説明

レンズ置台

【課題】レンズ置台からレンズ鏡筒を外すことなく、ユーザがレンズ鏡筒内のレンズの状態や実際の使用状態を速やかに確認することができるレンズ置台を提供する。
【解決手段】レンズ置台100は、レンズ鏡筒10を設置するのに用いられ、底部13に立設すると共に、その幅方向に対して中央に円形の孔11aを有する後面板部11と、底部13に立設すると共に、その幅方向に対して中央に円弧型の切欠き部12aをその上部に有する前面板部12とを備える。切欠き部12aを形成する円弧の中心12cは孔11aの中心11cより高い位置にある。前面板部12は、鉛直方向に対して後面板部11側に傾斜しており、且つ後面板部11との間隔がレンズ鏡筒10の全長より短い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ置台に関し、特に焦点距離20〜100mm程度の標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒を設置するレンズ置台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図3に示すように、焦点距離20〜100mm程度の標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒10’をレンズ置台100’に設置して小売店等で展示されている。通常、レンズ鏡筒10’には、レンズフロントキャップ、レンズリアキャップが装着された状態で展示されることから、このレンズ置台100’には、レンズ鏡筒10’の外周の最大半径より小さく、レンズリアキャップの外周の最小半径より大きい半径を有する円形の孔11a’が上部に設けられている。
【0003】
具体的には、上記孔11a’にそのマウント部が底部となるようにしてレンズ鏡筒10’を差し込む。このように、標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒10については、縦置きすることによりその内部のレンズが展示中に傷つくのを防止する。
【0004】
また、焦点距離が400〜600mmもある超望遠レンズ等を内部に備える大型のレンズ鏡筒の場合は、その全長が500mm近くにもなることがあり、上述のような縦置きは不安定となるので好ましくない。一方、このような大型のレンズ鏡筒には、通常そのアクセサリとしてマウント部近傍の外周に取り付け可能な三脚が設けられている。
【0005】
このため、大型のレンズ鏡筒を展示する際には、そのマウント部近傍の外周に上記三脚を取り付け、それと当時にその受光部の下に台を載置する。このように、大型のレンズ鏡筒については、横置きにすることによりその内部のレンズが展示中に傷つくのを防止する。
【0006】
一方、上記標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒の全長は通常60mm未満であるので、縦置きでも設置時に不安定となることはない。また、質量が5000g前後にもなる大型のレンズ鏡筒と違い、標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒の質量は500g程度と軽量であり、ユーザはレンズ鏡筒を撮影時に手で支えることができる。従って、標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒には、そのマウント部近傍の外周に取り付けられる三脚がアクセサリとして設けられることはない。このような事情により、標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒は通常、横置きで展示されることはなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、実際にカメラ本体に装着されたときにはレンズ鏡筒は横置きで使用される。このため、上述のように縦置き状態で展示されると、実際の使用状態を感覚的につかむことが困難である。また、上記展示された状態では、ユーザはレンズ鏡筒内にあるレンズの状態を確認することができない。
【0008】
従って、ユーザは、展示中のレンズ鏡筒をレンズ置台から外し、横置きにして実際の使用状態を確認したり、その受光部を自分側に向けて内部のレンズの状態を確認したりする必要があり、不便であった。
【0009】
本発明の目的は、レンズ置台からレンズ鏡筒を外すことなく、ユーザがレンズ鏡筒内のレンズの状態や実際の使用状態を速やかに確認することができるレンズ置台を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載のレンズ置台は、カメラ本体に着脱可能なレンズ鏡筒を設置するレンズ置台において、前記レンズ置台は、底部と、前記底部に立設すると共に、その幅方向に対して中央に円形の孔を有する第1の板部と、前記底部に立設すると共に、その幅方向に対して中央に円弧型の切欠き部をその上部に有する第2の板部とを備え、前記切欠き部を形成する円弧の中心は前記孔の中心より高い位置にあり、前記第2の板部は、鉛直方向に対して前記第1の板部側に傾斜しており、且つ前記第1の板部との間隔が前記レンズ鏡筒の全長より短いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、レンズ置台からレンズ鏡筒を外すことなく、ユーザがレンズ鏡筒内のレンズの状態や実際の使用状態を速やかに確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係るレンズ置台を概略的に示す図であり、(a)は背面図、(b)は斜視図、(c)は(a)の線c−cに沿う断面図である。
【0014】
図1において、レンズ置台100は、焦点距離85mmのズームレンズを有する後述する図2のレンズ鏡筒10(不図示)を設置するのに用いられ、無色透明なアクリルから成る。具体的には、レンズ置台100は、図1(b)に示すように、底部13に立設すると共に、幅方向に対して中央に円形の孔11aを有する後面板部11を備える。また、レンズ置台100は、底部13に後面板部11と平行に立設すると共に、幅方向に対して中央に円弧型の切欠き部12aをその上部に有する前面板部12とを備える。さらに、レンズ置台100は、図1(b)に示すように、前面板部12を手前にしたときのその左側面に後面板部11、前面板部12及び底部13と辺で接する側面板部14を有する。
【0015】
切欠き部12aを形成する円弧の中心12cは、図1(a)に示すように、孔11aの中心11cより高い位置にある。また、前面板部12は、鉛直方向に対して後面板部11側に斜め16.2度(θ1)だけ傾斜している。これにより、後述する図2に示すようにレンズ鏡筒10を確実に斜め置きすることができる。
【0016】
また、前面板部12は、後面板部11との間隔(54mm)がレンズ鏡筒10の全長(66mm)より短くその半分(33mm)の長さより長い。これにより、孔11aと切欠き部12aとでレンズ鏡筒10を確実に保持することができる。
【0017】
孔11aは、レンズ鏡筒10に装着するレンズリアキャップの外周の最小半径(28mm)より大きく、レンズ鏡筒10の外周の最大半径(35.5mm)より小さい半径(30mm)を有する。レンズ鏡筒10は、一般的にマウント部近辺より受光部近辺の方が外周の半径が大きくなるので、上記構成とすることにより、レンズ鏡筒10をマウント部側から通すと、レンズ鏡筒10が孔11aから外れることなく確実に保持することができる。
【0018】
切欠き部12aを構成する円弧は、レンズ鏡筒10の外周の最大半径(35.5mm)と等しい。レンズ鏡筒10は、受光部近辺の外周の半径が最大半径となるので、上記構成とすることにより、レンズ鏡筒10のを受光部近辺の外周を切欠き部12aで確実に保持することができる。
【0019】
さらには、レンズ鏡筒10がレンズ置台100に設置されたときに、その受光部近辺の外周に切欠き部11aが接するように前面板部12と後面板部11の間隔を設定するのが好ましい。これにより、切欠き部11aを構成する円弧の半径と、上記接する部分の外周の半径が一致し、より確実にレンズ鏡筒10を保持することができる。
【0020】
尚、レンズ鏡筒10を切欠き部12aで保持できれば本実施の形態に限定されることはない。具体的には、孔11aの半径以上、レンズ鏡筒10の最大半径以下で、切欠き部11aを構成する円弧がこれに接するレンズ鏡筒10の外周の半径とほぼ一致するように前面板部12と後面板部11の間隔が設定されていればよい。
【0021】
上記構成を有するレンズ置台100に対して、レンズ鏡筒10は以下の方法により、図2のように設置される。
【0022】
まず、ユーザは、前面板部12側を手前にしてレンズ置台100を置き、レンズ鏡筒10のマウント部10aを、奥側にある後面板部11の円形の孔11aの中に差し込む。
【0023】
その後、ユーザは、レンズ鏡筒10の受光部10b近辺の外周を支持しながら、孔11aにマウント部10aを差し込んだまま、レンズ鏡筒10の受光部10bを下に移動させ、その外周が切欠き部12aに接した時点で設置が終了する。
【0024】
このとき、レンズ鏡筒10は、孔11aの上部でマウント部10a近辺の外周(若しくはレンズリアキャップの外周)が、切欠き部12a全体で受光部10b近辺の外周が支持される。このため、レンズ鏡筒10は、図2に示すように受光部10bが上、マウント部10aが下となるように水平方向に対して14度の角度(θ2)をつけてレンズ置台100に設置される。
【0025】
このように、レンズ鏡筒10は横置きに近い状態でレンズ置台100に設置されるので、ユーザはレンズ置台100からレンズ鏡筒10を外すことなく、レンズ鏡筒10が実際にカメラ本体に装着された場合の使用状態を速やかに確認することができる。
【0026】
また、レンズ鏡筒10はレンズ置台100に受光部10b側が少し上向きとなるように設置されるので、ユーザはレンズ置台100からレンズ鏡筒10を外すことなく、レンズ鏡筒10内のレンズの状態を確認することができる。
【0027】
後面板部11は、上述のように前面板部12と平行な部分をその上部に有するが、底部13と接する下部は上部と逆の方向に鉛直方向に対して斜め13度の角度で折れ曲がっており、凹部を形成する。これにより、ユーザはその凹部に手を添えることにより、レンズ置台100を容易に持ち運ぶことができる。
【0028】
また、不図示のゴムを切欠き部12aの表面に装着するようにしてもよい。これにより、レンズ鏡筒10の受光部10b側の外周が切欠き部12aで保持されることにより傷つくのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係るレンズ置台を概略的に示す図であり、(a)は背面図、(b)は斜視図、(c)は(a)の線c−cに沿う断面図である。
【図2】図1のレンズ置台にレンズ鏡筒を設置した状態を示す図である。
【図3】従来の標準的なズームレンズを有するレンズ鏡筒が設置されるレンズ置台を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
100 レンズ置台
10 レンズ鏡筒
11a 孔
11 後面板部
12a 切欠き部
12 前面板部
13 底部
14 側面板部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ本体に着脱可能なレンズ鏡筒を設置するレンズ置台において、
前記レンズ置台は、底部と、前記底部に立設すると共に、その幅方向に対して中央に円形の孔を有する第1の板部と、前記底部に立設すると共に、その幅方向に対して中央に円弧型の切欠き部をその上部に有する第2の板部とを備え、
前記切欠き部を形成する円弧の中心は前記孔の中心より高い位置にあり、
前記第2の板部は、鉛直方向に対して前記第1の板部側に傾斜しており、且つ前記第1の板部との間隔が前記レンズ鏡筒の全長より短いことを特徴とするレンズ置台。
【請求項2】
前記第2の板部の一部又は全部が、前記第1の板部と略平行に立設することを特徴とする請求項1記載のレンズ置台。
【請求項3】
前記孔は、前記レンズ鏡筒の外周の最大半径より小さく、前記レンズ鏡筒に装着するレンズリアキャップの外周の最小半径より大きい半径を有することを特徴とする請求項1又は2記載のレンズ置台。
【請求項4】
前記切欠き部を構成する円弧は、前記孔の半径以上、前記レンズ鏡筒の最大半径以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のレンズ置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−240886(P2007−240886A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−63299(P2006−63299)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【Fターム(参考)】