順に配置されている。上記した各部材は、外界からの熱を遮断する多層断熱材98内に収容されている。
【0037】
レンズ部42の前段には、開口100が設けられたフード102が設けられている。フード102は、カメラ1を搭載する搭載部104上で位置決めリング106に固定されて位置決めされている。カメラ本体は、断熱ワッシャー108及び断熱サポート110を介して搭載部104上に搭載されている。
【0038】
上記した構成のカメラ1の組付けに関し、常温(285〜300K)時においては、第1レンズ50を保持したレンズ枠体54の外周面58とカメラ構体48の内周面との間に、10〜50μm程度の隙間が設けられている。また第2レンズ52を保持したレンズ枠体54の外周面とカメラ構体48の内周面との間には、10〜50μm程度の隙間が設けられている。更に、第3レンズ90を保持したレンズ枠体54の外周面58とカメラ構体88の内周面との間には、10〜50μm程度の隙間が設けられている。このように隙間が設けられているため、第1から第3レンズ50,52,90の組付けが容易になっている。
【0039】
押え環78は、カメラ1がロケットに搭載されて打ち上げられるときのような振動環境下においても、レンズ50,52,90が破損しないように一定位置に保持する。
【0040】
このカメラ1は、宇宙空間へ打ち上げられたとき、真空下で冷却機18により冷却される。これにより、検出器10が65K程度まで冷却され、性能を発揮する。また、レンズ部42が使用温度(ここでは、150〜190K)まで冷却され、線膨張係数差によりレンズ枠体54とカメラ構体48とが締まり嵌めされると共に、レンズ枠体54とカメラ構体88とが締まり嵌めされる。これにより、第1から第3レンズ50,52,90の径方向のアライメントが高精度になされる。
【0041】
このとき、レンズ枠体54は径方向に弾性を有するため、径方向に働く力を吸収して、使用時における径方向の力によるレンズ50,52,90の歪を緩和することができる。
【0042】
また、第1から第3レンズ50,52,90の光軸X方向のアライメントは、押え環78を介してなされる。このとき、押え環78は光軸X方向に弾性を有するため、光軸X方向に働く力を吸収して、使用時における光軸X方向の力によるレンズ50,52,90の歪を緩和することができる。
【0043】
以上詳述したように、本実施形態によれば、地上における常温でのカメラ1の組付けが容易になり、また宇宙空間において極低温下での使用時におけるレンズ50,52,90のアライメント精度が高くなる。
【0044】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えば、上記した実施形態では、宇宙空間で使用される天体観測用のカメラ1について説明したが、これ以外にも同様に常温より低い使用温度で使用されるカメラであれば、使用場所及び観測対象に限定されることなく本発明は適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】実施形態に係るカメラの構成を示す断面図である。
【図2】レンズ枠体の構成を示す斜視図である。
【図3】図2のIII−III線における断面図である。
【図4】押え環の構成を示す斜視図である。
【図5】図4のVA−VA線及びVB−VB線における断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1…カメラ、10…検出器、18…冷却機、42…レンズ部、44…第1レンズ部、46…第2レンズ部、48,88…カメラ構体、50…第1レンズ、52…第2レンズ、54…レンズ枠体、56…内周面、58…外周面、60…肉部、62,86…貫通孔、78…押え環、90…第3レンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを径方向から保持し、前記レンズの径方向に弾性を有する環状のレンズ枠体と、
前記レンズ枠体の線膨張係数よりも大きい線膨張係数を有し、前記レンズが嵌め合わされた前記レンズ枠体を収容する鏡筒と、を備え、
前記鏡筒と前記レンズ枠体との間には常温において隙間が設けられており、常温よりも低い使用温度まで冷却されたとき、前記鏡筒と前記レンズ枠体とが締まり嵌めされて前記レンズがアライメントされる、ことを特徴とするレンズ保持機構。
【請求項2】
前記レンズの線膨張係数は、前記レンズ枠体の線膨張係数以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のレンズ保持機構。
【請求項3】
前記レンズはSiO又はZnSから形成されており、前記レンズ枠体はTi合金又はCu合金から形成されており、前記鏡筒はAl合金から形成されている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のレンズ保持機構。
【請求項4】
前記レンズを光軸方向に押えて位置決めし、前記光軸方向に弾性を有する押え環を備える、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレンズ保持機構。
【請求項5】
レンズを径方向から保持する環状のレンズ枠体であって、
前記レンズに当接する内周面と、
前記内周面を取り囲む外周面と、
前記内周面と前記外周面との間に設けられた肉部と、
当該レンズ枠体の周方向に複数設けられており、前記肉部の一側面と他側面とを繋ぐ貫通孔と、
を備えることを特徴とするレンズ枠体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate