説明

レンズ鏡筒

【課題】太陽光の集光による影響を抑制できる、部品点数が少なく、構造が簡素で組立性が良好でありかつ廉価なレンズ鏡筒を提供する。
【解決手段】集光部カバー部材4は、1群レンズで太陽光が集光され得る2群鏡筒2の部分をカバーするように形成され、さらに、集光部カバー用板部4aから一体的に突設されたバネ部4bと、集光部カバー部材4の本体を、2群鏡筒2に係合して保持するための取り付け足部とを備える。2群鏡筒2は、バネ部4bを、2群鏡筒2に設けた可動ピン3をカム溝内に挿入する方向へ付勢する状態にセットする挿入部と、取り付け足部14が挿入されたときに係合して保持する嵌め部13とを備える。レンズ鏡筒では、集光部カバー部材4のバネ部4bを、2群鏡筒2の挿入部に挿入し、取り付け足部14を、嵌め部13に挿入して、集光部カバー部材4を2群鏡筒2に取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラやビデオカメラ等の撮像装置に装着して使用するのに好適なレンズ鏡筒に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等では、高倍率ズームレンズで小型化されたものを用いる傾向にある。そのため、各レンズ又はレンズ群のパワーが増加して、レンズ前面より強い光線、特に太陽光が入射してくる際には、このレンズ鏡筒内部の部材表面に集光する場合がある。
【0003】
このようにレンズ前面より太陽光が入射してくる場合には、レンズ鏡筒内部で太陽光が集光した部材の温度が上昇して熱膨張する。すると、熱膨張した部材は、これと嵌合する他の部材と間の遊びが無くなったり、またはいわゆるガタを生じたりして、レンズが傾いたり偏心する等して、光学性能に影響を及ぼす虞がある。
【0004】
そこで、従来のレンズ鏡筒では、太陽光線が集光する部位に、耐熱性が高くかつ熱膨張率の低い部材を配置し、その発熱による影響を無くすようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、高倍率ズームレンズでは、望遠での像揺れ敏感度が高いので、レンズ群間の偏芯による影響を少なくする必要がある。
【0006】
そこで、従来の高倍率ズームレンズでは、レンズ保持体にカム溝に係合する可動カムフォロワを設け、可動カムフォロワを板バネによりカム溝に向けて付勢するよう構成した高倍率ズームレンズ鏡筒が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−94959号公報
【特許文献2】特開2010−32975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のような従来のレンズ鏡筒では、高耐熱性で低熱膨張率の新たな部材を配置し又はレンズ群間の偏芯による影響を少なくする構成を追加するため、部品点数が増加し、構造が複雑化し、組み立て製造が困難となり、コストアップする。
【0009】
本発明の目的は、太陽光の集光による発熱の影響を抑制し、レンズ群間の偏芯による影響を抑制可能に構成した、部品点数が少なく、構造が簡素で組立性が良好でありかつ廉価なレンズ鏡筒を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のレンズ鏡筒は、被写体側にある1群鏡筒の1群レンズの後方に2群鏡筒を装着し、前記1群レンズに入射した太陽光が前記2群鏡筒に集光される部分に集光部カバー部材を取り付けたレンズ鏡筒において、前記集光部カバー部材は、前記1群レンズで太陽光が集光され得る2群鏡筒の部分をカバーするように形成された集光部カバー用板部と、当該集光部カバー用板部から一体的に突設されたバネ部と、前記集光部カバー部材の本体を、前記2群鏡筒に係合して保持するための取り付け足部と、を備え、前記2群鏡筒は、前記集光部カバー部材の前記バネ部が挿入されたときに、前記バネ部を、2群鏡筒に設けた可動ピンをカム溝内に挿入する方向へ付勢する状態にセットするよう構成された挿入部と、前記集光部カバー部材の前記取り付け足部が挿入された状態で係合して保持する嵌め部と、を備え、前記集光部カバー部材の前記バネ部を、前記2群鏡筒の前記挿入部に挿入すると共に、前記取り付け足部を、前記嵌め部に挿入して、前記集光部カバー部材を前記2群鏡筒に取り付けるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、太陽光の集光による発熱の影響を抑制し、レンズ群間の偏芯による影響を抑制可能に構成した、部品点数が少なく、構造が簡素で組立性が良好でありかつ廉価なレンズ鏡筒を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態に係わるレンズ鏡筒の撮影状態での縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わるレンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係わる2群光学系の拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる2群鏡筒の部分を取り出して示す分解斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係わる2群鏡筒の正面図である。
【図6A】従来のレンズ保持体に設けられる可動カムフォロワの付勢の構成を説明するための組立斜視図である。
【図6B】従来のレンズ保持体に設けられる可動カムフォロワの付勢の構成を説明するための分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係わるレンズ鏡筒の要部について、図1及び図2を参照しながら説明する。なお、本発明の要部以外で、公知のレンズ鏡筒で通常用いられている構成については、その説明を省略する。
【0014】
レンズ鏡筒の撮影状態での断面を示す図1及びレンズ鏡筒の分解斜視図である図2で、1は、1群レンズL1を保持する1群鏡筒である。
【0015】
この1群鏡筒1の内周面下方には、6個のカムピン1aが配置されている。この6個のカムピン1aは、それぞれカム筒5の外周面に形成されたカム溝5aに係合される。
【0016】
また、1群鏡筒1には、内周面3箇所に直進溝(不図示)が形成されている。これら直進溝には、それぞれ直進筒6の外周面上端に形成された直進キー6aが係合される。
【0017】
これら図1及び図2で、2は、2群レンズL2を保持する2群鏡筒である。この2群鏡筒2は、1群鏡筒1の1群レンズL1の後方に装着される。この2群鏡筒2の外周面下方には、カムピン2a、2b(図5に図示)及び可動ピン3が配設されている。
【0018】
この可動ピン3は、カム筒5の内周面に形成されたカム溝5bに係合される。また、2群鏡筒2には、カムピン2a、2b及び可動ピン3と同じ箇所に直進キー2cが形成されている。この直進キー2cは、直進筒6に形成された直進溝6bに係合される。この可動ピン3は、1群レンズL1との偏芯を少なくするために、後述するバネによりカム筒5のカム溝5bに対し、カム溝内に挿入する方向に向けて付勢されている。
【0019】
カム筒5の内周面上方には、溝部5cが形成されている。この溝部5cには、直進筒6の外周面上方に形成された3個の突部6cが係合される。このようにして組み付けられたカム筒5は、直進筒6に回転可能に支持され、直進筒6と一体となって移動する。
【0020】
このレンズ鏡筒では、1群鏡筒1と2群鏡筒2とが、それぞれ直進筒6に対して、直進して進退可能及び回転不能に装着される。また、直進筒6は、図示しない固定筒に対して回転不能な状態に支持される。さらに、カム筒5は、図示しない固定筒に回転可能に支持される。
【0021】
このレンズ鏡筒では、図示しない駆動装置によりカム筒5が回転駆動されると、1群鏡筒1が、回転することなく光軸方向に直進して進退動作する。
【0022】
このとき、1群鏡筒1に突設されたカムピン1aは、カム筒5のカム溝5aに沿って移動され、かつ1群鏡筒1の直進溝1bに係合する直進筒6の直進キー6aにより回転が静止されるので、光軸方向に移動する。
【0023】
また、これに伴って2群鏡筒2は、回転することなく光軸方向に直進して進退動作する。このとき、2群鏡筒2のカムピン2a、2b、可動ピン3は、カム筒5のカム溝5b等に沿って移動する。これと共に、2群鏡筒2の直進キー2cは直進筒6の直進溝6bに係合して回転を静止する。よって、これらの作用が相俟って、2群鏡筒2は、回転することなく光軸方向に移動する。
【0024】
次に、図1、図3乃至図5を参照して、上述のように構成された本実施の形態に係わるレンズ鏡筒の2群光学系について説明する。
【0025】
このレンズ鏡筒では、例えば、図1の左下方向より太陽光S1が1群レンズL1に入射してきた場合に、太陽光S1が1群レンズL1により屈曲され、光線S2となり、2群鏡筒の集光位置2d付近に集光して、高温を発する。
【0026】
ここで、集光位置2d付近には、太陽光S2の集光に耐える融点をもつ集光部カバー部材4の本体が固定されている。この集光部カバー部材4の本体は、太陽光S2が集光部カバー部材4の集光部カバー用板部4aに集光しても集光部カバー部材4が変形することがないように構成されている。さらに、集光部カバー部材4は、熱伝達の小さなステンレス材を用いることにより、集光部カバー部材4の固定部周辺への変形による影響をほとんどなくすことができる。よって、集光部カバー部材4は、ステンレス製とすれば、太陽光S2の集光による局所的な温度上昇に対して有効である。
【0027】
また、このレンズ鏡筒では、集光部カバー部材4の本体の集光部カバー用板部4aを、2群鏡筒2における成型に用いるゲート2eを覆い隠す状態で設置する。このように構成した場合には、1群レンズL1がポジティブレンズであるため、2群鏡筒2の前面(被写体側)が良く見えるが、ゲート2eの部分を集光部カバー部材4が覆い隠しているので、製品の外観及び品位を向上することができる。
【0028】
すなわち、このレンズ鏡筒では、2群鏡筒2に、集光部カバー部材4を配置することで、太陽光S2の集光による2群鏡筒2の変形を防止すると同時に、ゲート2eを覆い隠しているので、簡易な構成で外観の見栄をよくできる。
【0029】
また、この集光部カバー部材4には、バネ部4bが形成されている。このバネ部4bは、2群鏡筒2に配置された可動カムピン3をカム筒5のカム溝5bに向けて付勢する。この2群鏡筒2には、集光部カバー部材4のバネ部4bの背面(可動カムピン3の付勢方向とは反対方向)に当接部2fが形成されている。これにより可動カムピン3の移動範囲は、当接部2gと当接する位置から、バネ部4bが当接部2fと当接する位置までに制限される。
【0030】
このレンズ鏡筒では、2群鏡筒2の当接部2fが、落下等の衝撃を受けて可動ピン3がカム筒5のカム溝5bから外れそうな場合に集光部カバー部材4のバネ部4bの移動を制限して、2群鏡筒2がカム筒5から脱落しないようにしている。
【0031】
ここで2群鏡筒2の当接部2f、2gは、それぞれ集光部カバー部材4のバネ部4bに対して、前面(可動カムピン3の付勢方向)側と背面側とに形成されている。このため、バネ部4bは、当接部2fと当接部2gとの間に通すだけで、2群鏡筒2に組み付けられる。この集光部カバー部材4の延出部4Lは、バネ部4bの一端部を、2群鏡筒2に形成された当接部2hに圧接することにより、可動カムピン3の先端を当接部2gから押し出す方向に付勢する。この集光部カバー部材4のバネ部4bは、2群鏡筒2に形成された挿入部2iから光軸方向に略平行に挿入して2群鏡筒2に組み付けられる。
【0032】
さらに、2群鏡筒2の挿入部2iは、挿入部2iから光線が入射しないように、集光部カバー部材4の集光部カバー用板部4aで覆い隠される。そのために、集光部カバー部材4の集光部カバー用板部4aとバネ部4bとを連結する連結部4cは、集光部カバー用板部4aの最外部に形成される。
【0033】
また、集光部カバー部材4の連結部4cは、2群鏡筒2の壁面2jより内側に入り込むように構成することにより、挿入部2iの側面から光線が入射しないようにしている。
【0034】
このレンズ鏡筒では、集光部カバー部材4の平面部4aと連結部4cとから光線が入射しないようにすることで、レンズ鏡筒により結像される画質に影響しないようにしている。
【0035】
この集光部カバー部材4は、そのバネ部4bを2群鏡筒2の挿入部2iから挿入して、集光部カバー部材4に形成された穴部4d、4e、4fと2群鏡筒2に形成された突部2k、2l、2mとにより係止されるようにして、2群鏡筒2に固定される。
【0036】
この2群鏡筒2には、突部2l及び2mが、カムピン2a、2bと同位相で配置されている。この2群鏡筒2の突部2l及び2mは、カムピン2a、カムピン2bを成型するための外スライドD1、D2によって、カムピン2a、2bと同時に形成される。
【0037】
ここで、2群鏡筒2の突部2l及び2mを固可動スライドによって形成する場合には、突部2l及び2mの光軸方向両側にアンダーカット処理の形状ができて薄肉部が多くなるので、2群鏡筒2の剛性が低くなる可能性がある。そこで、このレンズ鏡筒では、突部2l及び2mをカムピン2a、2bと同位相に配置して、外スライドD1、D2を用いて形成することにより、簡易な金型構造で2群鏡筒2の剛性を損なわないように製造している。
【0038】
要するに、本実施の形態に係わるレンズ鏡筒では、太陽光が、被写体側にある1群鏡筒1の1群レンズL1により集光して2群鏡筒2が発熱することによる影響を抑制する集光部カバー部材4を備える。この集光部カバー部材4には、2群鏡筒2に装着される可動ピン3をカム筒5の内周面に形成されたカム溝5bに係合させた状態を維持するために、可動ピン3をカム溝5b内に向けて付勢するばね部材を一体的に形成する。さらに、このレンズ鏡筒では、2群鏡筒2の発熱を抑制する集光部カバー部材4に可動ピン3付勢用のばね部材を一体的に形成したものを、2群鏡筒2にワンタッチで容易に取り付けられるように構成する。
【0039】
このため図4に示すように、集光部カバー部材4は、太陽光S1が1群レンズL1に入射して屈曲され、光線S2となり集光する2群鏡筒の集光位置2d付近を覆うようなリング状に形成された集光部カバー用板部4aを有する。すなわち、この集光部カバー用板部4aは、2群鏡筒2の被写体側前面における外周近くの集光位置2dに対応した環状範囲を覆うリング状に形成する。
【0040】
また、この集光部カバー部材4には、リング状の集光部カバー用板部4aの外周の一部から内周側へ屈曲し、さらに、集光部カバー用板部4aの平面に直交する方向へ延出するよう形成された矩形長板状の、可動ピン3付勢用バネ部4bを突設する。このバネ部4bの中間部には、小矩形透孔である穴部4dを穿設する。
【0041】
さらに、この集光部カバー部材4には、リング状の集光部カバー用板部4aの外周の2箇所から、2群鏡筒2にワンタッチで取り付けられるようにするため、矩形突片状の取り付け足部14を集光部カバー用板部4aの平面に直交する方向へ延出するよう突設する。この取り付け足部14の自由端部には、小矩形透孔である穴部4e、4fを穿設する。
【0042】
図4及び図5に示すように、この集光部カバー部材4が取り付けられる2群鏡筒2には、その外周筒部分におけるレンズ鏡筒の基端部側の一箇所に可動ピン3を挿通する貫通穴が形成された可動ピン支受部12を設ける。
【0043】
この2群鏡筒2には、集光部カバー部材4が取り付けられる前面の外周から内周側へ所定距離だけ入った位置に矩形状に開口する箇所から、可動ピン支受部12の内側端部にかけてスリット状に貫通する挿入部2iを形成する。
【0044】
この挿入部2iには、可動ピン支受部12の内側から所定距離離間した位置でバネ部4bの移動を制限するため鉤状の当接部2fを突設する。さらに、可動ピン支受部12の内側端面部は、バネ部4bの自由端部が当接して、バネ部4bがそれ以上可動ピン3を押し出す方向へ移動することを制限するための当接部2gとして構成する。これによりバネ部4bの自由端部は、挿入部2iに挿入された際に、当接部2fと当接部2gとの間に挿入されることになる。これと共に、バネ部4bの自由端部は、当接部2fと当接部2gとの間の範囲内で移動するように動作が制限される。
【0045】
特に、この当接部2fは、レンズ鏡筒が落下等の衝撃を受けて可動ピン3を集光部カバー部材4のバネ部4bの付勢力に抗して移動した際に、バネ部4bの自由端部に当接してカム溝5bから外れるような移動を制限するよう構成されている。このように構成された当接部2fは、可動ピン3がカム筒5のカム溝5bから外れる前に、その移動動作を制止する。
【0046】
よって、レンズ鏡筒が落下等の衝撃を受けた場合に、可動ピン3は、カム筒5のカム溝5bから外れるのを当接部2fによって制止されるので、2群鏡筒2がカム筒5から脱落しないようにできる。
【0047】
また、この挿入部2iには、バネ部4bの中間位置で当接することによりバネ部4bの内側を支持して、バネ部4bの自由端部が可動ピン3を押圧するときの反力を受けるための当接部2hを設ける。この当接部2hは、バネ部4bの挿入部2iにおけるスリットを形成する内壁部分で構成する。
【0048】
また、この挿入部2iのスリットを形成する内壁部分には、バネ部4bの穴部4dと係合するための突部2k(図3に図示)を設ける。さらに、2群鏡筒2の外周面部には、集光部カバー部材4の取り付け足部14に対応した2箇所に、それぞれ取り付け足部14を嵌める嵌め部13を形成し、この嵌め部13内に、突部2l、2mを突設する。
【0049】
上述のように構成された、集光部カバー部材4を2群鏡筒2に取り付ける作業では、初めに、バネ部4bを挿入部2iに挿入すると共に、取り付け足部14を嵌め部13に挿入する。そして、集光部カバー部材4を2群鏡筒2の前面部に押し付けるようにすると、バネ部4bの穴部4dに突部2kが係合し、取り付け足部14の穴部4e、4fに突部2l、2mが係合して、図2及び図3に示すように取り付けられる。
【0050】
このように、集光部カバー部材4を2群鏡筒2に取り付ける作業は、ワンタッチで行えるので、組み立て作業の効率を向上できる。さらにバネ部4bは、挿入部2iにバネ部4bを挿入しただけで、挿入部2iに設けた当接部2f、2g及び当接部2hによって、可動ピン3を付勢する使用状態にセットされるので、組み立て作業の効率を向上できる。
【0051】
また、集光部カバー部材4は、集光部カバー用板部4aとバネ部4bとを一体化して構成したので、部品点数を削減でき、構成を簡素化し、廉価な製品を提供できる。また、2群鏡筒2は、挿入部2i部分及び嵌め部13部分をプラスチックの射出一体成形で一度に製造できるので、製造コストを削減できる。
【0052】
この組み立て作業の効率について、更に説明する。例えば、図6A、図6Bに示すように、板バネ113を被写体側からレンズ保持体111に組み込むのは困難である。可動カムフォロワ112は、板バネ113に形成された矩形折り曲げ部113aをレンズ保持体111の当接部111aに挟み込むことにより移動規制されているためである。一方で、上述の図2、3等を使って説明したようにすると、組み立ての作業の効率を向上できる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、これらの実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0054】
例えば、本発明の実施の形態では、集光部カバー部材4にステンレス部材を用いた場合を例示したが、これに限定されず、熱伝達が小さく、バネ性がある材料であれば集光部カバー部材4の材料に適用できる。
【符号の説明】
【0055】
2 2群鏡筒
2i 挿入部
4 集光部カバー部材
4a 集光部カバー用板部
4b バネ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1群レンズを有する1群鏡筒と、
前記1群レンズの後方にあって、カム溝に係合する可動ピンを備えた2群鏡筒と、
前記2群鏡筒に取り付けられた集光部カバー部材であって、前記1群レンズで太陽光が集光され得る2群鏡筒の部分に位置する集光部カバー用板部、当該集光部カバー用板部から突設され前記可動ピンを前記カム溝に付勢するバネ部、前記2群鏡筒に設けられた嵌め部に挿入され係合して当該2群鏡筒に保持するための取り付け足部を備える集光部カバー部材とを有することを特徴とするレンズ鏡筒。
【請求項2】
前記2群鏡筒は、前記集光部カバー部材の前記バネ部の付勢方向と反対の背面に当接部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のレンズ鏡筒。
【請求項3】
前記2群鏡筒の前記嵌め部は、
前記バネ部の前記可動ピンに当接する部分の移動を、前記可動ピンが前記カム溝から外れないように制限する当接部と、
前記バネ部の中間位置で当接することにより前記バネ部の内側を支持して、前記バネ部が前記可動ピンを押圧するときの反力を受けるための当接部と、
を有することを特徴とする請求項1記載のレンズ鏡筒。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate


【公開番号】特開2012−42679(P2012−42679A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−183294(P2010−183294)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】