説明

レンズ鏡筒

【課題】レンズ鏡筒への外径の異なる複数のレンズの組み付けを精度良く容易に行えるようにする。
【解決手段】鏡筒本体11に隙間なく挿入することのできない鏡筒本体11の内径より小さい直径を有するレンズ15は、一つのカラー17または入れ子状に配置した複数のカラー17に挿入することにより、当該レンズ15とカラー17との全体で、鏡筒本体11に隙間なく挿入できる直径となるようにして、鏡筒本体11内部に配置する。また、鏡筒本体11の内部における各レンズ15や各カラー17や絞18は、これらの間に配置したスペーサ環16の厚みや形状によって位置決めする。そして、各レンズ15や各カラー17や各スペーサ環16や絞18の鏡筒本体11の内部における固定は、これら各レンズ15や各カラー17や各スペーサ環16や絞18の全体を、底蓋12と投射側蓋13によって挟持することによって行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、径の異なる複数のレンズを収容するレンズ鏡筒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レンズ鏡筒の製造に関する技術としては、図3aにレンズ鏡筒の断面を模式的に示すように、鏡筒100の内側面を径方向の段101が生じるように形成し、当該段101による段差と、鏡筒100内に配置した抑え環110とで、レンズ120の外周部分を両側から挟みこんで、当該鏡筒のレンズを組み付ける技術が知られている(たとえば特許文献1)。なお、抑え環110の外側側面には、鏡筒の内側面に設けた雌ネジと螺合する雄ネジが設けられており、当該雄ネジを用いて、抑え環110は鏡筒100内に固定される。
【特許文献1】特開平6-18797号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
図3aに示した鏡筒のレンズを組み付ける構造によれば、鏡筒に複数の直径の異なるレンズを組み付ける場合には、図3bに示すように、レンズ120の組み付け位置毎に鏡筒100の内径と段101の径を異ならせる必要があるために、鏡筒100の内側面の形状が複雑となる。
【0004】
そして、このために、精度良く鏡筒を製作することが困難となり、また、レンズの鏡筒への組み付け作業も困難となる。
そこで、本発明は、レンズ鏡筒への外径の異なる複数のレンズの組み付けを、精度良く容易に行えるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題達成のために、本発明は、複数のレンズを収容したレンズ鏡筒を、中空円筒形状の鏡筒本体と、前記鏡筒本体の中空部分に挿嵌された中空円筒形状のカラーと、前記カラーの中空部分に挿嵌された少なくとも一つのレンズと、前記鏡筒本体または前記カラーに挿嵌された、前記レンズ及び前記カラーと、当該レンズ鏡筒の光軸方向について当接し、前記レンズ及び前記カラーの前記光軸方向の位置を位置決める、環状のスペーサ環とを含めて構成したものである。
【0006】
ここで、このようなレンズ鏡筒は、中空部分の径が異なる複数の前記カラーを設け、前記複数のカラーに、各々径の異なるレンズを挿嵌するように構成してもよい。また、前記鏡筒本体の中空部分に前記カラーを介在せずに挿嵌した前記レンズを設けるようにしてもよい。
【0007】
以上のようなレンズ鏡筒によれば、レンズをカラーに挿嵌することによりレンズの直径の違いを吸収できるので、内周の径が一様な中空円筒形状の鏡筒本体を用いて、異なる直径のレンズを収容したレンズ鏡筒を作成することができるようになる。また、カラーやレンズの位置決め用のスペーサ環や、カラーも、ほぼ環状もしくは中空円筒形状といった、単純な形状を有する部材とすることができるので、これら鏡筒本体やスペーサ環やカラーを精度良く製作することができ、これにより、レンズを精度よく鏡筒本体に組み付けることができるようになる。
【0008】
また、レンズ鏡筒へのレンズの組み付けを、鏡筒本体に、スペーサ環やカラーやレンズを所定の順番で挿入するだけの簡単な作業で行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、レンズ鏡筒への外径の異なる複数のレンズの組み付けを、精度良く容易に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を説明する。
本実施形態に係るレンズ鏡筒は、複数のレンズよりなるレンズ群と発光ダイオードとを内蔵し、発光ダイオードで生成された光を、レンズ群で集光し、レンズ鏡筒の一端に設けた開口より射出するものである。
ここで、図1aに本実施形態に係るレンズ鏡筒1の光射出用開口2を下とした外観を、図1bに本実施形態に係るレンズ鏡筒1の光射出用開口2を上とした外観を示す。また、図1cにレンズ鏡筒1の断面を模式的に表す。
図示するようにレンズ鏡筒1は、中空円筒形状の鏡筒本体11、環状の底蓋12、上述した光射出用開口2が設けられた投射側蓋13、ダイオード基盤14、複数のレンズ15、環状形状を有する複数のスペーサ環16、中空円筒形状を有する複数のカラー17、絞18とを有している。
【0011】
そして、底蓋12は、底蓋12の周面に設けられた雄ネジを、鏡筒本体11の一端の内周面に設けられた雌ネジと螺合させることにより鏡筒本体11に固定されている。また、鏡筒本体11の他端側には、投射側蓋13が、ネジ31によって固定されている。
次に、ダイオード基盤14には、発光ダイオード42が搭載されると共に、発光ダイオード用の給電線43が接続されている。また、最も底蓋12側のスペーサ環16の底蓋12側には、当該スペーサ環16の中央孔を塞ぐように、ダイオード基盤14がネジ41よって固定されている。また、この最も底蓋12側のスペーサ環16が、当該スペーサ環16とダイオード基盤14で、底蓋12の中央孔を、鏡筒内部側から塞ぐように鏡筒本体11の内部に固定されている。そして、この状態において、ダイオード基盤14の一部が底蓋12の中央孔内に位置し、ダイオード基盤14に搭載された発光ダイオード42が鏡筒本体11の内部に配置され、給電線43がレンズ鏡筒1の外部に露出するようになっている。
【0012】
次に、複数のカラー17のうちの一部のカラー17は、当該カラー17を鏡筒本体11の中空部分に隙間、がたつき等なく挿入できるように、鏡筒本体11の中空部分の内径より僅かに小さい外径を有し、鏡筒本体11の中空部分に挿嵌された形態で固定されている。また、複数のカラー17のうちの残りのカラー17は、他のカラー17の中空部分に挿嵌された形態で固定されており、当該他のカラー17の中空部分に隙間、がたつき等なく挿入できるように、当該他のカラー17の中空部分内径より僅かに小さい外径を有する。
また、他のカラー17が中空部分に挿嵌されていない各カラー17の中空部分には、レンズ15が挿嵌されており、当該レンズ15が挿嵌される各カラー17の中空部分の内径は、当該レンズ15の外径より僅かに大きく、当該レンズ15を当該カラー17の中空部分に、隙間、がたつき等なく挿入できるように形成されている。そして、鏡筒本体11に隙間なく挿入することのできない鏡筒本体11の内径より小さい直径を有するレンズ15は、一つのカラー17または入れ子状に配置した複数のカラー17に挿入することにより、当該レンズ15と当該レンズ15を挿入したカラー17との全体で、鏡筒本体11に隙間なく挿嵌できる直径となるように構成されている。
【0013】
次に、鏡筒本体11の内部における各レンズ15や各カラー17や絞18は、これらの間に配置したスペーサ環16の厚みや形状によって位置決めされている。
そして、各レンズ15や各カラー17や各スペーサ環16や絞18の鏡筒本体11の内部における固定は、これら各レンズ15や各カラー17や各スペーサ環16や絞18の全体を、底蓋12と投射側蓋13によって挟持することによって行われている。
このように、本実施形態に係るレンズ鏡筒1によれば、鏡筒本体11を、内周の径が一様な中空円筒形状としつつ、異なる直径のレンズ15を所望の位置に固定することができる。また、スペーサ環16やカラー17も、ほぼ環状もしは中空円筒形状といった、単純な形状を有する部材とすることができるので、鏡筒本体11やスペーサ環16やカラー17を精度良く製作することができ、これにより、レンズ15を精度よく鏡筒本体11に組み付けることができるようになる。
【0014】
また、本実施形態に係るレンズ鏡筒1によれば、レンズ鏡筒1へのレンズ15の組み付けは、図1dに示すように、鏡筒本体11に、スペーサ環16やカラー17やレンズ15や絞18を所定の順番で挿入し、底蓋12や投射側蓋13を鏡筒本体11に固定するだけの簡単な作業で行うことができるようになる。
【0015】
ここで、図2に、このようなレンズ鏡筒1の使用例を示す。なお、図2は、レンズ鏡筒1に収容した発光ダイオード42の検査を検査装置に適用する場合のレンズ鏡筒1の使用例を示すものである。
さて、図示した例では、レンズ鏡筒1は、中空円筒形状のホルダ21に連結固定される。そして、この状態で、レンズ鏡筒1の内部の発光ダイオード42に給電線43より給電して、レンズ鏡筒1の内部の発光ダイオード42を発光させると、発光ダイオード42で生成された光は、レンズ鏡筒1内部の各レンズ15や絞18を通過しながら集光されてレンズ鏡筒1の投射側蓋13の光射出用開口2よりホルダ21の内部に出射される。
【0016】
そして、ホルダ21内部に出射された光は、ホルダ21の他端に連結された測定装置の受光系22に入射し、投影レンズ221、光学フィルタ222を通過して、CCDなどの二次元撮像素子223上に、発光ダイオード42の発光面の光分布を表す像を結像する。そして、測定装置は、この像を二次元撮像素子223で撮像した画像より、発光ダイオード42の発光面の光分布を検知し、所定の解析などを施す。
【0017】
以上、本発明の実施形態について説明した。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るレンズ鏡筒の使用態様を示す図である。
【図3】従来のレンズ鏡筒の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1…レンズ鏡筒、2…光射出用開口、11…鏡筒本体、12…底蓋、13…投射側蓋、14…ダイオード基盤、15…レンズ、16…スペーサ環、17…カラー、18…絞、21…ホルダ、22…受光系、42…発光ダイオード、43…給電線、221…投影レンズ、222…光学フィルタ、223…二次元撮像素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のレンズを収容したレンズ鏡筒であって、
中空円筒形状の鏡筒本体と、
前記鏡筒本体の中空部分に挿嵌された中空円筒形状のカラーと、
前記カラーの中空部分に挿嵌された少なくとも一つのレンズと、
前記鏡筒本体または前記カラーに挿嵌された、前記レンズ及び前記カラーと、当該レンズ鏡筒の光軸方向について当接し、前記レンズ及び前記カラーの前記光軸方向の位置を位置決める、環状のスペーサ環とを有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
請求項1記載のレンズ鏡筒であって、
中空部分の径が異なる複数の前記カラーを有し、
前記複数のカラーには、各々径の異なるレンズが挿嵌されていることを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項3】
請求項1または2記載のレンズ鏡筒であって、
前記鏡筒本体の中空部分に前記カラーを介在せずに挿嵌された前記レンズを有することを特徴とするレンズ鏡筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−103950(P2009−103950A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276024(P2007−276024)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000145806)株式会社小野測器 (230)
【Fターム(参考)】